(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パイプ保持治具は、その板状の一方の面において、X字状に位置する端部4箇所と該X字の交点1箇所との計5箇所に前記連結部材を有し、該連結部材を介して5本のサンプリングパイプが連結されている
請求項1に記載の原料粉末のサンプリング装置。
前記複数のサンプリングパイプが連結されたパイプ保持治具を、該サンプリングパイプが該回収ボックスの上方に配置されるように載置させることが可能な架台をさらに備える
請求項1乃至6のいずれかに記載の原料粉末のサンプリング装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、フェロニッケル製錬においては、ニッケル化合物の粉末(以下、「原料粉末」ともいう)を原料の一部としており、産出地域からフレキシブルコンテナ(以下、「フレコン」ともいう)に装入され、船舶に積載され輸入されている。その原料粉末は、産出された時点で既にある程度の水分を含有しており、受け入れ時には45質量%〜55質量%程度の水分が含まれている状態となっている。
【0003】
フレコン内に収容された原料粉末は、自重による圧縮を受け、含有水分によって凝集する。特に、コンテナの底部に近いほど自重の影響を強く受けるため、コンテナ底部の原料粉末は、まるで固化したかのように強く凝集している。
【0004】
一方、原料粉末の受け入れに際しては、有価物や不純物の含有量、含有水分量等を分析し、産出地域側による分析結果と比較して、原料粉末の品質の確認や購買金額を決定するデータとして利用している。そのため、原料粉末受け入れ側のプラントとしては、受け入れた原料粉末を代表する組成となるようにサンプリングして分析することが重要となる。
【0005】
このようなサンプリングにおいて、従来は、作業員が、専用のサンプリングパイプを使用して、フレコンの上部から原料粉末に対してサンプリングパイプをフレコン底部まで差し込んでパイプ内部に原料粉末を充填させ、その後引き抜くことによって、充填された原料粉末を抜き出してサンプルとして採取していた。
【0006】
パイプから抜き出したサンプルは、さらに複数ステップの混合・縮分工程を経て、分析機器で測定するための適切な量の代表サンプルとされ、有価物の含有量等が分析測定される。例えば、およそ200t〜300t(フレコン1袋当たり約1000kg)の受け入れ原料粉末から、最終的には約500gの代表サンプルを調製するが、上述したサンプリングパイプを用いてフレコンからサンプルを採取するステップでは、合計で70kg程度(フレコン1袋当たり約1kg相当)の原料粉末が採取される。
【0007】
このフレコンからサンプルを採取するステップでは、フレコン中の原料粉末について、水平方向の偏りをキャンセルするために、サンプリングパイプの差し込み個所は5箇所としており、一般的にその位置は、フレコン上部の原料粉末表面において、X字型の端部4箇所と交点1箇所の合計5箇所としている。したがって、サンプリングパイプ1本からは、約200gの原料粉末を採取することになる。
【0008】
また、このステップでは、垂直方向の偏りをキャンセルするために、フレコンの上部から底部までサンプリングパイプの確実に差し込んで、サンプル採取を行う必要がある。
【0009】
ところが、従来では、サンプリングパイプを“人力”でフレコン内の原料粉末に差し込んでいたため、原料粉末が固い(特に、フレコン底部が固く凝集しているような)場合では、人力で差し込むことが困難となり、例えばサンプリングパイプの上部をハンマー等で打ち込んで、フレコン底部の原料粉末まで差し込むことが必要となる。
【0010】
さらに、フレコン上部からパイプを打ち込むためには、フレコンに上るか、専用の架台を設置する必要があるが、例えば専用の架台を設けた場合にはその架台にまでフレコンを運搬しなければならない等、重労働の作業となり、特に、夏や冬等の外的環境が悪い時期には作業者への負担が大きいという問題がある。
【0011】
また、パイプ内に採取したサンプルは、手持ちハンマーでパイプを叩くことによって試料袋に直接回収されることになるが、この作業は、ある1名の作業者がパイプを保持し、別の1名の作業者がパイプを叩いて試料回収を行うというものであり、サンプリングパイプの固定が不十分となって振れ易く、手持ちハンマーで誤って手を打ってしまうという危険発生の可能性もある。
【0012】
例えば、特許文献1、2には、粉末をサンプリングする方法が開示されているものの、フレコン内の原料粉末を適切にかつ容易に採取することに対しては適用が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、フレキシブルコンテナ内の原料粉末をサンプリングするにあたり、作業者の身体的な負担を軽減するとともに作業上の安全性も向上させ、偏りを防いで均一なサンプリングを可能にするサンプリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の第1の発明は、フレキシブルコンテナ(フレコン)に収容された原料粉末から分析用のサンプル粉末を採取する際に使用するサンプリング装置であって、前記フレコン内の原料粉末に対し、該フレコン上部の原料粉末の表面から底部まで鉛直方向に挿入され、該原料粉末を採取する複数のサンプリングパイプと、前記サンプリングパイプで採取したサンプル粉末を回収する回収ボックスと、を備え、前記サンプリングパイプは、板状体であってその板状の一方の面において均等に配置された複数の連結部材を有するパイプ保持治具に、該連結部材を介して連結されており、前記パイプ保持治具は、前記フレコンの水平断面を覆うことのできる大きさの板状体であり、その他方の面に、所定の押し下げ手段と接続可能な接続部材が設けられている、原料粉末のサンプリング装置である。
【0016】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記パイプ保持治具は、その板状の一方の面において、X字状に位置する端部4箇所と該X字の交点1箇所との計5箇所に前記連結部材を有し、該連結部材を介して5本のサンプリングパイプが連結されている、原料粉末のサンプリング装置である。
【0017】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記回収ボックスは、前記サンプリングパイプで採取したサンプル粉末の回収に際して、該サンプリングパイプの下方に位置するように配置され、上部は開放されており、前記パイプ保持治具に連結された複数のサンプリングパイプのすべてから排出されるサンプル粉末を回収可能な大きさを有する、原料粉末のサンプリング装置である。
【0018】
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記回収ボックスは、底面が所定の方向に傾斜している、原料粉末のサンプリング装置である。
【0019】
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記回収ボックスは、傾斜面の下端にサンプル粉末の排出口が設けられ、前記排出口は、試料袋が着脱可能に構成されている、原料粉末のサンプリング装置である。
【0020】
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記サンプリングパイプは、先端部が所定の角度に切り取られており、切り取られて残った部分には、内側に傾く面取りが施されている、原料粉末のサンプリング装置である。
【0021】
(7)本発明の第7の発明は、第6の発明において、前記サンプリングパイプは、所定の角度に切り取られた前記先端部を起点としてパイプ軸方向の略全長に亘ってスリットが設けられている、原料粉末のサンプリング装置である。
【0022】
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記パイプ保持治具の板状の他方の面に設けられた前記接続部材に接続される前記押し下げ手段は、バックホウのアームである、原料粉末のサンプリング装置である。
【0023】
(9)本発明の第9の発明は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記複数のサンプリングパイプが連結されたパイプ保持治具を、該サンプリングパイプが該回収ボックスの上方に配置されるように載置させることが可能な架台をさらに備える、原料粉末のサンプリング装置である。
【0024】
(10)本発明の第10の発明は、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記原料粉末は、ニッケル化合物の原料粉末である、原料粉末のサンプリング装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、フレキシブルコンテナ内の原料粉末をサンプリングするにあたって、作業者の身体的な負担を軽減するとともに作業上の安全性も向上させ、偏りを防いで均一なサンプリングを可能にするサンプリング装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0028】
≪1.原料粉末のサンプリング装置≫
本実施の形態に係る原料粉末のサンプリング装置は、フレキシブルコンテナ(以下、「フレコン」という)に収容された原料粉末から分析用のサンプル粉末を採取する際に使用するサンプリング装置である。
【0029】
ここで、原料粉末としては、特に限定されず、例えば、フェロニッケル製錬の原料として用いられるニッケル酸化鉱石の粉粒体等のニッケル化合物の原料粉末が挙げられる。なお、ニッケル化合物の原料粉末は、プラント等に受け入れられる過程において水分を吸収し易く、その吸収した水分によって固く凝集する特徴がある。
【0030】
図1は、原料粉末のサンプリング装置(以下、単に「サンプリング装置」ともいう)の構成の一例を示す斜視図である。サンプリング装置1は、パイプ保持治具20に連結固定されてフレコン内の原料粉末を採取する複数のサンプリングパイプ10と、サンプリングパイプ10で採取したサンプル粉末を回収する回収ボックス30と、を備える。また、サンプル粉末の回収に際して、複数のサンプリングパイプ10が連結されたパイプ保持治具20を載置可能な架台40を備える。
【0031】
[サンプリングパイプ]
サンプリングパイプ10は、フレコン内の原料粉末に対し、そのフレコン上部の原料粉末の表面から底部まで鉛直方向に挿入されて、原料粉末を採取する治具である。サンプリング装置1においては、サンプリングパイプ10を複数本備えており、例えば
図1の例では5本のサンプリングパイプ10を備えている。このサンプリングパイプ10は、後述するパイプ保持治具20に連結されている。
【0032】
具体的に、
図2は、サンプリングパイプ10の構成を示す図であり、(A)は外観斜視図であり、(B)は長軸方向に沿った断面図である。
図2に示すように、サンプリングパイプ10は、所定の長さを有する長軸筒状のパイプであり、略全長に亘って内部が空洞構造となっている。このようなサンプリングパイプ10は、
図1に示すように、その先端部10p側からフレコン内の原料粉末に対して鉛直方向に挿入され、その内部に原料粉末(サンプル粉末)を充填させ採取する。
【0033】
サンプリングパイプ10は、水分の含有により固化した原料粉末を効率的に採取して回収できれば、その材質は特に限定されず、例えば強度や剛性を有するステンレス等により構成される。
【0034】
図2(A)、(B)に示すように、サンプリングパイプ10の先端部10pは、45度程度の角度に切り取られていることが好ましい。また、その先端部10pにおける切り取られて残った部分には、内側に傾くように45度程度の角度に面取りが施されていることが好ましい。このように、所定の角度に切り取られ、面取りが施された先端部10pを原料粉末に対して穿刺して挿入することで、強く固化した原料粉末であっても容易に採取することができる。
【0035】
サンプリングパイプ10は、所定の角度に切り取られた先端部10pを起点として長軸方向の略全長に亘ってスリット11が設けられている。スリット11の幅は、特に限定されず、例えば当該サンプリングパイプ10のパイプ半径と同等程度とすることができる。このように、スリット11が設けられていることで、サンプリングパイプ10の内部に原料粉末を効果的に充填させ、サンプル粉末を採取することができる。
【0036】
サンプリングパイプ10には、先端部10pとは反対側の端部に、後述するパイプ保持治具20に連結するための連結構造12が設けられている。具体的には、連結構造12として、例えば
図2(A)、(B)に示すように、サンプリングパイプ10をパイプ保持治具20に設けられた連結部材21(
図3を参照)とピンで連結するためのピン孔構造が設けられている。このように、連結構造12が設けられていることで、パイプ保持治具20からの抜け落ちを効果的に防ぐことができる。
【0037】
サンプリングパイプ10には、原料粉末に対する適切な挿入深さを示すマーキングを施しておくようにすることができる。このようにマーキングを施しておくことで、挿入操作を容易にかつ正確に行うことができる。
【0038】
なお、サンプリングパイプ10においては、
図2(B)の断面図に示すように、連結構造12が設けられた部位を含む箇所が補強された構造(図中のX部)となっており、当該サンプリングパイプ10がパイプ保持治具20に安定的に連結されるようになっている。
【0039】
[パイプ保持治具]
パイプ保持治具20は、サンプリングパイプ10を連結固定する治具である。
図1に示すように、パイプ保持治具20は、複数本のサンプリングパイプ10のすべてを、そのサンプリングパイプ10の一方の端部で連結し、鉛直方向に吊り下げるように固定する。
【0040】
具体的に、
図3は、パイプ保持治具20の構成を示す図であり、(A)はパイプ保持治具20の一方の面20aを斜視した外観図であり、(B)は他方の面20bを斜視した外観図である。
図3に示すように、パイプ保持治具20は、板状体により構成されている。
【0041】
パイプ保持治具20においては、板状体の一方の面20aに、複数の連結部材21が均等に配置されている。この連結部材21は、サンプリングパイプ10を連結固定するための部材であり、サンプリングパイプ10と同数の連結部材21が板状体の面20aに取り付けられている。
【0042】
連結部材21は、例えば
図3(A)に示すように、筒状の構造を有する部材であり、長軸筒状のサンプリングパイプ10の端部(先端部10pとは反対の端部)を挿入させて連結固定する。連結部材21においては、例えば、サンプリングパイプ10を連結固定するための連結ピン22が設けられており、その連結ピン22をサンプリングパイプ10の端部に設けられた連結構造12に挿入して連結する。なお、連結に際しては、連結部材21とサンプリングパイプ10とをボルト24でボルト締めすることができる。
【0043】
連結部材21は、パイプ保持治具20の板状体の一方の面20aにおいて、「X」字状に均等に配置されている。具体的には、5本のサンプリングパイプ10を連結固定するために、「X」字状の端部4箇所と、その「X」字の交点1箇所との計5箇所に均等に配置されている。このように、パイプ保持治具20の面20aにおいて、連結部材21が「X」字状に均等に配置されていることで、パイプ保持治具20に対して複数のサンプリングパイプ10を均等に連結させることができ、フレコン内の原料粉末を場所のばらつきなく採取することができる。
【0044】
なお、連結部材21は、サンプリングパイプ10を連結させたときに、その複数のサンプリングパイプ10のすべてが同時にフレコン内の原料粉末に挿入されるように、パイプ保持治具20の板状体の面20aに取り付けられていることが重要となる。
【0045】
また、パイプ保持治具20においては、板状体の他方の面20bに、所定の押し下げ手段と接続可能な接続部材23が設けられている。接続部材23は、例えば
図3(B)に示すように、押し下げ手段としてのバックホウのアーム部分と接続可能な部材である。
【0046】
後述するが、サンプリング装置1においては、例えばバックホウのアーム部分を、パイプ保持治具20の面20bに設けられた接続部材23を介して接続させ、そのバックホウによりパイプ保持治具20を押し下げる。これによって、パイプ保持治具20に連結されたサンプリングパイプ10を機械的な動力により鉛直方向に移動させて、そのサンプリングパイプ10をフレコン内の原料粉末に効率的に挿入することができる。
【0047】
なお、押し下げ手段としては、上述のように、バックホウ等の小型重機を挙げることができるが、これに限定されず、機械的な動力によりパイプ保持治具20を押し下げることができるものであればよい。
【0048】
ここで、板状体のパイプ保持治具20は、採取する原料粉末が収容されたフレコンの水平断面を覆う(カバーする)ことができる大きさを有する。このように、パイプ保持治具20が、フレコンの水平断面をカバーできる大きさの板状体であることにより、フレコン内の原料粉末を場所のばらつきなく有効に採取することができる。
【0049】
板状体のパイプ保持治具20の形状(正面視したときの形状)は、上述した大きさを有するものであれば、
図3のように八角形等の多角形状であっても、円形であってもよい。なお、板状体のパイプ保持治具20の厚みは、特に限定されず、複数のサンプリングパイプ10を連結固定できる強度を付与する厚みであればよい。
【0050】
[回収ボックス]
回収ボックス30は、サンプリングパイプ10で採取したサンプル粉末を回収する箱状の部材である。回収ボックス30においては、上方が開放されており、その開放上部からサンプリングパイプ10により採取したサンプル粉末が落下して回収される。
【0051】
具体的に、
図4は、回収ボックス30の構成を示す図であり、(A)は外観斜視図であり、(B)は
図4(A)におけるA−A断面図である。
図4に示すように、回収ボックス30は、上面視したとき例えば正方形状の箱体であり、上部が開放されている。
【0052】
サンプリング装置1において、回収ボックス30は、サンプリングパイプ10で採取したサンプル粉末の回収に際して、パイプ保持治具20から吊り下げられたサンプリングパイプ10の下方に位置するように配置される。また、開放された上部から、すべてのサンプリングパイプ10より排出されるサンプル粉末を回収可能な大きさを有している。
【0053】
回収ボックス30は、
図4(A)、(B)に示すように、底面30aが所定の方向に傾斜している(この底面を「傾斜面30a」ともいう)。また、その傾斜面30aの下端には、当該回収ボックス30内に回収したサンプル粉末を排出させる排出口31が設けられている。このように、回収ボックス30の底面を傾斜面30aとすることで、サンプリングパイプ10により採取し、回収ボックス30内に回収したサンプル粉末を傾斜面30aに沿って転動させることができ、その傾斜面30aの下端に設けられた排出口31から効率的に排出させることができる。
【0054】
傾斜面30aの下端に設けた排出口31は、試料袋(図示しない)が着脱可能に構成されている。サンプル粉末の回収に際しては、その排出口31に試料袋を装着して、傾斜面30aを転動して排出されるサンプル粉末をその試料袋内に回収することができる。なお、試料袋を排出口31に装着してサンプル粉末を回収することで、サンプル粉末の飛散や、水分の飛散を抑えることができる。
【0055】
回収ボックス30においては、少なくとも、対向する2つの外側の側面に突起部32が設けられている。この突起部32は、回収ボックス30の載置位置に設けられた木枠等の枠体に嵌め込むための受け突起である(
図1を参照)。
図4(B)に示すように、上述した排出口31を所定の長さを有する筒状形状に構成したとき、回収ボックス30を地面から所定の高さをあけて載置する必要がある。このとき、回収ボックス30を、木枠等の枠体に突起部32を介して載置させることで、回収ボックス30の底面を底上げすることができ、排出口31から効率的にサンプル粉末を排出させることができる。なお、回収ボックス30の側面に設けられる突起部32の数は、特に限定されない。
【0056】
[架台]
架台40は、サンプル粉末の回収に際して、複数のサンプリングパイプ10が連結されたパイプ保持治具20を載置可能にする部材である。
【0057】
具体的に、
図5は、架台40の構成を示す図である。
図5に示すように、架台40は、例えば長方形状となるように組み立てられた木枠等の枠体41により構成され、また、枠体41を直立させる脚部42が備えられている。なお、枠体41の形状はこれに限定されず、材質も木製に限定されない。
【0058】
サンプリング装置1においては、
図1の概観斜視図に示したように、架台40を2つ設けて、それぞれを回収ボックス30の側部に配置させる。そして、サンプル粉末を回収ボックス30に回収するに際して、バックホウ等に接続されたパイプ保持治具20を、2つの架台40の枠体上部(
図5中のY部)に載置させる。これにより、
図1に示すように、パイプ保持治具20に連結させた複数のサンプリングパイプ10を、回収ボックス30の上方に適切にかつ安定的に配置されることができ、そのサンプリングパイプ10により採取したサンプル粉末を回収ボックス30により適切に回収することができる。
【0059】
なお、
図1に示すように、架台40は、例えばコンクリートブロック等の台座50の上に載置させるようにしてもよい。これにより、所定の大きさ(高さ)の架台40の高さ位置を変えることができる。
【0060】
≪2.サンプリング装置の使用状態について≫
図6は、上述した構成のサンプリング装置1の使用状態を説明するための図である。
【0061】
(1)原料粉末(サンプル粉末)の採取
先ず、このサンプリング装置1においては、サンプリングパイプ10を用いて、フレコン内に収容された原料粉末から分析用のサンプル粉末を採取する。
図6(A)は、フレコン内の原料粉末をサンプリングパイプ10により採取するときの状態を示す図である。
【0062】
図6(A)に示すように、サンプル粉末を採取するに際しては、小型重機であるバックホウ等の押し下げ手段2(以下では、「バックホウ2」と表記する)を、板状体のパイプ保持治具20の面20bに設けられた接続部材23に接続させ、そのバックホウ2の機械的な動力によって、パイプ保持治具20をフレコン60内に収容された原料粉末の方向(図中の矢印F方向)に移動させる。すると、パイプ保持治具20の面20aに均等な間隔で連結されたサンプリングパイプ10のすべてが、その機械的な動力により徐々に原料粉末に挿入されるようになり、これにより、サンプリングパイプ10内にサンプル粉末を採取することができる。
【0063】
このように、サンプリング装置1においては、複数のサンプリングパイプ10を、そのサンプリングパイプ10を連結させたパイプ保持治具20をバックホウ2の機械的な動力によって押し下げることでフレコン60内の原料粉末に挿入させ、サンプル粉末を採取する。これにより、従来のような作業者による人的な力量に依存することなく、機械的な動力により容易にサンプル粉末を採取することができる。また、パイプ保持治具20に均等に連結された複数のサンプリングパイプ10のすべてを同時に原料粉末に挿入することができるため、原料粉末採取に偏りを生じさせることなく、分析用として良好なサンプル粉末を採取することができる。
【0064】
また、パイプ保持治具20には、複数のサンプリングパイプ10が均等な位置に連結されているため、フレコン60内に収容された原料粉末に性状のばらつきがあったとしても、それを踏まえた均一なサンプリングを行うことができる。
【0065】
サンプリング装置1においては、サンプリングパイプ10内にサンプル粉末を採取した後、バックホウ2により図中の矢印F方向とは逆の方向にパイプ保持治具20を持ち上げ、採取したサンプル粉末を回収するための回収ボックス30の設置場所まで移動させる。
【0066】
このように、サンプリング装置1によれば、パイプ保持治具20に連結されたサンプリングパイプ10をバックホウ2による機械的な動力によって原料粉末に挿入することができるため、作業者が素手にパイプを支持する必要がなく作業者の身体的な負担を軽減させ、また安全性を高めることができる。また、フレコン内の原料粉末は、含有水分によって強く固化した状態であったとしても、サンプリングパイプ10を適切に且つ容易に穿刺して挿入することができ、サンプル粉末を効率的に採取することができる。
【0067】
なお、
図6に示すように、パイプ保持治具20は、接続部材23を介してバックホウ2のアーム部分2Aと接続されている。そして、バックホウ2の操縦によってアーム部分2Aを上下方向に動かすことで、フレコン60内の原料粉末に対するサンプリングパイプ10の挿入、又は、原料粉末からのサンプリングパイプ10の抜出しを行うことができる。
【0068】
また、原料粉末に対するサンプリングパイプ10の挿入又は抜出しに際しては、サンプリングパイプ10を垂直に保持させるガイドを用いてもよい。このようにガイドを用い、そのガイドに沿ってサンプリングパイプ10を原料粉末に挿入することで、挿入操作を容易に行うことができる。
【0069】
(2)サンプル粉末の回収
次に、このサンプリング装置1においては、サンプリングパイプ10により採取したサンプル粉末を回収ボックス30に回収する。
図6(B)は、採取したサンプル粉末を回収ボックス30に回収するときの状態を示す図である。
【0070】
サンプル粉末の回収に際しては、バックホウ2に接続されたパイプ保持治具20を、そのバックホウ2の操縦によって回収ボックス30が設置された場所にまで移動させ、
図6(B)に示すように、パイプ保持治具20に連結されたすべてのサンプリングパイプ10が、上方が開放した回収ボックス30の上部に位置するように配置させる。このとき、回収ボックス30の側部に2つの架台40を互いに対向するように設けて、その架台40の枠体上部にパイプ保持治具20を載置させる。
【0071】
そして、この状態において、内部にサンプル粉末が充填されたサンプリングパイプ10を、例えばハンマー等の衝撃付与手段を用いて叩打し、サンプリングパイプ10内のサンプル粉末を回収ボックス30内に落下させる。複数のサンプリングパイプ10のすべてを叩打してサンプル粉末を落下させることで、それぞれのサンプリングパイプ10で採取したサンプル粉末を有効に回収することができる。
【0072】
回収ボックス30は、上述したように底面が傾斜した傾斜面30aとなっており、その傾斜面30aの下端には排出口31が設けられているため、サンプリングパイプ10から回収ボックス30内に落下したサンプル粉末は、その傾斜面30aを自然に連動していき、排出口31から排出する。なお、排出口31には、試料袋を装着することができ、排出口31から排出したサンプル粉末をもれなく回収することができる。
【0073】
このように、サンプリング装置1によれば、人力に依らずに、パイプ保持治具20に連結された複数のサンプリングパイプ10のすべてを同時に移動させることができ、そして、そのサンプリングパイプ10により採取したサンプル粉末を回収ボックス30内に適切に回収することができる。また、その回収ボックス30は、傾斜面30aを有する構造となっており、傾斜面30aの下端には排出口31が設けられているため、人為的な回収作業を行うことなく、試料袋等に採取したサンプル粉末を効率的に回収することができる。