特許第6885570号(P6885570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6885570-包装用容器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885570
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20210603BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B65D1/34
   B65D1/26
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-217551(P2016-217551)
(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公開番号】特開2018-76083(P2018-76083A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3051884(JP,U)
【文献】 特開2016−145071(JP,A)
【文献】 実開昭61−166985(JP,U)
【文献】 実開昭61−014615(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34
B65D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートからなる横長形状の包装用容器であって、底面の一部を、横断面を台形状とし、該容器の長手方向に延びるアーチ状に膨らませた膨出部と、該膨出部の表面に、該膨出部の幅方向に沿い、並行状に配列した複数の凸条部又は凹溝部と、該膨出部を囲うように前記底面から該容器の全周に渡り立ち上がる周壁面部と、を備えた包装用容器。
【請求項2】
前記底面に、複数の突起部又は並行状の筋状凸部を備えた請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記周壁面部は、少なくとも1か所を凹ませて前記底面と略同じ高さにした窪み部を備えた請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記周壁面部は平面視多角形状であり、前記窪み部を周壁面部の角部近傍に備えた請求項3に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記窪み部の外側に、容器外側に向かい昇り傾斜する傾斜面部を備えた請求項3又は4に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に小魚や惣菜等を包装するのに適した合成樹脂シートからなる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店においては、ちりめんじゃこ、シラス、小エビ、肉そぼろ、煎り卵、漬物、珍味などを包装するために薄型扁平状の包装用容器が多く用いられている。
例えば、下記特許文献1に示されたような包装用容器が用いられ、小売店で陳列されている。このような容器を用いることにより、収容物を容器底面に広げることができるため、顧客は、傷みがないかなどを視認することができ、安全な商品を購入することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−8254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、薄型扁平状の包装用容器は、平板状の底面に収容物が散逸されているため、収容物のボリューム感がなく、該包装用容器の収容物を一見した顧客は、収容量が少なく感じられ、購買意欲を削がれるおそれがある。
また、小魚等を収容した場合は、小魚等各々は小さなものであるため容器内で動きやすく、食品工場からの運搬時の振動や傾斜した陳列台に並べた際の傾きにより隅部などに片寄りやすいという問題があった。収容物の片寄りにより、容器底面が視認できてしまい、ボリューム感がさらに著しく欠け、商品としての訴求力を失ってしまうおそれがある。
さらに、小魚等は、各々が小さいだけでなく底面などに粘着してしまい箸では摘みにくく、容器から取り出すのに手間がかかり、食事の際に食べづらいものであった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、小魚等の小さく細かいものを収容してもボリューム感を出すことができ、さらに、容器を移動などさせた際にも収容物を動きにくくした包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の包装用容器は、合成樹脂シートからなる包装用容器であって、底面の一部を、横断面を台形状とし、該容器の長手方向に延びるアーチ状に膨らませた膨出部と、該膨出部の表面に、該膨出部の幅方向に沿い、並行状に配列した複数の凸条部又は凹溝部と、該膨出部を囲うように前記底面から該容器の全周に渡り立ち上がる周壁面部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記形態の包装用容器は、底面に膨出部を設けることにより、収容物が盛り上がるようになるため目立ち、内容量があるように見え、ボリューム感を出すことができる。また、周壁面部を設けることにより、周壁面部の内側に収容物を集め、また、収容物が散逸するのを適度に防ぎ、内容量があるように見させられる。
【0008】
上記形態の包装用容器は、前記底面に複数の突起部又は並行状の筋状凸部を備えることができる。
突起部又は筋状凸部を設けることにより、底面が凹凸状になり、持ち運びや持ち上げた際に収容物が動きにくく、収容物が容器内で片寄ることを防ぐことができる。さらに、底面が凹凸状であるため、収容物が粘着しにくくなり、箸などで摘みやすくなる。
【0009】
上記実施形態の包装用容器は、前記周壁面部に少なくとも1か所を凹ませて前記底面と略同じ高さにした窪み部を備えることができる。
【0010】
このような構成にすることにより、窪み部を箸先が通ることができるため、箸が周壁面部に引っ掛からず動きやすくすることができる。また、収容物が周壁面部に引っ掛かることなく周壁面部の外側へ箸などで掻き出すことができる。
【0011】
上記実施形態の包装用容器は、前記周壁面部を平面視多角形状に形成し、前記窪み部を周壁面部の角部近傍に備えることができる。
【0012】
このような構成にすることにより、収容物を箸などで周壁面部の角部に集めて窪み部から容器外側に掻き出しやすくなるため、お皿などに盛り付けやすくなる。
【0013】
上記実施形態の包装用容器は、前記窪み部の外側に、外側に向かい昇り傾斜する傾斜面部を備えることができる。
【0014】
このような構成にすることにより、収容物をお皿などに盛り付けるために包装用容器の外側に移す際、スロープの役割を果たすため盛り付け作業が容易になる。また、収容物が周壁面部を越えてしまうことがあったとしても、収容物が傾斜面部により中央付近に寄るため、収容物が周縁に散逸せず見映えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の包装用容器の斜視図である。
図2図1の包装用容器の平面図である。
図3図2の中央線縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の包装用容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の一実施形態の包装用容器1は、図1図3に示すように、膨出部2と、周壁面部3と、筋状凸部4と、を備える。
包装用容器1は、例えば、ちりめんじゃこ、シラス、小エビ、肉そぼろ、煎り卵、漬物、珍味、刻み葱など、小さく細かな食品を収容するのに適している。
包装用容器1は、本実施形態では、平面視横長長方形状としてあるが、これに限定されるものではなく、平面視円形状、平面視長円状や平面視六角形状などにすることもできる。
包装用容器1は、特に限定するものではないが、平面視において、縦50mm〜250mm、横80mm〜400mmの大きさ、特に縦80mm〜150mm、横130mm〜230mmの大きさに形成することができる。
【0018】
包装用容器1は、蓋体(図示せず)を備えることができ、容器1の外縁に備えた嵌合部5に嵌合できるように形成してある。
包装用容器1は、薄型の扁平状に形成することが好ましく、厚みを5mm〜40mm、特に10mm〜30mmに形成することが好ましく、蓋体との嵌合状態での厚みは、7mm〜60mm、特に15mm〜40mmに形成することが好ましい。
また、包装用容器1は、蓋体を設けず、ラップフィルムなどで覆い包装したり、接着剤やヒートシールなどでトップシールして包装したりしてもよい。
【0019】
包装用容器1は、例えば、シート厚0.1mm〜5mm、好ましくは0.2mm〜3mmの合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートとしては、発泡、非発泡を問わず、例えば、ポリエチレン系樹脂シートやポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを挙げることができる。また、フィルムをラミネートした発泡シートなど多層シートを用いることもできる。
【0020】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
包装用容器1は、黒色や白色などの有色でもよいが、内部が視認できるように透明乃至半透明であることが好ましい。蓋体は内部を視認できるようにするため透明であることが好ましく、蓋体を透明、包装用容器1を白色にするなど両者が相違してもよい。
【0021】
包装用容器1は、図1又は図2に示すように、内部を食品などが収容できる収容部11とし、平板状の底面12に長さ方向(図2の横方向)に沿いアーチ状に膨らむ膨出部2を並行状に2条形成してあり、膨出部2を囲うように横長長方形状の周壁面部3が形成してある。
【0022】
膨出部2は、平面視において、長さ方向の中間付近がやや括れた形状としてあり、膨出部2の表面上(両側の側壁も含む)には、幅方向(図2の縦方向)に沿い突出させて形成した凸条部6がほぼ等間隔で並列して多数形成してあり、表面が凹凸状になるように形成してある。凸条部6の幅は、特に限定するものではないが、1mm〜5mm、特に2mm〜4mmにするのが好ましい。また、各凸条部6の間隔は、特に限定するものではないが、1mm〜5mm、特に2mm〜4mmにするのが好ましい。
本実施形態では、膨出部2を2条設けてあるが少なくとも1条設けてあればよい。また、膨出部2の表面に凸条部6を設けて凹凸状に形成してあるが、表面に凹溝部を設けて凹凸状に形成してもよい。凸条部6は、膨出部2の幅方向に沿うように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、長さ方向に沿うように形成しても幅方向に対して斜めに形成してもよい。
【0023】
周壁面部3は、図2に示すように、包装用容器1の外縁よりも一回り小さい平面視横長長方形枠状としてあり、底面12から略垂直状に立ち上がる板状に形成してある。周壁面部3は、本実施形態では、長さ方向に沿う周壁面部3aは一定の高さに形成し、膨出部2の幅方向に沿う周壁面部3bは、2つのアーチが連なるように形成され、周壁面部3aは周壁面部3bよりも高く形成してある。
周壁面部3は、本実施形態では、平面視横長長方形枠状に形成してあるが、これに限定されるものではなく、平面視正方形状、六角形状などの平面視多角形状や円形状などに形成することができ、特に、平面視多角形状に形成することが好ましい。
周壁面部3bは、幅方向の両端側及び中間付近に底面12と略同じ高さにし、容器1の内外方向に通じる窪み部31が形成してある。ここでいう底面12と略同じ高さとは、底面12と高低差がない、つまり高低差0mmであることが好ましいが、約±3mm程度の範囲内の高低差も含むこともできる。
【0024】
窪み部31は、本実施形態では、6ヶ所設けてあるが、これに限定されるものではなく、少なくとも1ヵ所設けてあればよい。
窪み部31は、周壁面部3を平面視多角形状にした場合は、周壁面部3の角部32の近傍に設けるのが好ましい。このようにすることにより、周壁面部3の角部32に箸などで収容物を集め、窪み部31から収容物を容器外側に掻き出しやすくなり、お皿などに盛り付けやすくなる。そのため、窪み部31は、角部32の外側面の頂点から周壁面部3沿いに2mm〜30mmの位置、特に5mm〜10mmの位置に設けるのが好ましい。
【0025】
窪み部31は、本実施形態では幅狭に形成してあるが、幅広に形成してもよく、特に限定するものではないが、0.1mm〜20mm、0.5mm〜5mmの幅に形成することができる。
周壁面部3の高さは、特に限定するものではないが、2mm〜30mm、特に5mm〜17mmが好ましい。
本実施形態の如く、周壁面部3aと周壁面部3bとの高さを相違させる場合は、周壁面部3aの高さは、2mm〜30mm、特に5mm〜17mmが好ましく、周壁面部3bの高さ(最大高さ)は、1mm〜28mm、特に2mm〜15mmが好ましい。
【0026】
底面12には、周壁面部3の内側の膨出部2を除く箇所に筋状凸部4が形成してある。
筋状凸部4は、本実施形態では格子状に形成してあるが、これに限定されるものではなく、斜め格子状や並行状に形成してもよい。格子状に形成する場合は、2mm〜20mm四方、特に4mm〜16mm四方の格子状に形成するのが好ましい。また、筋条凸部4の幅は、特に限定するものではないが、0.5mm〜5mm、特に0.8mm〜3mmにするのが好ましい。
【0027】
本実施形態では、底面12に筋状凸部4を設けてあるが、底面12に複数の突起部を設けてもよい。この突起部は、特に限定するものではないが、円錐状、四角錐状、半球状などの形成することができ、等間隔で配列してもよく、ランダムに配列してもよい。
筋状凸部4又はこの突起部の高さは、特に限定するものではないが、0.5mm〜5mm、特に1mm〜3mmに形成するのが好ましい。
【0028】
容器1の四隅付近には、周壁面部3の外側に平面視略くの字状に凹ませた脚部7が形成してあり、また、各脚部7間には、容器1の外側に向かい昇り傾斜とした傾斜面部8が形成してある。
脚部7及び傾斜面部8の表面は、凹凸状に形成してあり、容器1の内外方向に伸びる凸条又は凹溝が交互に複数形成してある。
【0029】
脚部7及び傾斜面部8の外側には、嵌合部5が形成してあり、蓋体を嵌合できるようにしてある。
蓋体は、本実施形態では、内外嵌合できるように形成してあるが、これに限定されるものではなく、内嵌合や外嵌合できるようにしてもよく、また、嵌合部5を設けず、容器1及び蓋体の外縁部分をフランジ状に形成し、蓋体を容器1に載せ置き、ステープラやセロハンテープなどで固定するようにしてもよい。
【0030】
包装用容器1は、膨出部2を設けることにより、収容物が盛り上がるため目立ち、内容量があるように見え、ボリューム感を出すことができる。また、膨出部2の表面に凸条部6を設けることにより、表面が凹凸状になり、収容物が動きにくく、膨出部2から落下しにくくなる。
周壁面部3を設けることにより、その内側に収容物を集める、また、収容物が散逸するのを適度に防ぎ、内容量があるように見させられる。
【0031】
筋状凸部4又は突起部を設けることにより、底面12が凹凸状になり、収容物が動きにくく、持ち運びや持ち上げた際に収容物が容器1内で片寄ることを防ぐことができる。さらに、底面12が凹凸状であるため、収容物が粘着しにくくなり、箸などで摘みやすくなる。
【0032】
窪み部31を設けることにより、箸先が周壁面部3に当たらず通すことができるため、収容物を周壁面部3に引っ掛かることなく掻き出すことができる。
【0033】
傾斜面部8を設けることにより、収容物をお皿などに盛り付けるために容器外側に移す際、スロープの役割を果たすため盛り付け作業が容易になる。また、収容物が周壁面部3を越えてしまうことがあったとしても、収容物が傾斜面部8により容器の中央付近に寄るため、収容物が周縁に散逸せず見映えをよくすることができる。さらに、傾斜させてあるため、そこに収容物がこぼれ落ちたとしても深さがあるため、こぼれ落ちた量を少なく見せることができる。
【0034】
また、筋状凸部4及び凸条部6は、リブとしての機能も有し、包装用容器1の剛性を高めることができる。
【0035】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。例えば、包装用容器と蓋体とをヒンジなどで一体的に形成した、いわゆるフードパックなども当然に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1包装用容器
11収容部
12底面部
2膨出部
3(3a、3b) 周壁面部
31窪み部
32角部
4筋条凸部
5嵌合部
6凸条部
7脚部
8傾斜面部
図1
図2
図3