特許第6885692号(P6885692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885692
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ストッカシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20210603BHJP
【FI】
   G06Q10/08
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-170917(P2016-170917)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-36954(P2018-36954A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正人
(72)【発明者】
【氏名】西田 淳一
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−134141(JP,A)
【文献】 特開2013−142009(JP,A)
【文献】 特開2008−197711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
E05B 49/00
E05B 65/00
H04M 11/00
A47G 29/20
A47G 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠可能な扉を含む複数の納品庫を備えるストッカと、
前記ストッカを管理するストッカ管理装置と、
を備えたストッカシステムであって、
各納品庫の空き情報と、各納品庫に割り当てられる優先順位に関する優先順位関連情報とを対応付けた納品庫情報を前記複数の納品庫毎に記憶する記憶部と、
前記複数の納品庫のうち物品を納品する納品庫の決定が要求されたとき、前記納品庫情報に基づいて物品が納品されていない空き納品庫のうち割り当てられた優先順位が最も高い納品庫を決定する制御部と、
を備え、
前記納品庫情報は、前記複数の納品庫のそれぞれの使用回数を含み、
前記使用回数は、前記物品の納品時と受取時の両方において、前記制御部によりインクリメントされ、
前記制御部は、所定のタイミングで前記複数の納品庫に割り当てる優先順位を変更可能であり、前記納品庫情報から前記使用回数を取得し、前記複数の納品庫のそれぞれの使用頻度を判定し、前記使用頻度に基づいて前記複数の納品庫に割り当てる優先順位を変更し、前記複数の納品庫のうち前記使用頻度が低い納品庫ほど高い優先順位を割り当てる
ことを特徴とするストッカシステム
【請求項2】
請求項1記載のストッカシステムであって、
前記ストッカ管理装置は、上下方向に複数段の納品庫を備えるストッカを管理し、
前記記憶部は、前記複数段の納品庫のうち中央側の段の納品庫ほど高い優先順位が割り当てられた前記優先順位関連情報を記憶する、
ことを特徴とするストッカシステム
【請求項3】
請求項1または2記載のストッカシステムであって、
前記複数の納品庫は、複数のグループの何れかに属し、
前記制御部は、同一グループに属する複数の納品庫の間で割り当てる優先順位を入れ替える、
ことを特徴とするストッカシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッカ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、施錠可能なボックスを有するロッカーと、ロッカーを管理する管理装置とを備えるシステムが知られている。例えば、特許文献1には、宅配ロッカーと、ロッカーボックスの空き情報を管理する管理センターを備えるシステムが開示されている。顧客が購入した商品を宅配ロッカーで受け取ることを希望すると、管理センターは、各ロッカーボックスの空き情報を検索して空いているロッカーボックスを予約し、宅配業者に駅名とロッカー番号とを通知する。通知を受けた宅配業者は、指定された宅配ロッカーのロッカーボックスに商品を入庫する。顧客は、宅配ロッカーにて商品を受け取る際に暗証番号を入力するか、又は予め登録したカードを宅配ロッカーのカードリーダに挿入する。宅配ロッカーは、暗証番号あるいはカード番号を管理センターへ送信する。管理センターは、入力された暗証番号やカード番号が正しいか否かを判定し、正しいと判定すると、宅配ロッカーへ信号を送信してロッカーボックスの扉を開放させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−8130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、顧客が購入した商品(物品)を宅配業者がロッカーボックスに入庫するために、空いているロッカーボックスを予約することについては記載されているものの、空いているロッカーボックスが複数存在する場合に予約するロッカーボックスをどれに決定すべきかについては言及されていない。
【0005】
本発明は、空きがある複数の納品庫のうち物品を納品する納品庫をより適切に決定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のストッカ管理装置は、
施錠可能な複数の納品庫を備えるストッカを管理するストッカ管理装置であって、
各納品庫の空き情報と、各納品庫に割り当てられる優先順位に関する優先順位関連情報とを対応付けた納品庫情報を前記複数の納品庫毎に記憶する記憶部と、
前記複数の納品庫のうち物品を納品する納品庫の決定が要求されたとき、前記納品庫情報に基づいて物品が納品されていない空き納品庫のうち割り当てられた優先順位が最も高い納品庫を決定する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のストッカ管理装置は、空き情報と優先順位関連情報とを対応付けた納品庫情報を複数の納品庫毎に記憶しておく。そして、ストッカ管理装置は、複数の納品庫のうち物品を納品する納品庫の決定が要求されたとき、納品庫情報に基づいて空き納品庫のうち割り当てられた優先順位が最も高い納品庫を決定する。これにより、各納品庫の優先順位を適切に定めることで、空きがある複数の納品庫のうち物品を納品する納品庫をより適切に決定することができる。
【0009】
こうした本発明のストッカ管理装置において、上下方向に複数段の納品庫を備えるストッカを管理し、前記記憶部は、前記複数段の納品庫のうち中央側の段の納品庫ほど高い優先順位が割り当てられた前記優先順位関連情報を記憶するものとしてもよい。複数段のうち中央側の段の納品庫は人の手が届き易い位置に配置されるのが通常であるから、中央側の段の納品庫ほど優先順位を高くすることで、納品庫へ物品を入庫し易くしたり、当該納品庫から物品を取り出し易くすることができる。
【0010】
また、本発明のストッカ管理装置において、前記制御装置は、所定のタイミングで前記複数の納品庫に割り当てる優先順位を変更可能であるものとしてもよい。こうすれば、使用状況に応じて各納品庫の優先順位を適切なものとすることが可能となる。この場合、前記制御装置は、前記複数の納品庫のそれぞれの使用頻度を判定し、前記使用頻度に基づいて前記複数の納品庫に割り当てる優先順位を変更するものとしてもよい。さらにこの場合、前記制御装置は、前記複数の納品庫のうち前記使用頻度が低い納品庫ほど高い優先順位を割り当てるものとしてもよい。こうすれば、各納品庫の使用頻度に偏りが生じるのを抑制することができ、一部の納品庫のみに劣化が生じ易くなるのを防止することができる。またこれらの場合、前記複数の納品庫は、複数のグループの何れかに属し、前記制御部は、同一グループに属する複数の納品庫の間で割り当てる優先順位を入れ替えるものとしてもよい。こうすれば、同一グループ間で納品庫の使用頻度に偏りが生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ストッカシステム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】ストッカ管理装置30の記憶部33に記憶される納品庫情報35の一例を示す説明図である。
図3】ストッカ40が備える各納品庫41への納品庫番号の割り当てを示す説明図である。
図4】発注時処理の一例を示すフローチャートである。
図5】納品時処理の一例を示すフローチャートである。
図6】受取時処理の一例を示すフローチャートである。
図7】優先順位更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1はストッカシステム10の構成の概略を示す構成図である。ストッカシステム10は、図示するように、販売管理システム20と、複数のストッカ40と、ストッカ40を管理するストッカ管理装置30と、を備える。販売管理システム20と複数のストッカ40とストッカ管理装置30は、インターネットなどのネットワーク11,12に接続されている。
【0013】
販売管理システム20は、購入者14(顧客)に商品17を販売するシステムであり、システムを管理する販売管理装置22を備える。販売管理装置22は、例えば、スーパーなど店舗21に設置され、ネットワーク12を介して購入者14の携帯端末15に対して商品17の販売のためのウェブサイトを提供する。
【0014】
ストッカ40(ストッカ40A,40B)は、オフィスやコンビニエンスストア、工場、駅、学校、マンションなどの様々な場所に設置され、販売管理システム20から配送される商品17の購入者14への受け渡しに用いられる。各ストッカ40は、施錠可能な複数の納品庫41と、表示操作部42と、読取機43,48と、を備える。納品庫41は、商品17等の物品を収容可能な内部空間を有しており、前面の扉44と、扉44の施錠と解錠を行なうロック機構45と、納品庫41内の物品の有無を検出する物品センサ46と、扉44の開閉を検出する開閉センサ47と、を備える。表示操作部42は、ストッカ40の前面に配置されたディスプレイ部およびタッチパネル部を備えており、ディスプレイ部により商品17の配達者19および購入者14への各種情報の表示を行ない、タッチパネル部により配達者19および購入者14からの各種操作の入力を行なう。読取機43は、購入者14が納品庫41の解錠に用いるパスワードのコードを読み取るコードリーダであり、ストッカ40の前面に表示操作部42付近に配置されている。読取機48は、店舗から配送される商品17に付された伝票ID18(バーコード)を読み取る手持ち式のバーコードリーダである。
【0015】
ストッカ40は、制御部52と、記憶部53と、通信部58と、を備える。制御部52は、装置全体の制御を司るものであり、CPUやROM、RAMなどにより構成される。記憶部53は、処理プログラムなどの各種アプリケーションプログラムや各種データを記憶するものである。記憶部53には、例えば、商品17を収容した納品庫41の納品庫番号やその商品17の伝票ID18、その納品庫41を解錠するためのパスワードを含む納品情報54などが記憶されている。なお、パスワードは、ストッカ40、ストッカ管理装置30、販売管理装置22の何れかが発行することができる。通信部58は、ネットワーク11などを用いてストッカ管理装置30などの他の外部機器と通信を行なうものである。
【0016】
ストッカ管理装置30は、例えば、ストッカシステム10を提供する提供会社に設置されており、ストッカシステム10の管理運営を行う情報処理装置として構成されている。ストッカ管理装置30は、制御部32と、記憶部33と、通信部38と、を備える。制御部32は、装置全体の制御を司るものであり、CPUやROM、RAMなどにより構成される。記憶部33は、各種アプリケーションプログラムや各種データを記憶するものである。記憶部33には、ストッカ情報34や納品庫情報35などが記憶されている。ストッカ情報34には、例えば、ストッカシステム11が有するストッカ40の識別番号(ストッカ番号)や配置場所などの情報が含まれる。納品庫情報35には、図2に示すように、例えば、各納品庫41の識別番号(納品庫番号)や、各納品庫41に物品が収容されているか否かを示す物品有無、各納品庫41への納品の優先順位、納品庫41の使用回数Nなどの情報が含まれる。納品庫情報35は、対応するストッカ40(ストッカ番号)毎に管理される。ストッカ40は、例えば、図3に示すように、4段3列で構成され、上から2段目で左から2列目には表示操作部42や読取機43、制御部32を含む制御ユニットが配置されている。このため、ストッカ40は、11個の納品庫41を備えている。通信部38は、ネットワーク11などを用いてストッカ40などの外部機器と通信を行うものである。
【0017】
次に、こうして構成されたストッカシステム10の動作、特に、購入者14による商品17の発注から受け取りまでの動作について説明する。購入者14は、携帯端末15を操作して店舗21が提供するウェブサイトにアクセスし、希望する商品17や自身の会員ID、受け取りを希望するストッカ40などの情報を入力して、商品17の発注を行なう。商品17の発注が行なわれると、販売管理装置22は、入力された情報に伝票ID18を付与して発注情報として管理する。また、販売管理装置22は、発注情報のうち会員IDや伝票ID18、受取希望のストッカ40の情報をストッカ管理装置30へ送信する。
【0018】
図4は、ストッカ管理装置30の制御部32により実行される発注時処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、販売管理装置22から発注情報(会員IDや伝票ID18、受取希望のストッカ40の情報)が受信されたときに実行される。発注時処理が開始されると、ストッカ管理装置30の制御部32は、まず、受取希望のストッカ40の各納品庫41の物品有無を対応する納品庫情報35から取得し(ステップS100)、受取希望のストッカ40に空き納品庫が存在するか否かを判定する(ステップS110)。制御部32は、受取希望のストッカ40に空き納品庫が存在しないと判定すると、空き納品庫がない旨を販売管理装置22に通知して(ステップS120)、発注時処理を終了する。販売管理装置22は、受取希望のストッカ40に空きがない旨の通知を受けた場合、これを購入者14に通知して、商品17の発注をキャンセルさせたり、購入者14に対して受取希望のストッカ40を別のストッカ40に変更させたりする。一方、制御部32は、受取希望のストッカ40に空き納品庫が存在すると判定すると、空き納品庫が複数存在するか否かを判定し(ステップS130)、空き納品庫が複数存在しないと判定すると、その空き納品庫を商品17の納品先に決定する(ステップS140)。一方、制御部32は、空き納品庫が複数存在すると判定すると、複数の空き納品庫の各優先順位を対応する納品庫情報35から取得し(ステップS150)、複数の空き納品庫のうち優先順位が最も高い納品庫41を商品17の納品先に決定する(ステップS160)。そして、制御部32は、納品先の納品庫41の納品庫番号とその納品庫41を購入者14が解錠するためのパスワードのコードとを受取希望のストッカ40に送信すると共にパスワードのコードを対応する会員IDのメールアドレスに送信して(ステップS170)、発注時処理を終了する。
【0019】
ここで、各納品庫41は、本実施形態では、図2および図3に示すように、上から2段目の2つの納品庫41に1番と2番の優先順位が割り当てられ、上から3段目の3つの納品庫41に3〜5番の優先順位が割り当てられ、上から4段目(最下段)の3つの納品庫41に6〜8番の優先順位が割り当てられ、上から1段目(最上段)の3つの納品庫41に9〜11番の優先順位が割り当てられている。なお、優先順位は、1番が最も高く、11番が最も低い。ストッカ40の上から2段目の位置は、表示操作部42や読取機43が配置されており、人(購入者14や配達者19)の手が届き易く、操作がし易くなっている。このため、本実施形態では、人の手が最も届きやすい上から2段目の納品庫41(納品庫番号が4番と5番の納品庫41)には最も高い優先順位(1番と2番)が割り当てられ、比較的人の手が届きやすい上から3段目の納品庫41には次に高い優先順位(3〜5番)が割り当てられ、人の手が届きにくい最下段の納品庫41や最上段の納品庫41には低い優先順位(6番〜11番)が割り当てられている。このように、ストッカ40が備える各納品庫41は、人の手が届きやすい位置、即ち上下複数段のうち中央側の段にある納品庫41ほど高い優先順位が割り当てられる。そして、ストッカ管理装置30は、発注情報を受信すると、受取希望のストッカ40の空き納品庫のうち優先順位が最も高い納品庫41を納品先に決定する。これにより、ストッカ管理装置30は納品先として人の手の届きやすい位置の納品庫41を決定する可能性が高くなるため、配達者19が納品庫41へ商品17を納品し易くし、購入者14が納品庫41から商品17を取り出し易くすることができる。
【0020】
店舗21の作業者は、発注情報を確認し、発注された商品17に伝票ID18を示すバーコードを貼り付けるなどの配送準備を行なって配達者19に商品17の配送指示を行なう。配達者19は、配送準備が完了した商品17を受取希望のストッカ40に配送して納品庫41に納品する。
【0021】
図5は、ストッカ40の制御部52により実行される納品時処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、表示操作部42に対する配達者19の操作に基づいて商品17の納品が要求されたときに実行される。
【0022】
納品時処理が実行されると、ストッカ40の制御部52は、まず、伝票ID18が入力されたか否かを判定する(ステップS200)。伝票ID18の入力は、配達者19が読取機48を用いて商品17に貼り付けられた伝票ID18を読み取ることにより行なわれる。制御部52は、伝票ID18が入力されたと判定すると、伝票ID18に対応する納品庫41を解錠し(ステップS210)、商品17の納品が完了したか否かを判定する(ステップS220)。納品完了の判定は、物品センサ46および開閉センサ47を用いて納品庫41に物品が存在している状態で扉44が閉じられたか否かを判定することにより行なわれる。制御部52は、商品17の納品が完了したと判定すると、納品庫41を施錠し(ステップS230)、当該納品庫41の使用回数Nを値1だけインクリメントし(ステップS240)、商品17を納品した納品庫41の納品庫番号と使用回数Nとを含む納品情報をストッカ管理装置30に送信して(ステップS250)、納品時処理を終了する。納品庫番号と使用回数Nとを含む納品庫情報を受信したストッカ管理装置30は、記憶部33に記憶されている納品庫情報35のうち、受信した納品庫番号に対応する物品有無を物品ありとすると共に受信した納品庫番号に対応する使用回数Nを受信した使用回数Nに更新する。
【0023】
続いて、購入者14がストッカ40の納品庫41から購入した商品17を受け取る際の動作について説明する。図6は、ストッカ40の制御部52により実行される受取時処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、表示操作部42に対する購入者14の操作に基づいて商品17の受け取りが要求されたときに実行される。
【0024】
受取時処理が実行されると、ストッカ40の制御部52は、まず、パスワードが入力されたか否かを判定する(ステップS300)。パスワードの入力は、購入者14がパスワードのコードを読取機43に読み取らせることにより行なったり、購入者14が表示操作部42でパスワードを手動入力することにより行なったりすることができる。制御部52は、パスワードが入力されたと判定すると、入力されたパスワードに対応する納品庫41を解錠し(ステップS310)、商品17の受け取りが完了したか否かを判定する(ステップS320)。なお、受取完了の判定は、物品センサ46および開閉センサ47を用いて納品庫41に物品が存在していない状態で扉44が閉じられたか否かを判定することにより行なわれる。制御部52は、商品17の受け取りが完了したと判定すると、商品17の受け取りが完了した納品庫41を施錠し(ステップS330)、使用回数Nを値1だけインクリメントすると共に(ステップS340)、その納品庫41の納品庫番号と使用回数Nとを含む受取情報をストッカ管理装置30に送信して(ステップS350)、受取時処理を終了する。納品庫番号と使用回数Nとを含む受取情報を受信したストッカ管理装置30は、記憶部33に記憶されている納品庫情報35のうち、受信した納品庫番号に対応する物品有無を物品なしとすると共に受信した納品庫番号に対応する使用回数Nを受信した使用回数Nに更新する。
【0025】
図7は、ストッカ管理装置30の制御部32により実行される優先順位更新処理の一例を示すフローチャートである。優先順位更新処理が実行されると、ストッカ管理装置30の制御部32は、まず、前回に優先順位を更新してから所定日数(例えば3ヶ月や6ヶ月など)が経過したか否かを判定する(ステップS400)。制御部32は、所定日数を経過したと判定すると、処理対象の納品庫41の段数を表わすnを値1に初期化し(ステップS410)、n段目の各納品庫41の使用回数Nを納品庫情報35から取得する(ステップS420)。例えば、1段目の納品庫41は、図3に示すように、納品庫番号が1〜3番の納品庫41であるから、制御部32は、1〜3番の納品庫番号に対応する使用回数Nを図2に示す納品庫情報35から取得する。そして、制御部32は、n段目の複数の納品庫40のうち使用回数Nが少ない納品庫41ほど優先順位が高くなるようにn段目の納品庫41同士で割り当てられている優先順位を入れ替える(ステップS430)。例えば、1段目の納品庫41である納品庫番号が1〜3番の納品庫41には、図2に示すように、優先順位として9〜11番が割り当てられている。このため、制御部32は、1段目の納品庫41のうち、使用回数Nが最も少ない納品庫41に9番の優先順位を割り当て、次に使用回数Nが少ない納品庫41に10番の優先順位を割り当て、使用回数Nが最も多い納品庫41に11番の優先順位を割り当てる。
【0026】
こうしてn段目の納品庫41に割り当てる優先順位を入れ替えると、制御部32は、n段目の納品庫41に対応する使用回数Nを値0にリセットし(ステップS440)、nを値1だけインクリメントして(ステップS450)、nが値4よりも大きいか否かを判定する(ステップS460)。本実施形態では、ストッカ40は、4段の納品庫41を備えているから、ステップS460の判定は、4段すべての納品庫41の優先順位の入れ替えが完了したか否かを判定するものとなる。制御部32は、nが値4以下であると判定すると、ステップS420に戻って、次のn段目の各納品庫41の優先順位をその使用回数Nに基づいて入れ替える処理(ステップS420〜S450)を繰り返し、nが値4よりも大きいと判定すると、優先順位更新処理を終了する。なお、優先順位更新処理では、制御部32は、各納品庫41の優先順位を割り当てた後、各納品庫41の使用回数Nを値0にリセットしたが、使用回数Nをリセットしないものとしてもよい。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のストッカ管理装置30が本発明のストッカ管理装置に相当し、記憶部33が記憶部に相当し、制御部32が制御部に相当する。
【0028】
以上説明した本実施形態のストッカ管理装置30は、納品庫41の物品有無(空き情報)と優先順位とを対応付けた納品庫情報35をストッカ40が備える複数の納品庫41毎に記憶しておく。そして、ストッカ管理装置30は、発注情報を受信すると、受取希望のストッカ40に複数の空き納品庫が存在する場合に、複数の空き納品庫のうち割り当てられた優先順位が最も高い納品庫41を納品先に決定する。ストッカ40が備える複数の納品庫41は、配達者19や購入者14の手が届きやすい位置の納品庫41、即ち上下複数段の納品庫群のうち中央側の段(2段目や3段目)の納品庫41ほど高い優先順位が割り当てられている。このため、配達者19が納品庫41へ商品17を納品し易くすることができると共に購入者14が納品庫41から商品17を取り出し易くすることができる。
【0029】
また、本実施形態のストッカ管理装置30は、所定のタイミング(所定日数毎)でストッカ40が備える複数段の各納品庫41のうち使用回数Nが少ない納品庫41ほど高くなるように優先順位を変更する。これにより、ストッカ40が備える複数の納品庫41の使用頻度に偏りが生じるのを抑制することができ、一部の納品庫41のみに劣化が生じ易くなるのを防止することができる。しかも、ストッカ管理装置30は、上下複数段の納品庫41のうち同じ段の納品庫41を同一グループとして同一グループに属する納品庫41同士で割り当てられている優先順位を入れ替えることにより各納品庫41の優先順位を変更する。これにより、上下複数段の納品庫41のうち中央側の段(2段目や3段目)の納品庫41の優先順位を常に高い順位とすることができるため、各納品庫41の使用頻度の偏りを抑制しつつ使い勝手の良いストッカ40を提供することができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、ストッカ40の制御部52は、商品17の納品時と受取時にそれぞれ対応する納品庫41の使用回数Nをインクリメントしたが、納品時と受取時の何れか一方のみ使用回数Nをインクリメントするものとしてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、上下複数段の納品庫41のうち同じ段の納品庫41を同一グループとして同一グループに属する納品庫41同士で割り当てられている優先順位を入れ替えるものとしたが、必ずしも同じ段の納品庫41を同一グループとする必要はなく、例えば、同じ列の納品庫41を同一グループとしてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、ストッカ40が備える各納品庫41の使用回数Nに応じて各納品庫41に割り当てる優先順位を変更するものとしたが、定期的に予め定められた順序で優先順位を変更するものとしてもよいし、定期的にランダムに優先順位を変更するものとしてもよい。また、優先順位を変更しないものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、ストッカ管理装置30は、複数のストッカ40を管理するものとしたが、ストッカ40毎にストッカ管理装置を設置してもよい。この場合、ストッカ管理装置をストッカ40に内蔵するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 ストッカシステム、11,12 ネットワーク、14 購入者、15 携帯端末、17 商品、18 伝票ID、19 配達者、20 販売管理システム、21 店舗、22 販売管理装置、30 ストッカ管理装置、32 制御部、33 記憶部、34 ストッカ情報、35 納品庫情報、38 通信部、40,40A,40B ストッカ、41 納品庫、42 表示操作部、43,48 読取機、44 扉、45 ロック機構、46 物品センサ、47 開閉センサ、52 制御部、53 記憶部、54 納品情報、58 通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7