(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、以下の態様を包含する。
(i)ポリイソシアネート化合物と反応させて現場吹き付け用発泡性ポリウレタン組成物を得るためのポリオール組成物であって、ポリオール化合物と、難燃剤と、触媒とを含有し、前記難燃剤として赤リンを含むことを特徴とするポリオール組成物、
(ii)上記ポリオール組成物及びポリイソシアネート化合物を分離して含むことを特徴とする現場吹き付け用発泡性ポリウレタンプレミックス組成物、
(iii)上記ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物との混合物であることを特徴とする現場吹き付け用発泡性ポリウレタン組成物、
(iv)上記現場吹き付け用発泡性ウレタン樹脂組成物を基材に吹付けるステップを含有する、難燃構造の製造方法及び
(v)鉄鋼またはコンクリートである基材上に、上記現場吹き付け用発泡性ウレタン樹脂組成物が硬化した発泡ウレタンが積層した難燃構造。
【0021】
本発明のポリオール組成物はポリオール、ポリオール化合物と、難燃剤と、触媒と、任意選択でその他の成分を含有する。その他の成分としては、整泡剤、触媒、発泡剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0022】
ポリオール組成物は、例えば溶液または分散液である。
【0023】
ウレタン樹脂の主剤としてのポリイソシアネートとウレタン樹脂の硬化剤としてのポリオールは、化学反応により硬化して、ウレタン樹脂を形成する。
【0025】
1.ポリオール
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリオールとしては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーポネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0026】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
【0027】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0028】
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0029】
脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、ジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0030】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
【0032】
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0033】
またヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
【0034】
ポリマーポリオールとしては、ポリオール化合物に対しエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオールまたは、これらの水素添加物等が挙げられる。ポリオール化合物に対しエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体におけるポリオール化合物としては、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。ポリオールに対しエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体におけるエチレン性不飽和化合物としては、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等が挙げられる。
【0035】
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
【0036】
多価アルコールとしては、例えば、
グリセリンおよびトリメチロールプロパン等の三価アルコール;
ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト−ス、メチルグルコシドおよびその誘導体等の四〜八価のアルコール;
フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコ−ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1−ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、1−ヒドロキシピレン等のフェノールポリブタジエンポリオール;
ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体およびポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)
が挙げられる。
【0037】
多価アルコールの変性方法は特に限定されない。多価アルコールの変性方法として、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加させる方法が好適に用いられる。
【0038】
AOとしては、炭素数2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2−ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0040】
ポリエーテルポリオ−ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0041】
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ−ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0042】
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
【0043】
その中でも分子量200〜800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300〜500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
【0044】
2.ポリイソシアネート化合物
ウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0046】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
ポリイソシアネート化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。ウレタン樹脂の主剤は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0049】
本発明の組成物において、イソシアネートインデックスが150以上1000以下であることが好ましく、200以上800以下であることがより好ましく、250以上700以下更に好ましく、300以上600以下であることが最も好ましい。
【0050】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)÷100/NCOの分子量、
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
【0051】
3.触媒
触媒としては、例えば三量化触媒が挙げられる。三量化触媒は、ポリウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成をさらに促進する。
【0052】
イソシアヌレート環の生成をさらに促進するために、例えば、三量化触媒として、
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;
酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩;
トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩;
テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩
等を使用することができる。
【0053】
三量化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.3質量部〜38質量部の範囲であることが好ましく、0.3質量部〜30質量部の範囲であることがより好ましく、0.3質量部〜23質量部の範囲であることが更に好ましく、3質量部〜23質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲とすることができ、0.1質量部〜8質量部の範囲であることがより好ましく、0.1質量部〜6質量部の範囲であることが更に好ましく、1質量部〜6質量部の範囲であることが最も好ましい。上記下限値以上の場合はイソシアヌレート環の生成が充分に促進され、上記上限値以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい。
【0054】
また、触媒としてウレタン化触媒を使用することもできる。ウレタン化触媒は、硬化及びウレタン化反応と同時に重合反応を起こさせる触媒である。
【0055】
ウレタン化触媒としては、3級アミン触媒、例えばアルキル化ポリアルキレンポリアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7;
金属触媒、例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛、カルボン酸ビスマス、ジルコニウム錯体;
およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
ウレタン化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0質量部〜38質量部の範囲であることが好ましく、0.3質量部〜38質量部の範囲であることがより好ましく、0.3質量部〜27質量部の範囲であることが更に好ましく、1質量部〜15質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、0〜10質量部の範囲とすることができ、0.1〜7質量部の範囲であることがより好ましく、1質量部〜4質量部の範囲であることが更に好ましい。
【0057】
触媒は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0058】
4.整泡剤
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
【0059】
整泡剤の含有量は、一例を示すとすれば、例えば、ポリオール100質量部に対して、0.3質量部〜38質量部の範囲であれば好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂に応じて適宜設定され、一例を示すとすれば、例えば、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲とすることができる。
【0060】
整泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0061】
5.発泡剤
発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。発泡剤としては、例えば、
水;
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;
ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;
CHF
3、CH
2F
2、CH
3F等のフッ素化合物;
トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン))等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;
HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン;
HFO−1233zd(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)等のハイドロフルオロオレフィン;
ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、あるいはこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、
窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤
等が挙げられる。
【0062】
発泡剤の含有量は特に限定されない。発泡剤の含有量は、例えば、ポリオール100質量部に対して、0.3質量部〜112質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3質量部〜67部の範囲、更に好ましくは1.6質量部〜68質量部の範囲、最も好ましくは3質量部〜47質量部の範囲である。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部の範囲とすることができ、0.1質量部〜18質量部の範囲であることがより好ましく、0.5質量部〜18質量部の範囲であることが更に好ましく、1質量部〜15質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して3質量部〜38質量部の範囲、あるいは、発泡性ポリウレタン組成物において、ウレタン樹脂100質量部に対して1重量部〜10重量部の範囲とすることもできる。
【0063】
水の範囲が上記下限値以上の場合は発泡が促進され、得られる成形体の密度を低減することができ、上記上限値以下の場合は、発泡体が発泡せず発泡体が形成されないことを防ぐことができる。
【0064】
発泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0065】
6.難燃剤
難燃剤は、市販品を適宜選択して使用することができる。本発明は、難燃剤として少なくとも赤リンを含む。本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
【0066】
また本発明に使用する赤リンの含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0067】
前記赤リンの範囲が上記下限値以上の場合は、発泡体の自己消火性が保持され、また上記上限値以下の場合には発泡性ウレタン組成物の発泡が阻害されない。赤リンを用いることで、加熱時のウレタン発泡体の燃焼を抑制できると考えられ、ウレタン発泡体の基材からの脱落を防止することができる。
【0068】
本発明は、難燃剤として針状フィラー及び/又はホウ素含有難燃剤を含有することができる。
【0069】
針状フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよい。針状フィラーは、好ましくは無機系フィラーである。針状フィラーのアスペクト比は5〜50であり、好ましくは8〜40であり、より好ましくは10〜40であり、更に好ましくは10〜35であり、8〜25が最も好ましい。ここで、本明細書でいうフィラーのアスペクト比とは、針状フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認されるフィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数のフィラー、250個以上の平均である。
【0070】
針状フィラーの平均粒径は0.1μm以上15μm未満であり、好ましくは0.1μm以上14μm以下、より好ましくは0.3〜10μmである。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。針状フィラーの融点は750℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。
【0071】
針状の無機フィラーとしては、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト(珪灰石)、ゾノトライト、ドーソナイト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム系ウィスカー、珪素系ウィスカー、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、針状炭酸カルシウム、石膏繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状又はフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、金属繊維等が例示される。
【0072】
針状フィラーは、収縮及び変形のうちの少なくとも一方を防止する。本明細書で「収縮」とは、長さ方向の長さ、幅方向の長さ、及び厚み方向の長さを含む、長さの変化を指し、「変形」とは、反り等の形状の変化、特には厚み方向の形状の変化を指す。針状とは、長径が短径の3倍以上をしたものをいい、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。
【0073】
一実施形態では、針状フィラーはアスペクト比が5〜50、平均粒径が0.1μm以上15μm未満の針状無機フィラーである。好ましい針状フィラーはウォラストナイト又はチタン酸カリウムウィスカーである。
【0074】
針状フィラーの含有量は、ポリオール100質量部に対して、3質量部〜94質量部の範囲であることが好ましく、3質量部〜56質量部の範囲であることがより好ましく、3質量部〜38質量部の範囲であることが更に好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1〜25質量部であることが好ましく、1質量部〜15質量部であることがより好ましく、1質量部〜10質量部であることが更に好ましい。
【0075】
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましい。
【0076】
ホウ素含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0077】
本発明に使用するホウ素含有難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、3質量部〜94質量部の範囲であることが好ましく、3質量部〜56質量部の範囲であることがより好ましく、3質量部〜38質量部の範囲であることが更に好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1〜25質量部であることが好ましく、1質量部〜15質量部であることがより好ましく、1質量部〜10質量部であることが更に好ましい。
【0078】
針状フィラー及び/又はホウ素含有難燃剤を用いることで、加熱時のウレタン発泡体の残渣維持を行い、ウレタン発泡体の基材への接着を維持することができる。
【0079】
さらに難燃剤として、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選択される少なくとも1種以上をも使用することができる。
【0080】
本発明に使用するリン酸エステルは特に限定されない。リン酸エステルとして、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
【0081】
モノリン酸エステルとしては、特に限定はない。モノリン酸エステルとして、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスフアフエナンスレン、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
【0082】
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はない。縮合リン酸エステルとして、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルが挙げられる。
【0083】
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR−733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR−741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフエ−ト(商品名FP−600、FP−700)等を挙げることができる。
【0084】
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度を低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
【0085】
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0086】
リン酸エステルの含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0087】
リン酸エステルの範囲が上記下限値以上の場合には発泡性ポリウレタン組成物からなる成形品が火災の熟により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、上記上限値以下の場合には発泡性ポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
【0088】
また本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤はリン酸を含むものである。リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸部分は特に限定はない。リン酸部分として、例えば、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびそれらの組み合わせ等の各種リン酸が挙げられる。
【0089】
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。周期表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
【0090】
また脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
【0091】
また芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。
【0092】
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
【0093】
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
【0094】
モノリン酸塩としては特に限定されない。モノリン酸塩として、例えば、
リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;
リン酸−ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸−ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;
リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;
リン酸−リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸−リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;
リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;
リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;
リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩
等が挙げられる。
【0095】
またポリリン酸塩としては特に限定されない。ポリリン酸塩として、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、リン酸塩含有難燃剤の自己消火性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することがより好ましい。
【0097】
リン酸塩含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0098】
本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0099】
また本発明に使用する臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はない。臭素含有難燃剤として、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
【0100】
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、
ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフエノキシ)エタン、エチレンービス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;
臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカ−ボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;
臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;
ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);
臭素化ポリフェニレンエーテル;
臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物;
臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;
架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマー
が挙げられる。
【0101】
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
【0102】
臭素含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0103】
本発明に使用する臭素含有難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0104】
また本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。本発明に使用するアンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。アンチモン含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0105】
アンチモン含有難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0106】
また本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等があげられる。
【0107】
金属水酸化物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0108】
金属水酸化物の含有量は、ポリオール100質量部に対して、4.6質量部〜194質量部の範囲であることが好ましく、4.6質量部〜75質量部の範囲であることがより好ましく、6.2質量部〜56質量部の範囲であることが更に好ましく、6.2質量部〜38質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5質量部〜52質量部の範囲とすることができ、1.5質量部〜20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0質量部〜15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0質量部〜10質量部の範囲であることが最も好ましい。
【0109】
本発明に使用する難燃剤の合計含有量は、ポリオール100質量部に対して、16質量部〜260質量部の範囲であることが好ましく、16質量部〜149質量部の範囲であることがより好ましく、16質量部〜112質量部の範囲であることが更に好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100質量部に対して4.5質量部〜70質量部の範囲とすることができ、4.5質量部〜40質量部の範囲であることがより好ましく、4.5質量部〜30質量部の範囲であることが更に好ましい。
【0110】
難燃剤の範囲が上記下限値以上の場合には発泡性ポリウレタン組成物からなる成形品が火災の熱により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、上記上限値以下の場合には発泡性ポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
【0111】
7.その他の成分
本発明の組成物は、さらに無機充填材を含んでもよい。無機充填材としては、特に限定はない。例えば、無機充填材として、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。ただし、上記「針状フィラー」に該当する成分は、「その他の成分」には含まれない。
【0112】
無機充填材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0113】
本発明の組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
【0114】
上記の1.〜7.の成分が混合された発泡性ポリウレタン組成物は、反応して硬化するため、その粘度は時間の経過と共に変化する。そこで発泡性ポリウレタン組成物を使用する前に、発泡性ポリウレタン組成物を二以上に分割して、発泡性ポリウレタン組成物が反応して硬化することを防止する(発泡性ポリウレタンプレミックス組成物)。そして発泡性ポリウレタン組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた発泡性ポリウレタン組成物を混合し一つにまとめることにより、発泡性ポリウレタン組成物が得られる。
【0115】
なお発泡性ポリウレタン組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された発泡性ポリウレタン組成物のそれぞれの成分単独は硬化が始まらず、発泡性ポリウレタン組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。
【0116】
発泡性ポリウレタン組成物の硬化は混合および常温で行なってもよく、あるいは、各成分を予め加熱しておいてもよい。
【0117】
上記の整泡剤、触媒、発泡剤および難燃剤は、ポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよく、あるいは、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよい。好ましくはポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤、および難燃剤は、ポリオールとこれらの成分とを含むポリオールプレミックスとして提供される(ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール組成物)。また、上記の7.のその他の成分も、ポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよいし、あるいは、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよい。上記の7.のその他の成分は、好ましくはポリオールプレミックスに含まれる。
【0118】
ポリオール、ポリイソシアネート、整泡剤、触媒、発泡剤、および難燃剤、好ましくはポリイソシアネートと、ポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤、および難燃剤を含有するポリオールプレミックスとが混合されて生じる発泡性ポリウレタン組成物は、発泡および硬化してポリウレタン発泡体となる。
【0119】
本発明の発泡ウレタン組成物およびポリウレタン発泡体の耐火性は、ISO−5660の試験方法に準拠したコーンカロリーメーター試験により評価することができる。具体的には、この耐火試験では、発泡性ポリウレタン組成物からなるポリウレタン発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み5cmに切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備する。次に、コーンカロリーメーター試験用サンプルを用いて、ISO−5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m
2にて20分間加熱したときの総発熱量をコーンカロリーメーターにより測定する。
【0120】
本明細書において「不燃性」とは、下記(1)〜(3)の条件を全て具備するものをいう。
(1)放射熱強度50kW/m
2にて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m
2以下である、
(2)加熱開始後20分間に200kW/m
2を超える発熱速度が10秒を超えて継続しない、
(3)加熱開始後20分間に防火上有害な亀裂または穴等の変形が生じない。
【0121】
本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、乗物または建物の断熱材に使用される発泡体の補修用途に用いられたり、あるいは建物の開口部または隙間を充填するために用いられたりする。ここで「建物」には、建物を構成する任意の構造が含まれ、壁、天井、屋根、床などの建物の構造材のみならず、窓(引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓等を含む)、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、欄間などの建具も含まれる。また、「開口部」は、建物の構造材の間に生じる目地や、一つの構造材中に生じる穴を含め、建物に生じる任意の開口部を指すが、「隙間」とは開口部の中でも、構造材と構造材の間、構造材と建具の間、建具と建具の間、構造材または建具と家具(台所のシンク等)との間のように、向かい合う2つの部材または部分間に生じる開口部を指す。
【0122】
発泡性ポリウレタン組成物を発泡硬化して得られるポリウレタン発泡体は、防水性、気密性、および難燃性に優れているため、建築物の開口部または隙間からの水、煙や炎、燃焼により発生するガス等の侵入を効果的に遮断することができる。
【0123】
本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、エアゾール式等の大掛かりな装置を用いることなく、例えばわずかな開口部または隙間を現場で補修するために、現場で基材に吹き付けて発泡体を形成する、現場吹き付けの用途に使用される。
【0124】
現場吹付は、吹付装置(例えばGRACO社製:A−25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。現場吹付は、別容器に入った第1液と第2液を吹付装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で2液を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹付装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。
【0125】
また、カートリッジガン、吐出装置等の装置を利用して実施することができる。現場吹付は、第1液と第2液が別容器に入った2液混合容器、第1液と第2液が一つの容器に収容されている2液混合容器のいずれもが利用可能である。混合容器は必要に応じて撹拌装置とともに、前述の装置と組み合わせて用いることができる。カートリッジガンも公知であり、市販品を使用することができる。
【0126】
現場吹付は、任意の基材(構造材)に対してすることができる。基材としては、金属(例えば鉄鋼)、セメント板、コンクリート、石膏ボードなどが例示される。
【0127】
ここでいう鉄鋼とは、JIS G 3101、JIA G 3106、JIS G 3114、JIS G 3136などに例示される構造用鋼材、JIS G 3352などに例示されるデッキプレート、JIS G 3452、JIS G 3455、JIS G 3456、JIS G 3457などに例示される配管用鋼材、JIS G 3302、JIS G 3313、JIS G 3317、JIS G 3321などに例示されるめっき鋼板、JIS G 3302、JIS G 3313、JIS G 3317、JIS G 3321などに例示されるステンレス鋼板等が挙げられる。
【0128】
熱伝導率が高く難燃性の効果が発揮されにくい鉄鋼を基材として使用する場合に、本発明の発泡体の優れた特性が好適に発揮される。
【0129】
コンクリート、セメント、石膏ボード等の含水の基材は、加熱時に水分が吸熱をするため界面のウレタン樹脂が分解しにくく、発泡ウレタンの基材への接着が維持されやすい傾向がある。これに対して、鉄鋼は熱伝導率が高く、吸熱する水が存在しないため界面のウレタン樹脂が炭化しやすく、さらにウレタン樹脂と鉄鋼の界面に分解ガスが蓄積し圧を生じさらに剥離を生じさせやすい。本発明により提供される発泡断熱材は、加熱時にも接着性を保持して脱落しない。
【0130】
発泡性ウレタン樹脂組成物を基材に吹き付ける厚み(吹付厚み)は特に限定されない。吹付厚みとしては、1〜100mm、好ましくは10〜100mm、特に好ましくは15〜100mmとすることができる。吹付厚みは、15〜100mm、好ましくは20〜100mm、特に好ましくは25〜100mmとすることもできる。
【0131】
本発明は、上記の現場吹き付け用発泡性ウレタン樹脂組成物を基材(構造材)に吹付けるステップを含むことを特徴とする、難燃構造の製造方法をも提供する。本発明の難燃構造の製造方法は、好ましくは現場で上記ポリオール組成物とイソシアネート化合物とを現場で混合するステップを含む。
【0132】
基材に吹付けた発泡性ウレタン樹脂組成物が発泡及び硬化し、基材に接着することで難燃構造が製造される。
【0133】
本発明は、上記の製造方法により得られる積層体である難燃構造をも包含する。本発明の難燃構造(積層体)は、基材上に、本発明の現場吹き付け用発泡性ウレタン樹脂組成物が硬化した発泡体が積層している。
【0134】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0135】
1.現場発泡型ポリウレタン組成物の製造
表1に示した配合により、実施例および比較例に係る現場発泡型ポリウレタン組成物を準備した。具体的には、現場発泡型ポリウレタン組成物を、(A)ポリイソシアネート、並びに、(B)ポリオール、(C)三量化触媒、(D)ウレタン化触媒、(E)発泡剤、(F)整泡剤、(G)リン酸エステル、(H)赤リン及び(I)粉体難燃材からなるポリオールプレミックスの2つに分けて準備した。なお表中の各成分の詳細は次の通りである。
【0136】
(A)ポリイソシアネート化合物
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)(万華化学ジャパン株式会社製、製品名:PM200)。
【0137】
(B)ポリオール
p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK−087、水酸基価=200mgKOH/g)。
【0138】
(C)三量化触媒
三量化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 18X)
三量化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−TR20)
三量化触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名:k−zero G)。
【0139】
(D)ウレタン化触媒
ウレタン化触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 202)
ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−RX5)
ウレタン化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−TT)
ウレタン化触媒(日東化成社製、製品名:U−830)。
【0140】
(E)発泡剤
水
HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、セントラル硝子社製)
HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、日本ソルベイ社製)
HFO(トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ハネウェル社製、製品名:ソルスティスLBA)。
【0141】
(F)整泡剤
ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH−193)。
【0142】
難燃剤
・液体難燃剤
(G)リン酸エステル
トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP、「TMCPP」という。)。
・粉体難燃剤
(H)赤リン
赤リン (燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)。
【0143】
(I)針状フィラー
ウォラストナイト(SiO
2・CaO;針状フィラー)(キンセイマテック社製、製品名:SH−1250)
(J)ホウ酸亜鉛(早川商事株式会社製、製品名:Firebrake ZB)
(K)ヘキサブロモベンゼン(マナック社製、製品名:HBB−B、以下「HBB」という。)。
【0144】
ポリイソシアネート以外の成分を20Lプラスチック製ペール缶に量り取り、撹拌してポリオール組成物を調製した。撹拌後、1時間ほど時間を置いて溶液を安定させた。
【0145】
2.評価
[評価方法]
Graco製吹付機「HV−R」、ガスマー製スプレーガン「Dガン」を用いて、表1に示す条件にて各基材に対して厚み40mmで吹付を行った。吹き付け後1日養生した後、東洋精機製コーンカロリーメーターIIIを用いて、輻射熱50kW/m
2にて20分間加熱を行った。
【0146】
[界面の残存]
燃焼後の残渣に対し、基材界面の炭化が起こっていないものを○、すべて炭化が起こっているものを×とした。
【0147】
[残渣の脱落]
燃焼後の残渣を45°傾斜させ、残渣が基材から滑り落ちたものを×、接着が認められるものを○とした。
【0148】
[接着力]
残渣の脱落がないものから炭化部分を取り除き、50mm×50mmの治具を発泡体及び基材面に接着剤(ウレタン系、無溶剤)で貼り付けた。接着剤の硬化後、テンシロン試験機を用いて10mm/minの早さで引張試験を行い、接着力を算出した。評価結果を表2に示す。
【0149】
吹付を厚み25mmで行う以外は同様にして評価した場合も、実施例1〜5の現場吹き付け型発泡体は燃焼後に脱落せず、良好な接着力が認められた。一方、比較例1〜2はいずれも燃焼後に脱落をした。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】