【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の鏡体は、厚さが0.05mm以上0.3mm以下であり、重さが0.1g以上1.0g以下であり、幅が1.5mm以上5.0mm以下の帯状に形成され、一端部側の第1の面領域と、該第1の面領域が設けられた側と同じ側に位置する第2の面領域とがなす角度を30〜60度に変形可能で、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な可撓性を有するシート部材と、該シート部材の片面若しくは両面の少なくとも一部に、鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部とを備える。
【0011】
ここで、シート部材の厚みが、0.05〜0.3mmであることによって、鏡体を前房内に挿入する際、創口を広げすぎることなく挿入することができるので、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。また、創口に鏡体を挿入した際、創口によって鏡体自体が把持されて固定されるので、鏡体が創口から離脱することを抑制することができるだけでなく、創口が鏡体によって塞がれるので、前房内の充填に用いられる粘弾性物質が創口から漏出ることを抑止することができるので、前房安定性を高く保つことができる。
【0012】
なお、シート部材の厚みが0.05mm未満の場合、強度を保つことができず、破損しやすい。また、シート部材の厚みが0.3mmを超える場合には、一定の強度を有するため、変形させることが難しいだけでなく、創口から鏡体を挿入する際、創口を広げてしまい、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができない。
【0013】
また、シート部材の重さが0.1g〜1.0gであることによって、軽量であるため、角膜に設けられた創口に鏡体を挿入した際、手指などで支持しなくても沈み込むなどして創口を広げることがないので、患者の肉体的負担を軽減することができる。
【0014】
なお、重さが0.1g未満である場合には、鏡体全体として強度を保つことができず、破損しやすい。また、重さが1.0gを超える場合には、鏡体を前房内に挿入した際、鏡体の重みで創口が広がり、角膜に負担がかかり、患者の肉体的負担を軽減することができない。
【0015】
また、シート部材の幅が1.5〜5.0mmの幅であることによって、予め角膜に設けられる創口の幅を略同一に形成すれば鏡体を角膜内に挿入することができるので、創口を大きく形成する必要がないので、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。
【0016】
なお、シート部材の幅が1.5mm未満の場合には、鏡面部に映し出される映像が狭くなってしまい、映し出された線維柱帯の映像を十分に観察することができない。また、シート部材の幅が5.0mmを超える場合には、創口の幅が広がりすぎてしまい、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができない。
【0017】
また、シート部材が帯状に形成されることによって、角膜を少なくとも鏡体の幅方向と略同一の幅に切開して創口が形成されれば、角膜を大きく切り開くことなく創口から鏡体を眼内に挿入することができ、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。
【0018】
また、シート部材が一端部側の第1の面領域と、第1の面領域が設けられた側と同じ側に位置する第2の面領域とがなす角度を30〜60度に変形可能であることによって、第1の面領域と第2の面領域を互いに異なる方向を向くように変形させることができる。即ち、施術者が操作しやすい形状、或いは隅角の表面組織の一部にある線維柱帯を観察しやすい形状になるように、帯状の鏡体を自由に変形させることができる。
【0019】
なお、第1の面領域と第2の面領域とがなす角度が30度未満である場合には、第1又は第2の面領域の向く角度がほぼ同一であるので、いずれか一方の面領域を傾斜させる場合には、他方の面領域もほぼ同様に傾斜させなければならないので、操作しにくい。また、第1の面領域と第2の面領域とがなす角度が60度を超える場合には、第1の面領域又は第2の面領域が向く角度が大きく異なるので、いずれか一方の面領域を把持して他方の面領域を適切な角度に傾けることは難しく、操作しにくい。
【0020】
そして、シート部材が、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な可撓性を有することによって、シート部材を前房内へ挿入及び抜去することができる。
【0021】
さらに、シート部材の片面若しくは両面の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部によって、鏡体の周囲の映像を映し出すことができる。具体的には、前房内に挿入された鏡体の鏡面部に、虹彩と角膜の間の隅角の表面組織の一部にある線維柱帯の映像を映し出すことができるので、映出された映像を眼外から直接観察することができる。また、患者の頭部を傾けることなく、眼球体の正面から隅角の表面組織の一部にある線維柱帯を観察することが可能となる。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の鏡体は、厚さが0.05mm以上0.3mm以下であり、重さが0.1g以上1.0g以下であり、幅が1.5mm以上5.0mm以下であって長手方向を有し、一端部側の第1の面領域と、該第1の面領域と連続する面の他端部側に位置する第2の面領域とがなす角度が30〜60度であり、前記第1の面領域を含む第1のシート部と、該第1のシート部と連続して一体に設けられた前記第2の面領域を含む第2のシート部とを連設する捻り形状の捻曲部を有し、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な可撓性を有するシート部材と、該シート部材の片面若しくは両面の前記第1の面領域及び/若しくは前記第2の面領域の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部とを備える。
【0023】
ここで、シート部材の厚みが、0.05〜0.3mmであることによって、鏡体を前房内に挿入する際、創口を広げすぎることなく挿入することができるので、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。また、創口に挿入した際、創口によって鏡体自体が把持されて固定されるので、鏡体が創口から離脱することを抑制することができるだけでなく、創口が鏡体によって塞がれるので、前房内の充填に用いられる粘弾性物質が創口から漏出ることを抑止することができるので、前房安定性を高く保つことができる。
【0024】
なお、シート部材の厚みが0.05mm未満の場合、強度を保つことができず、破損しやすい。また、シート部材の厚みが0.3mmを超える場合には、一定の強度を有するため、変形させることが難しいだけでなく、創口から鏡体を挿入する際、創口を広げてしまい、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができない。
【0025】
また、シート部材の重さが0.1g〜1.0gであることによって、軽量であるため、角膜に設けられた創口に鏡体を挿入した際、手指などで支持しなくても沈み込むなどして創口を広げることがないので、患者の肉体的負担を軽減することができる。
【0026】
なお、重さが0.1g未満である場合には、鏡体全体として強度を保つことができず、破損しやすい。また、重さが1.0gを超える場合には、鏡体を前房内に挿入した際、鏡体の重みで創口が広がり、角膜に負担がかかり、患者の肉体的負担を軽減することができない。
【0027】
また、シート部材の幅が1.5〜5.0mmの幅であることによって、予め角膜に設けられる創口の幅を略同一に形成すれば鏡体を角膜内に挿入することができるので、創口を大きく形成する必要がないので、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。
【0028】
なお、シート部材の幅が1.5mm未満の場合には、鏡面部に映し出される映像が狭くなってしまい、映し出された線維柱帯の映像を十分に観察することができない。また、シート部材の幅が5.0mmを超える場合には、創口の幅が広がりすぎてしまい、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができない。
【0029】
また、シート部材が長手方向を有することによって、一端側を眼内に挿入し、他端側を把持することができるので、容易に操作することができる。
【0030】
また、シート部材の、一端部側の第1の面領域と、第1の面領域と連続する面の他端部側に位置する第2の面領域とがなす角度が30〜60度であることによって、第1の面領域と第2の面領域を互いに異なる方向を向くように配置することができる。即ち、いずれか一方の面領域を傾斜させる場合であっても、他方の面領域を同じ角度に傾かせる必要はなく、異なる角度に位置することになるので、容易に操作することができる。
【0031】
なお、第1の面領域と第2の面領域とがなす角度が30度未満である場合には、第1又は第2の面領域の向く角度がほぼ同一であるので、いずれか一方の面領域を傾斜させる場合には、他方の面領域もほぼ同様に傾斜させなければならないので、操作しにくい。また、第1の面領域と第2の面領域とがなす角度が60度を超える場合には、第1の面領域又は第2の面領域が向く角度が大きく異なるので、いずれか一方の面領域を把持して他方の面領域を適切な角度に傾けることは難しく、操作しにくい。
【0032】
また、第1の面領域を含む第1のシート部と、第1のシート部と連続して一体に設けられた第2の面領域を含む第2のシート部とを連設する捻り形状の捻曲部を有することによって、前房内に挿入する際に上方に向けられた第1の面領域若しくは第2面領域を挿入して、さらに捻曲部付近まで挿入する際に、鏡体を徐々に回転させながら挿入することができる。これにより、第1の面領域と第2の面領域の向く角度が異なるにも関わらず、創口を大きく広げることを抑止しつつ鏡体を前房内に挿入することができるので、角膜への負荷を軽減することができ、患者の肉体的負担を軽減することができる。
【0033】
そして、シート部材が、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な可撓性を有することによって、シート部材を前房内へ挿入及び抜去することができる。
【0034】
そして、シート部材の片面若しくは両面の第1の面領域及び/若しくは第2の面領域の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部によって、鏡体の周囲の映像を映し出すことができる。具体的には、前房内に挿入された鏡体の鏡面部に、虹彩と角膜の間の隅角の表面組織の一部にある線維柱帯の映像が映し出されるので、眼球体の正面から隅角の表面組織の一部にある線維柱帯を観察することが可能となる。
【0035】
シート部材の長さが20.0〜35.0mmに形成された場合には、通常約12〜13ミリの長さが前房内に挿入されるが、鏡体の長さの約半分が眼球外に露出するので、露出した部分を把持することができ、容易に鏡体を操作することができる。
【0036】
なお、シート部材の長さが20.0mm未満の場合には、眼球外に露出するのは8ミリ未満であるので把持しにくく、鏡体を容易に操作することができない。また、シート部材の長さが35.0mmを超える場合には、20.0mm以上が眼球外に露出するので、手術の際、術者の手や他の器具に触れて移動してしまうなどして、操作しにくい。
【0037】
また、上記課題を解決するために、本発明の鏡体は、略円形に形成され、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な柔軟性を有すると共に、前房内で角膜と虹彩の間に配置されるシート部材と、該シート部材の縁部から中心に向う方向に縁部に沿って所定の幅に形成された縁部領域の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部を備える。
【0038】
ここで、シート部材が、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な柔軟性を有することによって、シート部材を折畳むなどして容易に前房内への挿入及び前房内からの抜去を容易に行うことができる。これにより、創口を大きく切り開く必要がないので、患者の精神的・肉体的負担を軽減することができる。
【0039】
また、シート部材が、略円形に形成され、前房内で角膜と虹彩の間に配置されるシート部材と、シート部材の縁部から中心に向う方向に縁部に沿って所定の幅に形成された縁部領域の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面部を備えることによって、鏡体を前房内に挿入した際、鏡面部が隅角の近くに配置されるので、鏡面部上に隅角の表面組織の一部にある線維柱帯を映し出しやすくなり、眼球体の正面から隅角の表面組織の一部にある線維柱帯を容易に観察することができる。そして、略円形に形成された鏡体の縁部の全周に鏡面加工が施されることで、眼内にシート部材が挿入された際、鏡面部の全ての箇所において隅角との距離を略等しく保つことができ、場所による映像のばらつきを防ぐことができる。即ち、線維柱帯が全周にわたって均一な精度で映出されるので、線維柱帯の全周にわたる映像を眼外から直接観察することができる。
【0040】
また、上記課題を解決するために、本発明の鏡体は、平面視略円状に形成され、複数の屈曲部を有する枠部と、角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な柔軟性を有する素材で形成されると共に、前記枠部の片面から立設し、同枠部の中心に向かって所定の角度で傾斜し、外側面の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面領域を有する斜面部とを備える。
【0041】
ここで、複数の屈曲部を有する枠部によって、屈曲部が折り曲げられることで枠部の形状を変えることができる。
【0042】
また、斜面部が角膜に設けられた創口から前房内への挿入及び前房内からの抜去が可能な柔軟性を有する素材で形成されることによって、枠部の形状の変化に応じて斜面部を折畳むことができ、鏡体全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0043】
また、斜面部が枠部の片面から立設することによって、鏡体が前房内に挿入された際、斜面部は枠部上に位置するため、斜面部が前房内で倒れる、あるいは前房内で移動してしまうことなく、安定した状態を維持することができる。
【0044】
また、平面視略円状に形成された枠部と、枠部の中心に向かって略円状に所定の角度で傾斜し、外側面の少なくとも一部に鏡面加工が施された、若しくは鏡面加工が施された鏡面シート部材が貼付された鏡面領域を有する斜面部を有することによって、斜面部の周囲の映像を鏡面領域上に映し出すことができるので、映出された映像を眼外から直接観察することができる。そして、平面視略円形に形成された斜面部の全周に鏡面加工が施されることで、眼内に鏡体が挿入された際、斜面部の全ての箇所において隅角との距離を略等しく保つことができ、場所による映像のばらつきを防ぐことができる。即ち、線維柱帯が全周にわたって均一な精度で映出されるので、線維柱帯の全周にわたる映像を眼外から直接観察することができる。