特許第6885921号(P6885921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885921
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】吸収性抗菌創傷ドレッシング
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/44 20060101AFI20210603BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20210603BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20210603BHJP
   C01G 5/00 20060101ALI20210603BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20210603BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20210603BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20210603BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20210603BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A61L15/44 100
   A61L15/28 100
   A61L15/24 100
   C01G5/00
   A61L15/22 100
   A61L15/22 310
   A61L15/20 100
   A61F13/00 T
   A61F13/00 301M
   A61F13/00 301Q
   B05D7/00 B
   B05D7/24 301J
   B05D7/24 303Z
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-503658(P2018-503658)
(86)(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公表番号】特表2018-524121(P2018-524121A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】EP2016067398
(87)【国際公開番号】WO2017016974
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】15178270.3
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14/807,989
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507226709
【氏名又は名称】メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】エリク カールソン
(72)【発明者】
【氏名】デニス ハンソン
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−036387(JP,A)
【文献】 特表2009−529367(JP,A)
【文献】 特表2013−523879(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0323195(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/022340(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00−33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性抗菌創傷ドレッシングの調製方法であって、以下:
(a)非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合することによって、抗菌性コーティング組成物を調製し;
(b)ステップ(a)の抗菌性コーティング組成物と、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する創傷ドレッシング基質とを接触させ;そして
(c)ステップ(b)の生成物を乾燥させること、
を含み、
ここで、前記抗菌性コーティング組成物中の前記1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロース(EC)、からなる群から選択されるセルロース系ポリマーであり、
ここで、前記吸収性繊維がポリビニルアルコールを含む、
方法。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコールが架橋されている、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記抗菌剤が、銀を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記非水性溶媒が、極性プロトン性溶媒を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記極性プロトン性溶媒が、アルコールである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
抗菌剤及び1又は複数のポリマーを含有する抗菌性コーティングで被覆された、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する基質を含む、吸収性抗菌創傷ドレッシングであって、当該1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択され、
ここで、前記基質は、第1の面と反対側の第2の面とを有し、前記抗菌性コーティングは、第1の面及び反対側の第2の面に設けられ、
ここで、前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロース(EC)、からなる群から選択されるセルロース系ポリマーであり、
ここで、前記吸収性繊維がポリビニルアルコールを含む、
吸収性抗菌創傷ドレッシング。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコールが架橋されている、請求項に記載の創傷ドレッシング。
【請求項8】
前記吸収性粒子がポリアクリル酸を含む、請求項6又は7に記載の創傷ドレッシング。
【請求項9】
前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマーである、請求項からのいずれか一項に記載の創傷ドレッシング。
【請求項10】
前記抗菌剤が、銀を含む、請求項からのいずれか一項に記載の創傷ドレッシング。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
創傷ドレッシングは、治癒を促進し、埃及び異物による汚染から損傷組織を保護し、並びに感染から保護するために、何世紀にもわたって使用されてきた。研究により、湿潤環境が創傷治癒の促進を助けることが示されている。このことは、滲出液を吸収及び保持する吸収性創傷ドレッシングの開発を促している。さらに感染を防ぎ、かつ創傷の治癒を促進するために、そのような吸収性創傷ドレッシング中に抗菌剤を含めることが望ましいであろう。また、抗菌剤がドレッシング基質内に均一に分布されるように行うことも望ましいであろう。抗菌剤が、経時的な分解に対して安定化されることも望ましいであろう。
【発明の概要】
【0002】
発明の概要
本発明は、特定の抗菌剤(例えば、銀ベースの抗菌剤)は、高度に水性の(highly aqueous)溶液にのみ可溶性である一方で、吸収性創傷ドレッシングの製造に有用なポリマーは、水の存在下でゲル化するために高度に水性の溶液とは不適合であるという認識から、部分的に端を発する。それゆえ、高度に水性の溶液にのみ可溶性である抗菌剤を、高度に水性の溶液とは不適合である吸収性創傷ドレッシングに適用することは、吸収性抗菌創傷ドレッシングの開発をこれまで制限してきた実際の課題をもたらす。
【0003】
本発明は、非水性溶媒を含む溶媒系中の抗菌剤、及び1又は複数のポリマーを混合することによって、これら及び他の問題を解決する。理論に拘束されることを望むものではないが、非水性溶媒は、抗菌剤の適用中に生じる吸収の量を回避又は低減すると考えられ、一方で1又は複数のポリマーは、抗菌剤の分散を助け、かつそれらの沈降を防ぐと考えられる。したがって、一態様において、本発明は、吸収性抗菌創傷ドレッシングを調製するための方法であって、以下のステップ:(a)非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合することによって、抗菌性コーティング組成物を調製し、(b)ステップ(a)の抗菌性コーティング組成物と、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する創傷ドレッシング基質とを接触させ、並びに(c)ステップ(b)の生成物を乾燥させること、を含む、方法を提供する。本発明はまた、これらの方法によって調製された吸収性抗菌創傷ドレッシングを含む吸収性抗菌創傷ドレッシング、並びに、抗菌性コーティング組成物、及び抗菌性コーティング組成物の製造方法を提供する。
【0004】
以下に論じるように、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質上の抗菌性コーティング中の1又は複数のポリマーは、得られた創傷ドレッシングから抗菌剤が放出される速度を調節する。したがって、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングからの抗菌剤の放出速度は、抗菌剤と混合される1又は複数のポリマーの量を変えることによって、及び/又は、異なるポリマー、異なる分子量のポリマー、又は異なるポリマーの組み合わせを用いることによって、微調整することができる。本発明の方法は、高度に水性の溶液にのみ可溶性である抗菌剤(例えば、銀ベースの抗菌剤)に特に有用であるが、抗菌剤の放出速度を制御する能力は、当該方法が、非水性溶媒に可溶性である抗菌剤(例えば、PHMB)にも有用であり得ることを意味する。本発明のさらなる利点は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って調製した創傷ドレッシング、特に銀ベースの抗菌剤を含む創傷ドレッシングは、既存の抗菌創傷ドレッシングと比較して経時的な変色がより少ないことを示したことである。本発明の別の利点は、本明細書に記載の抗菌性コーティング組成物が、それらが適用される創傷ドレッシング基質を親水化する役割も果たし、別個の親水化工程を不要にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態による、経時的に創傷ドレッシングから放出される銀の量に対するHPCの濃度変化の影響を示す。
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態による、抗菌(AM)創傷ドレッシングを提供するための方法におけるステップを示す。
図3図3は、本発明のいくつかの実施形態による、創傷ドレッシングの調製に有用な超吸収性粒子(SAP)の粒径分布(μmの単位)を示す。
図4図4は、本発明のいくつかの実施形態による、経時的な創傷ドレッシング基質の変色を示す。
図5A図5Aは、本発明の方法による、硫酸銀及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む銀コーティングで被覆されたポリビニルアルコール繊維(プロトタイプ7)の走査電子顕微鏡写真画像(1000x倍率、30Pa圧力でのLSEI検出器)である。本画像において、銀粒子は銀コーティング中のHPCによって封入され、そして、銀コーティングが繊維を被覆していることが明らかであり、繊維が互いに交差している接合部で最も明白にみられる。
図5B図5Bは、本発明の方法による、硫酸銀及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む銀コーティングで被覆されたポリビニルアルコール繊維(プロトタイプ8)の走査電子顕微鏡写真画像(1000x倍率、27Pa圧力でのBEC検出器)である。画像は、銀粒子が白色で見られる繊維の断面図を示す。見られるように、銀粒子は繊維内に存在しない。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態による、シンプル創傷ドレッシングの断面図である。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態による、アイランドドレッシング型創傷ドレッシングの断面図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態による、ボーダードレッシング型創傷ドレッシングの断面図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態による、創傷ドレッシングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特定の実施形態の詳細な説明
一般に、本発明は、吸収性抗菌創傷ドレッシングを調製するための方法、それらの方法に使用される抗菌性コーティング組成物、及びそれらの方法によって製造される吸収性抗菌創傷ドレッシングを提供する。
【0007】
I.吸収性抗菌創傷ドレッシングを調製するための方法
一態様において、本発明は、吸収性抗菌創傷ドレッシングを調製するための方法であって、以下のステップ:(a)非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合することによって、抗菌性コーティング組成物を調製し(b)ステップ(a)の抗菌性コーティング組成物と、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する創傷ドレッシング基質とを接触させ、並びに、(c)ステップ(b)の生成物を乾燥させること、を含む、方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、接触ステップ(b)は、スロットダイ(slot die)、フーラード(foulard)、又はキス(kiss)コーティングを用いて行われる。いくつかの実施形態において、接触ステップ(b)は、スロットダイコーティングを用いて行われる。いくつかの実施形態において、接触ステップ(b)は、フーラードコーティングを用いて行われる。いくつかの実施形態において、接触ステップ(b)は、キスコーティングを用いて行われる。
【0009】
いくつかの実施形態において、乾燥ステップ(c)は、創傷ドレッシング基質を、熱風対流オーブンに又はホットプレート上を通過させることによって行われる。いくつかの実施形態において、乾燥ステップ(c)は、創傷ドレッシング基質を、熱風対流オーブンに通過させることによって行われる。いくつかの実施形態において、乾燥ステップ(c)は、創傷ドレッシング基質を、ホットプレート上を通過させることによって行われる。
【0010】
いくつかの実施形態において、本方法は、創傷ドレッシング基質を、ステップ(c)で乾燥された後に、エチレンオキシド滅菌に供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、エチレンオキシド滅菌は、標準的な方法ISO 11 135−1 、ISO/TS 11135−2:2008、又はISO 11135:2014に従って行われる。
【0011】
好適な創傷ドレッシング(好適な基質及び吸収性繊維又は吸収性粒子を含む)、並びに好適な抗菌剤、ポリマー、及び非水性溶媒は、以下に記載されたものを含む。
【0012】
A.創傷ドレッシング
基質
創傷ドレッシング基質は、吸収性繊維、吸収性粒子、又はそれらの組み合わせを含み得る。本発明のいくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002(「自由膨潤吸収能力(Free swell absorptive capacity)」)によって測定されたその自重の少なくとも1倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも3倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも5倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも10倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも15倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも20倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。例えば、いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は、EN 13726−1:2002によって測定されたその自重の少なくとも25倍の、創傷ドレッシング基質の最大吸収能力に対応する、自由膨潤吸収能力を有する。いくつかの実施形態において、当該基質は吸収性繊維を含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維は、不織布材料の形態である。いくつかの実施形態において、当該基質は吸収性粒子を含む。いくつかの実施形態において、吸収性粒子は、発泡体(例えば、限定するものではないが、ポリウレタン発泡体)内に分散される。いくつかの実施形態において、当該基質はまた、非吸収性繊維を含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維及び/又は吸収性粒子は、非吸収性繊維と共に噴霧、ニードリング(needling)、又はカーディング(carding)によって、エアレイ(airlaid)される。
【0013】
いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、ポリマーを含む。限定するものではないが、好適なポリマーには、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、並びに、ビニルアルコール、アクリル酸、及びメタクリル酸から選択される2つ以上のモノマーを含むコポリマー、が挙げられる。一般に、本明細書におけるポリマー又はモノマーに対する任意の言及は、これらポリマー又はモノマーの塩も包含すると理解すべきである。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、当該基質は、ポリビニルアルコールを含む吸収性繊維を含む。例えば、いくつかの実施形態において、吸収性繊維は、ポリビニルアルコールを含む複数の繊維、例えば米国特許出願公開第2013/0323195号及び/又は米国特許出願公開第2013/0274415号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示された複数の繊維を含んでもよい。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、ポリアクリル酸を含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、ポリメタクリル酸を含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、ビニルアルコール、アクリル酸、及びメタクリル酸から選択される2つ以上のモノマーを含むコポリマーを含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、多糖類を含む。いくつかの実施形態において、多糖類は、セルロース系ポリマー、アルギン酸塩、アルギン酸、アミロペクチン、アミロース、ベータ−グルカン、カラギーナン、キトサン、ゲランガム、ゼラチン、ペクチン酸、ペクチン、及びキサンタンガム、からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、セルロース系ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、カルボキシメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態において、吸収性粒子は超吸収性粒子である。本明細書で使用される場合、「超吸収性粒子」という用語は、蒸留水中でその自重の少なくとも10倍を吸収することができる粒子を意味する。いくつかの実施形態において、超吸収性粒子は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルトルエンスルホネート、ポリスルホエチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルメチルオキサゾリジノン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、あるいは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、又はポリメタクリル酸のコポリマー若しくはターポリマー、を含む。いくつかの実施形態において、超吸収性粒子はポリアクリル酸を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、架橋されているポリマーを含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、架橋されたポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、基質は、架橋されたポリビニルアルコールを含む吸収性繊維を含む。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、熱又は化学処理によって架橋されている。いくつかの実施形態において、吸収性繊維又は吸収性粒子は、熱によって架橋されている。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質は架橋された吸収性繊維を含んでもよく、ここで、架橋された吸収性繊維は、液体の吸収時に、膨潤したコヒーレントな(coherent)ゲルを形成することができる。それによって、創傷ドレッシング基質は創傷からコヒーレントに除去され得る。いくつかの実施形態において、「自由膨潤吸収能力法」(EN 13726−1)に従って、最大量の0.9重量%の生理食塩水を吸収した湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992(幅20mmの試験片に適用)によって測定された、少なくとも0.2N/2cmの引張強度を有する。例えば、いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、少なくとも0.4N/2cm、例えば少なくとも0.6N/2cm又は少なくとも0.8N/2cm又は少なくとも1.0N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、少なくとも2N/2cm、例えば少なくとも2.5N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、少なくとも3N/2cm、例えば少なくとも3.5N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、少なくとも4N/2cm、例えば少なくとも4.5N/2cm、例えば少なくとも5N/2cm又は少なくとも6N/2cm又は少なくとも7N/2cm又は少なくとも8N/2cm又は少なくとも9N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、少なくとも10N/2cm、例えば少なくとも15N/2cm、例えば少なくとも20N/2cm又は少なくとも25N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、0.2〜15N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、0.2〜10N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、0.2〜5N/2cmの引張強度を有する。いくつかの実施形態において、湿潤状態における創傷ドレッシング基質は、EN 29073−3:1992により測定された、1〜4N/2cmの引張強度を有する。本明細書で使用される場合、「湿潤状態における創傷ドレッシング基質」という用語は、EN 13726−1:2002(「自由膨潤」法)に従って最大吸収能力まで湿らせた創傷ドレッシング基質として理解されるべきである。したがって、本明細書で与えられた引張強度は、そのような湿潤創傷ドレッシング基質に対して測定した引張強度を指す。
【0015】
他の成分
本発明の実施形態に係る創傷ドレッシングの特定の比限定的な例を、図6A、6B、7A、及び7Bに示す。一般的に上記したとおり、本発明の創傷ドレッシングは基質を含む(例えば図6Aの1、図6Bの5、図7Aの6、及び図7Bの10)。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、皮膚に接着するための接着層をさらに含む(例えば図6Aの2、図6Bの4、図7Aの9、及び図7Bの12)。いくつかの実施形態において、接着層は、基質の底部表面に配置される。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、穿孔フィルム層をさらに含む(例えば図7Aの8、図7Bの11)。いくつかの実施形態において、穿孔フィルム層は、基質と接着層との間に配置される。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、バッキング(backing)層をさらに含む(例えば図6Bの3、図7Aの7)。いくつかの実施形態において、本発明に係る創傷ドレッシングは、本発明に係る創傷ドレッシングの頂部に適用される二次的ドレッシングと組み合わせて使用される。
【0016】
B.抗菌性コーティング組成物
一般的に上記したとおり、本発明は、創傷ドレッシング基質を被覆するための抗菌性コーティング組成物を提供する。一般に、抗菌性コーティング組成物は、非水性溶媒を含む溶媒系中に、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを含有する。本発明はまた、創傷ドレッシング基質を被覆するための抗菌性コーティング組成物を製造するための方法であって、非水性溶媒を含む溶媒系中で抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合するステップを含む、方法を提供する。
【0017】
本明細書で使用される「抗菌性コーティング組成物」という用語は、「抗菌性コーティング」が、基質に適用され、かつ乾燥された、抗菌剤及び1又は複数のポリマーの混合物を指すという点において、「抗菌性コーティング」という用語と区別される。したがって、抗菌性コーティングは、抗菌性コーティング組成物が基質に適用され、基質が乾燥されて、溶媒が除去された後の、基質上に残る残留物として考えることができる。
【0018】
抗菌剤
いくつかの実施形態において、抗菌剤は銀を含む。いくつかの実施形態において、当該銀は金属銀である。いくつかの実施形態において、当該銀は銀塩である。いくつかの実施形態において、銀塩は、硫酸銀、塩化銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、炭酸銀、リン酸銀、乳酸銀、臭化銀、酢酸銀、クエン酸銀、CMC銀、酸化銀である。いくつかの実施形態において、銀塩は硫酸銀である。
【0019】
いくつかの実施形態において、抗菌剤はヨウ素を含む。いくつかの実施形態において、ヨウ素は、ポビドンヨード、カデキソマーヨウ素、トリオシン、又はヨードザイムである。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗菌剤は、モノグアニド又はビグアニドを含む。いくつかの実施形態において、モノグアニド又はビグアニドは、ジグルコン酸クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)又はその塩、あるいはポリヘキサメチレンモノグアニド(PHMG)又はその塩である。いくつかの実施形態において、ビグアニドは、PHMB又はその塩である。
【0021】
いくつかの実施形態において、抗菌剤は、第四級アンモニウム化合物を含む。いくつかの実施形態において、第四級アンモニウム化合物は、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、又はポリ−DADMACである。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗菌剤は、トリクロサン、次亜塩素酸ナトリウム、銅、過酸化水素、キシリトール、又はハチミツを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、40%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、35%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、30%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、25%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、20%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、15%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、10%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、5%w/w未満の量で存在する。
【0024】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜40%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜35%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜30%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜25%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜20%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜15%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜10%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜5%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.1%〜1%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、0.5%〜3%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、1%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、5%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、10%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、15%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、20%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、25%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、30%〜40%の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤は、35%〜40%の量で存在する。
【0025】
いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、30mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、25mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、20mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、15mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、10mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、5mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、1mg/cm2未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.5mg/cm2未満の量で存在する。
【0026】
いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜30mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜35mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜30mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜25mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜20mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜15mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜10mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.01mg/cm2〜5mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.05mg/cm2〜3mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.05mg/cm2〜1mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.1mg/cm2〜1mg/cm2、例えば、0.1mg/cm2〜0.5mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.1mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、0.5mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、1mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、5mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、10mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、15mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、20mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、25mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、30mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング基質中の抗菌剤は、35mg/cm2〜40mg/cm2の量で存在する。
【0027】
ポリマー
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、セルロース系ポリマーから選択される。いくつかの実施形態において、コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、及びそれらの組み合わせから選択される、セルロース系ポリマーである。いくつかの実施形態において、コーティング組成物中の1又は複数のポリマーの1つは、ヒドロキシプロピルセルロースである。いくつかの実施形態において、コーティング組成物中のポリマーの2つは、ヒドロキシプロピルセルロース及びエチルセルロースである。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーの少なくとも1つは、中性ポリ(メタ)アクリレートエステルである。いくつかの実施形態において、コーティング組成物中の1又は複数のポリマーの少なくとも1つは、メチルメタクリレート/エチルアクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGITポリマー)である。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーの少なくとも1つは、水溶性である。本明細書で使用される場合、「水溶性ポリマー」は、摂氏25度で少なくとも1グラム/リットルの濃度で、水に溶解する。本明細書で使用される場合、「非水溶性ポリマー」は、摂氏25度で1グラム/リットル以下の濃度で、水に溶解する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、少なくとも1つの水溶性ポリマーと少なくとも1つの非水溶性ポリマーとの混合物を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、30%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、20%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、10%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、5%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、4%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、3%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、2%w/w未満の量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、1%w/w未満の量で存在する。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜30%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜20%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜10%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜5%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜4%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、0.5%〜3%w/wの量で存在する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーのそれぞれは、1%〜2%w/wの量で存在する。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、50〜1,500kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、300〜1,500kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、500〜1,500kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、800〜1,500kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、800〜900kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、800〜1,000kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、800〜1,200kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、1,000〜1,200kDaの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーは、1,100〜1,200kDaの平均分子量を有する。
【0034】
非水性溶媒
一般に、抗菌性コーティング組成物は、非水性溶媒を含む。いくつかの実施形態において、非水性溶媒は、極性プロトン性溶媒を含む。いくつかの実施形態において、極性プロトン性溶媒は、アルコールを含む。いくつかの実施形態において、極性プロトン性溶媒は、C1-4アルキルアルコールを含む。いくつかの実施形態において、極性プロトン性溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、又はs−ブタノールを含む。いくつかの実施形態において、極性プロトン性溶媒は、エタノールを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、50%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、40%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、30%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、20%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、15%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、10%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、5%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%w/w未満の水を含む。いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、痕跡量の水のみを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%〜50%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%〜40%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%〜30%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%〜20%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、1%〜10%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、10%〜50%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、10%〜40%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、10%〜30%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、10%〜20%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、20%〜50%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、20%〜40%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、20%〜30%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、30%〜50%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、30%〜40%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物は、40%〜50%w/wの水を含む。
【0037】
抗菌性コーティング組成物を調製するための方法
いくつかの実施形態において、本発明は、創傷ドレッシング基質を被覆するための抗菌性コーティング組成物を製造するための方法であって、非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合するステップを含む、方法を提供する。好適な抗菌剤、ポリマー及び非水性溶媒は、本明細書の実施形態に記載したものを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、抗菌性コーティング組成物を調製するための方法は、以下のステップ:(1)非水性溶媒を含む溶媒系に、1又は複数のポリマーを添加し;そして(2)ステップ(1)から得られた混合物に、抗菌剤を添加すること、を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、(1)水中の1又は複数のポリマーの混合物は、非水性溶媒に添加され;そして(2)非水性溶媒中の抗菌剤の混合物は、ステップ(1)から得られた混合物に添加される。いくつかの実施形態において、ステップ(1)における水は加熱される。いくつかの実施形態において、ステップ(1)における水は、ステップ(1)における混合物が水中の1つ及び複数のポリマーの懸濁液となるように、加熱される。いくつかの実施形態において、ステップ(1)及び(2)における非水性溶媒は同一である。
【0040】
いくつかの実施形態において、水中の1又は複数のポリマー及び抗菌剤の混合物は、非水性溶媒に添加される。いくつかの実施形態において、水は、混合物が懸濁液となるように加熱される。
【0041】
いくつかの実施形態において、1又は複数のポリマーは、非水性溶媒を含む溶媒系中の抗菌剤の混合物に添加される。いくつかの実施形態において、1又は複数のポリマーは、非水性溶媒中の抗菌剤の混合物に添加される。
【0042】
いくつかの実施形態において、(1)1又は複数のポリマーは、非水性溶媒に添加され;そして(2)抗菌剤は、ステップ(1)から得られた混合物に添加される。
【0043】
いくつかの実施形態において、非水性溶媒中の抗菌剤の混合物は、非水性溶媒中の1又は複数のポリマーの混合物に添加される。いくつかの実施形態において、両方の溶液中の非水性溶媒は、同一である。
【0044】
いくつかの実施形態において、これらの方法のいずれかにおける水は、摂氏40〜70度に加熱される。いくつかの実施形態において、水は摂氏60度に加熱される。
【0045】
いくつかの実施形態において、当該方法はさらに、混合物の粘度を増加させるステップを含む。いくつかの実施形態において、混合物の粘度は、少なくとも10、20、30、40、50又は60分間混合することによって増加される。いくつかの実施形態において、コーティング組成物の粘度は、以下に開示した粘度法に従って測定した場合、少なくとも100センチポアズである(実施例7参照)。いくつかの実施形態において、コーティング組成物の粘度は、以下に開示した粘度法に従って測定した場合、100〜100000センチポアズ、例えば、5000〜50000センチポアズ、例えば5000〜30000センチポアズ又は10000〜20000センチポアズである、(実施例7参照)。
【0046】
II.吸収性抗菌創傷ドレッシング
別の態様において、本発明は、吸収性抗菌創傷ドレッシングを提供し、当該吸収性抗菌創傷ドレッシングは、以下のステップ:(a)非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合することによって、抗菌性コーティング組成物を調製し、(b)ステップ(a)の抗菌性コーティング組成物と、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する創傷ドレッシング基質とを接触させ、並びに(c)ステップ(b)の生成物を乾燥させること、を含む方法によって調製される。
【0047】
さらに別の態様において、本発明は、吸収性抗菌創傷ドレッシングを提供し、当該吸収性抗菌創傷ドレッシングは、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを含有する抗菌性コーティングで被覆された、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する基質を含み、ここで、当該1又は複数のポリマーは、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリ−ビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本明細書で使用される場合、「抗菌性コーティングで被覆された吸収性繊維又は吸収性粒子」という用語は、その表面の少なくとも一部に関連してある程度の抗菌性コーティングを有する、吸収性繊維又は吸収性粒子を意味する。それは吸収性繊維又は吸収性粒子の完全又は均一なコーティングを必要としない。実際に、いくつかの実施形態において、本発明の創傷ドレッシング基質は、(a)抗菌性コーティング量がその表面に存在しない吸収性繊維(又は吸収性粒子)と、(b)その表面の一部が抗菌性コーティングに関連している吸収性繊維(又は吸収性粒子)との混合物を含み得る。このことを説明するために、本発明のいくつかの例示的な創傷ドレッシング基質の走査電子顕微鏡画像が、図5A及び5Bに提供される。
【0048】
図5Bに示されるように、本発明の創傷ドレッシングの抗菌剤(ここでは白色で表示された銀粒子によって具体化される)は、基質の繊維内に浸透しないが、むしろ単に繊維の表面上に配置されている。
【0049】
本発明はまた、以下の実施形態に従って説明される:
【0050】
実施形態1:吸収性抗菌創傷ドレッシングを調製するための方法であって、以下:
(a)非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合することによって、抗菌性コーティング組成物を調製し;
(b)ステップ(a)の抗菌性コーティング組成物と、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する創傷ドレッシング基質とを接触させ;そして
(c)ステップ(b)の生成物を乾燥させること、
を含む、方法。
【0051】
前記1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、第1の実施形態に記載の方法。
【0052】
前記吸収性繊維がポリビニルアルコールを含む、先の実施形態に記載の方法。
【0053】
前記ポリビニルアルコールが架橋されている、先の実施形態に記載の方法。
【0054】
前記吸収性繊維がセルロース系ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
前記吸収性繊維がカルボキシメチルセルロースを含む、先の実施形態に記載の方法。
【0056】
前記抗菌性コーティング組成物中の前記1又は複数のポリマーが、50〜1500kDaの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
前記抗菌性コーティング組成物中の前記1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマーである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
前記抗菌性コーティング組成物中の前記1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピル−セルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロース(EC)、からなる群から選択されるセルロース系ポリマーである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
抗菌性コーティング組成物中の1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む、先の実施形態に記載の方法。
【0060】
前記抗菌剤が銀を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
前記抗菌剤が、酸化銀又は銀塩である、先の実施形態に記載の方法。
【0062】
前記銀塩が、硫酸銀、塩化銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、炭酸銀、リン酸銀、乳酸銀、臭化銀、酢酸銀、及びクエン酸銀、からなる群から選択される、先の実施形態に記載の方法。
【0063】
前記非水性溶媒が極性プロトン性溶媒を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
前記極性プロトン性溶媒がアルコールを含む、先の実施形態に記載の方法。
【0065】
前記アルコールがC1-4アルキルアルコールを含む、先の実施形態に記載の方法。
【0066】
前記C1-4アルキルアルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、又はs−ブタノールである、先の実施形態に記載の方法。
【0067】
前記C1-4アルキルアルコールがエタノールである、先の実施形態に記載の方法。
【0068】
ステップ(a)が、以下のサブステップ:
(1)非水性溶媒を含む溶媒系に、1又は複数のポリマーを添加し;そして
(2)サブステップ(1)から得られた混合物に、抗菌剤を添加すること、
を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
ステップ(b)が、スロットダイ、フーラード、又はキス−コーティングを用いて行われる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法に従って調製された、吸収性抗菌創傷ドレッシング。
【0071】
抗菌剤及び1又は複数のポリマーを含有する抗菌性コーティングで被覆された、吸収性繊維又は吸収性粒子を含有する基質を含む、吸収性抗菌創傷ドレッシングであって、当該1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、吸収性抗菌創傷ドレッシング。
【0072】
前記吸収性繊維がポリビニルアルコールを含む、先の実施形態に記載の創傷ドレッシング。
【0073】
前記ポリビニルアルコールが架橋されている、先の実施形態に記載の創傷ドレッシング。
【0074】
前記吸収性粒子がポリアクリル酸を含む、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0075】
前記吸収性繊維がセルロース系ポリマーを含む、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0076】
前記吸収性繊維がカルボキシメチルセルロースを含む、先の実施形態に記載の創傷ドレッシング。
【0077】
前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、50〜1500kDaの平均分子量を有する、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0078】
前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマーである、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0079】
前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、及びエチルセルロース(EC)、からなる群から選択されるセルロース系ポリマーである、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0080】
前記抗菌性コーティング中の前記1又は複数のポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0081】
前記抗菌剤が銀を含む、先行する「創傷ドレッシング」実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシング。
【0082】
前記抗菌剤が、酸化銀又は銀塩である、先の実施形態に記載の創傷ドレッシング。
【0083】
前記銀塩が、硫酸銀、塩化銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、炭酸銀、リン酸銀、乳酸銀、臭化銀、酢酸銀、及びクエン酸銀、からなる群から選択される、先の実施形態に記載の創傷ドレッシング。
【0084】
抗菌性コーティング組成物を調製するためのプロセスであって、非水性溶媒を含む溶媒系中で、抗菌剤及び1又は複数のポリマーを混合するステップ(複数)を含む、プロセス。
【0085】
前記混合のステップ(複数)が、以下:
(1)非水性溶媒を含む溶媒系に、1又は複数のポリマーを添加し;そして
(2)ステップ(1)から得られた混合物に、抗菌剤を添加すること、
を含む、先の実施形態に記載のプロセス。
【0086】
前記抗菌剤が銀を含む、先の2つの実施形態に記載のプロセス。
【0087】
前記銀が、酸化銀又は銀塩である、先の実施形態に記載のプロセス。
【0088】
前記銀塩が、硫酸銀、塩化銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、炭酸銀、リン酸銀、乳酸銀、臭化銀、酢酸銀、及びクエン酸銀、からなる群から選択される、先の実施形態に記載のプロセス。
【0089】
前記1又は複数のポリマーが、セルロース系ポリマー、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、先行する5つの実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0090】
前記セルロース系ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、先行する6つの実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0091】
ステップ(1)及び(2)における前記非水性溶媒が、アルコールを含む、先行する7つの実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0092】
ステップ(1)及び(2)における前記非水性溶媒が、エタノールを含む、先の実施形態に記載のプロセス。
【0093】
(3)ステップ(2)から得られた混合物を処理して、その粘度を増加させること、
をさらに含む、先行する9つの実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0094】
ステップ(3)が、ステップ(2)から得られた混合物を少なくとも60分間混合することを含む、先の実施形態に記載のプロセス。
【0095】
前記抗菌性コーティング組成物中のヒドロキシプロピルセルロースの量が、1.0〜1.5%w/wである、先行する11の実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0096】
前記抗菌性コーティング組成物中の水の量が、1%〜20%w/wである、先行する12の実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0097】
前記抗菌性コーティング組成物中の水の量が、15%w/w未満である、先行する13の実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0098】
前記抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤の量が、少なくとも0.1%w/wである、先行する14の実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0099】
前記抗菌性コーティング組成物中の抗菌剤の量が、0.1%〜40%w/wである、先行する15の実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0100】
先行する16の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスによって製造された、抗菌性コーティング組成物。
【実施例】
【0101】
実施例1.抗菌性コーティング組成物の調製
硫酸銀(3.6グラム;Sigma-Aldrichから市販)を、ビーカー中の190プルーフのエタノール(合計300グラムのうち約100グラム)に添加し、その後、混合物をローター/ステーターミキサーを用いて11000rpmで10分間攪拌した。摂氏65度の水(35グラム、全混合物の総重量の10%w/w)を、ビーカー中のヒドロキシプロピルセルロース(HPC、4.3グラム;Ashlandから市販)に添加し、混合物が得られるまで数秒旋回させた。ビーカーをすぐに、ディソルバーブレード(dissolver blade)を備えたオーバーヘッドスターラー下に取り付け、その後スターラーを起動した。次にエタノール/硫酸銀混合物を、混合中のビーカーに注意深く添加した。硫酸残留物を、エタノールの残り(約200グラム)を用いてビーカー内にすすいだ。合わせたエタノール/水/硫酸銀/HPC混合物を少なくとも60分間混合し、粘度が増大するにつれて、混合速度を段階的に50〜2000rpmに上昇させた。
【0102】
実施例2.基質への適用及び乾燥
実施例1からの抗菌性コーティング組成物を、シリコーン剥離紙(POLY SLIK(登録商標)Loparexから市販)の上に被覆させる。不織布の基質(架橋されたPVA繊維;250gsm)(Exufiber(登録商標)Molnlycke Health Careから市販)を、ローラーウェイト(roller weight)(2,2kg)を用いて剥離層上の抗菌性コーティングに押し付け、従って抗菌性コーティングを不織布基質に移した。その後、不織布基質を剥離紙から外して、ホットプレート(80℃)上に移し、乾燥面をホットプレート側に向けて2分間乾燥させた。次に同じ手順を、生成物の両面が被覆されるように、不織布基質の反対側に繰り返した。
【0103】
実施例3.試験のためのプロトタイプ
以下の表1に示された1〜8の、多数のプロトタイプを調製した。プロトタイプ2を、実施例1、次いで実施例2に従って調製した。プロトタイプ3を、実施例1及び実施例2に従って調製したが、例外として、表1に列挙したように異なる濃度のHPC及び/又は硫酸銀を使用した。実施例1に従うがHPC無添加の銀コーティング組成物の最初の調製によって、HPCを含まない銀コーティングを含むプロトタイプ1を調製し、続いて不織布基質(実施例2と同じ)を銀コーティング組成物(エタノール中の硫酸銀の懸濁液からなる)に浸漬した。ここで、硫酸銀の沈降を避けるために、へらを用いて絶えず銀コーティング組成物を攪拌した。不織布基質を、乾燥するまで、ホットプレート(80℃)上で約10分間乾燥させた。プロトタイプ4、5及び6を、以下の例外とともに、実施例1及び実施例2に従って調製した(表1に示される):(i)不織布基質(40gsm)(Fibrella(登録商標)2000Suominen Corporation、ヘルシンキ、フィンランドから市販)を、プロトタイプ5の調製に使用した;並びに発泡体基質(1.5mmの厚さ)(Mepilex(登録商標)Transfer、Molnlycke Health Careから市販)を、プロトタイプ6の調製に使用した;(ii)異なる濃度のHPC及び硫酸銀;並びに(iii)銀コーティング組成物を、プロトタイプ4、5及び6の基質の片面にのみ適用した(非接着発泡体側)。プロトタイプ7及び8では、表1に指定されたHPC及び硫酸銀濃度で、実施例1に従って調製した硫酸銀コーティング組成物を、スロットダイコーティングを用いて基質に適用し、続いて熱風対流オーブンで乾燥させた。表1に列挙されたHPC濃度は、実施例1に従って調製されたコーティング組成物中のHPCの濃度を意味し、すなわち、乾燥生成物中の実際のHPC濃度を意味するのではないことに留意すべきである。表1に与えられた単位面積あたりの銀(Ag+)量は、銀コーティング組成物を適用する前の基質を秤量し、続いて被覆された基質(その乾燥前の)を秤量することによって計算され、したがって、基質によりとらえられた銀コーティング組成物の量を計算することができ、かつ、既知の銀濃度を与えて単位面積当たりの銀(Ag+)量を決定することができる。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例4.硫酸銀の放出
プロトタイプ1〜3からの硫酸銀の放出を、脱イオン水(70ml、32℃)を含むUSP浴の容器に、円形試験片(10cm2半径)を浸漬することによって測定した。パドル回転速度を125rpmに設定し、1mlの試料を5時間後に抽出した。抽出した試料中の硫酸銀濃度を、誘導結合プラズマ発光分光法(Inductively coupled plasma optical emission spectroscopy)(ICP−OES)を用いて分析した。軸モードの328.068nm及び338.289nmの波長で銀を測定し、ここで、328.068は定量に使用され、338.289nmは干渉を検出するために使用される。各試料を3回測定する。図1は、5時間で放出される銀の総量を示す。図1に見られるように、高濃度のHPCを有する銀コーティング組成物で被覆された不織布基質(例えばプロトタイプ3)は、より少ないHPCを有するプロトタイプ2、又はHPCを含まないプロトタイプ1と比較して、より低い総銀放出を有する。従って、この結果は、コーティング組成物中のHPCの量を調整することによって、銀の放出が制御され得ることを示している。
【0106】
実施例5.創傷ドレッシング基質の変色低減
プロトタイプ4〜6を、銀塩の存在に起因する変色について試験した。プロトタイプ4〜6(ca.100−150cm2)を、55℃及び80%RHの試験環境に供し(Votsch Industritechnik製のOven VC 0020)、それによって老化プロセスを加速させた。ASTM D 2244−11に従って、異なる時点で(各プロトタイプ4〜6の被覆面上で)色を測定し、試験された各プロトタイプのそれぞれの基質に対応するが、銀コーティングを含まない被覆されていない参照試料(試験環境に供されていない)と比較して色の変化(dE)を計算した。図4は、プロトタイプ4〜6に観察された色の変化を示す。図4に見られるように、不織布PVA基質(Exufiber(登録商標))を含むプロトタイプ4は、プロトタイプ5(Fibrella(登録商標)2000基質)及びプロトタイプ6(Mepilex(登録商標)Transfer発泡体基質)と比較して、より低減された色の変化を示した。
【0107】
実施例6.創傷ドレッシング基質の走査電子画像
創傷ドレッシング基質の走査電子顕微鏡画像を、低真空SEMを用いて得た。2つのタイプの検出器:二次電子(SE)−検出器(標識LSEI=低真空二次電子画像)及び後方散乱電子(BEC)検出器(標識BEC=後方散乱電子組成物)を使用する。エポキシ中にプロトタイプ8の試験片を真空含侵し、次に研削及びイオン研磨によって平滑表面を生成することによって、図5Bに示された繊維の断面が生じる。図5Bの写真において、銀などの重い物質は白色で表示されることになる。
【0108】
実施例7.粘度の測定方法
試験混合物、例えば抗菌性コーティング組成物の粘度を、Brookfield Viscometer Instrument Model LVFを使用して測定する。抗菌性コーティング組成物中のポリマー、例えばHPCの分子量が既知の場合、以下の表2はBrookfield粘度計スピンドル及びスピンドル回転を使用するためのガイダンスを提供する。試験混合物(25°±0,2℃)の粘度は、適切なBrookfield粘度計スピンドルを試験混合物に挿入し、次にスピンドル回転を開始することによって、測定される。試験混合物を3分間回転し、読み取りを行う前に装置を停止する。読み取りは速度及び使用したスピンドルに対応する(装置により提供された)係数を乗じる。結果は、センチポアズでの試験混合物の粘度である。
【0109】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B