(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
携帯型無線機と、前記携帯型無線機が装着される固定側装置とを備え、前記携帯型無線機と前記固定側装置が装着された状態と、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態との両状態で運用可能な無線通信装置であって、
前記携帯型無線機は、
無線回線により通信を行う通信部と、
近距離無線通信を行う携帯側近距離無線通信部と、
前記通信部及び前記携帯側近距離無線通信部を制御する携帯側制御部と、
を有し、
前記固定側装置は、
前記近距離無線通信を行う固定側近距離無線通信部と、
前記固定側近距離無線通信部を制御する固定側制御部と、
を有し、
前記携帯側制御部は、上位装置から受信したデータが、前記固定側装置または前記固定側装置に接続された外部装置において使用される固定側装置用データであるか否かを識別し、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において、前記固定側装置用データを受信した場合に、前記固定側装置用データを記録し、前記携帯側近距離無線通信部と前記固定側近距離無線通信部とが通信可能な範囲にあるときに、記録された前記固定側装置用データを前記固定側装置へ送信することを特徴とする無線通信装置。
前記携帯型無線機の前記携帯側制御部は、前記固定側装置用データを記録できない場合に、その旨を前記固定側装置用データの送信元に通知し、前記固定側装置用データを受信可能な状態になった際に再送をリクエストする機能を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
前記携帯側制御部は、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において前記固定側装置用データを受信した場合であって、前記固定側装置用データの記録を完了した場合に、前記固定側装置用データを前記携帯型無線機に記録した旨を前記固定側装置用データの送信元に通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
前記携帯型無線機の前記携帯側制御部は、前記固定側装置用データのデータを記録できない場合に、その旨を前記データ出力装置に通知し、前記データ出力装置から出力されたデータを受信可能な状態になった際に再送をリクエストする機能を有することを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
前記携帯側制御部は、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において、前記固定側装置用データを受信した場合であって、前記固定側装置用データの記録を完了した場合に、前記固定側装置用データを前記携帯型無線機に記録した旨を前記データ出力装置に通知することを特徴とする請求項5又は6に記載の無線通信システム。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動局の無線通信装置にFAX装置が取り付けられて運用されている場合がある。この場合、携帯型の無線装置として運用している場合にFAX通信があると、FAX装置までデータが届かず、適切にFAX通信が完了しないという課題がある。特に、複数の移動局に対して、緊急度が高く受信者に確実に周知されることを目的とした一斉FAX(「一斉FAX通信」ともいう)を行う場合がある。通信完了をすぐに確認できるFAX通信は、依然として重要な情報伝達手段とした役割を果たすことが可能であり、そのような無線装置においても適切にFAX受信が可能な新たな技術が求められていた。また、上記のFAX通信に限らず、携帯型の無線装置としての運用中に、一体運用時の無線通信装置の利用を想定した形式のデータを受信した場合も同様の課題があった。具体的には、一体運用時の無線通信装置において使用可能なデータや、FAX装置のように無線通信装置に接続される外部装置で出力されることを想定したデータや、そのような外部装置にインストールされているアプリケーションで使用するデータの受信に関しても、同様の課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯型無線機と、前記携帯型無線機が装着される固定側装置とを備え、前記携帯型無線機と前記固定側装置が装着された状態と、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態との両状態で運用可能な無線通信装置であって、前記携帯型無線機は、無線回線により通信を行う通信部と、近距離無線通信を行う携帯側近距離無線通信部と、前記通信部及び前記携帯側近距離無線通信部を制御する携帯側制御部と、を有し、前記固定側装置は、前記近距離無線通信を行う固定側近距離無線通信部と、前記固定側近距離無線通信部を制御する固定側制御部と、を有し、前記携帯側制御部は、上位装置から受信したデータが、前記固定側装置または前記固定側装置に接続された外部装置において使用される固定側装置用データであるか否かを識別し、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において、前記固定側装置用データを受信した場合に、前記固定側装置用データを記録
し、前記携帯側近距離無線通信部と前記固定側近距離無線通信部とが通信可能な範囲にあるときに、記録された前記固定側装置用データを前記固定側装置へ送信する。
また、前記携帯型無線機の前記携帯側制御部は、前記固定側装置用データを記録できない場合に、その旨を前記固定側装置用データの送信元に通知し、前記固定側装置用データを受信可能な状態になった際に再送をリクエストする機能を有してもよい
。
また、前記携帯側制御部は、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において前記固定側装置用データを受信した場合であって、前記固定側装置用データの記録を完了した場合に、前記固定側装置用データを前記携帯型無線機に記録した旨を前記固定側装置用データの送信元に通知してもよい。
また、前記固定側装置用データは、一斉FAXのデータであってもよい。
本発明は、統制局と、無線通信装置とを備え、前記統制局から無線通信装置に対して無線回線を介してデータを送信する無線通信システムであって、前記統制局は、前記無線通信装置へ送信する前記データを出力するデータ出力装置と、前記無線通信装置と通信を行い前記データを送信する基地局無線通信装置と、を有し、前記無線通信装置は、携帯型無線機と、前記携帯型無線機が装着される固定側装置とを備え、前記携帯型無線機と前記固定側装置が装着された状態と、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態との両状態で運用可能であって、前記携帯型無線機は、無線回線により通信を行う通信部と、近距離無線通信を行う携帯側近距離無線通信部と、前記通信部及び前記携帯側近距離無線通信部を制御する携帯側制御部と、を有し、前記固定側装置は、前記近距離無線通信を行う固定側近距離無線通信部と、前記固定側近距離無線通信部を制御する固定側制御部と、を有し、前記携帯側制御部は、前記統制局から受信したデータが、前記固定側装置または前記固定側装置に接続された外部装置において使用される固定側装置用データであるか否かを識別し、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において、前記固定側装置用データを受信した場合に、前記固定側装置用データを記録
し、前記携帯側近距離無線通信部と前記固定側近距離無線通信部とが通信可能な範囲にあるときに、記録された前記固定側装置用データを前記固定側装置へ送信する。
また、前記携帯型無線機の前記携帯側制御部は、前記固定側装置用データのデータを記録できない場合に、その旨を前記データ出力装置に通知し、前記データ出力装置から出力されたデータを受信可能な状態になった際に再送をリクエストする機能を有してもよい
。
また、前記携帯側制御部は、前記携帯型無線機が前記固定側装置から分離した状態において、前記固定側装置用データを受信した場合であって、前記固定側装置用データの記録を完了した場合に、前記固定側装置用データを前記携帯型無線機に記録した旨を前記データ出力装置に通知してもよい。
前記固定側装置用データは、一斉FAXのデータであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、携帯型無線機を分離して運用可能な無線通信装置において、一斉FAX通信を適切に受信できる技術を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る無線通信0の構成を示す。この無線通信システム100は、例えば、市区町村等の防災無線システムに用いられ、市区町村庁舎に設置される統制局30と、各拠点に設置される複数の移動局20とを備える。なお、無線通信システム100は、防災無線システムに限らず、警備サービスや、車輌運行サービス等の様々な事業等で使用される業務無線システムにも適用可能である。
【0011】
それぞれの移動局20は、半固定無線装置2と、被遠隔制御装置5と、FAX装置6とを備える。半固定無線装置2は、通常は置き型(固定型)として各拠点に設置され、災害時などの非常時に災害本部などへは一部の構成部分(
図2等で後述する携帯型無線機1)を分離して持ち運びが可能な装置である。なお、以下では、半固定無線装置2が置き型として使用される場合を「半固定モード」と称し、携帯型の無線装置(携帯型無線機1)として運用する場合を「携帯モード」と称する。
【0012】
統制局30は、基地局無線機10と、統制局制御装置11と、統制局FAX装置12とを備え、移動局20に対して、FAXを送信する。送信するFAXとして、個別に送信する個別FAXと、全ての移動局20に対して同時に一斉に送信する一斉FAXがある。
【0013】
具体的には、統制局FAX装置12から統制局制御装置11、基地局無線機10を通じ、空中線経由で、各々の移動局20の半固定無線装置2へ送信する。それぞれの移動局20では、FAX装置6が被遠隔制御装置5を通じて半固定無線装置2からFAXを受信する。空中線は、例えば自営系無線回線であってもよいし、3G回線や4G回線等の公衆無線回線であってもよい。
【0014】
図2及び
図3は、移動局20の構成を示すブロック図である。
図2は半固定モード時の移動局20を示し、
図3は携帯モード時の移動局20を示す。
【0015】
半固定無線装置2は、携帯型無線機1と、固定側装置25とを備える。携帯型無線機1が固定側装置25と一体に接続された状態では半固定モードとして機能し、携帯型無線機1と固定側装置25が分離した状態では、携帯モードとして機能する。
【0016】
固定側装置25は、固定側制御部として機能するメイン基板21と、電源部23と、同軸コネクタ3と、半固定側外付けアンテナ4と、フォルダ22とを備える。携帯型無線機1は、フォルダ22によって固定側装置25に装着されている場合には、同軸コネクタ3を介して半固定側外付けアンテナ4に接続され、半固定モードとして機能する。携帯型無線機1がフォルダ22から取り外された状態では、携帯モードとして機能する。
【0017】
メイン基板21は、マイクロコンピュータ等で構成され、不図示のROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを不図示のRAM(Random Access Memory)に展開させることで、携帯型無線機1との通信や被遠隔制御装置5を介したFAX装置6との通信を制御したり、半固定側近距離無線部7を制御する。携帯型無線機1との通信は、半固定側近距離無線部7を介して行われる。
【0018】
半固定側近距離無線部7は、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)や無線LAN等の近距離無線通信を行う。
【0019】
電源部23は、例えば外部の商用電源から取得した電力を所定の規格に変換し、例えば、交流電源を直流電源に変換し、半固定無線装置2の各構成要素に対して供給する。フォルダ22には携帯型無線機1へ電力供給するための接点が設けられており、フォルダ22に携帯型無線機1が取り付けられている場合には、その接点を介して電力が供給される。
【0020】
携帯型無線機1は、携帯側制御部として機能するメイン基板41と、RF部42と、バッテリ43と、携帯側近距離無線部8とを備える。
【0021】
メイン基板41は、マイクロコンピュータ等で構成され、不図示のROMに記憶された制御プログラムを不図示のRAMに展開させることで、基地局無線機10との通信及びメイン基板21との通信を制御する。また、メイン基板41は、携帯モードにおいて一時的にFAXを受信したときにデータを保持する記録領域(FAX受信メモリ)を備える。
【0022】
RF部42は、半固定モード時は、
図2に示すように同軸コネクタ3及び半固定側外付けアンテナ4を介して基地局無線機10と通信し、携帯モード時は、
図3に示すように携帯側外付けアンテナ9を介して基地局無線機10と通信する。
【0023】
バッテリ43は、電源部23から取得した電力を携帯型無線機1の各構成要素に供給するとともに、半固定モード時において携帯モード時の利用のために充電を行う。
【0024】
携帯側近距離無線部8は、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)等の近距離無線通信を行う。なお、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8とは同じ近距離無線通信を行う。
【0025】
以上の構成の半固定無線装置2において、通常時、すなわち半固定モードでは、携帯型無線機1はフォルダ22に装着され、被遠隔制御装置5を通じて、FAX装置6などの外部機器と接続可能な装置として機能する。半固定モードでは、FAX装置6の通信が可能であって、被遠隔制御装置5、半固定側近距離無線部7、携帯側近距離無線部8を通じて対向局である基地局無線機10と通信を行う。非常時には、携帯型無線機1をフォルダ22から取り外し、携帯型の無線装置として機能する携帯モードの運用となる。
【0026】
ここで、半固定モードで一斉FAXを受信した際の処理について、より具体的に説明する。上位装置である統制局30から受信した一斉FAXのデータは、携帯型無線機1のRF部42でシリアルデータに変換され、制御データと非音声データに分離される。
【0027】
制御データには通信の種別や制御情報などが含まれており、固定側装置25のメイン基板21が、その制御データをもとに一斉FAXであるか否かを判断する。一斉FAXであると判断すると、メイン基板21は、被遠隔制御装置5に対して他の通信を切断して優先的にFAXを受信できるように命令を出す。
【0028】
非音声データは、携帯型無線機1のメイン基板41によって、携帯側近距離無線部8を介して半固定側近距離無線部7へ送信される。固定側装置25において半固定側近距離無線部7は、携帯型無線機1の携帯側近距離無線部8から受信したデータをシリアルデータのまま被遠隔制御装置5へと出力する。
【0029】
被遠隔制御装置5では、メイン基板51が、受信したシリアルデータをFAXモデム52へ送り、さらにFAXモデム52がアナログ信号へ変換した後にFAX装置6へ送信する。なお、FAX装置6と被遠隔制御装置5とは、別々に構成されるに限らず、一体の装置として構成されてもよい。
【0030】
携帯モードとして利用する際は、フォルダ22から携帯型無線機1を取り外すが、このときの処理に関して、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8との近距離通信の接続を行わないため、FAX装置6の通信を実行できない。すなわち、一斉FAXの受信が出来ない。一般に、一斉FAX通信は送信側のFAX(統制局FAX装置12)と受信側のFAX(FAX装置6)がそれぞれ機器に接続していないと通信できない。本実施形態では、受信側である半固定無線装置2の携帯型無線機1が一旦受信し、FAXデータを保持することで、固定側装置25(フォルダ22)に携帯型無線機1が装着されていない状態、すなわち携帯モードでも、一斉FAXの内容を失うことがない。詳細は次の実施例1〜3に示す。
【0031】
<実施例1>
図4は、携帯モード時に一斉FAXを受信した時の処理を示すフローチャートである。携帯型無線機1が一斉FAXを受信すると(S10)、メイン基板41は、半固定モードまたは携帯モードの何れのモードで運用中であるか判断する(S12)。なお、一斉FAXであるか否かは、上述したように、メイン基板41が、制御データを参照することで判断する。
【0032】
半固定モードであれば(S12のY)、携帯型無線機1と固定側装置25が一体となった運用状態の半固定無線装置2は上述した処理により一斉FAXを受信する(S14)。
【0033】
携帯モードであれば(S12のN)、メイン基板41は、FAX受信メモリに空き容量がFAX受信に必要な容量であるか否かを判断する(S16)。不十分な場合(S16のN)、携帯型無線機1のメイン基板41は、所定の記憶領域に受信NGログを残すとともに、上位装置である統制局30に対して受信NGを通知する(S18)。受信NGの通知を受けた統制局30(統制局FAX装置12)は、所定時間経過後、一斉FAXを再送する。
【0034】
FAX受信メモリの空き容量が十分である場合(S16のY)、携帯型無線機1のメイン基板41は、一斉FAXの受信処理を行いFAX受信メモリに受信したデータを保持する(S20)。
【0035】
メイン基板41は、一斉FAXの受信処理が正常に終了すれば(S24のY)、一連の処理を終了させる。正常に終了しなかった場合(S24のN)、所定の記憶領域に受信NGログを残すとともに、上位装置である統制局30に対して受信NGを通知する(S26)。受信NGの通知を受けた統制局30(統制局FAX装置12)は、所定時間経過後、一斉FAXを再送する。なお、この処理で正常終了しなかった場合に、FAX受信メモリの容量が不足したことも想定される。そこで、携帯型無線機1は、受信NG通知時に正常終了できなかった理由がFAX受信メモリの容量不足である場合に、統制局30に対してデータを小さくして再送するように通知してもよい。
【0036】
このように、一斉FAXが有った場合、携帯型無線機1が、受信したFAXのデータを保持し、一斉FAXを間接的に受信する。通常、半固定モードとして使用中の携帯型無線機1は、一斉FAXを受信すると、半固定無線装置2、被遠隔制御装置5を通じて直接FAX装置6へとデータの送受信を行う中継器の役割を果たしていた。携帯モードでは、一斉FAXを受信すると、直接、携帯型無線機1がFAXデータを取り組むため、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8との接続の有無に限らず、一斉FAXの受信が可能となる。一旦、携帯型無線機1に保持されたFAXのデータは、再び半固定モードとなった際に、メイン基板41及び被遠隔制御装置5を通じてFAX装置6へ出力される。
【0037】
なお、携帯型無線機1は、メイン基板41のFAX受信メモリに一斉FAXのデータを保持した受信処理を行った場合に、その旨を統制局30(すなわち統制局FAX装置12)へ通知してもよい。その場合に、半固定モードに移行後にFAX装置6から実際にFAX出力された旨が統制局30へ通知されてもよい。これによって、統制局30(統制局FAX装置12)では、移動局20で、一斉FAXされたデータがどのようなステータスであるかを、すなわち、携帯型無線機1で受信した状態のままであるか、FAX装置6から実際に出力されたかを把握し管理することができる。統制局30(統制局FAX装置12)は、例えば、携帯型無線機1から携帯モードで受信完了した旨の通知、すなわちFAX受信メモリに記録した旨の通知を受けた場合に、受信NG後の再送よりも間隔を開けて再送する処理を行ってもよい。また、最終的にFAX出力されていない期間が長い場合、すなわち、半固定無線装置2が半固定モードに移行せず携帯モードのままである期間が長い場合に、単に再送するだけでなく、半固定モードに移行しFAX出力するように促す通知を行うといった処理も可能となる。
【0038】
<実施例2>
上述の実施例1では、携帯型無線機1に内蔵されているFAX受信メモリが一杯になったときに新たに一斉FAXを受信することが出来なくなる。それを解決するために、本実施例では、
図4の受信NG通知を受けた場合(S18、S20)、統制局30は、所定の条件のもと半固定無線装置2へ一斉FAXを再送する。
図5は、一斉FAXを半固定無線装置2に対して再送する処理のチャート図である。
【0039】
携帯モードで運用中の携帯型無線機1は、一斉FAXを受信できなかった場合、その旨(受信NG)を統制局30に通知する(S101)。統制局30の統制局FAX装置12は、送信履歴においてその受信NGを記録するとともにそれに関連づけて一斉FAXのデータを破棄せず保持する。
【0040】
携帯型無線機1がフォルダ22に装着され半固定モードになると、固定側装置25のメイン基板21は、携帯型無線機1のメイン基板41に対して、フォルダ22に装着された旨を通知する(S102)。携帯型無線機1のメイン基板41は、統制局30に対して半固定モードに移行した旨を通知する(S103)。
【0041】
その通知を受けた統制局30では、統制局FAX装置12が、通知元の移動局20に対して、一斉FAXのデータを再送する。すなわち、統制局30の統制局FAX装置12から、統制局制御装置11及び基地局無線機10を通じて、半固定無線装置2の携帯型無線機1にFAXが送信される(S104)。
【0042】
携帯型無線機1のRF部42は、受信したデータをシリアルデータに変換し、制御データと非音声データに分離し、メイン基板41が非音声データを固定側装置25のメイン基板21へ、半固定側近距離無線部7及び携帯側近距離無線部8の近距離通信によって送信する(S105)。言い換えると、携帯型無線機1は固定側装置25へFAX送信する。
【0043】
固定側装置25において、メイン基板21は、被遠隔制御装置5へFAX送信行う(S106)。このとき、通常の一斉FAXと同様に、固定側装置25は被遠隔制御装置5に対して一斉FAXの受信を優先するように命令することが望ましい。すなわち、統制局30から再送されたFAXデータは、厳密には一斉FAXではないため、制御データに一斉FAXである旨の情報が含まれていない場合も想定される。そこで、メイン基板21は、そのような場合には、受信NG時のログと比較して、一斉FAXの再送であれば、被遠隔制御装置5に対して当該FAXの受信を優先するように指示する。
【0044】
被遠隔制御装置5は、固定側装置25から取得したFAXをFAX装置6へ送信する(S107)。すなわち、被遠隔制御装置5は、固定側装置25から取得した非音声データをアナログ変換してFAX装置6へ送る。
【0045】
FAX装置6は、再送された一斉FAXの受信が完了すると、受信完了を被遠隔制御装置5に通知する(S108)。受信完了通知は、通常の一斉FAX時と同様の処理によって、被遠隔制御装置5から固定側装置25へ(S109)、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8との通信により固定側装置25のメイン基板21から携帯型無線機1のメイン基板41へ(S110)、さらに、携帯型無線機1のRF部42から上位装置の統制局30(すなわち統制局FAX装置12)へ送信される(S111)。なお、受信完了通知には、単に受信完了した旨のみでなく、再送された一斉FAXの受信完了であることが判別可能な情報が含まれてもよい。
【0046】
このような処理によって、通常の一斉FAXのタイミングで受信できなかった場合でも、確実に移動局20のFAX装置6へ送信完了させることができる。
【0047】
<実施例3>
上述の実施例2では、半固定モードに移行した場合でないと、一斉FAXの再送が行われないが、本実施形態では、携帯モードとして運用中でも、近距離無線通信(半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8との通信)により一斉FAXの再送を受信する処理を説明する。
図6は、一斉FAXを半固定無線装置2に対して再送する処理のチャート図であって、
図5の処理の変形例である。ここでは、主に
図5で示した処理と異なる処理について別符号を付した上で説明する。
【0048】
携帯モードで運用中の携帯型無線機1は、一斉FAXを受信できなかった場合、その旨(受信NG)を統制局30に通知する(S101)。
【0049】
固定側装置25のメイン基板21は、携帯モードで運用中の携帯型無線機1と、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8とによる近距離無線通信にて通信可能となると、その旨を携帯型無線機1に通知する(S102A)。その旨の通知を受けた携帯型無線機1のメイン基板41は、統制局30に対して通信可能である旨、すなわちFAXを受信可能である旨を通知する(S103A)。
【0050】
その通知を受けた統制局30では、統制局FAX装置12から、統制局制御装置11及び基地局無線機10を通じて、半固定無線装置2の携帯型無線機1にFAXが送信される(S104)。
【0051】
携帯型無線機1のRF部42は、受信したデータをシリアルデータに変換し、制御データと非音声データに分離し、メイン基板41が非音声データを半固定無線装置2のメイン基板21へ、半固定側近距離無線部7及び携帯側近距離無線部8の近距離通信によって送信する(S105A)。言い換えると、携帯型無線機1は携帯モードの運用状態のままで、半固定無線装置2へFAX送信する。
【0052】
固定側装置25において、メイン基板21は、被遠隔制御装置5へFAX送信行う(S106)。被遠隔制御装置5は、半固定無線装置2から取得したFAXをFAX装置6へ送信する(S107)。
【0053】
FAX装置6は、再送された一斉FAXの受信が完了すると、受信完了を被遠隔制御装置5に通知する(S108)。受信完了通知は、通常の一斉FAX時と同様の処理によって、被遠隔制御装置5から半固定無線装置2へ(S109)、半固定側近距離無線部7と携帯側近距離無線部8との通信により固定側装置25のメイン基板21から携帯型無線機1のメイン基板41へ(S110A)、さらに、携帯型無線機1のRF部42から上位装置の統制局30(すなわち統制局FAX装置12)へ送信される(S111A)。なお、受信完了通知には、単に受信完了した旨のみでなく、半固定モードではなく携帯モードにおいて、近距離無線による通信で半固定無線装置2と固定側装置25との間のデータ伝送がなされたことが判別可能な情報が含まれてもよい。
【0054】
以上の実施形態の無線通信システム100によると、半固定無線装置2が半固定モード、携帯モードのどちらの状態でも一斉FAXを確実に受信できるため、受信者へ確実に周知できる。
【0055】
なお、一斉FAXは重要度が高いことから、上記処理において一斉FAXを確実に受信するようにしているが、当然、一斉FAXでない通常のFAXの送受信ついても同様の処理を適用することができる。すなわち、例えば携帯モード中に、制御データからFAX送信であると判断した場合、携帯型無線機1のメイン基板41は、FAX受信メモリに受信したデータを保持し固定モード移行後にFAX装置6へ出力したり、FAX受信できない旨を統制局30へ通知等を行ったりしてもよい。
【0056】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0057】
例えば、上記の実施形態では、一斉FAXまたは通常のFAXの送受信に関して説明したがこれに限る趣旨ではない。
図7及び
図8を参照して、FAX以外のデータ伝送に適用した変形例について説明する。上記実施形態と同じ構成については同一符号を付し説明を適宜省略する。
【0058】
図7は変形例に係る無線通信システム100aの構成を示す。無線通信システム100aは、統制局30aと移動局20aとを備える。
【0059】
統制局30aは、基地局無線機10と、統制局制御装置11と、統制局データ送信装置12aとを備える。統制局データ送信装置12aは、所定形式のデータを出力する。出力されたデータは、上述した統制局制御装置11、基地局無線機10を介して移動局20aへ出力される。所定形式のデータは、例えば、地図データや画像データ(動画データや静止画データ)、所定アプリケーションで利用可能な形式のデータである。
【0060】
移動局20aは、複数タイプの装置構成を有している。あるタイプの移動局20aは、半固定無線装置2と、被遠隔制御装置5と、外部装置6aとを備える。すなわち、上記実施形態のFAX装置6が外部装置6aに置き換わった構成となっている。外部装置6aは、統制局30(統制局データ送信装置12a)から送信された所定形式のデータを表示させたり、所定のアプリケーションで実行させることができる。
【0061】
また、別のタイプの移動局20aは、半固定無線装置2、被遠隔制御装置5及び外部装置6aの機能が一体の装置となっている出力機能付き半固定無線装置2aである。
【0062】
図8は、出力機能付き半固定無線装置2aの構成を示す。ここでは、半固定モードの状態を示している。出力機能付き半固定無線装置2aは、
図2の半固定無線装置2にデータ出力処理部26を追加した構成となっている。
【0063】
データ出力処理部26は、表示部27と、印刷部28と、アプリケーション実行部29とを備え、統制局データ送信装置12aから出力されたデータを使用してそれぞれの機能を実行する。
【0064】
具体的には、表示部27は、表示パネル及びその制御装置を備えており、例えば、画像データを表示する。印刷部28は、表示部27に表示される内容やアプリケーション実行部29で実行されるアプリケーションの印刷処理を行う。アプリケーション実行部29は、文書ファイル、プレゼンテーションファイル、データベース用ファイル等をそれぞれファイル形式に対応したアプリケーションで使用する。
【0065】
ここで、携帯型無線機1がフォルダ22から分離した状態、すなわち携帯モードにおいて、メイン基板41は、統制局データ送信装置12aから出力されたデータを受信すると、そのデータを解析する。データの制御データに、どのような種類のデータが含まれているかが判別可能に記載されていれば、その記載内容によって固定側装置25へ送るべきデータか否かを判別することができる。また、データ形式や含まれるファイルの拡張子等から、固定側装置25で使用することを想定したデータであるか否かを判別することもできる。
【0066】
メイン基板41は、解析の結果、外部装置6a又は出力機能付き半固定無線装置2aのデータ出力処理部26で使用されるデータ(以下、「固定側装置用データ」)であれば、携帯型無線機1内の所定の記憶領域にその固定側装置用データを記録し、統制局データ送信装置12aに対してその旨を通知する。固定側装置用データを記録した携帯型無線機1が半固定モードに移行すると、その固定側装置用データを、携帯側近距離無線部8と半固定側近距離無線部7との近距離通信で固定側装置25へ送信するとともにその旨を統制局データ送信装置12aに通知する。外部装置6aまたはデータ出力処理部26は、取得した固定側装置用データの内容に応じた処理を実行する。