【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、涙器システムに関する医療介入の分野にある。本発明は、眼、洞、および/または眼周囲組織への薬物送達のための、涙器システム、デバイス、およびそのデバイスを使用する方法に関する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、a)出口ポートを有するリザーバーバルーン;b)前記出口ポートに流体連結された少なくとも1つの管腔を含むチューブ;c)前記チューブに流体連結されたポートを含むエンドキャップ;およびd)前記チューブの管腔内にあるプラグを含む、薬物送達のための涙器システムに関する。一実施形態では、前記システムは、潤滑剤をさらに含む。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記システムは、涙器システム内への前記システムの送達を可能にするガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記ガイドワイヤーは、管腔内を縫って進む。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、活性成分を有する組成物を含む流体をさらに含む。一実施形態では、前記システムは、前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む。一実施形態では、前記排出トラックは、涙を眼の表面から涙嚢内に、それを越えて流すように設計される。一実施形態では、前記プラグは、管腔を塞ぐ。一実施形態では、前記プラグは、シリコーンヒドロゲルを含む。一実施形態では、プラグは、非シリコーンヒドロゲルプラグである。一実施形態では、プラグは、ナノ球体、微小球、フィルター膜、多孔質膜、フォームなどの多孔質材料、および流体を周囲に流すテクスチャ付き外面を備えたポリマーなどの固体材料などを含む群から選択されてもよい。一実施形態では、プラグは、溝を備えた材料を含む。一実施形態では、前記溝は、流れに関する流量制限蛇行経路である。一実施形態では、前記プラグは、ウィッキング材料を含む。一実施形態では、前記プラグは、前記リザーバーバルーンから前記エンドキャップへの流体の流量を制御する。一実施形態では、前記プラグは前記エンドキャップの表面を越えて延びる。一実施形態では、前記プラグは前記エンドキャップの表面を越えて1〜200ミクロン延びる。一実施形態では、前記チューブは柔軟性である。一実施形態では、プラグは、エンドキャップをちょうど越えた箇所からリザーバーバルーンまでの距離にわたる。一実施形態では、プラグは、エンドキャップからリザーバーバルーンまでの、1/32の距離から全距離の間のどこを占有していてもよい。一実施形態では、チューブは、医療グレードのシリコーンを含む。一実施形態では、システムはチューブを持たず、むしろエンドキャップからリザーバーバルーンまでの距離にわたるプラグのみを含む。一実施形態では、プラグは、流量制限棒を含む。一実施形態では、前記プラグは無色である。一実施形態では、前記プラグは着色されている。一実施形態では、前記プラグは少なくとも1種の蛍光化合物を含む。一実施形態では、前記少なくとも1種の蛍光化合物は、特定の波長の光に曝露された後に蛍光を発する。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、解剖学的に固定することが可能である。一実施形態では、固定は、近位総涙小管の直径を越えて膨張するバルーンによって実現され、したがって元の近位涙液流出システム内への押出しが防止される。一実施形態では、前記解剖学的固定は、システム保持フィーチャーである。一実施形態では、システムは、前記システムの外部長さを延びる2次ガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、システムは、リザーバーバルーンに押さえ構造を与える、剛性であるが柔軟性のある「アンダーワイヤー」をさらに含む。一実施形態では、膨張システムは、エンドキャップの近位に接続する。一実施形態では、リザーバーバルーンは実質的に弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは半弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは実質的に非弾性である。一実施形態では、前記システムは、医療グレード材料で作製される。一実施形態では、前記チューブは、プラグ(ヒドロゲル)、ガイドワイヤー、または膨張管腔がそれぞれ別の管腔になるように、多数の管腔を含む。好ましい実施形態では、3種(ヒドロゲルプラグ、ガイドワイヤー、およびリザーバーバルーン膨張管腔)全てが、同じ管腔を利用する。一実施形態では、ヒドロゲル/プラグは膨張管腔を経て送達される。一実施形態では、前記ヒドロゲルプラグは、バルーンの拡張が長いアクセスにおいて制限され、代わりにバルーンの拡張が側面に推進されるように、リザーバーバルーンの底部(遠位部)に繋ぎ止められる。
【0007】
一実施形態では、本発明は、a)出口ポートを有するリザーバーバルーン;b)前記出口ポートに流体連結されたプラグ;およびc)前記プラグに流体連結されたポートを含むエンドキャップを含む、薬物送達のための涙器システムに関する。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、活性成分を有する組成物を含む流体をさらに含む。一実施形態では、前記システムは、前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む。一実施形態では、前記プラグはシリコーンヒドロゲルを含む。一実施形態では、前記プラグはウィッキング材料を含む。一実施形態では、前記プラグは、前記リザーバーバルーンから前記エンドキャップへの流体の流量を制御する。一実施形態では、前記プラグは前記エンドキャップの表面を越えて延びる。一実施形態では、前記プラグは前記エンドキャップの表面を1〜200ミクロン越えて延びる。一実施形態では、前記プラグは柔軟性である。一実施形態では、前記プラグは無色である。一実施形態では、前記プラグは着色されている。一実施形態では、前記プラグは少なくとも1種の蛍光化合物を含む。一実施形態では、前記少なくとも1種の蛍光化合物は、特定の波長の光に曝露された後に蛍光を発する。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、解剖学的に固定することが可能である。一実施形態では、前記解剖学的固定は、システム保持フィーチャーである。一実施形態では、前記システムは医療グレード材料で作製される。一実施形態では、前記システムは、潤滑剤をさらに含む。一実施形態では、前記システムは、涙器システム内への前記システムの送達を可能にするガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、充填は、少なくとも1種の活性成分を有する前記組成物を前記チューブを通して導入することを含む。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含み、前記プラグは、前記システムの前記エンドキャップから前記リザーバーバルーンまでの距離にわたる最終位置を得る。一実施形態では、前記システムは、前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む。一実施形態では、前記排出トラックは、涙を眼の表面から涙嚢内に、それを越えて流すように設計される。一実施形態では、前記プラグは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記管腔内での前記プラグの位置決めは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、解剖学的固定を可能にする。一実施形態では、固定は、近位総涙小管の直径を越えて膨張するバルーンによって実現され、したがって元の近位涙液流出システム内への押出しが防止される。一実施形態では、前記解剖学的固定は、システム保持フィーチャーである。一実施形態では、システムは、前記システムの外部長さを延びる2次ガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、システムは、リザーバーバルーンに押さえ構造を与える、剛性であるが柔軟性のある「アンダーワイヤー」をさらに含む。一実施形態では、膨張システムは、エンドキャップの近位に接続する。一実施形態では、リザーバーバルーンが実質的に弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンが半弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンが実質的に非弾性である。一実施形態では、前記システムは医療グレード材料で作製される。一実施形態では、ヒドロゲル/プラグは、前記ガイドワイヤーに取着される。一実施形態では、前記ヒドロゲルプラグは、バルーンの拡張が長いアクセスにおいて制限され、代わりにバルーンの拡張が側面に推進されるように、リザーバーバルーンの底部(遠位部)に繋ぎ止められる。
【0008】
一実施形態では、本発明は、a)i)涙点、涙管、および涙嚢を含む対象、ii)涙液薬物送達システムであって、A)出口ポートを有するリザーバーバルーンであって、前記涙嚢内に挿入することができるリザーバーバルーン、B)前記出口ポートに流体連結された少なくとも1つの管腔を含むチューブであって、涙管の少なくとも1つを通って前記弾性リザーバーから延びるチューブ、C)前記チューブの末端に流体連結されたポートを含むエンドキャップであって、眼の涙膜に接触して前記涙点とのインターフェースをとるエンドキャップ、およびD)システムの前記チューブの管腔内にあるプラグを含む涙液薬物送達システムを用意するステップと、b)涙器システムに前記薬物送達システムを挿入するステップと;c)前記リザーバーバルーンに、少なくとも1種の活性成分を有する組成物を充填するステップと;d)前記涙器システム薬物送達システムを使用して前記対象に前記組成物を投与するステップとを含む、処置の方法に関する。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1種の活性成分を有する前記組成物は、治療剤をさらに含む。一実施形態では、充填は、少なくとも1種の活性成分を有する前記組成物を前記チューブを通して導入することを含む。一実施形態では、ステップc)は、前記プラグに取着された前記ガイドワイヤーを除去することをさらに含み、前記プラグは、前記システムのエンドキャップに至るまで前記システムの管腔内に最終位置を得る。一実施形態では前記システムは、前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む。一実施形態では、前記排出トラックは、涙を眼の表面から涙嚢内に、それを越えて流すように設計される。一実施形態では、前記プラグは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記管腔内での前記プラグの位置決めは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、プラグは、エンドキャップをちょうど越えた箇所からリザーバーバルーンまでの距離に及ぶ。一実施形態では、プラグは、エンドキャップからリザーバーバルーンまでの、1/32の距離から全距離の間のどこを占有していてもよい。一実施形態では、チューブは、医療グレードシリコーンを含む。一実施形態では、システムはチューブを持たず、むしろエンドキャップからリザーバーバルーンまでの距離にわたるプラグのみ含む。一実施形態では、プラグは流量制限棒を含む。一実施形態では、前記ガイドワイヤーは、中心開放管腔を含む。一実施形態では、前記ガイドワイヤーは、前記システムを所定位置に送達する前記システムの管腔を占有する。一実施形態では、前記中心開放管腔は柔軟性である。一実施形態では、前記中心開放管腔は、バルーンリザーバー内の遠位に直接流体を注入することが可能である。別の実施形態では、送達システムは、システムの内部特性によって強化される。一実施形態では、システムは、前記システムの外部長さを延びる2次ガイドワイヤーを含む。一実施形態では、システムは、リザーバーバルーンに押さえ構造を与える、剛性であるが柔軟性のある「アンダーワイヤー」をさらに含む。一実施形態では、膨張システムはエンドキャップの近位に接続する。一実施形態では、リザーバーバルーンは、実質的に弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは半弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは実質的に非弾性である。一部の実施形態では、システムは、前記リザーバーバルーン上に配置される保護スリーブを含む。一実施形態では、前記スリーブは、漏れが鼻管またはその他の組織区画に進入するのを防止する。一実施形態では、前記システムは、使用者(医師または患者)による検出および位置の確認が可能になるように、蛍光材料または着色剤を含有する。一実施形態では、方法は、前記リザーバーバルーンに、治療剤または医薬を充填することをさらに含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、眼の周囲の洞内に埋め込まれる。一実施形態では、涙点部分またはエンドキャップは、リザーバーバルーンへの医薬の充填を可能にするが、リザーバーバルーンは洞内に在り、薬物を、プラグを通して眼の涙膜に送達することが可能になる。一実施形態では、前記バルーンリザーバーの拡張が少なくとも500%である。一実施形態では、前記バルーンリザーバーの拡張が少なくとも700%である。一実施形態では、前記膨張したバルーンリザーバーのそのような体積は、少なくとも100マイクロリットルである。このようにすることができるバルーンに多くのタイプはない。一実施形態では、前記バルーンリザーバーはシリコーンを含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、解剖学的固定を可能にする。一実施形態では、固定は、近位総涙小管の直径を越えて膨張するバルーンによって実現され、したがって、元の近位涙液流出システム内への押出しが防止される。一実施形態では、前記解剖学的固定は、システム保持フィーチャーである。一実施形態では、前記プラグは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記管腔内での前記プラグの位置決めは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記活性成分は、人工涙液、緑内障点眼液、抗炎症剤、非ステロイド剤、抗生剤、生物学的製剤、タンパク質、アプタマー、核酸、サイトカイン、血漿、交感神経様作用薬(sympahtomemetics)、副交感神経様作用薬(parasympathomemetics)、プロスタグランジン類似体、ベータ遮断薬、アルファ−アゴニスト、および抗VEGF剤からなる。一実施形態では、前記システムから出る前記流体の流れは、処置が必要とされないと考えられる(例えば睡眠中)、1日の所与の時間での流れが減少するように、操作者(患者または医師)が前記プラグを調整することによって制御される。一実施形態では、リザーバーバルーンは、最短でも1週間にわたり、1日当たり0.1マイクロリットルから30.0マイクロリットルの間の固定速度で、流体+/−活性成分を眼の表面に送達することになる。別の実施形態では、送達は、最短で60日間実現される。
【0009】
一実施形態では、本発明は、a)i)涙点、涙管、および涙嚢を含む対象、ii)A)少なくとも1種の活性成分を有する組成物を含む、出口ポートを有するリザーバーバルーンであって、前記涙嚢内に挿入することができるリザーバーバルーン、B)涙管の少なくとも1つを経て前記弾性リザーバーから延びる、前記出口ポートに接続された管腔を含むチューブ、C)前記チューブの末端に連結されたポートを含むエンドキャップであって、眼の涙膜に接触して前記涙点とのインターフェースをとるエンドキャップ、およびD)システムの前記チューブの管腔内にあるプラグを含む涙液薬物送達システムを用意するステップと、b)涙器システムに前記薬物送達システムを挿入するステップと;c)前記涙器システム薬物送達システムを使用して前記対象に前記組成物を投与するステップとを含む、処置の方法に関する。一実施形態では、前記システムは、潤滑剤をさらに含む。一実施形態では、前記システムは、涙器システム内への前記システムの送達を可能にするガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記システムは、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む。一実施形態では、前記ガイドワイヤーは、中心開放管腔を含む。一実施形態では、前記中心開放管腔は柔軟性である。一実施形態では、前記中心開放管腔は、バルーンリザーバー内の遠位に直接流体を注入させる。別の実施形態では、送達システムは、システムの内部特性によって強化される。プラグにいくらかのプッシュ能力を与える、剛性であるが柔軟性の「アンダーワイヤー」があるので、長さを移動するのに2次ガイドワイヤーを必要としない。この実施形態では、膨張システムはエンドキャップの近位に接続する。一実施形態では、前記システムは、前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む。一実施形態では、前記排出トラックは、涙を眼の表面から涙嚢内に、それを越えて流すように設計される。一実施形態では、リザーバーバルーンは、実質的に弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは半弾性である。一実施形態では、リザーバーバルーンは実質的に非弾性である。一部の実施形態では、システムは、前記リザーバーバルーン上に配置された保護スリーブを含む。一実施形態では、前記スリーブは、漏れが鼻管またはその他の組織区画に進入するのを防止する。一実施形態では、前記システムは、使用者(医師または患者)による検出および位置の確認を可能にする、蛍光材料または着色剤を含有する。一実施形態では、方法は、前記リザーバーバルーンに治療剤または医薬を充填することをさらに含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、眼の周囲の洞内に埋め込まれる。一実施形態では、涙点部分またはエンドキャップは、医薬によるリザーバーバルーンの充填を可能にするが、リザーバーバルーンは洞内にあり、プラグを経て眼の涙膜まで薬物を送達させる。一実施形態では、前記バルーンリザーバーの拡張が少なくとも500%である。一実施形態では、前記バルーンリザーバーの拡張が少なくとも700%である。一実施形態では、前記膨張したバルーンリザーバーのそのような体積は、少なくとも100マイクロリットルである。一実施形態では、前記バルーンリザーバーはシリコーンを含む。一実施形態では、前記リザーバーバルーンは、解剖学的固定を可能にする。一実施形態では、固定は、近位総涙小管の直径を越えて膨張するバルーンによって実現され、したがって元の近位涙液流出システムへの押出しを防止する。一実施形態では、前記解剖学的固定は、システム保持フィーチャーである。一実施形態では、前記プラグは、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記管腔内の前記プラグの位置は、前記システムからの前記組成物の流れを調節する。一実施形態では、前記活性成分は、人工涙液、緑内障点眼液、抗炎症剤、非ステロイド剤、抗生剤、生物学的製剤、タンパク質、アプタマー、核酸、サイトカイン、血漿、交感神経様作用薬、副交感神経様作用薬、プロスタグランジン類似体、ベータ遮断薬、アルファ−アゴニスト、および抗VEGF剤からなる。一実施形態では、前記システムから出る前記流体の流れは、処置が必要とされないと考えられる(例えば睡眠中)、1日の所与の時間での流れが減少するように、操作者(患者または医師)が前記プラグを調整することによって制御される。一実施形態では、リザーバーバルーンは、最短でも1週間にわたり、1日当たり0.1マイクロリットルから30.0マイクロリットルの間の固定速度で、流体+/−活性成分を眼の表面に送達することになる。別の実施形態では、送達は、最短で60日間実現される。
【0010】
(定義)
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語について以下に定義する。本明細書に定義される用語は、本発明に関連する当業者に一般に理解される意味を有する。「a」、「an」、および「the」などの用語は、単数の実体のみを指すのではなく、全体的なクラスを含むものとし、その特定の例を例示に使用することができる。本明細書の術語は、本発明の特定の実施形態について記述するのに使用されるが、それらの用法は、特許請求の範囲で概略的に述べたものを除いて本発明を限定しない。
【0011】
本明細書で使用される「患者」または「対象」という用語は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそれらのトランスジェニック種など、任意の生きている哺乳類生物を指す。ある特定の実施形態では、患者または対象は、霊長類である。ヒト対象の非限定的な例は、成年、若年、乳児、および胎児である。
【0012】
本明細書で使用される「予防(Prevention)」または「予防する(preventing)」は:(1)疾患のリスクがありかつ/または疾患になる素因があると考えられる対象または患者において疾患の発症を阻害することであって、そのような阻害は部分的であっても完全であってもよいが、疾患の病理学または症候学のいずれかまたは全てを未だ経験せずまたは示していないこと、および/または(2)疾患のリスクがありかつ/または疾患になる素因があると考えられるが、疾患の病理学または症候学のいずれかまたは全てを未だ経験せずまたは示していない、対象または患者における疾患の病理学または症候学の発症を遅らせることを含むが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用される「医薬(medication)」または「治療剤(therapeutic agent)」という用語は、薬物または医薬組成物を含むがこれらに限定することのない、疾患または状態の症状を処置または予防または緩和する任意の化合物および/または分子を指す。医薬は、治療有効量でまたは薬学的有効量で送達されまたは存在すると見なされる。
【0014】
本明細書で使用される「治療有効量(therapeutically effective amounts)」または「薬学的有効量(pharmaceutically effective amounts)」は、疾患を処置するために対象または患者に投与したときに、疾患のそのような処置を有効にするのにまたは疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状を寛解するのに(例えば、疼痛を寛解する)十分な量を意味する。
【0015】
本明細書で使用される「処置する(treat)」および「処置する(treating)」という用語は、対象(例えば、患者)が治癒し疾患が根治した場合に限定されない。むしろ処置は、症状を低減させるだけでもよく、数ある効果の中でも疾患の進行を改善し(ある程度まで)かつ/または遅延させる。処置は、疾患または苦痛が治癒する場合に限定するものではない。症状が低減することで十分である。
【0016】
本明細書で使用される「医療デバイス」、「インプラント」、「デバイス」、「医療デバイス」、「医療用インプラント」、「インプラント/デバイス」、および「薬物送達システム」などの用語は、組織増大、輪郭形成、生理学的機能の回復、疾患もしくは外傷により損傷を受けた組織の修復もしくは回復、および/または正常な、損傷を受けた、もしくは疾患状態にある器官および組織への治療剤の送達など、1つまたは複数の療法上のまたは予防的な目的のために、患者の体内に部分的にまたは全体的に配置されるように設計された任意の物体を指すのに、同義で使用される。医療用デバイスは通常、生物学的に適合性ある合成材料(例えば、医療グレードのステンレス鋼、ニチノール、チタン、およびその他の金属;外因性ポリマー、例えばポリウレタン、シリコーン、PLA、PLGA、PGA、PCL)から構成されるが、医療用インプラントの構築にその他の材料を使用してもよい。本発明を任意の特定のデバイスに限定するものではないが、本発明に特に関連ある特定の医療デバイスおよびインプラントには、ステント、涙点プラグ、Crawfordチューブ、カテーテル、涙管、眼またはその他のシャント、および薬物送達システムが含まれる。一部の実施形態では、デバイスは、標準の撮像デバイスで視覚化が可能な造影剤または不透明な材料(例えば、x線視覚化を可能にするバリウム)を組み込む。
【0017】
本明細書で使用される「医薬リザーバー(medication reservoir)」という用語は、医薬または治療剤を含有する任意の構造体を指す。一部の実施形態では、リザーバーは、延伸性プラスチックまたはシリコーンで作製される。一部の実施形態では、リザーバーは実質的に弾性である。一部の実施形態では、リザーバーバルーンは少なくとも500%拡張し得る。一部の実施形態では、リザーバーは実質的に非弾性である。
【0018】
本明細書で使用される「近位」という用語は、起点に向かって位置付けられた場所を指す(例えば、医師と、涙液インプラントデバイスまたはシステムとの間)。
【0019】
本明細書で使用される「遠位」という用語は、起点から離れて位置付けられた場所を指す(例えば、医師に対して涙液インプラントデバイスの背後)。
【0020】
本明細書で使用される「医薬品(medicament)」という用語は、医療用化合物または薬物など、医学的処置で使用するのに適した任意の活性剤を指す。
【0021】
本明細書で使用される「活性剤」という用語は、生きている生物に影響を及ぼす、任意の分子の実体を指す。
【0022】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、当技術分野で周知の1つまたは複数の反復単位を含有する任意の有機高分子を指す。
【0023】
本明細書で使用される「コポリマー」は、少なくとも2つのタイプの反復単位が含まれる任意のポリマーを指す。コポリマーは、1つのタイプの多数の反復単位を含有するセグメントが、第2のタイプの多数の反復単位を含有するセグメントに結合された、ブロックコポリマーとすることができる。
【0024】
本明細書で使用される「親水性ポリマー」という用語は、水に濡れる、即ち撥水表面を持たない任意のポリマーを指す。親水性ポリマーは、僅かな程度まで水を吸収することができ、例えば約0〜100wtパーセンテージの水を吸収することができるが、その体積は、ヒドロゲル形成ポリマーのように大きく膨潤しない。
【0025】
本明細書で使用される「埋め込まれた」という用語は、完全にまたは部分的に配置されたデバイスまたはシステムを宿主内に有することを指す。デバイスまたはシステムは、デバイスまたはシステムの一部が宿主の外側に到達しまたは延びたときに、部分的に埋め込まれる。
【0026】
本明細書で使用される「ステロイド」という用語は、4個の縮合環:3個のシクロヘキサン環(右の図中、環A、B、およびCと示される)および1個のシクロペンタン環(D環)の形をとる、一緒に結合される20個の炭素原子から構成されたコアを含有する、任意の有機化合物を指す。
【化1】
ステロイドは、この4環コアに取着された官能基によって、および環の酸化状態によって、様々に変化する。ステロイドの例には、食物脂肪コレステロール、性ホルモンエストラジオールおよびテストステロン、および抗炎症薬デキサメタゾンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0027】
本明細書で使用される、通常はNSAIDまたはNAIDと省略されるが非ステロイド抗炎症剤/鎮痛薬(NSAIA)または非ステロイド抗炎症薬(NSAIM)とも呼ばれる、「非ステロイド抗炎症剤」、「非ステロイド抗炎症薬」という用語は、鎮痛および解熱(熱低減)効果のある、より高い用量で高炎症効果を発揮する、任意の薬物を指す。
【0028】
本明細書で使用される「抗生剤」という用語は、細菌、真菌、またはその他の微生物を死滅させまたは増殖を阻害する、任意の化合物または物質を指す。
【0029】
本明細書で使用される「抗炎症剤」という用語は、炎症を低減させる任意の物質または処置物質を指す。
【0030】
本明細書で使用される「免疫抑制剤」という用語は、免疫系の活性を阻害しまたは防止する全ての薬物を指す。
【0031】
本明細書で使用される「抗新生物剤」という用語は、新生細胞の発生、成熟、拡散を防止しまたは阻害する全ての薬物を指す。
【0032】
本明細書で使用される「プロスタグランジン類似体」という用語は、プロスタグランジン受容体に結合する全ての分子を指す。
【0033】
本明細書で使用される「酸化窒素」または「一酸化窒素」という用語は、化学式NOを持つ、任意の2成分2原子分子を指す。
【0034】
本明細書で使用される、「エンドセリン」という用語は、様々な細胞および組織で生成され、血管運動活性、細胞増殖、およびホルモンの生成を調節する役割を演じ、ならびに血管疾患の発症に結び付けられた、21個のアミノ酸残基からなる任意のタンパク質を指す。例えば、エンドセリン生物活性は、血管の狭窄、血圧の上昇、眼圧の減少、および神経組織の変性の防止を含み得るが、これらに限定するものではない。
【0035】
本明細書で使用される「コルチコステロイド」という用語は、任意の天然に生成されたステロイドホルモンまたは合成ステロイドホルモン類似体を含む化学物質の種類を指す。コルチコステロイドは、ストレス応答と、免疫応答と、炎症、炭水化物代謝、タンパク質異化、血中電解質レベル、および挙動の調節とを含むがこれらに限定することのない広範な生理学的プロセスに関与する。
【0036】
本明細書に使用される「抗体ベースの免疫抑制剤」という用語は、免疫抑制活性を有する任意の抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル、Fabなど)を指す。
【0037】
本明細書で使用される「薬剤の放出」という用語は、インプラントデバイスまたはシステムから発せられる薬剤またはその副成分の任意の存在を指す。
【0038】
本明細書で使用される「類似体(analogueまたはanalog)」という用語は、親化合物に構造的に類似しているがその組成が僅かに異なる(例えば、1個の原子または官能基が異なり、付加され、または除去されている)、任意の化合物を指す。類似体は、当初の化合物とは異なる化学的または物理的特性を有していてもいなくてもよく、改善された生物学的および/または化学的活性を有していてもいなくてもよい。例えば、類似体はより親水性であってもよく、または親化合物に比べて変化した反応性を有していてもよい。類似体は、親化合物の化学的および/または生物学的活性を模倣していてもよく(即ち、類似のまたは同一の活性を有していてもよい)、または場合によっては、増大したもしくは減少した活性を有していてもよい。類似体は、当初の化合物の、天然にまたは非天然に生じる(例えば、組換え)変種であってもよい。類似体の例は、ムテイン(即ち、少なくとも1つのアミノ酸が欠失し、付加され、または別のアミノ酸で置換されている、タンパク質類似体)である。その他のタイプの類似体には、化合物の異性体(鏡像異性体、およびジアステレオマーなど)およびその他のタイプのキラル変種、ならびに構造異性体が含まれる。類似体は、直鎖状化合物の、分岐したまたは環状の変種であってもよい。例えば、直鎖状化合物は、ある特定の所望の特性を得るために(例えば、親水性またはバイオアベイラビリティを改善する)、分岐したまたはその他の手法で置換された類似体を有していてもよい。
【0039】
本明細書で使用される「誘導体」という用語は、親化合物に構造的に類似しておりかつ(実際にまたは理論的に)その親化合物から誘導可能な、任意の化学的にまたは生物学的に修飾された型の化合物を指す。「誘導体」は、親化合物が、「誘導体」を発生させる出発材料であってもよいのに対し、親化合物は、「類似体」を発生させるのに出発材料として必ずしも使用されなくてよいという点で、「類似体」とは異なる。類似体は、親化合物の異なる化学的または物理的特性を有していてもよい。例えば誘導体は、親化合物に比べ、より親水性であってもよくまたは変化した反応性を有していてもよい。誘導体化(即ち、修飾)では、分子内の1つまたは複数の部分の置換(例えば、官能基の変更)が行われてもよい。例えば、水素は、フッ素もしくは塩素などのハロゲンで置換されてもよく、またはヒドロキシル基(−OH)をカルボン酸部分(−COOH)に置き換えてもよい。「誘導体」という用語は、コンジュゲート、および親化合物のプロドラッグも含む(即ち、生理学的条件下で当初の化合物に変換することができる、化学修飾された誘導体)。例えば、プロドラッグは、活性剤の不活性形態であってもよい。生理学的条件下、プロドラッグは、化合物の活性形態に変換されてもよい。プロドラッグは、例えば窒素原子上の1個または2個の水素原子をアシル基で置き換えることによって(アシルプロドラッグ)またはカルバメート基で置き換えることによって(カルバメートプロドラッグ)形成されてもよい。プロドラッグに関するより詳細な情報は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるFleisherら、Advanced Drug Delivery Reviews 19巻(1996年)115頁[1]に見出される。「誘導体」という用語は、全ての溶媒和物、例えば水和物または付加物(例えば、アルコールとの付加物)、活性代謝産物、および親化合物の塩を記述するのにも使用される。調製され得る塩のタイプは、化合物内の部分の性質に依存する。例えば、酸性基、例えばカルボン酸基は、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩、また同様に、生理学的に許容される第4級アンモニウムイオンとの塩、ならびにアンモニアおよび生理学的に許容される有機アミン、例えばトリエチルアミン、エタノールアミン、またはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどとの酸付加塩)を形成することができる。塩基性基は、例えば、塩酸、硫酸、もしくはリン酸などの無機酸との酸付加塩、または有機カルボン酸およびスルホン酸、例えば酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、もしくはp−トルエンスルホン酸との酸付加塩を形成することができる。塩基性基および酸性基を同時に含有する化合物、例えば塩基性窒素原子に加えてカルボキシル基を含有する化合物は、双性イオンとして存在することができる。塩は、当業者に公知の通常の方法によって、例えば化合物を、溶媒または希釈剤中で無機もしくは有機酸または塩基と組み合せることによって、あるいは陽イオン交換または陰イオン交換によってその他の塩から、得ることができる。
【0040】
本明細書で使用される「阻害剤」または「アンタゴニスト」という用語は、生物学的プロセスが生じるのを防止し、かつ/または生物学的プロセスの出現の速度を遅くしかつ/または生物学的プロセスの出現の程度を遅くする、任意の薬剤を指す。プロセスは、瘢痕化などの一般的なものであってもよく、例えばサイトカインの放出をもたらす分子プロセスなどの特定の生物学的動作を指してもよい。
【0041】
本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、生物学的プロセス、または生物学的プロセスの出現の速度もしくは程度を刺激する任意の薬剤を指す。プロセスは、瘢痕化などの一般的なものであってもよく、例えばサイトカインの放出をもたらす分子プロセスなどの特定の生物学的動作を指してもよい。
【0042】
本明細書で使用される「抗微小管剤」という用語は、例えば重合の防止または安定化を通して微小管の機能を損なう、任意のタンパク質、ペプチド、化学物質、またはその他の分子を含むと理解すべきである。微小管の重合を安定化させる化合物を、本明細書では「微小管安定化剤」と呼ぶ。例えば、共に参照により本明細書に組み込まれる、Smithら(Cancer Lett. 79巻(2号):213〜219頁、1994年)[2]およびMooberryら、(Cancer Lett. 96巻(2号):261〜266頁、1995年)[3]により記述されるアッセイを含む、広く様々な方法を利用して、特定の化合物の抗微小管活性を決定してもよい。
【0043】
本明細書に列挙される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、または比の範囲は、他に指示されない限り、その範囲内の任意の整数およびその分数、例えば整数の10分の1および100分の1の、濃度、パーセンテージ、または比を含むと理解されたい。さらに、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関する本明細書に列挙される任意の数値範囲は、他に指示しない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解されたい。上記使用された、および本明細書の他の箇所で使用される、「a」および「an」という用語は、列挙される成分の「1つまたは複数」を指すことを理解すべきである。例えば、「a」ポリマーは、1種のポリマー、または2種もしくはそれよりも多くのポリマーを含む混合物の、両方を指す。本明細書で使用される「約」という用語は、±15%を意味する。
【0044】
本明細書で使用される「生体材料」という用語は、合成のまたは起源が天然の任意の物質(薬物以外)または物質の組合せであって、身体の任意の組織、器官、もしくは機能を処置し、増強し、もしくは置き換えるシステムの全体としてまたは一部として、任意の期間にわたり使用することができるものを指す。
【0045】
本明細書で使用される「生体適合性」という用語は、特定の適用例での適切な宿主応答により実行する材料の能力を指す。
【0046】
本明細書で使用される「弾性限界」または「降伏強さ」という用語は、材料が可塑的に変形し始める応力を指す。降伏点の前に、材料は、弾性的に変形することになり、加えられた応力が除去されるとその当初の形状に戻ることになる。降伏点を通過すると、変形のいくらかの部分は永続的になりかつ不可逆的になる。
【0047】
本明細書で使用される「弾性」という用語は、完全な回復可能性と共にそこに力が加えられると非常に大きい変形能を持つ材料を指し、これらの力が除去されると物体がその初期形状およびサイズに戻ることになることを意味する。そのような特徴は、ゴム弾性とも呼ばれてきた。そのような「弾性」材料の分子要件:材料はポリマー鎖からならなくてはならず、応力下で立体構造および延伸を変化させる必要がある。ポリマー鎖は、高度に柔軟性でなければならない。立体構造の変化にアクセスする必要がある(ガラス様、結晶質、剛性材料ではない)。ポリマー鎖は、網状構造で接合しなければならない。不可逆的な鎖のずれ(永久歪み)を回避する必要がある。100のモノマーのうち1つは、2つの異なる鎖を接続しなければならない。弾性ポリマーの接続(ブロックコポリマー中の共有結合、結晶質、ガラス様ドメイン)例には、ゴム、ラテックス、合成ゴム、ネオプレン、およびシリコーンなどが含まれる。
【0048】
本明細書で使用される「非弾性(non−elasticまたはnonelastic)」という用語は、力がそこに加えられたときに変形性が低いまたはない材料を指す。歪み限界を超えると、非弾性材料は不可逆的変形を経験することになる。ポリマー鎖は、柔軟性ではなく、立体構造の変化に容易にアクセスしない。これらは不可逆的な鎖のずれ(永久歪み)を受ける可能性がある。例には、ガラス、硬質プラスチック、および非晶質ガラス様ポリマーなどが含まれる。
【0049】
本明細書で使用される「半弾性」という用語は、完全な回復可能性により、力がそこに加えられたときに中程度の変形性を供えた材料を指し、これらの力が除去されたときに物体がその初期形状およびサイズに戻ることになることを意味する。いくつかの半弾性ポリマーがある。半結晶質ポリマーの例は、直鎖状ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはイソタクチックポリプロピレン(PP)である。
【0050】
本明細書で使用される「ステント」という用語は、疾患により誘発された、局在化流動狭窄を防止しまたは打ち消すために、体内の自然の通路/コンジット内に挿入される任意の人工「チューブ」を指す。この用語は、手術を目的としたアクセスが可能になるように、そのような自然のコンジットを開放させて一時的に保持するのに使用される、チューブを指してもよい。
【0051】
本明細書で使用される「シャント」という用語は、2つの領域の間で流体を移動させるための穴または通路を創出するように体内に挿入される、任意の人工「チューブ」を指す。前記チューブは、一時的に埋め込まれてもよくまたは永続的であってもよい。
【0052】
本明細書で使用される「Foleyカテーテル」という用語は、しばしば尿道を通過し膀胱に入る、柔軟性のあるチューブを指す。チューブは、その長さに沿って下向きに走る2つの個別のチャネル、または管腔を有する。一方の管腔は、その両端が開放しており、尿が排出されて収集バッグに入る。他方の管腔は、外側に弁を有し、先端がバルーンに接続される;バルーンは、滑り落ちるのを止めるために、膀胱内にあるときに滅菌水またはその他の流体/気体で膨張される。
【0053】
本明細書で使用される「カテーテル」という用語は、体腔、導管、または血管内に挿入することができる任意のチューブを指す。それによってカテーテルは、流体もしくは気体の排出、投与、または手術器具によるアクセスを可能にする。カテーテルを挿入するプロセスは、カテーテル法である。ほとんどの使用において、カテーテルは、細く柔軟性のあるチューブ(「軟質」カテーテル)であるが、いくつかの使用では、カテーテルはより太い、固体(「硬質」)カテーテルである。体内に一時的にまたは永続的に残されたカテーテルを、留置カテーテルと呼んでもよい。永続的に挿入されるカテーテルは、パームキャスと呼んでもよい。
【0054】
本明細書で使用される「PLGAまたはポリ(乳−co−グリコール酸)」という用語はコポリマーを指し、その生分解性および生体適合性により、米国食品医薬品局(FDA)により療法用デバイスとして認可されている。PLGAは、低速薬物放出に関して研究されてきた[4]。
【0055】
本明細書で使用される「ポリエチレングリコール」(PEGと省略される)という用語は、任意のポリエーテル化合物を指す。例えばPEGは、その分子量に応じてポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)として市販されている(Carbowax(登録商標))。
【0056】
本明細書に組み込まれかつ一部を形成する添付図は、本発明のいくつかの実施形態を示し、その記述と一緒に本発明の原理を説明するように働く。図は、本発明の好ましい実施形態を単に例示することを目的とし、本発明を限定すると解釈するものではない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
a)出口ポートを有するリザーバーバルーン、
b)前記出口ポートに流体連結された少なくとも1つの管腔を含むチューブ、
c)前記チューブに流体連結されたポートを含むエンドキャップ、および
d)前記チューブの前記管腔内にあるプラグ
を含む、薬物送達のための涙器システム。
(項目2)
前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記リザーバーバルーンが、活性成分を有する組成物を含む流体をさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記プラグが前記管腔を塞ぐ、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記プラグがシリコーンヒドロゲルを含む、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記プラグがウィッキング材料を含む、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記プラグが、前記リザーバーバルーンから前記エンドキャップへの流体の流量を制御する、項目3に記載のシステム。
(項目9)
前記プラグが、前記エンドキャップの表面を越えて延びる、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記プラグが、前記エンドキャップの表面を越えて1〜200ミクロン延びる、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記プラグが、前記エンドキャップをちょうど越えた場所から前記リザーバーバルーンまでの距離にわたる、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記プラグが、前記エンドキャップから前記リザーバーバルーンまでの、1/32の距離から全距離の間のどこを占有してもよい、項目1に記載のシステム。
(項目13)
前記チューブが医療グレードのシリコーンを含む、項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記チューブが柔軟性である、項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記プラグが無色である、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記プラグが着色されている、項目1に記載のシステム。
(項目17)
前記プラグが、少なくとも1種の蛍光化合物を含む、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記少なくとも1種の蛍光化合物が、特定の波長の光に曝露された後に蛍光を発する、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記リザーバーバルーンが解剖学的固定を可能にする、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記解剖学的固定が、システム保持フィーチャーである、項目19に記載のシステム。
(項目21)
医療グレードの材料で作製される、項目1に記載のシステム。
(項目22)
潤滑剤をさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目23)
前記涙器システム内への前記システムの送達を可能にするガイドワイヤーをさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目24)
a)出口ポートを有するリザーバーバルーン、
b)前記出口ポートに流体連結されたプラグ、および
c)前記プラグに流体連結されたポートを含むエンドキャップ
を含む、薬物送達のための涙器システム。
(項目25)
前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記リザーバーバルーンが、活性成分を有する組成物を含む流体をさらに含む、項目24に記載のシステム。
(項目27)
前記エンドキャップを前記リザーバーバルーンの外側に接続する少なくとも1つの排出トラックをさらに含む、項目24に記載のシステム。
(項目28)
前記プラグがシリコーンヒドロゲルを含む、項目24に記載のシステム。
(項目29)
前記プラグがウィッキング材料を含む、項目24に記載のシステム。
(項目30)
前記プラグが、前記リザーバーバルーンから前記エンドキャップまでの流体の流量を制御する、項目26に記載のシステム。
(項目31)
前記プラグが、前記エンドキャップの表面を越えて延びる、項目24に記載のシステム。
(項目32)
前記プラグが、前記エンドキャップの表面を越えて1〜200ミクロン延びる、項目31に記載のシステム。
(項目33)
前記プラグが柔軟性である、項目24に記載のシステム。
(項目34)
前記プラグが無色である、項目24に記載のシステム。
(項目35)
前記プラグが着色されている、項目24に記載のシステム。
(項目36)
前記プラグが、少なくとも1種の蛍光化合物を含む、項目24に記載のシステム。
(項目37)
前記少なくとも1種の蛍光化合物が、特定の波長の光に曝露された後に蛍光を発する、項目36に記載のシステム。
(項目38)
前記リザーバーバルーンが解剖学的固定を可能にする、項目24に記載のシステム。
(項目39)
前記解剖学的固定がシステム保持フィーチャーである、項目38に記載のシステム。
(項目40)
医療グレードの材料で作製される、項目24に記載のシステム。
(項目41)
潤滑剤をさらに含む、項目24に記載のシステム。
(項目42)
前記涙器システム内への前記システムの送達を可能にするガイドワイヤーをさらに含む、項目24に記載のシステム。
(項目43)
a)
i)涙点、涙管、および涙嚢を含む対象、
ii)薬物送達のための涙器システムであって、
A)出口ポートを有するリザーバーバルーンであって、前記涙嚢内に挿入することができるリザーバーバルーン、
B)前記出口ポートに流体連結された少なくとも1つの管腔を含むチューブであって、前記涙管の少なくとも1つを通って前記弾性リザーバーから延びるチューブ、および
C)前記チューブの末端に流体連結されたポートを含むエンドキャップであって、眼の涙膜に接触して前記涙点とのインターフェースをとるエンドキャップ、および
D)前記システムの前記チューブの前記管腔内にあるプラグ
を含む、薬物送達のための涙器システム
を提供するステップと、
b)涙器システムに薬物送達のための前記涙器システムを挿入するステップと、
c)前記リザーバーバルーンに、少なくとも1種の活性成分を有する組成物を充填するステップと、
d)薬物送達のための前記涙器システムを使用して前記対象に前記組成物を投与するステップと
を含む、処置の方法。
(項目44)
前記システムが、前記プラグに取着されたガイドワイヤーをさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
少なくとも1種の活性成分を有する前記組成物が、治療剤をさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目46)
充填するステップが、少なくとも1種の活性成分を有する前記組成物を前記チューブを通して導入することを含む、項目43に記載の方法。
(項目47)
ステップc)が、前記プラグに取着された前記ガイドワイヤーを除去することをさらに含み、前記プラグは、前記システムの前記エンドキャップに至るまで前記システムの前記管腔内に最終位置を得る、項目44に記載の方法。
(項目48)
前記プラグが、前記システムからの前記組成物の流れを調節する、項目43に記載の方法。
(項目49)
前記管腔内での前記プラグの位置決めが、前記システムからの前記組成物の流れを調節する、項目43に記載の方法。
(項目50)
前記活性成分が、人工涙液、緑内障点眼液、抗炎症剤、非ステロイド剤、抗生剤、生物学的製剤、タンパク質、アプタマー、核酸、サイトカイン、血漿、交感神経様作用薬、副交感神経様作用薬、プロスタグランジン類似体、ベータ遮断薬、アルファ−アゴニスト、および抗VEGF剤からなる、項目43に記載の方法。