特許第6885920号(P6885920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885920
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ネジ自動検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20210603BHJP
【FI】
   G01M13/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-227338(P2018-227338)
(22)【出願日】2018年12月4日
(65)【公開番号】特開2020-91146(P2020-91146A)
(43)【公開日】2020年6月11日
【審査請求日】2020年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】宮原 優弥
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−280854(JP,A)
【文献】 特開2013−072700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に穿設された雌ネジ孔の検査を自動的に行うネジ自動検査システムであって、
前記検査対象の前記雌ネジ孔を検査するための検査ゲージを保持するホルダ部を着脱可能に備えるネジ検査装置を取り付けたロボットと、
複数の規格の前記雌ネジ孔を検査するための複数の前記ホルダ部を格納するゲージストッカと、
前記検査対象が配置されるテーブルと、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記検査対象に穿設されて検査を行う前記雌ネジ孔の規格に相当する前記ホルダ部を前記ゲージストッカから選択して前記ネジ検査装置に自動的に装着するように、及び/又は前記ネジ検査装置に装着された前記ホルダ部を前記ゲージストッカの所定位置に格納するように、前記ロボット及び前記ネジ検査装置の駆動を制御するホルダ部装着/格納制御部と、
前記テーブル上の前記検査対象、又は前記テーブルから前記ロボットが取って保持した前記検査対象の前記雌ネジ孔を前記ネジ検査装置で検査するように前記ロボット及び前記ネジ検査装置の駆動を制御する検査実行制御部とを備え
同じ工具を用いて複数の前記雌ネジ孔が穿設されている場合には、前記検査実行制御部が、前記同じ工具を用いて形成した複数の前記雌ネジ孔のうち、最後に形成した前記雌ネジ孔に対してのみ検査を行うように制御する、ネジ自動検査システム。
【請求項2】
前記ネジ検査装置が、前記検査ゲージを前記雌ネジ孔に螺合させた際のトルクを検出して前記雌ネジ孔の良否を判定するように構成されている、請求項1記載のネジ自動検査システム。
【請求項3】
同じ規格の工具を交換して複数の前記雌ネジ孔が穿設されている場合には、前記検査実行制御部が、前記同じ規格の工具毎に形成した前記雌ネジ孔のうち、前記同じ規格の工具毎に最後に形成した前記雌ネジ孔に対して検査を行うように制御する、請求項1又は請求項2に記載のネジ自動検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ自動検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工製造分野では、工作機械などで加工した加工品に対し、洗浄を行い、外観検査、寸法検査、ネジ検査などの検査を行って不良品の有無を確認し、不良品を排除するとともに加工不良が生じた要因等を特定し、加工不良が発生しないように改善する管理を行っている。
【0003】
外観検査では、例えば、傷、バリ残り、汚れ等の目視検査を行い、寸法検査では、マイクロメータなどを用いて加工品の各部の寸法の計測を行う。
【0004】
ネジ検査では、例えば、加工品に穿設された雌ネジ孔やピン孔に対し、ネジゲージやピンゲージを用いて所定の深さ、径等の形状で雌ネジ孔やピン孔が形成されているか否かを確認する。
【0005】
特許文献1には、ワーク(加工品)のネジ部を検査する検査機器であって、ワークを回転しないように保持するワーク受け治具と、ワーク受け治具に保持されたワークのネジ部にねじ込まれるネジゲージと、ワーク受け治具の軸方向に移動可能に設けられ、ネジゲージを支持するホルダ部材と、ホルダ部材に設けられ、ホルダー部材を規定のトルクで回転させ、所定値より大きいトルクがかかったときに回転を停止するトルク制御型モータと、ネジゲージの軸方向へのストローク長を測定するエンコーダと、を有するネジ検査装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ねじ付製品(加工品)の検査を行う装置であって、ねじ付製品を保持する保持手段と、保持手段を該ねじの軸心と直角な方向に微小距離自由移動可能なフローティング状態に支持するフローティング支持手段と、保持手段を中心位置に向かって付勢する付勢手段と、製品のねじに対応する検査用ねじを有し、それら両ねじが同心位置において対向するように配置されたねじゲージとを有し、ねじゲージが回転状態で前進駆動されて検査用ねじが製品のねじにねじ込まれるように構成されているネジ検査装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、ねじが螺合される試験片の保持装置と、保持装置により固定された試験片に螺合し得るねじを締付けるドライバーを回動させるとともに、ドライバーを上下動させる動力装置とを具備するねじ部品の試験装置であって、保持装置は、少なくとも試験片のねじ立て位置をX−Y方向で選択し得るよう、X−Y方向に移動可能な載置台を有し、動力装置はドライバーを上下動させるスライド部と、スライド部上でドライバーの方向を任意に調整し得る支持機構と、支持機構上でドライバーを浮遊動可能に支持するフローティング機構とを有するネジ検査装置(ねじ部品の試験装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−256087号公報
【特許文献2】特開平04−240539号公報
【特許文献3】特開昭60−161541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、加工品Wのネジ検査では、一般に、図9に示すように、通りゲージ1a(検査ゲージ1)を用い、無理なく手でねじ込んで雌ネジ孔2に指定深さまで通りゲージ1aが到達するか否かを確認したり、図10に示すように、止まりゲージ1b(検査ゲージ1)を用い、無理なく手でねじ込んで雌ネジ孔2に止まりゲージ1bが2回転未満で螺入が止まるか否かを確認し、雌ネジ孔2の加工の良否を判定する。
【0010】
したがって、加工品に形成された多数の雌ネジ孔を検査者が手動で検査するために多大な労力と時間を要し、また、熟練の検査者が検査を行うことが必要になる。このため、より効率的に加工品のネジ検査を行えるようにすることが強く求められていた。
【0011】
これに対し、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載のネジ検査装置を用いることによって検査者が手動で検査する必要がなく、熟練の検査者が検査を行わなくてもネジ検査を行うことができる。
【0012】
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載のネジ検査装置は、単に加工品や試験片の雌ネジ孔を検査する装置であり、大量生産されて順次送られてくるような生産工程でネジ検査を行うような場合に、検査者が一つずつ加工品をテーブルに載せてネジ検査を行う作業を繰り返して対応しなければならない。このため、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載のネジ検査装置を用いた場合であっても、ネジ検査の自動化を図ることができず、ネジ検査を十分に効率化することができない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑み、ネジ検査の自動化を図って、より効率的に加工品のネジ検査を行うことを可能にするネジ自動検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、ネジ検査の自動化を図って、より効率的に加工品のネジ検査を行うことを可能にする手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
(1)本発明は、検査対象(例えば、後述の加工品W)に穿設された雌ネジ孔(例えば、後述の雌ネジ孔2)の検査を自動的に行うネジ自動検査システム(例えば、後述のネジ自動検査システムA)であって、前記検査対象の前記雌ネジ孔を検査するための検査ゲージ(例えば、後述の検査ゲージ1、通りゲージ1a、止まりゲージ1b)を保持するホルダ部(例えば、後述のホルダ部12)を着脱可能に備えるネジ検査装置(例えば、後述のネジ検査装置11)を取り付けたロボット(例えば、後述のネジ検査ロボット9)と、複数の規格の前記雌ネジ孔を検査するための複数の前記ホルダ部を格納するゲージストッカ(例えば、後述のゲージストッカ13)と、前記検査対象が配置されるテーブル(例えば、後述の検査用テーブル7)と、前記ロボットの駆動を制御する制御装置(例えば、後述の制御装置15)とを備え、前記制御装置は、前記検査対象に穿設されて検査を行う前記雌ネジ孔の規格に相当する前記ホルダ部を前記ゲージストッカから選択して前記ネジ検査装置に自動的に装着するように、及び/又は前記ネジ検査装置に装着された前記ホルダ部を前記ゲージストッカの所定位置に格納するように、前記ロボット及び前記ネジ検査装置の駆動を制御するホルダ部装着/格納制御部(例えば、後述のホルダ部装着/格納制御部16)と、前記テーブル上の前記検査対象、又は前記テーブルから前記ロボットが取って保持した前記検査対象の前記雌ネジ孔を前記ネジ検査装置で検査するように前記ロボット及び前記ネジ検査装置の駆動を制御する検査実行制御部(例えば、後述の検査実行制御部17)とを備えることを特徴とする。
【0016】
(2)本発明は、上記(1)において、前記ネジ検査装置が、前記検査ゲージを前記雌ネジ孔に螺合させた際のトルクを検出して前記雌ネジ孔の良否を判定するように構成されていてもよい。
【0017】
(3)本発明は、上記(1)または(2)において、同じ工具を用いて複数の前記雌ネジ孔が穿設されている場合には、前記検査実行制御部が、前記同じ工具を用いて形成した複数の前記雌ネジ孔のうち、最後に形成した前記雌ネジ孔に対してのみ検査を行うように制御してもよい。
【0018】
(4)本発明は、上記(3)において、同じ規格の工具を交換して複数の前記雌ネジ孔が穿設されている場合には、前記検査実行制御部が、前記同じ規格の工具毎に形成した前記雌ネジ孔のうち、前記同じ規格の工具毎に最後に形成した前記雌ネジ孔に対して検査を行うように制御してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ネジ検査を自動化することができ、従来と比較し、大幅に効率的に加工品のネジ検査を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムのネジ検査装置を示す斜視図である。
図3】検査対象の加工品の一例を示す図である。
図4】検査対象の加工品の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムの制御装置を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムを示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムを用いて行ったネジ検査結果ファイルの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムにおいて、トルクを検出してネジ検査を行う際の説明に用いた図である。
図9】通りゲージを用いたネジ孔検査を示す図である。
図10】止まりゲージを用いたネジ孔検査を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係るネジ自動検査システムについて説明する。
【0022】
ここで、本実施形態は、工作機械で加工した加工品の雌ネジ孔が所定の規格形状で形成されているか否かを自動で検査するためのシステムに関するものである。
【0023】
具体的に、ネジ自動検査システムでネジ検査を行う検査対象の加工品は、例えば、工作機械で加工した後、パレットに載せられ、AGV (無人搬送車)などで自動倉庫の未検査品分散倉庫に搬入され、未検査品分散倉庫に具備されたスタッカクレーンで所定のスタッカラック(荷物棚)に格納される。
【0024】
本実施形態のネジ自動検査システムAは、図1に示すように、例えば、上記の未検査品分散倉庫に隣接したネジ検査領域(外観検査等領域)Rに設けられている。
【0025】
本実施形態のネジ自動検査システムAは、ネジ検査領域Rの所定位置に設けられた仮置きテーブル3、4と、加工品Wを洗浄する洗浄装置5と、洗浄した加工品Wから洗浄液を除去するエアブロー装置6と、洗浄処理後の加工品Wを載置する検査用テーブル7と、仮置きテーブル3、4、洗浄装置5、エアブロー装置6、検査用テーブル7の間で加工品Wを運搬するハンドリングロボット8と、検査用テーブル7に送られた加工品Wのネジ検査を行うためのネジ検査ロボット9とを備えて構成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、外観検査領域とネジ検査領域Rとが同領域とされ、図1に示すように、画像検査などによって加工品Wの外観検査を行うための外観検査ロボット10がネジ検査ロボット9と並んで設けられている。そして、検査用テーブル7に送られた加工品Wに対し、ネジ検査ロボット9と外観検査ロボット10がそれぞれ検査を行うように構成されている。
【0027】
ネジ検査ロボット9は、多関節状のアームを備えて形成され、全方位の所定の領域内で自在に先端部を移動できるように構成されている。ネジ検査ロボット9は、先端部に、図2に示すようなネジ検査装置11が取り付けられている。
【0028】
ネジ検査装置11は、図2図3図4に示すように、検査対象の加工品Wに穿設された雌ネジ孔2を検査するための検査ゲージ1を保持するホルダ部12を着脱可能に備えている。また、図1に示すように、複数規格の雌ネジ孔2を検査するための複数の検査ゲージ規格が異なる検査ゲージ1をそれぞれ保持した状態の複数のホルダ部12が、ゲージストッカ13に格納されており、ネジ検査ロボット9は、ゲージストッカ13との間でホルダ部12を選択、交換、収納可能に駆動する。ゲージストッカ13は、例えば、ゲージサイズ:M3〜M16(通り検査用/止まり検査用:各1本)の検査ゲージ1をそれぞれ保持した計16本のホルダ部12が格納されている。
【0029】
ネジ検査装置11は、検査時に近接センサによって検査ゲージ1の前進量を捉え、これにより、雌ネジ孔2の良否を検査できるように構成されている。あるいは、ネジ検査装置11は、検査ゲージ1である通りゲージ1aを用い、無理なく手でねじ込む力に対応した所定の力(トルク)が設定され、この力で雌ネジ孔2に指定深さまで通りゲージ1aが到達するか否かを確認したり、検査ゲージ1の止まりゲージ1bを用い、無理なく手でねじ込む力に対応した所定の力(トルク)で雌ネジ孔2に止まりゲージ1bをねじ込み、止まりゲージ1bが2回転未満の螺入量で止まるか否かを確認する検査が行えるように構成されている。このような場合には、ネジサイズごとのパラメータ(前進量、トルク、回転数等)が予め設定される。
【0030】
ここで、本実施形態のネジ自動検査システムAは、ハンドリングロボット8、ネジ検査ロボット9、外観検査ロボット10、ネジ検査装置11等の駆動を制御する制御装置15を備えている。
【0031】
また、制御装置15は、検査対象に穿設されて検査を行う雌ネジ孔2の規格に相当するホルダ部12をゲージストッカ13から選択してネジ検査装置11に自動的に装着するように、及び/又はネジ検査装置11に装着されたホルダ部12をゲージストッカ13の所定位置に格納するように、ロボット8、9及びネジ検査装置11の駆動を制御するホルダ部装着/格納制御部16と、テーブル3、4、7上の検査対象の加工品W、又はテーブル3、4、7からロボット8、9が取って保持した加工品Wの雌ネジ孔2をネジ検査装置11で検査するようにロボット9及びネジ検査装置11の駆動を制御する検査実行制御部17と、検査実行制御部17で駆動制御して得られたネジ検査結果から雌ネジ孔2の良否を判定するネジ孔判定部18と、各種データを記憶する記憶部19とを備えている。
【0032】
本実施形態のネジ自動検査システムAにおいては、制御装置15によって以下のように自動制御を行う。
【0033】
まず、システム側のPLCから未検査品分散倉庫(自動倉庫)側の上位PCに検査可能な加工品Wが格納されているかを問い合わせ、該当する加工品Wがある場合には、上位PCから同加工品用のロボットプログラム番号を取得する。同加工品Wと同加工品Wの検査治具をそれぞれシステム内の搬送装置(台車、荷受台)に出庫し、ネジ検査領域Rに加工品W及び検査治具を搬入する。
【0034】
図1及び図5に示すように、ホルダ部装着/格納制御部16によって、ネジ検査ロボット9を駆動制御し、検査対象の加工品Wに穿設されて検査を行う雌ネジ孔2の規格に相当するホルダ部12をゲージストッカ13から選択してネジ検査装置11に自動的に装着する。検査実行制御部17によって、ハンドリングロボット8及びネジ検査ロボット9を駆動制御し、検査用テーブル7に加工品Wを搬送するとともに加工品Wの雌ネジ孔2をネジ検査装置11で検査し、この検査時のデータが記憶部19に記憶され、ネジ孔判定部18が検査時のデータ(ネジ検査結果)から雌ネジ孔2の良否を判定する。
【0035】
ここで、本実施形態では、例えば、図6図3図5)に示すように、予め取得した加工情報データに基づき、加工品Wに同じ工具を用いて複数の雌ネジ孔2が穿設されているか否かを確認する。同じ工具を用いて複数の雌ネジ孔2が穿設されている場合(図7の(1)参照)には、検査実行制御部17が、同じ工具を用いて形成した複数の雌ネジ孔2のうち、最後に形成した雌ネジ孔2に対してのみ検査を行うように制御し、この検査結果によって、同じ工具を用いて穿設された複数の雌ネジ孔2の良否をネジ孔判定部が判定する。
【0036】
さらに、本実施形態では、加工情報データに基づき、加工品Wに同じ規格の工具を交換して複数の雌ネジ孔2が穿設されているか否かを確認する。同じ規格の工具を交換して複数の雌ネジ孔2が穿設されている場合(図7の(2)、(3)参照)には、検査実行制御部17が、同じ規格の工具毎に形成した雌ネジ孔2のうち、同じ規格の工具毎に最後に形成した雌ネジ孔2に対して検査を行うように制御し、この検査結果によって、同じ規格の工具毎に穿設された雌ネジ孔2を1つのグループとし、グループごとに雌ネジ孔2の良否をネジ孔判定部18が判定する。
【0037】
なお、加工品Wの下面の雌ネジ孔2など、検査用テーブル7上で検査を行うことができない雌ネジ孔2がある場合などにおいては、加工品Wをネジ検査ロボット9が把持するなどして検査を行う。すなわち、ネジ検査ロボット9が加工品把持装置を備えてもよい。
【0038】
また、ネジ孔検査の結果は、例えば、図7に示すように、加工品Wの仕様毎にファイルが自動作成される。このファイルには、検査日時と機械番号、検査結果が記録され、加工品の良否判定が記録される。
【0039】
したがって、本実施形態のネジ自動検査システムAにおいては、ネジ検査装置11を取り付けたロボット9と、複数のホルダ部12を格納するゲージストッカ13と、検査対象の加工品Wが配置されるテーブル3、4、7と、ロボット9の駆動を制御する制御装置15とを備えることによって、ロボット9を駆動制御し、雌ネジ孔2の規格に相当するホルダ部12をゲージストッカ13から選択してネジ検査装置11に自動的に装着したり、ネジ検査装置11に装着されたホルダ部12をゲージストッカ13の所定位置に格納したりすることができる。
【0040】
また、テーブル3、4、7上の加工品Wや、テーブル3、4、7からロボット9が取って保持した加工品Wの雌ネジ孔2を、ロボット9及びネジ検査装置11の駆動を制御することによって検査することができる。
【0041】
これにより、本実施形態のネジ自動検査システムAによれば、ネジ検査を自動化することができ、従来と比較し、大幅に効率的に加工品Wのネジ検査を行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施形態のネジ自動検査システムAにおいては、同じ工具を用いて複数の雌ネジ孔2が穿設されている場合に、同じ工具を用いて形成した複数の雌ネジ孔2のうち、最後に形成した雌ネジ孔2に対してのみ検査を行うように制御することによって、より効率的に加工品Wのネジ検査を行うことが可能になる。
【0043】
さらに、本実施形態のネジ自動検査システムAにおいては、同じ規格の工具を交換して複数の雌ネジ孔2が穿設されている場合に、同じ規格の工具毎に形成した雌ネジ孔2のうち、同じ規格の工具毎に最後に形成した雌ネジ孔2に対して検査を行うように制御することによって、より効率的且つ効果的で信頼性の高いネジ検査を行うことが可能になる。
【0044】
ここで、本実施形態のネジ自動検査システムAにおいては、ネジ検査装置11及び制御装置15が検査ゲージ1を雌ネジ孔2に螺合させた際のトルクを検出して雌ネジ孔2の良否を判定するように構成してもよい。
【0045】
この場合には、図8に示すように、目標トルク、最終トルク下限値(下限閾値)、最大トルク上限値(上限閾値)を予め定めておき、ネジ検査装置11でネジ検査を行う際のトルクを検出するとともに検査ゲージ1の螺入時の時間、角度、仮締め速度、本締め速度を検出し、所定の本締め範囲(本締めOK範囲)となるか否かを確認し、判定を行う。
このとき、例えば、目標トルクは、従来の通りゲージ1aを無理なく手でねじ込む力に対応した所定の力(トルク)や、止まりゲージ1bを無理なく手でねじ込む力に対応し、止まりゲージ1bが2回転未満の螺入量で止まる所定の力(トルク)とすればよい。
このようにトルクによって雌ネジ孔2の良否を判定することによって、さらに効率的且つ効果的で信頼性の高いネジ検査を行うことが可能になる。
【0046】
以上、本発明に係るネジ自動検査システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 検査ゲージ
1a 通りゲージ
1b 止まりゲージ
3 仮置きテーブル
4 仮置きテーブル
5 洗浄装置
6 エアブロー装置
7 検査用テーブル
8 ハンドリングロボット
9 ネジ検査ロボット
10 外観検査ロボット
11 ネジ検査装置
12 ホルダ部
13 ゲージストッカ
15 制御装置
16 ホルダ部装着/格納制御部
17 検査実行制御部
18 ネジ孔判定部
19 記憶部
A ネジ自動検査システム
W 検査対象(加工品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10