特許第6885775号(P6885775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885775
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】土嚢の破袋装置及びその破袋方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20210603BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20210603BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B65B69/00 101
   G21F9/36 G
   G21F9/28 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-86925(P2017-86925)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-184191(P2018-184191A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597006997
【氏名又は名称】アキュテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】辻本 真一
(72)【発明者】
【氏名】石山 宏二
(72)【発明者】
【氏名】村井 重雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治夫
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0029872(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3047648(JP,U)
【文献】 特開2015−105095(JP,A)
【文献】 特公昭45−035480(JP,B1)
【文献】 特開2009−035326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
G21F 9/28
G21F 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状の外袋に底面から側面を経由して上方でループ状をなす吊りベルトが側面に縫い付けられつつ底面で交差して掛け回され、外袋の底面と側面との間に縫い目が形成された土嚢を破袋して内容物を放出させる土嚢の破袋装置であって、
土嚢を縦置きにした状態で横方向に搬送するコンベアと、
前記コンベアによる土嚢の搬送に伴い、搬送方向の同一線上にある複数位置で外袋の底面からそれぞれ異なる所定高さまでを複数回にわたり切断する複数のカッタと、
前記コンベアから送出された土嚢を吊りベルトにて吊り下げにすることにより、内容物の荷重により外袋を前記切断した所定高さを超えて切り込みに沿って破させる吊下具と
を備えた土嚢の破袋装置。
【請求項2】
請求項1に記載の土嚢の破袋装置において、
前記複数のカッタは、
搬送方向の上流位置で外袋の底面及び底面に掛け回された吊りベルトまでの高さを切断する1次カッタと、
搬送方向の下流位置で外袋の底面から側方の縫い目に至るまでの高さを切断する2次カッタと
を含むことを特徴とする土嚢の破袋装置。
【請求項3】
請求項2に記載の土嚢の破袋装置において、
前記1次カッタ及び前記2次カッタが搬送方向の同一線上で異なる位置に配列されており、
前記コンベアは、
前記1次カッタ及び前記2次カッタを挟んで並列に配置された2本のコンベアとして構成されていることを特徴とする土嚢の破袋装置。
【請求項4】
請求項3に記載の土嚢の破袋装置において、
前記1次カッタ及び前記2次カッタは、
前記コンベアの搬送面から上方に周縁部が突出して配置された円盤状の回転式ブレードであり、前記2次カッタより前記1次カッタが小径であることを特徴とする土嚢の破袋装置。
【請求項5】
請求項4に記載の土嚢の破袋装置において、
前記1次カッタの周縁部が突出する高さは、前記2次カッタの周縁部が突出する高さの3分の1から2分の1の範囲内で設定されていることを特徴とする土嚢の破袋装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の土嚢の破袋装置において、
前記2本のコンベアは、
前記回転式ブレード1枚の厚みに対応する間隔を置いて配置されていることを特徴とする土嚢の破袋装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の土嚢の破袋装置において、
前記コンベアの上方で搬送方向に前記吊下具を同期して移動させ、土嚢の破袋後に逆方向に反転させて搬送方向の上流位置まで前記吊下具を復帰させる循環コンベアをさらに備えた土嚢の破袋装置。
【請求項8】
袋状の外袋に底面から側面を経由して上方でループ状をなす吊りベルトが側面に縫い付けられつつ底面で交差して掛け回され、外袋の底面と側面との間に縫い目が形成された土嚢を破袋して内容物を放出させる土嚢の破袋方法であって、
コンベア上に土嚢を縦置きにした状態で横方向に搬送しつつ、搬送方向の同一線上にある複数位置で外袋の底面からそれぞれ異なる所定高さまでを複数回にわたり切断し、前記コンベアから送出された土嚢を吊りベルトにて吊り下げにすることにより、内容物の荷重により外袋を前記切断した所定高さを超えて切り込みに沿って破させる土嚢の破袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の土嚢を破袋して内容物を放出させる作業に適した土嚢の破袋装置及びその破袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の大型土嚢の破袋に関する第1の先行技術として、土嚢の破袋と内容物の破砕を機械的に行う破袋装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この破袋装置は、シュート内に連続投入した土嚢を落下中に回転式切断刃で切り裂き、出口部の破砕機で内容物を破砕処理するものである。
また、第2の先行技術として、土嚢の破袋に必要な切り込みを入れる作業を自動化した解袋装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この解袋装置は、搬送手段で土嚢を搬送し、その途中でウォータージェットにより底部に切り込みを入れることで、その後の吊り下げによる内容物の落下を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5956406号公報
【特許文献2】特開2015−187009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の先行技術である破袋装置は、投入口への連続した土嚢の投入が可能であり、内容物も2軸ローラ式の破砕機で確実に破砕できる点で優れている。しかし、土嚢や内容物に対して直接触れる可動部分が多いため、土砂による詰まりや噛み込みを生じる可能性がある。また、内容物に金属品や圧力容器(ガスボンベ)等が混入している場合、装置の耐久性や安全性を考えると使用は困難である。
【0005】
また、第2の先行技術である解袋装置では、土嚢に十字状や川の字状の切り込みを入れているものの、切れる部分はあくまで底面だけである。このため、フレキシブルコンテナバッグのように立体的に縫製された大型土嚢では、底面周囲の縫い目(補強部分)より上まで大きく破袋できないため、詰め込まれた内容物(粘土等)が固まっている場合は底面だけを破いても自然に落下させることができない。また、底面が破れたとしても外袋までであり、ウォータージェットの水勢が内袋まで届かない場合は確実に破袋することができない。さらに、作業媒体である水の供給と回収が手間であり、内容物が汚染土壌である場合は使用後の水を汚染水として処分しなければならなくなる可能性もある。
【0006】
そこで本発明は、確実な土嚢の破袋と内容物の放出を可能とする技術の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、コンベア上に土嚢を縦置きにした状態で横方向に搬送しつつ、その過程で複数のカッタにより搬送方向の同一線上にある複数位置で外袋の底面からそれぞれ異なる所定高さまでを複数回にわたり切断し、コンベアから送出された土嚢を吊下具で吊りベルトにて吊り下げにすることにより、内容物の荷重により外袋の切り込みに沿って破袋させるものである。
【0009】
本発明によれば、以下の流れで土嚢の破袋作業が行われる。
(1)コンベアにより多数の土嚢を連続的に搬送する。このとき、土嚢は縦置きにしてコンベア上に載置されるものとする。破袋の対象となる土嚢は、袋状の外袋に底面から側面を経由して上方でループ状をなす吊りベルトが掛け回されており、外袋の底面と側面との間に縫い目が形成されている。
(2)コンベアによる搬送の過程において、搬送方向の同一線上にある複数位置に配置した複数のカッタを用いて土嚢を複数回にわたって切断する。このとき、土嚢は搬送に伴って複数のカッタを次々に通過しながら切断されていき、複数のカッタは外袋の底面からそれぞれ異なる所定高さまでを切断する。例えば、搬送方向の上流位置では1つのカッタが比較的底面近くまでを切断し、下流位置では次のカッタが比較的底面から離れたところまでを切断するといった具合である。この場合、先ず土嚢は底面で外袋及び底面に掛け回された吊りベルトが搬送方向へ直線的に切断され、次に、その切断された同一線上をより高いところまで、つまり、底面から縫い目を過ぎて側面に至る部分までが切断されることになる。
(3)複数回にわたる切断の後、コンベアから送出された土嚢を吊りベルトにて吊り下げにする。これにより、内容物の重量が外袋に対する負荷となり、切り込みに沿って外袋がせん断されることで確実に破袋に至るので、内容物を落下により放出させることができる。
【0010】
〔一次破袋及び二次破袋〕
特に本発明は、土嚢の切断を同一線上で複数回にわたり行っている点に独自の着眼がある。すなわち、土嚢が内容物に廃棄土砂等を含んでいる場合、多くは底面・側面ともに内圧を受けて膨らんでいることから、縫製の上では底面の周囲に縫い目があっても、破袋時には縫い目の位置が底面から浮き上がっているため、底面だけに切れ目を入れても、肝心の縫い目まで切断することはできない。このため、縫い目まで確実に切断するには、土嚢の底面からより高いところまで大きくカッタ(刃物)を食い込ませるしかないが、そのためにはかなり強大な力を必要とする。
【0011】
本発明の発明者等は、土嚢を一度に切断しようとするのではく、複数回にわたり同じ位置を切断することを創案するに至った。すなわち、外袋にカッタ(刃物)を一度当てただけでは、底面からあまり高い位置まで大きく切り込むことは困難であるが、一度目は底面の近くまでを低めに切り込んでおき(一次破袋)、二度目以降で同一線上を切断していけば、容易に底面からより高いところまで大きく切り込んでいくことができる(二次破袋)。これにより、土嚢の側方周囲で補強部分となっている縫い目まで確実に切断することができるため、後は内容物の荷重で容易に外袋がせん断することになる。
【0012】
このため好ましくは、複数のカッタとして1次カッタ及び2次カッタを用いることができる。このうち1次カッタは、搬送方向の上流位置で外袋の底面及び底面に掛け回された吊りベルトまでの高さを切断し、2次カッタは下流位置で外袋の底面から側方の縫い目に至るまでの高さを切断する。「底面から側方の縫い目に至るまでの高さ」としているのは、縫製上は底面の周囲に縫い目が形成されていても、土嚢に内容物が詰められた状態では縫い目が底面から浮き上がっていることを想定したものである。また、「底面から側方の縫い目に至るまでの高さ」については、破袋の対象となる土嚢の袋寸法等から平均的に特定することができる。
【0013】
破袋装置の態様においては、1次カッタ及び2次カッタを搬送方向の同一線上で異なる位置に配列(直列配置)し、これらを挟んで2本のコンベアを並列に配置した構成とすることができる。土嚢は2本のコンベアに跨がって搬送され、その過程で1次カッタ及び2次カッタを順次通過し、それぞれに異なる所定高さまでを切断される。
【0014】
上記の態様において、1次カッタ及び2次カッタはいずれもコンベアの搬送面から上方に周縁部(刃先)が突出して配置された円盤状の回転式ブレードであり、下流側の2次カッタよりも上流側の1次カッタが小径である。1次カッタは搬送経路の上流位置で最初に土嚢に切り込んでいく(土嚢が通過する)ことから、より強大な力を発揮するべく小径の回転式ブレードとしている。また、2次カッタは下流位置で底面からより高いところまで切り込むことから、より突出高さを大きく確保するべく大径の回転式ブレードとしている。このとき、1次カッタの突出高さを2次カッタの突出高さの1/3〜1/2とすることが好ましい。
【0015】
2本のコンベアを並列配置した態様において、コンベア同士の間隔は回転式ブレードの厚みに対応した最小間隔とする。これは、コンベア同士の間隔をあまり広くすると、その分、外袋の底面を受ける面積が少なくなり、隙間から内容物がこぼれ落ちやすくなるが、コンベア同士の間隔を最小とすることで、内容物のこぼれ落ちを最小限に抑えることができるためである。
【0016】
また、破袋装置の態様においては、循環コンベアを備えてもよい。循環コンベアは、破袋用のコンベアの上方で搬送方向に吊下具を同期して移動させ、土嚢の破袋後に逆方向に反転させて搬送方向の上流位置まで吊下具を復帰させる。
【0017】
この場合、コンベアによる搬送過程で土嚢の吊りベルトを吊下具に引っ掛けておけば、コンベアから送出された先でそのまま土嚢を吊り下げの状態にすることができ、破袋作業を効率的に行うことができる。
さらには、吊下具を反転させる際に吊りベルトの引っ掛かりが解除される構成とすることで、内容物を放出させた後の空袋を吊下具から落下させて別途回収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、確実な土嚢の破袋と内容物の放出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】破袋の対象となるフレキシブルコンテナバッグの斜視図である。
図2】一実施形態の破袋装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図3】破袋コンベアの構成をより詳細に示した斜視図である。
図4】破袋コンベア及び循環コンベアのより詳細な構造例を示す搬送方向の正面図である。
図5】1次カッタによるフレコンバッグの切断(1次破袋)をより詳細に示した図である。
図6】2次カッタによるフレコンバッグの切断(2次破袋)をより詳細に示した図である。
図7】フレコンバッグの吊り下げによる破袋(最終破袋)をより詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
〔土嚢〕
図1は、破袋の対象となるフレキシブルコンテナバッグ(以下、「フレコンバッグ」と略称する。)10の斜視図である。このうち一例として、図1中(A)には、フレコンバッグ10の一部を破断して袋の二重構造及び内容物を示しており、図1中(B)にはフレコンバッグ10の全体構造を示している。なお、フレコンバッグ10は土嚢(大型土嚢)の一例である。
【0022】
図1中(A):フレコンバッグ10は、外袋12及び内袋14からなる二重構造の袋体(又は包装体)を例としている。外袋12には、例えば合成繊維(強化プラスチック)製のシート材料が用いられており、これは主に内容物の荷重に耐え得るだけの引っ張り強さを有している。ただし、外袋12はせん断力(引き裂き)に対しては比較的脆弱な性質を有しており、ある程度の切れ目を入れた状態で、切れ目に沿って引き裂かれた場合は容易に破断(せん断)する。一方の内袋14には、例えば合成樹脂製のフィルム材料が用いられており、これは主に内容物GB中の水分が漏出するのを防止している。内容物GBは、廃棄土砂や礫、廃棄金属品等の不燃物(無機物)の他、木片や可燃ゴミ等の可燃物(有機物)を含み、それらに水分が混入していたり一部固化していたりする部分もある。
【0023】
図1中(B):外袋12は立体的に縫製されており、その底面と側面との間や側面と上面(蓋)部分との間には、周方向の補強を兼ねた縫い目18,20が施されている。これにより、フレコンバッグ10に内容物GBを詰め込んだ状態では、その全体が略円柱形状や略多角柱形状となって縦置きや積み重ね等が可能となる。また、外袋12の周囲には底面から側面を経由して吊りベルトが掛け回されており、吊りベルトは外袋12の上方ではループ状の持ち手15を形成するほか、側面では内容物GBの吊り下げ荷重を支え、底面では2本が交差することで補強帯16を形成する。なお、吊りベルトは側面その他の箇所で外袋12に縫い付けられており、縫い付け部がパッチ等で補強されている。本実施形態においては、フレコンバッグ10の容量として約1立米の大きさを想定している。
【0024】
内容物GBを詰め込まれたフレコンバッグ10は、持ち手15の部分を重機等に引っ掛けて運搬車両に積み卸しされたり、ストックヤード等で積み重ねられたりする。内容物GBを詰め込まれたフレコンバッグ10は、内袋14及び外袋12に内圧がかかって全体的に膨らむ。例えば、図1に示されるように底面は下向きに膨らんで中央が突出した逆ドーム状となり、また、側面も径方向に膨らんで樽状となる。このような状態で、補強帯16は外袋12の底面をしっかりと支え、下側の縫い目18は外袋12の側面を周方向に補強している。また、底面が逆ドーム状に膨らんだことにより、フレコンバッグ10を縦置きにすると、多くは下側の縫い目18が底面から側方にまで浮き上がった状態となる。
【0025】
〔破袋装置〕
図2は、一実施形態の破袋装置100の構成を概略的に示す斜視図である。破袋装置100は破袋コンベア102を備えており、この破袋コンベア102によりフレコンバッグ10を搬送する過程で破袋作業を連続的に実行することができる。破袋コンベア102による搬送は横方向(例えば水平方向、水平に対して下り傾斜した方向等)に行われ、破袋コンベア102の搬送面上には個々のフレコンバッグ10が縦置きの状態で載置される。また、破袋装置100は、破袋コンベア102の他に供給コンベア107を備えており、この供給コンベア107は、破袋コンベア102に向けて破袋の対象となるフレコンバッグ10を供給する動作を行う。なお、フレコンバッグ10は図示しないストックヤード等に大量に貯蔵された状態にあり、そこから作業重機等で供給コンベア107上に順次移し替えられる。
【0026】
また、破袋装置100は循環コンベア104を備えており、この循環コンベア104は破袋コンベア102の上方においてフック104b(吊下具)を循環させている。循環コンベア104は一対のローラ106を有しており、これらローラ106間には循環索104aが掛け回されている。循環索104aを例えばチェーンとした場合、一対のローラ106はそれぞれがスプロケットであり、さらに一方は駆動スプロケット、他方は従動スプロケットとなる。
【0027】
一対のローラ106は、搬送方向でみて破袋コンベア102の始端(図2では右端)及び終端(図2では左端)よりもそれぞれ外側に位置しており、これらローラ106間には、例えば図示しないガイドレールが上下に架け渡されている。循環索104aは図示しないガイドレールに支持された状態で、ローラ106の回転に従動して周回(走行)する。
【0028】
さらに、循環索104aには長手方向に一定間隔(例えば1100mm程度)を置いて上記のフック104bが多数取り付けられている。個々のフック104bは循環索104aの周回(走行)に従って移動し、破袋コンベア102の搬送面に対向する区間では、破袋コンベア102の上方を搬送方向に同期して移動することができる。また、循環コンベア104は供給コンベア107の搬送面にも一部の区間(上流端区間)が対向しており、この区間では、ローラ106の外周を回って反転(下降)してきたフック104bが供給コンベア107に同期して移動する。そして、移動してきたフック104bに対してフレコンバッグ10の持ち手15が引っ掛けられ、その状態でフレコンバッグ10は破袋コンベア102に載せ替えられる。これらの間、個々のフック104bにはフレコンバッグ10の持ち手15が引っ掛けられた状態にあるが、フレコンバッグ10は供給コンベア107や破袋コンベア102上に載置されているため、フック104bに内容物GBの重量(荷重)が直接かかってはいない。なお、フック104bが持ち手15を引っ掛ける位置の高さはフレコンバッグ10のサイズ(高さ1000mm程度)に合わせて設定されている。
【0029】
破袋コンベア102の搬送経路上(途中)には、1次カッタ110及び2次カッタ112が搬送方向の同一線上に配置されている。これら1次カッタ110及び2次カッタ112はいずれも円盤状の回転式ブレードからなり、それぞれに周縁部を搬送面より上方に突出させている。このため、フレコンバッグ10が破袋コンベア102上を搬送される過程で個々のフレコンバッグ10は1次カッタ110及び2次カッタ112を順次通過し、それぞれの位置で部分的に切断されていく。例えば、上流側の1次カッタ110では外袋12の底面及び補強帯16までが切断され(1次破袋)、続く下流側の2次カッタ112では、先に切断されている位置と同一線上の位置を外袋の底面からより高い側方位置まで、つまり、平均的な縫い目18の高さ以上までが切断される(2次破袋)。なお、1次カッタ110及び2次カッタ112の詳細ついてはさらに後述する。
【0030】
2次カッタ112を通過(2次破袋)した後のフレコンバッグ10が破袋コンベア102終端から送出されると、フレコンバッグ10は持ち手15の部分でフック104bにより吊り下げにされた状態となり、ここで内容物GBの荷重(重量)が外袋12に対して大きくかけられることになる。これにより、外袋12が切れ目に沿って破断(せん断)し、最終的に破袋に至る(最終破袋)。また、内容物GBは落下により放出され、図示しないコンベアによって次工程へと運ばれていく。なお、循環コンベア104は予めフレコンバッグ10の吊り下げ荷重に耐え得ることを想定して構造設計されている。
【0031】
最終破袋後のフレコンバッグ10は、内容物GBの放出とともに内袋14も外袋12から分離された状態となり、好ましくは内袋14も別途落下して放出される。したがって、フック104bには外袋12だけがぶら下がった状態で移動していくこととなり、末端のローラ106でフック104bが反転(上昇)すると、持ち手15の部分がフック104bから外れてフレコンバッグ10(空袋)も放出される。放出されたフレコンバッグ10(空袋)は、例えば図示しない回収コンベアを通じて別工程へ運ばれる。
【0032】
本実施形態の破袋装置100によれば、以下の破袋方法が実現される。
(1)破袋コンベア102により、破袋の対象となる多数のフレコンバッグ10を連続的(又は断続的、間欠的)に搬送する。このとき、フレコンバッグ10は縦置きにして破袋コンベア102上に載置されるものとする(搬送工程)。
(2)破袋コンベア102よる搬送の過程において、搬送方向の同一線上にある複数の位置(ここでは2箇所)に配置した1次カッタ110及び2次カッタ112を用いてフレコンバッグ10を複数回(ここでは2回)にわたって切断する。フレコンバッグ10は搬送に伴って2枚のカッタ110,112を次々に通過しながら切断されていき、2枚のカッタ110,112は外袋12の底面からそれぞれ異なる高さまでを切断する(1次破袋工程、2次破袋工程)。
(3)複数回(2回)にわたる切断の後、破袋コンベア102から送出されたフレコンバッグ10をフック104bに引っ掛けた持ち手15の部分で吊り下げにする。これにより、内容物GBの重量が外袋12に対する負荷となり、切り込みに沿って外袋12がせん断されることで確実に破袋に至るので、内容物GBを落下により放出させることができる(最終破袋工程)。
【0033】
(4)加えて、循環コンベア104を用いてフック104bを搬送方向に同期して移動させることにより、破袋コンベア102上で予め持ち手15の部分を引っ掛けた状態にしておき、1次及び2次破袋後のフレコンバッグ10を破袋コンベア102から送出するだけで、そのままの流れで最終破袋の工程を実行することができる(搬送工程、1次,2次破袋工程と並行して行われる移動工程)。また、フック104bが次々と循環してくるため、供給コンベア107による供給動作と合わせて、効率的に大量のフレコンバッグ10を破袋することができる。
(5)さらに、空袋となったフレコンバッグ10がフック104bから自然にリリースされる動作も加わるため、より作業効率を高めることができる(空袋放出工程)。
【0034】
〔各部の詳細〕
図3は、破袋コンベア102の構成をより詳細に示した斜視図である。
破袋コンベア102は、詳細には2本のコンベア102aを平行に並べて(並列に)配置した構成である。2本のコンベア102aはそれぞれ一対のローラ102b,102cを有しており、これらローラ102b,102c間に搬送帯が掛け回されている。搬送方向で下流端のローラ102cを駆動ローラとすると、上流端のローラ102bは従動ローラとなる。2本のコンベア102aは互いに同期して搬送帯を周回(走行)させ、フレコンバッグ10は2本のコンベア102aに跨がるように載置された状態で搬送される。
【0035】
また、一対のローラ102b,102c間には、図示しないガイドローラがある程度の密度で複数本配置されており、これらガイドローラは搬送帯の走行を案内するとともにフレコンバッグ10の重量を支えている。なお、コンベア102aは搬送帯を用いない形態(搬送ローラ列からなる形態)であってもよい。
【0036】
〔1次カッタ,2次カッタ〕
2本のコンベア102a間には、上記の1次カッタ110及び2次カッタ112が配置されており、これらは搬送方向の同一線上に離れて位置している。また、1次カッタ110及び2次カッタ112は、それぞれ異なる高さH1,H2でコンベア102aの搬送面から上方に突出している。
【0037】
〔寸法値例〕
本実施形態では、上流側の1次カッタ110を小径(φ1=800mm程度)とし、下流側の2次カッタ112を大径(φ2=1000mm程度)としている。また、1次カッタ110の突出する高さ(H1=50mm程度)が2次カッタ112の突出する高さ(H2=150mm程度)より低い。なお、1次カッタ110の突出高さH1は、2次カッタ112の突出高さH2の1/3〜1/2とすることが好ましい。
【0038】
また、本実施形態において上流側の1次カッタ110を小径としているのは、より強大な力(トルク)を得るためである。すなわち、上流側では最初にフレコンバッグ10に対して切り込んでいくため、比較的小径の1次カッタ110を用いて切断することが適切である。また、1次カッタ110では外袋12の底面及び補強帯16の切断を目的としているため、突出高さ(H1)を低くすることで切断時の抵抗を少なくしている。
【0039】
これに対し、下流側の2次カッタ112は、外袋12側方の縫い目18まで切断することを目的としているため、大径かつ突出高さ(H2)を大きくしている。2次カッタ112では、先に1次カッタ110が切断した位置と同じ位置(搬送方向の同一線上)を切断するため、突出高さ(H2)の割には切断時の抵抗は少なくなる。したがって、2次カッタ112では、比較的大径の回転式ブレードを用いて底面からより高い位置(縫い目18を超える高さ)までを確実に切断することができる。また、1次カッタ110及び2次カッタ112の回転方向は、突出部分でみて搬送方向と逆方向とする。なお、1次カッタ110及び2次カッタ112の各回転速度については適宜としてよい。
【0040】
〔構造例〕
図4は、破袋コンベア102及び循環コンベア104のより詳細な構造例を示す搬送方向の正面図である。
破袋コンベア102(供給コンベア107)については、例えば地上に設置した架台116上に設置することができる。架台116は、例えば門型に組み合わせた形鋼材を搬送方向にいくつか並べ、これらを梁材(図示していない)で連結した構造とする。例として、破袋コンベア102の両端近傍に各1組、中間(1次カッタ110と2次カッタ112の間)に1組の架台116を配置する。また、架台116の地上高(脚の長さ)は、コンベア102aの下方に設置する2次カッタ112のクリアランス等を考慮して選定することができる。また、架台116には2台のモータ(減速機)114を設置し、それぞれが1次カッタ110、2次カッタ112を回転駆動するものとする。
【0041】
2本のコンベア102a同士の間隔Wは、1次カッタ110や2次カッタ112の回転式ブレード1枚分の厚みに対応した最小幅とすることが望ましい。すなわち、必要以上に間隔Wを大きくすると、フレコンバッグ10の底面が間隔Wの範囲内では支持されないため、切断後に内容物GB(土砂)が飛散しやすくなる。このため本実施形態では、間隔Wをなるべく最小限とすることで、切断後の内容物GBの飛散を最小限に抑えている。なお適宜、1次カッタ110及び2次カッタ112の下方に別のコンベアを配置し(図示していない)、隙間からこぼれ落ちた内容物GBを受け止めて回収できる態様であってもよい。
【0042】
循環コンベア104については、例えば天井122から吊り下げて支持する構造とすることができる。すなわち、天井122に吊り下げ用のフレーム材120を固定し、このフレーム材120で循環コンベア104全体を支持する。フレーム材120は、一対のローラ106やガイドレールを含む循環コンベア104の構造物の重量に加え、吊り下げ時のフレコンバッグ10の重量を支持できる構造とする。またフレーム材120は、循環コンベア104の全長をカバーする範囲にわたって搬送方向に長く設置することができる。そして、フレーム材120にモータ(減速機)108を設置し、図示しない駆動機構を介して循環コンベア104を駆動する。なお、破袋装置100の設置場所が屋外である場合、天井122に替わる構造体(例えば門型フレーム)を地上に設置してもよい。
【0043】
〔1次破袋の詳細〕
図5は、1次カッタ110によるフレコンバッグ10の切断(1次破袋)をより詳細に示した図である。図5では適宜、外袋12及び内袋14の一部を破断してフレコンバッグ10の内部(内容物GB)を示している。
【0044】
フレコンバッグ10が搬送に伴って1次カッタ110を通過すると、上記のように外袋12の底面から突出高さH1までの部分が切断される。これにより、外袋12の底面及び補強帯16(吊りベルトの十字掛け部分)が確実に切り裂かれ、合わせて内袋14も切り裂かれる。また、図5中に薄くグレーで着色して示すように、内容物GBに対しても、底面から突出高さH1の範囲にまで1次カッタ110による切り込み痕(溝状の痕)が残される。
【0045】
〔2次破袋の詳細〕
次に図6は、2次カッタ112によるフレコンバッグ10の切断(2次破袋)をより詳細に示した図である。図6でも適宜、外袋12及び内袋14の一部を破断してフレコンバッグ10の内部(内容物GB)を示している。
【0046】
次に、フレコンバッグ10が2次カッタ112を通過すると、上記のように外袋12の底面から突出高さH2までの部分が切断される。これにより、ほとんど全てのフレコンバッグ10で縫い目18が位置する高さ以上に2次カッタ112が切り込んでいくため、外袋12の縫い目18を超えて外袋12に切り込みが入れられる。また、図6中にやや中間のグレーで着色して示すように、2次カッタ112が内容物GBに対して新たに切り込む範囲は突出高さH2の割に少ない。これは、既に1次カッタ110が内容物GBに対して切り込み痕を残していることから、2次カッタ112が同一線上を切断する際に抵抗が軽減されることを意味している。
【0047】
〔最終破袋の詳細〕
図7は、フレコンバッグ10の吊り下げによる破袋(最終破袋)をより詳細に示した図である。
【0048】
破袋コンベア102からフレコンバッグ10が送出され、フック104bに吊り下げられると、上記のように外袋12に対して内容物GBの荷重が大きくかかった状態になる。最終破袋では、既に補強帯16であった吊りベルトも切断されており、また、縫い目18も切断されていることから、外袋12は内容物GBの荷重に耐えることができず、切り込みに沿って容易に破断(せん断)が進行して内容物GBの放出(落下)に至る。また、このとき内袋14も破断(せん断)して外袋12から分離される。なお、以後の処理(後工程、空袋放出等)については既に説明したとおりである。
【0049】
上述した実施形態の破袋装置100及び破袋方法によれば、以下の有用性を得ることができる。
(1)フレコンバッグ10を供給コンベア107で連続的に供給し、破袋コンベア102で搬送しながらフレコンバッグ10の破袋を連続的に行うことができるため、効率的に大量のフレコンバッグ10を破袋することができる。本実施形態の例では、1時間あたり240袋の破袋が可能である(搬送速度1500mm/15sec)。
【0050】
(2)「2軸ローラ式破砕機」の例に比べてフレコンバッグ10や内容物GBに直接触れる可動部分(部品)が少ないため、土砂の詰まりや噛み込みといったトラブルの発生が少ない。
【0051】
(3)「ウォータージェット式」のような作業媒体としての水を使用する必要がなく、破袋装置100の構成部品だけで全ての作業が完結する。
【0052】
(4)フレコンバッグ10に対して搬送方向の同一線上で1次カッタ110及び2次カッタ112の刃先を進入させるだけであるため、内容物GBに金属品や圧力容器が混入していても特段のトラブル(金属品の噛み込み、スパーク、爆発等)を生じる心配がない。
【0053】
(5)特に、環境省が福島第1原子力発電所周辺に設置を進める中間貯蔵施設には、除染事業に伴い発生した大量の大型土嚢(フレコンバッグ10に相当)が集中的に運び込まれており、中間貯蔵施設では、これら大量に運び込まれた大型土嚢の内容物を適正に処分することが求められているが、本実施形態の破袋装置100であれば、要求される処理能力を充分に満足することができる。
【0054】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。一実施形態では、供給コンベア107を用いてフレコンバッグ10を供給しているが、破袋コンベア102上に重機でフレコンバッグ10を供給してもよい。
【0055】
また、循環コンベア104は、フック104bを垂直方向に反転させて循環させているが、循環索104aの周回方向を水平とし、フック104bを下向きのまま循環させる態様でもよい。この場合、空袋の放出には別途専用の機構を設けることができる。
【0056】
また、フック104bと循環索104aとの連結部分には、コイルばね等を介在させてもよい。この場合、供給コンベア107上で持ち手15をフック104bに引っ掛ける際の作業性を向上することができる。
【0057】
その他、例に挙げた各種構成部品や設備品はいずれも一例であり、適宜に数量や大きさ、形状を変形可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 フレコンバッグ
12 外袋
14 内袋
16 補強帯
18 縫い目
100 破袋装置
102 破袋コンベア
104 循環コンベア
104b フック
107 供給コンベア
110 1次カッタ
112 2次カッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7