特許第6885957号(P6885957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6885957レーザを使用したカメラシステムに対するロボットアームの自動較正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885957
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】レーザを使用したカメラシステムに対するロボットアームの自動較正
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20210603BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20210603BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20210603BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20210603BHJP
【FI】
   B25J9/10 A
   A61B6/00 370
   G06T7/80
   G06T7/70 Z
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-535267(P2018-535267)
(86)(22)【出願日】2016年9月14日
(65)【公表番号】特表2018-537301(P2018-537301A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】IB2016055458
(87)【国際公開番号】WO2017055955
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】62/234,102
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィトハーヘン,ペトリュス ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン,デイヴィッド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホッペンブラウエルス,ユルヘン ジャン ルイ
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−252883(JP,A)
【文献】 特開2010−127719(JP,A)
【文献】 特開2011−011321(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02722136(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104197831(CN,A)
【文献】 特表2015−524729(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009030883(DE,A1)
【文献】 国際公開第2008/118198(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
A61B 6/00 − 6/14
G06T 7/00 − 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの較正のためのシステムであって、当該システムは、
2つ以上のカメラを含む撮像システムであって、前記2つ以上のカメラは、前記ロボットから基準プラットフォーム上の少なくとも1つの既知の位置に投影された光スポット又はパターンを撮像する、撮像システムと、
前記2つ以上のカメラによって検出された前記基準プラットフォーム上の光スポット又はパターンの位置を、光スポット又はパターンの位置に対応する少なくとも1つの既知のロボット位置と整列させて、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするように構成された位置合せ装置と、を有する、
システム。
【請求項2】
前記光スポット又はパターンの位置は、ロボットの第1の位置に対応する第1の光スポット又はパターン位置と、前記ロボットの第2の位置に対応する第2の光スポット又はパターン位置とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置合せ装置は、前記撮像システム座標系と前記ロボット座標系とを相関させるための剛性変換を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
当該システムは、前記ロボットが前記撮像システムによって見えないように構成され、
前記ロボット座標系は、ロボットによって視野を遮られることなく前記撮像システム座標系に位置合わせされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記撮像システムは、X線撮像システムのX線検出器に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光スポットは、レーザポインタによって生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記基準プラットフォームは、手術台を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ロボットの較正のためのシステムであって、当該システムは、
被検体を撮像するためのX線を受信するように構成されたX線検出器を含むX線撮像システムと、
前記X線検出器に取り付けられ、2つ以上のカメラを含むカメラアレイと、
固定基準部分及び1つ又は複数のリンクを含むロボットであって、1つのリンクが、指向性光源をロボットの一部に取り付けるように調整されたツール保持機構を含み、前記指向性光源から基準プラットフォーム上の少なくとも1つの既知の位置に光スポット又はパターンが投影され、該光スポット又はパターンは前記2つ以上のカメラによって撮像される、ロボットと、
前記2つ以上のカメラによって検出された前記基準プラットフォーム上の光スポット又はパターンの位置を少なくとも1つの既知のロボット位置と整列させて、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするように構成された位置合せ装置と、を有する、
システム。
【請求項9】
前記光スポット又はパターンの位置は、前記ロボットの第1の位置に対応する第1の光スポット又はパターン位置と、前記ロボットの第2の位置に対応する第2の光スポット又はパターン位置とを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置合せ装置は、前記撮像システム座標系と前記ロボット座標系とを相関させるための剛性変換を生成する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
当該システムは、前記ロボットが前記X線撮像システムによって見えないように構成され、
前記ロボットは、前記X線撮像システムの視野を遮ることなくX線撮像システム座標系に位置合わせされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記光源は、レーザポインタを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記基準プラットフォームは、手術台を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
ロボットを較正するための方法であって、当該方法は、
ロボットから基準プラットフォーム上の少なくとも1つの既知の位置に光スポット又はパターンを投影するステップと、
医療用撮像システムに関連付けられた2つ以上のカメラ内の前記光スポット又はパターンを撮像するステップと、
前記2つ以上のカメラによって検出された前記基準プラットフォーム上の前記光スポット又はパターンの位置を少なくとも1つの既知のロボット位置と位置合わせして、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするステップと、を含む、
方法。
【請求項15】
前記光スポット又はパターンの位置は、ロボットの第1の位置に対応する第1の光スポット又はパターン位置と、前記ロボットの第2の位置に対応する第2の光スポット又はパターン位置とを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療器具に関し、より具体的には、カメラ及びレーザを使用したロボット較正のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介入X線システム等の介入撮像システムは、X線検出器のカバーにカメラを含むことができる。これらのカメラは、互いに及びX線システムに対して幾何学的に位置合わせすることができる。X線システムからの2D及び/又は3D X線(例えば、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT))画像は、カメラ画像上に重ね合わせることができる。このようなシステムは十分な画像情報を提供するが、介入処置を行うためには手動較正が依然として必要である。手動較正は煩雑となり得、熟練した人が行う必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本原理によれば、ロボットの較正のためのシステムは、2つ以上のカメラを含む撮像システムを有する。位置合せ装置が、2つ以上のカメラによって検出された基準プラットフォーム上の光スポットの位置を、光スポット位置に対応するロボット位置に整列させて、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするように構成される。
【0004】
ロボットの較正のための別のシステムは、被検体を撮像するためのX線を受信するように構成されたX線検出器を有するX線撮像システムを含む。カメラアレイが、X線検出器に取り付けられ、且つ2つ以上のカメラを含む。ロボットが、固定基準部分と1つ又は複数のリンクとを含み、1つのリンクが、指向性光源(directed light source)をロボットの一部に取り付けるように調整されたツール保持機構を含む。位置合せ装置が、2つ以上のカメラによって検出された基準プラットフォーム上の光スポットの位置をロボット位置と整列させて、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするように構成される。
【0005】
ロボットを較正するための方法は、ロボットから基準プラットフォーム上の少なくとも1つの既知の位置に光スポットを投影するステップと、医療用撮像システムに関連付けられた2つ以上のカメラ内の光スポットを撮像するステップと、2つ以上のカメラによって検出された基準プラットフォーム上の光スポットの位置を少なくとも1つの既知のロボット位置と位置合わせして、撮像システム座標系をロボット座標系に位置合わせするステップと、を含む。
【0006】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連して読まれる本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による、ロボットを撮像システムに位置合わせするためのシステムを示すブロック/フロー図である。
図2】別の実施形態による、ロボットを撮像システムに位置合わせする方法を示すブロック/フロー図である。
図3】別の実施形態による、ピッチ、ヨー・タイプのロボットを撮像システムに位置合わせするための、3次元から2次元の球面投影を示す図である。
図4】一実施形態による、光スポットのパターンを生成するレーザを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、以下の図を参照して、好ましい実施形態の以下の説明を詳細に示す。
【0009】
本原理によれば、レーザ(ポインタ)を用いたマルチカメラシステムに対するロボットアームの自動的な位置合せ/較正のためのシステム及び方法が提供される。レーザは、(例えば、最終段で)ロボットに結合され、既知の幾何形状を有する。ロボットは、自動的に全ての関節で動作させる。これにより、レーザポインタが移動する。レーザ光は、カメラが互いに位置合わせされているカメラシステムによって視認可能な平面上に投影される。カメラは、レーザドット又はパターンを記録する。いくつかのカメラ内のレーザドットの位置を使用することによって、ロボットの3D位置が計算される。全ての関節を動かした後に、ロボットは、カメラシステムに位置合わせされる。一部のロボット制御は、3Dカメラ座標系を使用して達成することができる。更なる利点は、ロボットがX線又はカメラシステムで見えていなくても、位置合せ/較正のためにシステムを使用できることである。
【0010】
有用な実施形態では、自動較正が、例えば処置又は手術の前に供される。位置合せ/較正システムの自動化された態様は、ワークフローを改善し、より正確な精度を提供する。特に有用な実施形態では、解剖学的ボリューム、例えばコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴(MR)ボリューム上で計画される位置及び方向に器具又は針を自動的に位置付けするためにロボットアームを使用することができる。ロボットアームは、テーブル、床、又は天井等のあらゆる場所に取り付けることができる。ロボット自体がX線又はカメラ画像内に視認可能であるかにかかわらず、カメラ及びCT/MRI又は他の3Dイメージングで計算された位置及び向きを使用してロボットの位置付けを可能にするように、ロボットアームが、X線及び/又はカメラシステムに位置合わせされる。このようにして、ロボットは視界を遮らない。
【0011】
本発明は、医療器具に関して記載するが、本発明の教示は、はるかに広範であり、位置合わせのためのレーザスポット又はパターンを使用するあらゆるシステムに適用可能であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本原理は、複雑な生物学的又は機械的システムの追跡又は解析に用いられる。特に、本原理は、肺、胃腸管、排泄器官、血管等の身体の全ての領域における処置のための機械システムの追跡手順に適用可能である。図に描かれた要素は、ハードウェアとソフトウェアとの様々な組合せで実施することができ、単一の要素又は複数の要素に組み合わせることができる機能を提供する。
【0012】
これらの図に示される様々な要素の機能は、専用のハードウェアと、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアとを使用することによって提供することができる。プロセッサによって提供される場合に、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は複数の個別プロセッサによって提供することができ、それら機能のうちのいくつかは共有することができる。さらに、「プロセッサ」又は「制御装置」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを専ら指すものと解釈すべきではなく、暗黙的に、制限ではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを格納するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置等を含み得る。
【0013】
さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を記載する本明細書における全ての記述は、それらの構造的等価物と機能的等価物との両方を包含するように意図している。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物だけでなく、将来開発される等価物(すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たす任意の開発された要素)の両方を含むことが意図される。こうして、例えば、本明細書に提示されるブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的なシステム構成要素及び/又は回路の概念図を表すことが、当業者には理解されるであろう。同様に、任意のフローチャート、フロー図等は、コンピュータ可読記憶媒体に実質的に表され、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、そのようなコンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表す。
【0014】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって又はこれらコンピュータ又は命令実行システムに関連して使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。この説明の目的のために、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、機器、又は装置によって又は命令実行システム、機器、又は装置に関連して使用されるプログラムを含む、格納する、通信する、伝播する、又は伝送するあらゆる装置となり得る。媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、又は半導体システム(又は機器又は装置)又は伝搬媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体の例には、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、消去可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、及び光ディスクが含まれる。現在の光ディスクの例には、コンパクトディスク−リードオンリメモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD-R/W)、ブルーレイ(登録商標)、及びDVDが含まれる。
【0015】
本明細書における本発明の原理の「一実施形態」又は「実施形態」並びに他の変形は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、特性等が本原理の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。こうして、明細書全体を通して様々な箇所に現れる「一実施形態では」又は「実施形態では」並びに他の変形の語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。
【0016】
例えば、「A/B」、「A及び/又はB」、及び「A及びBのすくなくとも1つ」の場合の、以下の「/」、「及び/又は」、及び「少なくとも1つ」のいずれかの使用は、第1に列挙されたオプション(A)のみの選択、又は第2に列挙されたオプション(B)のみの選択、又は両方のオプション(A及びB)の選択を包含することを意図している。更なる例として、「A、B及び/又はC」、及び「A、B、及びCの少なくとも1つ」の場合に、そのような語句は、第1に列挙されたオプション(A)のみの選択、第2に列挙されたオプション(B)のみの選択、又は第3に列挙されたオプション(C)のみの選択、若しくは第1及び第2に列挙されたオプション(A及びB)のみの選択、第1及び第3に列挙されたオプション(A及びC)のみの選択、又は第2及び第3に列挙されたオプション(B及びC)のみの選択、或いは3つ全てのオプション(A及びB及びC)の選択を包含することを意図している。これは、多くのアイテムが列挙されている場合に、この及び関連する技術分野の当業者によって容易に明らかとなるように意図している。
【0017】
また、ある要素が他の要素の「上に(on)ある」又は「上方に(over)ある」と言及される場合に、そのある要素は、他の要素の直上に存在してもよく、又は介在要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、ある要素が他の要素の「真上にある」又は「直接的に上にある」と言及されるとき、介在要素は存在しない。ある要素が他の要素に「接続される」又は「結合される」と言及される場合に、そのある要素は、他の要素に直接的に接続又は結合され、又は介在要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、ある要素が他の要素に「直接的に接続される」又は「直接的に結合される」と言及される場合に、介在要素は存在しない。
【0018】
ここで図面を参照すると、同様の番号は同じ又は類似の要素を表す。最初に図1を参照すると、一実施形態による、光源を使用してロボットをカメラシステムに位置合わせ及び/又は較正するためのシステム100が例示的に示されている。システム100は、処置(手順)が監督及び/又は管理されるワークステーション又はコンソール112を含むことができる。ワークステーション112は、好ましくは、1つ又は複数のプロセッサ114と、プログラム及びアプリケーションを格納するためのメモリ116とを含む。メモリ116は、1つ又は複数のカメラ132によって収集された光学画像を解釈するように構成された位置合せ/較正モジュール120を格納することができる。1つの実施形態では、カメラ132が、介入撮像システム136の検出器134に取り付けられる。
【0019】
介入撮像システム136は、X線システムを含むことができるが、他の撮像システムを使用してもよい。この場合に、検出器134は、基準プラットフォーム110上の被検体を撮像するためのX線放射を検出する。カメラ132は、X線撮像を支援するために基準プラットフォーム110からの視覚フィードバックを提供するが、レーザスポット(複数可)又はパターン140も検出するように構成される。本原理は、撮像システム136の検出器上のカメラ132を記述するが、撮像システムは、視覚的撮像システムのみ(例えば、カメラのみ)を含む任意の撮像モダリティであってもよい。
【0020】
一実施形態によれば、レーザ142がロボット144に取り付けられる。レーザ142は、特に有用な光源であることを理解されたい。しかしながら、他の光源、例えば、発光ダイオード、強力な白熱光源、プラットフォーム上に投影された光パターン等を使用してもよい。
【0021】
ロボット144は、固定取付ポイント(例えば、ベース146(であるが他の取付ポイントを使用し得る))、又は既知の座標を基準とする位置を含むことが好ましい。1つの有用な実施形態では、レーザ142は、ロボット144の最終リンク又はエンドリンクに取り付けられる。ロボット制御装置148は、ロボット144の動きを制御し、従って、例えばエンコーダ又は他の測定システムを使用して、基準位置に対するロボット144のあらゆるポイントに関する位置及び向き情報を提供することができる。ロボット144の位置及び向き情報は、ロボット座標系150に関して定義してもよい。ロボット制御装置148は、ワークステーション112に結合されたロボット案内/制御システム154と対話して、撮像システム136とロボット144との間の協調動作を可能にする。
【0022】
ロボット142は、レーザ142(又は他の光源)からの光140がプラットフォーム110に入射可能にするように位置付けされる。カメラ132は、この光140を検出することができ、複数のカメラ(例えば、2つ以上)が存在するため、光140の位置を三角測量又は立体的に決定して、ロボット144の位置を推定することができる。ロボット144とレーザ142との間の関係が既知であるので、カメラ座標系156をロボット座標系150に位置合わせすることができる(又はその逆もできる)。
【0023】
一実施形態によれば、カメラ132及びCT/MRI又は他の3D画像152によって計算された位置及び向きを使用したロボット144の位置付けを可能にするために、ロボット144をカメラ基準フレームに位置合わせする自動化手順が実行される。これは、ロボット144がX線又はカメラ画像に見えていない状態でロボット144を位置合せする。これにより、基準プラットフォーム110を使用していつでも較正/位置合せを実行できるので、ワークフローが改善される。これにより、カメラ又はX線の視線が遮られないようにしてワークフローを改善することができる。
【0024】
一実施形態では、ロボット144は、調整可能な器具保持機構158を備えたヨー/ピッチ・ロボットアームを含み、それによりレーザ142又は他の光源を器具保持機構158に取り付けることができる。他の実施形態では、レーザ142は、ロボット144に恒久的に取り付けてもよい。カメラシステム132は、取り付けることができ、及びフィリップス(登録商標)Allura Xper(商標)システムの一部であってもよく、又は別個の構成要素であってもよい。例示的な説明は、ピッチ−ヨー・ロボットについて説明しているが、任意のタイプのロボット及び任意のタイプの動きを使用してもよいことに留意されたい。
【0025】
ワークステーション112は、被検体(患者)の画像(画像152、手術前画像(CT、MR等)、リアルタイムX線画像等)を見るためのディスプレイ118を含み、他の画像に重ね合せた(オーバーレイした)画像(例えば、CT画像上のX線画像等)を含むことができる。ディスプレイ118は、ユーザがワークステーション112及びそのコンポーネント及び機能、又はシステム100内の他の要素と対話可能にすることもできる。これは、キーボード、マウス、ジョイスティック、触覚装置、任意の他の周辺機器又は制御装置を含み、ユーザがワークステーション112からフィードバックを受け取り及びワークステーション112との相互作用を可能にするインターフェイス130によってさらに促進される。
【0026】
図2を参照すると、レーザを用いてカメラをロボットに位置合せ/較正する方法が、本原理に従って例示的に説明される。ブロック202において、介入撮像(例えば、X線)システムが、較正位置(例えば、その「ゼロ」位置)に位置付けされる。ブロック204において、ロボットシステムは、ロボットの一部(例えば、基端部)が空間内に(例えば、受動保持アーム内に)固定されるように位置付けされる。ブロック206において、ロボットには、光源(例えば、レーザポインタ)が装え付けられる。光源は、一時的又は恒久的に取り付けることができる。光源は、例えば手術台等の基準プラットフォーム上にドット又はパターンを投影する。ドット又はパターンは、撮像システムの検出器(又は他の位置)に取り付けられた少なくとも2つのカメラから可視化(画像化)される。
【0027】
ブロック208において、立体的又は他の幾何学的方法を使用して、各ポイントの3D位置がカメラの座標フレーム内で分かる。ブロック210において、ドット又はパターンについて、ロボット位置が定義される。これは、ピッチ及びヨー・システムにおける2つのロボット位置によって決定することができる。しかしながら、このタイプ又は他のタイプのロボットシステムについてセンサ、エンコーダ、又は他の機構を使用して、他のロボット位置を知ることができる。
【0028】
ブロック212において、ロボットは既知の輪郭に沿って移動する一方、両方の座標フレーム(カメラ及びロボットフレーム)におけるドットの位置が記録される。ロボットを動かす代わりに、複数の光スポット(例えば、異なる色)を使用してもよく、又は光スポットについてパターン(複数可)を使用してもよい。ブロック214において、ロボット座標フレームとカメラ座標フレームとの間の剛性変換(rigid transformation)を確立するために位置合わせが実行される。
【0029】
キャリブレーション実行中のロボットの各位置について、3次元カメラ位置とロボット位置との間の対応関係(ピッチ及びヨー・ロボットリンク機構について{x,y,z}⇔(ピッチ、ヨー))が既知であると仮定し、この問題を3Dから2Dへの位置合せ問題とする。ピッチ及びヨー角は、球面投影を使用して平面上に投影することができる。
【0030】
図3を参照すると、球面投影302が、ピボット308を中心にしたピッチ角304及びヨー角306を平面310上に投影するために使用される。投影面310のサイズ(x軸及びy軸のスケーリング)は、ロボットのゼロ位置(ロボットのピボット点308)に対するレーザドットの距離の関数である。こうして、x軸が平面310上のピッチの投影であり、y軸が平面310上のヨーの投影であると仮定すると、平面310上のレーザドットの位置は、x=d*cos(ピッチ)、y=d*cos(ヨー)となる。
【0031】
ロボット座標に対するカメラ座標Xlの3Dポイントの投影は以下のようになる:
【数1】
ここで、R及びtは、撮像(カメラ)システムとロボットシステムとの間の未知の回転及び並進であり、dは、基準プラットフォームとロボットとの間の未知の距離である。この投影は、問題を、焦点距離cos(ピッチ)及びcos(ヨー)を有する2Dから3Dへの画像投影位置合せに低減し、それら焦点距離には、様々な解決策(例えば、反復最近接点、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)等)を使用することができる。
【0032】
本原理は、ロボットがツールガイドを位置付けするために使用され、ツール(例えば、針又はドリル)の深さが外科医によって手動で設定されるあらゆる用途に十分であり得るスケール(d)までの位置合せを可能にする。更なる実施形態では、レーザ源がコリメートされていない場合に、ドット又は画像のサイズを観察することによってスケールを取り出すことができる。別の実施形態では、格子をレーザの前に配置することができ、ロボットを動かすことなく同時に較正することができる。
【0033】
図4を参照すると、光源442(例えば、レーザ)は、形状パターン又は投影404を生成するための格子又はカバー402を含むことができる。パターン404は、ロボットの位置又は向きを示すために使用してもよく、較正/位置合せ中にロボットを再位置付けする必要性を排除するために使用してもよい。位置合せは、ワークフローを著しく妨げることなく、処置中により簡単に繰り返すことができる。
【0034】
添付の特許請求の範囲を解釈する際には、以下を理解すべきである:
a)「備える、有する、含む(comprising)」という単語は、所与の請求項に列挙されたもの以外の要素又は動作の存在を排除するものではない。
b)ある要素に先行する単語「1つの(a, an)」は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。
c)請求項中のいかなる参照符号もその範囲を限定するものではない。
d)いくつかの「手段」は、同一のアイテム、ハードウェア又はソフトウェアで実装された構造又は機能によって表してもよい。
e)具体的な指示がない限り、特定の一連の動作は要求されないものとする。
【0035】
レーザを使用したカメラシステムに対するロボットアームの自動較正の好ましい実施形態を説明したが(これは例示であって限定するものではない)、上述の教示に照らして当業者によって修正及び変形がなされ得ることに留意されたい。従って、添付の特許請求の範囲によって概説されるように、本明細書に開示された実施形態の範囲内にある開示された特定の実施形態において変更がなされ得ることが理解すべきである。特許法によって要求される詳細及び特殊性をこのように記載したので、権利が請求され、特許証によって保護が望まれるものは添付の特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2
図3
図4