特許第6885754号(P6885754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885754
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   H01L21/304 644B
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 644Z
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-45085(P2017-45085)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-148179(P2018-148179A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】帆角 良平
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 敬
【審査官】 西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−335281(JP,A)
【文献】 特開2009−231628(JP,A)
【文献】 特開2016−111265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に保持された基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、
前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程と
前記ブラシおよびスプレーノズルを前記下側非接触位置から上側非接触位置まで上方に移動させるブラシ上昇工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記上側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる離陸後スプレー工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
水平に保持された基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、
前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程とを含み、
前記スクラブ洗浄工程は、前記着陸位置から前記離陸位置までの範囲の少なくとも一部において前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を停止させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させるスプレー停止中スクラブ洗浄工程を含む基板処理方法。
【請求項3】
前記離陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記離陸位置から上方に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる離陸前スプレー開始工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記ブラシの下面が前記基板の上面から上方に離れる前記基板の上面内の離陸領域の上方で、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させる移動スプレー工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記着陸位置から前記離陸位置の方に前記径方向に移動させる着陸時スプレー工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記着陸時スプレー工程は、少なくとも、前記複数の液滴が衝突する前記基板の上面内の衝突領域が、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に配置されたときに前記ブラシの下面が接触する前記基板の上面内の着陸領域の外縁に達するまで、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる工程である、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記着陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる着陸前スプレー開始工程を含む、請求項5または6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記ノズル挿入穴内の流体を前記ノズル挿入穴の内周面から前記ブラシの外面まで延びる逃がし穴を通じて排出する流体排出工程をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
基板を水平に保持しながら、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、
前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、
前記ブラシおよびスプレーノズルを移動させる駆動手段と、
前記スプレーノズルおよび駆動手段を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、
前記基板保持手段に前記基板を前記回転軸線まわりに回転させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、
前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程と、
前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記下側非接触位置から上側非接触位置まで上方に移動させるブラシ上昇工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記上側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる離陸後スプレー工程と、を実行する、基板処理装置。
【請求項10】
基板を水平に保持しながら、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、
前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、
前記ブラシおよびスプレーノズルを移動させる駆動手段と、
前記スプレーノズルおよび駆動手段を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、
前記基板保持手段に前記基板を前記回転軸線まわりに回転させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、
前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、
前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程と、を実行し、
前記スクラブ洗浄工程は、前記着陸位置から前記離陸位置までの範囲の少なくとも一部において前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を停止させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させるスプレー停止中スクラブ洗浄工程を含む基板処理装置。
【請求項11】
前記離陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記離陸位置から上方に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる離陸前スプレー開始工程を含む、請求項9または10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記ブラシの下面が前記基板の上面から上方に離れる前記基板の上面内の離陸領域の上方で、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させる移動スプレー工程をさらに実行する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記着陸位置から前記離陸位置の方に前記径方向に移動させる着陸時スプレー工程をさらに実行する、請求項12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記着陸時スプレー工程は、少なくとも、前記複数の液滴が衝突する前記基板の上面内の衝突領域が、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に配置されたときに前記ブラシの下面が接触する前記基板の上面内の着陸領域の外縁に達するまで、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる工程である、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記着陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる着陸前スプレー開始工程を含む、請求項13または14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記ブラシは、前記ノズル挿入穴の内周面から前記ブラシの外面まで延びる逃がし穴をさらに含む、請求項15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象の基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。
特許文献1には、スクラブ洗浄を行う枚葉式の基板処理装置が開示されている。ブラシは、最初に基板の上面中央部に押し付けられる。その後、ブラシは、基板の上面中央部と基板の上面外周部との間を移動する。続いて、ブラシが、基板の上面外周部から上方に移動し、基板の上面から離れる。ブラシが基板から離れた後は、基板を乾燥させるために、基板を高速回転させて、純水などの基板上の液体を基板の周囲に振り切る。基板から離れたブラシは、待機ポッドで洗浄され、次の基板の洗浄に備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−19024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ブラシが基板の上面中央部に最初に接触し、その後、基板の上面外周部から上方に離れる。このような処理では、ブラシの跡が、基板の上面中央部と基板の上面外周部とに残る場合がある。図8は、基板の上面中央部と基板の上面外周部とに残るブラシの跡の例を示している。これは、基板の上面中央部と基板の上面外周部とに汚染が残留していることを意味する。
【0005】
基板の上面中央部は、ブラシが最初に接触する領域である。基板の上面外周部は、ブラシが離れる領域である。基板の上面中央部に汚染が残る原因は、ブラシが基板に押し付けられたときに、ブラシに残留していた汚染が基板に転移するためであると考えられる。基板の上面外周部に汚染が残る原因は、ブラシが基板から上方に離れるときに、スクラブ洗浄中にブラシの下面に集まった汚染が基板上に残るためであると考えられる。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、スクラブ洗浄された基板の上面に残留する汚染の量を低減でき、基板の清浄度を高めることができる、基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、水平に保持された基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法である。
【0008】
前記基板処理方法は、前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記下側非接触位置から上側非接触位置まで上方に移動させるブラシ上昇工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記上側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる離陸後スプレー工程とを含む。
前記目的を達成するための請求項2記載の発明は、水平に保持された基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、を備える基板処理装置によって実行される基板処理方法である。
前記基板処理方法は、前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程とを含み、前記スクラブ洗浄工程は、前記着陸位置から前記離陸位置までの範囲の少なくとも一部において前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を停止させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させるスプレー停止中スクラブ洗浄工程を含む。
【0009】
請求項1および2の構成によれば、ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置に向けて下方に移動させる。これにより、ブラシの下面が基板の上面に近づき、基板の上面内の着陸領域に接触する。その後、基板が鉛直な回転軸線まわりに回転しており、ブラシの下面が基板の上面に接触している状態で、ブラシを着陸位置から離陸位置まで径方向に移動させる。これにより、ブラシの下面が基板の上面に擦り付けられ、基板の上面がブラシで洗浄される。
【0010】
その後、ブラシおよびスプレーノズルを離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させる。これにより、ブラシの下面が基板の上面内の離陸領域から離れる。この状態で、スプレーノズルが複数の液滴を生成する。複数の液滴は、ブラシの下面で開口する中央開口を下方に通過して、基板の上面内の離陸領域に衝突する。ブラシが基板から離れるときに離陸領域に残った汚染は、液滴の衝突による衝撃で基板から除去される。
【0011】
スプレーノズルによって生成された複数の液滴は、基板の上面に衝突した後、ブラシの下面と基板の上面との間の隙間を外方に通過する。この隙間を通過する液体の一部は、ブラシの下面に供給される。これにより、ブラシの下面に付着している汚染が洗い流される。さらに、複数の液滴は、基板の上面内の衝突領域に衝突した後、衝突領域から放射状に広がる。つまり、基板に衝突した液体は、衝突領域から複数の方向に広がる。そのため、液体が一つの方向だけに流れる場合と比較して、ブラシの下面内のより広い範囲から汚染を除去できる。
【0012】
このように、ブラシの下面に付着している汚染を洗い流すことができ、汚染の残留量を低減できるので、ブラシを次の基板に接触させたときに、ブラシの下面から基板の上面内の着陸領域に移る汚染の量を低減できる。さらに、ブラシの下面が基板の上面から離れた後に、複数の液滴を基板の上面内の離陸領域に衝突させるので、離陸領域に残留する汚染の量を低減できる。これにより、基板の上面に残留する汚染の量を低減でき、基板の清浄度を高めることができる。
さらに、請求項1の構成によれば、ブラシおよびスプレーノズルを下側非接触位置の上方の上側非接触位置に位置させながら、スプレーノズルに複数の液滴を生成させる。複数の液滴は、通常、スプレーノズルの下端部から直線状に飛散するのではなく、スプレーノズルの下端部から円錐状に広がりながら下方に飛散する。スプレーノズルが基板から遠ざかると、複数の液滴が衝突する基板の上面内の衝突領域の外径が増加する。したがって、スプレーノズルを上側非接触位置に位置させることにより、基板の上面内のより広い範囲に複数の液滴を衝突させることができ、ブラシの下面から基板の上面に転移した汚染の残留量を低減できる。
さらに、請求項2の構成によれば、ブラシの下面が基板の上面に接触しており、スプレーノズルが液滴の生成を停止している状態で、ブラシおよびスプレーノズルを径方向に移動させる。ブラシの下面を基板の上面に接触させながら、スプレーノズルに液滴を生成させると、ブラシに設けられたノズル挿入穴内の圧力が高まるので、ブラシを基板から浮き上がらせる力が発生し得る。これは、ブラシを基板に押し付ける力が弱まることを意味する。したがって、液滴の生成を停止しながら、ブラシを基板の上面に押し付けることにより、汚染の除去率の低下を抑制または防止することができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記離陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記離陸位置から上方に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる離陸前スプレー開始工程を含む、請求項1または2に記載の基板処理方法である。
この構成によれば、ブラシの下面が基板の上面に接触している状態で、スプレーノズルが複数の液滴を生成する。ブラシの下面が基板の上面に接触しているときは、ブラシの下面で開口する中央開口が基板の上面で塞がれているので、ノズル挿入穴内で複数の液滴が生成されると、ノズル挿入穴内の圧力が高まる。したがって、ブラシの下面は、ノズル挿入穴内の圧力が高い状態で基板の上面から上方に離れる。
【0014】
ブラシの下面が基板の上面から離れたとき、ノズル挿入穴内の液体は、ノズル挿入穴内の圧力でブラシの中央開口から下方に排出され、ブラシの下面と基板の上面との間の隙間を放射状に飛散する。ブラシと基板との間の隙間を高速で通過する液体は、ブラシの下面や基板の上面に付着している汚染に衝突する。これにより、ブラシの下面と基板の上面とに付着している汚染を除去でき、これらに残留する汚染の量を低減できる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記ブラシの下面が前記基板の上面から上方に離れる前記基板の上面内の離陸領域の上方で、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させる移動スプレー工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この構成によれば、ブラシの下面が基板の上面内の離陸領域から上方に離れた状態で、スプレーノズルに複数の液滴を生成させ、ブラシおよびスプレーノズルを径方向に移動させる。複数の液滴が衝突する基板の上面内の衝突領域は、スプレーノズルの移動に伴って径方向に移動する。これにより、離陸領域を含む基板の上面内のより広い範囲に液滴を衝突させることができ、離陸領域に残留する汚染の量をさらに低減できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記ブラシおよびスプレーノズルを前記着陸位置から前記離陸位置の方に前記径方向に移動させる着陸時スプレー工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この構成によれば、スプレーノズルに複数の液滴を生成させながら、ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置から離陸位置の方に径方向に移動させる。ブラシが着陸位置に配置されると、ブラシの下面は、基板の上面内の着陸領域に接触する。このとき、ブラシの下面に残留している汚染は着陸領域に転移し得る。複数の液滴が衝突する基板の上面内の衝突領域は、径方向へのスプレーノズルの移動に伴って着陸領域に重なる。ブラシから着陸領域に移った汚染は、液滴の衝突による衝撃で除去される。これにより、基板の上面に残留する汚染の量を低減でき、基板の清浄度を高めることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記着陸時スプレー工程は、少なくとも、前記複数の液滴が衝突する前記基板の上面内の衝突領域が、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に配置されたときに前記ブラシの下面が接触する前記基板の上面内の着陸領域の外縁に達するまで、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる工程である、請求項5に記載の基板処理方法である。
【0020】
この構成によれば、液滴が衝突する衝突領域が基板の上面内を径方向に移動する。ブラシおよびスプレーノズルが着陸位置に配置されたときにブラシの下面が接触する着陸領域は、衝突領域を取り囲む環状の領域である。衝突領域は、径方向へのスプレーノズルの移動に伴って着陸位置の内縁を通過する。液滴の生成は、少なくとも衝突領域が着陸領域の外縁に達するまで継続される。したがって、着陸領域の各部に液滴を衝突させることができ、基板の上面に残留する汚染の量を低減できる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、前記着陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる着陸前スプレー開始工程を含む、請求項5または6に記載の基板処理方法である。
この構成によれば、ブラシが基板の上面に接触する前に、スプレーノズルが液滴の生成を開始する。この状態で、ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下降させる。さらに、ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置から離陸位置の方に径方向に移動させる。したがって、ブラシおよびスプレーノズルが着陸位置に移動した後に液滴の生成を開始する場合と比較して、スムーズにブラシおよびスプレーノズルを着陸位置から離陸位置の方に移動させることができる。
【0023】
請求項に記載の発明は、前記ノズル挿入穴内の流体を前記ノズル挿入穴の内周面から前記ブラシの外面まで延びる逃がし穴を通じて排出する流体排出工程をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
ブラシの外面は、ブラシの下面以外の面を意味する。ブラシの外面は、ノズル挿入穴の内周面と同軸のブラシの外周面であってもよいし、ブラシの上面であってもよいし、これ
ら以外の面であってもよい。逃がし穴は、ブラシの外面および下面の両方で開口していてもよい。ブラシが複数の微細孔を有するスポンジである場合、逃がし穴の内径は、微細孔の内径よりも大きい。
【0024】
この構成によれば、ブラシに設けられたノズル挿入穴内の流体が、ブラシの中央開口ではなく、逃がし穴を通じてブラシの外に排出される。したがって、ブラシの下面を基板の上面に接触させながら、スプレーノズルに液滴を生成させたとしても、ノズル挿入穴内の圧力が上がり難い。これにより、ブラシによる洗浄力の低下を抑制または防止することができる。
【0025】
前記目的を達成するための請求項記載の発明は、基板を水平に保持しながら、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持手段と、前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、前記ブラシおよびスプレーノズルを移動させる駆動手段と、前記スプレーノズルおよび駆動手段を制御する制御装置とを備える、基板処理装置である。
【0026】
前記制御装置は、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、前記基板保持手段に前記基板を前記回転軸線まわりに回転させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程とを実行する。この構成によれば、請求項1に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0027】
前記目的を達成するための請求項10記載の発明は、基板を水平に保持しながら、前記基板の中央部を通る鉛直な回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持手段と、前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に押し付けられる下面と、前記下面の中央部で開口する中央開口と、前記中央開口から上方に延びるノズル挿入穴と、を含むブラシと、前記ノズル挿入穴に挿入されており、前記中央開口を通じて前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面の方に飛散する複数の液滴を生成するスプレーノズルと、前記ブラシおよびスプレーノズルを移動させる駆動手段と、前記スプレーノズルおよび駆動手段を制御する制御装置とを備える、基板処理装置である。
前記制御装置は、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを着陸位置まで下方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に接触させるブラシ着陸工程と、前記基板保持手段に前記基板を前記回転軸線まわりに回転させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記回転軸線に直交する水平な径方向に前記着陸位置から離陸位置まで移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に沿って移動させるスクラブ洗浄工程と、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記離陸位置から下側非接触位置まで上方に移動させることにより、前記ブラシの下面を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面から離すブラシ離陸工程と、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記下側非接触位置に位置している状態で前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させることにより、前記複数の液滴を前記基板保持手段に保持されている前記基板の上面に衝突させ、その後、前記基板の上面に衝突した前記複数の液滴を、前記ブラシの下面に供給しながら前記ブラシの下面と前記基板の上面との間の隙間から排出する離陸時スプレー工程と、を実行し、前記スクラブ洗浄工程は、前記着陸位置から前記離陸位置までの範囲の少なくとも一部において前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を停止させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させるスプレー停止中スクラブ洗浄工程を含む。この構成によれば、請求項2に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
請求項11に記載の発明は、前記離陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記離陸位置から上方に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる離陸前スプレー開始工程を含む、請求項9または10に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、前記制御装置は、前記ブラシの下面が前記基板の上面から上方に離れる前記基板の上面内の離陸領域の上方で、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記径方向に移動させる移動スプレー工程をさらに実行する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項4に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、前記制御装置は、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させながら、前記駆動手段に前記ブラシおよびスプレーノズルを前記着陸位置から前記離陸位置の方に前記径方向に移動させる着陸時スプレー工程をさらに実行する、請求項12のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項5に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、前記着陸時スプレー工程は、少なくとも、前記複数の液滴が衝突する前記基板の上面内の衝突領域が、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に配置されたときに前記ブラシの下面が接触する前記基板の上面内の着陸領域の外縁に達するまで、前記スプレーノズルに前記複数の液滴を生成させる工程である、請求項13に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項6に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
請求項15に記載の発明は、前記着陸時スプレー工程は、前記ブラシおよびスプレーノズルが前記着陸位置に移動する前に、前記スプレーノズルに前記複数の液滴の生成を開始させる着陸前スプレー開始工程を含む、請求項13または14に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項7に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
請求項16に記載の発明は、前記ブラシは、前記ノズル挿入穴の内周面から前記ブラシの外面まで延びる逃がし穴をさらに含む、請求項15のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この構成によれば、請求項に係る発明に関して述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た模式図である。
図2】処理ユニットの内部を上から鉛直に見た模式図である。
図3】ブラシおよびスプレーノズルを示す模式図である。
図4A】基板処理装置によって実行される基板の処理の一例を説明するための工程図である。
図4B】基板処理装置によって実行される基板の処理の一例を説明するための工程図である。
図5A】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5B】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5C】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5D】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5E】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5F】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5G】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5H】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5I】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図5J】処理が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図6】基板の処理の他の例が実行されているときの基板の様子を示す模式図である。
図7A】本発明の他の実施形態に係るブラシおよびスプレーノズルを示す模式図である。
図7B】本発明のさらに他の実施形態に係るブラシおよびスプレーノズルを示す模式図である。
図8】スクラブ洗浄が行われた基板の上面に残ったブラシの跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。図1は、ブラシ21およびスプレーノズル22が中央上位置に配置されている状態を示している。図2は、処理ユニット2の内部を上から鉛直に見た模式図である。図3は、ブラシ21およびスプレーノズル22を示す模式図である。
【0037】
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスなどの処理流体で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、複数の処理ユニット2に基板Wを搬送する搬送ロボット(図示せず)と、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。制御装置3は、プログラム等の情報を記憶するメモリー3mとメモリー3mに記憶された情報にしたがって基板処理装置1を制御するプロセッサー3pとを含むコンピュータである。
【0038】
処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー4と、1枚の基板Wをチャンバー4内で水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック5と、スピンチャック5に保持されている基板Wから外方に排出された処理液を受け止める筒状のカップ9とを含む。
スピンチャック5は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース7と、スピンベース7の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン6と、スピンベース7と複数のチャックピン6とを回転させることにより回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンモータ8とを含む。スピンチャック5は、複数のチャックピン6を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース7の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0039】
カップ9は、スピンチャック5を取り囲む筒状の案内部9bと、案内部9bの上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる筒状の傾斜部9aと、上向きに開いた環状の溝を案内部9bと共に形成する液受部9cとを含む。図2に示すように、傾斜部9aは、基板Wおよびスピンベース7よりも大きい内径を有する円環状の上端を含む。傾斜部9aの上端は、カップ9の上端に相当する。カップ9の上端は、平面視で基板Wおよびスピンベース7を取り囲んでいる。
【0040】
図1に示すように、処理ユニット2は、スピンチャック5が基板Wを保持する保持位置よりもカップ9の上端が上方に位置する上位置(図1に示す位置)と、カップ9の上端が保持位置よりも下方に位置する下位置との間で、カップ9を鉛直に昇降させるカップ昇降ユニット10を含む。処理液が基板Wに供給されるとき、カップ9は上位置に配置される。基板Wから外方に飛散した処理液は、傾斜部9aによって受け止められた後、案内部9bによって液受部9c内に集められる。
【0041】
処理ユニット2は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けてリンス液を下方に吐出するリンス液ノズル11を含む。リンス液ノズル11は、リンス液バルブ12が介装されたリンス液配管13に接続されている。リンス液ノズル11は、チャンバー4内の所定位置で固定されている。処理ユニット2は、リンス液ノズル11から吐出されたリンス液が基板Wに供給される処理位置とリンス液ノズル11が平面視で基板Wから離れた待機位置との間でリンス液ノズル11を水平に移動させるノズル移動ユニットを備えていてもよい。
【0042】
リンス液バルブ12が開かれると、リンス液が、リンス液配管13からリンス液ノズル11に供給され、リンス液ノズル11から吐出される。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionized water)である。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0043】
処理ユニット2は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に押し付けられるブラシ21と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に複数の液滴を衝突させるスプレーノズル22とを含む。処理ユニット2は、さらに、ブラシ21およびスプレーノズル22を保持する可動アーム23と、可動アーム23を移動させる駆動機構24とを含む。駆動機構24は、可動アーム23を鉛直に移動させる鉛直駆動機構24aと、鉛直駆動機構24aを水平に移動させることにより可動アーム23を水平に移動させる水平駆動機構24bとを含む。
【0044】
スプレーノズル22は、たとえば、その内部または外部で液体と気体とを衝突させることにより、基板Wの上面に向かって下方に飛散する複数の液滴を生成する二流体ノズルである。図3は、スプレーノズル22が外部混合型の二流体ノズルである例を示している。スプレーノズル22は、基板Wの上面に向けて液体を吐出する液体吐出口22aと、液体吐出口22aから吐出された液体に衝突する気体を吐出する気体吐出口22bとを含む。液体吐出口22aおよび気体吐出口22bは、スプレーノズル22の下端部に設けられている。スプレーノズル22の下端部は、ブラシ21の内部に配置されている。液体吐出口22aは、スプレーノズル22の中心線に重なる円形であり、気体吐出口22bは、液体吐出口22aを取り囲む環状である。
【0045】
スプレーノズル22は、スプレーノズル22に供給される液体を案内する液体配管26と、スプレーノズル22に供給される気体を案内する気体配管28とに接続されている。スプレーノズル22に対する液体の供給および供給停止を切り替える液体バルブ25は、液体配管26に介装されている。スプレーノズル22に対する気体の供給および供給停止を切り替える気体バルブ27は、気体配管28に介装されている。スプレーノズル22に供給される液体は、たとえば、純水であり、スプレーノズル22に供給される気体は、たとえば、窒素ガスである。純水以外の液体がスプレーノズル22に供給されてもよい。同様に、窒素ガス以外の気体がスプレーノズル22に供給されてもよい。
【0046】
水平駆動機構24bは、鉛直駆動機構24aを移動させる動力を発生するアクチュエータと、アクチュエータの動力を鉛直駆動機構24aに伝達する伝達機構とを含む。図2に示すように、水平駆動機構24bは、平面視で基板Wの中央部を通る直線状の経路P1に沿ってブラシ21およびスプレーノズル22を水平に移動させるスライド機構である。水平駆動機構24bは、平面視で基板Wの中央部を通る円弧状の経路に沿ってブラシ21およびスプレーノズル22を水平に移動させる旋回機構であってもよい。
【0047】
水平駆動機構24bは、経路P1上の任意の位置でブラシ21およびスプレーノズル22を静止させることができる。待機位置Ps、中央位置Pc、および外周位置Peは、いずれも経路P1上の位置である。待機位置Psは、平面視でブラシ21がカップ9のまわりに位置する位置である。中央位置Pcは、平面視でブラシ21が基板Wの中央部に重なる位置である。外周位置Peは、平面視でブラシ21が基板Wの外周部に重なる位置である。外周位置Peは、中央位置Pcに対して待機位置Ps側の位置であってもよいし、中央位置Pcに対して待機位置Psとは反対側の位置であってもよい。
【0048】
中央位置Pcは、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面から上方に離れた中央上位置と、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触する中央下位置とを含む。同様に、外周位置Peは、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面から上方に離れた外周上位置と、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触する外周下位置とを含む。中央上位置および中央下位置は、平面視で互いに重なる位置であり、外周上位置および外周下位置は、平面視で互いに重なる位置である。待機位置Psは、中央上位置および外周上位置と高さが等しい待機上位置と、待機上位置の下方の位置である待機下位置とを含む。
【0049】
鉛直駆動機構24aは、可動アーム23を移動させる動力を発生するアクチュエータと、アクチュエータの動力を可動アーム23に伝達する伝達機構とを含む。鉛直駆動機構24aは、中央上位置から中央下位置までの任意の位置でブラシ21およびスプレーノズル22を静止させることができる。同様に、鉛直駆動機構24aは、外周上位置から外周下位置までの任意の位置でブラシ21およびスプレーノズル22を静止させることができ、待機上位置から待機下位置までの任意の位置でブラシ21およびスプレーノズル22を静止させることができる。
【0050】
図2に示すように、処理ユニット2は、待機下位置に位置するブラシ21を収容する筒状の待機ポッド31を含む。待機ポッド31は、平面視でカップ9のまわりに配置されている。待機ポッド31は、待機上位置に位置するブラシ21の下方に配置されている。ブラシ21が待機上位置および待機下位置のいずれに配置されているときでも、ブラシ21は待機ポッド31に重なる。
【0051】
待機ポッド31は、待機ポッド31内の空間に向けて洗浄液を吐出する複数の洗浄液吐出口31aと、各洗浄液吐出口31aに洗浄液を導く洗浄液流路31bとを含む。洗浄液流路31bは、洗浄液バルブ32が介装された洗浄液配管33に接続されている。洗浄液は、たとえば、純水である。洗浄液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。洗浄液は、リンス液と同種の液体であってもよいし、リンス液とは異なる種類の液体であってもよい。
【0052】
次に、図3を参照して、ブラシ21およびスプレーノズル22とこれらに関連する構成について詳細に説明する。
図3(a)は、ブラシ21およびスプレーノズル22を水平に見た部分断面図である。図3(b)は、ブラシ21を下から鉛直に見た模式図である。図3(c)は、可動アーム23をボルト47の軸方向に見た模式図である。図3(b)では、液体吐出口22aおよび気体吐出口22bを黒で塗りつぶしている。
【0053】
図3(a)に示すように、可動アーム23は、ブラシ21を保持するブラシアーム43と、スプレーノズル22を保持するノズルアーム42と、ブラシアーム43およびノズルアーム42を保持するメインアーム41とを含む。メインアーム41は、水平に延びる水平部41aと、水平部41aの先端から鉛直下方に延びる鉛直部41bとを含む。ブラシアーム43およびノズルアーム42は、鉛直部41bに対して水平部41aとは反対の方向に水平に延びている。ブラシアーム43は、ノズルアーム42の下方に配置されており、平面視でノズルアーム42に重なっている。
【0054】
スプレーノズル22は、ノズルアーム42を鉛直に貫通する貫通穴42hに挿入されており、ノズルアーム42に固定されている。スプレーノズル22は、さらに、ブラシアーム43を鉛直に貫通する通り穴43hに挿入されており、ブラシアーム43から下方に突出している。ブラシ21は、ブラシアーム43の下方に配置されている。スプレーノズル22の下端部は、ブラシ21の内部に配置されている。
【0055】
ブラシ21は、ホルダー45およびホルダー取付部44を介してブラシアーム43に支持されている。ホルダー取付部44は、ブラシアーム43に固定されている。ホルダー45は、取り外し可能にホルダー取付部44に取り付けられている。ホルダー45は、ブラシ21を取り囲む円筒状の周壁部45aと、周壁部45aの下端から内方に延びる円環状の底壁部45bとを含む。ブラシ21は、底壁部45bから下方に突出している。
【0056】
ブラシ21は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)やウレタンなどの合成樹脂で形成された弾性変形可能な柱状のスポンジである。ブラシ21は、基板Wの上面に押し付けられる下面21aと、下面21aの中央部で開口する中央開口21bと、中央開口21bから上方に延びるノズル挿入穴21cとを含む。ブラシ21の下面21aは、平坦な水平面であってもよいし、下方に凸の半球面であってもよい。図3(b)に示すように、ブラシ21をその下から鉛直に見ると、ブラシ21の下面21aは、円環状である。
【0057】
図3(a)に示すように、スプレーノズル22は、ホルダー取付部44を鉛直に貫通する通り穴44hに挿入されている。スプレーノズル22は、さらに、ブラシ21を上下方向に貫通するノズル挿入穴21cに挿入されている。スプレーノズル22の下端部は、ノズル挿入穴21c内に配置されている。ブラシ21の下面21aは、スプレーノズル22の下端部よりも下方に配置されている。図3(b)に示すように、ブラシ21をその下方から鉛直に見ると、スプレーノズル22の液体吐出口22aおよび気体吐出口22bは、ブラシ21から露出している。
【0058】
ホルダー取付部44の通り穴44hの内径は、スプレーノズル22の外径よりも大きい。同様に、ノズル挿入穴21cの内径は、スプレーノズル22の外径よりも大きい。ホルダー取付部44およびブラシ21は、スプレーノズル22に対して鉛直に移動可能である。ノズル挿入穴21cの内径は、スプレーノズル22の外径と概ね等しくてもよい。これは、ノズル挿入穴21cの内径がスプレーノズル22の外径よりも多少小さくても、スプレーノズル22をノズル挿入穴21cに挿入しようとすると、ブラシ21の弾性変形によりノズル挿入穴21cの内径が広がるからである。
【0059】
図3(a)に示すように、ブラシアーム43の根本部は、メインアーム41に設けられたスライド溝46に挿入されている。スライド溝46は、水平に凹んでいると共に、鉛直に延びている。ブラシアーム43の根本部は、スライド溝46に沿って鉛直に移動可能である。ブラシアーム43は、ボルト47によってメインアーム41に固定されている。ボルト47の頭部47aは、メインアーム41に対してブラシアーム43とは反対側に配置されている。ボルト47の軸部47bは、メインアーム41を水平に貫通するボルト穴41hに挿入されている。ボルト47の軸部47bは、ブラシアーム43に設けられた雌ねじ穴43hに取り付けられている。これにより、ブラシアーム43がメインアーム41に締結されている。
【0060】
図3(c)に示すように、メインアーム41のボルト穴41hは、鉛直に延びる長穴である。水平方向へのボルト穴41hの長さは、ボルト47の軸部47bの外径よりも大きく、ボルト47の頭部47aの外径よりも小さい。鉛直方向へのボルト穴41hの長さは、ボルト47の頭部47aの外径よりも大きい。ボルト47を緩めれば、ボルト47をメインアーム41に対して鉛直に移動させることができる。その後、ボルト47を締めれば、ブラシアーム43を固定することができる。これにより、メインアーム41に対するブラシ21の位置を鉛直方向に変更することができ、ブラシ21の下面21aとスプレーノズル22の下端部との高低差を変更することができる。
【0061】
図4Aおよび図4Bは、基板処理装置1によって実行される基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。図5A図5Jは、図4Aまたは図4Bに示す処理が実行されているときの基板Wの様子を示す模式図である。以下では、図1を参照する。図4A図4B、および図5A等については適宜参照する。以下の各工程は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。言い換えると、制御装置3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
【0062】
基板処理装置1によって基板Wが処理されるときには、ブラシ21およびスプレーノズル22が基板Wの上方から退避しており、カップ9が下位置に位置している状態で、搬送ロボット(図示せず)が、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー4内に進入させる。その後、搬送ロボットは、基板Wの表面または裏面が上に向けられた状態でハンド上の基板Wをスピンチャック5の上に置く(ステップS1)。スピンモータ8は、基板Wがチャックピン6によって把持された後、基板Wの回転を開始させる(ステップS2)。搬送ロボットは、基板Wをスピンチャック5の上に置いた後、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。
【0063】
駆動機構24は、基板Wがスピンチャック5上に置かれた後、ブラシ21およびスプレーノズル22を待機下位置から中央上位置と中央下位置との間の中央中間位置(図5Aに示す位置)に移動させる(ステップS3)。さらに、カップ昇降ユニット10がカップ9を下位置から上位置に上昇させる(ステップS4)。その後、リンス液バルブ12が開かれ、リンス液ノズル11が基板Wの上面中央部に向けて純水の吐出を開始する(ステップS5)。回転している基板Wの上面に着液した純水は、遠心力で基板Wの上面に沿って外方に流れ、基板Wの外周部から外方に飛散する。これにより、純水が基板Wの上面の各部に供給され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。
【0064】
次に、図5Aに示すように、ブラシ21およびスプレーノズル22が中央中間位置に位置している状態で、液体バルブ25および気体バルブ27が開かれ、スプレーノズル22が複数の液滴の噴射を開始する(ステップS6)。複数の液滴は、基板Wの上面中央部を覆う純水の液膜を貫通し、基板Wの上面中央部に衝突する。図5Bに示すように、この状態で、駆動機構24は、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央中間位置から中央下位置(図5Bに示す位置)に下降させる(ステップS7)。この間に、ブラシ21の下面21aは、純水の液膜を介して基板Wの上面中央部に押し付けられ、基板Wの上面内の着陸領域Rlに接触する。
【0065】
次に、駆動機構24は、スプレーノズル22が複数の液滴を噴射しており、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に押し付けられている状態で、ブラシ21およびスプレーノズル22を径方向Drにおける外方に移動させる(ステップS8)。図5Cに示すように、基板Wの上面内の衝突領域Rc、つまり、複数の液滴が衝突する領域は、径方向Drへのスプレーノズル22の移動に伴って着陸領域Rlの内縁Rliを通過する。そして、衝突領域Rcが着陸領域Rlの外縁Rloに達すると、液体バルブ25および気体バルブ27が閉じられ、スプレーノズル22が複数の液滴の噴射を停止する(ステップS9)。この間に、複数の液滴が着陸領域Rlの各部に衝突し、ブラシ21から着陸領域Rlに転移した汚染が除去される。
【0066】
図5Dおよび図5Eに示すように、液滴の噴射が停止された後は、駆動機構24は、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に押し付けられている状態で、ブラシ21およびスプレーノズル22を外周下位置(図5Eに示す位置)まで径方向Drにおける外方に移動させる(ステップS10)。これにより、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面の各部に擦り付けられ、基板Wの上面がブラシ21で洗浄される。
【0067】
図5Fに示すように、ブラシ21およびスプレーノズル22が外周下位置に達すると、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触している状態で、液体バルブ25および気体バルブ27が開かれ、スプレーノズル22が複数の液滴の噴射を開始する(ステップS11)。ブラシ21が多孔質のスポンジであるため、ノズル挿入穴21c内の流体の一部は、ブラシ21の中央開口21bではなく、ブラシ21を通じてブラシ21の外に排出される。しかしながら、ブラシ21の中央開口21bが塞がれている状態でノズル挿入穴21cに流体が供給されると、ノズル挿入穴21c内の圧力が高まる。
【0068】
図5Gに示すように、駆動機構24は、スプレーノズル22が複数の液滴の噴射を開始した後、ブラシ21およびスプレーノズル22を外周下位置から外周下位置と外周上位置との間の下側非接触位置(図5Gに示す位置)まで上昇させる(ステップS12)。これにより、基板Wの上面外周部内の領域である離陸領域Rtからブラシ21の下面21aが上方に離れる。下側非接触位置に位置しているブラシ21の下面21aから基板Wの上面までの鉛直方向の距離は、たとえば、ブラシ21の下面21aの外径よりも小さい。この距離は、ブラシ21の中央開口21bの直径よりも小さくてもよい。
【0069】
ノズル挿入穴21c内の圧力が上昇しているので、駆動機構24がブラシ21およびスプレーノズル22を外周下位置から下側非接触位置まで上昇させると、ノズル挿入穴21c内の気体および液体は、ノズル挿入穴21c内の圧力でブラシ21の中央開口21bから下方に排出され、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面との間の隙間を放射状に飛散する。この隙間を高速で通過する気体および液体は、ブラシ21の下面21aや基板Wの上面に付着している汚染に衝突する。これにより、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面とに残留する汚染の量を低減できる。
【0070】
駆動機構24がブラシ21およびスプレーノズル22を下側非接触位置まで上昇させた後も、スプレーノズル22は、複数の液滴の噴射を続けている。このとき、複数の液滴が衝突する基板Wの上面内の衝突領域Rcは、回転している基板Wの上面外周部に位置している。したがって、複数の液滴は、離陸領域Rtの全周に衝突する。これにより、ブラシ21が離陸領域Rtから離れるときに当該領域に残った汚染が、液滴の衝突による衝撃で基板Wから除去される。
【0071】
基板Wの上面に衝突した複数の液滴は、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面から離れ、ノズル挿入穴21c内の圧力が開放された後も、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面との間の隙間を放射状に流れる。下側非接触位置は、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面との間の隙間が液体で満たされる位置であってもよいし、当該隙間を流れる液体がブラシ21の下面21aに断続的に接触する位置であってもよい。いずれの場合でも、外方に流れる液体がブラシ21の下面21aに供給されるので、ブラシ21の下面21aに残留する汚染の量を低減できる。
【0072】
図5Hに示すように、駆動機構24は、ブラシ21およびスプレーノズル22を下側非接触位置で静止させた後、スプレーノズル22が複数の液滴を噴射している状態で、ブラシ21およびスプレーノズル22を下側非接触位置から上側非接触位置(図5Hに示す位置)まで上昇させる(ステップS13)。上側非接触位置は、下側非接触位置の上方の位置である。上側非接触位置は、外周上位置であってもよい。上側非接触位置に配置されているブラシ21の下面21aから基板Wの上面までの鉛直方向の距離は、中央開口21bの半径以上であってもよい。
【0073】
ブラシ21およびスプレーノズル22が上側非接触位置に配置されると、スプレーノズル22が基板Wの上面から上方に遠ざかる。複数の液滴は、スプレーノズル22の下端部から円錐状に広がりながら下方に飛散する。スプレーノズル22が基板Wから遠ざかると、複数の液滴が衝突する基板Wの上面内の衝突領域Rcの外径が増加する。ブラシ21およびスプレーノズル22が上側非接触位置に配置されているときも、基板Wは回転している。したがって、基板Wの上面内のより広い範囲に複数の液滴を衝突させることができ、ブラシ21の下面21aから基板Wの上面に転移した汚染の残留量を低減できる。
【0074】
図5Iに示すように、ブラシ21およびスプレーノズル22が上側非接触位置で静止した後、液体バルブ25および気体バルブ27が閉じられ、スプレーノズル22が複数の液滴の噴射を停止する(ステップS14)。その後、駆動機構24は、ブラシ21およびスプレーノズル22を上側非接触位置から中央中間位置まで径方向Drにおける内方に移動させる(ステップS15)。その後、必要に応じてステップS6からステップS15までの一連の工程を1回以上行う(ステップS16)。ただし、最後の回では、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央中間位置に移動させずに、待機下位置に移動させる(ステップS17)。
【0075】
図5Jに示すように、待機ポッド31の洗浄液吐出口31aからの純水の吐出を切り替える洗浄液バルブ32は、ブラシ21およびスプレーノズル22が待機下位置に達する前に開かれる。これにより、複数の洗浄液吐出口31aが純水の吐出を開始する。駆動機構24は、複数の洗浄液吐出口31aが純水を吐出している状態で、ブラシ21を待機ポッド31の上方から待機ポッド31内に挿入する。駆動機構24は、さらに、待機ポッド31内でブラシ21を鉛直方向に1回以上往復させる。ブラシ21に対して純水が供給される位置は、ブラシ21の昇降に伴って鉛直方向に移動する。これにより、ブラシ21に付着している汚染が洗い流され、汚染の残留量が低減される(ステップS18)。
【0076】
リンス液ノズル11は、ブラシ21が基板Wから離れた後も、純水の吐出を継続している。したがって、基板Wの上面全域は、純水の液膜で覆われている。リンス液バルブ12が閉じられ(ステップS19)、リンス液ノズル11が純水の吐出を停止した後は、スピンモータ8が基板Wを回転方向に加速させ、これまでの回転速度よりも大きい高回転速度(たとえば数千rpm)で基板Wを回転させる。基板W上の液体は、遠心力で基板Wからその周囲に飛散し、基板Wから除去される。これにより、基板Wが乾燥する(ステップS20)。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ8が回転を停止する(ステップS21)。これにより、基板Wの回転が停止される。
【0077】
基板Wの回転が停止された後は、カップ昇降ユニット10が、カップ9を下位置まで下降させる(ステップS22)。その後、搬送ロボット(図示せず)が、ハンドをチャンバー4内に進入させる。搬送ロボットは、複数のチャックピン6が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック5上の基板Wをハンドで支持する。その後、搬送ロボットは、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される(ステップS23)。
【0078】
以上のように本実施形態では、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央下位置に向けて下方に移動させる。これにより、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に近づき、基板Wの上面内の着陸領域Rlに接触する。その後、基板Wが鉛直な回転軸線A1まわりに回転しており、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触している状態で、ブラシ21を中央下位置から外周下位置まで径方向Drに移動させる。これにより、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に擦り付けられ、基板Wの上面がブラシ21で洗浄される。
【0079】
その後、ブラシ21およびスプレーノズル22を外周下位置から下側非接触位置まで上方に移動させる。これにより、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面内の離陸領域Rtから離れる。この状態で、スプレーノズル22が複数の液滴を生成する。複数の液滴は、ブラシ21の下面21aで開口する中央開口21bを下方に通過して、基板Wの上面内の離陸領域Rtに衝突する。ブラシ21が基板Wから離れるときに離陸領域Rtに残った汚染は、液滴の衝突による衝撃で基板Wから除去される。
【0080】
スプレーノズル22によって生成された複数の液滴は、基板Wの上面に衝突した後、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面との間の隙間を外方に通過する。この隙間を通過する液体の一部は、ブラシ21の下面21aに供給される。これにより、ブラシ21の下面21aに付着している汚染が洗い流される。さらに、複数の液滴は、基板Wの上面内の衝突領域Rcに衝突した後、衝突領域Rcから放射状に広がる。つまり、基板Wに衝突した液体は、衝突領域Rcから複数の方向に広がる。そのため、液体が一つの方向だけに流れる場合と比較して、ブラシ21の下面21a内のより広い範囲から汚染を除去できる。
【0081】
このように、ブラシ21の下面21aに付着している汚染を洗い流すことができ、汚染の残留量を低減できるので、ブラシ21を次の基板Wに接触させたときに、ブラシ21の下面21aから基板Wの上面内の着陸領域Rlに移る汚染の量を低減できる。さらに、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面から離れた後に、複数の液滴を基板Wの上面内の離陸領域Rtに衝突させるので、離陸領域Rtに残留する汚染の量を低減できる。これにより、基板Wの上面に残留する汚染の量を低減でき、基板Wの清浄度を高めることができる。
【0082】
本実施形態では、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触している状態で、スプレーノズル22が複数の液滴を生成する。ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触しているときは、ブラシ21の下面21aで開口する中央開口21bが基板Wの上面で塞がれているので、ノズル挿入穴21c内で複数の液滴が生成されると、ノズル挿入穴21c内の圧力が高まる。したがって、ブラシ21の下面21aは、ノズル挿入穴21c内の圧力が高い状態で基板Wの上面から上方に離れる。
【0083】
ブラシ21の下面21aが基板Wの上面から離れたとき、ノズル挿入穴21c内の液体は、ノズル挿入穴21c内の圧力でブラシ21の中央開口21bから下方に排出され、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面との間の隙間を放射状に飛散する。ブラシ21と基板Wとの間の隙間を高速で通過する液体は、ブラシ21の下面21aや基板Wの上面に付着している汚染に衝突する。これにより、ブラシ21の下面21aと基板Wの上面とに付着している汚染を除去でき、これらに残留する汚染の量を低減できる。
【0084】
本実施形態では、ブラシ21およびスプレーノズル22を下側非接触位置の上方の上側非接触位置に位置させながら、スプレーノズル22に複数の液滴を生成させる。複数の液滴は、通常、スプレーノズル22の下端部から直線状に飛散するのではなく、スプレーノズル22の下端部から円錐状に広がりながら下方に飛散する。スプレーノズル22が基板Wから遠ざかると、複数の液滴が衝突する基板Wの上面内の衝突領域Rcの外径が増加する。したがって、スプレーノズル22を上側非接触位置に位置させることにより、基板Wの上面内のより広い範囲に複数の液滴を衝突させることができ、ブラシ21の下面21aから基板Wの上面に転移した汚染の残留量を低減できる。
【0085】
本実施形態では、スプレーノズル22に複数の液滴を生成させながら、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央下位置から外周下位置の方に径方向Drに移動させる。ブラシ21が中央下位置に配置されると、ブラシ21の下面21aは、基板Wの上面内の着陸領域Rlに接触する。このとき、ブラシ21の下面21aに残留している汚染は着陸領域Rlに転移し得る。複数の液滴が衝突する基板Wの上面内の衝突領域Rcは、径方向Drへのスプレーノズル22の移動に伴って着陸領域Rlに重なる。ブラシ21から着陸領域Rlに移った汚染は、液滴の衝突による衝撃で除去される。これにより、基板Wの上面に残留する汚染の量を低減でき、基板Wの清浄度を高めることができる。
【0086】
本実施形態では、液滴が衝突する衝突領域Rcが基板Wの上面内を径方向Drに移動する。ブラシ21およびスプレーノズル22が中央下位置に配置されたときにブラシ21の下面21aが接触する着陸領域Rlは、衝突領域Rcを取り囲む環状の領域である。衝突領域Rcは、径方向Drへのスプレーノズル22の移動に伴って中央下位置の内縁を通過する。液滴の生成は、少なくとも衝突領域Rcが着陸領域Rlの外縁Rloに達するまで継続される。したがって、着陸領域Rlの各部に液滴を衝突させることができ、基板Wの上面に残留する汚染の量を低減できる。
【0087】
本実施形態では、ブラシ21が基板Wの上面に接触する前に、スプレーノズル22が液滴の生成を開始する。この状態で、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央下位置まで下降させる。さらに、ブラシ21およびスプレーノズル22を中央下位置から外周下位置の方に径方向Drに移動させる。したがって、ブラシ21およびスプレーノズル22が中央下位置に移動した後に液滴の生成を開始する場合と比較して、スムーズにブラシ21およびスプレーノズル22を中央下位置から外周下位置の方に移動させることができる。
【0088】
本実施形態では、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に接触しており、スプレーノズル22が液滴の生成を停止している状態で、ブラシ21およびスプレーノズル22を径方向Drに移動させる。ブラシ21の下面21aを基板Wの上面に接触させながら、スプレーノズル22に液滴を生成させると、ブラシ21に設けられたノズル挿入穴21c内の圧力が高まるので、ブラシ21を基板Wから浮き上がらせる力が発生し得る。これは、ブラシ21を基板Wに押し付ける力が弱まることを意味する。したがって、液滴の生成を停止しながら、ブラシ21を基板Wの上面に押し付けることにより、汚染の除去率の低下を抑制または防止することができる。
【0089】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
たとえば、ブラシ21は、スポンジブラシに限らず、合成樹脂製の複数の繊維を備えるブラシであってもよい。
【0090】
スプレーノズル22は、二流体ノズル以外のノズルであってもよい。たとえば、スプレーノズル22は、複数の液滴をそれぞれ噴射する複数の液体吐出口を備えていてもよい。
リンス液ノズル11とは別の保護液ノズル(いわゆる、カバーリンスノズル)が、処理ユニット2に設けられていてもよい。保護液ノズルは、ブラシ21の下面21aが基板Wの上面に擦り付けられているときに基板Wの上面全域を覆う保護液を吐出するノズルである。保護液は、リンス液ノズル11から吐出されるリンス液と同種の液体であってもよいし、リンス液とは異なる種類の液体であってもよい。
【0091】
ブラシ21の下面21aを回転している基板Wの上面に接触させながら、ブラシ21およびスプレーノズル22を外周下位置から中央下位置に移動させてもよい。たとえば、外周下位置と中央下位置との間でブラシ21およびスプレーノズル22を往復させてもよい。ブラシ21およびスプレーノズル22が基板Wの直径の両端を通過するように、ブラシ21およびスプレーノズル22を基板Wの外周から基板Wの外周に移動させてもよい。
【0092】
ブラシ21およびスプレーノズル22が外周下位置から上方に移動する前ではなく、移動した後に、スプレーノズル22に複数の液滴の噴射を開始させてもよい。
ブラシ21およびスプレーノズル22を上側非接触位置に位置させながら、スプレーノズル22に複数の液滴を噴射させる離陸後スプレー工程を省略してもよい。
ブラシ21およびスプレーノズル22が中央下位置に移動する前ではなく、移動した後に、スプレーノズル22に複数の液滴の噴射を開始させてもよい。
【0093】
スプレーノズル22から液滴の噴射は、ブラシ21およびスプレーノズル22が外周下位置に移動した後に開始してもよい。もしくは、常時スプレーノズル22に複数の液滴を噴射させてもよい。つまり、ブラシ21およびスプレーノズル22が中央下位置から外周下位置に移動している間も、スプレーノズル22に複数の液滴を噴射させてもよい。
図6に示すように、複数の液滴が衝突する基板Wの上面内の衝突領域Rcを基板Wの上面外周部で径方向Drに移動させてもよい。
【0094】
たとえば、ブラシ21およびスプレーノズル22が基板Wの上面外周部の上方に位置している状態で、スプレーノズル22に複数の液滴を噴射させながら、ブラシ21およびスプレーノズル22を径方向Drに往復させてもよい。このとき、ブラシ21およびスプレーノズル22は、下側非接触位置または上側非接触位置に配置されていてもよいし、これらとは異なる高さに配置されていてもよい。この構成によれば、離陸領域Rtを含む基板Wの上面内のより広い範囲に液滴を衝突させることができ、離陸領域Rtに残留する汚染の量をさらに低減できる。
【0095】
図7Aおよび図7Bに示すように、ブラシ21は、ノズル挿入穴21c内の流体をブラシ21の外に逃がす少なくとも一つの逃がし穴51A、51Bをさらに備えていてもよい。
図7Aおよび図7Bは、逃がし穴51A、51Bがノズル挿入穴21cの内周面とブラシ21の外周面とで開口している例を示している。図7Aに示すように、逃がし穴51Aは、ブラシ21の下面21aで開口していてもよい。図7Bに示すように、逃がし穴51Bは、ブラシ21の下面21aで開口していなくてもよい。逃がし穴51Aがブラシ21の下面21aで開口している場合、逃がし穴51Aがブラシ21の洗浄力に影響を及ぼすことを防止するために、逃がし穴51Aは、ブラシ21の移動方向とは異なる方向に延びていることが好ましい。
【0096】
図7Aおよび図7Bに示す構成によれば、ブラシ21に設けられたノズル挿入穴21c内の流体が、ブラシ21の中央開口21bではなく、逃がし穴51A、51Bを通じてブラシ21の外に排出される。したがって、ブラシ21の下面21aを基板Wの上面に接触させながら、スプレーノズル22に液滴を生成させたとしても、ノズル挿入穴21c内の圧力が上がり難い。これにより、ブラシ21による洗浄力の低下を抑制または防止することができる。
【0097】
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。前述の全ての工程の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 :基板処理装置
3 :制御装置
5 :スピンチャック(基板保持手段)
6 :チャックピン
8 :スピンモータ
21 :ブラシ
21a :ブラシの下面
21b :ブラシの中央開口
21c :ブラシのノズル挿入穴
22 :スプレーノズル
22a :液体吐出口
22b :気体吐出口
51A :逃がし穴
51B :逃がし穴
A1 :回転軸線
Dr :径方向
Pc :中央位置
Pe :外周位置
Ps :待機位置
Rc :衝突領域
Rl :着陸領域
Rli :着陸領域の内縁
Rlo :着陸領域の外縁
Rt :離陸領域
W :基板
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7A
図7B
図8