特許第6885822号(P6885822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885822
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】センサ用金属端子およびセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20210603BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20210603BHJP
   H01R 13/05 20060101ALI20210603BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
   H01R13/46 301M
   H01R13/05 A
   G01N27/416 331
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-156602(P2017-156602)
(22)【出願日】2017年8月14日
(65)【公開番号】特開2019-35646(P2019-35646A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大場 健弘
(72)【発明者】
【氏名】三原 俊哉
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/075555(WO,A1)
【文献】 特開2014−190846(JP,A)
【文献】 特開2001−210210(JP,A)
【文献】 特開2002−214189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる長尺形状に形成されて前記軸線方向の先端側に検出部を有するとともに前記軸線方向の後端側に前記検出部の検出結果を示す検出信号を外部へ出力する電極端子部を有するセンサ素子と、前記検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線とを備えたセンサに用いられて、前記電極端子部から前記信号線へ前記検出信号を伝達するために、前記軸線方向に延びる形状に形成されるとともに前記センサ素子よりも前記軸線方向の後端側に配置されて前記電極端子部および前記信号線と電気的に接続されるセンサ用金属端子であって、
前記センサ素子よりも前記軸線方向の後端側に配置されるとともに前記軸線方向に沿って貫通する貫通孔を備えてアルミナを用いて形成されたセパレータの前記貫通孔内に収容されることにより、前記セパレータに保持され、
前記電極端子部に接触するように構成された端子接触部と、
前記端子接触部よりも前記軸線方向の後端側に配置され、前記信号線の芯線を加締め固定することにより、前記信号線と電気的に接続される信号線接続部と、
前記端子接触部と前記信号線接続部との間に配置され、内部に前記芯線を保持することができるように前記セパレータの前記貫通孔の一部分を塞ぐように形成された閉塞部とを備え、
前記閉塞部と前記貫通孔の内周面との間に形成される隙間における前記閉塞部と前記貫通孔の内周面との間の最大の距離が前記芯線の直径未満であるセンサ用金属端子。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ用金属端子であって、
前記端子接触部を備える先端側端子部材と、前記先端側端子部材よりも前記軸線方向の後端側に配置されて前記信号線接続部を備える後端側端子部材とに分離可能に形成され、
前記先端側端子部材は、前記端子接触部よりも前記軸線方向の後端側に配置されて前記後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備え、
前記後端側端子部材は、前記信号線接続部よりも前記軸線方向の先端側に配置されて前記先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備え、
前記先端側連結部は、メス型連結部であり、前記後端側連結部は、オス型連結部であり、
前記オス型連結部は、前記閉塞部であり、
前記オス型連結部は、前記軸線方向に対して垂直方向の断面が有端環状となるように筒状に形成されるとともに、前記オス型連結部における後端側から先端側に向かうに従って内径が小さくなるように形成され、
前記オス型連結部の先端側の端部における前記内径は前記芯線の直径より小さいセンサ用金属端子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサ用金属端子であって、
前記センサは、前記セパレータよりも前記軸線方向の後端側に配置されて前記信号線が挿入される閉塞部材を備え、
前記信号線接続部は、前記セパレータの内部に収容されるセンサ用金属端子。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセンサ用金属端子を備えるセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極端子部を有するセンサ素子と、検出信号を外部に出力する信号線とを備えたセンサに用いられるセンサ用金属端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極端子部を有するセンサ素子と、センサ素子の電極端子部に電気的に接続される金属端子と、金属端子に電気的に接続されて検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する信号線とを備えるセンサが記載されている。
【0003】
金属端子は、信号線に接続される信号線接続部を備えている。信号線接続部の内側に信号線の芯線を配置した状態で信号線接続部を加締めることにより、信号線接続部が芯線を取り囲んだ状態で信号線に固定され、金属端子と信号線とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−323470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、信号線接続部の内側に信号線の芯線を配置した状態で信号線接続部を加締めることにより、芯線が切断され、芯線屑が発生することがある。そして、芯線屑がセンサの内部に落下すると、芯線屑に起因してセンサの内部で短絡が発生する恐れがあった。
【0006】
本開示は、センサ内部の絶縁性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、センサ素子と、信号線とを備えたセンサに用いられて、電極端子部から信号線へ検出信号を伝達するために、軸線方向に延びる形状に形成されるとともにセンサ素子よりも軸線方向の後端側に配置されて電極端子部および信号線と電気的に接続されるセンサ用金属端子である。センサ素子は、軸線方向に延びる長尺形状に形成されて軸線方向の先端側に検出部を有するとともに軸線方向の後端側に検出部の検出結果を示す検出信号を外部へ出力する電極端子部を有する。信号線は、検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する。
【0008】
本開示のセンサ用金属端子は、センサ素子よりも軸線方向の後端側に配置されるとともに軸線方向に沿って貫通する貫通孔を備えるセパレータの貫通孔内に収容されることにより、セパレータに保持される。
【0009】
本開示のセンサ用金属端子は、端子接触部と、信号線接続部と、閉塞部とを備える。端子接触部は、電極端子部に接触するように構成される。信号線接続部は、端子接触部よりも軸線方向の後端側に配置され、信号線の芯線を加締め固定することにより、信号線と電気的に接続される。閉塞部は、端子接触部と信号線接続部との間に配置され、内部に芯線を保持することができるようにセパレータの貫通孔の一部分を塞ぐように形成される。
【0010】
本開示のセンサ用金属端子では、閉塞部と貫通孔の内周面との間に形成される隙間における閉塞部と貫通孔の内周面との間の最大の距離が芯線の直径未満である。
このように構成された本開示のセンサ用金属端子では、信号線接続部よりも先端側に配置された閉塞部が、内部に芯線を保持することができるようにセパレータの貫通孔の一部分を塞ぐように形成されている。このため、本開示のセンサ用金属端子は、信号線接続部から先端側に向けて落下した芯線屑が閉塞部の内部を通過してセンサ素子に至る事態の発生を抑制することができる。さらに、本開示のセンサ用金属端子では、閉塞部と貫通孔の内周面との間に形成される隙間における閉塞部と貫通孔の内周面との間の最大の距離が芯線の直径未満である。このため、本開示のセンサ用金属端子は、信号線接続部から先端側に向けて落下した芯線屑が閉塞部と貫通孔の内周面との間の隙間を通過してセンサ素子に至る事態の発生を抑制することができる。以上より、本開示のセンサ用金属端子は、芯線屑に起因してセンサの内部で短絡が発生するのを抑制し、センサ内部の絶縁性を向上させることができる。
【0011】
本開示の一態様では、本開示のセンサ用金属端子が、端子接触部を備える先端側端子部材と、先端側端子部材よりも軸線方向の後端側に配置されて信号線接続部を備える後端側端子部材とに分離可能に形成されるようにしてもよい。そして、先端側端子部材は、端子接触部よりも軸線方向の後端側に配置されて後端側端子部材と連結するための先端側連結部を備え、後端側端子部材は、信号線接続部よりも軸線方向の先端側に配置されて先端側端子部材と連結するための後端側連結部を備えるようにしてもよい。さらに、先端側連結部は、メス型連結部であり、後端側連結部は、オス型連結部であり、オス型連結部は、閉塞部であるようにしてもよい。この場合には、オス型連結部は、軸線方向に対して垂直方向の断面が有端環状となるように筒状に形成されるとともに、オス型連結部における後端側から先端側に向かうに従って内径が小さくなるように形成されるようにしてもよい。そして、オス型連結部の先端側の端部における内径は芯線の直径より小さいようにしてもよい。
【0012】
このように構成された本開示のセンサ用金属端子は、信号線接続部から先端側に向けて落下した芯線屑が後端側連結部の内部を通過してセンサ素子に至る事態の発生を抑制することができる。
【0013】
本開示の一態様では、センサは、セパレータよりも軸線方向の後端側に配置されて信号線が挿入される閉塞部材を備え、信号線接続部は、セパレータの内部に収容されるようにしてもよい。このように構成された本開示のセンサ用金属端子では、信号線接続部がセパレータの内部に収容されているため、信号線接続部が閉塞部材と接触してしまう事態の発生を抑制することができる。これにより、本開示のセンサ用金属端子は、信号線接続部と閉塞部材との接触に起因した閉塞部材の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ガスセンサ1の全体構成を示す断面図である。
図2】検出素子5の概略構造を示す斜視図である。
図3】先端側端子部材43a,43bの斜視図である。
図4】先端側端子部材43a,43bと先端側セパレータ13の斜視図である。
図5】先端側端子部材43aと後端側端子部材45の斜視図である。
図6】オス型連結部132および後端側セパレータ14の断面図である。
図7】金属端子150の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示の実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態のガスセンサ1は、内燃機関の排気管に対して先端部分を排気管内に突出させる形態で装着されて、排気ガス中のNOxを検出するNOxセンサである。
【0016】
ガスセンサ1は、図1に示すように、主体金具3と、検出素子5と、素子プロテクタ9と、外筒11と、絶縁セパレータ12と、閉塞部材15と、複数の金属端子41と、複数のリード線37とを備えている。図1において、ガスセンサ1の下端側を先端側、ガスセンサ1の上端側を後端側、ガスセンサ1の長手方向を軸線方向という。
【0017】
主体金具3は、例えばステンレス等の耐熱金属で筒状に形成された部材である。検出素子5は、軸線方向に延びる長尺の板状に形成されており、主体金具3内に挿入されている。素子プロテクタ9は、主体金具3の先端側に配置されて検出素子5の先端側を覆う。外筒11は、溶接部11aにより主体金具3の後端側に取り付けられるとともに検出素子5の外周を覆う。絶縁セパレータ12は、外筒11の内部に配置されて検出素子5の後端側を収容する。閉塞部材15は、外筒11の後端側を閉塞する。
【0018】
検出素子5は、排気ガスに向けられる先端側に、保護層5aに覆われた検出部19が形成され、図2に示すように、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に、電極端子部31,32,33,34,35,36が形成されている。
【0019】
検出素子5は、図1に示すように、先端側の検出部19が排気管に固定される主体金具3の先端より突出するとともに、後端側の電極端子部31,32,33,34,35,36が主体金具3の後端より突出した状態で、主体金具3の内部に固定される。なお、電極端子部31,32,33,34,35,36は、図1には示されておらず、図2に示されている。
【0020】
電極端子部31,32,33,34,35,36には、それぞれ金属端子41が接続されている。つまり、複数の金属端子41は、絶縁セパレータ12の内部にて、検出素子5と絶縁セパレータ12との間に配置されることで、検出素子5の電極端子部31,32,33,34,35,36にそれぞれ電気的に接続される。金属端子41は、先端側端子部材43と、後端側端子部材45を備える。
【0021】
複数の金属端子41はそれぞれ、外部からガスセンサ1の内部に設置される複数のリード線37に電気的に接続されている。なお、金属端子41の詳細な構成は、後述する。
金属端子41およびリード線37は、リード線37が接続される図示しない外部機器と検出素子5との間に流れる電流の電流経路を形成する。複数のリード線37は、チューブ部材38により束ねられている。なお、図1では、2本のリード線37のみを示している。
【0022】
検出素子5は、図2に示すように、軸線方向に延びる板状の素子部51と、同じく軸線方向に延びる板状のヒータ53とが積層された直方体形状であり、その軸線方向に垂直の断面は矩形状である。図2では、保護層5aを点線で示している。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略して検出素子5を示している。
【0023】
検出素子5は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成を以下に説明する。
まず、素子部51は、例えば、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプセルと基準セルとNOx検知セルと、中空の酸素測定室とNOx測定室を形成するためのスペーサとを備えている。このうち、固体電解質基板は、例えば、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、例えば、Ptを主体に形成される。また、酸素測定室とNOx測定室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の酸素測定室の内側には、酸素ポンプセル及び基準セルの一方の多孔質電極が露出するように配置されている。スペーサは、酸素測定室が少なくとも素子部51の先端側に位置するように形成されるとともに、外部から拡散律速部を介して酸素測定室へ被測定ガスを導入するためのガス用経路を備えている。NOx測定室の内側にはNOx検知セルの一方の多孔質電極が露出するように配置されている。素子部51のうち多孔質電極と酸素測定室とNOx測定室が形成される部分が検出部19に相当する。
【0024】
一方、ヒータ53は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。そして、素子部51とヒータ53とは、セラミック層を介して互いに接合される。
【0025】
このような検出素子5では、図2に示すように、第1板面21の後端側(すなわち、図2における右側)に3個の電極端子部31,32,33が形成され、第2板面23の後端側に3個の電極端子部34,35,36が形成されている。電極端子部31,32,33は、素子部51に形成されるものであり、酸素ポンプセルにおける一対の多孔質電極及び基準セルの一方の多孔質電極にそれぞれ電気的に接続されている。電極端子部34,35,36は、ヒータ53に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切る図示しないビア導体を介して発熱抵抗体パターンの両端及びNOx検知セルの一方の多孔質電極に各々接続されている。
【0026】
主体金具3は、図1に示すように、その外表面に自身を排気管に固定するためのネジ部3aを備えるとともに、その軸中心に貫通孔3bを有する筒状の部材である。なお、貫通孔3bには、径方向内側に突出する棚部3cが形成されている。主体金具3は、金属材料(例えば、ステンレスなど)で形成されている。
【0027】
主体金具3の貫通孔3bの内部には、検出素子5の径方向周囲を取り囲む状態で配置された環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたセラミックホルダ61と、同様な環状の滑石リング63と、同様な環状の絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成されたセラミックスリーブ67とが、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
【0028】
セラミックスリーブ67と主体金具3の後端部3dとの間には、加締パッキン69が配置されている。なお、主体金具3の後端部3dは、加締パッキン69を介してセラミックスリーブ67を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0029】
主体金具3の外周のうちネジ部3aの後端側には、環状のガスケット64が配置されている。ガスケット64は、ガスセンサ1とセンサ取付位置との間の隙間からのガス抜けを抑制するものである。
【0030】
素子プロテクタ9は、主体金具3の先端側の外周に、検出素子5の突出部分を覆うように溶接部9dによって取り付けられた筒状の部材である。素子プロテクタ9は、耐熱性材料(例えばSUS310Sなど)を用いて形成されている。素子プロテクタ9は、外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bを備える二重構造である。外部プロテクタ9aおよび内部プロテクタ9bは、それぞれ、側壁または先端において、ガスの通過が可能な複数の孔部9cが形成されている。
【0031】
絶縁セパレータ12は、先端側セパレータ13と、後端側セパレータ14とに分割可能に構成されている。
先端側セパレータ13は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された円柱状の部材であり、外筒11の内部に配置された筒状の保持金具73によって、外筒11の内部に保持されている。先端側セパレータ13の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔13bが形成されている。端子配置孔13bには、検出素子5の後端部(すなわち、電極端子部31,32,33,34,35,36)が収容されるとともに、電極端子部31,32,33,34,35,36に電気的に接続される複数の金属端子41の先端部(すなわち、先端側端子部材43)が収容されている。先端側セパレータ13は、その外表面に外向きに突出する環状の鍔部13cが設けられている。先端側セパレータ13は、鍔部13cが保持金具73に接触することで、外筒11の内部における軸線方向の設置位置が規定される。
【0032】
後端側セパレータ14は、絶縁性材料(例えばアルミナなど)を用いて形成された筒状の部材であり、外筒11の内部のうち閉塞部材15の先端側に配置されている。後端側セパレータ14の内部には、軸線方向に貫通する端子配置孔14aが複数箇所に形成されている。後端側セパレータ14は、複数の端子配置孔14aのそれぞれに金属端子41の後端部(すなわち、後端側端子部材45)を収容している。
【0033】
閉塞部材15は、可撓性材料(例えばフッ素樹脂)を用いて形成されたグロメットである。閉塞部材15は、外筒11の後端側開口部に配置されて、外筒11が外側から内側向きに加締められることで、外筒11に固定されている。閉塞部材15は、複数のリード線37を挿入するための複数の貫通孔15aを備えている。
【0034】
複数のリード線37は、それぞれ異なる金属端子41の後端側に、加締めによって接続されるとともに、閉塞部材15の貫通孔15aに挿入されて外部に延びている。
次に、金属端子41について説明する。
【0035】
上述したように、金属端子41は、先端側端子部材43と、後端側端子部材45とを備える。
先端側端子部材43は、高温に繰り返し晒されても弾性を保持可能な金属材料で構成されており、例えば、Niを主体とする合金材料(例えば、NCF718など)を用いて構成されている。先端側端子部材43は、図3に示すように、互いに形状が異なる先端側端子部材43aおよび先端側端子部材43bが設けられている。
【0036】
先端側端子部材43aは、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、本体部101と、メス型連結部102と、延設部103と、折曲部104と、素子接触部105とを備える。
【0037】
本体部101は、軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。
メス型連結部102は、2つの収容部102aと、2つの端子接触部102bとを備える。
【0038】
2つの収容部102aはそれぞれ、本体部101の後端側において、本体部101の両端部から本体部101における短手方向(すなわち、軸線方向に垂直な方向)に沿って延びて設けられており、2つの収容部102aと本体部101とにより、後述のオス型連結部132を包囲できる形状に形成される。これにより、メス型連結部102の後端側の端部において、後端側端子部材45を挿入するための挿入口102cが形成される。
【0039】
なお、メス型連結部102には、本体部101と対向する箇所に切欠部102dが形成されている。これにより、2つの収容部102aと本体部101とによりオス型連結部132を包囲する部分は、軸線方向に垂直な断面形状が、一ヶ所で切れ目を有する円となるように形成されている。
【0040】
2つの端子接触部102bは、2つの収容部102aのそれぞれに対応して設けられている。端子接触部102bは、収容部102aにおける切欠部102dの付近で収容部102aから軸線方向先端側に向けて延びて設けられており、先端側へ向かうにつれて径が小さくなるように、収容部102aとの連結部分で内側へ折り曲げられている。
【0041】
延設部103は、本体部101における短手方向に沿った両端部から延びて設けられている。延びる方向は本体部101の板面に対して略垂直な方向である。先端側端子部材43aは、延設部103を備えることにより、先端側端子部材43aの強度が向上する。
【0042】
折曲部104は、本体部101の先端側において、本体部101の板面に対して垂直な方向に折り曲げられて形成されており、本体部101と素子接触部105とを繋ぐ連結部分である。
【0043】
素子接触部105は、折曲部104を介して本体部101に連結されており、折曲部104の弾性変形により、本体部101との隙間寸法が変更可能に形成されている。
先端側端子部材43bは、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、本体部111と、メス型連結部112と、延設部113と、折曲部114と、素子接触部115とを備える。
【0044】
本体部111は、軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。
メス型連結部112は、メス型連結部102と同様に、2つの収容部112aと、2つの端子接触部112bとを備える。また、メス型連結部112の後端側の端部において、後端側端子部材45を挿入するための挿入口112cが形成される。また、メス型連結部112には、本体部111と対向する箇所に切欠部112dが形成されている。
【0045】
延設部113は、本体部111における短手方向に沿った一端部から延びて設けられている。延びる方向は本体部111の板面に対して略垂直な方向である。先端側端子部材43bは、延設部113を備えることにより、先端側端子部材43bの強度が向上する。
【0046】
折曲部114は、本体部111の先端側において、本体部111の板面に対して垂直な方向に折り曲げられて形成されており、本体部111と素子接触部115とを繋ぐ連結部分である。
【0047】
素子接触部115は、折曲部114を介して本体部111に連結されており、折曲部114の弾性変形により、本体部111との隙間寸法が変更可能に形成されている。
このように構成された先端側端子部材43a,43bはそれぞれ、素子接触部105,115が検出素子5の電極端子部31〜36と接触するにあたり、折曲部104,114の弾性変形により素子接触部105,115と検出素子5との接触状態を維持することができる。
【0048】
図4に示すように、先端側セパレータ13における後端側の端面13aには、先端側端子部材43を挿入するための6つの開口部13dが形成されている。図4の左図に示すように、先端側端子部材43aおよび先端側端子部材43bの何れか一方を開口部13dから先端側セパレータ13内に挿入する。これにより、図4の右図に示すように、先端側端子部材43a,43bはそれぞれ、メス型連結部102,112が端面13aから突出した状態で先端側セパレータ13に保持される。
【0049】
図5は、先端側端子部材43aと後端側端子部材45とを連結するために、先端側端子部材43aの挿入口102cに後端側端子部材45を挿入する直前の状態を示している。図5における矢印Diは、後端側端子部材45を挿入口102cへ挿入するときの挿入方向を示す。
【0050】
後端側端子部材45は、例えば、ステンレス合金(例えば、SUS304)を用いて構成されている。後端側端子部材45は、図5に示すように、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、信号線接続部131と、オス型連結部132とを備える。
【0051】
信号線接続部131は、曲げ加工により変形することで、リード線37の芯線37aを包囲可能な筒型形状となるように構成されている。なお、リード線37の芯線37aは、図5には示されておらず、図1に示されている。信号線接続部131は、内側にリード線37の芯線37aを配置した状態で径方向内向きに加締め加工されることで、リード線37の芯線37aと接続される。
【0052】
オス型連結部132は、信号線接続部131の先端側において、筒型形状に形成されるとともに、軸線方向に対して垂直な断面が有端環状となるように形成されている。オス型連結部132の外径寸法は、メス型連結部102の挿入口102cの内径よりも小さくなるように設定されている。またオス型連結部132は、先端側に縮径部141を備えている。縮径部141は、先端側に向かうに従い縮径する形状に形成されている。そして、縮径部141の先端側の端部141aにおける縮径部141の内径は、リード線37の芯線37aの直径より小さくなるように形成されている。
【0053】
このように構成された後端側端子部材45は、信号線接続部131がリード線37の芯線37aに電気的に接続されることで、リード線37を介して外部機器と電気的に接続される。
【0054】
そして、メス型連結部102の内部にオス型連結部132が挿入されることにより、先端側端子部材43aと後端側端子部材45とが連結される。同様に、メス型連結部112の内部にオス型連結部132が挿入されることにより、先端側端子部材43bと後端側端子部材45とが連結される。
【0055】
図6は、図1において一点鎖線で示す箇所の断面図である。図6に示すように、オス型連結部132の外径Doは、オス型連結部132が後端側セパレータ14の端子配置孔14a内に挿入されている状態においてオス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間の隙間間隔Ds1がリード線37の芯線37aの直径より小さくなるように形成されている。
【0056】
このように構成された金属端子41は、検出素子5と、リード線37とを備えたガスセンサ1に用いられる。また金属端子41は、電極端子部33,36からリード線37へ検出信号を伝達するために、軸線方向に延びる形状に形成されるとともに検出素子5よりも軸線方向の後端側に配置されて電極端子部33,36およびリード線37と電気的に接続される。検出素子5は、軸線方向に延びる長尺形状に形成されて軸線方向の先端側に検出部19を有するとともに軸線方向の後端側に検出部19の検出結果を示す検出信号を外部へ出力する電極端子部33,36を有する。リード線37は、検出信号を外部に出力するための信号経路を形成する。
【0057】
金属端子41は、検出素子5よりも軸線方向の後端側に配置されるとともに軸線方向に沿って貫通する端子配置孔14aを備える絶縁セパレータ12の端子配置孔14a内に収容されることにより、絶縁セパレータ12に保持される。
【0058】
金属端子41は、素子接触部105と、信号線接続部131と、オス型連結部132とを備える。素子接触部105は、電極端子部33,36に接触するように構成される。信号線接続部131は、素子接触部105よりも軸線方向の後端側に配置され、リード線37の芯線37aを加締め固定することにより、リード線37と電気的に接続される。オス型連結部132は、素子接触部105と信号線接続部131との間に配置され、内部に芯線37aを保持することができるように絶縁セパレータ12の端子配置孔14aの一部分を塞ぐように形成される。
【0059】
金属端子41では、オス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間に形成される隙間におけるオス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間の最大の距離が芯線37aの直径未満である。
【0060】
このように金属端子41では、信号線接続部131よりも先端側に配置されたオス型連結部132が、内部に芯線37aを保持することができるように絶縁セパレータ12の端子配置孔14aの一部分を塞ぐように形成されている。このため、金属端子41は、信号線接続部131から先端側に向けて落下した芯線屑がオス型連結部132の内部を通過して検出素子5に至る事態の発生を抑制することができる。さらに、本開示の金属端子41では、オス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間に形成される隙間におけるオス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間の最大の距離が芯線の直径未満である。このため、金属端子41は、信号線接続部131から先端側に向けて落下した芯線屑がオス型連結部132と端子配置孔14aの内周面との間の隙間を通過して検出素子5に至る事態の発生を抑制することができる。以上より、金属端子41は、芯線屑に起因してガスセンサ1の内部で短絡が発生するのを抑制し、ガスセンサ1内部の絶縁性を向上させることができる。
【0061】
また金属端子41は、素子接触部105を備える先端側端子部材43aと、先端側端子部材43aよりも軸線方向の後端側に配置されて信号線接続部131を備える後端側端子部材45とに分離可能に形成される。そして、先端側端子部材43aは、素子接触部105よりも軸線方向の後端側に配置されて後端側端子部材45と連結するためのメス型連結部102を備える。後端側端子部材45は、信号線接続部131よりも軸線方向の先端側に配置されて先端側端子部材43aと連結するためのオス型連結部132を備える。そして、オス型連結部132は、軸線方向に対して垂直方向の断面が有端環状となるように筒状に形成されるとともに、オス型連結部132における後端側から先端側に向かうに従って内径が小さくなるように形成される。そして、オス型連結部132の先端側の端部141aにおける内径は芯線37aの直径より小さい。
【0062】
これにより、金属端子41は、信号線接続部131から先端側に向けて落下した芯線屑がオス型連結部132の内部を通過して検出素子5に至る事態の発生を抑制することができる。
【0063】
またガスセンサ1は、絶縁セパレータ12よりも軸線方向の後端側に配置されてリード線37が挿入される閉塞部材15を備え、信号線接続部131は、絶縁セパレータ12の内部に収容される。このように、信号線接続部131が絶縁セパレータ12の内部に収容されているため、信号線接続部131が閉塞部材15と接触してしまう事態の発生を抑制することができる。これにより、金属端子41は、信号線接続部131と閉塞部材15との接触に起因した閉塞部材15の破損を抑制することができる。
【0064】
なお、金属端子41はセンサ用金属端子に相当し、電極端子部33,36は電極端子部に相当し、検出素子5はセンサ素子に相当し、リード線37は信号線に相当し、ガスセンサ1はセンサに相当する。
【0065】
また、絶縁セパレータ12はセパレータに相当し、端子配置孔14aは貫通孔に相当し、素子接触部105は端子接触部に相当し、オス型連結部132は閉塞部に相当し、メス型連結部102は先端側連結部に相当し、オス型連結部132は後端側連結部に相当する。
【0066】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記実施形態では、金属端子41が先端側端子部材43と後端側端子部材45とに分割される形態を示したが、金属端子が単一部材で構成されるようにしてもよい。例えば、図7に示すように、金属端子150は、長尺薄板状の金属材料を折曲加工して形成されており、本体部151と、信号線接続部152と、閉塞部153と、折曲部154と、素子接触部155とを備える。
【0067】
本体部151は、軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。信号線接続部152は、収容部161,162を備える。収容部161,162はそれぞれ、本体部151の後端側において、本体部151の両端部から本体部151における短手方向(すなわち、軸線方向に垂直な方向)に沿って延びて設けられている。延びる方向は本体部151の板面に対して略垂直な方向である。信号線接続部152は、曲げ加工により、収容部161,162と本体部151とによりリード線37の芯線37aを包囲できる形状に変形する。
【0068】
閉塞部153は、延設部171,172と折曲部173とを備える。延設部171,172は、本体部151における短手方向に沿った両端部から延びて設けられている。延びる方向は本体部151の板面に対して略垂直な方向である。折曲部173は、延設部172の先端側において、延設部172の板面に対して垂直な方向に折り曲げられて形成される。そして閉塞部153は、折曲部173と延設部171の先端部との間に形成される隙間の隙間間隔Ds2がリード線37の芯線37aの直径より小さくなるように形成されている。さらに閉塞部153は、金属端子150が絶縁セパレータの端子配置孔内に挿入されている状態において閉塞部153と端子配置孔の内周面との間の隙間間隔がリード線37の芯線37aの直径より小さくなるように形成されている。なお、閉塞部153と端子配置孔の内周面との間の隙間間隔とは、延設部171,172と折曲部173及び本体部151を軸線方向に投影した領域と端子配置孔の内周面との間の隙間間隔の意味である。
【0069】
折曲部154は、本体部151の先端側において、本体部151の板面に対して垂直な方向に折り曲げられて形成されており、本体部151と素子接触部155とを繋ぐ連結部分である。
【0070】
素子接触部155は、折曲部154を介して本体部151に連結されており、折曲部154の弾性変形により、本体部151との隙間寸法が変更可能に形成されている。
なお、金属端子150はセンサ用金属端子に相当し、素子接触部155は端子接触部に相当する。
【0071】
上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0072】
1…ガスセンサ、5…検出素子、12…絶縁セパレータ、14a…端子配置孔、19…検出部、33,36…電極端子部、37…リード線、37a…芯線、41…金属端子、105…素子接触部、131…信号線接続部、132…オス型連結部、150…金属端子、152…信号線接続部、153…閉塞部、155…素子接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7