(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885575
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ディフェンシン産生促進剤、抗菌剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/03 20060101AFI20210603BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210603BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20210603BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20210603BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
A61K36/03
A61P43/00 111
A61P37/00
A61P17/00
A61P29/00
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-3897(P2017-3897)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-132755(P2017-132755A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-11314(P2016-11314)
(32)【優先日】2016年1月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166959
【氏名又は名称】御木本製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須藤 秀
【審査官】
春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−535234(JP,A)
【文献】
特開2007−217339(JP,A)
【文献】
特開2003−277203(JP,A)
【文献】
SUGIURA, Y. et al.,Anti-Allergic Phlorotannins from the Edible Brown Alga, Eisenia Arborea,Food Science and Technology Research,2007年,Vol.13, No.1,p.54-60,doi: 10.3136/fstr.13.54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サガラメの50%(V/V)エタノール水溶液抽出物を有効成分として含有するディフェンシン産生促進剤(但し、抗菌用途を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディフェンシン産生促進剤、抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生来もっている生体防御機構として生体内の抗菌物質(抗菌ペプチド)の存在が以前より知られている。
抗菌ペプチド(anti-microbial peptide)は、生体内で自然免疫メカニズムを担当する天然抗菌物質であって、細菌、真菌、原虫、ウィルスを含む各種微生物に対して抗菌力を有しており、局所的な感染抑制と全身免疫反応を誘導する特性を有するペプチド物質である。通常、抗菌ペプチドは、両親媒性の構造を有しており、抗菌作用メカニズムとして抗菌ペプチドのカチオン部位が微生物細胞膜が有しているアニオン性リン脂質に結合して微生物の細胞膜を破壊する原理によって抗菌活性を示す。
抗生物質や合成抗菌剤など種々の薬剤による従来の抗菌剤では、抵抗性微生物が出現し、耐性菌に対する対策は新たな抗菌剤を開発するしかない。
しかし、抗菌ペプチドの産生を促進する方法であれば、上記のような問題はなく、自己生体防御機構を増強できる。
【0003】
デフェンシン(defensin)は、抗菌ペプチドのうち最も多く研究されたものの一つであり、β−デフェンシンは、皮膚、肺、内蔵、腎臓、生殖器などの粘膜上皮で発現するペプチド物質である。抗菌性のみならず、全身免疫反応と炎症反応の調節にも重要な機能を果たすことが知られており、免疫応答、炎症の治癒を促進する。(非特許文献1)
また、デフェンシンは皮膚の物理的な損傷、又は感染などが生じた場合、その分泌が促進されて抗菌作用と共に全身免疫反応を誘導する効果を有しており、特に、皮膚では、ケラチノサイトの分化と増殖を誘導して傷を治癒する機能も果たしている(非特許文献2)
アトピー皮膚炎患者にも有効であるという報告がある。(非特許文献3)
デフェンシン産生促進剤として、有機酸、酵母由来の多糖類、酵母由来の不溶性画分、酵母由来のマンナン含有成分、ヨーグルト、甘酒の抽出物、焼酎もろみ、糠味噌濃縮物等が知られている。(特許文献1〜5)
【0004】
サガラメ(Eisenia arborea Areschoug)は、褐藻類、コンブ科(Laminariaceae)、アラメ属(Eisenia)の海藻で、アラメとちがって一次側葉のみで、葉の途中から二次側葉が生えない。食材として用いられている。
さらに血管新生抑制剤、β−グルクロニダーゼ阻害剤、AGE生成阻害剤、アクアポリン産生増強製剤等の用途が知られている。(特許文献6〜9参照)
【0005】
紅茶は、茶(Camellia sinensis)の葉を原料とし、摘み取った茶葉を発酵させたものである。
勿論飲用が主な用途であるが、プラーク形成阻害剤、メラニン生成抑制剤、アレルゲン不活性化剤、OPH活性増強剤等の用途も知られている。(特許文献10〜13参照)
【0006】
チョウジ(丁子)は、フトモモ科の植物チョウジノキ(Syzygium aromaticum、syn. Eugenia aromatica)の花蕾を乾燥させたものであり、芳香健胃剤として利用されている。
また、クローブとも言い、香辛料として広く利用されている。
さらにう蝕予防剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤、毛髪化粧料、抗アレルギー剤等の用途が知られている。(特許文献14〜17参照)
【0007】
オタネニンジン(Panax ginseng)はチョウセンニンジン(朝鮮人参)、コウライニンジン(高麗人参)、また単に人参とも呼ばれる。
『神皇本草経』にも記載がある古くより利用されてきた生薬で強壮,強心,健胃、補精、鎮痛等に利用されている。
さらにセラミド産生促進剤、育毛料、グルタチオン産生促進剤、抗炎症剤、抗老化剤、抗肥満剤、エラスチン産生促進剤等の用途が知られている。(特許文献18〜22)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/027893号
【特許文献2】特開2003−197号公報
【特許文献3】特開2003−262号公報
【特許文献4】特開2006−241023号公報
【特許文献5】特開2005−270117号公報
【特許文献6】特開2006−022033号公報
【特許文献7】特開2006−045188号公報
【特許文献8】特開2008−214246号公報
【特許文献9】特開2013−087057号公報
【特許文献10】特開2000−344642号公報
【特許文献11】特開2001−158726号公報
【特許文献12】特開2008−174526号公報
【特許文献13】特開2014−118406号公報
【特許文献14】特開平5−255098号公報
【特許文献15】特開平6−9371号公報
【特許文献16】特開平8−231348号公報
【特許文献17】特開平10−36276号公報
【特許文献18】特開2000−169359号公報
【特許文献19】特開2003−238365号公報
【特許文献20】特開2009−132662号公報
【特許文献21】特開2010−155787号公報
【特許文献22】特開2012−056933号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Science 1999;286:525−528
【非特許文献2】Niyonsaba F, Ushio H, Nakano Nら、「Antimicrobial peptides human β−defensins stimulate epidermal keratinocyte migration, proliferation and production of proinflammatory cytokines and chemokines」、J Invest Dermatol、2007年、第127巻、594頁
【非特許文献3】Ong PYら、「Endogenous Antimicrobial Peptides and Skin Infections in Atopic Dermatitis」、The England Journal of Medicine、2002年、第347巻、1151−1160頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的はディフェンシンの産生を促進し、皮膚、口腔や消化器でのバクテリア、真菌、及びウィルスなどに対する抗菌性のみならず、免疫増強、皮膚炎、アトピー皮膚炎、創傷治癒、炎症、血管新生のレベルの低下をもたらす原因とする疾患の予防又は治療に対して有効な製剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らが鋭意検討した結果、サガラメの抽出物、紅茶の抽出物、チョウジの抽出物、オタネニンジンの抽出物が上記目的を達することがわかった。
サガラメ、紅茶、チョウジ、オタネニンジンは、必要に応じて乾燥した後、抽出効率を考えると、細切、粉砕等の処理を行った後に抽出する。
乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。
前記抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を用いる。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜20質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜15質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜20質量部添加することが好ましい。
【0012】
抽出に使用する有機溶媒の量は、原料となる植物に対して望ましくは5〜100倍量程度、さらに望ましくは10〜50倍量程度が良い。さらに抽出効率を上げるため、抽出溶媒中で撹拌やホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
尚、抽出操作は1回のみの操作に限定されるものではない。抽出後の残渣に再度新鮮な溶媒を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶媒を複数回抽出原料に接触させることも可能である。
本発明者らが検討した結果、本発明の効果を発揮する物質は、水にも、80%のエタノール抽出されるので、ある程度精製する場合は、水で抽出したのち、不溶物を取り除き、等量〜5倍量のエタノールを加えてさらに抽出するとよいこともわかった。
必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色等の精製処理を加えても良く、エバポレーターのような減圧濃縮装置や加熱による溶媒除去などにより、濃縮することができる。
また、この抽出物を合成吸着剤(ダイアイオンHP20やセファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20P等)やデキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)、限外濾過等を用いてさらに精製することも可能である。
【0013】
本発明の製剤は、経口、注射、外用のいずれでも薬効を発現する。
これらの抽出物の製剤への配合量は固形分として、0.000001〜10.0重量%、好ましくは0.00001〜3.0重量%、さらに好ましくは0.00005〜1.0重量%である。
【0014】
また、本発明の製剤には、上記成分の他に医薬品や化粧品の各種製剤において使用されている界面活性剤、油性成分、保湿剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、ビタミン類、色素、香料、水等を配合することができる。
【0015】
上記界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、天然、合成のいずれの界面活性剤も使用できるが、皮膚に対する刺激性を考慮すると非イオン性のものを使用することが好ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0016】
油性成分としては、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、精油類、シリコーン油類などを挙げることができる。油脂類としては、例えば大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸トリグリセリド等の合成トリグリセリド等が;ロウ類としては、例えばカルナバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等が;炭化水素類としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、パラフィンマイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ブリスタン等が;高級脂肪酸類としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等が;高級アルコール類としては、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール等が;エステル類としては、例えばオクタン酸セチル、オクタン酸トリグリセライド、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、POEソルビット脂肪酸エステル等が;精油類としては、例えばハッカ油、ジャスミン油、ショウ脳油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等が;シリコーン油類としては、例えばジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これら上述の油性成分は一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、このうち特にミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸トリグリセリド、ラノリン、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンマイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリグリセライド、ミリスチレン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸コレステロール、POEソルビット脂肪酸エステル、ハッカ油、トウヒ油、ケイ皮油、ローズ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ゲラニオール、ピネン、リモネン、ジメチルポリシロキサンを使用することが好ましい。
【0017】
本発明の製剤には、さらに下記のような成分を配合することができるが、その成分もこれらに限定されるものではない。
色素類;黄色4号、青色1号、黄色202号等の厚生省令に定められたタール色素別表I及びIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、クロシン、紅花、アントラキノン等の食品添加物として認められている天然色素等。
ビタミン類;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等。
その他;殺菌剤、防腐剤、その他製剤上必要な成分等。
【0018】
本発明の製剤は、前記必須成分に必要に応じて前記任意成分を加え、常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0019】
実施例1
サガラメ(乾燥物、細断品)を50gに50%(V/V)エタノール水溶液2リッターを加え、ときどき撹拌しながら、24時間抽出後、濾過(No5C)し、エバポレートしたのち、これを凍結乾燥した。
【0020】
実施例2
紅茶(乾燥物、細断品)を30gに30%(V/V)エタノール水溶液2リッターを加え、ときどき撹拌しながら、24時間抽出後、濾過(No5C)し、エバポレートしたのち、これを凍結乾燥した。
【0021】
実施例3
チョウジ(乾燥物、細断品)を20gに50%(V/V)エタノール水溶液2リッターを加え、ときどき撹拌しながら、24時間抽出後、濾過(No5C)し、エバポレートしたのち、これを凍結乾燥した。
【0022】
実施例4
オタネニンジン(根、乾燥物、細断品)を50gに20%(V/V)エタノール水溶液2リッターを加え、ときどき撹拌しながら、24時間抽出後、濾過(No5C)し、これをエバポレートした後、凍結乾燥した。
【0023】
確認試験
2継代目のヒト包皮由来表皮細胞(クラボウ)を50−70%コンフルエントとなるようHuMedia−KG2培地(フェノールレッド不含)で培養後、前日にカルシウム濃度を1.8mMに変更したHuMedia−KG2培地に、実施例を添加し、37℃、5%CO2インキュベータ中で2日間培養した。
【0024】
<RNAの抽出>
細胞からの Total RNAの抽出は、トリプシン/EDTAで剥離後、illustra RNA Mini RNA Isolation Kit(GE Healthcare社)を用い、GE Healthcare社の添付マニュアルに従い調製した。RNA濃度は、NanoDrop1000(Thermo SCIENTIFIC)を用い算出した。
【0025】
<RT反応およびリアルタイムPCR>
2.5μgのTotal RNAを使い、MMLV Reverse Transcriptase RNaseH−(東洋紡社)を用い、東洋紡社推奨プロトコール(TOYOBO BIOCHEMICALS FOR LIFE SCIENCE 2008/2009のページ1−42)に従いRT反応を行なった。
リアルタイムPCRはAppliedBiosystems 7500 リアルタイムPCR Systemを用い、以下のように実施した。SYBR Green法を用い(THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix,東洋紡社)、7500 リアルタイムPCR Systemの操作マニュアル(AppliedBiosystems)を用いて、Comparative CT(△△CT)法(n=3)により遺伝子発現比較を実施した。内部標準としてGAPDHを使用した。
なお、対象遺伝子はディフェンシン1である。
【0026】
確認試験の結果を
図1に示す。
実施例1〜4はディフェンシン1の遺伝子の発現を促進することがわかった。
【0027】
また、実施例を配合した外用剤を作成し、実際に使用してみた結果、皮膚、口腔や消化器等でのバクテリア、真菌、及びウィルスなどに対する抗菌性のみならず、免疫増強、皮膚炎、アトピー皮膚炎、創傷治癒、炎症、血管新生のレベルの低下をもたらす原因とする疾患の予防又は治療に対して有効な製剤を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1〜4の確認試験結果でディフェンシン1の遺伝子発現量変化を示す図である。 縦軸は実施例を添加していない場合の遺伝子発現量を1としてときの遺伝子発現量である。 作用濃度は実施例1は0.05%、実施例2は0.01%、実施例3は0.01%、実施例4は0.2%で実験した。