【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、涙器系に関する医療行為の分野である。本発明は、眼、洞および/または眼窩周囲の組織への薬剤送達用の涙器系装置ならびにこの装置の使用方法に関する。
【0006】
1つの実施形態では、本発明は、涙器系薬剤送達装置であって、a)充填ポートおよび出口ポートを有するリザーバーであって、弾性特性を有するリザーバーと、b)出口ポートに連結する第1のチューブと、c)第1のチューブに連結する流れ限定ポートを含む第2のチューブとを含む、装置に関する。1つの実施形態では、このリザーバーは自己圧縮特性を有する。別の実施形態では、第1のチューブおよび第2のチューブは、1つの連続したチューブを含む。1つの実施形態では、第1のチューブおよび第2のチューブは、上記装置の遠位端で流れ限定ポートを含む1つの連続したチューブである。別の実施形態では、本装置は、2組めの、出口ポートに連結した第1のチューブおよび第1のチューブに連結した流れ限定ポートを含む第2のチューブを含む。1つの実施形態では、本装置は、充填ポートに連結した第3のチューブをさらに含む。
図3Aは、それ自体が膨張している装置を示す。
図3Bは、装置が相互作用する涙器系の主要部分を示す。
図3Cは、各涙管を通じて各涙点(それぞれ上位涙点(superior punctum)および下位涙点(inferior punctum)、上涙点(upper punctum)および下涙点(lower punctum))に延びる2組のチューブが存在する、本装置の1実施形態を示す。本装置は、1組または2組のチューブを有していてもよい。
図3Dは、2組のチューブを備えるが、第3の融合/再充填チューブを有さない装置の1実施形態を示す。
図3Eは、流れ限定ポート5で終結する1組のチューブを備える装置であって、このポートが上(上位)涙点で終結する装置である好ましい実施形態を示す。
図3Fは、流れ限定ポート5で終結する1組のチューブを備える装置であって、このポートが下(下位)涙点で終結する装置を示す。1つの実施形態では、本装置は、出口ポートに連結した内部プランジャーに連結した内部バネをさらに含む。1つの実施形態では、この内部プランジャーは、弾性リザーバーに依存することなく組成物の一定した放出を可能にする。1つの実施形態では、ニチノールワイヤ(または他の物質)のバネを、定圧のゴム状のバルーンに依存することなく一定した流体の送達を可能にするよう流体を放出するように、遠位開口部に向かって内部プランジャーを引き抜く装置の涙部(lacrimal portion)の内部に用いる。1つの実施形態では、本装置は、微小電気機械システム(MEMS)バネ圧レギュレータをさらに含む。1つの実施形態では、弾性リザーバーは、活性成分を備える組成物を含む流体をさらに含む。1つの実施形態では、弾性リザーバーは解剖学的な固定を可能にする。1つの実施形態では、この解剖学的な固定は装置保持特徴であり、フォーリーカテーテルの保持特徴と非常に類似する。1つの実施形態では、出口ポートは内部プランジャーと連結する。1つの実施形態では、出口ポートは内部プランジャーと連結する内部バネと連結する。1つの実施形態では、本装置は微小電気機械システムバネ圧レギュレータをさらに含む。1つの実施形態では、本装置は生体内崩壊性物質で作製される。1つの実施形態では、本装置は医療用物質で作製される。1つの実施形態では、流れ限定ポートは穴を含む。1つの実施形態では、流れ限定ポートはフィルターを含む。1つの実施形態では、この流れ限定ポートは少なくとも1つのePTFE膜を含む。1つの実施形態では、このePTFE膜を、本装置の遠位端からの流れを調節するために使用してもよい。たとえば、ePTFEは0.0003インチ+/−0.0001インチ(0.00762mm+/−0.00254mm)の厚さおよび80%+/−10%の多孔性および、0.2〜0.5ミクロンの流れ孔を備える。1つの実施形態では、ePTFE物質の1つ以上の層を、流れの調節のために使用できる。1つの実施形態では、本装置からの流体の流れは重力依存性である。1つの実施形態では、本装置からの流体の流れは、重力依存性の弁により限定される。1つの実施形態では、本装置からの流体の流れは、処置が必要とされないその日の所定の時間における(たとえば睡眠時)流れを減少するために、操作者(患者または医師)によりアクセス可能な締切り弁により制御される。1つの実施形態では、弾性リザーバーは、最低1週間、1日あたり0.1マイクロリットル〜30.0マイクロリットルの固定した比率で眼の表面に流体+/−活性成分を送達する。別の実施形態では、この送達は最低60日間成し遂げられる。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、a)i)涙管および涙嚢を含む対象と、ii)涙器系薬剤送達装置であって、A)少なくとも1つの活性成分を備える組成物を含む弾性リザーバーであって、涙嚢の内部に挿入できるリザーバーと、B)鼻涙管内から上涙管または下涙管のいずれかを介して弾性リザーバーから延びる管腔を備えた第1のチューブと、C)第1のチューブに連結した流れ限定ポートを備える第2のチューブであって、眼の涙膜と接触した涙点において流れ限定ポートで終結する第2のチューブとを含む装置とを提供することと、b)薬剤送達装置を涙器系に挿入することと、c)涙器系薬剤送達装置を使用して対象に組成物を投与することとを含む、処置方法に関する。1つの実施形態では、このリザーバーは自己圧縮特性を有する。別の実施形態では、上記第1のチューブおよび第2のチューブは1つの連続したチューブを含む。別の実施形態では、上記装置は、2組めの、出口ポートに連結した第1のチューブおよび第1のチューブに連結した流れ限定ポートを含む第2のチューブを含み、この2組めの第2のチューブが、眼の涙膜と接触する他の涙点の流れ限定ポートで終結する。1つの実施形態では、本装置は、弾性リザーバーと連結した第3のチューブをさらに含み、この第3のチューブは弾性リザーバーから鼻涙管内へと延びており、そこで終結している。1つの実施形態では、この第3のチューブは、涙管を介して管の鼻開口部まで延びている。1つの実施形態では、本装置は締切り弁をさらに含む。1つの実施形態では、本装置は生体内崩壊性物質を含む。1つの実施形態では、本装置は、生体内崩壊性物質を備える内部組成物カラムを含む。1つの実施形態では、生体内崩壊性物質の崩壊は、内部組成物カラムに沿うことを可能にする内部孔を経時的に開けることにより組成物のパルス投与を可能にする。1つの実施形態では、この活性成分は人工涙液、緑内障用目薬、抗炎症剤、非ステロイド系薬剤、抗生剤、生物、タンパク質、アプタマー、核酸、サイトカイン、血漿、交感神経作用物質(sympahtomemetics)、副交感神経作用物質(parasympathomemetics)、プロスタグランジン類似体、β阻害薬、αアゴニスト、抗VEGF剤および眼または眼窩周囲の組織の疾患を処置するために知られている他の薬剤からなる。1つの実施形態では、弾性リザーバーは、フラッシングおよび再充填の工程のための第3のチューブを介してアクセスしてもよい。1つの実施形態では、この装置からの流体の流れは、処置が望ましくない所定の時間において流れを減少させるため、操作者によりアクセス可能な締切り弁により制御される。1つの実施形態では、流れ限定ポートは、装置からの組成物の流れを調節する。1つの実施形態では、この流れ限定ポートは、少なくとも1つのePTFE膜を含む。たとえば、ePTFEは、0.0003インチ+/−0.0001インチ(0.00762mm+/−0.00254mm)の厚さおよび80%+/−10%の多孔性および0.2〜0.5ミクロンの流れ孔を備える。1つの実施形態では、流れ限定ポートは、ePTFE物質の少なくとも1つの層を含む。1つの実施形態では、装置の先端でナノ〜ミクロンの寸法の穴を使用して、ePTFE物質以外の流体の放出を制御する。1つの実施形態では、弾性リザーバーは、最低1週間、0.1マイクロリットル〜30.0マイクロリットルの固定した比率で眼の表面に流体+−活性成分を送達する。別の実施形態では、この送達は最低60日間成し遂げられる。
【0008】
1つの実施形態では、本発明は、涙器系薬剤送達装置であって、a)充填ポートおよび出口ポートを有するリザーバーと、b)出口ポートに連結した第1のチューブと、c)第1のチューブに連結した流れ限定ポートを含む第2のチューブとを含む、装置に関する。1つの実施形態では、上記第1のチューブおよび第2のチューブは、1つの連続したチューブを含む。1つの実施形態では、上記リザーバーは自己圧縮特性を有する。1つの実施形態では、上記充填ポートおよび出口ポートは同一のポートである。1つの実施形態では、上記リザーバーはナノ多孔性(nanoporous)物質を含む。1つの実施形態では、上記リザーバーはマイクロ多孔性物質を含む。1つの実施形態では、本装置のバルーン部1は、固定用にのみ設計されてもよく、かつ送達用(フォーリーカテーテルを保持する特徴のような)に設計されなくてもよい。1つの実施形態では、ニチノールワイヤ(または他の物質)のバネ10を、定圧のゴム状バルーン1に依存することなく一定した流体の送達を可能にするよう流体が放出されるように、遠位開口部に向かって内部プランジャー8を引き抜く、本装置の涙部の内部で使用する。1つの実施形態では、本装置は、生体内崩壊性または生体内分解性物質6を含む。1つの実施形態では、この生体内崩壊性物質6または生体内分解性物質6は、パルス投与を可能にする内部流体カラムに沿った内部孔を経時的に開ける。1つの実施形態では、本装置は、微小電気機械システム(MEMS)のバネ圧レギュレータ12をさらに含む。1つの実施形態では、ePTFE膜7を使用して、本装置の遠位端から流れを調節してもよい。たとえば、ePTFEは、0.0003インチ+/−0.0001インチ(0.00762mm+/−0.00254mm)の厚さ、80%+/−10%の多孔性、および平均0.2〜0.5ミクロンの寸法の流れ孔を備える。1つの実施形態では、ePTFE物質の1つ以上の層を、流れの調節に使用できる。
図5は、本装置の斜視図(angled view)である。
図6は、本装置の斜視図である。
図7は、チューブの遠位端のクローズアップである。
図8AおよびBは、本装置の1実施形態を示す。
図8Aは、洞などの組織の空間に直接薬剤を送達できるマイクロ多孔性バルーン1からなる装置を示す。これは、必要に応じてマイクロ多孔性バルーン1を再充填する単純な充填ポート7(涙点、または結膜/涙丘もしくは周辺組織に位置する)として扱うことのできる遠位膜7を含んでもよく、または含まなくてもよい流れ限定ポート/出口ポート5を備えるチューブ(3、2)を含む。
図8Bは、ニチノールケージ13または他の構造的な特徴が、マイクロ多孔性バルーン/リザーバー1に圧力を与え得ることを示す。薬剤/組成物が遠位部7を介してのみ送達される代わりに、この選択肢により、遠位部を介して送達する、または送達することなくリザーバー1から周辺組織に直接薬剤を送達する可能性も加わる。慢性副鼻腔炎など、この手法が有益である特定の疾患が存在する。
図9は、マイクロ多孔性バルーン/弾性リザーバー1および遠位膜7が存在し、第1のチューブ2が生体内崩壊部6および内部プランジャー8を含み、かつ出口ポート9が内部プランジャー8、微小電気機械システムバネ圧レギュレータ12に連結した内部バネ10と連結し、かつ生体内崩壊性物質が内部組成物カラムに沿うことのできる内部孔を経時的に開け、活性剤組成物のパルス投与を可能にする、装置を示す。
図10は、ニチノールケージ13が直線状のワイヤを含むように充填する前に、リザーバー1の周りに別個のニチノール装置13を構築する装置の1実施形態を示す。充填すると、リザーバー1はニチノールを外部に押し出し、次いでニチノールは非弾性または半弾性物質に作用し、上部(出口ポート)で流れ限定膜7に向かって流体をゆっくりと押し出す。1つの実施形態では、本装置は、リザーバーおよび第1のチューブを含む。1つの実施形態では、本装置は、リザーバーの圧縮を可能にする周辺物質の中に含まれる非弾性リザーバーを含む。1つの実施形態では、ニチノールのワイヤ、バネ、またはケージを使用して、リザーバーの圧縮を提供してもよい。1つの実施形態では、リザーバーは実質的に弾性ではない。1つの実施形態では、リザーバーは、マイクロ多孔性またはナノ多孔性の物質から作製される。1つの実施形態では、リザーバー内の組成物は、リザーバー物質の孔から放出される。いくつかの実施形態では、本装置は、上記リザーバーの上に配置した保護スリーブを含む。1つの実施形態では、このスリーブは、鼻涙管または他の組織区画に侵入する漏出を防ぐ。1つの実施形態では、本装置は、使用者(医師または患者)による検出および位置の確認を可能にするために、蛍光物質または着色剤を含む。1つの実施形態では、リザーバーは、眼の周辺の洞の中に埋め込まれる。1つの実施形態では、涙点部または遠位端は弾性リザーバーを薬物で充填することを考慮するが、弾性リザーバーは洞に位置しマイクロ多孔性バルーンを介した薬剤の送達を考慮する。1つの実施形態では、涙点部は涙丘または結膜を介して埋め込まれ(ジョーンズ・チューブのインプラント挿入と類似)、マイクロ多孔性バルーンポンプが眼の周辺の洞または他の組織領域に直接薬剤を送達することを考慮する。別の実施形態では、本装置は、涙点に位置する穴を伴うチューブに送達する最初の実施形態に加えて、マイクロ多孔性リザーバーを介して薬物を送達する。1つの実施形態では、圧縮したリザーバーは、最低1週間、1日当たり0.1マイクロリットル〜30.0マイクロリットルの固定した比率で眼の表面に流体+/−活性成分を送達する。別の実施形態では、この送達は最低60日間成し遂げられる。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、a)i)涙管を含む対象と、ii)涙器系薬剤送達装置であって、A)少なくとも1つの活性成分を備える組成物を含むリザーバーであって、限定するものではないが、涙嚢、洞、および指定領域(punctual area)を含む眼の周辺の組織内部に挿入できるリザーバーと、B)鼻涙管内から上涙管または下涙管を介してリザーバーから延びる管腔を備えた第1のチューブと、C)第1のチューブに連結した第2のチューブであって、第1のチューブに連結した流れ限定ポートを備え、眼の涙膜と接触して涙点の流れ限定ポートで終結する第2のチューブとを含む涙器系送達装置を提供することと、b)涙器系に薬剤送達装置を挿入することと、c)涙器系薬剤送達装置を使用してこの対象に上記組成物を投与することとを含む、処置方法に関する。1つの実施形態では、このリザーバーは自己圧縮特性を有する。1つの実施形態では、この装置は、リザーバーおよび第1のチューブを含む。1つの実施形態では、本装置は、リザーバーの圧縮を可能にする周辺物質内に含まれる非弾性リザーバーを含む。1つの実施形態では、ニチノールのワイヤ、バネ、またはケージを使用して、リザーバーの圧縮を提供してもよい。1つの実施形態では、リザーバーは実質的に弾性ではない。1つの実施形態では、リザーバーはマイクロ多孔性物質またはナノ多孔性物質から作製される。1つの実施形態では、リザーバー内の組成物は、リザーバー物質の孔を介して放出される。いくつかの実施形態では、本装置は、リザーバーの上に配置した保護スリーブを含む。1つの実施形態では、このスリーブは、鼻涙管または他の組織区画に侵入する漏出を防ぐ。1つの実施形態では、この装置は、使用者(医師または患者)による検出および位置の確認を可能にする蛍光物質または着色剤を含む。1つの実施形態では、リザーバーは眼の周辺の洞の中に埋め込まれる。1つの実施形態では、涙点部または遠位端は弾性リザーバーを薬物で充填することを考慮するが、弾性リザーバーは洞に位置し、マイクロ多孔性バルーンを介した薬物の送達を考慮する。1つの実施形態では、涙点部を、涙丘または結膜を介して埋め込み(ジョーンズ・チューブの埋め込みと類似)、マイクロ多孔性バルーンポンプにより、眼の周辺の洞または他の組織領域に直接薬剤を送達することを考慮する。別の実施形態では、本装置は、涙点に位置する穴を備えるチューブに送達する初期の実施形態に加えて、マイクロ多孔性リザーバーを介して薬物を送達する。1つの実施形態では、リザーバーは、最低1週間、1日あたり0.1マイクロリットル〜30.0マイクロリットルの固定した比率で眼の表面に流体+/−活性成分を送達する。別の実施形態では、この送達は最低60日間成し遂げられる。
【0010】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0011】
本明細書中で定義される用語は、本発明に関連する領域の当業者により一般に理解される意味を有する。「a」、「an」、および「the」などの用語は、単一の実体のみを指すよう意図するものではなく、特定の例を示すために使用し得る一般的な分類を含む。本明細書中の術語は、本発明の特定の実施形態を記述するために使用するが、この使用は、特許請求の範囲に記述されるものを除き限定するものではない。
【0012】
本明細書に使用されるように、用語「患者」または「対象」は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそのトランスジェニック種などの生存する哺乳類の生物を指す。特定の実施形態では、患者または対象は霊長類である。ヒトの対象の非限定的な例は、成人、若年、乳児および胎児である。
【0013】
本明細書で使用される「予防」または「予防する」は、限定するものではないが、(1)ある疾患を発症するリスクのある、かつ/または発症しやすい可能性があるが、この疾患の病態または総体症状のいずれかまたはすべてをまだ経験または呈していない対象または患者の疾患の発症を阻害することであって、このような阻害は部分的または完全であってもよいこと、および/または(2)疾患を発症するリスクのある、かつ/または発症しやすい可能性があるがこの疾患の病態または総体症状のいずれかまたは全てをまだ経験または呈していない対象または患者の疾患の病態または総体症状の発症を遅らせることを含む。
【0014】
本明細書で示されるように、用語「薬物」または「治療剤」は、限定するものではないが、薬剤または医薬組成物を含む、疾患または疾病の症状を処置または予防または軽減する任意の化合物および/または分子を指す。薬物は、治療上有効量または薬学的有効量で送達される、または存在すると考えられる。
【0015】
本明細書で使用される「治療上有効量」または「薬学的有効量」は、疾患を処置するために対象または患者に投与する際に、この疾患の治療に影響を与えるか、または疾患もしくは疾病の1つ以上の症状を軽減する(たとえば疼痛を軽減する)ために十分な量を指す。
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「処置する」および「処置している」は、対象(たとえば患者)を治癒し、かつ疾患を根絶する事例に限定されない。また、処置はむしろ、症状を単に低減してもよく、他の効果の内、疾患の進行を(ある程度)改善し、かつ/または遅らせてもよい。処置は、疾患または苦痛が治癒する例に限定されることを意図するものではない。症状が低減するために十分であるものとされる。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「医療装置」、「インプラント」、「装置」、「医療装置」、「医療インプラント」、「インプラント/装置」などは、組織の増強、適合、生理学的な機能の回復、疾患もしくは外傷により損傷した組織の修復もしくは回復、および/または正常な、損傷した、もしくは疾患のある臓器および組織に対する治療剤の送達などの、1つ以上の治療上または予防上の目的のために患者の身体の中に部分的または全体的に配置されるよう設計した任意の物体を指すために同義的に使用される。医療装置は、通常、生物学的に適合可能な合成物質(たとえば医療用ステンレス鉄、ニチノール、チタン、および他の物質;ポリウレタン、シリコーン、PLA、PLGA、PGA、PCLなどの外来ポリマー)から構成されるが、他の物質も医療インプラントの構成に使用してもよい。いずれかの特定の装置に本発明を限定するものではないが、本発明に特に関連している特定の医療装置およびインプラントは、ステント、涙点プラグ、クロフォードチューブ、カテーテル、涙用チューブ、眼または他のシャント、および薬剤送達システムを含む。いくつかの実施形態では、本装置は、標準的なイメージング装置で視覚化を可能にする造影剤または他の不透明な物質(たとえばX線視覚化を可能にするバリウム)を組み込む。
【0018】
本明細書に使用されるように、用語「薬物リザーバー」は、薬物または治療剤を含む任意の弾性構造を指す。好ましい実施形態では、リザーバーは、伸縮性のあるプラスチックまたはシリコーンで作製される。
【0019】
本明細書に使用されるように、用語「近位」は、開始する点に向かって置かれた位置(たとえば、医師と涙インプラント装置との間)を指す。
【0020】
本明細書に使用されるように、用語「遠位」は、開始する点から離れて置かれた位置(たとえば医師に対して涙インプラント装置の後ろ側)を指す。
【0021】
本明細書に使用されるように、用語「ハイドロゲル」は、たとえば、高吸水性ポリマー、ハイドロコロイド、および水吸水性の親水性ポリマーなどの吸収性物質または他の保持物質(たとえば吸水性物質)を指す。いくつかの例では、用語「ハイドロゲル」は、「乾燥または脱水した」状態の高吸水性ポリマー粒子を指し、より具体的には、水を全く含まないものから約5重量%未満の水など、粒子の重量より少ない量の水を含む物質を含む粒子を指す。いくつかの例では、用語「ハイドロゲル」は、ハイドロゲルが膨張可能ではない際の「乾燥または脱水した」状態の高吸水性ポリマーを指し、かつ、高吸水性ポリマーの水和したまたは膨張した状態も指し、より具体的には、水中での高吸水性ポリマーの重量の数倍など、少なくともその重量を吸水したハイドロゲルを指す。ハイドロゲルが流体を吸収する際、その寸法は増大し、かつその形状はたとえば涙小管の膨大部または涙小管の壁の少なくとも一部に対して偏るように変化できる。
【0022】
本明細書に使用されるように、用語「薬品」は、医療化合物または薬剤などの、医療処置での使用に適した任意の活性剤を指す。
【0023】
本明細書に使用されるように、用語「活性剤」は、生存する生物に対し影響を及ぼす任意の分子実体を指す。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「ポリマー」は、当業者に良く知られているように、1つ以上の反復単位を含む任意の有機高分子を指す。
【0025】
本明細書に使用されるように、用語「コポリマー」は、含まれる少なくとも2種類の反復単位がその中に存在する任意のポリマーを指す。コポリマーは、1つの種類の複数の反復単位を含む区域が存在し、第2の種類の複数の反復単位を含む区域に結合している、ブロックコポリマーとすることができる。
【0026】
本明細書に使用されるように、用語「親水性ポリマー」は、水により湿潤させることのできる任意のポリマー、すなわち、防水性の表面を有していないポリマーを指す。親水性ポリマーは少ない程度まで水を、たとえば約0〜100重量%の水を吸収できるが、ハイドロゲル形成ポリマーが膨張するような容積に顕著に膨張することはない。
【0027】
本明細書に使用されるように、用語「埋め込まれる」は、宿主の内部に装置を完全にまたは部分的に配置することを指す。装置は、装置の一部が宿主に達するか、または宿主の外側に延びる場合に部分的に埋め込まれている。
【0028】
本明細書に使用されるように、用語「ステロイド」は、3つのシクロヘキサン環(右の図面で環A、B、およびCと表されている)および1つのシクロペンタン環(D環)の、4つの縮合環の形態をとる共に結合した20の炭素元素から構成されるコアを含む任意の有機化合物を指す。
【化1】
ステロイドは、4つの環のコアに付着した官能基および環の酸化状態により異なる。ステロイドの例として、限定するものではないが、食事脂肪コレステロール、性ホルモンのエラストジオールおよびテストステロン、ならびに抗炎症薬剤のデキサメタゾンが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用されるように、用語「非ステロイド性抗炎症剤」、「非ステロイド性抗炎症薬剤」は、通常NSAIDまたはNAIDと略されているが、非ステロイド性抗炎症剤/鎮痛剤(NSAIA)または非ステロイド性抗炎症薬物(NSAIM)とも呼ばれ、鎮痛作用および解熱(熱を低下させる)作用を伴い、高い用量では抗炎症性作用を有する任意の薬剤を指す。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「抗生剤」は、細菌、真菌、または他の微生物を殺傷するか、またはこの増殖を阻害する任意の化合物または物質を指す。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「抗炎症剤」は、炎症を低減する任意の物質または処置を指す。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「免疫抑制剤」は、免疫系の活性を阻害または抑えるすべての薬剤を指す。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「抗腫瘍剤」は、腫瘍細胞の発達、成熟、もしくは拡散を予防または阻害するすべての薬剤を指す。
【0034】
本明細書で使用されるように、用語「プロスタグランジン類似体」は、プロスタグランジン受容体に結合するすべての分子を指す。
【0035】
本明細書に使用されるように、用語「酸化窒素(nitric oxide)」または「一酸化窒素(nitrogen monoxide)」は、化学式NOを伴う任意の2成分の2原子分子を指す。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「エンドセリン」は、様々な細胞および組織で産生される21のアミノ酸残基からなる任意のタンパク質を指し、血管運動活性、細胞増殖、ホルモンの産生を調節する役割を果たし、かつ血管性疾患の発達に関連している。たとえば、エンドセリンの生物学的活性として、限定するものではないが、血管の狭窄、血圧の上昇、眼圧の低下、および神経細胞組織の変性の防止が挙げられる。
【0037】
本明細書で使用されるように、用語「副腎皮質ステロイド」は、天然に産生されるステロイドホルモンまたは合成ステロイドホルモン類似体のいずれかを含む化学物質の分類を指す。副腎皮質ステロイドは、限定するものではないが、ストレス応答、免疫応答、ならびに炎症、炭水化物の代謝、タンパク質の異化作用、血液の電解質レベル、および行動の調節を含む、幅広い範囲の生理学的工程に関与する。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「抗体ベースの免疫抑制剤」は、免疫抑制活性を有する任意の抗体(たとえばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fab抗体など)を指す。
【0039】
本明細書で使用されるように、用語「薬剤の放出」は、インプラント装置から発せられる薬剤またはその小成分のいずれかの存在を指す。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「類似体(analogueまたはanalog)は、親化合物と構造的に類似しているが、わずかに組成が異なる(たとえば1つの原子または官能基が異なるか、追加されているか、除去されている)任意の化学化合物を指す。類似体は、元の化合物と異なる化学的または物理的特性を有してもよく、または有していなくてもよく、かつ、改善した生物学的活性および/または化学的活性を有していてもよく、または有していなくてもよい。たとえば、類似体は、より親水性であってもよく、または親化合物と比較して変化した反応性を有していてもよい。類似体は、親化合物の化学的活性および/または生物的活性を模倣してもよく(すなわち類似または同一の活性を有していてもよく)、または場合によって、増大したもしくは減少した活性を有していてもよい。類似体は、元の化合物の天然にまたは非天然に発生する(たとえば組み換え)変異体であってもよい。類似体の一例は、ムテイン(すなわち、少なくとも1つのアミノ酸が削除、追加、または別のアミノ酸と置換されているタンパク質類似体)である。他の種類の類似体は、異性体(エナンチオマー、ジアステレオマーなど)および化合物の他の種のキラル変異体、ならびに構造異性体である。類似体は、直鎖化合物の分枝または環状変異体であってもよい。例えば、直鎖化合物は、特定の望ましい特性(たとえば、親水性または生物学的利用率の改善)を加えるために、分枝または置換されている類似体を有していてもよい。
【0041】
本明細書で使用されるように、用語「誘導体」は、親化合物と構造的に類似しており、かつ親化合物から(実際にまたは理論的に)誘導可能である化学化合物の化学的または生物学的に改変した任意のバージョンを指す。「誘導体」は、親化合物が「誘導体」を生成する開始物質であってもよく、一方でこの親化合物は「類似体」を生成するための開始物質として必ずしも使用されない点で「類似体」と異なる。類似体は、親化合物と異なる化学的または物理的特性を有し得る。たとえば、誘導体は、より親水性であってもよく、親化合物と比較して変化した反応性を有してもよい。誘導体化(すなわち改変)は、分子内の1つ以上の部位の置換(たとえば官能基の変化)を含んでもよい。たとえば、水素は、フッ素もしくは塩素などのハロゲンと置換してもよく、またはヒドロキシル基(‐OH)は、カルボン酸部(‐COOH)と置換してもよい。用語「誘導体」はまた、親化合物の抱合体およびプロドラッグ(すなわち、生理学的条件下で元の化合物に変換できる化学的に改変された誘導体)をも含む。たとえば、プロドラッグは、活性剤の不活性形態であってもよい。生理学的条件下で、プロドラッグは、化合物の活性形態へと変換されてもよい。プロドラッグは、たとえば、アシル基(アシルプロドラッグ)、またはカルバミン酸基(カルバミン酸プロドラッグ)により窒素原子上の1つまたは2つの水素原子を置換することにより形成されてもよい。プロドラッグに関連するより詳細な情報は、たとえばFleisherらのAdvanced Drug Delivery Reviews 19(1996)115[1]に見出されており、参照として本明細書に援用される。用語「誘導体」は、たとえば、親化合物の水和物または付加物(たとえばアルコールを備える付加物)、活性代謝物、および塩といった、すべての溶媒和物を記述するためにも使用される。調製し得る塩の種類は、化合物内の部位の性質に依存する。たとえばカルボン酸基といった酸性基は、たとえば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩、ならびに生理学的に許容可能な4基のアンモニウムイオンを備えた塩、ならびに、アンモニアおよびたとえば、トリエチルアミン、エタノールアミンまたはトリス−(2‐ヒドロキシエチル)アミンなどの生理学的に許容可能な有機アミンを備える酸付加塩)を形成できる。塩基性基は、たとえば、塩酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸を備えるか、または酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸もしくはp‐トルエンスルホン酸などの有機性のカルボン酸およびスルホン酸を備える酸付加塩を形成できる。たとえば、塩基性窒素原子に加えてカルボキシル基など、塩基性基および酸性基を同時に含む化合物は、双性イオンとして存在できる。塩は、たとえば溶媒もしくは希釈剤中に有機酸もしくは塩基と化合物を組み合わせることによるか、または陽イオン交換もしくは陰イオン交換により他の塩から、当業者に知られている慣例的な方法により入手できる。
【0042】
本明細書で使用されるように、用語「阻害剤」または「アンタゴニスト」は、生物学的工程が発生するのを防ぎ、かつ/または生物学的な工程の発生の速度を遅くし、かつ/またはこの発生の度合いを遅くする任意の薬剤を指す。この工程は瘢痕化などの一般的なものであってもよく、またはたとえば、サイトカインの放出をもたらす分子工程などの特定の生物学的作用を指してもよい。
【0043】
本明細書で使用されるように、用語「アゴニスト」は、生物学的工程の工程または生物学的な工程の速度もしくは度合いを刺激する任意の薬剤を指す。この工程は、瘢痕化などの一般的な工程であってもよく、またはたとえば、サイトカインの放出をもたらす分子工程などの特定の生物学的作用を指してもよい。
【0044】
本明細書で使用されるように、用語「抗微小管剤」はたとえば、重合化の防止または安定化を介して、微小管の機能を欠損させる任意のタンパク質、ペプチド、化学物質、または他の分子を含むと理解されるべきである。微小管の重合化を安定させる化合物は、本明細書中で「微小管安定化剤」と呼ばれる。幅広い範囲の方法、たとえばSmithら(Cancer Lett. 79(2):213−219, 1994)[2]およびMooberryら(Cancer Lett. 96(2):261−266, 1995)[3]により記載されるアッセイを含む方法を使用して、特定の化合物の抗微小管活性を決定してもよい。両文献は参照により本明細書に援用される。
【0045】
本明細書に列挙される濃度の範囲、パーセンテージの範囲、または比率の範囲は、他に記載のない限り、ある整数の10分の1および100分の1などの範囲および割合の中のいずれかの整数の濃度、パーセンテージ、または比率を含むことが理解される。さらに、ポリマーのサブユニット、寸法または厚さなどの任意の物理的特徴に関連する本明細書に引用されるいずれかの数の範囲は、他に記載のない限り、列挙される範囲内のいずれかの整数を含むことが理解される。上記および本明細書中の他の場所で使用される用語「a」および「an」は、「1つ以上の」列挙した構成要素を指すと理解すべきである。たとえば、「a」ポリマーは、1つのポリマー、あるいは2つ以上のポリマーを含む混合物の両方を指す。本明細書で使用されるように、用語「約」は、±15%を指す。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「生体材料」は、本来合成または天然である任意の物質(薬剤以外)またはその組み合わせを指し、身体の任意の組織、臓器、または機能を処置、増大、または置換するシステムの全体または一部として任意の期間使用できる。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「生体適合性」は、特定の適用において適切な宿主応答を伴って実施するための物質の能力を指す。
【0048】
本明細書で使用されるように、用語「弾性限界」または「降伏強度」は、物質が可塑的に変形し始める応力を指す。降伏点の前に物質は弾性的に変形し、適用した応力が除去されると元の形状に戻る。降伏点を通過すると、変形の一部が永続的かつ不可逆的になる。
【0049】
本明細書で使用されるように、用語「弾性」は、完全に回復可能な状態で物質に力が適用される際に非常に大きな変形能を有する物質を指し、これらの力が除去されると最初の形状および寸法に戻る物体を意味する。このような特徴はまた、ゴム弾性とも呼ばれる。このような「弾性」物質の分子上の必要条件では、物質はポリマー鎖からなるものでなければならず、応力下で配座および伸長を変化させる必要がある。ポリマー鎖は可撓性が高くなければならない。配座変化に達する必要がある(w/ガラス、結晶、または硬い物質ではない)。ポリマー鎖は、ネットワーク構造で連結されてなければならない。不可逆的な鎖の滑り(永久ひずみ)を回避することが必要である。100のモノマーのうち1つが、2つの異なる鎖に連結しなければならない。連結(ブロックコポリマー中の共有結合、結晶子、ガラス状ドメイン)。弾性ポリマーの例として、ゴム、ラテックス、合成ゴム、ネオプレン、シリコーンなどが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用されるように、用語「非弾性」は、力が適用される際に変形能が低いまたは変形が全くない物質を指す。ひずみ限界を超えると、非弾性物質は、不可逆的な変形を経験する。ポリマー鎖は可撓性がなく、かつ配座変化に容易に達しない。これらは、不可逆的な鎖の滑り(永久ひずみ)を経験し得る。この例として、ガラス、硬質プラスチック、非晶質ガラス状ポリマーなどが挙げられる。
【0051】
本明細書に使用されるように、用語「半弾性」は、完全に回復可能な状態で物質に力が適用される際に、中程度の変形能を有する物質を指し、力が除去されると最初の形状および寸法に戻る物体を意味する。多数の半弾性ポリマーが存在する。半結晶性ポリマーの例は、直鎖状ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはイソタクチックポリプロピレン(PP)である。
【0052】
本明細書に使用されるように、用語「自己圧縮」は、物質がリザーバーに添加されてひずむまで詰められた場合に、リザーバー内部の物質を圧縮する弾性力をもたらすことを指す。この自己圧縮は、リザーバーから流れ限定ポートまたは強制される拡散を介してリザーバー内部での物質の分布を開始する力を提供する。
【0053】
本明細書に使用されるように、用語「ステント」は、疾患が誘導される、局在化した流れの狭窄を防止または妨害するために、身体の天然の経路/導管の中に挿入される任意の人工的な「チューブ」を指す。またこの用語は、このような天然の導管の開口を一時的に保持して外科手術用のアクセスを可能にするために使用するチューブも指す。
【0054】
本明細書に使用されるように、用語「シャント」は、2つの領域の間の流体の移動を可能にする穴または通路を作製するために本体内に挿入される任意の人工的なチューブを指す。このチューブは、一時的または永続的に埋め込まれてよい。
【0055】
本明細書に使用されるように、用語「フォーリーカテーテル」は、多くの場合尿道を介しておよび膀胱の中へ通過する可撓性のチューブを指す。このチューブは、チューブの全長を流下する2つの別々のチャネルまたは管腔を有する。1つの管腔は両端が開口しており、収集袋に尿を排出できる。他の管腔は、外側の端に弁を有し、かつ先端がバルーンと連結している。このバルーンは膀胱の中にある時に、滑り出ないようにするため、無菌水、または他の流体/気体で膨張する。
【0056】
本明細書で使用されるように、用語「カテーテル」は、身体の腔、管、または血管に挿入できる任意のチューブを指す。カテーテルはしたがって、流体もしくは気体の排出、投与、または外科的器具によるアクセスを可能にする。カテーテルの挿入工程はカテーテル法である。多くの使用において、カテーテルは薄く、可撓性のチューブ(「軟質」カテーテル)であるが、場合によっては、より大きく硬い(「硬質」)カテーテルを使用する。体内に一時的または永続的に残されるカテーテルは、留置カテーテルと呼ばれる場合がある。永続的に挿入されるカテーテルは、パームキャスと呼ばれる場合がある。
【0057】
本明細書で使用されるように、「微小電気機械システム」、または「MEMS」は、非常に小さな装置の技術を指す。MEMは、分子ナノテクノロジーまたは分子電子工学の仮想上の画像(hypothetical vision)と別のものである。MEMSは、1〜100マイクロメートルの寸法(すなわち0.01〜0.1mm)の部品から作製され、MEMS装置は、一般的に、20マイクロメートル(20メートルの100万分の1)〜ミリメートル(すなわち0.02〜1.0mm)のサイズ範囲である。これらは、通常、データを処理する中央装置(マイクロプロセッサ)およびマイクロセンサなどの周辺と相互作用するいくつかの部品からなる。
【0058】
本明細書に使用されるように、用語「PLGAまたはポリ(乳酸−コ‐グリコール酸)」は、コポリマーを指し、その生体分解性および生体適合性のため、アメリカ食品医薬局(FDA)により治療装置として認可されている。PLGAは、緩慢な薬物放出のため研究されている[4]。
【0059】
本明細書で使用されるように、用語「ポリエチレングリコール」(略してPEG)は、任意のポリエーテル化合物を指す。たとえばPEGは、分子量に応じてポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)として商業的に入手可能である(Carbowax(登録商標))。
【0060】
添付する図面は、本明細書に組み込まれるものであり、本明細書の一部を形成し、本発明のいくつかの実施形態を記載と共に例示し、本発明の原則を説明する。図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するのみを目的とし、本発明を限定するように考慮されるものではない。