(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光ファイバと、前記光ファイバを被覆するジャケットとを有する光ファイバ心線における先端側の前記光ファイバが露出した部分と、その後方側の前記ジャケットで被覆された部分とを有する先端部に取り付けられる光コネクタであって、
筒状のコネクタ本体と、
前記コネクタ本体を、前記コネクタ本体に挿入された前記光ファイバ心線に、前記光ファイバ心線を相対的に弱い力で保持して仮固定する第1固定手段と、
前記第1固定手段を前記コネクタ本体に固定して前記光ファイバ心線の長さ方向における前記コネクタ本体の取付位置を位置決めする位置決め手段と、
前記コネクタ本体を、前記光ファイバ心線に、前記光ファイバ心線を相対的に強い力で保持して本固定する第2固定手段と、
を備え、
前記第1固定手段は、筒状に形成された仮固定チャックで構成されているとともに、前記第1固定手段を構成する前記仮固定チャックには、前記光ファイバ心線が挿通され、
前記仮固定チャックは、前記光ファイバ心線の先端部における前記ジャケットで被覆された部分に位置付けられるとともに、前記コネクタ本体に、その後方側から挿入されて嵌合し、且つ前記光ファイバ心線を遊嵌保持することにより、前記コネクタ本体を前記光ファイバ心線に仮固定するように構成されており、
前記第2固定手段は、前記仮固定チャックと一体に設けられた筒状に形成された本固定チャックで構成されているとともに、前記第2固定手段を構成する前記本固定チャックには、前記光ファイバ心線が挿通され、
筒状に形成されたかしめ部材を更に備え、
前記かしめ部材は、その内部に前記本固定チャックが嵌合し、前記本固定チャックが嵌合したとき、前記本固定チャックをかしめて、前記本固定チャックに前記光ファイバ心線を嵌合保持させることにより、前記コネクタ本体を前記光ファイバ心線に本固定させるように構成されている光コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1及び
図2A〜Cは実施形態1に係る光ファイバケーブルCを示す。実施形態1に係る光ファイバケーブルCは、例えば、レーザ加工装置等に用いられるものである。
【0013】
実施形態1に係る光ファイバケーブルCは、光ファイバ心線10と、その入射側及び/又は出射側の先端部に物理的に取り付けられた光コネクタ20とを含む。
【0014】
光ファイバ心線10は、レーザ光伝送用の光ファイバ11とそれを被覆するジャケット12とを有する。光ファイバ心線10の外径は例えば1.3mmである。
【0015】
光ファイバ11は、相対的に高屈折率なコア11aとそれを被覆する相対的に低屈折率のクラッド11bとを有する。光ファイバ11は、例えば、コア11aが純粋石英で形成されており、クラッド11bが屈折率を低下させるドーパントがドープされた石英で形成されている。光ファイバ11の外径は例えば500μmである。コア11aの直径は例えば100μmである。なお、光ファイバ11は、クラッド11bの外側を更に被覆するサポート層を有していてもよい。
【0016】
ジャケット12は、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等で形成された単一層で構成されていてもよく、また、例えばシリコーン樹脂の内側バッファ層とそれを被覆するナイロン樹脂或いはフッ素樹脂の外側被覆層との二層で構成されていてもよい。
【0017】
光コネクタ20内に位置する光ファイバ心線10の先端部は、先端側の光ファイバ11が露出した部分と、その光ファイバ11が露出した部分の後方側のジャケット12で被覆されたジャケット12で被覆された部分とを有する。
【0018】
光ファイバ11が露出した部分は、その外周面にモードストリッパ13が設けられている。ここで、モードストリッパ13とは、光ファイバ11のクラッド11bを伝搬する光を光ファイバ11外に放出するための加工形状を意味する。このモードストリッパ13は、例えば光ファイバ11の外周面にエッチング処理を施すことによって形成することができる。
【0019】
光コネクタ20は、筒状部材により構成されたコネクタ本体21と、そのコネクタ本体21に設けられた心線固定ユニット22及び筒状のスカート部材23とを備える。
【0020】
コネクタ本体21は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。コネクタ本体21の内部には、先端側にファイバ挿通孔211が設けられていると共に、その後方側に連続して心線固定ユニット収容孔212が設けられている。ファイバ挿通孔211は、コネクタ本体21の軸方向に延びる円筒孔で構成されている。心線固定ユニット収容孔212は、先端側の円錐孔部分212aと、後方側の円筒孔部分212bとを有する。円錐孔部分212aは、ファイバ挿通孔211の後方側に連続して後方に向かうに従って内径が漸次拡大する円錐孔で構成されている。円筒孔部分212bは、円錐孔部分212aの後方側に連続する円筒孔で構成されている。円筒孔部分212bには、先端側に一対の固定ネジ挿通孔213が対向するように穿孔されている。コネクタ本体21の本体後端部214は、後方に突出するように一体に設けられた円筒体で構成されており、その外周面には雄ネジが設けられている。
【0021】
心線固定ユニット22は、先端側の筒状の仮固定チャック221及び後方側の筒状の本固定チャック222が一体に設けられて構成された心線固定部材223、筒状のかしめ部材224、筒状のナット部材225、及び固定ネジ226で構成されている。
【0022】
仮固定チャック221は、例えば、高弾性で熱伝導性の高いりん青銅や真鍮等の金属材料で形成されている。仮固定チャック221は、先端部の小径円筒部分221aと、その後方側に連続する円錐部分221bと、その後方側に連続する後端部の大径円筒部分221cとを有する。小径円筒部分221aは、その外径がコネクタ本体21におけるファイバ挿通孔211の内径と概ね同一の円筒状に形成されている。円錐部分221bは、その外径が、コネクタ本体21における心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212aに対応するように、後方に向かうに従って漸次拡大する円錐状に形成されている。大径円筒部分221cは、その外径がコネクタ本体21における心線固定ユニット収容孔212の円筒孔部分212bの内径と概ね同一の円筒状に形成されている。仮固定チャック221の内部には、先端側に心線遊嵌孔221dが設けられていると共に、後方側に心線挿通孔221eが設けられている。心線遊嵌孔221dは、その内径が光ファイバ心線10の外径と概ね同一乃至若干大きい円筒孔で構成されている。心線挿通孔221eは、その内径が心線遊嵌孔221dよりも大きい円筒孔で構成されている。なお、心線遊嵌孔221dと心線挿通孔221eとの間の部分は、後方に向かうに従って内径が漸次拡大する円錐孔状に形成されている。
【0023】
本固定チャック222は、例えば、りん青銅や真鍮等の金属材料で形成されている。本固定チャック222は、先端部の小径円筒部分222aと、その後方側に連続する大径円筒部分222bと、その後方側に連続する中間径円筒部分222cと、その後方側に連続する後端部の円錐部分222dとを有する。小径円筒部分222aは、その外径が仮固定チャック221における心線挿通孔221eの内径と概ね同一の円筒状に形成されている。大径円筒部分222bは、その外径が小径円筒部分222aの外径よりも大きい円筒状に形成されている。中間径円筒部分222cは、その外径が小径円筒部分222aの外径と大径円筒部分222bの外径との中間の円筒状に形成されており、その外周面に雄ネジが設けられている。円錐部分222dは、その外径が後方に向かうに従って漸次縮小する円錐状に形成されている。本固定チャック222の内部には、先端側に心線挿通孔222eが設けられていると共に、後方側に心線嵌合孔222fが設けられている。心線挿通孔222eは、その内径が光ファイバ心線10の外径よりも大きい円筒孔で構成されている。心線嵌合孔222fは、その内径が光ファイバ心線10の外径と概ね同一乃至若干小さい円筒孔で構成されている。なお、心線挿通孔222eと心線嵌合孔222fとの間の部分は、不連続な段差が形成されている。
【0024】
かしめ部材224は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。かしめ部材224は、先端側部分224aの外径がコネクタ本体21における心線固定ユニット収容孔212の円筒孔部分212bの内径と概ね同一乃至若干小さく形成されている。かしめ部材224の内部には、先端側にチャック挿入孔224bが設けられていると共に、その後方側に連続して心線挿通孔224cが設けられている。チャック挿入孔224bは、先端側の円筒孔部分224dと、後方側の円錐孔部分224eとを有する。円筒孔部分224dは、内周面に本固定チャック222の雄ネジが螺合可能な雌ネジが設けられた円筒孔で構成されている。円錐孔部分224eは、その内径が、本固定チャック222の円錐部分222dに対応するように、後方に向かうに従って漸次縮小する円錐孔で構成されている。心線挿通孔224cは、円錐孔部分224eの後方側に連続する円筒孔で構成されている。かしめ部材224の外周部には、円錐孔部分224eの後端に対応して外方に突出するように設けられた環状の鍔部224fが一体に設けられており、また、その鍔部224fの後方側に隣接して六角ボルト頭形状の六角板状部224gが設けられている。
【0025】
ナット部材225は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。ナット部材225は、先端側の円筒部分225aと、その後端に一体に設けられた環状板部分225bとを有する。円筒部分225aの内周面には、コネクタ本体21の本体後端部214の雄ネジが螺合可能な雌ネジが設けられている。環状板部分225bの中央には、かしめ部材224の六角板状部224gと外径が概ね同一乃至若干大きい丸孔225cが形成されている。固定ネジ226は金属製の止めネジで構成されている。
【0026】
実施形態1に係る光ファイバケーブルCにおいて、仮固定チャック221の心線挿通孔221eに本固定チャック222の小径円筒部分221aが嵌合して一体化した心線固定部材223が構成されている。心線固定部材223には、仮固定チャック221が先端側及び本固定チャック222が後方側となるように、光ファイバ心線10が挿通され、その光ファイバ11が露出した部分とジャケット12で被覆された部分との境界が仮固定チャック221の先端に一致するように位置付けられている。
【0027】
心線固定部材223は、仮固定チャック221の小径円筒部分221a、円錐部分221b、及び大径円筒部分221cが、それぞれコネクタ本体21のファイバ挿通孔211、心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212a及び円筒孔部分212bに嵌合するように設けられていると共に、コネクタ本体21の固定ネジ挿通孔213に締め込まれた固定ネジ226の先端が本固定チャック222における大径円筒部分222bの外周面を軸直方向に押接しており、これにより心線固定部材223の軸方向移動及び軸回転が規制されてコネクタ本体21に固定されている。なお、仮固定チャック221が小径円筒部分221aを有さず、円錐部分221bの端面がファイバ挿通孔211の後端に露出した構成であってもよい。
【0028】
かしめ部材224は、心線固定部材223の本固定チャック222の中間径円筒部分222c及び円錐部分222dとコネクタ本体21の本体後端部214との間に内挿するように設けられ、チャック挿入孔224bの円筒孔部分224dの内周面に設けられた雌ネジが、本固定チャック222の中間径円筒部分222cの外周面に設けられた雄ネジに螺合すると共に、円錐孔部分224eに本固定チャック222の円錐部分222dを嵌合させてかしめている。
【0029】
ナット部材225は、かしめ部材224を挿通させると共に、コネクタ本体21の本体後端部214を覆うように設けられ、円筒部分225aの内周面に設けられた雌ネジが、コネクタ本体21の本体後端部214の外周面に設けられた雄ネジに螺合すると共に、環状板部分225bの丸孔225cにかしめ部材224の六角板状部224gが嵌まり、且つ丸孔225cの周縁部が鍔部224fに当接して支持されている。
【0030】
スカート部材23は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。スカート部材23は、その先端部がコネクタ本体21に外嵌めされると共にコネクタ本体21の一部及び心線固定ユニット22を収容して後方に延びるように設けられている。
【0031】
以上の構成の実施形態1に係る光ファイバケーブルCでは、コネクタ本体21は、コネクタ本体21に挿入された光ファイバ心線10に、心線固定部材223の仮固定チャック221がコネクタ本体21にかしめられることにより光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持した状態で仮固定されている。また、コネクタ本体21は、コネクタ本体21に挿入された光ファイバ心線10に、心線固定部材223の本固定チャック222がかしめ部材224よってかしめられることにより光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持した状態で本固定されている。
【0032】
ここで、仮固定チャック221には、
図3A及びBに示すように、先端側の小径円筒部分221a及び円錐部分221bに、円錐部分221bの中間部に始点を有して先端に開口するように形成されたスリット状の切り込みのスリワリ221fが設けられていてもよい。スリワリ221fは、
図3Bに示すように、四分割構成であってもよく、
図3Cに示すように、三分割構成であってもよく、
図3Dに示すように、二分割構成であってもよい。これらのうち四分割構成及び三分割構成が好ましい。
【0033】
仮固定チャック221による光ファイバ心線10の保持力を低くする観点からは、
図4Aに示すように、スリワリ221f間の部分の基端部には、変形を容易にするくびれ部221gを構成するように薄肉化加工が施されていてもよく、また、同様の観点から、
図4Bに示すように、スリワリ221fの始点には、スリワリ221f間の部分変形を容易にするスリワリ221fの幅よりも外径が大きい穴221hが設けてられていてもよい。更に、同様の観点から、仮固定チャック221の心線遊嵌孔221dの内周面は平滑面であることが好ましい。
【0034】
本固定チャック222には、
図5A及びBに示すように、後方側の中間径円筒部分222c及び円錐部分222dに、中間径円筒部分222cの中間部に始点を有して後端に開口するように形成されたスリット状の切り込みのスリワリ222gが設けられていてもよい。スリワリ222gは、四分割構成であってもよく、三分割構成であってもよく、二分割構成であってもよい。これらのうち四分割構成及び三分割構成が好ましい。
【0035】
本固定チャック222による光ファイバ心線10の保持力を高くする観点からは、スリワリ222gの幅は始点から開口までほぼ一定であることが好ましい。また、同様の観点から、
図6に示すように、本固定チャック222の心線嵌合孔222fの内周面には、雌ネジ等の光ファイバ心線10のジャケット12の表面に噛合する噛合構造222hが構成されていることが好ましい。
【0036】
次に、実施形態1に係る光ファイバケーブルCの製造方法における光コネクタ20の光ファイバ心線10への取付方法について説明する。
【0037】
まず、
図7Aに示すように、光ファイバ心線10の先端部を、ナット部材225及びかしめ部材224に順に挿通した後、心線固定部材223に、仮固定チャック221が先端側及び本固定チャック222が後方側となるように挿通し、光ファイバ11が露出した部分とジャケット12で被覆された部分との境界が仮固定チャック221の先端に一致するように位置付ける。
【0038】
次いで、
図7Bに示すように、光ファイバ心線10の先端部を心線固定部材223と共にコネクタ本体21の後方から挿入し、心線固定部材223をコネクタ本体21に押し込み、その押し込み量を調節することにより、光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を調整する。
【0039】
このとき、仮固定チャック221の小径円筒部分221a、円錐部分221b、及び大径円筒部分221cが、それぞれコネクタ本体21のファイバ挿通孔211、心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212a及び円筒孔部分212bに嵌合する。仮固定チャック221は、この嵌合によりかしめられ、それによって光ファイバ心線10を保持する。この保持は、光ファイバ心線10を手作業で容易に長さ方向に変位させることができる程度の相対的に弱い力の作用による遊嵌保持であることが好ましい。つまり、仮固定チャック221は、光ファイバ心線10を遊嵌保持するように構成されていることが好ましい。このようにして、光コネクタ20のコネクタ本体21を、それに挿入された光ファイバ心線10の先端部に、心線固定部材223の仮固定チャック221をコネクタ本体21に嵌合させてかしめることにより光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持して仮固定する。従って、この仮固定チャック221が第1固定手段に相当する。
【0040】
次いで、コネクタ本体21の固定ネジ挿通孔213に固定ネジ226を締め込み、固定ネジ226の先端で心線固定部材223の本固定チャック222における大径円筒部分222bの外周面を軸直方向に押接する。このとき、光ファイバ心線10を保持した仮固定チャック221が固定ネジ226により本固定チャック222を介してコネクタ本体21に固定され、その軸方向への変位が規制されることにより光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を位置決めする。このようにして、仮固定チャック221をコネクタ本体21に固定ネジ226により固定する。従って、この固定ネジ226が位置決め手段に相当する。
【0041】
次いで、
図7Cに示すように、かしめ部材224の先端側部分224aを、心線固定部材223における本固定チャック222の中間径円筒部分222c及び円錐部分222dとコネクタ本体21の本体後端部214との間に内挿するように設ける。また、ナット部材225を、円筒部分225aがコネクタ本体21の本体後端部214を覆うと共に、かしめ部材224が丸孔225cから後方に突出するように設ける。
【0042】
続いて、ナット部材225を、円筒部分225aの内周面の雌ネジをコネクタ本体21の本体後端部214の外周面の雄ネジに螺合させることにより締め込んで先端側に移動させる。
【0043】
このとき、かしめ部材224も同伴して回転し、チャック挿入孔224bにおける円筒孔部分224dの内周面の雌ネジが、本固定チャック222における中間径円筒部分222cの外周面の雄ネジに螺合して先端側に移動し、それと共に、円錐孔部分224eに本固定チャック222の円錐部分222dが嵌合してかしめる。本固定チャック222は、この嵌合によりかしめられ、それによって光ファイバ心線10を保持する。この保持は、仮固定チャック221による保持よりも強く、光ファイバ心線10を容易に長さ方向に変位させることができない程度の相対的に強い力の作用による嵌合保持であることが好ましい。つまり、本固定チャック222は、光ファイバ心線10を嵌合保持するように構成されていることが好ましい。
【0044】
また、このとき、仮固定チャック221を含む心線固定部材223がコネクタ本体21に固定されているので、この本固定チャック222によるコネクタ本体21の光ファイバ心線10への本固定の際に、コネクタ本体21の取付位置にずれが生じることはない。このようにして、光コネクタ20のコネクタ本体21を、それに挿入された光ファイバ心線10の先端部に、心線固定部材223の本固定チャック222をかしめ部材224に嵌合させてかしめることにより光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持して本固定する。従って、この本固定チャック222が第2固定手段に相当する。
【0045】
なお、本固定チャック222の外周面の雄ネジをかしめ部材224の内周面の雌ネジに螺合させることにより本固定チャック222をかしめ部材224で覆う構成ではなく、単にかしめ部材224を真っ直ぐに押し込んで本固定チャック222を覆う構成であってもよい。
【0046】
最後に、コネクタ本体21の一部及び心線固定ユニット22を収容するように、スカート部材23の先端部をコネクタ本体21に外嵌めして固定する。
【0047】
以上の構成の実施形態1に係る光ファイバケーブルCによれば、光コネクタ20のコネクタ本体21を光ファイバ心線10に心線固定部材223の仮固定チャック221により光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持すると共に、光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を調整して仮固定し、仮固定チャック221をコネクタ本体21に固定ネジ226により固定して光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を位置決めした後、コネクタ本体21を光ファイバ心線10に心線固定部材223の本固定チャック222により光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持して本固定するので、コネクタ本体21の取付位置の調整を、コネクタ本体21の光ファイバ心線10への本固定から独立して行うことができ、その結果、光ファイバ心線10の長さ方向における光コネクタ20の取付位置の精度を高めることができる。また、この実施形態1に係る光ファイバケーブルCによれば、光ファイバ心線10の発熱を仮固定チャック221を介してコネクタ本体21に効率よく放熱することができる。
【0048】
(実施形態2)
図8及び
図9A〜Bは実施形態2に係る光ファイバケーブルCを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
【0049】
実施形態2に係る光ファイバケーブルCでは、心線固定ユニット22は、筒状の仮固定チャック221及び筒状のナット部材225、本固定用のV溝基板227及びV溝カバー228、並びに回転規制ネジ229で構成されている。
【0050】
仮固定チャック221は、例えば、高弾性で熱伝導性の高いりん青銅や真鍮等の金属材料で形成されている。仮固定チャック221は、先端部の小径円筒部分221aと、その後方側に連続する円錐部分221bと、その後方側に連続する後端部の大径円筒部分221cとを有する。小径円筒部分221aは、その外径がコネクタ本体21におけるファイバ挿通孔211の内径と概ね同一の円筒状に形成されている。円錐部分221bは、その外径が、コネクタ本体21における心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212aに対応するように、後方に向かうに従って漸次拡大する円錐状に形成されている。大径円筒部分221cは、その外径がコネクタ本体21における心線固定ユニット収容孔212の円筒孔部分212bの内径と概ね同一の円筒状に形成されている。円錐部分221bの一部分及び大径円筒部分221cの外周面には、軸方向に延びる一対のコの字溝221iが設けられている。仮固定チャック221の内部には、先端側に心線遊嵌孔221dが設けられていると共に、後方側に心線挿通孔221eが設けられている。心線遊嵌孔221dは、その内径が光ファイバ心線10の外径と概ね同一乃至若干大きい円筒孔で構成されている。心線挿通孔221eは、その内径が心線遊嵌孔221dよりも大きい円筒孔で構成されている。なお、心線遊嵌孔221dと心線挿通孔221eとの間の部分は、後方に向かうに従って内径が漸次拡大する円錐孔状に形成されている。
【0051】
ナット部材225は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。ナット部材225は、先端側の円筒部分225aと、その後端に一体に設けられた環状板部分225bと、その後方に一部分が突出するように一体に設けられた基板設置部225dとを有する。円筒部分225aの内周面には、コネクタ本体21の本体後端部214の雄ネジが螺合可能な雌ネジが設けられている。環状板部分225bの中央には、光ファイバ心線10を挿通可能な心線挿通孔225eが形成されている。
【0052】
V溝基板227及びV溝カバー228は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料で形成されている。V溝基板227には、光ファイバ心線10を、断面において2点支持できるV溝227aが設けられている。V溝カバー228は板状部材で構成されている。回転規制ネジ229は金属製の止めネジで構成されている。
【0053】
実施形態2に係る光ファイバケーブルCにおいて、仮固定チャック221には、小径円筒部分221aが先端側及び大径円筒部分221cが後方側となるように、光ファイバ心線10が挿通され、その光ファイバ11が露出した部分とジャケット12で被覆された部分との境界が仮固定チャック221の先端に一致するように位置付けられている。
【0054】
仮固定チャック221は、小径円筒部分221a、円錐部分221b、及び大径円筒部分221cが、それぞれコネクタ本体21のファイバ挿通孔211、心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212a及び円筒孔部分212bに嵌合するように設けられている。
【0055】
ナット部材225は、コネクタ本体21の本体後端部214を覆うように設けられ、円筒部分225aの内周面に設けられた雌ネジが、コネクタ本体21の本体後端部214の外周面に設けられた雄ネジに螺合すると共に、環状板部分225bが仮固定チャック221の後端面に当接している。
【0056】
V溝基板227は、ナット部材225の基板設置部225d上にV溝227aが露出するように載置され、その上にV溝カバー228が設けられ、それらのV溝基板227及びV溝カバー228がV溝カバー228側から締め込まれたネジ230により基板設置部225dに固定されている。
【0057】
以上の構成の実施形態2に係る光ファイバケーブルCでは、コネクタ本体21は、コネクタ本体21に挿入された光ファイバ心線10に、仮固定チャック221がコネクタ本体21にかしめられることにより光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持した状態で仮固定されている。また、コネクタ本体21は、コネクタ本体21に挿入された光ファイバ心線10に、V溝基板227のV溝227aに嵌められた光ファイバ心線10をV溝カバー228で覆って挟持されることにより光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持した状態で本固定されている。V溝カバー228の光ファイバ心線10との接触面には、光ファイバ心線10のジャケット12に食い込ませて保持力を高めるための凹凸加工が施されていてもよい。
【0058】
ここで、仮固定チャック221には、実施形態1の
図3A及びBに示すのと同様に、先端部分に、軸方向の中間部に始点を有して先端に開口するように形成されたスリット状の切り込みで構成されたスリワリ221fが設けられていてもよい。スリワリ221fは、
図3Bに示すのと同様に四分割構成であってもよく、
図3Cに示すのと同様に三分割構成であってもよく、
図3Dに示すのと同様に二分割構成であってもよい。これらのうち四分割構成及び三分割構成が好ましい。
【0059】
仮固定チャック221による光ファイバ心線10の保持力を低くする観点からは、実施形態1の
図4Aに示すのと同様に、スリワリ221f間の部分の基端部には、変形を容易にするくびれ部221gを構成するように薄肉加工が施されていてもよく、また、同様の観点から、
図4Bに示すのと同様に、スリワリ221fの始点には、スリワリ221f間の部分変形を容易にするスリワリ221fの幅よりも外径が大きい穴221hが設けてられていてもよい。更に、同様の観点から、仮固定チャック221の心線遊嵌孔221dの内周面は平滑面であることが好ましい。
【0060】
次に、実施形態2に係る光ファイバケーブルCの製造方法における光コネクタ20の光ファイバ心線10への取付方法について説明する。
【0061】
まず、
図10Aに示すように、光ファイバ心線10の先端部を、ナット部材225に挿通した後、仮固定チャック221に、小径円筒部分221aが先端側及び大径円筒部分221cが後方側となるように挿通し、光ファイバ11が露出した部分とジャケット12で被覆された部分との境界が仮固定チャック221の先端に一致するように位置付ける。
【0062】
次いで、コネクタ本体21の回転規制ネジ挿通孔215に回転規制ネジ229を締め込んで内部に突出させ、光ファイバ心線10の先端部を仮固定チャック221と共にコネクタ本体21の後方から挿入する。この際、コネクタ本体21の内部に突出した回転規制ネジ229と仮固定チャック221の外周面のコの字溝221iとを位置合わせする。
【0063】
続いて、
図10Bに示すように、ナット部材225を、円筒部分225aがコネクタ本体21の本体後端部214を覆うように設け、円筒部分225aの内周面の雌ネジをコネクタ本体21の本体後端部214の外周面の雄ネジに螺合させて締め込むことにより先端側に移動させ、それによって環状板部分225bを仮固定チャック221の後端面に当接させて押圧させることにより仮固定チャック221を先端側に押し込み、その押し込み量を調節することにより、光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を調整する。
【0064】
このとき、仮固定チャック221は、コの字溝221iに回転規制ネジ229が係合して回転規制されると共に、その状態で回転規制ネジ229に案内されて押し込まれ、小径円筒部分221a、円錐部分221b、及び大径円筒部分221cが、それぞれコネクタ本体21のファイバ挿通孔211、心線固定ユニット収容孔212の円錐孔部分212a及び円筒孔部分212bに嵌合する。仮固定チャック221は、この嵌合によりかしめられ、それによって光ファイバ心線10を保持する。この保持は、光ファイバ心線10を手作業で容易に長さ方向に変位させることができる程度の相対的に弱い力の作用による遊嵌保持であることが好ましい。つまり、仮固定チャック221は、光ファイバ心線10を遊嵌保持するように構成されていることが好ましい。このようにして、光コネクタ20のコネクタ本体21を、それに挿入された光ファイバ心線10の先端部に、仮固定チャック221をコネクタ本体21に嵌合させてかしめることにより光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持して仮固定する。従って、この仮固定チャック221が第1固定手段に相当する。
【0065】
また、光ファイバ心線10を保持した仮固定チャック221がナット部材225によりコネクタ本体21に固定され、光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を位置決めする。このようにして、仮固定チャック221をコネクタ本体21にナット部材225により固定する。従って、このナット部材225が位置決め手段に相当する。なお、仮固定チャック221の固定力を高めるために、回転規制ネジ229を締め込んで、その先端で仮固定チャック221のコの字溝221iの底面を軸直方向に押接させてもよい。
【0066】
そして、ナット部材225の基板設置部225dにV溝基板227を設置し、ナット部材225の心線挿通孔225eから後方に延びる光ファイバ心線10を、断面において2点支持されるようにV溝基板227のV溝227aに設け、その上からV溝カバー228を被せて3点支持した後、V溝カバー228側からネジ230を締めてV溝基板227及びV溝カバー228を基板設置部225dに固定する。V溝基板227及びV溝カバー228は、それらの基板設置部225dへの固定により光ファイバ心線10を挟持して保持する。この保持は、光ファイバ心線10を容易に長さ方向に変位させることができない程度の相対的に強い力の作用による挟持保持であることが好ましい。つまり、V溝基板227及びV溝カバー228は、光ファイバ心線10を挟持保持するように構成されていることが好ましい。また、仮固定チャック221がコネクタ本体21に固定されているので、このV溝基板227及びV溝カバー228によるコネクタ本体21の光ファイバ心線10への本固定のとき、コネクタ本体21の取付位置にずれが生じることはない。このようにして、光コネクタ20のコネクタ本体21を、それに挿入された光ファイバ心線10の先端部に、V溝基板227及びV溝カバー228により光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持して本固定する。従って、このV溝基板227及びV溝カバー228が第2固定手段に相当する。
【0067】
最後に、コネクタ本体21の一部及び心線固定ユニット22を収容するように、スカート部材23の先端部をコネクタ本体21に外嵌めして固定する。
【0068】
以上の構成の実施形態2に係る光ファイバケーブルCによれば、光コネクタ20のコネクタ本体21を光ファイバ心線10に仮固定チャック221により光ファイバ心線10を相対的に弱い力で保持すると共に、光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を調整して仮固定し、仮固定チャック221をコネクタ本体21にナット部材225により固定して光ファイバ心線10の長さ方向におけるコネクタ本体21の取付位置を位置決めした後、コネクタ本体21を光ファイバ心線10にV溝基板227及びV溝カバー228により光ファイバ心線10を相対的に強い力で保持して本固定するので、コネクタ本体21の取付位置の調整を、コネクタ本体21の光ファイバ心線10への本固定から独立して行うことができ、その結果、光ファイバ心線10の長さ方向における光コネクタ20の取付位置の精度を高めることができる。
【0069】
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様である。