(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885808
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】グローブボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/06 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
B60R7/06 G
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-129135(P2017-129135)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-10979(P2019-10979A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/086427(WO,A1)
【文献】
実開平04−125377(JP,U)
【文献】
特開2013−072488(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/018496(WO,A1)
【文献】
特開2010−013035(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0025074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/00
E05B 79/04,83/30
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックスを開閉操作する開閉ロック装置を備えるグローブボックスであって、
前記開閉ロック装置は、ハウジングと、前記ハウジングに回動可能に取り付けられるノブと、を有し、
前記グローブボックスには、該グローブボックスにおける意匠面と意匠裏面の間を厚み方向に貫通して前記ノブを操作可能に意匠面側へ露出させる開口部を有し、
前記ハウジングの対向する端部のうちの一端は、前記グローブボックスの意匠裏面側に係合する引掛け構造により保持されており、
前記ハウジングの対向する端部のうちの他端は、前記グローブボックスの意匠裏面側に締結固定される構成であり、
前記引掛け構造は、
前記ハウジングにおける一端側に構成される差込片と、
前記グローブボックスの意匠裏面側に構成される差込凹部と、を有し、
前記差込凹部は、前記開口部の縁部が切りかかれた段部に設けられており、
前記差込凹部の開口は、前記段部のうちグローブボックスにおける水平方向に交差する第1面と、グローブボックスにおける奥行き方向に交差する第2面の両方に亘って設けられており、
前記第2面の開口幅は、前記差込片の厚みより狭い構成であり、
前記差込凹部は、前記第1面に切りかかれた溝部が設けられており、
前記差込片は、前記溝部に挿入可能なリブが設けられており、
前記ハウジングは、前記グローブボックスにおける奥行き方向に沿った略垂直状態の姿勢において、前記リブが前記溝部に挿入可能であると共に、前記リブが前記溝部に挿入された位置を基準として前記開口部側に回転可能な構成であるグローブボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のグローブボックスであって、
前記ハウジングの他端側は、前記ハウジングを締結固定するための締結手段を挿通させる挿通孔と、該挿通孔に隣接して係合孔が設けられており、
前記グローブボックスの意匠裏面側には、前記挿通孔に対応して設けられる締結孔と、前記係合孔に対応して設けられる係合突起と、を有し、
前記リブと、前記係合孔と、前記係合突起は、前記リブが前記溝部に挿入された位置を基準として前記開口部側に回転する前記ハウジングの回転軸に直交する同一直線状に配設されるグローブボックス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のグローブボックスであって、
前記リブの端部は、前記差込片の縁より内方側に配設されると共に、丸み形状の曲面部が構成されるグローブボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストルメントパネルの助手席側に設定されている物入れの為のグローブボックスがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のグローブボックスには、ボックスを開閉する為に使用者が操作するための開閉ロック装置が備えられている。グローブボックスは、係る開閉ロック装置に備えられているノブを回動することで、グローブボックスを閉状態に保持する閂ロッドが連動してインストルメントパネル側から外れてロック状態が解除されて開状態となりグローブボックスを開くことができる。
【0003】
ここで、係るグローブボックスの組付手順は、グローブボックスのアウターパネルの意匠面側より開閉ロック装置をあてがった上で、反転させ意匠裏面側よりビス等の複数個の締結手段によって締結固定する。その上で、アウターパネルの意匠裏面側より2本の閂ロッドを連結後、インナーとしてのボックスを被せて、組み付けを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−211383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アウターパネルへの開閉ロック装置の組み付けは、アウターパネルの意匠面側にあてがう工程と、これを反転させ意匠裏面側からの締結固定の工程を要する。そのため、アウターパネルを反転させる作業動作が入るため、組付工数にロスが発生し、組付作業のトータルサイクルタイムが伸びてしまうというといった改善点を有していた。また、開閉ロック装置をアウターパネルに固定する締結手段(例えば、ビス)は複数個を要することから、その数の分だけ単価と、締め付け作業工数が発生することからコスト面における改善点を有する。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、開閉ロック装置を組み付ける際の、組み付けの作業効率の向上と、組み付けに伴う部品点数の低減の両立を図るグローブボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するグローブボックスは、ボックスを開閉操作する開閉ロック装置を備えるグローブボックスであって、前記開閉ロック装置は、ハウジングと、前記ハウジングに回動可能に取り付けられるノブと、を有し、前記グローブボックスには、該グローブボックスにおける意匠面と意匠裏面の間を厚み方向に貫通して前記ノブを操作可能に意匠面側へ露出させる開口部を有し、前記ハウジングの対向する端部のうちの一端は、前記グローブボックスの意匠裏面側に係合する引掛け構造により保持されており、前記ハウジングの対向する端部のうちの他端は、前記グローブボックスの意匠裏面側に締結固定される。
【0008】
この構成によれば、開閉ロック装置は、グローブボックスの意匠裏面側から組み付ける。そのため、開閉ロック装置を組付ける際にグローブボックスを反転させる作業を要さず組み付けの作業工数の効率を図ることができる。また、ハウジングの対向する端部のうちの一端は、グローブボックスの意匠裏面側に係合する引掛け構造により保持する構成のため、締結固定の箇所を減らしていることから締結手段の数の低減と、締め付け作業工数の低減を図ることができる。よって、開閉ロック装置を組み付ける際の、組み付けの作業効率の向上と、組み付けに伴う部品点数の低減の両立を図るグローブボックスを提供することができる。
【0009】
上記グローブボックスについて、前記引掛け構造は、前記ハウジングにおける一端側に構成される差込片と、前記グローブボックスの意匠裏面側に構成される差込凹部と、を有し、前記差込凹部は、前記開口部の縁部が切りかかれた段部に設けられており、前記差込凹部の開口は、前記段部のうちグローブボックスにおける水平方向に交差する第1面と、グローブボックスにおける奥行き方向に交差する第2面の両方に亘って設けられており、前記第2面の開口幅は、前記差込片の厚みより狭い構成であり、前記差込凹部は、前記第1面に切りかかれた溝部が設けられており、前記差込片は、前記溝部に挿入可能なリブが設けられており、前記ハウジングは、前記グローブボックスにおける奥行き方向に沿った略垂直状態の姿勢において、前記リブが前記溝部に挿入可能であると共に、前記リブが前記溝部に挿入された位置を基準として前記開口部側に回転可能な構成であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ハウジングに差込片を設け、グローブボックスの意匠裏面側に差込凹部を設けることで簡素な構成で引掛け構造を得ることができる。また、第2面の開口幅は、差込片の厚みより狭い構成である。そのため、ハウジングを装着した状態においてグローブボックス側が支持する面積が小さくなり強度不足となるのを抑制し得る。また、ハウジングは、グローブボックスにおける奥行き方向に沿った方向の略垂直状態において、差込片が第2面の開口幅に挿入不可な状態でもリブが溝部に挿入可能となっている。そのため、ハウジングは、グローブボックスに対する上下方向の位置決めを容易にすると共に、リブが溝部に挿入された位置を基準として回転して、グローブボックスに装着される。そのため、装着時にノブが開口部に接触して傷付けることを抑制し得る。
【0011】
上記グローブボックスについて、前記ハウジングの他端側は、前記ハウジングを締結固定するための締結手段を挿通させる挿通孔と、該挿通孔に隣接して係合孔が設けられており、前記グローブボックスの意匠裏面側には、前記挿通孔に対応して設けられる締結孔と、前記係合孔に対応して設けられる係合突起と、を有し、前記リブと、前記係合孔と、前記係合突起は、前記リブが前記溝部に挿入された位置を基準として前記開口部側に回転する前記ハウジングの回転軸に直交する同一直線状に配設されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ハウジングの他端側は、ハウジングを締結固定するための締結手段を挿通させる挿通孔と、挿通孔に隣接して係合孔が設けられている。また、グローブボックスの意匠裏面側には、挿通孔に対応して設けられる締結孔と、係合孔に対応して設けられる係合突起と、を有する。このリブと、係合孔と、係合突起は、前記リブが前記溝部に挿入された位置を基準として前記開口部側に回転するハウジングの回転軸に直交する同一直線状に配設される。これにより、開閉ロック装置の組付けの際に、リブが溝部に挿入された位置を基準としてハウジングの回転の精度向上が図れる。
【0013】
上記グローブボックスについて、前記リブの端部は、前記差込片の縁より内方側に配設されると共に、丸み形状の曲面部が構成されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、リブの端部は、差込片の縁より内方側に配設されると共に、丸み形状の曲面部が構成される。係る曲面部により、開閉ロック装置を組付ける際にハウジングを滑らかに回転させることができる。また、リブの端部は差込片の縁より内方側に配設されることから、開閉ロック装置を組付けた後、隙間が出来にくい構造となり得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、開閉ロック装置を組み付ける際の、組み付けの作業効率の向上と、組み付けに伴う部品点数の低減の両立を図るグローブボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るグローブボックスにおける開閉ロック装置を示した全体斜視図である。
【
図2】同グローブボックスにおける開閉ロック装置の組み付けを示した分解斜視図である。
【
図3】同グローブボックスにおける開閉ロック装置の組み付けを裏面側から見た分解斜視図である。
【
図6】同グローブボックスにおける開閉ロック装置の引掛け構造を示した斜視図である。
【
図7】
図6のVII部を拡大した拡大斜視図である。
【
図8】同グローブボックスにおける開閉ロック装置のハウジングを回転させる状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、
図1〜9を用いて説明する。なお、本実施形態では、自動車のインストルメントパネルの助手席側に設定される物入れの為のグローブボックス10に装備される開閉ロック装置20を例示して説明する。各図に示す方向は、X軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、X軸はグローブボックス10における水平方向(グローブボックス10に向かって右方向を正とする)を示し、Y軸はグローブボックス10における鉛直上向きの方向(グローブボックス10に向かって上方向を正とする)を示し、Z軸は、グローブボックス10における奥行き方向(グローブボックス10に向かって手前方向を正とする)を示している。
【0018】
グローブボックス10は、
図1に示すようにインストルメントパネル(不図示)における物入れ用の収容空間としての箱型状の収容ボックス12と、係る収容ボックス12の手前側において収容空間を塞ぐドアアウター14と、を有する構造である。グローブボックス10は、閂ロッド18(開閉機構)が閉状態から開状態に切り替わると、下方左右一対に設けられた支軸16(開閉機構)を起点に上方側が手前側に回動することで収容ボックス12の上部収容口12Aが露出し物入れが可能となる。このグローブボックス10には、係るグローブボックス10を開閉させるための支軸16及び閂ロッド18(開閉機構)における開状態と閉状態を切替可能とする為に使用者が操作する開閉ロック装置20が構成される。
【0019】
開閉ロック装置20は、
図1、2に示すようにグローブボックス10を開閉させるための支軸16及び閂ロッド18(開閉機構)における開状態と閉状態を切替可能とする為に使用者が操作する装置である。開閉ロック装置20は、グローブボックス10のドアアウター14の意匠裏面142側に面して組み付けられるハウジング22に対し回動可能に取り付けられるノブ24を有する。グローブボックス10のドアアウター14の意匠裏面142側には、X軸方向に沿った閂ロッド18(開閉機構)が配設される。グローブボックス10は、ノブ24が回動されることで閉状態に保持された閂ロッド18が連動しインストルメントパネル側から外れて開状態となる。ここで、このノブ24には、使用者以外の第三者にグローブボックス10を開閉されないように施錠機構としてのキーシリンダー30が備え付けられている。キーシリンダー30は、ノブ24に組み付けられノブ24の回動が許容される解錠状態とノブ24の回動が規制される施錠状態を切替える機構である。なお、本実施形態における開閉ロック装置20には、キーシリンダー30を備える態様を示したがキーシリンダー30を備えないものであってもよい。
【0020】
図2、3に示すように、グローブボックス10におけるドアアウター14には、意匠面141と意匠裏面142の間を厚み方向に貫通してノブ24を操作可能に意匠面141側へ露出させる開口部143を有している。開口部143は、矩形状に形成されている。開口部143の縁部のうちの一つには、差込凹部144が設けられている。
【0021】
図3〜5に示すように、差込凹部144は、後述する差込片222が挿入されることで、ハウジング22の一端221が係合される引掛け構造の一構成である。差込凹部144は、開口部143の縁部が直角に切りかかれた段部148に設けられており、係る段部148の隅部が厚み方向に貫通している。ここで、差込凹部144の開口は、段部148におけるX軸方向に交差する段部X面148X(第1面)と、Z軸方向に交差する段部Z面148Z(第2面)の両方に亘って設けられている。また、段部X面148Xの開口幅148Xdは、差込片222の厚み222dを受入れ可能な幅(厚み222dと同等か又は広い)である。そのため、段部X面148Xの開口幅148Xdは、ハウジング22及びノブ24がグローブボックス10に装着された状態において差込片222が挿入された状態となる。また、段部Z面148Zの開口幅148Zdは、差込片222の厚み222dより狭い。そのため、段部Z面148Zの開口幅148Zdは、単独で差込片222を受入れることができない。すなわち、ハウジング22をZ軸に沿った方向(グローブボックス10における奥行き方向に沿った方向)の略垂直状態において、差込片222が段部Z面148Zの開口幅148Zdに挿入不可である。また、差込凹部144は、段部X面148Xの開口幅148Xdと、段部Z面148Zの開口幅148Zdの両方が合わさる開口であるため、差込片222を起点としてハウジング22を回転可能とする構成である。
【0022】
更に、差込凹部144には、その内周面から外方に向かって切りかかれた溝部145が設けられている。詳しくは、溝部145は、X軸方向に交差する段部X面148Xに設けられている。差込凹部144と対向する縁部には、ビス50(締結手段)が締結される締結孔146と、締結孔146に隣接して係合突起147が設けられている。締結孔146は、後述する挿通孔226に対応した位置に設けられる。係合突起147は、後述する係合孔227に対応した位置に設けられる。
【0023】
図3〜5に示すように、ハウジング22は、X軸方向で対向する端部のうちの一端221に、グローブボックス10の意匠裏面142側と引掛け構造として保持される差込片222を有する。差込片222は、上述した差込凹部144の開口に対応した幅形状に形成されている。また、差込片222には、差込凹部144に設けられる溝部145に対応した位置であって、係る溝部145に挿入可能なリブ223が設けられている。リブ223の端部は、差込片222の縁より内方側に配設されると共に、丸み形状の曲面部224が構成される。ここで、上述のようにハウジング22は、Z軸に沿った方向(グローブボックス10における奥行き方向に沿った方向)の略垂直状態において、差込片222が段部Z面148Zの開口幅148Zdに挿入不可な状態でもリブ223が溝部145に挿入可能となっている。
【0024】
ハウジング22の一端221と対向する他端225は、グローブボックス10の意匠裏面142側に締結固定される部位である。ハウジング22の他端225側は、ハウジング22を締結固定するためのビス50(締結手段)を挿通させる挿通孔226と、挿通孔226に隣接して係合孔227が設けられている。挿通孔226は、上述した締結孔146に対応した位置に設けられる。係合孔227は、上述した係合突起147に対応した位置に設けられる。また、ハウジング22におけるリブ223と、係合孔227と、係合突起147は、X軸方向において同一直線状に配設される。
【0025】
図6〜9に示すように、ハウジング22のドアアウター14への組み付けについて説明する。まず、ハウジング22は、Z軸に沿った方向(グローブボックス10における奥行き方向に沿った方向)の略垂直状態とした上で、Z軸に沿った方向から差込片222のリブ223を差込凹部144の溝部145に挿入する。これにより、ハウジング22のY軸方向の位置決めがされる。係る状態では、差込片222が段部Z面148Zの開口幅148Zd(
図4参照)に挿入不可な状態であると共に、ノブ24の先端は、開口部143から離れた位置関係である。そのため、不意にノブ24が開口部143の内周面と接触して傷つくことがない。そして、係るリブ223が溝部145に挿入された位置を基準としてハウジング22の他端225側を開口部143側に僅かに回転させると差込片222が差込凹部144に挿入される(
図6、7参照)。ここで、ハウジング22は、既にY軸方向の位置決めがなされていることから僅かに回転して差込片222が差込凹部144に差し込まれた状態でも、ノブ24は開口部143の内周面と接触しない状態を保つ。更に差込片222が差込凹部144に差し込まれる差込位置を起点としてハウジング22をZ軸方向の正方向に向かって回転させる。このとき、溝部145と、リブ223と、係合孔227と、係合突起147は、リブ223が溝部145に挿入された位置を基準として開口部143側に回転するハウジング22の回転軸(換言すれば、ハウジング22の差込片222がドアアウター14の差込凹部144に差し込まれる差込位置を起点とするハウジング22の回転軸)に直交する同一直線状に配設される関係となる。ノブ24は、開口部143を通じてグローブボックス10の意匠面141側に露出される。そして、ドアアウター14の係合突起147を、ハウジング22の係合孔227に挿通させる。そして、同軸上に配されたハウジング22の挿通孔226とドアアウター14の締結孔146を、ビス50(締結手段)で締結固定する。
【0026】
ここで、上記実施形態の詳細について説明する。仮に、ハウジング22を他端225側が開口部143側に近づいた浅い角度で差込片222を差込凹部144に挿入させる構成であった場合、ドア14の開口部143の内周面にノブ24の側面が接触してしまい傷ついてしまうおそれがある。そのため、上述のようにハウジング22をZ軸に沿った方向(グローブボックス10における奥行き方向に沿った方向)の略垂直状態で組み付ける構成とした。ここで、仮に段部Z面148Zの開口幅148Zdを差込片222の厚み222dより広くしてしまうと、段部Z面148Zの面積が小さくなってしまい、ハウジング22を装着した状態においてグローブボックス10側が支持する面積が小さくなってしまい強度不足の懸念が生ずる。そのため、Z軸方向に交差する段部Z面148Zの開口幅148Zdは、差込片222の厚み222dより狭い構成とすると共に、段部X面148Xに開口幅148Xdを設けて、差込片222を回転させながら差込凹部144に差し込み可能とした。また、ハウジング22は、Z軸に沿った方向(グローブボックス10における奥行き方向に沿った方向)の略垂直状態において、差込片222が段部Z面148Zの開口幅148Zdに挿入不可な状態でもリブ223が溝部145に挿入可能となっている。そのため、ハウジング22は、グローブボックス10に対するY軸方向の位置決めを容易にすると共に、リブ223が溝部145に挿入された位置を基準として回転し、所定角度に回転すると差込片222が差込凹部144に差し込まれ、ノブ24が開口部143を傷付けることなくグローブボックス10に装着される。
【0027】
このように、本実施形態のグローブボックス10によれば、開閉ロック装置20は、グローブボックス10におけるドアアウター14の意匠裏面142側から組み付ける。そのため、開閉ロック装置20を組付ける際にグローブボックス10を反転させる作業を要さず組み付けの作業工数の効率を図ることができる。また、ハウジング22の対向する端部のうちの一端221は、グローブボックス10の意匠裏面142側に係合する引掛け構造により保持する構成のため、締結固定の箇所を減らしていることからビス50等の締結手段の数の低減と、締め付け作業工数の低減を図ることができる。よって、開閉ロック装置20を組み付ける際の、組み付けの作業効率の向上と、組み付けに伴う部品点数の低減の両立を図るグローブボックス10を提供することができる。
【0028】
ハウジング22に差込片222を設け、グローブボックス10の意匠裏面142側に差込凹部144を設けることで簡素な構成で引掛け構造を得ることができる。また、段部Z面148Z(第2面)の開口幅148Zdは、差込片222の厚み222dより狭い構成である。そのため、ハウジング22を装着した状態においてグローブボックス10側が支持する面積が小さくなり強度不足となるのを抑制し得る。また、ハウジング22は、グローブボックス10における奥行き方向(Z軸方向)に沿った方向の略垂直状態において、差込片222が段部Z面148Z(第2面)の開口幅148Zdに挿入不可な状態でもリブ223が溝部145に挿入可能となっている。そのため、ハウジング22は、グローブボックス10に対する上下方向(Y軸方向)の位置決めを容易にすると共に、リブ223が溝部145に挿入された位置を基準として回転して、グローブボックス10に装着される。そのため、装着時にリブ223が開口部143に接触して傷付けることを抑制し得る。
【0029】
また、ハウジング22の他端側は、ハウジング22を締結固定するためのビス50等の締結手段を挿通させる挿通孔226と、挿通孔226に隣接して係合孔227が設けられている。また、グローブボックス10の意匠裏面142側には、挿通孔226に対応して設けられる締結孔146と、係合孔227に対応して設けられる係合突起147と、を有する。このリブ223と、係合孔227と、係合突起147は、リブ223が溝部145に挿入された位置を基準として開口部143側に回転するハウジング22の回転軸に直交する同一直線状に配設される。これにより、開閉ロック装置20の組付けの際に、リブ223が溝部145に挿入された位置を基準としてハウジング22の回転の精度向上が図れる。
【0030】
また、リブ223の端部は、差込片222の縁より内方側に配設されると共に、丸み形状の曲面部224が構成される。係る曲面部224により、開閉ロック装置20を組付ける際にハウジング22を滑らかに回転させることができる。また、リブ223の端部は差込片222の縁より内方側に配設されることから、開閉ロック装置20を組付けた後、隙間が出来にくい構造となり得る。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。例えば、本実施形態では車室内のグローブボックス10を例示して説明したが、ドアアウター14の開閉機構における開状態と閉状態を切替可能とする開閉ロック装置20であればよく、各種のドアアウター14の開閉ロック装置20に適用可能である。
【0032】
また、本実施形態の開閉ロック装置20のノブ24は、水平方向(X軸方向)に回動するものであったが、これに限定されず上下方向(Y軸方向)に回動するものに適用するものであってもよい。本実施形態では、収容ボックス12と、ドアアウター14が別体構成であったが、一体構成であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 グローブボックス
12 収容ボックス
12A 上部収容口
14 ドアアウター
141 意匠面
142 意匠裏面
143 開口部
144 差込凹部(引掛け構造)
145 溝部
146 締結孔
147 係合突起
148 段部
148X 段部X面(第1面)
148Xd 開口幅
148Z 段部Z面(第2面)
148Zd 開口幅
16 支軸(開閉機構)
18 閂ロッド(開閉機構)
20 開閉ロック装置
22 ハウジング
221 ハウジングの一端
222 差込片(引掛け構造)
222d 厚み
223 リブ
224 曲面部
225 ハウジングの他端
226 挿通孔
227 係合孔
24 ノブ
30 キーシリンダー
50 ビス(締結手段)