(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885610
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】流体推進システム
(51)【国際特許分類】
F02K 1/36 20060101AFI20210603BHJP
B64D 33/04 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
F02K1/36
!B64D33/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-531294(P2018-531294)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公表番号】特表2018-532075(P2018-532075A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】US2016044327
(87)【国際公開番号】WO2017065859
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】62/213,465
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518073310
【氏名又は名称】ジェトプテラ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】エブレット、アンドレイ
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−002336(JP,A)
【文献】
特開昭49−083200(JP,A)
【文献】
特開昭53−060100(JP,A)
【文献】
特開平06−257512(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0336781(US,A1)
【文献】
米国特許第04448354(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 1/36
B64D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹所を有する凸状表面と、
前記凸状表面に対し結合される拡散構造と、
前記凸状表面に対し結合され、そして乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、そして、
前記凸状表面に対し結合され、そして乗り物に対し利用可能な二次流体を拡散構造へと導くよう構成される吸込み構造と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が、導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備える、
乗り物に結合される推進システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
前記吸込み構造が非円形である、請求項1に記載の推進システム。
【請求項4】
複数の凹所を有する凸状表面に対し結合される拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、そして、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し接近可能な二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される非円形な吸込み構造と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備え、前記吸込み構造は第1及び第2側方対向縁を備え、前記第1側方対向縁が前記第2側方対向縁よりも大きな曲率半径を有する、
乗り物に結合される推進システム。
【請求項5】
前記吸込み構造が第1及び第2対向縁を備え、そして、
前記第2対向縁が、前記第1対向縁に向かい突出している湾曲した部分を含む、
請求項4に記載の推進システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、請求項4に記載の推進システム。
【請求項7】
凸状表面をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの導管が乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される、請求項4に記載の推進システム。
【請求項8】
複数の凹所を有する凸状表面に対し結合される拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し接近可能な二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される吸込み構造と、そして、
乗り物に対し拡散構造を結合し、そして、
乗り物に関する拡散構造の動きの少なくとも2つの寸法を提供するよう構成されるアクチュエーティング要素と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が、導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備えている、
乗り物に結合される推進システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、請求項8に記載の推進システム。
【請求項10】
凸状表面をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの導管が乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される、請求項8に記載の推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
[0001]本開示は、米国著作権法および国際著作権法の下で保護されている。(C)2016 Jetoptera。著作権所有。本特許文献の開示の一部分は、著作権保護を受ける資料を含む。著作権者は、特許文献または特許開示が特許商標庁特許ファイルまたは記録に記載されるので、何者かによる特許文献または特許開示の複写に対する異議を持たないが、他の場合は、いかなる著作権もすべて保有する。
【0002】
優先権主張
[0002]本出願は、2015年9月2日に出願された米国仮特許出願第62/213,465号の優先権を主張するものであり、その開示全体は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]ホバリングし、垂直に離陸および着陸可能な航空機は、一般に、垂直離着陸(VTOL)航空機と呼ばれる。この分類としては、固定翼航空機、ならびに傾動可能な動力付きロータを有するヘリコプターおよび航空機がある。いくつかのVTOL航空機は、短距離離着陸(STOL)などの他のモードでも動作することができる。VTOLは、V/STOL(垂直および/または短距離離着陸)のサブセットである。
【0004】
[0004]説明の目的で、VTOL能力を有する現在の航空機の一例がF−35 Lightningである。垂直揚力気流を特定方向に向ける従来の方法としては、互いに対して90度に配列され、外部ノズルに設置された平坦なフラッパーベーンの2つのセットの使用に加えて、単一の方向に旋回可能なノズルの使用がある。F−35 Lightningの推進系は、同様に、タービンエンジンからの特定方向に向けられた推力と垂直に配向された揚力ファンの組み合わせを使用して、垂直に持ち上げる力を提供する。揚力ファンは、上側クラムシェルドアと下側クラムシェルドアを有するベイ内でコックピットの後ろに設置される。エンジンは、水平から垂直のすぐ前方に推力をそらすことができる3軸受旋回ノズルを通して排気する。ロール制御ダクトは、各翼内に延び、エンジンファンから空気とともに推力が供給される。ピッチ制御は、揚力ファン/エンジン推力分割を介して影響される。ヨー制御は、エンジン旋回ノズルのヨー運動による。ロール制御は、2つのロール制御ダクトの端にある開口を異なって開閉することによって提供される。揚力ファンは、前後方向に推力偏向を提供するために入れ子型「D」字形ノズルを有する。Dノズルは、出口開口に固定ベーンを有する。
【0005】
[0005]航空機またはドローンの設計は、より一般に、その推進要素と、それらの要素が内蔵される機体からなる。従来、航空機内の推進デバイスは、ターボジェット、ターボファン、ターボプロップ、またはターボシャフト、ピストンエンジン、またはプロペラを装備した電気モータであり得る。小型無人航空機(UAV)内の推進系(プロパルサー(propulsor))は、従来、シャフトを介して1つまたはいくつかのプロペラに動力を提供するピストンエンジンまたは電気モータである。大型航空機用のプロパルサーは、有人であろうと無人であろうと、伝統的に、ジェットエンジンまたはターボプロップである。プロパルサーは、一般に、航空機に力を送り荷重を支持することが可能なパイロンすなわち支柱を介して、航空機の胴体または本体または翼に取り付けられる。出現する空気およびガスの混合噴出物(噴出流出物(jet efflux))は、噴出流出物の流れとは反対方向に航空機を推進するものである。
【0006】
[0006]従来、大型プロペラの空気流流出物は、水平飛行では揚力目的で使用されず、したがって、航空機が、現在存在する適用例のうちのいくつか(すなわち、Bell Boeing V−22 Osprey)と同様に旋回されない限り、かなりの量の運動エネルギーは、航空機の利点に利用されない。むしろ、大部分の存在する航空機上の揚力は、翼および尾部によって発生される。さらに、Ospreyにおいて見られるそれらの特定のVTOL適用例(たとえば、水平飛行への移行による離陸)においてすら、プロペラ自体によって引き起こされる揚力は、水平飛行中、最小であり、それにもかかわらず、揚力の大部分は翼からのものである。
【0007】
[0007]航空機上で揚力を発生させるための現在の先端技術は、翼および翼要素の上で高速気流を生成することであり、これらは、全体的にエアフォイルである。エアフォイルは、主に軸方向に、エアフォイルの前縁から後縁に延びる翼弦線によって特徴付けられる。入ってくる気流と翼弦線との間に形成される迎角に基づいて、およびエアフォイル揚力生成の原理に従って、圧力のより低い空気が、吸引(上)側の上を流れており、逆に、ベルヌーイの法則によって、圧力の低い側(圧力側)よりも速いスピードで移動する。航空機の対気速度が低いほど、揚力も低くなり、翼の表面積が大きくなる、または、離陸の場合も含めて、より大きい入射角が必要とされる。
【0008】
[0008]大型UAVも、この規則の例外ではない。揚力は、適切な迎角と翼弦と翼幅とキャンバーラインとを有する翼エアフォイルを設計することによって、生成される。フラップ、スロット、および多くの他のデバイスは、翼の揚力係数および表面積の増加を介して揚力を最大にするために使用される他の従来のツールであるが、それは、航空機の対気速度に対応する揚力を生成する(面積(S)および揚力係数(CL)を増加させることによって、式L=1/2ρV
2SC
Lに従って、より低い航空機対気速度(V0)における類似の量の揚力が生成可能になるが、より高い抗力および重量が犠牲になる)。これらの現在の技法も、強い横風の条件下における効率の著しい低下を伴って、不十分に実行する。
【0009】
[0009]小型UAVは、おそらく間違いなく、乗物を持ち上げるためにプロペラによって生成された推力を使用するが、現在の技術は、電気モータスピードの制御に厳密に依存し、小型UAVは、推力と揚力とを生成するためにモータを回転させる能力、またはプロペラを傾けることによって水平飛行に移行する能力を持ってもよいし、持たなくてもよい。そのうえ、これらの推進要素を使用する小型UAVは、バッテリ、電力密度、および大型プロペラに関連する非効率さに苦しみ、大型プロペラは、ホバリングでは効率的であるが、水平飛行では非効率であり、高速で動くブレードの先端により、動作時に困難と危険とをもたらし得る。最新のクアッドコプタおよび他の電動式航空機は、非常に短期間の飛行のみが可能であり、電気モータシステムおよびバッテリの重量が乗物の重量の70%を優に超える場合があるので、大きなペイロードを効率的に持ち上げるまたは運ぶことはできない。一般的に運搬に使用されるジェット燃料または他の任意の炭化水素燃料を使用する類似の乗物は、少なくとも1桁大きい、より多くの使用可能な燃料を運ぶ。これは、バッテリシステムと比較して、炭化水素燃料のはるかに高いエネルギー密度(少なくとも1桁)、ならびに炭化水素燃料ベースシステムのより低い重量対乗物総重量比によって説明可能である。
【0010】
[0010]したがって、航空機における、特にUAVおよびいくつかの有人航空機に対する、向上した効率、改善した機能、および他の技術的進歩が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]
図1は、エジェクタの上半及び内部流れ内に速度及び温度のプロファイルを示す、本発明の一実施形態の断面図。
【
図2】[0012]
図2は、一実施形態に従う
図1のエジェクタの表面の特徴を示す図。
【
図3】[0013]
図3は、1つ又はそれ以上の実施形態の吸込み構造の部分的な斜視図。
【
図4】
図4は、1つ又はそれ以上の実施形態の吸込み構造の部分的な斜視図。
【
図5】[0014]
図5は、一実施形態に従うアクチュエータの後平面図。
【
図6】[0015]
図6は、一実施形態に従うエジェクタ内部外形状の断面における変化を示す図。
【
図7】[0016]
図7は、代わりの実施形態の側斜視図。
【
図8】[0017]
図8は、
図7中に図示されている実施形態の要素の側面図。
【
図9】[0018]
図9は、本発明のさらに別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019]本出願は、本発明の1つまたは複数の実施形態について説明することを意図したものである。「〜しなければならない」、「〜であろう」などの絶対的用語ならびに特定の量の使用は、そのような実施形態のうちの1つまたは複数に適用可能であると解釈されるべきであるが、必ずしもすべてのそのような実施形態に適用されるとは限らないことが理解されるべきである。したがって、本発明の実施形態は、そのような絶対的用語の文脈で説明される1つまたは複数の特徴または機能を省略してもよいし、その修正形態を含んでもよい。さらに、本出願における見出しは、参照のみを目的としており、本発明の意味または解釈に決して影響しないものとする。
【0013】
[0020]本発明の一実施形態は、周囲空気の引き込み(entrainment)および加速のために流体を利用し、高圧ガス(ガス発生装置からプロパルサーに供給された)と引き込まれた(entrained)周囲空気との混合物の高速噴出流出物を送達するプロパルサーを含む。本質的には、この目的は、凸状表面(convex surface)に隣接して上記ガスを排出することにより達成される。凸状表面は、1936年9月1日にヘンリ コアンダ(Henri Coanda)氏に対し発行された米国特許番号2,052,869中に記載されているコアンダ(Coanda)効果によりもたらされているいわゆるコアンダ(Coanda)表面である。原理的に、コアンダ効果は、例えもしも壁の湾曲の方向が噴流の軸から遠ざかったとしても、ジェット噴射されたガス又は液体が壁の輪郭に接近して移動する傾向である。1つ又はそれ以上の実施形態に関してここで議論された凸状のコアンダ表面は、特定の材料から構成しなければならないことはない。
【0014】
[0021]
図1は、限定しない例のために、航空機のようなUAV又は有人の空中乗り物のような、乗り物(示されていない)に対し取り付けられ得るエジェクタ200の上半の断面を図示している。プレナム(plenum)211は、例えば、乗り物により採用されて良い燃焼を基にしている機関からの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給されている。矢印600により示されている、この加圧されている原動力となるガスストリームは、一次ノズル203のような少なくとも1つの導管を介し、エジェクタ200の内部へと導入されている。より詳細には、一次ノズル203は、壁ジェット(wall jet)として凸状のコアンダ表面204の上で原動力となるガスストリーム600を変動可能な所定の望まれる速度へと加速するよう構成されている。さらに、一次ノズル203は、流体ストリーム600の調節可能な量を提供する。この壁ジェットは次に、静止している又は矢印1により示されている方向から零でない速度でエジェクタ200に接近し得る、矢印1により指摘されている大気のような、二次流体を吸込み構造を介し引き込むよう機能する。種々の実施形態においては、ノズル203は、整列され、そして湾曲した向きに,渦巻の向きに,及び/又はジグザグの向きに配置され得る。
【0015】
[0022]ストリーム600及び空気1の混合は、エジェクタ200の喉セクション225において純粋に軸状に移動していて良い。ディフューザ210のような、拡散構造における拡散を通して、混合及び円滑排出工程が続き、エジェクタ200の軸方向における温度(800)及び速度(700)のプロファイルは喉セクション225において存在している高い及び低い値をもはや有さず、しかしディフューザ210の終端100においてより均等になっている。ストリーム600及び空気1の混合が終端100の出口平面に近づくにつれて、温度及び速度のプロファイルが殆ど均等である。特に、混合の温度は、翼又は操縦表面のようなエアフォイルの方に向けられるのに十分なほど低い。
【0016】
[0023]一実施形態においては、そして
図2中に最も良く図示されている如く、V−形状渦巻発生二次ノズル205が、通常の矩形状一次ノズル203と比較した時に互い違いに配置されていて、そして、流体ストリーム質量流量の釣り合いがノズル203により一瞬の後に注入される以前に全流体ストリーム600の少なくとも25%を注入する。ノズル203の注入に先立つノズル205によるこの注入は、エジェクタ200の性能を大きく向上させるのに十分なより高い引き込み(entrainment)率という結果になる。二次ノズル205は剪断層を介した二次ストリームのより好ましい引き込み(entrainment)を導入し、そして、一次ノズル203に関して軸方向及び周方向の両方に互い違いにされている。
【0017】
[0024]一次ノズル203は、その最も内側で一次ノズル203構造の中間点に対し連結されている支持脚が設けられているデルタ翼構造226を、デルタ翼構造の頂点を流体ストリーム600の流れに対し向けている状態で、含み得る。これは、次に、方向において反対であり一次ノズル203の両側から、ノズル205からの結果である一次及び二次流体ストリームの既に引き込まれている(entrained)混合を強く引き込む(entraining)2つの渦を生じさせる。
【0018】
[0025]さらに、一実施形態は、コアンダ(Coanda)表面204上に置かれている窪み221のような要素を介して流れ剥離遅延のために表面を改善させる。窪み221はストリームの分離を阻止し、そしてエジェクタ200の性能を大きく向上させる。さらに、拡散機210(
図1参照)の表面もまた、窪み222及び/又は境界層の剥離を遅延又は阻止する他の要素を含んで良い。
【0019】
[0026]ある実施形態においては、吸込み構造206は形において円であって良い。しかしながら、種々の実施形態においては、そして
図3−4中に最も良く示されているように、吸込み構造206は、非円形、そして、実際に、非対称(即ち、少なくとも1つの、又は代わりに何れかに与えられた、吸込み構造の平面分割の両側が同じでない)である。例えば、
図3中に示されているように、吸込み構造206は第1及び第2対向縁301,302を含むことができ、ここにおいて、第2対向縁が第1対向縁に向かい突出している湾曲された部分を含むことができる。
図4中に示されているように、吸込み構造206は第1及び第2側方対向縁401,402を含むことができ、ここにおいて、第1側方対向縁が第2側方対向縁よりも大きな曲率半径を有する。
【0020】
[0027]
図5を参照すると、一実施形態は、乗り物502にエジェクタ200を結合している少なくとも1つのアクチュエーティング要素501を含んで良い。要素501は、少なくとも2つの、そして好ましくは3つの、乗り物502に関するエジェクタ200の移動(即ち、6自由度)の寸法を提供するよう形成されている。
【0021】
[0028]
図6を参照すると、一実施形態は、外表面603,604とエジェクタ200の内表面605,606との間に配置されている少なくとも1つの内部アクチュエーティング要素(例えば、アクチュエータ及び/又はリンケージ)601,602を含んで良い。図示されている実施形態においては、アクチュエータ601は、第2表面が動いていない時に第2表面606に関し第1表面605を動かす(例えば、エジェクタ200の中心軸に向かい及び上記中心軸から遠ざかる)よう構成されている。同様に、第2アクチュエータ602は、第1表面が動いていない時に第1表面605に関し第2表面606を動かすよう構成されている。エジェクタ200の内部幾何学的形状を複数の形へと変化させるこの能力は、多様な飛行状況(例えば、離昇(liftoff),離陸(takeoff),巡航飛行(cruising flight),その他)においてエジェクタが最適に動作することを許容する。
【0022】
[0029]
図7は、代わりの実施形態に従う、乗り物700のための推進システムを図示している。第1二次エアフォイル702は、乗り物700に結合されていて、そして、乗り物の一次エアフォイル701上を流れている流体の下流に位置されている。エアフォイル702は、軸707の回りを回転するよう構成されていて、アクチュエータ708により制御されている。
図8中に最も良く図示されているように、第1二次エアフォイル702は、対向ノズル表面705,706のような第1出力構造、及び、ノズル表面により規定されている終端703と流体連通している、プレナム(plenum)704のような、少なくとも1つの導管を含む。ノズル表面705,706は、
図1を参照して上で議論されていたノズル203と同様なノズルを含んで良いし含まなくとも良い。さらには、ノズル表面705,706の1つ又はそれ以上が、結果として、コアンダ(Coanda)効果を促進させることができ、そして、鋭い又は険しい隅を伴っていない連続して丸められている表面を有し得る凸状表面(convex surface)を含み得る。プレナム704には、例えば、乗り物700により採用されて良い燃焼を基礎としているエンジンからの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給されている。プレナム704は、このガスストリームを終端703へと導くよう構成されており、終端703は一次エアフォイル701に向かう、そして第1二次エアフォイル702の外へのガスストリームのための出口を提供するよう構成されている。
【0023】
[0030]
図9〜11を参照すると、一実施形態がエアフォイル702と同様な第2二次エアフォイル902を含んで良く、夫々は他の後縁から分岐している個々の後縁714,914を伴っている。より詳細には、第2二次エアフォイル902は乗り物700に結合されていて、そして、乗り物の一次エアフォイル701上を流れている流体の下流に位置されている。エアフォイル902は、エアフォイル702を参照して上で議論されていたのと同様な方法で回転するよう構成されている。エアフォイル902は、対向ノズル表面905,906のような第1出力構造及びノズル表面により規定されている終端903と流体連結されているプレナム(plenum)904のような少なくとも1つの導管を含んでいる。ノズル表面905,906は、
図1を参照して上で議論されていたノズル203と同様なノズルを含んで良いし、含まなくても良い。さらには、ノズル表面905,906の1つ又はそれ以上が、結果として、コアンダ(Coanda)効果を促進させることが出来る凸状表面を含んで良い。プレナム904には、例えば、乗り物700により採用されて良い燃焼を基にしているエンジンからの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給される。プレナム904は、このガスストリームを終端903へと導くよう構成されていて、終端903は、一次エアフォイル701に向かう、そして第2二次エアフォイル902の外へのガスストリームのための出口を提供するよう構成されている。
【0024】
[0031]第1及び第2二次エアフォイル702,902は一次エアフォイルに向かい配置されている前縁716,916を有していて、第1二次エアフォイルは第2二次エアフォイルと対向している。動作においては、第1及び第2二次エアフォイル702,902が、それらの間にそしてそれらの長さに沿い、ここにおいて上で議論されていた拡散機210と機能において同様である、拡散領域802を規定している。前縁716,916は、プレナム704,904からのガスストリーム及び一次エアフォイル701上を流れている流体を受け、そして拡散領域802へと導くよう形作られている吸込み領域804を規定している。拡散領域802は、導入されたガスストリーム及び一次エアフォイル701上を流れている流体のための拡散領域からの出口を提供するよう構成されている一次終端806を含む。
【0025】
[0032]前述のテキストは、多数の異なる実施形態の詳細な説明について説明しているが、保護の範囲は後に続く特許請求の範囲の文言によって定義されることが理解されるべきである。詳細な説明は、例示的にすぎないと解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態について説明することは、実行不可能な場合、非実用的であるので、あらゆる可能な実施形態について説明するものではない。多数の代替実施形態が、現在の技術または本特許の出願日以降に開発される技術のどちらかを使用して実施可能であり、依然として特許請求の範囲に含まれる。
【0026】
[0033]したがって、多数の修正および変形が、本特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明および図示される技法および構造においてなされ得る。したがって、本明細書において説明される方法および装置は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 凸状表面と、
前記凸状表面に対し結合される拡散構造と、
前記凸状表面に対し結合され、そして乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、そして、
前記凸状表面に対し結合され、そして乗り物に対し利用可能な二次流体を拡散構造へと導くよう構成される吸込み構造と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が、導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備える、
乗り物に結合される推進システム。
[2] 前記凸状表面が複数の凹所を含む、[1]に記載の推進システム。
[3] 前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、[1]に記載の推進システム。
[4] 前記吸込み構造が非対称である、[1]に記載の推進システム。
[5] 拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、そして、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し接近可能な二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される非対称な吸込み構造と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備える、
乗り物に結合される推進システム。
[6] 前記吸込み構造が第1及び第2側方対向縁を備え、そして、
前記第1側方対向縁が前記第2側方対向縁よりも大きな曲率半径を有する、
[5]に記載の推進システム。
[7] 前記吸込み構造が第1及び第2対向縁を備え、そして、
前記第2対向縁が、前記第1対向縁に向かい突出している湾曲した部分を含む、
[5]に記載の推進システム。
[8] 前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、[5]に記載の推進システム。
[9] 凸状表面をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの導管が乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される、[5]に記載の推進システム。
[10] 拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し接近可能な二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される吸込み構造と、そして、
乗り物に対し拡散構造を結合し、そして、
乗り物に関する拡散構造の動きの少なくとも2つの寸法を提供するよう構成されるアクチュエーティング要素と、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が、導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備えている、
乗り物に結合される推進システム。
[11] 前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、[10]に記載の推進システム。
[12] 凸状表面をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの導管が乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される、[10]に記載の推進システム。
[13] 第1及び第2壁領域を備え、
前記第1及び第2壁領域が第1及び第2アクチュエータを夫々含み、
前記第1及び第2壁領域が第1及び第2内部表面を夫々含み、
前記第1アクチュエータは前記第2表面が動いていない時に前記第2表面に対し前記第1表面を動かすよう構成され、
前記第2アクチュエータは前記第1表面が動いていない時に前記第1表面に対し前記第2表面を動かすよう構成される拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、そして、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し接近可能な二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される吸込み構造、
を備え、
ここにおいて、前記拡散構造が導入された一次流体及び二次流体のためのこのシステムからの出口を提供するよう構成される終端を備える、
乗り物に結合される推進システム。
[14] 前記少なくとも1つの導管は、湾曲した向き,渦巻の向き,そしてジグザグの向きの少なくとも1つに配置される導管の配列を備える、[13]に記載の推進システム。
[15] 凸状表面をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの導管が乗り物により創出された一次流体を凸状表面へと導入するよう構成される、[13]に記載の推進システム。
[16] 乗り物に対し結合される一次エアフォイルと、そして、
前記乗り物に対し結合されるとともに前記一次エアフォイル上を流れる流体の下流に位置される第1二次エアフォイルと、
を備え、
前記第1二次エアフォイルが、第1出力構造及び第1出力構造に結合される少なくとも1つの第1導管を備え、前記少なくとも1つの第1導管は前記乗り物により創出された一次流体を第1出力構造へと導くよう構成され、前記第1出力構造は、前記一次エアフォイルに向かい、そして前記第1二次エアフォイルの外への前記導かれた一次流体のための出口を提供するよう構成される第1終端を備える、
乗り物のための推進システム。
[17] 前記乗り物に対し結合され、前記一次エアフォイル上を流れる流体の下流に位置される第2二次エアフォイルをさらに備え、
前記第1及び第2二次エアフォイルの夫々は前記一次エアフォイルに向かって配置される前縁を有し、前記第1二次エアフォイルは前記第2二次エアフォイルに対向し、これにより、
前記第1及び第2二次エアフォイルは拡散領域を規定し、そして、
前記前縁は前記一次流体及び前記一次エアフォイル上を流れる流体を受け、そして前記拡散領域へと導くよう構成される吸込み領域を規定し、
前記拡散領域は、導入された一次流体及び前記一次エアフォイル上を流れる流体のための前記システムからの出口を提供するよう構成される一次終端を備える、
[16]に記載の推進システム。
[18] 前記第2二次エアフォイルが、第2出力構造及び第2出力構造に結合される少なくとも1つの第2導管を備え、前記少なくとも1つの第2導管は前記乗り物により創出された一次流体を第2出力構造へと導くよう構成され、前記第2出力構造は、前記一次エアフォイルに向かい、そして前記第2二次エアフォイルの外への前記導入された一次流体のための出口を提供するよう構成される第2終端を備える、
[17]に記載の推進システム。
[19] 前記乗り物に対し前記第1二次エアフォイルを回転させるよう構成される第1アクチュエータをさらに備える、[16]に記載の推進システム。
[20] 前記乗り物に対し前記第2二次エアフォイルを回転させるよう構成される第2アクチュエータをさらに備える、[17]に記載の推進システム。