(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の繊維処理剤組成物は、下記(A)〜(C)成分:
(A)カチオン性界面活性剤、
(B)硫黄含有香料前駆体、及び
(C)水溶性溶剤
を含み、かつ、(A)成分の含量が、該繊維処理剤組成物の総質量に対して0.01〜1質量%である、繊維処理剤組成物である。
但し、本発明の繊維処理剤組成物は柔軟剤組成物ではない。また、本発明の繊維処理剤組成物は、柔軟剤の必須成分である柔軟基剤を含まない。
【0009】
[(A)成分]
(A)成分はカチオン性界面活性剤である。(A)成分は、繊維処理剤使用前の(C)成分による(B)成分の分解を抑制するために配合する。
【0010】
(A)成分の具体例としては、3級アミンの4級化物である4級アンモニウム化合物等が挙げられ、4級アンモニウム化合物が好ましい。
4級アンモニウム化合物としては、下記一般式(A−1)で表される化合物が好ましい。
【0012】
(式中、
Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜24のアルキル基(該アルキル基は、酸素及び/又はベンゼン環を更に含んでいてもよく、又は、窒素原子と一緒になってピリジン環を形成してもよい)を表し、
但し、少なくとも1つのRは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐したアルキル基であり、
Xは陰イオンを表す。)
【0013】
一般式(A−1)において、Rの「炭素数1〜24のアルキル基」の炭素数は、好ましくは8〜18、より好ましくは4〜10である。
Rは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、前記アルキル基は酸素及び/又はベンゼン環を更に含んでいてもよい。また、前記アルキル基は、窒素原子と一緒になってピリジン環を形成してもよい。
但し、一般式(A−1)において、少なくとも1つのRは「炭素数1〜3の直鎖又は分岐したアルキル基」である。「炭素数1〜3の直鎖又は分岐したアルキル基」の数は1〜3であることが好ましい。「炭素数1〜3の直鎖又は分岐したアルキル基」が複数存在する場合、当該アルキル基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(A−1)において、X
-の「陰イオン」としては、Cl
-、Br
-、CH
3SO
4-やC
2H
5SO
4-や挙げられ、Cl
-が好ましい。
一般式(A−1)で表される4級アンモニウム化合物としては、
アルキル基の炭素数が8〜18のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、
各アルキル基の炭素数が4〜10のジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキル基の炭素数が8〜18のアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、及び
アルキル基の炭素数が8〜18のアルキルピリジニウム塩等が好ましく、
アルキル基の炭素数が8〜18のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、及び
各アルキル基の炭素数が4〜10のジアルキルジメチルアンモニウム塩がより好ましく、
C16〜C18アルキルトリメチルアンモニウムクロライド(特に、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)及びジデシルジメチルアンモニウムクロライドが特に好ましい。
【0014】
(A)成分は、1種類のカチオン性界面活性剤を単独で用いてもよく、2種類以上のカチオン性界面活性剤からなる混合物として用いてもよい。
配合目的の更なる向上の観点からは、(A)成分が一般式(A−1)で表される化合物を含有することが好ましく、(A)成分が一般式(A−1)で表される化合物のみからなることが更に好ましい。
【0015】
(A)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0016】
(A)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
(A)成分の含量が0.01質量%以上であると、配合効果(繊維処理剤使用前の(C)成分による(B)成分の分解抑制)を十分に得ることができる。
(A)成分の含量が1質量%以下であると、繊維製品に使用した際にべたつきやシミを生じることなく、配合効果を得ることができる。
【0017】
[(B)成分]
(B)成分は、硫黄含有香料前駆体である。「硫黄含有香料前駆体」とは、香料と、硫黄を含有する不揮発性の基質とを化学的に結合させた化合物をいう。香料前駆体自体は香りを出さないが、熱や光、水等のトリガーにより香料と基質との間の結合が切断されると香料が放出されて、香りを出す。そのため、香料前駆体で衣類を処理すると、当該衣類の着用後や保管後など、使用場面の後半においても香料としての効果を発揮することが知られている。
(B)成分は、繊維処理剤による処理後の繊維製品への香り付けのために配合する。
【0018】
硫黄含有香料前駆体としては、液体柔軟剤組成物へ一般的に用いられているものを特に制限なく用いることができる。好ましくは、下記一般式(B−1)で表される化合物を(B)成分の硫黄含有香料前駆体として用いることができる。
Y−S−G−Q (B−1)
【0019】
一般式(B−1)中、
Yは、以下に示した基(Y−1)〜(Y−7)からなる群より選択される基又はその異性体を表し、
【0021】
((Y−1)〜(Y−7)の各式中、波線はY−S結合の位置を表し、点線は単結合又は二重結合の位置を表す)、
Sは、硫黄原子を表し、
Gは、2〜15個、好ましくは10〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアルケニル基から誘導される2価又は3価の基を表し(前記2価又は3価の基は、場合により−OR
11、−NR
112、−COOR
11及びR
11基(各基中、R
11は、水素原子又はC
1〜C
6アルキル基又はアルケニル基を表す)からなる群から選択される1つ以上の基で置換されていてもよい)、
Qは、水素原子、−S−Y基又は−NR
12−Y基(各基中、Yは上記のように規定され、且つ、R
12が水素原子又はメチル基である)を表す。
【0022】
ここで、一般式(B−1)中の(Y−1)〜(Y−7)の各式で表される基の「異性体」とは、各基が化学構造上に採りうる異性体、例えば、立体異性体などをいう。
【0023】
一般式(B−1)で表される化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0024】
一般式(B−1)で表される化合物の好ましい例としては、メチル又はエチル2−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−2−イルアミノ)−3−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−2−イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−2−イルアミノ)−3−(4−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−2−イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2−(2−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)ブタン−4−イルアミノ)−3−(2−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)ブタン−4−イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2−(2−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−4−イルアミノ)−3−(2−オキソ−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタン−4−イルチオ)プロパネート、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−1−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−ブタノン、2−ドデシルスルファニル−5−メチル−ヘプタン−4−オン、2−シクロヘキシル−1−ドデシルスルファニル−ヘプト−6−エン−3−オン及び3−(ドデシルチオ)−5−イソプロペニル−2−メチルシクロヘキサノンからなる群から選ばれる化合物が挙げられる。
香りの持続性を高める観点から、更に好ましくは、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−ブタノン及び3−(ドデシルチオ)−5−イソプロペニル−2−メチルシクロヘキサノンからなる群より選ばれる化合物が挙げられ、
最も好ましくは、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン及び4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノンからなる群より選ばれる化合物が挙げられる。
【0025】
(B)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0026】
(B)成分は、1種類の硫黄含有香料前駆体を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0027】
(B)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.0005〜0.05質量%、さらに好ましくは0.001〜0.02質量%である。
【0028】
また、繊維処理剤組成物の香気持続性の更なる向上の点において、(B)成分に対する(A)成分の質量比((A)成分の質量/(B)成分の質量)は、好ましくは0.1〜10000であり、より好ましくは1〜1500であり、更に好ましくは5〜500である。
【0029】
[(C)成分]
(C)成分は、水溶性溶剤である。(C)成分は、繊維製品へ適用された繊維処理剤組成物の乾燥を促進するために配合する。
本発明で用いる水溶性溶剤としては、繊維処理剤組成物に一般的に使用されているものを特に制限なく使用することができる。
「水溶性溶剤」とは、任意の比率で水と混ざり、透明な混合液を提供できる溶剤をいう。具体例としては、炭素数2〜3の1級アルコール(例えば、エタノールや、イソプロパノール等)、炭素数2〜6のグリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールや、ジプロピレングリコール等)、並びに炭素数3〜8の多価アルコール類(例えば、グリセリンや、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)等が挙げられる。
これらの中では、繊維処理剤組成物から生ずる香気への影響なく、かつ、低価格である点で、エタノール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、エタノールがより好ましい。
【0030】
(C)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0031】
(C)成分は、1種類の水溶性溶剤を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0032】
(C)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
(C)成分の含量が5質量%以上であると、配合効果を十分に得ることができる。
(C)成分の含量が30質量%以下であると、繊維処理剤組成物の使用性を十分に維持しつつ(使用者が(C)成分によってむせることなく)、配合効果を得ることができる。
【0033】
[任意成分]
本発明の繊維処理剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(C)の必須成分以外の下記の任意成分を配合してもよい。
但し、本発明の繊維処理剤組成物は柔軟剤として使用されるものではないので、本発明の繊維処理剤組成物は柔軟剤の必須成分である柔軟基剤を含まない。
【0034】
[(D)成分]
(D)成分は、2価の水溶性金属塩又はその水和物である。「2価の水溶性金属塩」とは、25℃の水1Lに10g以上溶解する2価の金属塩をいう。
(D)成分は、繊維処理剤組成物へ消臭効果を付与するために配合する。
(D)成分の具体例としては、水溶性亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛や、塩化亜鉛等)、水溶性銅塩(例えば、硫酸銅や、塩化銅等)、水溶性鉄塩(例えば、硫酸鉄等)や、水溶性マンガン塩(例えば、塩化マンガン)等があげられる。これらの中では、消臭性能に優れる水溶性亜鉛塩(特に硫酸亜鉛や、塩化亜鉛)及び水溶性銅塩(特に、硫酸銅)並びにこれらの水和物が好ましく、硫酸亜鉛及びその水和物並びに硫酸銅及びその水和物が更に好ましく、硫酸亜鉛及び硫酸銅水和物がより好ましく、硫酸亜鉛及び硫酸銅5水和物が特に好ましい。
【0035】
(D)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0036】
(D)成分は、1種類の「2価の水溶性金属塩又はその水和物」を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。2種類以上を併用する場合には、水溶性亜鉛塩を少なくとも用いることが好ましい。
【0037】
(D)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより0.1〜1質量%が更に好ましい。
(D)成分の含量が0.01質量%以上であると、配合効果を十分に得ることができる。
(D)成分の含量が10質量%以下であると、繊維処理剤組成物の保存安定性を十分に維持し、かつ、繊維製品にしみや変色等の不具合を生じさせることなく、配合効果を得ることができる。
【0038】
[(E)成分]
(E)成分は、下記一般式(E−1)〜(E−3)で表される化合物である。
(E)成分は、繊維処理剤組成物へ消臭効果を付与するために配合する。
【0041】
式(E−1)中、
A
Iは炭素数8〜22の直鎖又は分岐アルキル基、スルホ基、アミノ基、水酸基、水素原子又はCOOM
Iを表す。A
Iとしては、CH
3、OH、H、COOM
Iが好ましく、CH
3、Hがより好ましく、CH
3が特に好ましい。
M
Iは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、カチオン性アンモニウム基、アルカノールアミンからなる群より選ばれる1種を示す。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。M
Iとしては、アルカリ金属が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
m
I及びn
Iは、それぞれ0〜2の整数である。m
Iは、好ましくは0又は1である。n
Iは、好ましくは0又は1である。m
Iとn
Iとがいずれも0の場合、A
Iは、CH
3である。
前記式(E−1)で表される化合物のなかで好適なものとしては、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β−アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、又はこれらの塩が挙げられる。なかでもMGDA又はその塩が好ましい。
【0044】
式(E−2)中、X
II-1〜X
II-4は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、カチオン性アンモニウム基、アルカノールアミンからなる群より選ばれる1種を表す。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
Q
IIは水素原子または炭素数8〜22の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
R
IIは水素原子または水酸基を表す。
n
IIは0または1を表す。
前記式(E−2)で表される化合物のなかで好適なものとしては、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、又はこれらの塩が挙げられ、なかでもIDS又はその塩がより好ましい。
【0047】
式(E−3)中、
R
IIIは、炭素数8〜22、好ましくは12〜18の直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基を表す。
A
IIIは、H、メチル基又は(CH
2)m
III−COOX
IIIを表す。A
IIIとしては、(CH
2)m
III−COOX
IIIが好ましい。m
IIIは、1〜3のいずれかの数を表す。
X
IIIは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン又はNH
4を表わす。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
n
IIIは1〜3のいずれかを表す。
前記式(E−3)で表わされる化合物の具体例としては、オクチルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルアミノ酢酸ナトリウム、ミリスチルアミノ酢酸ナトリウム、パルミチルアミノ酢酸ナトリウム、オレイルアミノ酢酸ナトリウム等のアルキル及びアルケニルアミノ酢酸塩;
オクチルアミノプロピオン酸ナトリウム、デシルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ミリスチルアミノプロピオン酸ナトリウム、パルミチルアミノプロピオン酸ナトリウム、オレイルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアルキル及びアルケニルアミノプロピオン酸塩;
N‐オクチルグリシンナトリウム、N‐デシルグリシンナトリウム、N‐ラウリルグリシンナトリウム、N‐ミリスチルグリシンナトリウム、N‐パルミチルグリシンナトリウム、N‐オレイルグリシンナトリウム等のN‐アルキル及びアルケニルグリシン塩;
N‐オクチル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム、N‐デシル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム、N‐ドデシル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム、N‐ミリスチル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム、N‐パルミチル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム、N‐オレイル‐N‐メチル‐β‐アラニンナトリウム等のN‐アルキル及びアルケニル‐N‐メチル‐β‐アラニン塩;
オクチルアミノジ酢酸ナトリウム、デシルアミノジ酢酸ナトリウム、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、ミリスチルアミノジ酢酸ナトリウム、パルミチルアミノジ酢酸ナトリウム、オレイルアミノジ酢酸ナトリウム等のアルキル及びアルケニルアミノジ酢酸塩;及び オクチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、デシルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリスチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、パルミチルアミノジプロピオン酸ナトリウム、オレイルアミノジプロピオン酸ナトリウム等のアルキル及びアルケニルアミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。
これらの中では、保存安定性から考えて、アルキル及びアルケニルアミノジ酢酸塩が好ましく、その中でもデシルアミノジ酢酸、ラウリルアミノジ酢酸、ミリスチルアミノジ酢酸、パルミチルアミノジ酢酸又はその塩が好ましく、特にラウリルアミノジ酢酸、ミリスチルアミノジ酢酸、パルミチルアミノジ酢酸又はその塩がより好ましい。
【0048】
(E)成分としては、式(E−1)で表される化合物及び式(E−2)で表される化合物が好ましく、MGDA、IDS及びこれらの塩が更に好ましい。MGDA及びその塩が最も好ましい。
【0049】
(E)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0050】
(E)成分は、1種類の化合物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0051】
(E)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.05質量%〜15質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
(E)成分の含量が0.05質量%以上であると、配合効果を十分に得ることができる。
(E)成分の含量が15質量%以下であると、繊維製品にしみや変色等の不具合を生じさせることなく、配合効果を得ることができる。
【0052】
[(F)成分]
(F)成分は、非イオン界面活性剤である。
(F)成分は、繊維処理剤組成物の分散安定性を高めるために配合する。
(F)成分の具体例としては、
炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(C1〜3)エステルや、
オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、
炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、
オキシエチレン基の平均付加モル数が20〜100モルである硬化ヒマシ油、
などが挙げられる。
中でも、炭素数10〜14のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜20モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレン基の平均付加モル数が30〜50モルである硬化ヒマシ油が好ましい。
【0053】
(F)成分は、市場において容易に入手可能であるか、又は、公知の方法によって合成可能である。
【0054】
(F)成分は、1種類の非イオン界面活性剤を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
【0055】
(F)成分の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
(F)成分の含量が上記の範囲にあると、配合効果を十分に得ることができる。
【0056】
[(G)成分]
繊維処理剤組成物は、好ましくは水を含む液体状の水性組成物である。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
【0057】
[他の任意成分]
その他の任意成分としては、キレート剤、再汚染防止剤、高分子、防腐剤、抗菌剤、防カビ剤、忌避剤、天然物などのエキス、分散剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、減粘剤、紫外線吸収剤など、安全性が高くしかも通常の繊維処理剤組成物に使用されるものであればどのようなものでもよく、特に限定されるものではない。
本発明における上記任意成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対し、上限が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0058】
抗菌剤及び防カビ剤について、繊維製品上での菌の増殖を抑制し、不快臭の発生を抑制する観点から、有機系防菌防黴剤、無機系防菌防黴剤の中から1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
有機系防菌防黴剤としては、アルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメート系、糖質系、トロポロン系、有機金属系のものが挙げられる。
無機系防菌防黴剤としては、金属酸化物、銀系のものが挙げられる。
抗菌剤及び防カビ剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、例えば、イソプロピルメチルフェノールなどの抗菌剤(或いは除菌剤)を用いる場合、繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.05〜1質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0059】
また、繊維処理剤組成物に含まれる成分の保存安定性をより向上するために、pH調整剤を配合できる。pH調整剤としては、酸(例えば、無機酸(例えば塩酸や、硫酸等)や、カルボン酸(例えば、酢酸や、クエン酸等)や、アルカリ(例えば、アルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム等)や、アルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン等))が挙げられる。
【0060】
繊維処理剤組成物には、(B)成分(硫黄含有香料前駆体)以外の香料を任意成分として配合することができる。
香料としては当該技術分野で汎用の香料を使用可能であり特に限定されないが、例えば特開2008-7872号公報に記載されているような香料成分、溶剤、安定化剤を含有する香料組成物が挙げられる。
(B)成分以外の香料としては、1種類の香料を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
(B)成分以外の香料の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.005〜5質量%であり、香り付けの効果と経済性の観点からより好ましくは0.01〜1質量%である。
【0061】
また、シリコーン化合物を配合して、しわ取り機能を繊維処理剤組成物へ付与することもできる。シリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられる。シリコーン化合物としては、ポリエーテル変性シリコーンが好ましく、中でもHLBが13以下、好ましくは10以下、更に好ましくは7以下のポリエーテル変性シリコーンが、着用じわを減少させる観点から好ましい。具体的には東レ・ダウコーニング社製のSH3775C、SH3772CやSH3775Mなどの化合物が好適である。
シリコーン化合物の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%であり、しわ減少効果と経済性の観点からより好ましくは0.1〜1質量%である。
【0062】
[繊維処理剤組成物のpH]
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、当該組成物の貯蔵安定性や芳香性を十分に確保するために、上記のpH調整剤を用いて繊維処理剤組成物のpHを一定の範囲に調整することが好ましい。
例えば、繊維処理剤組成物のpHが3〜8、好ましくは3〜6.5であると、タバコ臭のある繊維製品に対して優れた香り付与効果を発揮することができる。また、繊維処理剤組成物のpHが4〜9、好ましくは5.5〜9であると、枕カバー臭や体臭のある繊維製品に対して優れた香り付与効果を発揮することができる。
また、繊維処理剤組成物の保存安定性の観点からは、当該組成物のpHは6.5以下が好ましく、5以下であると更に好ましい。
なお、上記のpHは25℃における値をいう。
【0063】
[繊維処理剤組成物の粘度]
繊維処理剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、10mPa・s未満であることが好ましい。繊維処理剤組成物をスプレー容器に入れて噴霧して使用する場合には、5mPa・s以下であることがより好ましい。なお、ここで示す粘度とは、B型粘度計(トキメック社製)を用いて、原液を25℃で測定した場合の数値である。
【0064】
[繊維処理剤組成物の製造方法]
本発明の繊維処理剤組成物は定法により製造することができる。例えば、(A)成分、(C)成分及びシリコーン化合物(任意成分)を均一に混合した後、(B)成分及び(B)成分以外の香料(任意成分)を添加して攪拌し、引き続き、(D)成分及び(E)成分(いずれも任意成分)を添加して攪拌した後、残りの(G)成分(任意成分)を添加して製造することができる。
また、例えば、(C)成分に、(A)成分、(B)成分及び必要により任意成分(例えばシリコーン化合物、非イオン界面活性剤等)を添加して混合後、水をある程度添加し、混合する。その後必要であればpH調整剤(例えば、水酸化ナトリウム、塩酸や硫酸)を用い、pHメーター(例えば、Mettler Toledo社製 型番MP230)で、配合物をスターラーにて攪拌したままpHを調整した後、残りの水を添加することにより製造することもできる。
【0065】
[繊維処理剤組成物の使用方法]
本発明の繊維処理剤組成物は繊維製品に香りを付与するために用いる(すなわち、芳香剤として用いる)ことができる。
また、消臭成分である(D)成分や(E)成分を含む場合には、消臭剤としても用いることができる。
更に、しわとり成分シリコーン化合物を含む場合には、しわとり剤としても用いることができる。
繊維製品への適用方法は特に限定されない。例えば、繊維製品を繊維処理剤組成物中に浸漬した後風乾してもよいし、繊維処理剤組成物をスプレー容器に収納し、繊維製品に対して当該組成物を噴霧した後風乾してもよい。特に、家庭においても手軽に実施できる簡便性や、必要量の繊維処理剤組成物を繊維製品のニオイが気になる部位のみへ適用できるという経済性の点から、繊維処理剤組成物をスプレー容器に収納し、繊維製品に噴霧して使用する方法が好ましい。
スプレー容器としては、エアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型あるいは蓄圧型)や、ディスペンサースプレー容器等が挙げられる。エアゾールスプレー容器の例としては、特開平9-3441号公報、及び特開平9-58765号公報等に記載されているものが挙げられる。
また、噴射剤としてはLPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガスや、窒素ガス等が挙げられ、これらは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
トリガースプレー容器の例としては、特開平9-268473号公報、特開平9-256272号公報、特開平10-76196号公報等に記載のものが挙げられる。
ディスペンサースプレー容器の例としては、特開平9-256272号公報等に記載のものが挙げられる。
本発明の繊維処理剤組成物を、対象となる繊維製品に噴霧して使用する場合の噴霧量は、繊維製品へ付着したニオイの強度にもよるため、特に限定はされないが、繊維製品の質量に対して、下限が好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、上限は好ましくは100質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。噴霧量がこの範囲内にあると、香り付与効果及び経済性に優れるので好ましい。
【0066】
また、本発明の繊維処理剤組成物は、プラスチック製容器に収納することができる。プラスチック製容器としては、ボトル容器や詰替え用のスタンディングパウチ等が挙げられる。スタンディングパウチとしては、例えば、特開2000-72181号公報に記載のものが挙げられる。スタンディングパウチとしては、二層構造(内層に100〜250μmの線状低密度ポリエチレン及び外層に15〜30μmの延伸ナイロンを使用)又は三層構造(内層に100〜250μmの線状低密度ポリエチレン、中間層に15μmの延伸ナイロン、及び外層に15μmの延伸ナイロンを使用)のスタンディングパウチが保存安定性の点から好ましい。
【0067】
本発明の繊維処理剤組成物を使用する対象となる繊維製品としては、特に限定されないが、例えば、Yシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、ジャケット、コート、ニット、ジーンズ、パジャマ、テーブルクロス、ランチョンマット、カーテン、クッション、座布団、ソファ、枕カバー、シーツ、ベッドパッド、枕、布団、ベッドカバー、毛布、マットレス、靴、トイレマット、バスマット、玄関マット、カーペット、ラグ、絨毯等が挙げられる。
また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定されないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられ、その中でも、普段の手入れが困難なウール及びその混紡品において、本発明の繊維処理剤組成物の効果が顕著に発揮される。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0069】
実施例及び比較例の繊維処理剤組成物の製造に用いた成分及び製造方法を以下に示す。
【0070】
(A)成分:カチオン性界面活性剤
カチオン界面活性剤として、下記のA−1〜A−3を使用した。
A−1:塩化ジデシルジメチルアンモニウム(リポカード210-80E、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
A−1は、一般式(A−1)中、2つのRが炭素数10の直鎖アルキル基(デシル基)であり、他の2つのRが炭素数1の直鎖アルキル基(メチル基)であり、X
-が塩素イオンである化合物である。
A−2:塩化ジヤシアルキルジメチルアンモニウム(リポカード2C-75、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
A−2は、一般式(A−1)中、2つのRが炭素数8〜18の直鎖アルキル基であり、他の2つのRが炭素数1の直鎖アルキル基(メチル基)であり、X
-が塩素イオンである化合物である。
A−3:塩化アルキルトリメチルアンモニウム(リポカード T-800、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
A−3は、一般式(A−1)中、1つのRが炭素数16〜18の直鎖アルキル基であり、他の3つのRが炭素数1の直鎖アルキル基(メチル基)であり、X
-が塩素イオンである化合物である。
比較例では、(A)成分として、カチオン性界面活性剤ではない下記のA−4〜A−5を使用した。
A−4(非イオン性界面活性剤):1級イソトリデシルアルコールエチレンオキシド60モル付加物(商品名:TA600−75)
A−5(アニオン性界面活性剤):α-オレフィン(C14-18)スルホン酸Na塩(リポラン LB-840、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
【0071】
(B)成分:硫黄含有香料前駆体
下記のB−1〜B−2を使用した。
B−1:3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン。B−1は、特表2005-511710号公報の例4記載の化合物である。また、B−1は、一般式(B−1):Y−S−G−Q中、YがY−1(3、4位に二重結合を有する)で表される基、Gが炭素原子12個からなるドデシル基、Qが水素原子である化合物である。
B−2:4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノン。B−2は、原料としてドデカンチオール(東京化成工業株式会社製)とβヨノン(ヴェ・マンフィス香料株式会社製)とを用い、特表2005-511710号公報の例4に記載同様の方法で合成した。また、B−2は、一般式(B−1):Y−S−G−Q中、YがY−2(1、2位に二重結合を有する)で表される基、Gが炭素原子12個からなるドデシル基、Qが水素原子である化合物である。
【0072】
(C)成分:水溶性溶剤
下記のC−1を使用した。
C−1:合成エタノール95%(日本アルコール販売)
【0073】
(D)成分:2価の水溶性金属塩
下記のD−1を使用した。
D−1:硫酸亜鉛(II)(関東化学株式会社製)
【0074】
(E)成分:
下記のE−1を使用した。
E−1:メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム「MGDA」(BASF社製)
E−1は、一般式(E−1)中、A
IがCH
3、M
Iがナトリウム、m
Iが0、n
Iが0である化合物である。
【0075】
その他の任意成分:
シリコーン化合物として、下記のポリエーテル変性シリコーンを使用した。
ポリエーテル変性シリコーン(SH3775M)(東レ・ダウコーニング株式会社製)
また(B)成分以外の香料として、下記の表1に記載の香料組成物を使用した。
【表1】
【0076】
[繊維処理剤組成物の調製方法]
各成分の配合量を下記表2に記載の通り調整して、次の手順により繊維処理剤組成物を調製した。
1000mLビーカーに、表2に示す種類と配合量の(A)成分、(C)成分およびシリコーン化合物を投入して、均一に混合した後、表2に示す種類と配合量の(B)成分および(B)成分以外の香料を添加し、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)を用いて十分に攪拌した。引き続き、表2に示す種類と配合量の(D)成分および(E)成分を添加して攪拌した後、全体量が100質量%となるようにイオン交換水(表2中の(G−1)成分)を入れ、さらによく攪拌して繊維処理剤組成物を得た。
表2中、各成分の数値は、繊維処理剤組成物の総質量に対する配合量(質量%)である。
また、表2中の「(A)/(B)」は、(B)成分に対する(A)成分の質量比((A)成分の質量/(B)成分の質量)を示す。
【0077】
[繊維処理剤組成物の評価]
実施例及び比較例の繊維処理剤組成物について、以下の手順により評価を行った。
(1)繊維処理剤組成物自体のニオイの評価
各繊維処理剤組成物を軽量ガラスビン(PS−No.11、田沼硝子工業所製)にそれぞれ70g入れて密栓し、評価用のサンプルとし、においを官能評価した。この試験は、硫黄含有香料前駆体((B)成分)から放出されるにおいを指標にして、繊維処理剤組成物の使用前における水溶性溶剤((C)成分)による(B)成分の分解の程度を評価するために行った。具体的には、評価は、10人のパネラーが下記基準に基づき官能評価し平均化した。平均値を表2の「使用前香気」欄に示す。商品価値上、3点以上を合格とした。
<評価基準>
5点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがほとんど感じられない
4点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがわずかに感じられる
3点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがやや感じられる
2点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがかなり感じられる
1点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがはっきり感じられる
【0078】
(2)繊維処理剤組成物を噴霧した繊維製品のニオイの評価
垂直に立てたアクリル板(40cm×50cm)に試験布であるウールサージ布(15cm×20cm、5g)を洗濯ばさみでとめ、繊維処理剤組成物をディスペンサーポンプスプレー(スタイルガード しわもニオイもすっきりスプレー、ライオン(株)製)を用いて、上記試験布に20cm離して同じ部分に3回噴霧した。噴霧直後、噴霧部分のにおいを官能評価した。この試験は、硫黄含有香料前駆体((B)成分)から放出されるにおいを指標にして、繊維処理剤組成物の使用直後における水溶性溶剤((C)成分)による(B)成分の分解の程度を評価するために行った。具体的には、評価は10人のパネラーが下記基準に基づき官能評価し平均化した。平均値を表2の「使用直後香気」欄に示す。商品価値上、(B)成分は繊維処理剤使用後に持続的に香気を放出することが好ましいので、使用直後の(B)成分由来の香気が少ない(換言すれば、使用前の(B)成分の分解が少ない)もの(3点以上)を合格とした。
<評価基準>
5点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがほとんど感じられない
4点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがわずかに感じられる
3点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがやや感じられる
2点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがかなり感じられる
1点:硫黄含有香料前駆体から放出される香料のにおいがはっきり感じられる