(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885843
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20210603BHJP
B62L 3/08 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
B60T13/74 G
B62L3/08
【請求項の数】31
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-205537(P2017-205537)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-77328(P2019-77328A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 高史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】名合 大輔
【審査官】
的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−030395(JP,A)
【文献】
特開2002−154414(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0311491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
8/32−8/96
13/00−13/74
B62L 1/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの制動操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記制動操作に関わらず前記駆動部を駆動させない第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への前記制動操作とは異なる入力に関する設定情報に基づいて前記第2モードを前記第1モードに切り替える、ブレーキシステム。
【請求項2】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの制動操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記制動操作に関わらず前記駆動部の待機状態を維持する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への前記制動操作とは異なる入力に関する設定情報に基づいて前記第2モードを前記第1モードに切り替える、ブレーキシステム。
【請求項3】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの制動操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記第1モードよりも消費電力が小さくなるように前記駆動部を制御する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への前記制動操作とは異なる入力に関する設定情報に基づいて前記第2モードを前記第1モードに切り替える、ブレーキシステム。
【請求項4】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部を駆動させない第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、前記駆動部を駆動するために人手によって操作されるレバーを含む操作部の操作状態に関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項5】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部の待機状態を維持する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、前記駆動部を駆動するために人手によって操作されるレバーを含む操作部の操作状態に関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項6】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、第1モード、および、前記第1モードよりも消費電力が小さくなるように前記駆動部を制御する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、前記駆動部を駆動するために人手によって操作されるレバーを含む操作部の操作状態に関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項7】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部を駆動させない第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、補助装置およびブレーキシステムのオンとオフとを切り替える複数のボタンのオンおよびオフに関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項8】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部の待機状態を維持する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、補助装置およびブレーキシステムのオンとオフとを切り替える複数のボタンのオンおよびオフに関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項9】
人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、第1モード、および、前記第1モードよりも消費電力が小さくなるように前記駆動部を制御する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替え、
前記設定情報は、補助装置およびブレーキシステムのオンとオフとを切り替える複数のボタンのオンおよびオフに関する情報を含む、ブレーキシステム。
【請求項10】
前記設定情報は、前記駆動部を駆動するために人手によって操作される操作部の操作状態に関する第5情報を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記操作部への操作がない非操作状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項10に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記操作部が操作されることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項10または11に記載のブレーキシステム。
【請求項13】
前記設定情報は、前記人力駆動車の振動に関する第1情報を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記人力駆動車の静止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項13に記載のブレーキシステム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記人力駆動車が振動することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項13または14に記載のブレーキシステム。
【請求項16】
前記設定情報は、前記回転体の回転に関する第2情報を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記回転体の回転停止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項16に記載のブレーキシステム。
【請求項18】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記回転体が回転することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項16または17に記載のブレーキシステム。
【請求項19】
前記設定情報は、人力駆動力が入力されるクランクの回転に関する第3情報を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項20】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記クランクの回転停止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項19に記載のブレーキシステム。
【請求項21】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記クランクが回転することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項19または20に記載のブレーキシステム。
【請求項22】
前記設定情報は、前記人力駆動車におけるユーザの乗車に関する第4情報を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項23】
前記第4情報は、前記ユーザの重量を含む前記人力駆動車の総重量に関する情報を含む、請求項22に記載のブレーキシステム。
【請求項24】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記総重量が減少することによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項23に記載のブレーキシステム。
【請求項25】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記総重量が増加することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項23または24に記載のブレーキシステム。
【請求項26】
前記設定情報は、人力駆動車の施錠装置に関する第6情報を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項27】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記施錠装置がロック状態になることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項26に記載のブレーキシステム。
【請求項28】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記施錠装置がアンロック状態になることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項26または27に記載のブレーキシステム。
【請求項29】
前記設定情報は、前記ブレーキシステムに接続されるスイッチのオンおよびオフに関する第7情報を含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項30】
前記制御部は、前記第1モードにおいて前記スイッチがオフされることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える、請求項29に記載のブレーキシステム。
【請求項31】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記スイッチがオンされることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える、請求項29または30に記載のブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に適用されるブレーキシステムとして、例えば、特許文献1に記載のブレーキシステムが知られている。このブレーキシステムは、人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部、および、駆動部を制御する制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−30395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキシステムの駆動部の消費電力を低減できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従うブレーキシステムの一形態は、人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部を駆動させない第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替える。
設定情報に基づいて第2モードが選択されている場合、駆動部が駆動しないため、駆動部の消費電力を低減できる。
【0006】
本発明の第2側面に従うブレーキシステムの一形態は、人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザの操作に応じて前記駆動部を駆動させる第1モード、および、前記ユーザの操作に関わらず前記駆動部の待機状態を維持する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替える。
設定情報に基づいて第2モードが選択されている場合、駆動部が待機状態を維持するため、駆動部の消費電力を低減できる。
【0007】
本発明の第3側面に従うブレーキシステムの一形態は、人力駆動車の回転体を制動するように電力によって駆動される駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1モード、および、前記第1モードよりも消費電力が小さくなるように前記駆動部を制御する第2モード、を含む複数の制御モードを有し、前記人力駆動車への入力に関する設定情報に基づいて前記複数の制御モードを切り替える。
設定情報に基づいて第2モードが選択されている場合、第1モードが選択されている場合よりも駆動部の消費電力を低減できる。
【0008】
前記第1〜第3側面のいずれか1つに従う第4側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、前記人力駆動車の振動に関する第1情報を含む。
このため、人力駆動車の振動に基づいて人力駆動車の非駆動状態(静止状態)を認識することによって、複数の制御モードを好適に切り替えることができる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記人力駆動車の静止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非駆動状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0010】
前記第4または前記第5側面に従う第6側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記人力駆動車が振動することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0011】
前記第1〜前記第6側面のいずれか1つに従う第7側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、前記回転体の回転に関する第2情報を含む。
このため、回転体の回転に基づいて人力駆動車の非駆動状態(静止状態)を認識することによって、複数の制御モードを好適に切り替えることができる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記回転体の回転停止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非駆動状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0013】
前記第7または前記第8側面に従う第9側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記回転体が回転することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0014】
前記第1〜前記第9側面のいずれか1つに従う第10側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、人力駆動力が入力されるクランクの回転に関する第3情報を含む。
このため、クランクの回転に基づいて人力駆動車の非駆動状態(静止状態)を認識することによって、複数の制御モードを好適に切り替えることができる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記クランクの回転停止状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非駆動状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0016】
前記第10または前記第11側面に従う第12側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記クランクが回転することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0017】
前記第1〜前記第12側面のいずれか1つに従う第13側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、前記人力駆動車におけるユーザの乗車に関する第4情報を含む。
このため、ユーザの乗車の有無に基づいて複数の制御モードを好適に切り替えることができる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面のブレーキシステムにおいて、前記第4情報は、前記ユーザの重量を含む前記人力駆動車の総重量に関する情報を含む。
このため、人力駆動車の総重量に関する情報に基づいてユーザの乗車の有無を容易に判別できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記総重量が減少することによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非乗車状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0020】
前記第14または第15側面に従う第16側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記総重量が増加することによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非乗車状態から乗車状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0021】
前記第1〜前記第16側面のいずれか1つに従う第17側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、前記駆動部を駆動するために人手によって操作される操作部の操作状態に関する第5情報を含む。
このため、操作部の操作態様に基づいてユーザの乗車の有無を認識することによって、複数の制御モードを好適に切り替えることができる。
【0022】
前記第17側面に従う第18側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記操作部への操作がない非操作状態が所定時間を超えることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非乗車状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0023】
前記第17または前記第18側面に従う第19側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記操作部が操作されることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非乗車状態から乗車状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0024】
前記第1〜前記第19側面のいずれか1つに従う第20側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、人力駆動車の施錠装置に関する第6情報を含む。
このため、人力駆動車の施錠状態に基づいて人力駆動車の非駆動状態(静止状態)を認識することによって、複数の制御モードを切り替えることができる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記施錠装置がロック状態になることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、非駆動状態の人力駆動車において、駆動部の消費電力を低減できる。
【0026】
前記第20または前記第21側面に従う第22側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記施錠装置がアンロック状態になることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0027】
前記第1〜前記第22側面のいずれか1つに従う第23側面のブレーキシステムにおいて、前記設定情報は、前記ブレーキシステムに接続されるスイッチのオンおよびオフに関する第7情報を含む。
このため、ユーザによる入力に基づいて複数の制御モードを切り替えることができる。
【0028】
前記第23側面に従う第24側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第1モードにおいて前記スイッチがオフされることによって、前記第1モードを前記第2モードに切り替える。
このため、スイッチがオフのときの駆動部の消費電力を低減できる。
【0029】
前記第23または前記第24側面に従う第25側面のブレーキシステムにおいて、前記制御部は、前記第2モードにおいて前記スイッチがオンされることによって、前記第2モードを前記第1モードに切り替える。
このため、制御部の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に関するブレーキシステムは、駆動部の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態のブレーキシステムが適用される人力駆動車の側面図。
【
図3】第1制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】第2制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施形態)
図1を参照して、ブレーキシステム10を含む人力駆動車Aについて説明する。人力駆動車Aは、ブレーキシステム10を含む。ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する補助装置Cを含む自転車(e−bike)である。より具体的には、図示される人力駆動車Aは、シティサイクルである。人力駆動車Aの構成は、任意に変更可能である。人力駆動車Aは、補助装置Cを省いて構成できる。人力駆動車Aの種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、または、クロスバイクであってもよい。人力駆動車Aは、本体A1、ハンドルバーA2、フロントホイールA3、リアホイールA4、駆動機構B、補助装置C、バッテリD、および、ブレーキシステム10を備える。本体A1はフレームA7を備える。
【0033】
駆動機構Bは、人力駆動力をリアホイールA4に伝達する。駆動機構Bは、チェーンドライブタイプに構成され、フロントスプロケットB1、リアスプロケットB2、チェーンB3、クランク機構E、および、一対のペダルB4を含む。なお、駆動機構Bは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0034】
クランク機構Eは、クランクE1、右クランクE2、および、左クランクE3を含む。クランクE1は、フレームA7に設けられるボトムブラケットに回転可能に支持される。右クランクE2および左クランクE3は、それぞれクランクE1に連結される。一対のペダルB4の一方は右クランクE2に回転可能に支持される。一対のペダルB4の他方(図示略)は左クランクE3に回転可能に支持される。
【0035】
フロントスプロケットB1は、クランクE1に連結される。クランクE1およびフロントスプロケットB1は、同軸を有する。クランクE1とフロントスプロケットB1との連結に関する構造は、任意に選択可能である。クランクE1とフロントスプロケットB1との間にワンウェイクラッチ(図示略)が設けられる。ワンウェイクラッチは、前転するクランクE1の回転速度がフロントスプロケットB1の回転速度よりも速い場合にクランクE1の回転をフロントスプロケットB1に伝達する。なお、フロントスプロケットB1とクランクE1とは、相対回転不能に連結されていてもよい。
【0036】
リアスプロケットB2は、リアホイールA4に回転可能に支持される。チェーンB3は、フロントスプロケットB1およびリアスプロケットB2に巻き掛けられる。一対のペダルB4に加えられる人力駆動力によってクランクE1およびフロントスプロケットB1が前転する場合、チェーンB3およびリアスプロケットB2を介して伝達される人力駆動力によってリアホイールA4が前転する。
【0037】
補助装置Cは、補助モータC1、駆動回路C2、減速機C3、および、ワンウェイクラッチ(図示略)を含む。補助装置Cは、フロントスプロケットB1にトルクを伝達することによって人力駆動車Aの推進をアシストする。バッテリDは、補助モータC1に電力を供給する。バッテリDは、フレームA7に設けられる。
【0038】
図2に示されるように、人力駆動車A(自転車A)は、さらに、操作部H、振動センサI、ホイール回転センサJ、クランク回転センサK、荷重センサL、施錠装置M、および、スイッチNを備える。
【0039】
操作部Hは、ブレーキシステム10の駆動部12を駆動するために人手によって操作される。操作部Hは、例えば、レバーを含む操作装置である。操作部Hは、レバーの操作に応じた信号をブレーキシステム10に送信できるように、ブレーキシステム10と通信可能に接続される。操作部Hは、PLC(Power Line Communication)が可能な電線、または、通信線によって、ブレーキシステム10と通信可能に接続される。なお、操作部Hは、無線通信が可能な無線通信ユニットによってブレーキシステム10と通信可能に接続されてもよい。操作部Hが操作された場合、フロントホイールA3、および、リアホイールA4の少なくとも一方を制動するための信号がブレーキシステム10の制御部14に送信され、その信号に応じて駆動部12が動作する。
【0040】
振動センサIは、人力駆動車Aに生じる振動を検出する。振動の大きさの一例は、振動レベル(dB)である。振動センサIは、例えば、人力駆動車AのフレームA7に設けられる。振動センサIは、例えば、加速度センサ、速度センサ、および、変位センサである。振動センサIは、有線または無線によって制御部14と通信可能に接続される。制御部14は、振動センサIの出力に基づいて、人力駆動車Aの振動の大きさを算出する。好ましくは、制御部14は、人力駆動車Aの上下方向(縦方向)の振動、および、人力駆動車の左右方向(横方向)の振動の少なくともいずれか一方の大きさを算出する。
【0041】
ホイール回転センサ(ロータ回転センサ)Jは、人力駆動車AのフロントホイールA3およびリアホイールA4の少なくともいずれか一方の回転(回転速度)を検出する。ホイール回転センサJは、有線または無線によって制御部14と通信可能に接続される。ホイール回転センサJは、この実施形態では、フレームA7のフロントフォークA8、およびフレームA7のシートステイにそれぞれ取り付けられる。ホイール回転センサJは、制御部14と有線または無線によって通信可能に接続される。ホイール回転センサJは、フロントホイールA3に取り付けられる磁石とホイール回転センサJとの相対位置の変化に応じた信号をブレーキシステム10の制御部14に出力する。制御部14は、この信号に基づいて人力駆動車Aの車速を算出する。これによって、回転体Fの回転の有無を検出できる。また、ホイール回転センサJは、リアホイールA4に取り付けられる磁石とホイール回転センサJとの相対位置の変化に応じた信号をブレーキシステム10の制御部14に出力する。制御部14は、フロントホイールA3とリアホイールA4との相対回転速度に基づいて、人力駆動車Aの回転体Fに対する制動力を調整するように駆動部12の電気モータ18(後述)を制御する。具体的には、フロントホイールA3およびリアホイールA4の一方の回転速度が、フロントホイールA3およびリアホイールA4の他方の回転速度に対して所定値以上遅い場合、フロントホイールA3およびリアホイールA4の一方に対する制動を一時的(間欠的)に解除するように、制御部14は前後の駆動部12を制御する。つまり、制御部14は、前後の駆動部12をABS(Antilock Brake System)制御するように構成される。この実施形態では、回転体Fは、人力駆動車AのフロントホイールA3およびリアホイールA4に設けられるディスクブレーキロータ(以下「ロータ」)である。なお、ホイール回転センサJは、回転体Fであるロータの回転を検出するように、駆動部12等に設けられてもよい。
【0042】
クランク回転センサKは、クランクE1(
図1参照)の回転速度および回転角度を検出する。クランク回転センサKは、人力駆動車AのフレームA7に取り付けられる。クランク回転センサKは、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。クランク回転センサKは、制御部14と有線または無線によって通信可能に接続される。クランク回転センサKは、クランクE1の回転速度および回転角度に応じた信号を制御部14に出力する。
【0043】
荷重センサLはユーザの重量を含む人力駆動車Aの総重量を検出する。人力駆動車Aの総重量は、人力駆動車Aの重量、および、人力駆動車Aに乗車するユーザの重量を含む。荷重センサLはフロントホイールA3、または、リアホイールA4の荷重を検出する。荷重センサLは、例えば、フロントホイールA3の車軸A5、または、リアホイールA4の車軸A6に設けられる。荷重センサLは、例えば、ロードセルである。荷重センサLは、有線または無線によって制御部14と通信可能に接続される。荷重センサLはフロントホイールA3またはリアホイールA4から荷重センサLに加えられる圧力に応じた信号を制御部14に出力する。なお、荷重センサLを用いて、人力駆動車AのハンドルバーA2、ペダルB4、および、サドルA9の荷重を検出するようにしてもよい。この場合、予め規定される人力駆動車Aの重量と、荷重センサにより検出されるハンドルバーA2の荷重、ペダルB4の荷重、および、サドルA9の荷重との和を後述する第4情報として用いることもできる。
【0044】
施錠装置Mは、リアホイールA4のロックおよびアンロックを切り替える。施錠装置Mは、有線または無線によって制御部14と通信可能に接続される。施錠装置Mは、例えば、フレームA7のシートステイに取り付けられる。施錠装置MはリアホイールA4のロックおよびアンロックに応じた信号を制御部14に出力する。
【0045】
スイッチNは、補助装置Cおよびブレーキシステム10のオンとオフとを切り替える複数のボタンを含む。スイッチNは、補助装置Cおよびブレーキシステム10と通信可能に接続される。なお、スイッチNは、無線通信が可能な無線通信ユニットによって補助装置Cおよびブレーキシステム10と通信可能に接続されてもよい。スイッチNは、例えば、ハンドルバーA2(
図1参照)に設けられる。
【0046】
図2に示されるように、ブレーキシステム10は、駆動部12および制御部14を備える。ブレーキシステム10は、好ましくは、電源16をさらに備える。
【0047】
駆動部12は、人力駆動車Aの回転体F(
図1参照)を制動するように電力によって駆動される。また、駆動部12は、人力駆動車Aの回転体Fに対する制動力を調整するように電力によって駆動される。つまり、駆動部12は、ABS(Antilock Brake System)ユニットとしての機能を有する。この実施形態では、フロントホイールA3およびリアホイールA4にそれぞれ対応する一対の駆動部12が設けられる。操作部Hおよび制御部14は、前後の駆動部12に対応して一対のレバーを含むように構成されてもよいし、一つのレバーによって前後の駆動部12を操作するように構成されてもよい。駆動部12は、電気モータ18および制動部20を備える。電気モータ18は、電源16から供給される電力によって動作する。この実施形態では、制動部20は、ロータである人力駆動車Aの回転体F(
図1参照)を制動するディスクブレーキキャリパである。制動部20は、人力駆動車AのフロントホイールA3およびリアホイールA4のリムG(
図1参照)をそれぞれ制動するリムブレーキキャリパであってもよい。
【0048】
制動部20は、第1摩擦部材22、第2摩擦部材24、第1進退機構26、および、第2進退機構28を備える。第1摩擦部材22および第2摩擦部材24は、例えば、ディスクブレーキパッドである。第1摩擦部材22は、回転体Fの一方の面と対向するように設けられる。第1摩擦部材22は、第1進退機構26によって回転体Fの一方の面に押圧されることによって、回転体Fを制動する。第2摩擦部材24は、回転体Fの他方の面と対向するように設けられる。第2摩擦部材24は、回転体Fを介して第1摩擦部材22と対向するように設けられる。第2摩擦部材24は、第2進退機構28によって回転体Fの他方の面に押圧されることによって、回転体Fを制動する。第1進退機構26は、第1摩擦部材22を回転体Fに対して進退させる。第2進退機構28は、第2摩擦部材24を回転体Fに対して進退させる。この実施形態では、電気モータ18と制動部20とが一体的に設けられることによって駆動部(制動装置)12が構成される。制動部20の第1進退機構26および第2進退機構は、電気モータ18によって直接的に駆動される。必要であれば、電気モータ18と制動部20とを互いに離間して設け、制動部20を電気モータ18によって間接的に駆動するようにしてもよい。この場合、電気モータ18の動力伝達媒体として、作動油またはケーブル(ボーデンケーブル)が用いられる。作動油を動力伝達媒体として用いる場合、ポンプが電気モータ18によって駆動される。また、ケーブルを動力伝達媒体として用いる場合、ギアを含むケーブル巻取・送り出し機構が電気モータ18によって駆動される。
【0049】
電源16は、ブレーキシステム10および補助装置Cに電力を供給する。電源16の構成は、任意に選択可能である。例えば、電源16は、二次電池を含む。電源16が二次電池である場合、
図1に一点鎖線で示されるように、電源16は、本体A1の任意の箇所に設けられる。別の例では、電源16は、人力駆動車Aの走行に伴って発電する発電装置を含む。発電装置の一例は、ダイナモである。電源16がダイナモである場合、電源16は、例えば、フロントホイールA3に設けられるハブダイナモである。
【0050】
制御部14は、駆動部12を制御する。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)等を含む演算部と、半導体メモリーおよびハードディスクドライブ等を含む記憶部と、を有する。制御部14は、ユーザの操作に応じて駆動部12を駆動させる第1モード、および、ユーザの操作に関わらず駆動部12を駆動させない第2モード、を含む複数の制御モードを有する。第2モードは、ユーザの操作に関わらず駆動部12の待機状態を維持する待機モード(スリープモード)である。言い換えると、制御部14は、ユーザの操作に応じて駆動部12を駆動させる第1モード、および、ユーザの操作に関わらず駆動部12の待機状態を維持する第2モード、を含む複数の制御モードを有する。このような第2モード(待機モード)は、制御モードが第1モードに切り替わった場合に、ユーザによる操作部Hの操作に応じて速やかに駆動部12を駆動できるように、駆動部12に低電力が供給されている状態であってもよい。また、第2モードは、第1モードよりも人力駆動車Aの消費電力が小さくなる低消費電力モードである。言い換えると、制御部14は、第1モード、および、第1モードよりも消費電力が小さくなるように駆動部12を制御する第2モード、を含む複数の制御モードを有する。制御部14は、人力駆動車Aへの入力に関する設定情報に基づいて複数の制御モードを切り替える。制御部14において、第1モードおよび第2モードを含む複数の制御モードを実行するためのプログラムは、記憶部に格納される。第1モードおよび第2モードを含む複数の制御モードは、このプログラムを演算部が記憶部で展開および実行することによって実現される。
【0051】
設定情報は、第1情報〜第7情報を含む。第1情報は、人力駆動車Aの振動に関する情報を含む。制御部14は、第1モードにおいて人力駆動車Aの静止状態が所定時間TAを超えることによって、第1モードを第2モードに切り替える。つまり、制御部14は、人力駆動車Aの振動に基づいて人力駆動車の非駆動状態(静止状態)を認識することによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、非駆動状態の人力駆動車Aにおいて駆動部12の消費電力を低減できる。人力駆動車Aの静止状態(非駆動状態)は、振動センサIにより人力駆動車Aの振動が検出されていない状態である。所定時間TAは、人力駆動車Aの振動が検出されていないことによって、人力駆動車Aに非駆動状態であると判定できる時間である。制御部14は、第2モードにおいて人力駆動車Aが振動することによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0052】
第2情報は、回転体Fの回転に関する情報を含む。制御部14は、第1モードにおいて回転体Fの回転停止状態が所定時間TBを超えることによって、第1モードを第2モードに切り替える。つまり、制御部14は、回転体Fの回転に基づいて人力駆動車Aの非駆動状態(静止状態)を認識することによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、非駆動状態の人力駆動車Aにおいて駆動部12の消費電力を低減できる。人力駆動車Aの静止状態(非駆動状態)は、ホイール回転センサJにより検出される回転体Fの回転速度が0の状態である。所定時間TBは、回転体Fの回転速度が0であることによって、人力駆動車Aが静止(停止)していると判定できる時間である。制御部14は、第2モードにおいて回転体Fが回転することによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0053】
第3情報は、人力駆動力が入力されるクランクE1の回転に関する情報を含む。制御部14は、第1モードにおいてクランクE1の停止状態が所定時間TCを超えることによって、第1モードを第2モードに切り替える。つまり、制御部14は、クランクE1の回転に基づいて人力駆動車Aの非駆動状態(静止状態)を認識することによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、非駆動状態の人力駆動車Aにおいて駆動部12の消費電力を低減できる。人力駆動車Aの静止状態(非駆動状態)は、クランク回転センサKにより検出されるクランクE1の回転速度が0の状態である。所定時間TCは、クランクE1の回転速度が0であることによって、ユーザが人力駆動車Aに乗っていないと判定できる時間である。制御部14は、第2モードにおいてクランクE1が回転することによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0054】
第4情報は、人力駆動車Aにおけるユーザの乗車に関する情報を含む。このため、ユーザの乗車の有無に基づいて複数の制御モードを好適に切り替えることができる。第4情報は、ユーザの重量を含む人力駆動車Aの総重量WAに関する情報を含む。このため、人力駆動車Aの総重量WAに関する情報に基づいて、ユーザの乗車の有無を容易に判別できる。制御部14は、第1モードにおいて総重量WAが減少することによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、非乗車状態の人力駆動車Aにおいて、駆動部12の消費電力を低減できる。制御部14は、第2モードにおいて総重量WAが増加することによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非乗車状態から乗車状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0055】
第5情報は、駆動部12を駆動するために人手によって操作される操作部Hの操作状態に関する情報を含む。このため、操作部Hの操作態様に基づいてユーザの乗車の有無を認識することによって、複数の制御モードを好適に切り替えることができる。制御部14は、第1モードにおいて操作部Hへの操作がない非操作状態が所定時間TDを超えることによって、第1モードを第2モードに切り替える。非操作状態は、操作部Hが制御部14に信号を出力していない状態である。所定時間TDは、操作部Hが信号を出力していないことにより、人力駆動車Aが静止(停止)していると判定できる時間である。このため、非乗車状態の人力駆動車において、駆動部12の消費電力を低減できる。制御部14は、第2モードにおいて操作部Hが操作されることによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非乗車状態から乗車状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0056】
第6情報は、人力駆動車Aの施錠装置Mに関する情報を含む。このため、人力駆動車Aの施錠状態に基づいて人力駆動車Aの非駆動状態(静止状態)を認識することによって、複数の制御モードを切り替えることができる。制御部14は、第1モードにおいて施錠装置Mがロック状態になることによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、非駆動状態の人力駆動車Aにおいて、駆動部12の消費電力を低減できる。制御部14は、第2モードにおいて施錠装置Mがアンロック状態になることによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、非駆動状態から駆動状態への移行に伴って、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0057】
第7情報は、ブレーキシステム10に接続されるスイッチNのオンおよびオフに関する情報を含む。このため、ユーザによる入力に基づいて複数の制御モードを切り替えることができる。制御部14は、第1モードにおいてスイッチNがオフされることによって、第1モードを第2モードに切り替える。このため、スイッチNがオフのときの駆動部12の消費電力を低減できる。制御部14は、第2モードにおいてスイッチNがオンされることによって、第2モードを第1モードに切り替える。このため、制御部14の制御モードを第2モードから第1モードに容易に切り替えることができる。
【0058】
制御部14は、設定情報に基づいて、第1制御および第2制御を実行する。第1制御は、第1モードが選択されている状態において繰り返し実行される制御である。第2制御は、第2モードが選択されている状態において繰り返し実行される制御である。なお、第1制御および第2制御において、設定情報に含まれる第1情報〜第7情報のうちのいずれかの情報に基づく第1モードと第2モードとの切り替えを省略することができる。
【0059】
図3を参照して、第1制御の一例について説明する。
制御部14は、ステップS11において、振動センサIの出力に基づいて、人力駆動車Aの静止状態が所定時間TAを超えたか否かを判定する。ステップS11が否定判定の場合、制御部14は、ステップS12において、ホイール回転センサJの出力に基づいて、回転体Fの回転停止状態が所定時間TBを超えたか否かを判定する。ステップS12が否定判定の場合、制御部14は、ステップS13において、クランク回転センサKの出力に基づいて、クランクE1の回転停止状態が所定時間TCを超えたか否かを判定する。ステップS13が否定判定の場合、制御部14は、ステップS14において、荷重センサLの出力に基づいて、人力駆動車Aの総重量WAが減少したか否かを判定する。ステップS14が否定判定の場合、制御部14は、ステップS15において、操作部Hの出力に基づいて、非操作状態が所定時間TDを超えたか否かを判定する。ステップS15が否定判定の場合、制御部14は、ステップS16において、施錠装置Mの出力に基づいて、施錠装置Mがロック状態になったか否かを判定する。ステップS16が否定判定の場合、制御部14は、ステップS17において、スイッチNの出力に基づいて、スイッチNがオフされたか否かを判定する。ステップS17が否定判定の場合、制御部14は、ステップS18において、第1モードを維持する。制御部14は、ステップS11〜S18のいずれかが肯定判定の場合、ステップS19において、制御モードを第2モードに切り替える。
【0060】
図4を参照して、第2制御の一例について説明する。
制御部14は、ステップS21において、振動センサIの出力に基づいて、人力駆動車Aが振動したか否かを判定する。ステップS21が否定判定の場合、制御部14は、ステップS22において、ホイール回転センサJの出力に基づいて、回転体Fが回転したか否かを判定する。ステップS22が否定判定の場合、制御部14は、ステップS23において、クランク回転センサKの出力に基づいて、クランクE1が回転したか否かを判定する。ステップS23が否定判定の場合、制御部14は、ステップS24において、荷重センサLの出力に基づいて、人力駆動車Aの総重量WAが増加したか否かを判定する。ステップS24が否定判定の場合、制御部14は、ステップS25において、操作部Hの出力に基づいて、操作部Hが操作されたか否かを判定する。ステップS25が否定判定の場合、制御部14は、ステップS26において、施錠装置Mの出力に基づいて、施錠装置Mがアンロック状態になったか否かを判定する。ステップS26が否定判定の場合、制御部14は、ステップS27において、スイッチNの出力に基づいて、スイッチNがオンされたか否かを判定する。ステップS27が否定判定の場合、制御部14は、ステップS28において、第2モードを維持する。制御部14は、ステップS21〜S28のいずれかが肯定判定の場合、ステップS29において、制御モードを第1モードに切り替える。
【0061】
ブレーキシステム10によれば、次のような作用および効果が得られる。設定情報に基づいて第2モードが選択されている場合、駆動部12が駆動されないため、消費電力を低減できる。
【0062】
(変形例)
上記実施形態は、本発明に関するブレーキシステムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するブレーキシステムは、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0063】
・制御部14の構成は任意に変更可能である。変形例の制御部14は、一方の駆動部12を制御する第1制御部、および、他方の駆動部12を制御する第2制御部を含む。第1制御部は、設定情報に基づいて一方の駆動部12の複数の制御モードを切り替える。第2制御部は、設定情報に基づいて他方の駆動部12の複数の制御モードを切り替える。第1制御部と第2制御部とは有線または無線により通信可能に接続される。
・ブレーキシステム10の2つの駆動部12のうちの一方または他方を省略することもできる。
・1つの電気モータ18により2つの駆動部12の制動部20をそれぞれ駆動することもできる。
【0064】
・上記実施形態では自転車である人力駆動車Aに本発明に関するブレーキシステムを適用する場合について例示したが、本発明に関するブレーキシステムは、自転車に限らず任意の人力駆動車に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…ブレーキシステム、12…駆動部、14…制御部、A…人力駆動車、E1…クランク、F…回転体、H…操作部、M…施錠装置、N…スイッチ。