特許第6885718号(P6885718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885718
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】車両用コンビネーション灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/236 20180101AFI20210603BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20210603BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20210603BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210603BHJP
【FI】
   F21S43/236
   F21S43/27
   F21W103:00
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-252654(P2016-252654)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-106942(P2018-106942A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 春馬
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰晃
(72)【発明者】
【氏名】森田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】青山 和樹
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−157543(JP,A)
【文献】 特開2016−012460(JP,A)
【文献】 特開2013−246910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−45/00
F21K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1灯具と第2灯具が隙間を介して並設され、少なくとも一方の灯具のハウジングが、前記隙間に面する部位に、ハウジング内に配置された発光装置の光源からの光を隙間に通過させる窓孔と、窓孔を塞ぐキャップ部材とを備え、キャップ部材が、窓孔を通過した光で前記隙間を照明する発光部を含み、
前記キャップ部材が灯具前面より後方の位置において一方の灯具のハウジングから他方の灯具側へ突出するように中空状に形成され、前記発光部が灯具前面を向くようにキャップ部材に形成されることを特徴とする車両用コンビネーション灯具。
【請求項2】
前記ハウジングが不透明な灯具ボディと透明な前面カバーからなり、不透明な灯具ボディに前記窓孔とキャップ部材が設けられる請求項1記載の車両用コンビネーション灯具。
【請求項3】
前記キャップ部材が窓孔を通過した光を発光部に向けて反射する反射面を含む請求項1または2に記載の車両用コンビネーション灯具。
【請求項4】
前記発光部が反射面からの反射光を受けて発光するシボ加工部を含む請求項3記載の車両用コンビネーション灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する2つの灯具の間の隙間を照明する発光部を備えた車両用コンビネーション灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用リアコンビネーションランプにおいて、車体に固定された第1灯具と、トランクリッドやバックドア等の可動部に装備された第2灯具とでテールランプを構成し、灯室内の光で第1灯具と第2灯具の間の隙間を照明することで、点灯時にシームレスな見栄えの配光パターンを形成する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2つの灯具の透明な前面カバーに脚部を相対向して灯具後方へ延び出るように形成し、各灯具の光源からの光を脚部に透過させ、脚部の間の隙間を照明する技術が提案されている。特許文献2には、一方の灯具の灯室にリフレクタを設け、フレクタからの反射光を前面カバーの脚部に透過させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−123547号公報
【特許文献2】特開2014−137924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の車両用コンビネーション灯具によると、何れも透明な前面カバーの脚部を透過した光で隙間を照明しているため、隙間に供給される光量が脚部の面積によって増減するうえ、前面カバーの透明度による影響を受けやすい。このため、隣接する2つの灯具の間の隙間を明るすぎず、暗すぎない適正な光量で照明することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、2つの灯具の間の隙間を適正量の光で見栄え良く照明することができる車両用コンビネーション灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1灯具と第2灯具が隙間を介して並設された車両用コンビネーション灯具において、少なくとも一方の灯具のハウジングが隙間に面する部位にハウジング内の光を隙間に通過させる窓孔と、窓孔を塞ぐキャップ部材とを備え、キャップ部材が窓孔を通過した光で隙間を照明する発光部を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、コンビネーション灯具としては、例えば、車体に固定された第1灯具と車体に対して移動可能な第2灯具を組み合わせた灯具、車幅方向において外側の第1灯具と内側の第2灯具を組み合わせた灯具、車両走行方向において前側の第1灯具と後側の第2灯具を組み合わせた灯具、または、上下方向において上側の第1灯具と下側の第2灯具を組み合わせた灯具など、2つの灯具が隙間を介して並設され、同じ配光パターンを形成する各種の灯具を挙げることができる。
【0009】
本発明のコンビネーション灯具では、点灯時に2つの灯具の間の隙間がキャップ部材の発光部によって照明される。好ましい実施形態では、隙間をその奥から照明できるように、キャップ部材が灯具前面より後方の位置において一方の灯具のハウジングから他方の灯具側へ突出するように設けられ、発光部が灯具前面を向くようにキャップ部材に形成される。
【0010】
また、キャップ部材は、照明光がハウジング内側の灯室から隙間に漏れ出た光の影響を受け難くするために、ハウジングの不透明部分に設けるのが望ましい。本発明の一実施形態では、ハウジングが不透明な灯具ボディと透明な前面カバーからなり、不透明な灯具ボディに灯室内の光を素通りさせる窓孔が形成されるとともに、その窓孔を塞ぐようにキャップ部材が設けられる。
【0011】
さらに、キャップ部材には、窓孔を通過した光を発光部に向けて反射する反射面が設けられる。例えば、反射面をアルミ蒸着等の手段によってキャップ部材の一部に形成することができるほか、別部品の反射板をキャップ部材の内側または周辺に配置してもよい。加えて、発光部にシボを加工し、反射面からの反射光をシボ加工部で拡散光に変え、比較的穏やかな光で隙間を照明できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用コンビネーション灯具によれば、キャップ部材の発光部がハウジングの窓孔を通過した光で発光するので、透明部の面積や透明度による影響を少なくし、適正量の光で2つの灯具の間の隙間を見栄え良く照明できる。また、窓孔がキャップ部材で塞がれているため、ハウジングの気密や水密を損なうおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1を示すコンビネーション灯具の正面図である。
図2図1のコンビネーション灯具のA−A線に沿う部分断面図である。
図3】キャップ部材を詳細に示す図2のB部拡大図である。
図4】キャップ部材の変更例を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を自動車用リアコンビネーションランプに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1図2に示すリアコンビネーションランプ1は、車体2に固定された第1灯具3と、トランクリッドやバックドア等の可動部4に設けられた第2灯具5を備えている。第1および第2灯具3,5は左右に並設され、両者の間に隙間7が形成され、隙間7によってテール&ストップランプ6が左右に分離されている。
【0015】
車幅方向外側の第1灯具3には、例えば、固定側テール&ストップランプ6A、バックランプ8およびターンシグナルランプ9が設けられている。車幅方向内側の第2灯具5には、可動側テール&ストップランプ6Bおよびフォグランプ10が設けられている。なお、各ランプの配置は図示例に限定されず、車種や車体形状または灯具デザインに応じて任意に変更することができる。
【0016】
図2に示すように、第1灯具3のハウジング11は不透明な灯具ボディ12と透明な前面カバー13からなり、両者の間に形成された灯室14に固定側テール&ストップランプ6A用の発光装置15とインナーレンズ16のほか、バックランプ8やターンシグナルランプ9用の各種光学部品が配設されている。発光装置15は、光源(LED)17からの光をレンズ18,19,16に通して前面カバー13から灯具前方(車両後方)へ出射するように構成されている。
【0017】
第2灯具5のハウジング21は不透明な灯具ボディ22と透明な前面カバー23からなり、両者の間に形成された灯室24に可動側テール&ストップランプ6B用の発光装置(図示略)、ライトガイド25、リフレクタ26等の各種光学部品が配設され、ライドガイド25から出た光がリフレクタ26を介して前面カバー23から灯具前方へ出射される。
【0018】
第1灯具3の灯具ボディ12および第2灯具5の灯具ボディ22には、両者の間の隙間7に面する部位にそれぞれ不透明な側壁部28,29が設けられている。また、2つの灯具3,5の前面カバー13,23には、隙間7と面する部位にそれぞれ透明な脚部30,31が形成されている。第1灯具3の側壁部28には、発光装置15が発した光を含む灯室14内の光を隙間7に通過させる窓孔33が形成されるとともに、窓孔33を塞ぐキャップ部材34が設けられている。
【0019】
図3に詳しく示すように、窓孔33は灯具前面より後方の位置、例えば、発光装置15の前端とほぼ同じ前後方向位置に開口し、キャップ部材34が窓孔33と同じ位置において第1灯具3から第2灯具5側へ突出するように設けられている(図2参照)。キャップ部材34は透明樹脂で断面略台形の縦長中空状に成形され、窓孔33を密閉するように、キャップ部材34の裾部35が溶着により側壁部28の外面に固着されている。
【0020】
さらに、キャップ部材34には、窓孔33を通過した光Lで隙間7を照明する発光部36と、窓孔33を通過した光Lを発光部36に向けて反射する段付きの反射面37とが設けられている。反射面37には、発光部36に後側から対向する斜状のアルミ蒸着面が含まれている。発光部36は、灯具前面を向くように側壁部28に対して直角に設けられ、発光部36の内面または背面に、反射面37からの反射光を受けて発光するシボ加工部38が設けられている。
【0021】
そして、テール&ストップランプ6の点灯時には、灯室11内の光が窓孔33からキャップ部材34の内側に入射し、反射面37からの反射光によりシボ加工部38が発光し、発光部36からの光によって第1灯具3と第2灯具5の間の隙間7が照明される。このとき、キャップ部材34が第2灯具5側に突出し、発光部36が隙間7の真後ろから照明光を出射するので、限られた光量で隙間7を効率よく照明することができる。また、キャップ部材34は灯具ボディ12に溶着され、窓孔33を密閉しているため、照明光を得るためにハウジング11の気密や水密を犠牲してしまうという不都合もない。
【0022】
一方、発光部36は窓孔33を素通りした光で発光するので、前面カバー13の脚部30の面積や透明度または色による影響を少くし、適正な光量および光質で隙間7を照明することができる。特に、この実施形態では、窓孔33が不透明な灯具ボディ12の側壁部28に開けられているため、側壁部28が発光部36のシェードとして機能する。したがって、脚部30から隙間7に漏れ出た光との混合を抑え、発光部36によって制御された光、つまりシボ加工部38が発したソフトな光で隙間7を見栄え良く照明することができる。
【0023】
なお、窓孔33を通過した光Lをキャップ部材34とは別の反射部材で発光部36に向けて反射させることもできる。例えば、図4に示す変更例では、キャップ部材34の内側に反射板40が斜めに挿入され、その基端部が灯具ボディ12の側壁部28に取り付けられている。そして、窓孔33を通過した光Lを反射板40の反射面41でシボ加工部38に向けて反射するようになっている。その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 リアコンビネーションランプ
3 第1灯具
5 第2灯具
7 隙間
11 第1灯具のハウジング
12 灯具ボディ
13 前面カバー
14 灯室
28 灯具ボディの側壁部
33 窓孔
34 キャップ部材
36 発光部
37 反射面
38 シボ加工部
図1
図2
図3
図4