特許第6885753号(P6885753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885753
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20210603BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20210603BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H01L21/304 648Z
   H01L21/304 644C
   H01L21/30 572B
   H01L21/306 R
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-44081(P2017-44081)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-148132(P2018-148132A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 航
(72)【発明者】
【氏名】野々村 正浩
(72)【発明者】
【氏名】古川 正晃
【審査官】 今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−229552(JP,A)
【文献】 特開2012−199408(JP,A)
【文献】 特開2004−140155(JP,A)
【文献】 特開2016−132056(JP,A)
【文献】 特開2015−002328(JP,A)
【文献】 特開2013−069773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿う回転軸線まわりに回転するベースと、
前記ベースの回転方向に互いに間隔を隔てて前記ベースに設けられ、前記ベースよりも上方で基板の周縁部を保持する複数の保持ピンと、
前記ベースと前記基板との間に配置され、前記基板から下方に離間した離間位置と、前記離間位置よりも前記基板に近接した近接位置との間で昇降可能であり、前記基板に下方から対向する対向部材と、
前記対向部材に設けられ、前記対向部材が前記近接位置に位置する状態で、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する第1進入抑制部材とを含
前記第1進入抑制部材が、前記対向部材に固定された第1固定部と、前記基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって前記基板の下面に近づくように前記第1固定部から延び、前記基板の下面の周縁部に弾性的に接触する第1弾性接触部とを含み、
前記第1弾性接触部は、前記基板の下面と前記対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が発生した際、前記第1弾性接触部と前記基板の下面との間に隙間を形成するように弾性変形する、基板処理装置。
【請求項2】
鉛直方向に沿う回転軸線まわりに回転するベースと、
前記ベースの回転方向に互いに間隔を隔てて前記ベースに設けられ、前記ベースよりも上方で基板の周縁部を保持する複数の保持ピンと、
前記ベースと前記基板との間に配置され、前記基板から下方に離間した離間位置と、前記離間位置よりも前記基板に近接した近接位置との間で昇降可能であり、前記基板に下方から対向する対向部材と、
前記対向部材に設けられ、前記対向部材が前記近接位置に位置する状態で前記基板の下面の周縁部に接触することによって、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する第1進入抑制部材とを含み、
前記第1進入抑制部材が、前記基板の下面と前記対向部材との間で回転径方向の外方に向かう気流を通過させる多孔質材料によって形成されている、基板処理装置。
【請求項3】
前記保持ピンに設けられ、前記基板の下面の周縁部と前記保持ピンとの間から前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する第2進入抑制部材をさらに含む、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2進入抑制部材が、前記保持ピンに固定された第2固定部と、前記基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって前記基板の下面に近づくように前記第2固定部から延び、前記基板の下面の周縁部に弾性的に接触する第2弾性接触部とを含む、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2進入抑制部材が、多孔質材料によって形成されている、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1進入抑制部材は、前記回転方向に隣り合う前記保持ピンの間の領域において、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制し、
前記第2進入抑制部材は、各前記保持ピンの周囲において、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する、請求項のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記対向部材と前記基板との間に気体を供給する気体供給ユニットをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
鉛直方向に沿う回転軸線まわりの回転方向に互いに間隔を隔ててベースに設けられた複数の保持ピンに、前記ベースよりも上方で基板の周縁部を保持させる基板保持工程と、
前記基板に下方から対向する対向部材に固定された固定部、および、前記基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって前記基板の下面に近づくように前記固定部から延びる弾性接触部を含む弾性部材の前記弾性接触部が前記基板の下面の周縁部に接触するように、前記対向部材を前記基板に近接させる近接工程と、
前記複数の保持ピンが前記基板の周縁部を保持し、かつ、前記弾性部材が前記基板の下面に接触した状態で、前記ベースを回転させることによって前記基板を回転させる基板回転工程と、
回転状態の前記基板の上面に、前記基板を処理する処理液を供給する処理液供給工程とを含み、
前記弾性接触部は、前記近接工程の実行によって前記弾性接触部が前記基板の下面に接触している状態で前記基板の下面と前記対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が発生した際、前記弾性接触部と前記基板の下面との間に隙間を形成するように弾性変形する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、鉛直方向に沿う回転軸線まわりに回転可能なスピンベースと、スピンベースに設けられ、基板を保持する保持ピンとを含む。このような基板処理装置を用いた基板処理では、処理液ノズルから吐出された処理液によって、回転状態の基板の上面を処理することができる。
しかし、基板処理中には、回転する構造物(スピンベースや保持ピン)の周囲に気流が発生し、基板処理中に発生した処理液のミスト(微小な液滴)が気流に乗って基板の下方に回り込み、基板の下面に処理液が付着することがある。そのため、基板の上面および周縁を伝って基板の下面に付着することを防止した場合であっても、基板の下面に処理液が付着するおそれがある。
【0003】
そこで、下記特許文献1に記載の基板処理装置では、基板の下面とスピンベースとの間に保護ディスクを設けることによって、基板の下面を保護しながら基板の上面を処理する基板処理が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−2328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の基板処理装置では、保護ディスクをスピンベースから浮上させて基板の下面に接近させることによって、保護ディスクと基板の下面との間の空間への処理液のミストの進入を抑制することができる。しかし、保護ディスクを基板の下面に接近させた場合であっても、保護ディスクと基板との間には、隙間が設けられている。そのため、処理液のミストがその隙間を通って基板の下面に付着するおそれがある。
【0006】
そこで、この発明の1つの目的は、基板の下面を良好に保護することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、鉛直方向に沿う回転軸線まわりに回転するベースと、前記ベースの回転方向に互いに間隔を隔てて前記ベースに設けられ、前記ベースよりも上方で前記基板の周縁部を保持する複数の保持ピンと、前記ベースと前記基板との間に配置され、前記基板から下方に離間した離間位置と、前記離間位置よりも前記基板に近接した近接位置との間で昇降可能であり、前記基板に下方から対向する対向部材と、前記対向部材に設けられ、前記対向部材が前記近接位置に位置する状態で、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する第1進入抑制部材とを含む、基板処理装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、ベースは、複数の保持ピンに基板の周縁部を保持させた状態で回転軸線まわりに回転可能である。前述したように、回転する構造物の周囲には、気流が発生する。たとえば、基板の回転径方向の外方から基板の下面と対向部材との間に流れ込む気流が発生しやすい。対向部材を近接位置に位置させた状態では、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入が第1進入抑制部材によって抑制されている。したがって、液体が気流に乗って基板の下面と対向部材との間の空間へ進入することも抑制することができる。よって、基板の下面を良好に保護することができる。
【0009】
なお、回転径方向とは、回転軸線に対する直交方向のことである。また、回転径方向の内方とは、回転径方向において回転軸線に向かう方向である。また、回転径方向の外方とは、回転径方向において回転軸線側とは反対側に向かう方向である。
この発明の一実施形態では、前記第1進入抑制部材が、前記対向部材に固定された第1固定部と、前記基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって前記基板の下面に近づくように前記第1固定部から延び、前記基板の下面の周縁部に弾性的に接触する第1弾性接触部とを含む。
【0010】
この構成によれば、第1弾性接触部は、第1固定部から基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって基板の下面に近づくように第1固定部から延びる。そのため、基板の下面と対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が生じた際、その気流が第1弾性接触部と基板の下面との間に入り込みやすい。そして、この気流は、第1弾性接触部と基板の下面との間を通過するのに必要な幅を有する隙間が第1弾性接触部と基板の下面との間に形成されるように第1弾性接触部を弾性変形させる。そして、この気流は、その隙間を通って基板の下面と対向部材との間の空間から外部に排出される。そのため、基板の下面と対向部材との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記第1進入抑制部材が、多孔質材料によって形成されている。
この構成によれば、第1進入抑制部材は、多孔質材料によって形成されている。そのため、第1進入抑制部材は、気体から所定の値以上の圧力を受けることによって、その気体を通過させることができる。基板の下面と対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が生じ、この気流に起因して第1進入抑制部材の周辺において基板の下面と対向部材との間の圧力が所定の値以上となることがある。この場合、基板の下面と対向部材との間の空間内の気体は、第1進入抑制部材を通過して外部に排出される。その一方で、第1進入抑制部材は、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制できる。そのため、基板の下面と対向部材との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0012】
また、第1進入抑制部材は、多孔質材料によって形成されているため、液体を通過させにくい。したがって、外部から基板の下面と対向部材との間の空間への液体の進入を一層抑制することができる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、前記保持ピンに設けられ、前記基板の下面の周縁部と前記保持ピンとの間から前記基板の下面の周縁部と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する第2進入抑制部材をさらに含む。
【0013】
この構成によれば、第2進入抑制部材は、基板の下面の周縁部と保持ピンとの間から基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する。そのため、液体が気流に乗って基板の下面の周縁部と保持ピンとの間から基板の下面と対向部材との間の空間へ進入することを抑制することができる。
この発明の一実施形態では、前記第2進入抑制部材が、前記保持ピンに固定された第2固定部と、前記基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって前記基板の下面に近づくように前記第2固定部から延び、前記基板の下面の周縁部に弾性的に接触する第2弾性接触部とを含む。
【0014】
この構成によれば、第2弾性接触部は、第2固定部から基板の回転径方向の外方に向かうにしたがって基板の下面に近づくように第2固定部から延びる。そのため、基板の下面と対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が生じた際、その気流が第2弾性接触部と基板の下面との間に入り込みやすい。そして、この気流は、第2弾性接触部と基板の下面との間を通過するのに必要な幅を有する隙間が第2弾性接触部と基板の下面との間に形成されるように第2弾性接触部を弾性変形させる。そして、この気流は、その隙間を通って基板の下面と対向部材との間の空間から外部に排出される。そのため、基板の下面と対向部材との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板の下面の周縁部と保持ピンとの間から基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記第2進入抑制部材が、多孔質材料によって形成されている。
この構成によれば、第2進入抑制部材は、多孔質材料によって形成されている。そのため、第2進入抑制部材は、気体から所定の値以上の圧力を受けることによって、その気体を通過させることができる。基板の下面と対向部材との間に回転径方向の外方に向かう気流が生じ、この気流に起因して第2進入抑制部材の周辺において基板の下面と対向部材との間の圧力が所定の値以上となることがある。この場合、基板の下面と対向部材との間の空間内の気体は、基板の下面と対向部材との間の空間から外部に排出される。その一方で、基板の下面と対向部材との間の空間に外部から気流が進入することを抑制できる。そのため、基板の下面と対向部材との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板の下面の周縁部と保持ピンとの間から基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0016】
また、第2進入抑制部材は、多孔質材料によって形成されているため、液体を通過させにくい。したがって、外部から基板の下面と対向部材との間の空間への液体の進入を一層抑制することができる。
この発明の一実施形態では、前記第1進入抑制部材は、前記回転方向に隣り合う前記保持ピンの間の領域において、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する。そして、前記第2進入抑制部材は、各前記保持ピンの周囲において、前記基板の下面と前記対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する。
【0017】
この構成によれば、第1進入抑制部材は、回転方向に隣り合う保持ピンの間の領域において、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する。そして、第2進入抑制部材は、保持ピンの周囲において、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制する。したがって、回転方向の比較的広い範囲(ほぼ全周)において、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記対向部材と前記基板との間に気体を供給する気体供給ユニットをさらに含む。
この構成によれば、気体供給ユニットによって、対向部材と基板との間に気体が供給される。対向部材と基板との間に気体が供給されることによって、基板の下面と対向部材との間の空間から当該空間の外部へ向かう気流を発生させることができる。そのため、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。
【0019】
鉛直方向に沿う回転軸線まわりの回転方向に互いに間隔を隔ててベースに設けられた複数の保持ピンに、前記ベースよりも上方で基板の周縁部を保持させる基板保持工程と、前記基板に下方から対向する対向部材に固定された弾性部材が前記基板の下面に接触するように、前記対向部材を基板に近接させる近接工程と、前記複数の保持ピンが前記基板の周縁部を保持し、かつ、弾性部材が前記基板の下面に接触した状態で、前記ベースを回転させることによって基板を回転させる基板回転工程と、回転状態の基板の上面に、基板を処理する処理液を供給する処理液供給工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、弾性部材が基板の下面に接触した状態で、基板が回転される。前述したように、回転する構造物の周囲には、気流が発生する。たとえば、基板の回転径方向の外方から基板の下面と対向部材との間に流れ込む気流が発生しやすい。弾性部材を基板の下面に接触させることによって弾性部材と基板との間が塞がれるので、基板の下面と対向部材との間が塞がれる。そのため、基板の下面と対向部材との間の空間への気流の進入を抑制することができる。したがって、回転状態の基板を処理液で処理する場合であっても、処理液のミストが気流に乗って基板の下面と対向部材との間の空間へ進入することも抑制することができる。よって、基板の下面を良好に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための模式的な平面図である。
図2図2は、前記基板処理装置に備えられた処理ユニットの構成例を説明するための模式図である。
図3図3は、前記基板処理装置に備えられたスピンベースの模式的な平面図である。
図4A図4Aは、図3のIVA−IVA線に沿った断面の模式図である。
図4B図4Bは、図4Aの第1固定部の周辺の拡大図である。
図5図5は、図3のV−V線に沿った断面の模式図である。
図6図6は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図7図7は、前記基板処理装置による基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図8図8は、本実施形態の第1変形例に係る第1進入抑制部材の周辺の模式図である。
図9図9は、本実施形態の第2変形例に係る第2進入抑制部材の周辺の模式図である。
図10図10は、本実施形態の第3変形例に係る第2進入抑制部材の周辺の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御ユニット3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0023】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。
処理ユニット2は、一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、基板Wの上面に脱イオン水(Deionized Water:DIW)などの処理液を供給する処理液供給ユニット8と、基板Wの上面にブラシ31を擦り付けて基板Wの上面を洗浄する洗浄ユニット9と、基板Wに下方から対向し、基板処理中に発生した処理液のミストから基板Wの下面を保護する保護ディスク10とをさらに含む。保護ディスク10は、基板Wの少なくとも周縁部に下方から対向する対向部材の一例である。処理ユニット2は、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに窒素(N)ガスなどの気体を供給する気体供給ユニット11をさらに含む。
【0024】
処理ユニット2は、スピンチャック5を収容するチャンバ16(図1参照)をさらに含む。チャンバ16には、チャンバ16内に基板Wを搬入したり、チャンバ16内から基板Wを搬出したりするための出入口(図示せず)が形成されている。チャンバ16には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
スピンチャック5は、回転軸線A1まわりに回転可能なスピンベース21(ベース)と、スピンベース21よりも上方で基板Wの周縁部を保持する複数の保持ピン20と、スピンベース21の中央に結合された回転軸22と、回転軸22に回転力を与える電動モータ23とを含む。回転軸22は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸22は、スピンベース21を貫通しており、スピンベース21よりも上方に上端を有する。スピンベース21は、水平方向に沿う円板形状を有している。複数の保持ピン20は、回転方向Sに間隔を空けてスピンベース21の上面の周縁部に設けられている(後述する図3も参照)。
【0025】
複数の保持ピン20を開閉駆動するために、開閉ユニット25が備えられている。複数の保持ピン20は、開閉ユニット25によって閉状態にされることによって基板Wを保持(挟持)する。複数の保持ピン20は、開閉ユニット25によって開状態にされることによって基板Wに対する保持を解放する。
開閉ユニット25は、たとえば、リンク機構(図示せず)と、駆動源(図示せず)とを含む。当該駆動源は、たとえば、ボールねじ機構と、それに駆動力を与える電動モータとを含む。開閉ユニット25は、磁力によって、複数の保持ピン20を開閉させるように構成されていてもよい。この場合、開閉ユニット25は、たとえば、保持ピン20に取り付けられた第1磁石(図示せず)と、第1磁石に近接することによって第1磁石に反発力または吸引力を付与する第2磁石(図示せず)とを含む。第2磁石が第1磁石に付与する反発力または吸引力によって保持ピン20の開閉が切り替えられる。
【0026】
電動モータ23によって回転軸22が回転されることにより、スピンベース21が回転される。これにより、基板Wが回転軸線A1のまわりの回転方向Sに回転される。スピンチャック5は、基板Wを保持し鉛直方向に沿う回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる基板保持回転ユニットに含まれる。
処理液供給ユニット8は、基板Wの上面にDIWなどの処理液を供給する処理液ノズル40と、処理液ノズル40に結合された処理液供給管41と、処理液供給管41に介装された処理液バルブ42とを含む。処理液供給管41には、処理液供給源から、処理液が供給されている。
【0027】
処理液ノズル40は、固定ノズルである。本実施形態とは異なり、処理液ノズル40は、水平方向および鉛直方向に移動可能な移動ノズルであってもよい。
処理液ノズル40から供給される処理液は、DIWに限られず、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、希釈濃度(たとえば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水、還元水(水素水)であってもよい。
【0028】
洗浄ユニット9は、基板Wの上面を洗浄するためのブラシ31と、ブラシ31を支持するブラシアーム35と、ブラシアーム35を回動させる回動軸36と、回動軸36を駆動することによって、ブラシアーム35を水平方向および鉛直方向に移動させるアーム移動機構37とを含む。
ブラシ31は、ブラシ31の上方に配置されたブラシホルダ32に保持されている。ブラシホルダ32は、ブラシアーム35から下方に突出している。
【0029】
ブラシ31は、PVA(ポリビニルアルコール)などの合成樹脂で作成された弾性変形可能なスポンジブラシである。ブラシ31は、ブラシホルダ32から下方に突出している。ブラシ31は、スポンジブラシに限らず、樹脂製の複数の繊維によって形成された毛束を備えるブラシであってもよい。
アーム移動機構37は、回動軸36を回動軸線A2まわりに回動させることによってブラシアーム35を水平に移動させるブラシ水平駆動機構(図示せず)と、回動軸36を鉛直に移動させることによってブラシアーム35を鉛直に移動させるブラシ鉛直駆動機構(図示せず)とを含む。ブラシ水平駆動機構は、たとえば、回動軸36を回動させる電動モータを含む。ブラシ鉛直駆動機構は、たとえば、ボールねじ機構と、当該ボールねじ機構を駆動する電動モータとを含む。
【0030】
気体供給ユニット11は、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに窒素ガスなどの気体を供給する気体ノズル50と、気体ノズル50に結合された気体供給管51と、気体供給管51に介装され、気体の流路を開閉する気体バルブ52とを含む。気体供給管51には、気体供給源から、窒素ガスなどの気体が供給されている。
気体供給源から気体供給管51に供給される気体としては、窒素ガスなどの不活性ガスが好ましい。不活性ガスとは、窒素ガスに限らず、基板Wの下面、および、下面に形成されたデバイスに対して不活性なガスのことである。不活性ガスの例としては、窒素ガス以外に、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス類、ホーミングガス(窒素ガスと水素ガスとの混合ガス)が挙げられる。また、気体供給源から気体供給管51に供給される気体として空気を利用することも可能である。
【0031】
気体ノズル50は、回転軸22に挿通されている。気体ノズル50の上端は、回転軸22の上端から露出されている。気体ノズル50の上端よりも上方には、気体ノズル50から吐出される気体を整流する整流部材54が設けられていてもよい。
保護ディスク10は、略円環状である。保護ディスク10には、回転軸22が挿通している。保護ディスク10は、保持ピン20によって保持された基板Wとスピンベース21との間に配置されている。保護ディスク10は、上下動可能である。
【0032】
保護ディスク10には、保護ディスク昇降ユニット60が結合されている。保護ディスク10は、保護ディスク昇降ユニット60によって昇降されることによって、基板Wから下方に離間した離間位置と、当該離間位置よりも上方において基板Wの下面に近接した近接位置との間で移動可能である。保護ディスク昇降ユニット60は、対向部材を昇降させる対向部材昇降ユニットの一例である。
【0033】
保護ディスク昇降ユニット60は、たとえば、ボールねじ機構(図示せず)と、当該ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータ(図示せず)とを含む。また、保護ディスク昇降ユニット60は、磁力によって保護ディスク10を昇降させるように構成されていてもよい。この場合、保護ディスク昇降ユニット60は、たとえば、保護ディスク10に取り付けられた第1磁石(図示せず)と、第1磁石に反発力を付与することで第1磁石とともに保護ディスク10を上昇させる第2磁石(図示せず)とによって構成される。
【0034】
保護ディスク10の下面には、回転軸線A1と平行に鉛直方向に延びたガイド軸61が結合されている。ガイド軸61は、基板Wの回転方向Sに等間隔を隔てて複数箇所に配置されている。ガイド軸61は、スピンベース21の対応箇所に設けられたリニア軸受62と結合されている。ガイド軸61は、このリニア軸受62によって案内されながら、鉛直方向、すなわち回転軸線A1に平行な方向へ移動可能である。また、保護ディスク10の下面に結合されたガイド軸61がリニア軸受62と結合されているため、保護ディスク10は、回転軸線A1まわりにスピンベース21と一体回転する。
【0035】
ガイド軸61は、リニア軸受62を貫通している。ガイド軸61は、その下端に、外向きに突出したフランジ63を備えている。フランジ63がリニア軸受62の下端に当接することにより、ガイド軸61の上方への移動、すなわち保護ディスク10の上方への移動が規制される。すなわち、フランジ63は、保護ディスク10の上方への移動を規制する規制部材である。
【0036】
図3は、スピンベース21の模式的な平面図である。図3では、説明の便宜上、基板Wを二点鎖線で示している。
図3を参照して、保護ディスク10は、平面視で基板Wとほぼ同じサイズの円形状であり、基板Wの周縁に対向している。保護ディスク10の周縁部において、保持ピン20に対応する部分には、保持ピン20の少なくとも一部が収容される切り欠き10aが設けられている。
【0037】
処理ユニット2は、基板Wの回転径方向の外方から、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへ気流が進入するのを抑制(規制)する第1進入抑制部材12および第2進入抑制部材13をさらに含む。
なお、基板Wの回転径方向とは、回転軸線A1に対する直交方向のことである。基板Wの回転径方向の内方とは、基板Wの回転径方向において回転軸線A1側に向かう方向である。以下では、基板Wの回転径方向の内方を、単に、径方向内方という。また、基板Wの回転径方向の外方とは、基板Wの回転径方向において回転軸線A1側とは反対側に向かう方向である。以下では、基板Wの回転径方向の外方を、単に、径方向外方という。
【0038】
第1進入抑制部材12は、基板Wの下面の周縁部と保護ディスク10の周縁部との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制する。第2進入抑制部材13は、基板Wの下面の周縁部と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制する。
第1進入抑制部材12および第2進入抑制部材13は、それぞれ複数設けられている。詳しくは、第1進入抑制部材12は、保護ディスク10において、回転方向Sに隣り合う保持ピン20の間の部分に1つずつ設けられている。各第1進入抑制部材12は、回転方向Sに隣り合う保持ピン20の間の領域において、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制する。第2進入抑制部材13は、各保持ピン20に1つずつ設けられている。各第2進入抑制部材13は、対応する保持ピン20の周囲において、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制する。
【0039】
図4Aは、図3のIVA−IVA線に沿った断面の模式図である。図4Aでは、近接位置に位置する保護ディスク10を実線で示している。図4Aでは、離間位置に位置する保護ディスク10を二点鎖線で示している。
第1進入抑制部材12は、平面視で湾曲状の樹脂製のシートである(図3参照)。第1進入抑制部材12を構成する樹脂は、たとえば、合成樹脂である。合成樹脂としては、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などが挙げられる。第1進入抑制部材12は、弾性部材である。第1進入抑制部材12は、合成ゴムなどの弾性体であってもよい。
【0040】
第1進入抑制部材12は、保護ディスク10に固定された第1固定部80と、基板Wの下面の周縁部に弾性的に接触する第1弾性接触部81とを一体に含む。第1弾性接触部81は、基板Wの下面においてデバイスが形成されている部分よりも径方向外方に接触している。詳しくは、第1弾性接触部81は、基板Wの下面の周縁部において径方向外方端と、径方向外方端よりも僅かに内方(2mm程度内方)との間の部分に接触している。
【0041】
第1弾性接触部81は、径方向外方に向かうにしたがって基板Wの下面に近づくように第1固定部80から延びている。鉛直方向における第1弾性接触部81と基板Wとの間の距離は、回転径方向の外方に向かうにしたがって小さくなる。保護ディスク10の上面の周縁部において回転方向Sに隣り合う保持ピン20の間の領域には、各第1弾性接触部81を下方から支持する支持突起82が形成されている。
【0042】
第1固定部80は、たとえば、樹脂製のねじ83によって保護ディスク10に固定されている。図4Bは、図4Aの第1固定部80の周辺の拡大図である。図4Bを参照して、ねじ83は、雄ねじ部が形成されたねじ軸83aと、ねじ軸83aの軸方向の一端から、当該軸方向に対して直交する方向に張り出した頭部83bとを含む。ねじ軸83aは、保護ディスク10に形成されたねじ孔84に挿通(螺合)されている。ねじ軸83aに形成された雄ねじ部がねじ孔84の内周面に形成された雌ねじ部と螺合している。第1固定部80には、ねじ軸83aが挿通される挿通孔85と、挿通孔85と連通し、頭部83bを収容する収容穴86とが形成されている。収容穴86の底部が頭部83bと保護ディスク10とに挟持されることによって、第1固定部80が保護ディスク10に固定される。
【0043】
第1固定部80は、ねじ83によって保護ディスク10に固定された状態で保護ディスク10に密着している。そのため、保護ディスク10の位置にかかわらず、第1進入抑制部材12と保護ディスク10との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入が抑制されている。
第1弾性接触部81は、保護ディスク10が離間位置にある状態では、基板Wの下面から離間している(図4Aの二点鎖線参照)。第1弾性接触部81は、保護ディスク10が近接位置に位置する状態で、基板Wの下面に密着する(図4Aの実線参照)。そのため、保護ディスク10が近接位置に位置する状態で、第1進入抑制部材12と基板Wの下面との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入が抑制されている。
【0044】
このように、第1進入抑制部材12は、保護ディスク10が近接位置に位置する状態で、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制する。
図5は、図3のV−V線に沿った断面の模式図である。
第2進入抑制部材13は、樹脂製のシートである。第2進入抑制部材13を構成する樹脂は、たとえば、合成樹脂である。合成樹脂としては、たとえば、PTFE、PFA、PP、PEなどが挙げられる。第2進入抑制部材13は、弾性部材である。第2進入抑制部材13は、ゴムなどの弾性体であってもよい。
【0045】
保持ピン20は、基板Wに水平方向から挟持する挟持部20aと、略水平方向に延び、基板Wの下面に間隔を隔てて対向する対向部20bとを含む。
第2進入抑制部材13は、保持ピン20の対向部20bに固定された第2固定部90と、基板Wの下面の周縁部に弾性的に接触する第2弾性接触部91と、保護ディスク10が近接位置にある状態で、保護ディスク10の周縁部に上方から接触する保護ディスク接触部92とを一体に含む。第2弾性接触部91は、径方向外方に向かうにしたがって基板Wの下面に近づくように第2固定部90から延びている。鉛直方向における第2弾性接触部91と基板Wとの間の距離は、径方向外方に向かうにしたがって小さくなる。第2固定部90は、たとえば、樹脂製のねじ93によって保持ピン20の対向部20bに固定されることによって保持ピン20に固定されている。保持ピン20の対向部20bは、第2進入抑制部材13を介して、下方から基板Wを支持している。
【0046】
第2固定部90は、ねじ93によって対応する保持ピン20に固定された状態で当該保持ピン20に密着している。第2進入抑制部材13と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入が抑制されている。
第2弾性接触部91は、基板Wが複数の保持ピン20に保持された状態で、基板Wの下面に密着している。第2進入抑制部材13と基板Wの下面との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入が抑制されている。
【0047】
保護ディスク接触部92は、第2弾性接触部91とは反対側(径方向内方)に第2固定部90から延びている。保護ディスク接触部92は、保護ディスク10が近接位置にある状態で、先端(径方向内方端)が上方に移動するように保護ディスク10によって押し上げられて弾性変形していてもよい。保護ディスク接触部92は、平面視で、保護ディスク10の上面において切り欠き10aの周りの部分10bと重なっている。
【0048】
図6は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。制御ユニット3は、マイクロコンピュータを備えており、所定のプログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。より具体的には、制御ユニット3は、プロセッサ(CPU)3Aと、プログラムが格納されたメモリ3Bとを含み、プロセッサ3Aがプログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。とくに、制御ユニット3は、搬送ロボットIR,CR、アーム移動機構37、電動モータ23、保護ディスク昇降ユニット60、開閉ユニット25およびバルブ類42,52などの動作を制御する。
【0049】
図7は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図であり、主として、制御ユニット3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。
基板処理では、まず、未処理の基板Wが、搬送ロボットIR,CRによってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される(ステップS1)。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって搬出されるまでの間、スピンベース21の上面から上方に間隔を空けて水平に保持される。開閉ユニット25が、複数の保持ピン20に基板Wの周縁を保持させる(基板保持工程、ステップS2)。このとき、基板Wは、デバイスが形成されたデバイス面を下方に向けた状態で、複数の保持ピン20に保持される。
【0050】
次に、保護ディスク昇降ユニット60が、保護ディスク10を近接位置まで上昇させる(近接工程、ステップS3)。これにより、第1進入抑制部材12の第1弾性接触部81が基板Wの下面に接触する。次に、気体バルブ52が開かれる。これにより、保護ディスク10の上面と基板Wの下面との間の空間Aへの窒素ガスなどの気体の供給が開始される(ステップS4)。このときの気体の供給流量は、たとえば、100L/min〜200L/minである。複数の保持ピン20が基板Wの周縁部を保持し、かつ、第1進入抑制部材12が前記基板の下面に接触した状態で、電動モータ23が、スピンベース21を回転させる。これにより、保持ピン20に水平に保持された基板Wが回転する(基板回転工程、ステップS5)。このときの基板Wの回転速度は、たとえば、500rpmである。基板Wの回転速度は、500rpmに限られず、100rpm〜1000rpmの任意の回転速度であってもよい。である。そして、保護ディスク10の上面と基板Wの下面との間の空間Aへの気体の供給を継続した状態で、処理液バルブ42が開かれる。これにより、回転状態の基板Wの上面へのDIWなどの処理液の供給が開始される(処理液供給工程、ステップS6)。
【0051】
そして、スクラブ洗浄が実行される(ステップS7)。具体的には、アーム移動機構37が、ブラシアーム35を移動させて、基板Wの上面にブラシ31を押し付ける。基板Wは、回転されているので、ブラシ31は、基板Wの上面に擦り付けられる。
アーム移動機構37は、ブラシ31をスピンチャック5の上方からその側方へと退避させる。そして、処理液バルブ42を閉じて、処理液ノズル40からの処理液の供給を停止させる(ステップS8)。さらに、電動モータ23は、スピンベース21の回転を加速させる(ステップS9)。これにより、基板Wの上面および周端面の液滴を遠心力によって振り切ることにより基板Wを乾燥させるスピンドライ処理が実行される。このスピンドライ処理のときの基板Wの回転速度は、たとえば1500rpm〜3000rpmである。このようにして、基板Wから処理液が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、電動モータ23が、スピンベース21による基板Wの回転を停止させる(ステップS10)。
【0052】
そして、気体バルブ52が閉じられ、基板Wの下面と保護ディスク10の上面との間の空間Aへの不活性ガスの供給が停止される(ステップS11)。そして、保護ディスク昇降ユニット60が保護ディスク10を離間位置まで下降させる(ステップS12)。そして、開閉ユニット25が複数の保持ピン20を開状態にすることによって、複数の保持ピン20による保持から基板Wが解放される(ステップS13)。
【0053】
そして、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(ステップS14)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
本実施形態によれば、スピンベース21は、複数の保持ピン20に基板Wの周縁部を保持させた状態で回転軸線A1まわりに回転可能である。ここで、回転する構造物の周囲には、気流が発生する。たとえば、基板Wの径方向外方から基板Wの下面と保護ディスク10との間に流れ込む気流Fが発生しやすい(図4A参照)。保護ディスク10を近接位置に位置させた状態では、基板Wの下面の周縁部と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入が第1進入抑制部材12によって抑制されている。詳しくは、第1進入抑制部材12を基板Wの下面に弾性的に接触させることによって、第1進入抑制部材12と基板Wの下面とが密着する。一方、第1進入抑制部材12と保護ディスク10とは密着している。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間が塞がれる。したがって、回転状態の基板Wを処理液で処理する場合であっても、液体(基板処理によって発生した処理液のミストなど)が気流Fに乗って基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへ進入することも抑制することができる。よって、基板Wの下面を良好に保護することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、気体供給ユニット11によって、保護ディスク10と基板Wとの間の空間Aに気体が供給される。保護ディスク10と基板Wとの間の空間Aに気体が供給されることによって、基板Wと保護ディスク10との間の空間Aから当該空間Aの外部へ向かう気流(図4A参照)を発生させることができる。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制することができる。
【0055】
なお、基板Wの下面と保護ディスク10との間に発生する径方向外方に向かう気流(図4A参照)は、気体供給ユニット11による気体の供給による押出力だけでなく、基板Wの回転の際の遠心力にも起因する。
また、本実施形態によれば、第1弾性接触部81は、第1固定部80から径方向外方に向かうにしたがって基板Wの下面に近づくように第1固定部80から延びる。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間に発生した径方向外方に向かう気流が、第1弾性接触部81と基板Wの下面との間に入り込みやすい。そして、この気流は、第1弾性接触部81と基板Wの下面との間を通過するのに必要な幅を有する隙間が第1弾性接触部81と基板Wの下面との間に形成されるように第1弾性接触部81を弾性変形させる。そして、この気流は、その隙間を通って基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aから外部に排出される。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制することができる。
【0056】
また、径方向外方へ向かう気流が第1弾性接触部81と基板Wの下面との間を通過するため、基板Wの下面を伝って基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに液体が進入することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第2進入抑制部材13は、基板Wの下面の周縁部と保持ピン20の間から基板Wの下面の周縁部と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制する。詳しくは、第2進入抑制部材13を基板Wの下面に弾性的に接触させることによって、第2進入抑制部材13と基板Wの下面とが密着する。一方、第2進入抑制部材13と保持ピン20とは密着している。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間が塞がれる。そのため、液体(基板処理によって発生した処理液のミストなど)が気流Fに乗って基板Wの下面の周縁部と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへ進入することを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第2弾性接触部91は、第2固定部90から径方向外方に向かうにしたがって基板Wの下面に近づくように第2固定部90から延びる。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間で径方向外方へ向かう気流は、第2弾性接触部91と基板Wの下面との間に入り込みやすい。そして、この気流は、第2弾性接触部91と基板Wの下面との間を通過するのに必要な幅を有する隙間が第2弾性接触部91と基板Wの下面との間に形成されるように第2弾性接触部91を弾性変形させる。そして、この気流は、その隙間を通って基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aから外部に排出される。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板Wの下面の周縁部と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制することができる。
【0058】
また、径方向外方へ向かう気流が第2弾性接触部91と基板Wの下面との間を通過するため、保持ピン20の周囲において、基板Wの下面を伝って基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに液体が進入することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1進入抑制部材12は、回転方向Sに隣り合う保持ピン20の間の領域において、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制する。そして、第2進入抑制部材13は、保持ピン20の周囲において、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制する。したがって、回転方向Sの比較的広い範囲(ほぼ全周)において、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、ねじ83の頭部83bが収容穴86に収容されている。そのため、基板Wの下面と保護ディスク10との間で径方向外方に向かう気流を阻害することなく、ねじ83によって、第1進入抑制部材12を保護ディスク10に固定することができる。
また、上述の実施形態とは異なり、気体供給ユニット11から気体を供給しない場合も有り得る。また、上述の実施形態とは異なり、処理ユニット2に気体供給ユニット11が設けられていない場合も有り得る。これらの場合、基板処理において、気体の供給(ステップS3)および気体の供給の停止(ステップS10)が行われない。これらの場合でも、基板Wの下面と保護ディスク10との間の気体は、基板Wの回転の際の遠心力に起因して径方向外方に移動する。そのため、第1弾性接触部81を弾性変形させて、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aから外部に排出される。これにより、基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が、外部の圧力よりも低くなり、負圧状態となる。そのため、第1弾性接触部81が基板の下面に一層密着する。したがって、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を一層抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、第2進入抑制部材13は、保護ディスク10が近接位置にある状態で、保護ディスク10の周縁部に上方から接触する保護ディスク接触部92を含む。そのため、保護ディスク10と各保持ピン20との間から、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに進入する気流が、基板Wの下面と保護ディスク10との間に流れ込むまでの通り道を塞ぐことができる。したがって、保護ディスク10と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに流れ込む気流の発生を抑制することができる。言い換えると、空間Aへの気流の進入を抑制することができる。
【0061】
保護ディスク10が近接位置にある状態で、先端(径方向内方端)が上方に移動するように保護ディスク接触部92が弾性変形する構成であれば、保護ディスク10と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに流れ込む気流の発生を一層抑制することができる。
図8は、本実施形態の第1変形例に係る第1進入抑制部材12Pの周辺の模式図である。図8では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
図8を参照して、第1変形例に係る第1進入抑制部材12Pは、本実施形態とは異なり、スポンジ状の多孔質材料によって形成されている。多孔質材料としては、フッ素樹脂、PVA、PP、PEなどが挙げられる。第1進入抑制部材12Pは、保護ディスク10に固定された第1固定部87と、保護ディスク10が近接位置に位置する状態で基板Wの下面の周縁部および保護ディスク10の上面の周縁部に接触する第1接触部88と、第1固定部87および第1接触部88を連結する第1連結部89とを一体に含む。第1固定部87は、本実施形態の第1進入抑制部材12の第1固定部80(図4A参照)と同様にねじ83によって保護ディスク10に固定されている。
【0063】
第1変形例によれば、第1進入抑制部材12Pは、多孔質材料によって形成されている。そのため、第1進入抑制部材12Pは、気体から所定の値以上の圧力を受けることによって、その気体を通過させることができる。基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに径方向外方に向かう気流が生じ、この気流に起因して第1進入抑制部材12Pの周辺において基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aの圧力が所定の値以上となることがある。この場合、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間A内の気体は、第1進入抑制部材12Pを通過して外部に排出される。その一方で、第1進入抑制部材12Pよりも径方向外方の空間には、空間Aとは異なり気体供給ユニット11や遠心力によって積極的に気体が供給されることがない。そのため、第1進入抑制部材12Pよりも径方向外方の空間は、空間Aにおける第1進入抑制部材12Pの周辺の部分と比較して圧力が上昇しにくい。したがって、第1進入抑制部材12Pは、径方向外方から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制できる。よって、基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制することができる。
【0064】
また、第1進入抑制部材12Pは、多孔質材料によって形成されているため、処理液のミストを通過させにくい。したがって、外部から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの液体の進入を一層抑制することができる。
図9は、本実施形態の第2変形例に係る保持ピン20の周辺の模式図である。図9では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
図9を参照して、第2変形例に係る第2進入抑制部材13Pは、本実施形態とは異なり、スポンジ状の多孔質材料によって形成されている。多孔質材料としては、フッ素樹脂、PVA、PP、PEなどが挙げられる。
第2進入抑制部材13Pは、保持ピン20の対向部20bに固定された第2固定部97と、基板Wの下面の周縁部および対向部20bに接触する第2接触部98と、第2固定部97および第2接触部98を連結する第2連結部99と、保護ディスク10が近接位置にある状態で、保護ディスク10の周縁部に上方から接触する保護ディスク接触部96とを一体に含む。第2固定部97は、本実施形態の第2進入抑制部材13Pの第2固定部90(図5参照)と同様にねじ93によって対向部20bに固定されている。
【0066】
保護ディスク接触部96は、第2連結部99とは反対側に第2固定部97から延びている。保護ディスク接触部96は、平面視で、保護ディスク10の上面において切り欠き10aの周りの部分10bと重なっている。
第2変形例によれば、第2進入抑制部材13Pは、多孔質材料によって形成されているため、気体を通過させることができる。そのため、第2進入抑制部材13Pは、気体から所定の圧力を受けることによって、その気体を通過させることができる。基板Wの下面と保護ディスク10との間に径方向外方に向かう気流が生じ、この気流に起因して、第2進入抑制部材13Pの周辺において基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が所定の値以上となることがある。この場合、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間A内の気体は、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aから外部に排出される。その一方で、第2進入抑制部材13Pよりも径方向外方の空間は、空間Aとは異なり気体供給ユニット11や遠心力によって積極的に気体が供給されることがない。そのため、第2進入抑制部材13Pよりも径方向外方の空間は、空間Aにおける第2進入抑制部材13Pの周辺の部分と比較して圧力が上昇しにくい。したがって、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに外部から気流Fが進入することを抑制できる。よって、基板Wの下面と保護ディスク10との間の圧力が過剰に大きくなることを防ぐことができ、かつ、基板Wの下面の周縁部と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流Fの進入を抑制することができる。
【0067】
また、第2進入抑制部材13Pは、多孔質材料によって形成されているため、処理液のミストを通過させにくい。したがって、外部から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの液体の進入を一層抑制することができる。
また、第2進入抑制部材13Pは、保護ディスク10が近接位置にある状態で、保護ディスク10の周縁部に上方から接触する保護ディスク接触部96を含む。そのため、保護ディスク10と各保持ピン20との間から、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに進入する気流が、基板Wの下面と保護ディスク10との間に流れ込むまでの通り道を塞ぐことができる。したがって、保護ディスク10と保持ピン20との間から基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aに流れ込む気流の発生を抑制することができる。言い換えると、空間Aへの気流の進入を抑制することができる。
【0068】
図10は、本実施形態の第3変形例に係る保持ピン20の周辺の模式図である。図10では、今まで説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図10を参照して、第3変形例に係る第2進入抑制部材13Qの第2固定部90は、本実施形態とは異なり、基板Wと保護ディスク10との間で略水平に延びる延設部材15に固定されている。延設部材15は、上方から保護ディスク10に対向している。
【0069】
延設部材15は、平面視で略半円弧状である。延設部材15は、平面視で、保護ディスク10の上面において切り欠き10aの周りの部分10bと重なっている。第3変形例では、保持ピン20の対向部20bは、水平方向に対して傾斜しており、下方から基板Wに当接し基板Wを支持している。延設部材15は、対向部20bの下端に連結され、対向部20bとほぼ同じ角度で水平方向に対して傾斜する傾斜部15aを含む。第3変形例の第2固定部90は、延設部材15の傾斜部15aに固定されている。第3変形例の第2固定部90は、延設部材15を介して保持ピン20に固定されている。
【0070】
第3変形例に係る第2進入抑制部材13Qは、本実施形態と同様に樹脂製のシートである。第2進入抑制部材13Qは、第3変形例とは異なり、第2変形例に係る第2進入抑制部材13P(図9参照)と同様にスポンジ状の多孔質材料によって形成されていてもよい。
また、図10に示すように、保護ディスク10が近接位置にある状態で、延設部材15の下面が保護ディスク10の上面(の周縁部)に接触するように構成されていれば、保護ディスク10と各保持ピン20との間から、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aへの気流の進入を抑制することができる。
【0071】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の実施形態とは異なり、処理液ノズル40は、処理液の液滴を気体とともに基板Wの上面に噴射する二流体ノズルであってもよい。この場合、処理液ノズル40には、処理液ノズル40に窒素ガスなどの気体を供給する気体供給管が連結されており、当該気体供給管には、処理液ノズル40への気体の供給の有無を切り替える気体バルブが介装されている。そして、処理液ノズル40へは、気体供給管を介して気体供給源から気体が供給される。
【0072】
また、上述の実施形態とは異なり、洗浄ユニット9が設けられておらず、代わりに薬液を供給する薬液供給ユニットが設けられていてもよい。薬液供給ユニットは、基板Wの上面に薬液を供給する薬液供給ノズルを含んでいる。薬液供給ノズルから供給される薬液としては、HF(フッ化水素水)、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)などが挙げられる。薬液供給ノズルは、二流体ノズルであってもよい。この構成の基板処理装置による基板処理では、薬液供給ユニットから供給される薬液によって基板Wの上面が処理された後、処理液供給ユニット8から供給されるDIWなどによって基板Wの上面がリンスされる。そして、上述した実施形態における基板処理と同様に、基板Wがスピンドライによって乾燥される。
【0073】
また、第1進入抑制部材12,12Pおよび第2進入抑制部材13,13P,13Qによって、基板Wの下面が回転方向Sの全周に亘って気流の進入が規制されている場合、上述の実施形態とは異なり、基板Wの下面と保護ディスク10との間の空間Aの気体を排除する気体排除ユニットが設けられていてもよい。
また、保護ディスク10は、基板Wの周縁部に必ずしも対向している必要はなく、平面視で基板Wよりも小さい円形状であってもよい。この場合であっても、第1弾性接触部81および第2弾性接触部91は、基板Wの下面の周縁部において径方向外方端と、径方向外方端よりも僅かに内方(2mm程度内方)との間の部分に接触していることが好ましい。
【0074】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 :基板処理装置
10 :保護ディスク(対向部材)
12 :第1進入抑制部材(弾性部材)
12P :第1進入抑制部材(弾性部材)
13 :第2進入抑制部材
13P :第2進入抑制部材
13Q :第2進入抑制部材
20 :保持ピン
21 :スピンベース(ベース)
80 :第1固定部
81 :第1弾性接触部
90 :第2固定部
91 :第2弾性接触部
A :空間
A1 :回転軸線
F :気流
S :回転方向
W :基板
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10