(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
始動口への遊技球の入賞に基づいて図柄変動を実行可能であり、図柄変動において大当りに当選するか否かを判定し、複数段階の設定値から一の設定値を設定し、設定されている前記設定値によって前記大当りに当選する確率が定まる遊技機であって、
触覚を通して知覚可能な刺激を遊技者に与えることが可能な第一の演出手段と、
前記第一の演出手段を制御する第一の演出制御手段と、を備え、
前記第一の演出制御手段は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって設定されている前記設定値を示唆する演出である第一の演出を、前記第一の演出手段に実行させることが可能なものであり、
遊技球が入賞口に入球することで当該入賞口に対応する数の賞球を付与し、
前記入賞口が設けられた遊技盤が配設され、開閉可能に構成された開閉体と、
前記遊技盤の背面側に配設された操作手段と、
復電時の前記操作手段の態様に基づいて、復電時の復帰状態を管理する復帰状態管理手段と、
遊技に関する情報が記憶されるRAMと、
復電時に前記RAMに記憶されている情報に異常があるか否かを判定するRAM異常判定手段と、
をさらに備え、
前記復帰状態管理手段によって管理される前記復帰状態には、前記設定値を設定可能な設定変更状態、遊技の進行が可能な遊技可能状態、及び遊技の進行が不可能な遊技停止状態が少なくともあり、
前記復帰状態管理手段は、
前記RAMに記憶されている情報に異常がないと前記RAM異常判定手段によって判定され且つ電断時の状態が前記設定変更状態である場合において、該電断時に対する復電時に前記開閉体が開放状態であり且つ該復電時に前記操作手段に対して所定の操作がなされる所定の場合には、前記設定変更状態を設定する一方、
前記RAMに記憶されている情報に異常がないと前記RAM異常判定手段によって判定され且つ電断時の状態が前記設定変更状態である場合において、前記所定の場合とは異なる場合には、前記遊技停止状態を設定するものである、
ことを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
なお、以降の説明における「有利(有利度)」とは、遊技者に対して有利であることを指し、さらに、特に断りがない限り、いわゆるプレミア画像等の演出面を除き、賞球の獲得量(遊技球の払い出し、メダルの払い出し)に関して有利であることを指す。
【0010】
<本発明の特徴について>
本実施形態における遊技機10の詳細を説明する前に、本実施形態に記載されている発明(本発明)の特徴を説明する。
なお、当該特徴を説明するにあたり、括弧内の構成は、直前の構成に対応する本実施形態の構成を例示したものであり、当該説明以降の遊技機10の説明においても同様の用途で括弧内に構成を記載する場合がある。
【0011】
本発明は、始動口への遊技球の入賞に基づいて図柄変動を実行可能であり、図柄変動において大当りに当選するか否かを判定し、複数段階の設定値から一の設定値を設定し、設定されている上記設定値によって上記大当りに当選する確率が定まる遊技機であって、
触覚を通して知覚可能な刺激を遊技者に与えることが可能な第一の演出手段(演出ボタン37)と、
上記第一の演出手段を制御する第一の演出制御手段(第1副制御基板200)と、を備え、
上記第一の演出制御手段は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって設定されている上記設定値を示唆する演出である第一の演出(振動設定示唆演出)を、上記第一の演出手段に実行させることが可能なものであることを特徴とする遊技機である。
【0012】
本発明によれば、触覚による設定示唆演出を実現し、設定値を有するパチンコ機において、遊技の興趣を高めることができる。
【0013】
なお、後述する本実施形態では、触覚を通して知覚可能な刺激を与える上記第一の演出手段として、遊技者が操作可能なデバイスを採用したが、これに限らず、操作を要しないデバイスを採用してもよい。
さらに、遊技者が操作可能なデバイスを採用する場合には、演出用のボタンに限らず、操作ハンドル等、遊技者が操作可能なデバイスであれば、いずれのデバイスを採用してもよい。
【0014】
また、本実施形態では、触覚を通して知覚可能な刺激として、振動を採用したが、これに限らず、音圧や風圧等、遊技者が触覚を通して知覚可能な刺激であれば、いずれを採用してもよい。
【0015】
また、上記第一の演出は、後述する設定示唆演出であり、当該設定示唆演出は、本実施形態のように、態様によって現在の設定値を示唆するものに限らない。例えば、その実行確率によって現在の設定値を示唆するものであってもよいし、これらの組合せであってもよい。なお、上記態様には、演出自体の態様(見た目)に限らず、演出の実行タイミングも含まれる。
【0016】
さらに、上記第一の演出は、大当りに当選する確率が比較的高い設定値(後述する高設定値)を示唆するものに限らず、複数段階の設定値のうちの一部の設定値であることを示唆するものであればよく、一部の設定値を報知する(確定的に示唆する)ものであってもよい。
【0017】
上記の特徴を有する遊技機10について、以下の実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0018】
<遊技機10の構造について>
まず、
図1〜
図5を用いて、遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図であり、
図2は、
図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置90を示す図であり、
図3は、
図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群およびその周辺を示す鳥瞰図であり、
図4は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図であり、
図5は、遊技機10の背面図である。
なお、
図1から
図5に図示される各構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要なものを挙げたに過ぎず、ここに図示しない構成および機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成または機能が省かれても良い。
【0019】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示省略)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、「遊技領域50a」と称する)に遊技球を発射し、遊技球が入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。なお、以下の説明では、入賞口に遊技球が入球することを、単に「(入賞口に)入賞する」と表現する場合がある。
【0020】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠17と、遊技盤50の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0021】
中枠17は、ヒンジ機構21と同一側にあるヒンジ機構(図示省略)により左端側を中心に回動自在に支持され、外枠15の前側に開閉可能となっている。なお、中枠17は、シリンダ錠23により、施錠および解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを前枠20の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、右)に回す)が可能となっている。
【0022】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を中心に回動自在に支持され、中枠17に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠および解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを中枠17の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、左)に回す)が可能となっている。
また、前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
また、前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
また、前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0023】
図3に示すように、上球受け皿27の上面には、遊技者に操作される操作ボタン群が配置されている。この操作ボタン群には、後述する主制御基板100に電気的に接続されているメイン操作部39として、玉貸ボタン39a、およびプリペイドカードの返却操作を受け付ける返却ボタン39bが設けられ、後述する第1副制御基板200に電気的に接続されている操作部として、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる演出ボタン37、およびそれぞれ上、下、左、右への操作を指示するためのカーソルボタン38(38a、38b、38c、38d)等が含まれる。なお、各操作部には、操作を検知するためのセンサが設けられており、接続対象の制御基板は、当該センサの検知状態の変化によって各操作部の操作を検知している。
また、上球受け皿27の側方には、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動装飾体22が設けられている。
【0024】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構36が設けられている。この球抜き機構36を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示省略)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
なお、図示は省略するが、上球受け皿27には、球抜き機構36と同様に、操作することで貯留している球を下球受け皿29へ移動させる機構が設けられ、この機構と球抜き機構36の双方を操作することで、貯留している球を排出することが可能となる。
【0025】
図1に示すように、前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34a、34bは光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ演出ランプ35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や演出ランプ35は、遊技中に発生する演出やエラー演出等と連動して音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
【0026】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の周囲に配設されているサブ表示部82で構成されている。サブ表示部82は、さらに、メイン表示部81の上方に配設されている上サブ表示部82aと、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部82bと、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部82cと、を含んでいる。
ここで、メイン表示部81は、固定式の液晶表示装置であり、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82cは、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動式の液晶表示装置である。
【0027】
メイン表示部81は、後述する第1特別図柄表示装置91または第2特別図柄表示装置92における変動表示に連動して行われる図柄列の変動表示を表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。
メイン表示部81に表示される図柄列は、3つの図柄列(以下、メイン表示部81に向かって左側から順に、「左の図柄列」、「真ん中の図柄列」、「右の図柄列」と称する場合がある)をなす。各図柄列は、複数種類の装飾図柄を有しており、各図柄列の変動表示の方向は特に制限されず、例えば、上下方向、左右方向、奥行き方向、またはこれらの組合せ(斜め方向)のいずれであってもよい。なお、本実施形態では、図柄列(装飾図柄)の変動表示を停止させることを「停止表示する」と表現し、図柄列の停止表示には、第1特別図柄表示装置91または第2特別図柄表示装置92が停止表示されたタイミングに発生する確定停止表示と、当該タイミングよりも前に発生する仮停止表示がある。
ここで、奥行き方向とは、実際にはメイン表示部81の表示画面上の平面的な変動表示であるにも関わらず、メイン表示部81の奧方から手前方向またはその逆方向に図柄列が変動表示しているかのように認識させる手法(例えば、遠近法)を用いた表示態様において、遊技者が認識する仮想的な方向をいう。
また、本実施形態における装飾図柄には、数字の「1」を模した「1図柄」、数字の「2」を模した「2図柄」、数字の「3」を模した「3図柄」、数字の「4」を模した「4図柄」、数字の「5」を模した「5図柄」、数字の「6」を模した「6図柄」、数字の「7」を模した「7図柄」、数字の「8」を模した「8図柄」、および数字の「9」を模した「9図柄」があり、これらの図柄は、各図柄列に設けられている。以降の説明では、「1図柄」、「3図柄」、「5図柄」、「7図柄」、および「9図柄」を総称して「奇数図柄」と称し、「2図柄」、「4図柄」、「6図柄」、「8図柄」を総称して「偶数図柄」と称する場合がある。
【0028】
サブ表示部82のそれぞれは、主として演出に関連する演出画像を表示するために設けられるだけでなく、移動可能に構成されている。
なお、それぞれの初期位置は、上サブ表示部82aはメイン表示部81を基準として上側であり、左サブ表示部82bはメイン表示部81を基準として左側であり、右サブ表示部82cはメイン表示部81を基準として右側であり、サブ表示部82のそれぞれは、これらの初期位置からメイン表示部81における装飾図柄の表示領域に重なる位置まで移動可能に構成されている。
【0029】
なお、本実施形態における演出表示装置80(メイン表示部81、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82c)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示装置80として採用することができる。
【0030】
メイン表示部81とサブ表示部82の間には、演出遮蔽体83が配設されている。さらに、演出遮蔽体83は、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dで構成されており、これらは、互いに連動してメイン表示部81を遮蔽する方向に移動可能に構成されている。
【0031】
メイン表示部81の右下側には、複数の発光ダイオード(light emitting diode、以下、「LED」と略称する)が配設されており、これらのLEDによって図柄表示装置90の表示領域が構成されており、図柄表示装置90には、特別図柄および普通図柄が表示される。
また、図柄表示装置90は、メイン表示部81よりも遊技者が視認しにくい位置に配設され、図柄表示装置90の表示領域は、メイン表示部81の表示領域よりも小さい面積になっている。
なお、本実施形態における図柄表示装置90に係るLEDの配置や数は
図2に示すとおりであるが、これは一例であって、図柄表示装置90に係るLEDの配置や数はこの例に制限されるものではない。
【0032】
特別図柄は、特別電動役物(例えば、特別電動役物65)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における特別図柄には、第1特別図柄表示装置91に表示される第1特別図柄と第2特別図柄表示装置92に表示される第2特別図柄とが含まれる。
なお、特別図柄は「特図」、第1特別図柄は「特
図1」、第2特別図柄は「特
図2」と略称される場合がある。
【0033】
普通図柄は、普通電動役物(例えば、普通電動役物61)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における普通図柄は、普通図柄表示装置93に表示される。
なお、普通図柄は、「普図」と略称される場合があり、普通電動役物は「電チュー」と称される場合がある。
【0034】
また、図柄表示装置90には、上述の表示装置以外に、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96が設けられている。
第1特別図柄保留ランプ94は、保留されている特
図1の図柄変動の数を特定可能とし、第2特別図柄保留ランプ95は、保留されている特
図2の図柄変動の数を特定可能とし、普通図柄保留ランプ96は、保留されている普図の図柄変動の数を特定可能とし、いずれも2つのLEDの点灯態様(本実施形態では、右常時点灯のみ=1、左右常時点灯=2、右側点滅+左側常時点灯=3、左右点滅=4)によって対応する図柄変動の数を特定可能とするものである。
【0035】
以下の説明では、第1特別図柄表示装置91または第2特別図柄表示装置92で特図を変動表示させた後に特図を停止表示させる図柄変動を「特図の図柄変動」と称し、以下の説明では、普通図柄表示装置93を変動表示させた後に普図を停止表示させる図柄変動を「普図の図柄変動」と称する場合がある。
また、以下の説明では、上述のメイン表示部81に表示される図柄列(装飾図柄)の変動表示は、「特図の図柄変動」や「普図の図柄変動」と区別して「装飾図柄の図柄変動」と称する場合がある。
なお、以下の説明では、単に「図柄変動」と称した場合には、特に断りがない限り特図の図柄変動を意味する。
【0036】
遊技盤50の前面には、
図4に示すように、多数の遊技釘(図示省略)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。
また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。ここで、風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0037】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっており、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0038】
図4には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口57、第2始動口59、ゲート63、一般入賞口67を図示しているが、図示されている入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0039】
大入賞口55は遊技領域50aの右下部に配置されている。大入賞口55には大入賞口センサ72が付設されており、大入賞口センサ72の検知結果によって大入賞口55への入賞が判定されて、大入賞口55に対応づけられた数(本実施形態では、15)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が大入賞口55に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0040】
大入賞口55の上方には特別電動役物65が配設されている。特別電動役物65は、大入賞口55への入賞が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、特別電動役物ソレノイド66により開放状態または閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、特別電動役物65は、後述する特図当否判定によって大当りが導出されたことに起因して設定される大当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って大入賞口55への入賞が許容される。このように、特別電動役物65が開放状態である場合には、大入賞口55への入賞が容易となるため、賞球を獲得できる機会が大幅に増大する大当り遊技は、有利な遊技状態であると言える。
大当り遊技では、特別電動役物65の開放状態と閉鎖状態が交互に設定され、1回の開放状態(「ラウンド」と称する場合があり、1回の大当りで発生するラウンドの総数を「ラウンド数」と称する場合がある)は、あらかじめ定められた数(本実施形態では、10)の遊技球が大入賞口55に入賞したことに基づいて終了し、特別電動役物65が閉鎖状態となる。
なお、1回の開放状態は、あらかじめ定められた数の遊技球が大入賞口55に入賞するのに十分な時間(本実施形態では、30s(秒))が経過したことに基づいても終了する。
ここで、1回のラウンドにおいて、10球の遊技球が入賞したことに基づいて特別電動役物65が開放状態から閉鎖状態に設定される場合に、すぐに閉鎖状態となることはできない。そのため、1回のラウンドにおいて、10球を超える遊技球が大入賞口55に入賞する場合が発生し、当該入賞をオーバー入賞と称する場合がある。
【0041】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部に配置されている。第1始動口57には第1始動口センサ70が付設されており、第1始動口センサ70の検知結果によって第1始動口57への入賞が判定されて、第1始動口57に対応づけられた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。第1始動口57に係る入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図1の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第2流路Yから転動した場合に比べて、第1流路Xから転動した場合に多くの遊技球が第1始動口57に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0042】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下部に配置されている。第2始動口59には第2始動口センサ71が付設されており、第2始動口センサ71の検知結果によって第2始動口59への入賞が判定されて、第2始動口59に対応づけられた数(本実施形態では、1)の賞球が付与される。
第2始動口59に係る入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図2の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第1流路Xから転動した場合に比べて、第2流路Yから転動した場合に多くの遊技球が第2始動口59に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0043】
第2始動口59に繋がる流路には普通電動役物61が配設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、普通電動役物ソレノイド62により開放状態または閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、普通電動役物61は、普図の図柄変動で当選して行われる普図当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って第2始動口59への入賞が許容される。このように、普通電動役物61が開放状態である場合には、第2始動口59への入賞が容易となるため、賞球により遊技球の減少を抑えつつ、特
図2の図柄変動が実行される機会を大幅に増大し得る。
【0044】
ゲート63は、遊技領域50aの右中央部に配置されている。ゲート63には、ゲートセンサ74が付設されており、ゲートセンサ74の検知結果によってゲート63への入賞が判定される。ゲート63に係る入賞が判定された場合の少なくとも一部において、普図の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球がゲート63に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0045】
一般入賞口67は、遊技領域50aの左下部に配置されている。一般入賞口67には、一般入賞口センサ73が付設されており、一般入賞口センサ73の検知結果によって一般入賞口67への入賞が判定されて、一般入賞口67に対応づけられた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第2流路Yから転動する場合と比較して、第1流路Xから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されているが、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されるようにしてもよい。また、一般入賞口67を複数個設けるようにしてもよい。
【0046】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。遊技領域50aに打ち込まれ、上述の各入賞口に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0047】
なお、本実施形態では、上記入賞口およびアウト口に入球した遊技球(以下、「アウト球」と称する)を検出するためのアウト球センサ75(図示省略)を備えており、当該センサの検出結果を用いて計数されたアウト球数は、ベース値を導出するために用いられる。
ここで、ベース値とは、最も不利な状態(後述する、特図低確かつ普図低確)におけるセーフ球数(賞球数)÷アウト球数×100で導出される値であり、当該値は、後述する主制御基板モニタ97に表示される。
より具体的には、初回電源投入(RAM103のベース値に係る領域がクリアされた場合を含む)からアウト球数の60000区切りの区間でベース値を導出し、導出したベース値を次の区間に表示(例えば、アウト球数が60001〜120000の区間で導出したベース値を120001〜180000の区間で表示)する。そして、表示される値は、導出したベース値の整数部分(小数点第一位を四捨五入)である。
【0048】
遊技盤50の背面には、
図5に示すように、主制御基板100が格納された主制御基板ケース109、第1副制御基板200が格納された第1副制御基板ケース209、第2副制御基板300が格納された第2副制御基板ケース309、電源制御基板500が格納された電源制御基板ケース509、払出制御基板400が格納された払出制御基板ケース409、および設定基板41が装着され、第1副制御基板ケース209および第2副制御基板ケース309の背面に加え、主制御基板ケース109の背面の一部を覆う開閉カバー45が着脱自在に装着されている。
なお、各基板を覆う基板ケースおよびカバーは、透明性を有する部材によって構成されており、各ケースおよびカバーを通して対応する基板が視認可能となっている。
【0049】
主制御基板100には、設定値、ベース値、および遊技停止状態の種別(詳細は後述)を表示する主制御基板モニタ97が設けられ、当該モニタは、遊技盤50の背面から視認可能となっている。また、当該モニタの表示は、主制御基板100により制御される。
【0050】
ここで、設定値とは、後述する特図当否判定の有利度(大当りが導出される確率)に影響を与える値である。本実施形態における設定値は、設定値1、設定値2、設定値5、および設定値6の計4段階が設けられており、設定されている設定値(以下、「現在の設定値」と称する場合がある)の値が大きくなるに従って特図当否判定の有利度が高くなるように構成されており、設定値に応じた特図当否判定の詳細は、後述する。なお、以降の説明では、設定値1、設定値2を総称して低設定値と、設定値5、設定値6を総称して高設定値と称する場合がある。また、設定値の段階は、複数段階あれば、4段階に限らない。そして、本実施形態とは異なる数の段階となる場合における高設定値とは、上位半分の設定値(段階の数が奇数の場合には、真ん中の設定値を含む上位の設定値)を指す。
また、設定値は、後述する設定変更手段177による設定変更処理によって変更可能であり、現在の設定値は、後述する設定確認手段178による設定確認処理において確認可能であり、設定変更処理および設定確認処理の詳細は、後述する。
【0051】
また、本実施形態では、現在の設定値、ベース値、および遊技停止状態の種別を同一の表示装置(主制御基板モニタ97)で表示しているが、これらの一部または全部を別の表示装置に表示するようにしてもよい。
【0052】
電源制御基板500には、遊技島の電源設備から供給される一次電源を遊技機10に供給するために操作される電源スイッチ40が設けられている。
【0053】
設定基板41には、後述する復電時(電源投入時)の復帰状態を決定するための操作部として、設定キースイッチ42およびRAMクリアスイッチ43が設けられている。さらに、設定基板41には、設定キースイッチ42およびRAMクリアスイッチ43を覆う透明性を有する設定基板カバー44がヒンジ機構21と同一側にあるヒンジ機構(図示省略)により開閉可能に設けられている。
なお、設定基板カバー44は、設定キースイッチ42を操作するために用いられる設定キーが挿入されている状態では、閉鎖状態にならないように構成されている。
また、設定基板カバー44は、ヒンジ機構によって開閉可能に構成されているが、上下にスライドするスライド式のカバーであってもよい。
【0054】
このように、遊技島に設置された状態では、中枠17を開放状態としなければ、遊技盤50の背面側に設けられた各操作部(電源スイッチ40、設定キースイッチ42、RAMクリアスイッチ43)の操作が困難となる。
【0055】
また、遊技盤50の背面には、開閉カバー45の上部に、遊技島の球供給設備から供給される遊技球が貯留される遊技球タンク46が配置されている。遊技球タンク46は、さらに、タンクレール47および払出ユニット48を介して、上球受け皿27に繋がる払出通路49と接続されており、払出ユニット48によって払い出された球は、払出通路49を通って上球受け皿27に払い出される。
【0056】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一具体例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0057】
<演出遮蔽体83の動作について>
次に、
図6(a)〜
図6(c)を用いて、演出遮蔽体83の動作を説明する。
図6(a)〜
図6(c)は、演出遮蔽体83の可動位置を示す図である。
上述の通り、演出遮蔽体83は、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dで構成されており、
図6(a)には、演出遮蔽体83が初期位置にある状態が示されている。なお、当該位置において、メイン表示部81の表示領域の略全体が視認可能となっている。また、当該状態は、後述する演出遮蔽体閉鎖演出において、当該演出に失敗した場合に発生する状態でもある。
図6(b)には、演出遮蔽体83によってメイン表示部81の一部(全体の30%程度)が遮蔽されている状態が示されている。なお、当該状態は、演出遮蔽体閉鎖演出において、当該演出に成功するか否かが報知される直前に、当該演出に成功する場合と当該演出に失敗する場合の双方で発生する状態である。
図6(c)には、演出遮蔽体83によってメイン表示部81の全体が遮蔽されている状態が示されている。なお、当該状態は、演出遮蔽体閉鎖演出において、当該演出に成功した場合に発生する状態である。
このように、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dは、メイン表示部81の平面方向で互いに連動して動作する。
【0058】
また、
図6(c)に示す通り、左上演出遮蔽体83aは、前面側(メイン表示部81側を背面側と定義した場合の前面側)の表面に「天」という文字を模した凸部を有し、右上演出遮蔽体83bは、前面側の表面に「下」という文字を模した凸部を有し、左下演出遮蔽体83cは、前面側の表面に「無」という文字を模した凸部を有し、右下演出遮蔽体83dは、前面側の表面に「双」という文字を模した凸部を有し、各演出遮蔽体は、背面(メイン表示部81側)からの光を透過させないように構成されている。
さらに、右下演出遮蔽体83dが有する凸部には、設定示唆ランプ84が配設されており、当該ランプは、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽した場合に全体が視認可能となるフルカラーLEDである。なお、詳細は後述するが、この設定示唆ランプ84は、演出遮蔽体がメイン表示部81の全体を遮蔽した際に、現在の設定値に基づいて決定された色に点灯する。
【0059】
<遊技機10の制御構成について>
次に、
図7を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える制御構成を説明する。
図7は、遊技機10が備える制御構成を示すブロック図である。なお、
図7に示す制御構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図7で図示しない制御構成を備えていてもよい。
【0060】
主制御基板100は、遊技に関する各種の演算処理を行うCPU101と、制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータを記憶したROM102と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM103と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート104と、CPU101によるプログラム処理とは別系統で動作して乱数(ハード乱数)を生成する乱数回路105と、を備えており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
【0061】
CPU101は、ROM102に格納された各種の制御プログラムを読み出して演算処理を行うことで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。
RAM103は、後述するバックアップ電源回路において生成されるバックアップ電源によってバックアップがなされる。具体的には、RAM103に格納される情報のうち、電断が生じた後の復電時にそのデータを用いて電断直前の状態で遊技機10が復帰できるような各種情報がバックアップされるように構成されている。例えば、電断が生じた際に保持されていたスタックポインタや各レジスタ等のデータに加え、そのときの遊技機10の状態(遊技停止状態、設定変更状態、設定確認状態、または遊技可能状態)、設定中の設定値、現在の特図抽選状態、現在の普図抽選状態などといった遊技に係る情報がバックアップ対象とされる。
【0062】
本実施形態では、少なくとも、そのような遊技に係る情報が格納される領域(RAM103の遊技に係る領域と表記される場合がある)に加えて、ベース値が格納される領域(RAM103のベース値に係る領域)と、RAM103の遊技に係る領域に関するチェックサムの補数およびバックアップフラグが格納される領域(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域と表記される場合がある)と、RAM103のベース値に係る領域に関するチェックサムの補数およびバックアップフラグが格納される領域(RAM103のベース値に係るバックアップ情報領域と表記される場合がある)とがバックアップされる。そして、遊技機10は、復電時に、そのバックアップされた、RAM103の遊技に係る領域と、RAM103のベース値に係る領域と、RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域と、RAM103のベース値に係るバックアップ情報領域とに格納される各種情報を用いて復帰する。
なお、本実施形態におけるバックアップの具体的手法については何ら制限されない。例えば、RAM103のうちバックアップ対象とされる領域は、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能な構成で実現されてもよい。他の例としては、RAM103の中でも、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能に構成される第一メモリと、遊技機10が動作時に参照される第二メモリとで異なるハードウェアが設けられていてもよく、その場合には、遊技機10は、電断時に第二メモリから第一メモリにバックアップ対象となる情報を退避し、その退避された情報を復電時に第一メモリから第二メモリへリカバリすればよい。
【0063】
また、主制御基板100は、第1始動口センサ70、第2始動口センサ71、大入賞口センサ72、一般入賞口センサ73、ゲートセンサ74、アウト球センサ75、中枠開扉センサ76等と電気的に接続されており、I/Oポート104を介して、これらのセンサからの検出信号をCPU101に入力可能に構成されている。
【0064】
また、主制御基板100は、第1特別図柄表示装置91、第2特別図柄表示装置92、普通図柄表示装置93、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96、主制御基板モニタ97、普通電動役物ソレノイド62および特別電動役物ソレノイド66に電気的に接続されており、I/Oポート104を介してこれらを制御可能に構成されている。
同様に、主制御基板100は、メイン操作部39に電気的に接続されており、メイン操作部39の操作を検知可能に構成されている。さらに、主制御基板100は、設定基板41と電気的に接続されており、設定キースイッチ42、およびRAMクリアスイッチ43の操作を検知可能に構成されている。
【0065】
主制御基板100と第1副制御基板200との間は、8本のパラレル信号線および1本のストローブ線で接続されており、主制御基板100から第1副制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能に接続され、主制御基板100から第1副制御基板200へ各種の演出制御コマンドが送信される。
なお、第1副制御基板200から主制御基板100へデータを送信することはできず、また、第1副制御基板200は、主制御基板100に対してデータの送信を要求することはできないように構成されている。
また、本実施形態では、主制御基板100から第1副制御基板200へのデータ送信にパラレル伝送方式を採用しているが、シリアル伝送方式を採用してもよい。
【0066】
第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を行うCPU201、演出制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータを記憶したROM202、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート204と、を備え、これらが内部バスを介して相互に接続され、CPU201がROM202に記憶された制御プログラムに従って遊技演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
【0067】
第1副制御基板200は、演出ボタン37およびカーソルボタン38に電気的に接続されており、当該操作部の操作を検知可能に構成されている。
特に、演出ボタン37は、演出ボタン37への操作を検知するための演出ボタンセンサ37aと、演出ボタン37を振動させるための偏心モータである振動アクチュエータ37bと、で構成されており、振動アクチュエータ37bは、第1副制御基板200によって制御される。なお、振動アクチュエータ37bによって実現される振動には、弱振動と、弱振動よりも偏心モータの回転数を上げることで実現される強振動と、がある。
【0068】
よって、遊技機10は、触覚を通して知覚可能な刺激を遊技者に与えることが可能な第一の演出手段(演出ボタン37)と、第一の演出手段を制御する第一の演出制御手段(第1副制御基板200)と、を備えていると換言できる。
【0069】
また、第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づく演出制御処理にて、第2副制御基板300へ画像および音響を指示する画像制御コマンド、演出ランプ35等の各種ランプの点灯を制御するためのランプ制御データ、可動装飾体22およびサブ表示部82等の可動体の可動を制御するための可動制御データ等を生成する。
ここで、第1副制御基板200は、第2副制御基板300と双方向通信が可能に接続されており、画像および音響に関する画像制御コマンドが第1副制御基板200から第2副制御基板300へ送信される一方、その応答として、当該制御コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(ACKコマンド)が第2副制御基板300から第1副制御基板200へ送信される。
【0070】
また、第1副制御基板200は、演出ランプ35および設定示唆ランプ84と電気接続されており、I/Oポート204を介して、ランプ制御データを送信する。そして、演出ランプ35は、第1副制御基板200から送信されるランプ制御データによって点灯が制御されるように構成されている。
【0071】
また、第1副制御基板200は、上述した振動アクチュエータ37bに加え、可動装飾体22、サブ表示部82、および演出遮蔽体83と電気接続されており、I/Oポート204を介して、可動制御データを送信する。
そして、振動アクチュエータ37b、可動装飾体22、サブ表示部82、および演出遮蔽体83は、第1副制御基板200から送信される可動制御データによって可動が制御されるように構成されている。
【0072】
第2副制御基板300は、第1副制御基板200からの画像制御コマンドに基づき画像演出に関する各種の演算処理を行うCPU301と、画像制御プログラムや各種データ等を記憶したROM302と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM303と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート304とを備えており、CPU301がROM302に記憶された制御プログラムに従って画像演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
その他、第2副制御基板300には、図示省略するが、CPU301から受信した制御信号に基づき、後述する演出内容決定手段225によって決定された演出の内容に沿った画像データを生成するVDPと、CPU301から受信した制御信号に基づき当該演出の内容に沿った音響データを生成する音源ICとを搭載している。VDPは、いわゆる画像プロセッサであり、CPU301からの指示に応じて画像ROMに記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した画像データを演出表示装置80へ送信する。このVDPには、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAMが接続されている。音源ICは、CPU301からの指示に応じて音声ROMに記憶された音響データを読み込み、読み込んだ音響データを合成処理して生成した最終的な音響データを増幅器を介してスピーカ33に出力する。
【0073】
払出制御基板400は、CPU、ROM、およびRAM(いずれも図示省略)を主体として構成されている。
また、払出制御基板400は、主制御基板100と双方向通信可能に接続されており、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて払出ユニット48を駆動させて遊技球を払い出すための制御を実行するとともに、操作ハンドル31の操作量に基づき球送り機構と発射機構とを同期的に駆動させて遊技球の発射を制御する。
【0074】
電源制御基板500は、遊技島の電源設備から供給される一次電源を基に、上述の制御基板等の電子部品や電気部品に供給する通常電源を生成する通常電源回路、バックアップ電源を生成するバックアップ電源回路、および電断(通常電源による供給電圧が所定の電圧低下となること)を検出する電断検出回路(いずれも図示省略)で構成されている。
また、電源制御基板500には、電源スイッチ40が接続されており、遊技島の電源設備から1次電源が供給されていることを前提として、電源スイッチ40がONになると、電源制御基板500の通常電源回路で通常電源が生成され、上述の制御基板(主制御基板100、第1副制御基板200、第2副制御基板300、および払出制御基板400)を含む電子部品や電気部品に電源が供給される。
また、電源制御基板500は、電断検出回路によって電断が検出された場合には、電断信号(NMI信号)を主制御基板100、第1副制御基板200、払出制御基板400のそれぞれに送信する。
また、バックアップ電源回路は、遊技島の電源設備から遊技機10に電源が供給されているときに充電される仕組みとなっている。
なお、バックアップ電源回路を払出制御基板400上に設けるようにしてもよく、電断検出回路を電源制御基板500に設けず、主制御基板100、第1副制御基板200、および払出制御基板400のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0075】
<遊技機10の機能構成について>
次に、
図8を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える機能構成を説明する。
図8は、遊技機10が備える機能構成を示すブロック図である。なお、
図8に示す機能構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図8で図示しない機能構成を備えていてもよい。また、機能構成を説明する際に、必要に応じて
図9〜
図12を参照することとする。
【0076】
主制御基板100は、
図8に示すように、入球判定手段110、メイン乱数発生手段115、メイン保留制御手段120、事前判定手段125、特図抽選手段130、普図抽選手段135、大当り遊技制御手段140、図柄表示制御手段145、電動役物制御手段150、遊技状態制御手段155、メイン情報記憶手段160、メインエラー制御手段165、メインコマンド管理手段170、復電処理実行手段175、および電断処理実行手段180を備えており、これらの手段は、
図7を用いて説明した主制御基板100上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
【0077】
なお、メイン情報記憶手段160は、主制御基板100が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。特に、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶されたデータ(演出制御コマンド)は、記憶された後にコマンド送信手段によって後述する第1副制御基板200のサブコマンド管理手段270に向けて送信される。
【0078】
入球判定手段110は、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に基づいて各入賞口への入賞を判定する。
【0079】
メイン乱数発生手段115は、乱数回路105によって更新範囲が異なる複数種類の乱数を生成可能であり、入賞口への入賞が判定されたタイミングで乱数回路105から当該入賞口に対応する一または複数の乱数を取得(ラッチ)する。
より具体的には、メイン乱数発生手段115は、第1始動口57または第2始動口59への入賞が判定された場合には、後述する、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、および特図変動パターン抽選用の乱数を取得する。ゲート63への入賞が判定された場合には、後述する普図当否判定用の乱数、普図図柄抽選用の乱数、および普図変動パターン抽選用の乱数をメイン情報記憶手段160の対応する格納領域に格納する。
なお、乱数回路105は、自身が更新している複数種類の乱数が正常に更新されているか否かを監視し、乱数が正常に更新されない更新異常が発生した場合には、乱数回路105が有する特定の記憶領域に当該異常が発生したことを示す情報が書き込まれる。そのため、CPU101は、乱数回路105の更新異常が発生したことを把握可能となっている。
【0080】
メイン保留制御手段120は、特図の図柄変動の保留、および普図の図柄変動の保留に関する制御を行う。特
図1に関しては、第1始動口57への入賞を契機として取得された、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、および特図変動パターン抽選用の乱数を、特
図1の作動保留情報として保留する(記憶させる)。
より具体的には、メイン保留制御手段120は、特
図1の作動保留情報が保留されるごとに1加算され、特
図1の作動保留情報が使用される(特図抽選手段130の抽選で用いられる)ごとに1減算される保留カウンタ(以下、「特
図1保留カウンタ」と称する)を備え、特
図1保留カウンタの値が上限値(本実施形態では、4)となるまで、当該作動保留情報をメイン情報記憶手段160の現在の特
図1保留カウンタに対応する格納領域に記憶させ、作動保留情報が使用されるごとに、使用された作動保留情報をクリアし、残りの作動保留情報を、特
図1保留カウンタの小さいものから順に、現在の格納領域から現在の特
図1保留カウンタよりも1少ない特
図1保留カウンタに対応する格納領域に移動(シフト)させる制御を行う。
また、メイン保留制御手段120は、特
図2および普図に関しても、特
図1とは別に上述の制御と同様の制御を行い、特
図2の保留カウンタを特
図2保留カウンタと称する。
また、以降の説明では、「作動保留情報の保留」を「図柄変動の保留」と表現する場合がある。
また、メイン保留制御手段120は、特
図1または特
図2の作動保留情報(保留カウンタ)を更新(加算または減算)した際に、特
図1保留カウンタおよび特
図2保留カウンタを含む演出制御コマンド(保留コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、本実施形態では、特
図1に対応する作動保留情報および特
図2に対応する作動保留情報の双方が保留されている場合には、特
図2に対応する作動保留情報が優先的に使用される優先変動が行われる。
【0081】
事前判定手段125は、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合の少なくとも一部で、当該作動保留情報を対象とした先読み演出のための事前判定を実行する。
より具体的には、事前判定手段125は、今回保留した作動保留情報の各乱数を読み出し、後述する、特図当否判定、特図停止図柄抽選、および特図変動パターン抽選のそれぞれに対する事前判定を実行する。各事前判定では、各事前判定に対応する抽選に用いられる抽選テーブルと同一または同等の抽選テーブル(図示省略)が用いられる。そのため、これらの事前判定の結果は、後に実行される抽選の結果と同一の結果となる。
また、事前判定手段125は、導出された事前判定の結果を含む演出制御コマンド(事前判定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、上述の通り、事前判定コマンドは、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合の少なくとも一部で送信される(生成され、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶される)ものであるため、上述の保留コマンドに続いて送信されることとなる。ここで、所定の事前判定のタイミングとは、大当り遊技中ではないことを指し、さらに、本実施形態では、後述する普図高確中に特
図1の作動保留情報が保留された場合には、事前判定が規制されるため、当該事前判定に対応する事前判定コマンドの送信も規制される。
【0082】
特図抽選手段130は、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、および特図変動パターン導出手段133を備え、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、特図変動パターン導出手段133の順に各手段による処理を実行する。特図抽選手段130は、特図の変動開始条件が充足された際に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出す。
なお、「特図の変動開始条件が充足される」とは、その一例として、大当り中ではないこと、特
図1および特
図2のいずれも図柄変動中でないこと、特
図1および特
図2のうちの少なくともいずれか一方に作動保留情報が存在することのすべての条件が充足されたことである。
【0083】
ここで、
図9(a)〜
図9(c)、
図10(a)、および
図10(b)は、主制御基板100で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図であり、以下の説明において必要に応じて参照する。
なお、これらの抽選テーブル以外も含め、抽選テーブルを用いた抽選では、読み出した乱数に対して抽選テーブルに記憶された抽選値をあらかじめ定められた順序に従って順次加算(対象となる抽選値が一つである場合には、加算回数は一回)され、キャリー(桁あふれ)が発生した抽選値に対応する結果が当該抽選の結果として導出される。同様に、抽選テーブルに関する説明では、説明の便宜上、抽選テーブルに名前を付しているが、名前に対応する抽選テーブルに含まれる抽選値等のデータが各ROMに識別可能に記憶されていればよく、これらの名前は、当該データが記憶される領域を特定するものではない。図示される抽選テーブルには、説明の便宜上記載された項目や、抽選値として「−」が記載されている場合があるが、これらは必ずしも各ROMに記憶されたデータを示すものではない。そして、抽選値として「−」が記載された結果は当選することはない。さらに、抽選に使用される乱数範囲(当該範囲で取得され得る乱数の数)と同一の抽選値が抽選テーブルに記載されている場合には、当該結果が100%導出されるため、必ずしも抽選を行う必要はない。また、一回の抽選に用いられる抽選値の合計値が、抽選に使用される乱数範囲と一致した場合には、最後の抽選値の加算で必ずキャリーが発生するため、当該加算を行わなくてよく、その場合には、当該加算に用いられる抽選値自体も不要となる。
【0084】
特図当否判定手段131は、図柄変動ごとに、特図当否判定用の乱数を読み出し、読み出した乱数と現在の設定値に対応する特図当否判定用の抽選テーブルを用いて大当り、ハズレのいずれに当選するかを抽選によって判定する特図当否判定を実行する。
図9(a)は、特図当否判定用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選テーブルは、特
図1および特
図2で共通して用いられる。当該判定で用いられる乱数の範囲は、0〜65535であるため、特図抽選状態が低確率の場合(以下、「特図低確」と略称する場合がある)において、現在の設定値が設定値1である場合には205/65536(約1/319.6)、現在の設定値が設定値2である場合には210/65536(約1/312.0)、現在の設定値が設定値5である場合には225/65536(約1/291.2)、現在の設定値が設定値6である場合には230/65536(約1/284.9)の確率で大当りが導出される。
同様に、特図抽選状態が高確率の場合(以下、「特図高確」と略称する場合がある)において、現在の設定値が設定値1である場合には445/65536(約1/147.2)、現在の設定値が設定値2である場合には455/65536(約1/144.0)、現在の設定値が設定値5である場合には488/65536(約1/134.2)、現在の設定値が設定値6である場合には499/65536(約1/131.3)の確率で大当りが導出される。
このように、本実施形態では、特図低確および特図高確のそれぞれにおいて、大当りが導出される確率は設定値ごとに異なり、いずれの設定値においても、特図低確において大当りが導出される確率の分子を1とした場合の分母の値が、特図高確において大当りが導出される確率の分子を1とした場合の分母の値よりも大きくなっている。そのため、特図高確は、特図低確よりも大当りが導出される確率が高く、特図低確よりも有利度が高い状態であると言える。なお、これらの確率は、設定値の変更有無(後述する設定変更フラグの状態)によって変化しない。
また、本実施形態では、特図低確の大当りが導出される確率の分母(分子を1とした場合)と、特図高確で大当りが導出される確率の分母(分子を1とした場合)の比率が、設定される設定値に関わらず一定(本実施形態では、1:約2.2)となるように抽選値が設定されており、当該比率が一定とは、大当り確率の分母(分子を1とした場合)の整数部分(小数点以下は、切り捨て、切り上げ、および四捨五入のいずれか)の比率が一定となることを指す。すなわち、前者の確率の分母と、後者の確率の分母の比率が、設定される設定値に関わらず略一定となるように抽選値が設定されていればよい。
【0085】
また、上述の遊技盤50の説明では省略したが、遊技盤50の前面には、特図低確における大当り確率および特図高確における大当り確率の設定値ごとの設計値(いずれも分子を1とした場合の確率であることが好ましい)が、前枠20が閉鎖している状態で前面側から視認可能な位置に記載されている。そのため、遊技者は、これらの確率の設計値を認識することができる。
なお、これらの確率は、設定値ごとの大当り確率をすべて記載する必要はなく、例えば、特図低確における大当り確率を「1/284.9〜1/319.6」や、特図高確における大当り確率を「1/147.2〜1/131.3」のように、設定値2および設定値5の大当り確率を記載しないようにしてもよい。すなわち、最も高い確率と最も低い確率のみを記載するようにしてもよい。このようにすることで、確率の記載スペースを有効利用することができる。
特に、特図高確における大当り確率を記載せずに特図低確における大当り確率(特図低確における大当り確率のみ)を記載するようにしてもよく、この場合には、設定値ごとの特図低確における大当り確率をすべて記載してもよいし、一部(最も高い確率と最も低い確率)を記載するようにしてもよい。いずれの場合であっても、特図高確における大当り確率よりも遊技者が関心を持つ特図低確における大当り確率を記載しつつも、特図高確に確率の記載スペースをより有効利用することができる。また、これらの確率の記載は、メイン表示部81の表示に置き換えてもよい。
【0086】
特図停止図柄抽選手段132は、特図当否判定の結果が大当りとなった場合に、特図停止図柄抽選用の乱数を読み出し、読み出した乱数と特図停止図柄抽選用の抽選テーブルを用いて特図の停止図柄を抽選によって決定する。
図9(b)は、特
図1停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜99である。そのため、特
図1で大当りが導出された場合には、50/100(1/2)の確率で図柄A、40/100(1/2.5)の確率で図柄B、10/100(1/10)の確率で図柄Cが停止図柄として決定され、これらの確率は設定値に依存しない。
ここで、図柄Aは、ラウンド数が8であり、大当り遊技終了後に特図低確かつ後述する普図高確となる図柄(以下、「通常図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「通常大当り」と称する場合がある)である。一方、図柄Bは、ラウンド数が9であり、大当り遊技終了後に特図高確かつ普図高確となる図柄(以下、「確変図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「確変大当り」と称する場合がある)である。さらに、図柄Cは、ラウンド数が16であり、大当り遊技終了後に特図高確かつ普図高確となる確変図柄である。よって、図柄Cは、ラウンド数において図柄Bよりも有利な図柄であり、図柄Bおよび図柄Cは、ラウンド数およびその後の特図抽選状態の双方において図柄Aよりも有利な図柄であると言える。
図9(c)は、特
図2停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、特
図1停止図柄抽選と同様に、0〜99である。そのため、特
図2で大当りが導出された場合には、65/100(約1/1.53)の確率で図柄a、35/100(約1/2.85)の確率で図柄bが停止図柄として決定され、これらの確率も設定値に依存しない。
ここで、図柄aは、ラウンド数が16であり、大当り遊技終了後に特図高確かつ普図高確となる確変図柄であり、図柄bは、ラウンド数が4であり、大当り遊技終了後に特図低確かつ普図高確となる通常図柄である。よって、図柄aは、ラウンド数およびその後の特図抽選状態の双方において図柄bよりも有利な図柄であると言える。
このように、本実施形態では、特
図1および特
図2のいずれにおいても、各停止図柄が導出される確率は、設定される設定値に関わらず一定であり、特図停止図柄抽選の有利度は、設定される設定値によって変化しない。また、当該確率は、設定値の変更有無によっても変化しない。
なお、特図停止図柄抽選手段132は、特図当否判定の結果が大当りとならなかった場合には、特
図1のハズレ時は図柄D、特
図2のハズレ時は図柄cを停止図柄として一律に決定する
また、本実施形態は、特
図1による大当り遊技終了後の特図高確となる割合(50/100)と、特
図2による大当り遊技終了後の特図高確となる割合(65/100)とが異なっている(特
図1の図柄変動よりも特
図2の図柄変動が有利になっている)。詳細は省略するが、この違いは、大当り遊技中に遊技球が大入賞口55内に設けられたV入賞領域を通過した場合(V入賞領域に設けられたセンサが遊技球を検知した場合)に大当り遊技終了後に特図高確とする機能を備え、V入賞領域の通過が容易となるラウンド(本実施形態では、9ラウンド目)を設けるか否かを特図の停止図柄によって変えることで実現している。
【0087】
特図変動パターン導出手段133は、特図変動パターンを決定する際に参照する特図変動パターン抽選テーブルを複数種類備え、現在の特図変動パターン導出状態と今回の特図当否判定の結果とに基づいて、今回の特図変動パターンを決定するための一つの特図変動パターン抽選テーブルを選択し、選択した特図変動パターン抽選テーブルと特図変動パターン抽選用の乱数とを用いて一つの特図変動パターンを決定し、決定した特図変動パターンに基づいて変動時間を決定する。
なお、遷移条件等の詳細は後述するが、本実施形態における特図変動パターン導出状態には、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PB、および特図変動パターン導出状態PCが存在する。そして、上述の特図変動パターンの決定方法は、特図変動パターン導出状態PAでは特
図1の図柄変動で採用され、特図変動パターン導出状態PBおよび特図変動パターン導出状態PCでは特
図2の図柄変動で採用され、各特図変動パターン導出状態における他方の特図の図柄変動は、特図当否判定の結果に応じてあらかじめ定められた一の特図変動パターンが決定される。
【0088】
図10(a)は、特図変動パターン導出状態PA時の特図変動パターン導出用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999である。そのため、特図変動パターン導出状態PA時に特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、900/1000(約1/1.11)の確率で特図変動パターンHNP、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHRP、10/1000(1/100)の確率でHSP1−A、8/1000(1/125)の確率でHSP1−B、6/1000(約1/167)の確率でHSP1−C、7/1000(約1/143)の確率でHSP2−A、5/1000(1/200)の確率でHSP2−B、4/1000(1/250)の確率でHSP2−C、5/1000(1/200)の確率でHSP3−A、3/1000(約1/333)の確率でHSP3−B、2/1000(1/500)の確率でHSP3−Cが決定され、これらの確率は、現在の設定値や設定値の変更有無に依存しない。なお、当該場合には、特図変動パターンASP1−A〜特図変動パターンASP3−Cが決定されることはない。また、詳細は
図10(b)を用いて後述するが、特図変動パターンHNPが決定された場合には、図柄変動開始時の特
図1保留カウンタの値を用いて特図変動パターンがさらに特定される。
特図変動パターン導出状態PA時に特図当否判定の結果が大当りとなった場合には、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンASP1−A、70/1000(約1/14.3)の確率で特図変動パターンASP1−B、80/1000(1/12.5)の確率で特図変動パターンASP1−C、70/1000(約1/14.3)の確率で特図変動パターンASP2−A、100/1000(1/10)の確率で特図変動パターンASP2−B、130/1000(約1/7.69)の確率で特図変動パターンASP2−C、130/1000(約1/7.69)の確率で特図変動パターンASP3−A、170/1000(約1/5.88)の確率で特図変動パターンASP3−B、200/1000(1/5)の確率で特図変動パターンASP3−Cが決定され、これらの確率も、現在の設定値や設定値の変更有無に依存しない。なお、当該場合には、特図変動パターンHNP〜特図変動パターンHSP3−Cが決定されることはない。
また、本実施形態の特図変動パターンに係る説明において、2つの特図変動パターンを、「〜」を挟んで記載した場合、
図10(a)に記載した順序に従って、手前に記載された特図変動パターンと、後に記載された特図変動パターンとの間に存在する特図変動パターンの記載を省略したものとする。
また、図示は省略するが、特図変動パターン導出状態PBおよび特図変動パターン導出状態PCにおいても、特図変動パターン導出状態PA時と同様に、特図当否判定の結果に応じて特図変動パターンを抽選する。
【0089】
図10(b)は、特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン導出用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、上述の通り、当該抽選では、特
図1保留カウンタの値を用いて特図変動パターンがさらに特定される。
まず、
図10(b)に示す通り、特図変動パターンHNPには、変動時間が3200ms(ミリ秒)の特図変動パターンHNP−A、変動時間が5600msの特図変動パターンHNP−B、変動時間が8000msの特図変動パターンHNP−C、変動時間が11200msの特図変動パターンHNP−D、変動時間が20000msの特図変動パターンHNP−Eがあり、この順に変動時間が長い。
そして、この抽選で用いられる乱数(
図10(a)で示した抽選テーブルに係る抽選で用いられる乱数とは異なる)の範囲は0〜999である。そのため、特
図1保留カウンタ=3(保3)である場合には、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP−Aが決定される一方、特図変動パターンHNP−B〜特図変動パターンHNP−Eは決定されず、この確率は現在の設定値や設定値の変更有無に依存しない。同様に、特
図1保留カウンタ=2(保2)である場合には、150/1000(約1/6.67)の確率で特図変動パターンHNP−Aが、800/1000(1/1.25)の確率で特図変動パターンHNP−Bが、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHNP−E決定される一方、特図変動パターンHNP−Dおよび特図変動パターンHNP−Dは決定されず、特
図1保留カウンタ=1(保1)である場合には、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHNP−Aが、150/1000(約1/6.67)の確率で特図変動パターンHNP−Bが、700/1000(約1/1.43)の確率で特図変動パターンHNP−Cが、100/1000(1/10)の確率で特図変動パターンHNP−E決定される一方、特図変動パターンHNP−Dは決定されず、特
図1保留カウンタ=0(保0)である場合には、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHNP−Bが、100/1000(1/10)の確率で特図変動パターンHNP−Cが、700/1000(約1/1.43)の確率で特図変動パターンHNP−Dが、150/1000(約1/6.67)の確率で特図変動パターンHNP−E決定される一方、特図変動パターンHNP−Aは決定されず、これらの確率も現在の設定値や設定値の変更有無に依存しない。
このように、特図変動パターンHNPが決定された場合には、特
図1保留カウンタの値によって決定され易い特図変動パターン(変動時間)が異なる。より具体的には、特
図1保留カウンタの値が小さくなるほど長い図柄変動が決定され易くなる(特
図1保留カウンタの値が大きくなるほど短い変動時間が決定され易くなる)。特に、特
図1保留カウンタ=3である場合には、特図変動パターンHNP−Eが決定されない一方、特
図1保留カウンタ=3以外の場合には、特図変動パターンHNP−Eが決定され、特
図1保留カウンタ=2〜特図保留カウンタ=0の場合には、当該カウンタの値が小さくなるほど、特図変動パターンHNP−Eが決定され易くなっている。
なお、このような特図変動パターン(以下、「基本特図変動パターン」と称する場合がる)は、特図変動パターン導出状態PBや特図変動パターン導出状態PCにおいても存在し、これらの特図変動パターン導出状態に対応する基本特図変動パターンの種類やそれぞれの長さは異なるが、その傾向(保留カウンタ(特図変動パターン導出状態PBと特図変動パターン導出状態PCでは、特
図2保留カウンタの値)の値と決定され易い特図変動パターン(変動時間)の関係性)は特図変動パターン導出状態PAと同様である。
【0090】
また、本実施形態では、上述の特図停止図柄抽選と同様に、特図変動パターン導出状態および特図当否判定の結果が同一であれば、各特図変動パターンが導出される確率は、設定される設定値によらない。
また、特図変動パターン導出手段133は、図柄変動の開始時に、特図当否判定の結果、決定された特図の停止図柄、および決定された特図変動パターンを含む演出制御コマンド(変動開始コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0091】
普図抽選手段135は、特図抽選手段130と同様に、普図の図柄変動中でない場合に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出し、読み出した乱数を用いて、普図の当否を判定する普図当否判定を実行し、当該普図当否判定によって普通電動役物61が開放状態に制御されることとなる普図当りに当選した場合に普図の停止図柄を抽選により決定する普図停止図柄抽選、および普図の変動パターン(変動時間)を抽選により決定する普図変動パターン抽選を実行する。
より具体的には、普図当否判定では、普図抽選状態が高確率の状態(「普図高確」と略称する場合がある)と、普図抽選状態が低確率の状態(「普図低確」と略称する場合がある)とがあり、抽選テーブルの図示は省略するが、本実施形態では、普図高確では、65535/65536の確率(すべての設定値で同一)で普図当りとなり、残りの1/65536の確率でハズレとなる一方、普図低確では、1/65536の確率(すべての設定値で同一)で普図当りとなり、残りの65535/65536の確率でハズレとなる。なお、普図低確では、普図当りとならない(65536/65536でハズレとなる)ようにしてもよい。
【0092】
普図停止図柄抽選では、特図停止図柄抽選と同様に、普通電動役物61の開放状態となるパターンが異なる複数種類の停止図柄から、普図停止図柄抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選(すべての設定値で共通)によって一つの停止図柄が決定される。なお、普図当否判定でハズレとなった場合には、特
図1、特
図2と同様に、停止図柄が一律に決定される。
【0093】
また、普図変動パターン抽選では、特図変動パターン抽選と同様に、複数種類の普図変動パターンから、普図変動パターン抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選(すべての設定値で共通)によって一つの普図変動パターンが決定される。
【0094】
このように、普図高確は、普図低確よりも普図当りが導出される確率が高く、普図低確よりも有利度が高い状態であると言える。
また、本実施形態では、普図に関する抽選(普図当否判定、普図停止図柄抽選、および普図変動パターン抽選)のいずれにおいても各抽選結果が導出される確率は、設定値に関わらず一定であり、普図に関する抽選の有利度は、設定される設定値によって変化しない。
【0095】
なお、本実施形態は、上述の通り、設定される設定値に基づいて特図当否判定で大当りに当選する確率が定まり、設定される設定値が大きくなるほど特図当否判定で大当りに当選する確率が高くなることで、設定される設定値が大きくなるほど有利度が高くなるように構成されているが、特図当否判定に加え、特図停止図柄抽選、普図当否判定、および普図停止図柄抽選のうちの少なくとも一つの抽選(または判定)において有利な結果が導出される確率に設定差を設けるようにしてもよい。また、特図当否判定を含まず、特図停止図柄抽選、普図当否判定、および普図停止図柄抽選のうちの少なくとも一つの抽選(または判定)において有利な結果が導出される確率に設定差を設けることで、設定される設定値が大きくなるほど有利度が高くなる(設定される設定値に応じて有利度が異なる)ようにしてもよい。すなわち、設定される設定値に応じて賞球の付与に関する有利度が異なるように構成されていればよい。
【0096】
大当り遊技制御手段140は、特図当否抽選の結果が大当りである場合、決定された大当り図柄に応じて、大当り開始デモに係るデモ時間、および大当り終了デモに係るデモ時間を決定する。
また、大当り遊技制御手段140は、大当り開始時には、大当り開始デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させ、大当り終了時には、大当り終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0097】
図柄表示制御手段145は、特
図1の特図変動パターンに基づく変動時間に従って、特
図1を第1特別図柄表示装置91に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図1を停止表示させる。同様に、第2特別図柄の特図変動パターンに基づく変動時間に従って、特
図2を第2特別図柄表示装置92に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図2を停止表示させる。
なお、図柄表示制御手段145は、特
図1および特
図2の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための特図遊技タイマを有し、特図を停止表示させる際に(特図遊技タイマの値が「0」となるタイミングで)、装飾図柄の確定停止(確定表示)を要求するための演出制御コマンド(変動停止コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
【0098】
また、図柄表示制御手段145は、普図の普図変動パターン(変動時間)に従って、普図を普通図柄表示装置93に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に普図を普図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で停止表示させる。
なお、図柄表示制御手段145は、普図の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための普図遊技タイマを有する。
【0099】
電動役物制御手段150は、特図当否抽選の結果が大当りとなった場合、特図の停止表示後に、特別電動役物ソレノイド66に制御信号を出力し、特別電動役物65を特図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。大当り遊技は、特別電動役物65の1回の開閉動作を1回のラウンド遊技とし、当該ラウンド遊技を規定ラウンド数(本例では、16R、9R、8R)だけ連続して実行する遊技状態である。
【0100】
また、電動役物制御手段150は、普図当否抽選に当選した場合、普通電動役物ソレノイド62に制御信号を出力して、普通電動役物61を普図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。
【0101】
遊技状態制御手段155は、特図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段155は、上述の通り、大当り遊技の開始時に、大当りに係る図柄に関わらず、特図低確とし、通常大当りに係る大当り遊技の終了時には、特図低確を維持し、確変大当りに係る大当り遊技の終了時には、特図高確とする。
【0102】
また、遊技状態制御手段155は、普図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段155は、大当り開始時に、大当りに係る図柄に関わらず、普図低確とし、通常大当りに係る大当り遊技の終了時には、100回の図柄変動が行われるまで普図高確とし(100回の図柄変動後には普図低確とする)、確変大当りに係る大当り終了時には、次回の大当り遊技の開始まで(例えば、大当りが導出されるのに十分な有限の回数(例えば、5000回)を設定する場合も含む)普図高確とする。
【0103】
また、遊技状態制御手段155は、上述の特図変動パターン導出状態を制御する。この特図変動パターン導出状態の遷移については、
図11(a)および
図11(b)を参照しながら説明する。なお、
図11(a)は、特図変動パターン導出状態の遷移を示す状態遷移図であり、
図11(b)は、特図変動パターン導出状態ごとの平均変動時間の関係を示す図である。
図11(a)に示す通り、特図変動パターン導出状態は、特図低確かつ普図低確に対応する特図変動パターン導出状態PA、特図高確かつ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態PB、および特図低確かつ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態PCで構成され、大当り遊技中を除いて特図抽選状態および普図抽選状態に応じた特図変動パターン導出状態が設定される。そして、特図変動パターン導出状態PA〜特図変動パターン導出状態PC間の遷移条件には、遷移条件(i)〜遷移条件(iii)がある。遷移条件(i)は確変大当りに係る大当り遊技の終了、遷移条件(ii)は通常大当りに係る大当り遊技の終了、遷移条件(iii)は100回目の図柄変動の終了となる。なお、特図変動パターン導出状態PCにおいて通常大当りに係る大当り遊技が開始された場合には、当該大当り遊技の終了後に再度特図変動パターン導出状態PCが設定される(遷移条件(iii)における図柄変動のカウントが0から開始される)こととなる。
【0104】
また、
図11(b)に示す通り、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PB、および特図変動パターン導出状態PCのそれぞれの平均変動時間(当該特図変動パターン導出状態において選択され得る特図変動パターンの変動時間に対して出現率(当該特図当否判定の結果が導出される確率に対して当該特図変動パターンの当選確率を掛け算することで導出される、任意の図柄変動において発生し得る確率)を掛け算することで導出される変動時間の総和)は、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PC、特図変動パターン導出状態PBの順に短くなる。これは、主に、各特図変動パターン導出状態において最も選択される割合が高い上述の基本特図変動パターンの変動時間の長さの差に起因する。
さらに、本実施形態では、特図変動パターン導出状態PAの平均変動時間と特図変動パターン導出状態PCの平均時間の差は、特図変動パターン導出状態PCの平均変動時間と特図変動パターン導出状態PBの差よりも大きい。
【0105】
また、遊技状態制御手段155は、特図抽選状態、普図抽選状態、および特図変動パターン導出状態の更新が発生した場合に、更新後の各状態を含む演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0106】
メイン情報記憶手段160は、上述の通り、各手段によって読み出されたデータや、各手段による演算等によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0107】
メインエラー制御手段165は、I/Oポート104の入力情報を監視し、遊技機10がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態であると判定された場合には、当該エラー状態を特定可能な情報を含む演出制御コマンド(エラーコマンド)をメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
【0108】
メインコマンド管理手段170は、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に演出制御コマンドが記憶されている場合に、当該演出制御コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する。
なお、各演出制御コマンドは、原則として、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0109】
復電処理実行手段175は、復帰状態設定手段176、設定変更手段177、設定確認手段178、および遊技可能状態移行手段179を備える。
【0110】
復帰状態設定手段176は、復電時の復帰状態当該RAM103に異常があるか否か、当該復電の直前の電断時の状態、復電時の設定キースイッチ42の態様と復電時のRAMクリアスイッチ43の態様の組合せ、および復電時の中枠開扉センサ76の状態に基づいて設定する復帰状態設定処理を実行する。当該処理によって設定される復帰状態には、遊技停止状態、設定変更状態、設定確認状態、および遊技可能状態(RAMクリア処理を伴う場合と、RAMクリア処理を伴わない場合とがある)があり、当該処理のフローは省略するが、上記復帰条件に対応する復電時の復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態の詳細は後述する。なお、RAMクリア処理が実行された場合には、特図低確および普図低確が設定されることとなる。
ここで、遊技停止状態とは、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に応じた処理を実行しない(当該センサの検知結果自体を見なくてもよい)ことで、遊技の進行が不可能となる復帰状態である。そして、遊技可能状態とは、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に応じた処理を実行することで、遊技の進行が可能となる復帰状態である。なお、設定変更状態および設定確認状態の詳細は後述する。
【0111】
また、RAM103に異常があるか否かとは、復帰状態設定処理の先頭で行われるRAM異常チェック(具体的には、対象となる領域に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグが記憶されているか否か(バックアップフラグがONであるか否か)を判定し、当該バックアップフラグが記憶されている場合(当該バックアップフラグがONである場合)には、対象となる領域と当該領域に係るバックアップ情報領域に記憶されている補数のチェックサムを導出し、当該演算結果が0である場合には、対象となる領域が正常であると判断し、それ以外は、対象となる領域が異常であると判断する処理)をRAM103の遊技に係る領域に対して実行して判断される。
なお、本実施形態におけるRAM異常チェックでは、ベース値に係る領域に対しても異常があるか否かが判断されるが、本実施形態における説明では、特段の説明がない限り、RAM103に異常があるとは、RAM103の遊技に係る領域に異常があることを指す。
また、復帰状態設定処理では、RAM103の遊技に係る領域に異常があり、かつRAM103のベース値に係る領域に異常がある場合に、RAM103のベース値に係る領域がクリアされるが、RAM103のベース値に係る領域に異常があれば(RAM103の遊技に係る領域に異常があるか否かに関わらず)、RAM103のベース値に係る領域をクリアするようにしてもよい。
【0112】
設定変更手段177は、設定変更状態が設定された場合に、設定値の変更を可能とする設定変更処理を実行する。なお、当該処理の詳細は、後述する。
【0113】
設定確認手段178は、設定確認状態が設定された場合に、設定値の確認を可能とする設定確認処理を実行する。なお、当該処理の詳細は、後述する。
【0114】
遊技可能状態移行手段179は、遊技可能状態が設定された場合に、遊技可能状態へ移行させる遊技可能状態移行処理を実行する。
具体的に説明すると、遊技可能状態移行処理では、セキュリティ信号の出力がONになっている場合には、セキュリティ信号の出力をOFFにする処理、ベース値を主制御基板モニタ97に表示させる処理(ベース値の表示態様については、後述)、およびデバイスの初期設定が実行される。
また、デバイスの初期設定では、払出制御基板400に遊技球の発射を許可するための発射許可コマンドの送信や、各入賞口への入球が有効となる状態の設定や、乱数回路105を起動させるためのデータの設定等の処理が実行される。
【0115】
電断処理実行手段180は、電源制御基板500からの電断信号を受信したことに基づいて電断処理を実行する。
具体的には、RAM103のうちの遊技に係る領域(ベース値に係る領域とは異なる領域)に対しては、当該領域のチェックサムを導出し、当該チェックサムの補数をRAM103の遊技に係るバックアップ情報領域に記憶させる処理、および当該領域に対する電断処理が実行されたことを示すバックアップフラグをONにする(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグを記憶させる)処理を実行する。また、RAM103のベース値に係る領域に対しても、RAM103のうちの遊技に係る領域と同様に、RAM103のベース値に係る領域のチェックサムを導出し、当該チェックサムの補数をRAM103のベース値に係るバックアップ情報領域に記憶させる処理、およびRAM103のベース値に係る領域に対する電断処理が実行されたことを示すバックアップフラグをONにする(RAM103のベース値に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグを記憶させる)処理を実行する。
【0116】
第1副制御基板200は、
図8に示すように、サブ乱数発生手段210、通常演出制御手段220、サブエラー制御手段230、ランプ制御手段240、可動役物制御手段250、サブ情報記憶手段260、およびサブコマンド管理手段270を備えており、これらの手段は、
図7を用いて説明した第1副制御基板200上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
サブ情報記憶手段260は、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。また、メインコマンド管理手段170から送信された演出制御コマンドは、サブコマンド管理手段270によってサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶される。なお、以降の説明では、メインコマンド管理手段170から送信された演出制御コマンドが、サブコマンド管理手段270によってサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶されることを、単に、演出制御コマンドの受信と表現する場合がある。
【0117】
サブ乱数発生手段210は、CPU201によってプログラム処理で更新される乱数(ソフトウェア乱数)を生成可能であり、通常演出制御手段220による各抽選(詳細は後述)が実行されるタイミングで乱数を取得する。
【0118】
通常演出制御手段220は、演出モード制御手段221、演出ルート決定手段222、サブ保留制御手段223、先読み演出制御手段224、演出内容決定手段225、装飾図柄制御手段226、および大当り演出制御手段227を備える。
【0119】
演出モード制御手段221は、遊技状態指定コマンドが送信された場合に、主制御基板100側で管理された特図変動パターン導出状態との整合性をとるかたちで、演出モードの遷移を制御する。
本実施形態における演出モードは、通常モード、低確時短モード、確変モードに大別され、特図変動パターン導出状態PAには通常モード、特図変動パターン導出状態PBには確変モード、特図変動パターン導出状態PCには低確時短モードが対応する。
【0120】
演出ルート決定手段222は、事前判定コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果(本実施形態では、特図変動パターン)に基づいて、今回保留された図柄変動に対応する演出ルートを決定(設定)する。なお、演出ルート決定手段222は、当該図柄変動に対応する特図変動パターンが上述の特図変動パターンHNPであった場合には、事前判定コマンドが送信された場合に演出ルートは決定せず、図柄変動の開始時に、変動開始コマンドに含まれる特図変動パターン(特図変動パターンHNP−A〜特図変動パターンHNP−E)に基づいて演出ルートを決定する。
ここで、演出ルートとは、図柄変動の開始から終了までの演出であって当該図柄変動における特図当否判定の結果を報知する演出の過程を規定するものであり、当該図柄変動で実行される演出の内容は、後述する演出内容決定手段225によって当該図柄変動に対応する演出ルートに従って決定されることとなる。
本実施形態では、
図10(a)および
図10(b)で示した特図変動パターンのそれぞれに対し、互いに異なる一の演出ルートが対応する。そして、これらの演出ルートは、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであること(大当りではないこと)を報知するハズレ演出ルートと、今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りであることを報知する大当り演出ルートに大別される。さらに、ハズレ演出ルートには、発展演出が実行されない非発展ハズレ演出ルートと、発展演出が実行される発展ハズレ演出ルートがある。ここで、発展演出とは、装飾図柄がリーチ状態(一つの図柄列を除いて装飾図柄が停止表示され、残りの図柄列が変動表示されている状態)となった以降に、変動表示されている残りの図柄列に、当該リーチ状態を構成する装飾図柄が停止するか否かを示唆する演出を指し、本実施形態では、互いに内容が異なる発展演出A〜発展演出Cの3種類が存在する。これらの発展演出は、大当り演出ルートにおいても実行される。以下、各特図変動パターンに対応する演出ルートの内容を説明する。
【0121】
ハズレ演出ルートに対応する発展演出A〜発展演出Cでは、各発展演出に対応する一連の演出が実行され、その終盤に、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽しない演出(演出遮蔽体83が、
図6(a)に示した状態から
図6(b)に示した状態となり、その後に
図6(a)に示した状態となる演出)が実行される。一方、大当り演出ルートに対応する発展演出A〜発展演出Cでは、ハズレ演出ルートに対応する発展演出と同様に、各発展演出に対応する一連の演出が実行され、その終盤に、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽する演出(演出遮蔽体83が、
図6(a)に示した状態から
図6(b)に示した状態となり、その後に
図6(c)に示した状態となる演出)が実行される。すなわち、発展演出A〜発展演出Cは、いずれも、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽するか否かで今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りであるか否かを報知する演出と言える。なお、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽しない演出と、演出遮蔽体83がメイン表示部81の全体を遮蔽する演出とを合わせて、演出遮蔽体閉鎖演出と称する。特に、前者の演出遮蔽体閉鎖演出を、演出遮蔽体閉鎖演出に失敗した場合の演出と、後者の演出遮蔽体閉鎖演出を、演出遮蔽体閉鎖演出に成功した場合の演出と表現する場合がある。
また、本実施形態では、一の特図変動パターンに対して一の演出ルートが対応する。そのため、以降の説明では、特図変動パターンに対する演出ルートを、単に、特図変動パターンで表現する場合がある。なお、複数の特図変動パターン間で同一の演出ルートが対応しなければ、一の特図変動パターンに対して複数の演出ルートを対応させてもよく、この場合には、複数の演出ルートから一の演出ルートを決定するようにすればよい。
【0122】
特図変動パターンHNP−A〜特図変動パターンHNP−Eおよび特図変動パターンHRPに対応する演出ルートには、上述の非発展ハズレ演出ルートが対応する。
具体的には、特図変動パターンHNP−A〜特図変動パターンHNP−Dには、装飾図柄がリーチ状態とならずに装飾図柄がバラケ目(すべての図柄列が停止され、各図柄列に同一の装飾図柄が停止されていない状態)で停止表示されることで、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであることを報知する演出ルートが対応する。
特図変動パターンHNP−Eおよび特図変動パターンHRPには、複数回の疑似変動を介さずに装飾図柄がリーチ状態となり、その後、後述する発展演出が実行されずに装飾図柄がバラケ目で停止表示されることで、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであることを報知する演出ルートが対応する。
特に、特図変動パターンHNP−Eは、上述の通り、特図変動パターンHNPが決定された場合に、特
図1保留カウンタの値によって決定される確率が変化する特図変動パターンである。そのため、特図変動パターンHNP−Eに係るリーチ状態は、特
図1保留カウンタの値によって決定される確率(発生する割合)が変化する。一方、特図変動パターンHRPを含むリーチ状態が発生する他の特図変動パターンは、特
図1保留カウンタの値によって決定される確率が変化しない。
ここで、疑似変動とは、発展演出が開始される前の期間において、一定のルールに基づいた装飾図柄の停止(例えば、「5図柄−7図柄−6図柄」のように、真ん中の図柄列に7図柄が停止した態様となる装飾図柄の停止)で区切られる期間を指す。ただし、このような疑似変動を区切るための装飾図柄は、リーチ状態が発生した後に停止される場合があってもよく、この場合には、一の図柄変動において複数回のリーチ状態が発生することとなる。なお、本実施形態における疑似変動の最大回数は3回であるが、これに限らず、2以上の回数であれば、いずれの回数を採用してもよい。
【0123】
特図変動パターンHSP1−A〜特図変動パターンHSP3−Cには、上述の発展ハズレ演出ルートが対応する。
具体的には、特図変動パターンHSP1−A〜特図変動パターンHSP1−Cには、複数回の疑似変動を介さずに(1回の疑似変動で)装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄がバラケ目で停止表示される演出ルートが対応する。ただし、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンHSP1−Aには、上述の発展演出Aが対応し、特図変動パターンHSP1−Bには、上述の発展演出Bが対応し、特図変動パターンHSP1−Cには、発展演出Cが対応する。
特図変動パターンHSP2−A〜特図変動パターンHSP2−Cには、2回の疑似変動を介して装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄がバラケ目で停止表示される演出ルートが対応する。ただし、特図変動パターンHSP1−A〜特図変動パターンHSP1−Cと同様に、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンHSP2−Aには発展演出Aが対応し、特図変動パターンHSP2−Bには発展演出Bが対応し、特図変動パターンHSP2−Cには発展演出Cが対応する。
特図変動パターンHSP3−A〜特図変動パターンHSP3−Cには、3回の疑似変動を介して装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄がバラケ目で停止表示される演出ルートが対応する。ただし、特図変動パターンHSP1−A〜特図変動パターンHSP1−Cと同様に、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンHSP3−Aには発展演出Aが対応し、特図変動パターンHSP3−Bには発展演出Bが対応し、特図変動パターンHSP3−Cには発展演出Cが対応する。
【0124】
特図変動パターンASP1−A〜特図変動パターンASP3−Cには、上述の大当り演出ルートが対応する。
具体的には、特図変動パターンASP1−A〜特図変動パターンASP1−Cには、複数回の疑似変動を介さずに(1回の疑似変動で)装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄が図柄揃い(すべての図柄列が停止され、各図柄列に同一の装飾図柄が停止された状態)で停止表示される演出ルートが対応する。ただし、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンASP1−Aには、上述の発展演出Aが対応し、特図変動パターンASP1−Bには、上述の発展演出Bが対応し、特図変動パターンASP1−Cには、発展演出Cが対応する。
特図変動パターンASP2−A〜特図変動パターンASP2−Cには、2回の疑似変動を介して装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄が図柄揃いで停止表示される演出ルートが対応する。ただし、特図変動パターンASP1−A〜特図変動パターンASP1−Cと同様に、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンASP2−Aには発展演出Aが対応し、特図変動パターンASP2−Bには発展演出Bが対応し、特図変動パターンASP2−Cには発展演出Cが対応する。
特図変動パターンASP3−A〜特図変動パターンASP3−Cには、3回の疑似変動を介して装飾図柄がリーチ状態となり、その後、今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りであることを報知する発展演出が実行され、当該発展演出の終了後に装飾図柄が図柄揃いで停止表示される演出ルートが対応する。ただし、特図変動パターンASP1−A〜特図変動パターンASP1−Cと同様に、各特図変動パターンに対応する発展演出の種類は互いに異なり、特図変動パターンASP3−Aには発展演出Aが対応し、特図変動パターンASP3−Bには発展演出Bが対応し、特図変動パターンASP3−Cには発展演出Cが対応する。
【0125】
このように、本実施形態では、特図変動パターンHSP1−Aに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP1−Aに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP1−Bに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP1−Bに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP1−Cに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP1−Cに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP2−Aに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP2−Aに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP2−Bに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP2−Bに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP2−Cに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP2−Cに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP3−Aに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP3−Aに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP3−Bに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP3−Bに対応する演出ルートを、特図変動パターンHSP3−Cに対応する演出ルートに対して特図変動パターンASP3−Cに対応する演出ルートを、対応づけている(対応づけられた演出ルートの演出同士の内容が開始から終了間際まで一致する)。そのため、発展演出A〜発展演出Cが実行される図柄変動において、遊技者に大当り当選の期待感を抱かせることができる。そして、発展演出A〜発展演出Cが実行される演出ルートが決定される上述の特図変動パターンは、大当りを期待させる特図変動パターンとなる。
【0126】
また、
図10(a)で示した通り、特図当否判定の結果がハズレの場合には、疑似変動の回数が同一となる範囲内において、発展演出Aが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP1−A)、発展演出Bが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP1−B)、発展演出Cが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP1−C)の順に決定され難くなる。そして、特図当否判定の結果が大当りの場合には、疑似変動の回数が同一となる範囲内において、発展演出Aが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP1−A)、発展演出Bが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP1−B)、発展演出Cが実行される演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP1−C)の順に決定され易くなる。そのため、発展演出A、発展演出B、発展演出Cの順に大当り当選の期待感を高めることができる。
【0127】
さらに、
図10(a)で示した通り、特図当否判定の結果がハズレの場合には、同種の発展演出となる範囲において、疑似変動の回数が1回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP1−A)、疑似変動の回数が2回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP2−A)、疑似変動の回数が3回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンHSP3−A)の順に決定され難くなる。そして、特図当否判定の結果が大当りの場合には、同種の発展演出となる範囲において、疑似変動の回数が1回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP1−A)、疑似変動の回数が2回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP2−A)、疑似変動の回数が3回となる演出ルートに対応する特図変動パターン(例えば、特図変動パターンASP3−A)の順に決定され易くなる。そのため、疑似変動の回数が大きくなるにつれて大当り当選の期待感を高めることができる。
【0128】
また、上述の通り、演出遮蔽体閉鎖演出に成功した場合には、右下演出遮蔽体83dに配設された設定示唆ランプ84を、現在の設定値を参照した抽選によって決定した点灯色で点灯させる演出が実行される。
具体的に説明すると、点灯色には、青色、黄色、緑色、赤色、虹色があり、当該点灯色の抽選の詳細を、
図12を用いて説明する。なお、
図12は、設定示唆ランプ84の点灯色を決定する抽選で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999である。
そのため、現在の設定値が設定値1である場合には、600/1000(約1/1.6)の確率で青色、300/1000(約1/3.33)の確率で黄色、100/1000(1/10)の確率で緑色となり、赤色および虹色になることがない。現在の設定値が設定値2である場合には、550/1000(約1/1.81)の確率で青色、320/1000(約1/3.12)の確率で黄色、130/1000(約1/7.69)の確率で緑色となり、赤色および虹色になることがない。
一方、現在の設定値が設定値5である場合には、400/1000(1/2.5)の確率で青色、360/1000(約1/2.77)の確率で黄色、190/1000(約1/5.26)の確率で緑色、50/1000(1/20)の確率で赤色となり、虹色になることがない。
さらに、現在の設定値が設定値6である場合には、350/1000(約1/2.85)の確率で青色、370/1000(約1/2.70)の確率で黄色、200/1000(1/5)の確率で緑色、60/1000(約1/16.6)の確率で赤色、20/1000(1/50)の確率で虹色となる。なお、これらの抽選は、後述する演出内容決定手段225によって実行される。
【0129】
このように、演出遮蔽体閉鎖演出において、設定示唆ランプ84の点灯色は、現在の設定値が設定値1に近づくほど青色になり易く、現在の設定値が設定値6に近づくほど青色以外の色になり易い。すなわち、設定示唆ランプ84の点灯は、現在の設定値を示唆する設定示唆演出であると言える。
特に、現在の設定値が設定値1である場合の緑色に対応する抽選値と現在の設定値が設定値6である場合の緑色に対応する抽選値の比率が、現在の設定値が設定値1である場合の黄色に対応する抽選値と現在の設定値が設定値6である場合の黄色に対応する抽選値の比率よりも大きい(または、設定値1に対応する抽選値と設定値6に対応する抽選値の差が、黄色よりも緑色の方が大きい)ため、黄色よりも緑色に点灯した場合の方がより高い有利度の設定値に期待できる。また、赤色は、現在の設定値が高設定値の場合にのみ決定される可能性がある(現在の設定値が高設定値のいずれかであることが確定する)点灯色であり、現在の設定値が設定値6に近づくほど決定される確率が高くなる。さらに、虹色は、現在の設定値が設定値6の場合にのみ決定される可能性がある(現在の設定値が設定値6であることが確定する)点灯色となる。
なお、冒頭で説明した通り、設定示唆演出は、その実行確率によって現在の設定値を示唆する機能を少なくとも有するものであってもよく、この場合における当該演出の実行確率の高低は、比較する実行確率の範囲が重複しないことを前提とし、当該範囲同士の高低を指す。
【0130】
また、本実施形態では、設定示唆ランプ84の点灯色を決定するにあたり、後述する設定変更フラグの状態を参照しない。すなわち、設定示唆ランプの点灯は、設定値の変更有無を示唆しない演出であると言える。
さらに、設定示唆ランプ84の点灯に相当する設定示唆演出は、ランプに限らず、遊技盤50の前面側に設けられたデバイスであればいずれのデバイスを採用してもよい。
また、上述の通り、発展演出が実行される演出ルート(特に、大当り演出ルート)が決定される頻度は、設定変更フラグの状態によって変化しない。
【0131】
サブ保留制御手段223は、保留コマンドの受信があった場合に、当該コマンドに含まれる特
図1保留カウンタと特
図2保留カウンタの情報に基づいて、メイン表示部81の保留表示領域(図示省略)に、特
図1保留カウンタに対応する数の保留画像と、特
図2保留カウンタに対応する数の保留画像とを表示させるための演出データを設定する。なお、保留画像とは、大当り遊技の期待度等の有利度を示唆する種々の態様に変化する保留先読み演出の対象となる画像である。
【0132】
先読み演出制御手段224は、事前判定コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果に基づいて先読み演出の内容を決定する。
先読み演出とは、先読み対象の図柄変動が開始される前の一又は複数回の図柄変動に亘って、先読み対象の図柄変動における特図当否判定の結果に対する期待度や、先読み対象の図柄変動において実行される演出の内容を示唆する演出である。
【0133】
演出内容決定手段225は、変動開始コマンドが送信された場合に、演出ルート決定手段222によって既に決定された演出ルートに従って今回の図柄変動において実行する演出の内容を決定する。
より具体的には、演出内容決定手段225は、図柄変動における演出実行タイミングごとの演出の内容(演出パターン)を、演出ルート決定手段222によって決定された演出ルートに対応する演出パターン抽選テーブルを用いた抽選等によって決定する。このようにすることで、決定された演出ルートに係る(に従って実行される)演出の内容を変えることができるとともに、一つの図柄変動における演出に繋がりを持たせることができる。また、同一の演出ルートが決定された場合であっても、実行される演出を多彩にすることもできる。
なお、演出の内容を決定するタイミングとしては、例えば、疑似変動の開始時(図柄変動の開始時を含む)があり、一の図柄変動において疑似変動の開始が複数回ある場合には、各疑似変動の開始時に当該抽選を実行する。
【0134】
本実施形態では、演出内容決定手段225によって実行が決定され、かつ演出ボタン37の振動を用いた演出の内容として、振動設定示唆演出と、振動大当り示唆演出と、がある。
なお、これらの演出の詳細は後述するが、振動設定示唆演出は、特図当否判定の結果が大当りとなった図柄変動において実行され得る演出であって、上述の設定示唆演出として機能する演出である。一方、振動大当り示唆演出は、特図当否判定の結果が大当りとなった図柄変動を含めた発展演出が実行される図柄変動(特図当否判定の結果がハズレとなるが、発展演出が実行される図柄変動も含む)において実行され得る演出であって、設定示唆演出として機能せずに大当り当選期待度を示唆する演出である。
【0135】
装飾図柄制御手段226は、変動開始コマンドが送信された場合に、決定された特図の停止図柄に基づいて、装飾図柄の最終的な停止図柄の組合せ(左図柄・中図柄・右図柄)を決定する。
具体的には、確変大当りに係る、図柄B、図柄C、および図柄aには、偶数図柄で構成される図柄揃い、または奇数図柄で構成される図柄揃いを対応させ、通常大当りに係る、図柄Aおよび図柄bには、偶数図柄揃いを、ハズレに係る図柄Dおよび図柄cには、リーチ状態を経由する場合を含むバラケ目を対応させている。
したがって、大当りに当選した図柄変動において偶数図柄揃いが決定された場合には、遊技者は、当該大当りが、確変大当りおよび通常大当りのいずれであるかを、停止された停止図柄の組合せ(図柄揃い)によって特定することができない。
これに対し、本実施形態では、後述するラウンド演出において今回の大当りが確変大当りおよび通常大当りのいずれであるかが確定的に報知される。ただし、本実施形態では、さらに、大当り遊技が開始される前に、振動設定示唆演出に係る演出ボタン37の操作を促す操作促進演出の態様(詳細は、後述)により、今回の大当りが確変大当りおよび通常大当りのいずれであるかが示唆される。なお、当該操作促進演出は、演出内容決定手段225によって実行が決定される。
【0136】
大当り演出制御手段227は、大当り開始コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる情報等に基づいて、大当り遊技中であることを報知する大当り演出の内容を決定する。なお、大当り演出には、大当り遊技の開始を報知する開始デモ演出、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出、及び大当り遊技の終了を報知する終了デモ演出が存在する。
【0137】
通常演出制御手段220は、第1副制御基板200が備える上述の手段によって決定された演出の内容に従って、各演出の実行タイミングで当該演出に対応する各デバイスの演出データを読み出す。なお、読み出した演出データに画像及び音響に係る演出データがある場合には、当該演出データに基づいて画像及び音響に関する画像制御コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に格納する。
【0138】
特に、通常演出制御手段220は、復電時の復帰状態が設定変更状態となった場合(後述する設定変更開始コマンドが送信された場合)に、演出表示装置80を用いて設定変更中であることを報知させるための演出データを読み出し、当該演出データによって開始された報知は、当該設定変更状態が終了して遊技可能状態となる場合(後述する設定変更終了コマンドが送信された場合)に終了する。同様に、通常演出制御手段220は、復電時の復帰状態が設定確認状態となった場合(後述する設定確認開始コマンドが送信された場合)に、演出表示装置80を用いて設定確認中であることを報知させるための演出データを読み出し、当該演出データによって開始された報知は、当該設定確認状態が終了して遊技可能状態となる場合(設定確認終了コマンドが送信された場合)に終了する。なお、これらの報知の詳細は省略するが、当該報知は現在の設定値を特定不可能な(特定可能な態様ではない)報知であり、当該報知を実行する演出デバイスは問わない。このようにすることで、設定値の変更や設定値の確認に対する作業効率及びセキュリティを高めることができる。
また、通常演出制御手段220は、復電時の復帰状態が遊技可能状態となった場合(RAMクリア処理を伴う場合)には、RAMクリア処理を伴って遊技可能状態となったことを報知させるための演出データを読み出し、復電時の復帰状態が遊技可能状態となった場合(RAMクリア処理を伴わない場合)には、RAMクリア処理を伴わずに遊技可能状態となったことを報知させるための演出データを読み出す。これらの報知は、設定変更状態を経由して遊技可能状態となった場合、設定確認状態を経由して遊技可能状態となった場合にも実行され、これらの報知の違いによっても、設定変更状態を経由したか、設定確認状態を経由したかを判断させることができる。
さらに、通常演出制御手段220は、復電時の復帰状態が遊技停止状態となった場合には、遊技停止状態となったことに加え、後述する設定変更処理の実行が必要となったことを報知させるための演出データを読み出す。
なお、これらの報知の詳細は省略するが、実行が開始されてから一定時間(例えば、30s)継続して実行されることが好ましく、当該報知を実行する演出デバイスは問わない。
【0139】
さらに、通常演出制御手段220は、後述する設定変更終了コマンドが受信された場合に、設定変更フラグをONにする(RAM203の領域に設定変更フラグを記憶させる)。一方、設定変更終了コマンドを受信することなく(設定変更処理が実行されずに)遊技可能状態が設定された場合には、設定変更フラグをONにしない。そして、通常演出制御手段220は、当該フラグを、電断時に一律にOFFにする。したがって、設定変更フラグは、設定変更処理が実行された場合にONとなり、設定変更処理が実行されなかった場合にOFFとなる。
なお、本実施形態とは異なり、設定変更終了コマンドで特定される今回設定された設定値と、RAM203の領域に記憶されていた前回設定された設定値とを比較し、これらの設定値が相違する場合にのみ、設定変更フラグをONにするようにしてもよい。すなわち、設定変更処理が実行されても前回設定されていた設定値と同一の設定値が今回の設定値として設定された場合(以下、「同一設定値への打ち直し」と表現する場合がある)に設定変更フラグをOFFとするようにしてもよい。
また、通常演出制御手段220は、電断時に設定変更フラグをOFFにせず、復電時も当該フラグをOFFにするようにしてもよく、特に、設定変更処理が実行される場合には、設定変更終了コマンドが来る前に当該フラグをOFFにするようにすればよい。
また、設定変更フラグをONに維持する期間は、設定電源投入時の設定変更処理によって別の設定値が設定されてから電断が発生するまでの期間としているが、当該期間の終了条件はこれに限らない。例えば、当該期間を、電源投入からあらかじめ定められた回数の図柄変動が実行されるまでの期間や、電源投入から最初に大当りに当選するまでの期間としてもよい。すなわち、当該期間の終了条件は、あらかじめ定められた条件であれば、いずれの条件を採用してもよい。
【0140】
サブエラー制御手段230は、エラーコマンドを受信した場合に、当該エラーコマンドで特定されるエラーを報知するエラー報知演出を実行させるための演出データを読み出す。
【0141】
ランプ制御手段240は、演出ランプ35や設定示唆ランプ84の点灯を制御するためのランプ制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに演出ランプ35や設定示唆ランプ84に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいてランプ制御データを読み出し、読み出したランプ制御データを演出ランプ35または設定示唆ランプ84へ送信する。
【0142】
可動役物制御手段250は、可動装飾体22、サブ表示部82、および演出ボタン37(振動アクチュエータ37b)の可動(振動を含む)を制御するための可動制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データにこれらの可動物に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいて可動制御データを読み出し、読み出した可動制御データを、対応する可動物へ送信する。
【0143】
サブ情報記憶手段260は、上述の通り、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0144】
サブコマンド管理手段270は、主制御基板100から送信された演出制御コマンドを受信し、受信した演出コマンドをサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶させ、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に画像制御コマンドが記憶されている場合には、当該画像制御コマンドを第2副制御基板300に向けて送信する。なお、各画像制御コマンドは、原則として、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0145】
<設定変更処理について>
次に、
図13を用いて、復電時の復帰状態が設定変更状態となった場合に設定変更手段177によって実行される設定変更処理の詳細を説明する。なお、
図13は、設定変更処理のフローを示す図である。
【0146】
最初のステップS101では、設定値が正常範囲(設定値1、設定値2、設定値5、または設定値6)であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS105に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS103に進む。
【0147】
ステップS103では、設定値に1を設定する。
なお、本実施形態では、RAM103に異常がある場合であっても、設定値が正常範囲であれば、当該処理が実行されないが、RAM103に異常がある場合に当該処理を実行するようにしてもよい。
【0148】
ステップS105では、セキュリティ信号をONにする。
【0149】
ステップS107では、設定変更開始コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(当該コマンドを、メイン情報記憶手段160の第1副制御基板200への送信用の送信コマンド格納領域に格納する)。
なお、当該コマンドは、メイン表示部81やスピーカ33を用いて設定変更中であることを報知させるためのコマンドである。
【0150】
ステップS109では、現在の設定値を主制御基板モニタ97に表示させる。
【0151】
ステップS111では、RAMクリアスイッチ43がOFFからONになったか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS113に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS115に進む。
なお、当該判定において、設定キースイッチ42がONであるか否かの判定を加え、双方の条件が充足された場合にステップS113に進むようにしてもよい。
【0152】
ステップS113では、設定値を更新する。具体的には、現在の設定値に1を加算し、設定値が3となる場合には設定値を5とし、設定値が6を超える場合には、設定値を1とする。
なお、設定値が更新(加算)された場合には、主制御基板モニタ97に表示されている設定値も更新される。
【0153】
ステップS115では、設定キースイッチ42がONからOFFになったか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS117に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS111に戻る。
【0154】
ステップS117では、表示していた設定値を非表示にし、現在の設定値を設定値として確定する。
【0155】
ステップS119では、RAM103の遊技に係る領域の一部(設定値に係る領域を除く領域)をクリアする。
【0156】
ステップS121では、設定変更終了コマンドを第1副制御基板200および払出制御基板400に向けて送信する(当該コマンドを、メイン情報記憶手段160の第1副制御基板200への送信用の送信コマンド格納領域に格納する)。
なお、当該コマンドは、設定変更状態の終了および確定された設定値を第1副制御基板200に知らせるためのコマンドである。
【0157】
ステップS123では、遊技可能状態を設定し、その後、設定変更処理を終了する。なお、遊技可能状態が設定された場合には、上述の遊技可能状態移行処理が実行された後に遊技可能状態へ移行する。
【0158】
<設定確認処理について>
次に、
図14を用いて、復電時の復帰状態が設定確認状態となった場合に設定確認手段178によって実行される設定確認処理の詳細を説明する。なお、
図14は、設定確認処理のフローを示す図である。
【0159】
最初のステップS201では、セキュリティ信号をONにする。
【0160】
ステップS203では、設定確認開始コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(当該コマンドを、メイン情報記憶手段160の第1副制御基板200への送信用の送信コマンド格納領域に格納する)。
なお、当該コマンドは、メイン表示部81やスピーカ33を用いて設定確認中であることを第1副制御基板200に報知させるためのコマンドである。
【0161】
ステップS205では、現在の設定値を主制御基板モニタ97に表示させる。
【0162】
ステップS207では、設定キースイッチ42がONからOFFに変化したか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS209に進み、当該条件が充足されなかった場合には再びステップS207の判定を実行する。
【0163】
ステップS209では、設定値を非表示にする。
【0164】
ステップS211では、設定確認終了コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(当該コマンドを、メイン情報記憶手段160の第1副制御基板200への送信用の送信コマンド格納領域に格納する)。
なお、当該コマンドは、設定確認状態が終了したことを第1副制御基板200に知らせるためのコマンドである。
【0165】
ステップS213では、遊技可能状態を設定し、その後、設定確認処理を終了する。なお、遊技可能状態が設定された場合には、上述の遊技可能状態移行処理が実行された後に遊技可能状態へ移行する。
【0166】
<主制御基板モニタ97の表示態様について>
次に、
図15を用いて、主制御基板モニタ97の表示態様について説明する。なお、
図15は、状態別の主制御基板モニタ97の表示態様を示す図である。
図15に示す通り、主制御基板モニタ97は、横方向に連続的に配置された4つの7セグメントディスプレイ(以下、「7セグ」と略称する場合がある)で構成されるとともに、各7セグの右下には、ドット状のLEDが設けられている。なお、各情報を表示する際には、各情報は右詰めで表示される。
【0167】
より具体的には、現在の設定値は、右端の7セグを用いて表示され、遊技停止状態の種別は、右端の7セグおよび右から2番目の7セグを用いて表示される。また、ベース値の表示については、ベース値の表示であることを示す「bL.」を、左端の7セグ、左から2番目の7セグ、および左から2番目の7セグの右下のドット状のLEDを用いて表示し、導出したベース値を、右端の7セグおよび右から2番目の7セグを用いて表示する。なお、ベース値が100を超える場合には、「bL.99.」と表示する。
また、特段の説明がない限り、本実施形態における「ベース値の表示」とは、ベース値の表示であることを示す表示(「bL.」の表示)およびベース値自体の表示を合わせて表示することを指す。
【0168】
ここで、現在の設定値を特定可能な表示、および遊技停止状態の種別を特定可能な表示は、互いに異なる態様であれば、本実施形態における態様に限らず、種々の態様を採用してもよい。
また、上述の通り、設定変更状態および設定確認状態では、主制御基板モニタ97に設定値が表示され、遊技停止状態では、主制御基板モニタ97に遊技停止状態の種別(「E1」または「E2」)が表示され、各表示が表示される期間は、対応する復帰状態が設定されている期間と一致しているが、対応する復帰状態が設定されている期間の一部で表示されるようにしてもよい。
【0169】
また、上述のベース値に関する説明において説明を省略したが、初回電源投入(RAM103のベース値に係る領域がクリアされた場合を含む)からアウト球数が300となるまで(アウト球数が0〜299の範囲)では、主制御基板モニタ97に「bL.−−」を表示し(ベース値自体を表示せず)、アウト球数が300〜60000の範囲では、主制御基板モニタ97にリアルタイムのベース値を表示し、いずれの範囲においても「bL.」を点滅させる。一方、アウト球数が60001以降の範囲では、上述の通り、手前の区間で導出されたベース値を表示し、当該範囲では、「bL.」を常時点灯させる(点滅させない)。そのため、ベース値の表示が常時点灯しているか否(点滅しているか)か、またはベース値の表示の有無によって、RAM103のベース値に係る領域がクリアされたか否かを認識させることができる。
なお、「bL.」を点滅させる場合には、ベース値の整数部分を示す7セグについても点滅させるようにしてもよいが、当該7セグについては常時点灯させることが好ましい。
また、本実施形態では、点滅の有無で識別可能としているが、例えば、点灯色を変える等、点滅の有無を含む点灯態様の差異で識別可能にする方法であれば、いずれの方法を採用してもよい。
【0170】
また、初回電源投入からの「bL.−−」を表示させる期間を規定するアウト球数の閾値は、300に限らず、ベース値を導出する一区間を規定するアウト球数(本実施形態では、60000)の10%未満の値であれば、いずれの値を採用してもよい。
ベース値を導出する一区間を規定するアウト球数についても、60000に限らず、60000(1分間に100程度の打ち出しスピードで営業日あたりに打ち出される球数(100×60(分)×10(時間)))に近しい値であれば、いずれの値を採用してもよい。
【0171】
また、本実施形態では、設定変更状態および設定確認状態において表示されていた設定値が非表示になった直後に(遊技者が認識できない程度の時間を挟んで)ベース値を表示しているが、設定値を非表示にした後に遊技者が認識できる程度の時間を空けてベース値の表示を開始するようにしてもよい。なお、一度表示されたベース値は、電断が発生するまで表示され続けることとなる。
【0172】
<設定キースイッチ42の態様、およびRAMクリアスイッチ43の態様について>
次に、復電時の復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態の詳細を説明するのに先立ち、
図16(a)〜
図16(d)を用いて、設定キースイッチ42の態様とRAMクリアスイッチ43の態様の組合せについて説明する。なお、
図16(a)〜
図16(d)は、設定キースイッチ42の態様とRAMクリアスイッチ43の態様との組合せのパターンを示す図である。
【0173】
まず、設定キースイッチ42およびRAMクリアスイッチ43のそれぞれは、一方の位置から他方の位置に変位する変位部(図示省略)と、当該変位部をいずれかの位置で検知するセンサ(図示省略)を備えており、主制御基板100のCPU101は、当該センサの検知結果によって各スイッチの態様を把握することができる。
【0174】
設定キースイッチ42を操作する際には、
図16(a)〜
図16(d)に示す通り、設定キースイッチ42に設定キー600を挿入する必要がある。より具体的には、設定キースイッチ42は、
図16(a)および
図16(b)に示す設定キー600を挿入した状態(以下、「設定キースイッチ42がOFF」と表現する場合があり、当該状態は設定キー600の挿入の有無とは無関係)で、
図16(c)および
図16(d)に示すように、挿入面に向かって右回りに90度回転させることで、設定キースイッチ42が操作された状態(以下、「設定キースイッチ42がON」と表現する場合がある)となる。
なお、設定キースイッチ42は、OFFの状態となる位置、およびONの状態となる位置のそれぞれにおいて、外力を要することなく、変位部を保持することができる。
また、設定キー600は、設定キースイッチ42がONの状態で抜去することができない。
【0175】
また、RAMクリアスイッチ43は、当該スイッチの上面を押下することで操作可能となる。より具体的には、
図16(a)および
図16(c)に示す状態(以下、「RAMクリアスイッチ43がOFF」と表現する場合がある)で、
図16(b)および
図16(d)に示すように、当該スイッチの上面を押下することで、RAMクリアスイッチ43が操作された状態(以下、「RAMクリアスイッチ43がON」と表現する場合がある)となる。
なお、RAMクリアスイッチ43は、変位部をOFFの状態となる位置に付勢して保持している。そのため、RAMクリアスイッチ43は、OFFの状態となる位置では、外力を要することなく変位部を保持することができる一方、ONの状態となる位置では、外力を要することなく変位部を保持できないようになっている。
【0176】
このように、復電時の設定キースイッチ42の態様とRAMクリアスイッチ43の態様の組合せとしては、
図16(a)に示す、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFの状態となる組合せ、
図16(b)に示す、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がONの状態となる組合せ、
図16(c)に示す、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFの状態となる組合せ、および
図16(d)に示す、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONの状態となる組合せの4パターンが存在する。
【0177】
<復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態について>
続いて、
図17に示す表を用いて、直前の電断時の状態が遊技可能状態である場合における復電時の復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態の詳細を説明する。なお、上述の通り、本実施形態における復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態は、RAM103に異常があるか否か、直前の電断時の状態、復電時の設定キースイッチ42の態様と復電時のRAMクリアスイッチ43の態様との組合せ、および復電時の中枠開扉センサ76の状態によって決定される。
ここで、
図17(a)および
図17(b)は、復電時に異常(RAM103の遊技に係る領域に異常がある場合、設定値が正常でない場合、直前の電断時の状態が遊技停止状態である場合)がなく、かつ直前の電断時の状態が遊技可能状態である場合の復電時の遊技機の状態を整理した表であり、
図17(a)は復電時に中枠17が開放状態である場合、
図17(b)は復電時に中枠17が閉鎖状態である場合の復電時の遊技機の状態を整理した表である。なお、復帰状態を含む復電時の遊技機10の状態を決定する処理フロー(図示省略)においては、RAMクリアスイッチ43の態様、中枠開扉センサ76の状態、および設定キースイッチ42の態様を参照する順序は問わず、後述する表に示す関係性を満たせば、当該順序に限らず、いずれの順序を採用してもよい。なお、本実施形態では、RAM103の遊技に係る領域に異常がある場合に、復電時に異常があるとしているが、RAM103のベース値に係る領域に異常がある場合を、RAM103の遊技に係る領域に異常がある、すなわち、復電時に異常があると取り扱ってもよい。
【0178】
図17(a)には、復電時に異常がなく、直前の電断時の状態が遊技可能状態であり、かつ復電時の中枠開扉センサ76がON(中枠17が開放状態)である場合(以下、「場合1」と称する)における復電時の遊技機10の状態が示されている。
場合1において、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFである場合(
図17(a)の左上のパターン)には、RAMクリア処理が実行されず、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
また、場合1において、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合(
図17(a)の右上のパターン)には、RAMクリア処理が実行され、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
また、場合1において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFである場合(
図17(a)の左下のパターン)には、RAMクリア処理が実行されず、復電時の復帰状態として設定確認状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97に現在の設定値が表示される。
また、場合1において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合(
図17(a)の右下のパターン)には、RAMクリア処理が実行され、復電時の復帰状態として設定変更状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97に現在の設定値が表示される。なお、この場合に、RAM103のベース値に係る領域に異常があれば、当該領域もクリアされる。
このようにすることで、復電時の操作手段の態様に応じて復電時の復帰状態を選択可能にし、当該選択をスムーズにすることができる。
【0179】
また、場合1において、復電時の設定キースイッチ42の態様と復電時のRAMクリアスイッチ43の態様の組合せに対応する復帰状態は、本実施形態の対応関係に限定されないが、本実施形態のように、RAMクリアスイッチ43がONであることを少なくとも含む組合せに対して、RAMクリア処理を伴う復帰状態を対応させることで、誤ったRAMクリア処理の発生を抑えることができる。
【0180】
図17(b)には、復電時に異常がなく、直前の電断時の状態が遊技可能状態であり、かつ復電時の中枠開扉センサ76がOFF(中枠17が閉鎖状態)である場合(以下、「場合2」と称する)における復電時の遊技機10の状態が示されている。
場合2において、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFである場合(
図17(b)の左上のパターン)には、RAMクリア処理が実行されず、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
また、場合2において、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合(
図17(b)の右上のパターン)には、RAMクリア処理が実行され、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
また、場合2において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がOFFである場合(
図17(b)の左下のパターン)には、RAMクリア処理が実行されず、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
また、場合2において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合(
図17(b)の右下のパターン)には、RAMクリア処理が実行され、復電時の復帰状態として遊技可能状態が設定され、かつ主制御基板モニタ97にベース値が表示される。
【0181】
このように、本実施形態では、復電時に異常がなく、かつ直前の電断時の状態が遊技可能状態である場合には、中枠開扉センサ76の状態(中枠17の開閉状態)に応じて設定される復帰状態が異なる。
さらに、場合1において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合には、設定変更状態を設定する一方、場合2において、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合には、RAMクリア処理が実行されるとともに、遊技可能状態が設定される。さらに、場合1および場合2のいずれにおいても、設定キースイッチ42がOFFであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合には、RAMクリア処理が実行されるとともに、遊技可能状態が設定される。このように、適切でない設定変更状態の設定を禁止する一方、RAMクリア処理は許容することで、中枠開扉センサ76がOFF(中枠17が閉鎖状態)である場合における不正な設定変更を防ぎつつも、RAMクリア処理の操作性を高めることができる。
特に、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合において、中枠開扉センサ76がOFF(中枠17が閉鎖状態)である場合には、RAMクリア処理が実行される。そのため、不正な設定変更が試みられた虞がある場合に有利な状態を維持しないようにすることができる。
【0182】
また、上述の説明では省略したが、復電時に異常がある場合、直前の電断状態が遊技停止状態である場合、および直前の電断状態が設定変更状態である場合のいずれかの場合では、設定キースイッチ42がONであり、かつRAMクリアスイッチ43がONである場合において、中枠開扉センサ76がON(中枠17が開放状態)である場合にのみ、設定変更状態を経由して遊技可能状態に復帰させることができ、当該場合以外では、遊技停止状態となり、主制御基板モニタ97には遊技停止状態の種別(「E1」または「E2」)が表示される。なお、復電時に異常がなく、直前の電断時の状態が設定確認状態である場合には、上述の復電時に異常がなく、直前の電断時の状態が遊技可能状態である場合と同様の挙動となる。
また、本実施形態において、設定変更状態および設定確認状態は、復電時にのみ設定される可能があり、いずれも復電時以外に設定されることはない。そのため、遊技制御の安定化を図ることができる。
【0183】
以上説明した通り、本実施形態に係る遊技機10は、有利度が異なる設定値を任意に設定可能に構成されており、このような設定値を有するパチンコ機における遊技の興趣を高めて稼働を向上させるために有効な手段の一つとして、現在の設定値の示唆を行う設定示唆演出の実行が挙げられる。これに対し、本実施形態では、上述の設定示唆ランプ84の点灯に加え、演出ボタン37の振動を用いた振動設定示唆演出を用いて現在の設定値の示唆を行っている。また、本実施形態では、演出ボタン37の振動を用いた演出として、設定示唆演出とならない振動大当り示唆演出も実行している。以下、これらの演出の詳細を説明する。
【0184】
<振動設定示唆演出について>
まず、
図18〜
図23を用いて、振動設定示唆演出の詳細を説明する。
なお、
図18は、本実施形態における演出ボタン37の振動種別をまとめた表であり、
図19は、振動設定示唆演出の具体例を示す図である。
図20(a)は、振動設定示唆演出の実行抽選に用いられる抽選テーブルを、
図20(b)は、振動設定示唆演出の振動回数抽選に用いられる抽選テーブルを、模式的に示す図である。また、
図21(a)〜
図21(f)は、振動設定示唆演出における振動発生の流れを示すタイミングチャートであり、
図22(a)〜
図22(c)は、演出ボタンセンサ37aの状態に応じた振動設定示唆演出における振動発生の流れを示す図である。さらに、
図23(a)および
図23(b)は、振動設定示唆演出における操作促進演出の態様を示す図であり、
図23(c)は、振動設定示唆演出における操作促進演出の態様抽選に用いられる抽選テーブルを模式的に示す図である。
【0185】
図18に示す通り、本実施形態における演出ボタン37の振動態様を規定する振動種別には、弱振動ショート、弱振動ロング、強振動ショート、および強振動ロングの4パターンがある。
具体的には、弱振動ショートは、上述の弱振動(振動強度=弱)を300msに亘って発生される振動種別であり、弱振動ロングは、弱振動を1000msに亘って発生させる振動種別である。一方、強振動ショートは、上述の強振動(振動強度=強)を500ms(弱振動ショートよりも短い時間)に割って発生させる振動種別であり、強振動ロングは、強振動を1500ms(弱振動ロングよりも長い時間)に亘って発生させる振動種別である。
なお、詳細は後述するが、弱振動ショートは、振動設定示唆演出で用いられる振動種別であり、弱振動ロング、強振動ショート、および強振動ロングは、振動大当り示唆演出で用いられる振動種別である。
【0186】
<振動設定示唆演出の具体例について>
次に、
図19に示す通り、特図当否判定の結果が大当りとなった図柄変動が開始され、当該図柄変動において大当り告知がなされた(上述の演出遮蔽体閉鎖演出に成功した)後に、本実施形態における振動設定示唆演出が開始される。この時、メイン表示部81には、
図19の下部左側に示す通り、6図柄揃いが仮停止表示されている。
なお、振動設定示唆演出が開始される直前に仮停止表示される図柄揃いを構成する装飾図柄の種類は、偶数図柄に限らず、奇数図柄も仮停止表示される可能性があり、当該図柄揃いを構成する装飾図柄の種類は、上述した通り、当選した大当りに係る特図の停止図柄に依存する。
【0187】
開始された振動設定示唆演出では、演出ボタン37が、インターバルを挟みながら、弱振動ショートが3回発生し、振動設定示唆演出が終了した後に図柄変動が終了している。
なお、振動設定示唆演出は、後述する振動設定示唆演出の実行抽選によって当該演出の実行有無が決定され、振動設定示唆演出において発生する演出ボタン37の振動回数は、後述する振動設定示唆演出の振動回数抽選によって決定される。そして、振動設定示唆演出において発生する各振動の振動種別は、決定された振動回数に関わらず、弱振動ショートとなる。
【0188】
よって、遊技機10において、所定の演出手段(演出ボタン37)は、所定の操作手段と、所定の操作手段を振動させる振動手段(振動アクチュエータ37b)と、で構成されるものであり、所定の演出制御手段(第1副制御基板200)は、振動手段を制御することで、所定の演出(振動設定示唆演出)を実現するものであると換言できる。
【0189】
振動設定示唆演出中の演出ボタン37の振動が発生していない期間では、
図19下部真ん中に示す通り、メイン表示部81の表示領域の真ん中に、演出ボタン37を模したボタン画像bgが表示されるとともに、当該表示領域の左上に、「長押し」との文字が表示される。これらの画像は、上述の振動設定示唆演出における操作促進演出にあたり、当該演出によって振動設定示唆演出において演出ボタン37の操作を促すことができる。
また、メイン表示部81の表示領域に真ん中には、振動設定示唆演出の残り時間の減少とともにメーター(黒色の領域)が減少するメーター画像mgが表示され、当該表示領域の右下には、今回の図柄変動の結果に対応する装飾図柄揃いが小さく表示されている。
【0190】
さらに、振動設定示唆演出中の演出ボタン37の振動が発生している期間では、振動設定示唆演出中の当該振動が発生していない期間と同様に、
図19下部右側に示す通り、メイン表示部81の表示領域には、ボタン画像bg、「長押し」との文字、メーター画像mg、および装飾図柄揃いが表示されている。
すなわち、本実施形態では、振動設定示唆演出中の操作促進演出の態様は、演出ボタン37の振動の有無によって変化しない。そのため、他の遊技者に現在の設定値の示唆を認識させ難くしつつ、遊技している遊技者自身に対して当該示唆を認識させることができる。
なお、この効果を奏するにあたっては、振動設定示唆演出における操作促進演出を実行することが好ましいが、振動設定示唆演出において操作促進演出自体を実行しないようにすることでも当該効果は奏する。
【0191】
よって、遊技機10において、第二の演出制御手段(第1副制御基板200および第2副制御基板300)は、第一の演出が実行されている期間では、第四の演出(演出ボタン37の振動に合わせた態様となる演出)を実行させないものであると換言できる。
【0192】
<振動設定示唆演出に係る抽選について>
次に、
図20(a)に示す通り、振動設定示唆演出の実行抽選では、上述の設定変更フラグの状態が参照される。なお、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999である。
具体的には、設定変更フラグがONである場合には、500/1000(1/2)の確率で当該抽選に当選し、500/1000(1/2)の確率で当該抽選に非当選となる。一方、設定変更フラグがOFFである場合には、300/1000(約1/3.33)の確率で当該抽選に当選し、700/1000(約1/1.43)の確率で当該抽選に非当選となる。
【0193】
このように、本実施形態では、設定変更フラグがONである場合には、設定変更フラグがOFFである場合よりも、振動設定示唆演出の実行抽選に当選し易い(振動設定示唆演出が実行され易い)。
そして、上述の通り、設定変更フラグは、設定変更処理が実行された場合にONとなり、設定変更処理が実行されなかった場合にOFFとなる。さらに、設定変更フラグは、同一設定値への打ち直しの場合に、設定変更フラグをOFFとするようにしてもよい。
すなわち、振動設定示唆演出は、設定変更処理によって別の設定値が設定されたか設定変更処理が実行されなかったかを少なくとも示唆する演出であると言える。
【0194】
よって、遊技機10において、第一の演出制御手段(第1副制御基板200)は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって設定変更処理によって別の設定値が設定されたか設定変更処理が実行されなかったかを少なくとも示唆する演出である第一の演出(振動設定示唆演出)を、第一の演出手段(演出ボタン37)に実行させることが可能なものであると換言できる。
【0195】
続いて、
図20(b)に示す通り、振動設定示唆演出の振動回数抽選では、現在の設定値が参照され、決定され得る振動回数は、1回〜6回の6段階となる。なお、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999である。
具体的には、現在の設定値が設定値1である場合には、1000/1000(1/1)の確率で振動回数として1回(「振動回数1」と表記する場合があり、2回〜6回についても同様に、「振動回数2」〜「振動回数6」と表記する場合がある)が決定され、2回〜6回は決定されない。
現在の設定値が設定値2である場合には、800/1000(1/1.25)の確率で振動回数として1回が決定され、100/1000(1/10)の確率で2回が決定され、50/1000(1/20)の確率で3回が決定され、50/1000(1/20)の確率で4回が決定される一方、5回および6回は決定されない。
現在の設定値が設定値5である場合には、750/1000(約1/1.33)の確率で振動回数として1回が決定され、50/1000(1/20)の確率で2回が決定され、50/1000(1/20)の確率で3回が決定され、50/1000(1/20)の確率で4回が決定され、100/1000(1/10)の確率で5回が決定される一方、6回は決定されない。
現在の設定値が設定値6である場合には、700/1000(約1/1.43)の確率で振動回数として1回が決定され、50/1000(1/20)の確率で2回が決定され、50/1000(1/20)の確率で3回が決定され、50/1000(1/20)の確率で4回が決定され、50/1000(1/20)の確率で5回が決定され、100/1000(1/10)の確率で6回が決定される。
【0196】
このように、本実施形態では、振動設定示唆演出の振動回数抽選において、2回が決定されると、現在の設定値が設定値2以上(設定値2、設定値5、または設定値6)であることが確定する。また、振動回数として5回が決定されると、現在の設定値が設定値5以上(設定値5または設定値6)であることが確定する。さらに、振動回数として6回が決定されると、現在の設定値が設定値6であることが確定する。
すなわち、演出ボタン37の振動を用いた振動設定示唆演出は、現在の設定値を示唆する設定示唆演出と言える。
これにより、触覚による設定示唆演出を実現し、設定値を有するパチンコ機において、遊技の興趣を高めることができる。
【0197】
よって、遊技機10において、第一の演出制御手段(第1副制御基板200)は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって設定されている設定値を示唆する演出である第一の演出(振動設定示唆演出)を、第一の演出手段(演出ボタン37)に実行させることが可能なものであると換言できる。
【0198】
特に、本実施形態では、振動回数と、当該振動回数によって確定する設定値のうちの最も不利な設定値の数値が一致する。そのため、現在の設定値の示唆を遊技者に認識させ易くすることができる。
【0199】
また、本実施形態における振動設定示唆演出は、最終的な振動回数が段階的に設けられているため、段階的に進行する演出であると言える。
さらに、上述の通り、振動設定示唆演出において、2回目の振動が発生する段階では、現在の設定値が設定値2以上であることが確定し、5回目の振動が発生する段階では、現在の設定値が設定値5以上であることが確定し、さらに、6回目の振動が発生する段階では、現在の設定値が設定値6であることが確定する。一方、4回目および5回目の振動が発生する段階では、2回目の振動が発生した段階から、現在の設定値の候補をさらに絞り込みことができない。
すなわち、振動設定示唆演出は、段階が進行する一部で、現在の設定値を示唆する精度が高まる演出であると言え、これにより、遊技の興趣を高めることができる。
【0200】
この効果を奏するにあたっては、振動設定示唆演出のように段階が進行する一部で現在の設定値を示唆する精度が高まることが好ましいが、当該演出の各段階で当該精度が高まるようにしてもよい。
ここで、段階の進行によって現在の設定値を示唆する精度が高まるとは、本実施形態のように、所定の段階となることによって現在の設定値の候補数が減ることに限らない。例えば、或る設定値において所定の段階となる割合と、別の設定値において当該所定の段階となる割合と、の差(所定の段階となるにあたっての設定差)が、当該或る設定値において当該所定の段階の直前の段階となる割合と、当該別の設定において当該直前の段階となる割合と、の差よりも大きくなる等、結果として現在の設定値を推測し易くなれば、その要因は問わない。なお、段階の進行によって現在の設定値を示唆する精度が高まるとは、現在の設定値の示唆とならない段階から、現在の設定値の示唆となる段階となることも含む。
【0201】
さらに、この効果を奏するにあたっては、振動設定示唆演出のように、触覚を通して知覚可能な刺激によって段階の進行を遊技者に認識させる演出であることが好ましいが、視覚や聴覚等、触覚以外で段階の進行を認識させる演出であってもよい。
さらに、振動設定示唆演出は、本実施形態における段階数(6段階)に限らず、2以上の段階数を有していればよい。
【0202】
また、本実施形態における振動設定示唆演出では、段階の進行によって現在の設定値の候補数が増えることがない。すなわち、振動設定示唆演出では、段階の進行によって現在の設定値を示唆する精度が低くなることがない。そのため、遊技の興趣をより高めることができる。
【0203】
また、上述の通り、本実施形態における振動設定示唆演出では、現在の設定値が2以上であることが確定する2回目の振動が発生する段階と、現在の設定値が設定値5以上であることが確定する5回目の振動が発生する段階と、の間には、現在の設定値が2以上であることが確定する段階、すなわち、現在の設定値を示唆する精度が変化しない段階が存在する。
これにより、現在の設定値を示唆する精度が高める段階への進行に対する期待感を高め、遊技の興趣をより高めることができる。
【0204】
また、本実施形態とは異なるが、例えば、設定変更フラグがONの場合に、設定変更フラグがOFFの場合よりも振動設定示唆演出の振動回数抽選で多い回数が当選するようにし、振動設定示唆演出の段階の進行によって、設定変更処理によって別の設定値が設定されたか設定変更処理が実行されなかったかを少なくとも示唆するようにしてもよい。
このようにしても、遊技の興趣を高めることができる。
特に、本実施形態と同様に、設定変更フラグがOFFである場合に、振動回数として6回が決定されないようにし、設定変更フラグがONである場合に、振動回数として6回が決定され得るようにすることが好ましい。
【0205】
なお、上述の振動設定示唆演出の実行抽選および振動回数抽選では、後述する振動大当り示唆演出とは異なり、決定された特図変動パターンが参照されない。
そのため、振動設定示唆演出は、大当り当選期待度を示唆しない演出であると言える。
【0206】
<振動設定示唆演出における振動発生の流れについて>
次に、
図21(a)〜
図21(f)に示す通り、振動設定示唆演出では、決定された振動回数に関わらず、1回目の振動は、振動設定示唆演出が開始されてから期間T0(本実施形態では、1200ms)が経過したタイミングで開始され(発生し)、2回目の振動、3回目の振動、および4回目の振動は、直前の振動が終了したタイミングから期間T1(本実施形態では、300ms)が経過したタイミングで開始される。そして、5回目の振動は、4回目の振動が終了したタイミングから期間T2(本実施形態では、600ms)が経過したタイミングで開始される。さらに、6回目の振動は、5回目の振動が終了したタイミングから期間T3(本実施形態では、900ms)が経過したタイミングで開始される。
【0207】
このように、本実施形態では、期間T2は、期間T1よりも長い期間となるため、設定値2以上であることが確定する2回目の振動が発生するか否かを期待させる期間よりも、5回目の振動が発生するか否かを期待させる期間を長くし、設定値2よりも有利度が高い設定値5以上が確定する5回目の振動の発生に対する期待感をより高めることができる。これにより、遊技の興趣を高めることができる。
なお、本実施形態における、期間T1、期間T2、および期間T3は、時間によって長さが定まる期間であるが、この効果を奏するにあたり、これらの期間は、必ずしも時間によって長さが定まる期間に限らない。例えば、これらの期間を、演出ボタン37の操作回数によって長さが定まる期間とする等、これらの期間が共通の基準で定まる期間であれば、これらの期間の長短の関係を担保できるため、当該共通の基準の内容は問わない。
【0208】
また、期間T3は、期間T2よりも長い期間となるため、5回目の振動が発生するか否かを期待させる期間よりも、設定値5よりも有利度が高い設定値6が確定する6回目の振動が発生するか否かを期待させる期間を長くし、6回目の振動の発生に対する期待感をより高めることができる。これにより、遊技の興趣をより高めることができる。
【0209】
さらに、期間T0は、期間T2よりも長い期間となるため、振動設定示唆演出における振動をより認識させ易くすることができ、当該効果は、演出ボタン37を振動させるにあたって演出ボタン37が操作されていることを要する後述の機能を有している際により顕著になる。
【0210】
続いて、
図22(a)〜
図22(c)は、いずれも、振動回数として6回が決定された場合の例が示されており、これらの図では、振動設定示唆演出の実行期間における演出ボタンセンサ37aの状態が互いに異なる。
具体的には、
図22(a)では、振動設定示唆演出が開始された直後から当該振動設定示唆演出が終了する直前まで、演出ボタンセンサ37aがON(演出ボタンが押下されている状態)となっており、当該振動設定示唆演出では、1回目から6回目までの演出ボタン37の振動のすべてが発生している。
図22(b)では、振動設定示唆演出が実行されている期間の最初から最後まで、演出ボタンセンサ37aがOFF(演出ボタンが押下されていない状態)となっており、当該振動設定示唆演出では、1回目から6回目までの演出ボタン37の振動のすべてが発生していない。なお、
図22(b)における破線は、後述する
図22(c)を含め、振動設定示唆演出において発生が予定されていたが、発生しなかった演出ボタン37の振動を示している。
図22(c)では、振動設定示唆演出が実行されてから5回目の演出ボタン37の振動の発生が予定されていたタイミングとなる手前まで、演出ボタンセンサ37aがOFFとなり、かつ当該タイミングから振動設定示唆演出が終了する直前まで、演出ボタンセンサ37aがONとなっている。そして、当該振動設定示唆演出では、1回目〜4回目の演出ボタン37の振動が発生せず、5回目および6回目の振動が発生している。
【0211】
このように、本実施形態では、振動設定示唆演出における演出ボタン37の各振動は、演出ボタンセンサ37aがON、すなわち、演出ボタン37が押下されていることを条件に発生する。
これにより、振動設定示唆演出における演出ボタン37の振動を、触覚を通して知覚させ易くし、現在の設定値の示唆を誤認させ難くすることができる。
【0212】
よって、遊技機10において、第一の演出(振動設定示唆演出)は、所定の操作手段(演出ボタン37)が操作されているときには実行される一方、所定の操作手段が操作されていないときには実行されない演出であると換言できる。
【0213】
<振動設定示唆演出における操作促進演出の態様について>
次に、
図23(a)および
図23(b)に示す通り、上述の振動設定示唆演出における操作促進演出の態様には、ボタン画像bgが白色になる態様と、ボタン画像bgが赤色になる態様と、の2種類が存在する。
そして、これらの態様のうちのいずれの態様となるかは、今回の図柄変動において導出された大当りの種類(通常大当りまたは確変大当り)に依存する。
【0214】
具体的には、
図23(c)に示す通り、振動設定示唆演出における操作促進演出の態様を決定する操作促進演出の態様抽選(当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999)では、今回の図柄変動において導出された大当りが通常大当りである場合には、600/1000(約1/1.67)の確率で白色のボタン画像bg(白ボタン)が決定され、400/1000(1/2.5)の確率で赤色のボタン画像bg(赤ボタン)が決定される。
一方、今回の図柄変動において導出された大当りが確変大当りである場合には、400/1000(1/2.5)の確率で白色のボタン画像bg(白ボタン)が決定され、400/1000(約1/1.67)の確率で赤色のボタン画像bg(赤ボタン)が決定される。
なお、振動設定示唆演出に係る操作促進演出の態様抽選では、現在の設定値や設定変更フラグの状態が参照されない。
【0215】
このように、振動設定示唆演出における操作促進演出は、その態様によって、今回の図柄変動において導出された大当りの種類を示唆する演出であると言える。
これにより、振動設定示唆演出における演出ボタン37の操作を促す操作促進演出に注目させ、結果として振動設定示唆演出における振動を認識させ易くすることができる。
なお、この効果を奏するにあたって、振動設定示唆演出における操作促進演出が示唆する対象は、今回の図柄変動において導出された大当りの種類に限らない。例えば、今回の大当りに係る大当り遊技が開始された時点で保留されている図柄変動における大当り当選(いわゆる保留連)の有無や、今回の大当りにおけるラウンド数の多少等、大当りに係る有利度であればよい。
また、この効果を奏するにあたっては、振動設定示唆演出が実行される場合に必ず操作促進演出が実行されることが好ましいが、振動設定示唆演出が実行される場合の一部で操作促進演出が実行されるようにしてもよい。
【0216】
よって、遊技機10において、第二の演出制御手段(第1副制御基板200および第2副制御基板300)は、所定の操作手段(演出ボタン37)の操作を促す演出であって大当りに係る有利度を示唆する演出である第三の演出(振動設定示唆演出における操作促進演出)を、第二の演出手段(メイン表示部81)に実行させることが可能なものであって、第一の演出(振動設定示唆演出)が実行されるときの少なくとも一部で、第三の演出を実行させるものであると換言できる。
【0217】
<振動大当り示唆演出について>
次に、
図24〜
図27を用いて、振動大当り示唆演出の詳細を説明する。
なお、
図24は、振動大当り示唆演出の具体例を示す図であり、
図25は、振動大当り示唆演出の振動種別抽選に用いられる抽選テーブルを模式的に示す図である。また、
図26は、振動設定示唆演出と振動大当り示唆演出との実行タイミングの関係性を示す図であり、
図27(a)および
図27(b)は、演出ボタンセンサ37aの状態に応じた振動大当り示唆演出における振動発生の流れを示す図である。
ここで、本実施形態における実行タイミングとは、実行期間と同義であり、対象となる演出の実行が開始されて(対象となる演出の実行の開始タイミング)から、当該演出が終了するまでのタイミングを指す。
【0218】
図24は、特図当否判定の結果が大当りとなり、かつ疑似変動の回数が3回となる図柄変動において、振動大当り示唆演出(演出ボタン37の振動)が実行される例が示されている。
この例では、図柄変動が開始されたタイミング(1回目の疑似変動が開始されたタイミング)で1回目の振動大当り示唆演出が、2回目の疑似変動が開始されたタイミングで2回目の振動大当り示唆演出が、3回目の疑似変動が開始されたタイミングで3回目の振動大当り示唆演出が、実行(開始)されている。そして、最後の振動大当り示唆演出の実行が終了した後に、大当り告知がなされる(上述の演出遮蔽体閉鎖演出に成功する)。
また、振動大当り示唆演出が開始された各タイミングは、疑似変動が開始されたタイミングであるため、これらのタイミングでは、
図24下部の、左側、真ん中、および右側に示す通り、メイン表示部81の表示領域では、装飾図柄の変動が開始されている。
【0219】
このように、本実施形態における振動大当り示唆演出は、実行が決定された場合には、決定された特図変動パターンに関わらず、疑似変動の開始タイミング(大当りが導出された図柄変動では、大当り告知がなされる前となる)で開始される。
なお、振動大当り示唆演出の実行有無は、後述する振動大当り示唆演出の振動種別を決定する振動種別抽選と同時に決定される。
【0220】
また、上述の通り、疑似変動の回数が大きくなるにつれて大当り当選の期待度が高まる。そのため、本実施形態では、振動大当り示唆演出に係る演出ボタン37の振動の発生回数が多くなるほど、大当り当選の期待度が高まるといえる。
【0221】
次に、振動大当り示唆演出の振動種別抽選(当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜999)では、
図25に示す抽選テーブルと、決定された特図変動パターンと、を参照し、振動なし、弱振動ロング、強振動ショート、強振動ロングのいずれかが決定され、特図変動パターンごとの各抽選結果に対応する抽選値は、
図25に示す通りである。
具体的には、疑似変動の回数が同じとなる特図変動パターン内では、特図当否判定結果が大当りの場合に対応する特図変動パターンが決定された場合には、特図当否判定の結果がハズレの場合に対応する特図変動パターンが決定された場合よりも、振動なしに当選する確率が低い(弱振動ロング、強振動ショート、または強振動ロングに当選する確率が高い)。
すなわち、演出ボタン37の振動を用いた振動大当り示唆演出は、大当りの当選期待度を示唆する演出であると言える。
【0222】
ここで、上述の通り、本実施形態における振動大当り示唆演出の開始タイミングである疑似変動の開始タイミングは、大当り告知がなされるタイミングよりも前のタイミングとなるため、上述の振動設定示唆演出の開始タイミング(大当り告知がなされるタイミングよりも後のタイミング)とは異なり、かつ双方の演出の実行期間は重複しない。
さらに、振動設定示唆演出における振動種別は、弱振動ショートとなり、振動大当り示唆演出で決定され得る振動種別(振動種別弱振動ロング、強振動ショート、または強振動ロング)のいずれとも異なる。
そのため、設定示唆演出である振動設定示唆演出と、大当り当選期待度を示唆する振動大当り示唆演出と、を演出ボタン37によって実行しつつも、現在の設定値の示唆の誤認を発生し難くすることができる。
なお、この効果を奏するにあたっては、開始タイミングおよび振動種別の双方を異ならせることが好ましいが、開始タイミングおよび示唆種別のいずれか一方を異ならせるようにしてもよい。
【0223】
よって、遊技機10において、第一の演出制御手段(第1副制御基板200)は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって大当りの当選期待度を示唆する演出である第二の演出(振動大当り示唆演出)を、第一の演出手段(演出ボタン37)に実行させることが可能なものであり、第一の演出(振動設定示唆演出)は、実行タイミングおよび態様の少なくともいずれか一方が、第二の演出とは異なる演出であると換言できる。
【0224】
特に、本実施形態では、大当りが導出された図柄変動では、振動設定示唆演出および振動大当り示唆演出の双方が実行され得る。
さらに、
図26に示す通り、振動設定示唆演出は、当該図柄変動内の大当り告知がなされるタイミングよりも後のタイミングで実行され、振動大当り示唆演出は、当該図柄変動内容の大当り告知がなされるタイミングよりも前のタイミングで実行される。
そのため、現在の設定値の示唆の誤認をより発生し難くすることができる。
なお、大当り告知がなされるタイミングが複数ある場合には、これらのタイミングのうちの最先のタイミングとすることが好ましいが、これらのタイミングのうちのいずれかのタイミングを、本実施形態に係る大当り告知がなされるタイミングとしてもよい。
【0225】
よって、遊技機10において、第一の演出制御手段(第1副制御基板200)は、大当りに当選したと判定される図柄変動の少なくとも一部である所定の図柄変動の実行中に、第一の演出(振動設定示唆演出)および第二の演出(振動大当り示唆演出)の双方を実行させるものであり、第二の演出は、所定の図柄変動の実行中に、大当りに当選したことを遊技者が特定可能となる所定のタイミングよりも前のタイミングにおいて、実行される演出であり、第一の演出は、所定の図柄変動の実行中に、所定のタイミング、または所定のタイミングよりも後のタイミングにおいて、実行される演出であると換言できる。
【0226】
なお、振動大当り示唆演出の振動種別抽選では、上述の振動設定示唆演出の実行抽選や振動回数抽選とは異なり、現在の設定値や設定変更フラグの状態が参照されない。
そのため、振動大当り示唆演出は、現在の設定値を示唆しない演出であると言えるとともに、設定変更処理によって別の設定値が設定されたか設定変更処理が実行されなかったかを示唆しない演出であると言える。
【0227】
次に、
図27(a)および
図27(b)は、いずれも、疑似変動の回数が3回となる図柄変動において振動大当り示唆演出が実行された場合の例が示されており、これらの図では、振動大当り示唆演出の実行期間における演出ボタンセンサ37aの状態が互いに異なる。
具体的には、
図27(a)では、最初の振動大当り示唆演出が開始される直前から最後の振動大当り示唆演出が終了する直前まで、演出ボタンセンサ37aがON(演出ボタンが押下されている状態)となっており、この場合には、すべての疑似変動の開始タイミングにおいて演出ボタン37の振動が発生している。
一方、
図27(b)では、最初の振動大当り示唆演出が開始される直前からから最後まで、演出ボタンセンサ37aがOFF(演出ボタンが押下されていない状態)となっており、この場合にも、すべての疑似変動の開始タイミングにおいて演出ボタン37の振動が発生している。
【0228】
このように、本実施形態では、振動大当り示唆演出における演出ボタン37の振動は、演出ボタンセンサ37aの状態に関わらず実行される。
これにより、振動設定示唆演出における演出ボタン37の振動を、触覚を通して知覚させ易くし、現在の設定値の示唆を誤認させ難くすることができる。
【0229】
よって、遊技機10において、第一の演出制御手段(第1副制御基板200)は、第二の演出(振動大当り示唆演出)を実行させるにあたっては、所定の操作手段(演出ボタン37)が操作されているか否かに関わらず、当該第二の演出を実行させるものであると換言できる。
【0230】
<演出遮蔽体閉鎖演出における操作促進演出について>
次に、
図28を用いて、演出遮蔽体閉鎖演出における操作促進演出について説明する。なお、
図28は、演出遮蔽体閉鎖演出における操作促進演出の具体例を示す図であり、この具体例では、演出遮蔽体閉鎖演出に成功する場合を挙げている。
上述の通り、発展演出において実行される上述の演出遮蔽体閉鎖演出では、
図6(b)に示した演出遮蔽体83によってメイン表示部81の一部が遮蔽されている状態から、
図6(c)に示した演出遮蔽体83によってメイン表示部81の全体が遮蔽されている状態となるか、
図6(b)に示した状態から、
図6(a)に示した演出遮蔽体83が初期位置にある状態となるか、によって、当該発展演出が実行された図柄変動において大当りが導出されたか否かが報知される。
【0231】
この演出遮蔽体閉鎖演出では、
図28の下部左側に示す通り、
図6(b)に示した状態において、メイン表示部81の表示領域の演出遮蔽体83に遮蔽されていない領域において、操作促進演出が実行される。
この場合の操作促進演出も、
図19で示した振動設定示唆演出における操作促進演出と同様に、メイン表示部81の表示領域に、演出ボタン37を模したボタン画像bgが表示されるとともに、「押せ!」との文字が表示されている。さらに、この時、演出ボタン37が振動し得るが、当該ボタン画像bgが、演出ボタン37の振動に合わせた態様(本実施形態では、小刻みに揺れる態様)になる点が、振動設定示唆演出における操作促進演出とは異なる。
なお、演出ボタン37の振動に合わせた態様とは、本実施形態の態様に限らず、演出ボタン37の振動が発生したタイミングでボタン画像bgの態様が変化することを指し、その態様は問わない。
【0232】
よって、遊技機10において、第二の演出制御手段(第1副制御基板200および第2副制御基板300)は、振動手段(振動アクチュエータ37b)による所定の操作手段(演出ボタン37)の振動に合わせた態様となる第四の演出(演出遮蔽体閉鎖演出における操作促進演出)を、第二の演出手段(メイン表示部81)に実行させるときがあると換言できる。
【0233】
<他の変形例について>
以上の説明に記載されていない変形例について、以下に列挙する。
【0234】
まず、上述の振動設定示唆演出は、本実施形態のように、特図当否判定の結果が大当りとなった図柄変動においてのみ実行されることが好ましいが、当該演出を、特図当否判定の結果がハズレとなった図柄変動において実行するようにしてもよい。
【0235】
また、本実施形態では、触覚を通して知覚可能な刺激を与えるデバイスとして、遊技者が操作可能なデバイスを採用したが、これに限らず、操作を要しないデバイスを採用してもよい。
さらに、遊技者が操作可能なデバイスを採用する場合には、演出用のボタンに限らず、操作ハンドル等、遊技者が操作可能なデバイスであれば、いずれのデバイスを採用してもよい。
【0236】
また、本実施形態では、触覚を通して知覚可能な刺激として、振動を採用したが、これに限らず、音圧や風圧等、遊技者が触覚を通して知覚可能な刺激であれば、いずれを採用してもよい。
【0237】
また、本実施形態における振動設定示唆演出は、振動回数によって現在の設定値を示唆しているが、これに限らない。例えば、振動の継続時間、振動の強弱、振動間隔のパターン(振動発生のリズム)、およびこれらの組合せ等、遊技者が違いを認識可能なものであれば、いずれの振動態様を採用してもよい。
【0238】
また、本実施形態およびその変形例における確率、割合、頻度の高低は、各関係性が担保されていれば、低い方が当選しないようにしてもよいし、高い方が必ず当選するようにしてもよい。いずれの場合も抽選自体を行わないようにしてもよい。
さらに、本実施形態において図示した抽選テーブルにおける各抽選値は一例であって、抽選テーブル同士の大小関係が維持されていれば、各抽選値は当該範囲において任意の値を採用してもよい。
【0239】
また、上述の説明では、復電時のRAMクリアスイッチ43の態様を参照して復電時の復帰状態を決定しているが、復電時からのRAMクリアスイッチ43の連続操作時間が規定時間(例えば、3s)を超えるか否かを参照するようにしてもよい。このようにすれば、誤ったRAMクリア処理の発生をより抑えることができる。
【0240】
また、上述の説明では、復電時の復帰状態を決定するにあたり、中枠開扉センサ76の状態(中枠17の開閉状態)を参照していたが、当該状態を参照せずに復帰状態を設定するようにしてもよい。この場合には、一律に、中枠開扉センサ76がON(中枠17が開放状態)の場合に従って復電時の復帰状態を設定すればよい。
【0241】
また、主制御基板モニタ97に表示する遊技機の性能に関する表示としては、上述のベース値に限らず、いわゆる「役物比率」や「役物連続比率」等の遊技機の性能(設計値)を評価するための指標であれば、いずれの指標を採用してもよい。
【0242】
以上で説明した本発明は、上述の説明に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0243】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)
始動口への遊技球の入賞に基づいて図柄変動を実行可能であり、図柄変動において大当りに当選するか否かを判定し、複数段階の設定値から一の設定値を設定し、設定されている前記設定値によって前記大当りに当選する確率が定まる遊技機であって、
触覚を通して知覚可能な刺激を遊技者に与えることが可能な第一の演出手段と、
前記第一の演出手段を制御する第一の演出制御手段と、を備え、
前記第一の演出制御手段は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって設定されている前記設定値を示唆する演出である第一の演出を、前記第一の演出手段に実行させることが可能なものであることを特徴とする遊技機。
(2)
上記(1)に記載の遊技機であって、
前記第一の演出制御手段は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって前記大当りの当選期待度を示唆する演出である第二の演出を、前記第一の演出手段に実行させることが可能なものであり、
前記第一の演出は、実行タイミングおよび態様の少なくともいずれか一方が、前記第二の演出とは異なる演出であることを特徴とする遊技機。
(3)
上記(2)に記載の遊技機であって、
前記第一の演出制御手段は、前記大当りに当選したと判定される図柄変動の少なくとも一部である所定の図柄変動の実行中に、前記第一の演出および前記第二の演出の双方を実行させるものであり、
前記第二の演出は、前記所定の図柄変動の実行中に、前記大当りに当選したことを遊技者が特定可能となる所定のタイミングよりも前のタイミングにおいて、実行される演出であり、
前記第一の演出は、前記所定の図柄変動の実行中に、前記所定のタイミング、または前記所定のタイミングよりも後のタイミングにおいて、実行される演出であることを特徴とする遊技機。
(4)
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の遊技機であって、
第二の演出手段と、
前記第二の演出手段を制御する第二の演出制御手段と、を備え、
前記第一の演出手段は、所定の操作手段と、前記所定の操作手段を振動させる振動手段と、で構成されるものであり、
前記第一の演出制御手段は、前記振動手段を制御することで、前記第一の演出を実現するものであり、
前記第二の演出制御手段は、
前記所定の操作手段の操作を促す演出であって前記大当りに係る有利度を示唆する演出である第三の演出を、前記第二の演出手段に実行させることが可能なものであって、
前記第一の演出が実行されるときの少なくとも一部で、前記第三の演出を実行させるものであることを特徴とする遊技機。
(5)
上記(4)に記載の遊技機であって、
前記第二の演出制御手段は、
前記振動手段による前記所定の操作手段の振動に合わせた態様となる第四の演出を、前記第二の演出手段に実行させるときがあり、
前記第一の演出が実行されている期間では、前記第四の演出を実行させないものであることを特徴とする遊技機。
(付記a)
前記第一の演出は、前記所定の操作手段が操作されているときには実行される一方、前記所定の操作手段が操作されていないときには実行されない演出であることを特徴とする遊技機。
(付記b)
付記aに記載の遊技機であって、
前記第一の演出制御手段は、前記第二の演出を実行させるにあたっては、前記所定の操作手段が操作されているか否かに関わらず、該第二の演出を実行させるものであることを特徴とする遊技機。
(付記c)
始動口への遊技球の入賞に基づいて図柄変動を実行可能であり、図柄変動において大当りに当選するか否かを判定し、複数段階の設定値から一の設定値を設定し、設定されている前記設定値によって前記大当りに当選する確率が定まり、設定されている前記設定値を変更する設定変更処理を実行可能である遊技機であって、
触覚を通して遊技者に情報を伝達可能な第一の演出手段と、
前記第一の演出手段を制御する第一の演出制御手段と、を備え、
前記第一の演出制御手段は、遊技者の触覚によって識別可能な演出であって前記設定変更処理によって別の前記設定値が設定されたか前記設定変更処理が実行されなかったかを少なくとも示唆する演出である第一の演出を、前記第一の演出手段に実行させることが可能なものであることを特徴とする遊技機。