(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885961
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】熱水機器、煙道ガス放出部、及び流体を加熱するための方法
(51)【国際特許分類】
F24H 1/14 20060101AFI20210603BHJP
F24H 8/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
F24H1/14 B
F24H8/00
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-539824(P2018-539824)
(86)(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公表番号】特表2019-503466(P2019-503466A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】NL2017050060
(87)【国際公開番号】WO2017135814
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2019年11月27日
(31)【優先権主張番号】2016197
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】511003073
【氏名又は名称】インターガス・ヒーティング・アセッツ・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジャン・クール
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−203769(JP,A)
【文献】
特開2010−007983(JP,A)
【文献】
特開2010−276282(JP,A)
【文献】
特開2008−249313(JP,A)
【文献】
特開2002−071213(JP,A)
【文献】
特表平05−504827(JP,A)
【文献】
特開平07−217989(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/088343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/14
F24H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(4)を規定するハウジング(2);
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)を備える熱源;
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)に関連した第1の熱交換機(40)にして、当該第1の熱交換機(40)が第1の導管回路を含む、第1の熱交換機(40);
ハウジング(2)の内部空間(4)の一部を占めるべくハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)の燃焼ガスを前記ハウジング(2)の内部空間(4)から煙道ガス放出部(22)を通じて放出するように構成された煙道ガス放出部(22);及び
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)を備え、
少なくとも1つのバーナー(12)の燃焼ガスが、煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)の第1熱交換流体を形成し、
煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)が、煙道ガス放出部(22)内に配置され、また、加熱のために導管回路(56)を通じて流体を搬送するように構成された更なる導管回路(56)を備え、この流体が、煙道ガス放出部(22)に関連した熱交換機(54)の第2熱交換流体を形成し、
煙道ガス放出部(22)に関連した熱交換機(54)の更なる導管回路(56)が多数の導管セグメント(60)を有し、多数の導管セグメント(60)が、燃焼ガスの送り方向に煙道ガス放出部(22)内を延び、
更なる導管回路(56)が、少なくとも1つのバーナー(12)に関連した第1の熱交換機(40)の第1の導管回路により規定される平面に実質的に平行な実質的に平坦な面に配置される、熱水機器。
【請求項2】
バーナー(12)と煙道ガス放出部(22)の煙道ガス入口(24)が、煙道ガス入口(24)へのバーナー(12)の燃焼ガスの第1搬送方向を規定し、
煙道ガス放出部(22)は、煙道ガス入口(24)から煙道ガス出口(26)へ燃焼ガスを搬送するように構成され、第1搬送方向とは反対の第2搬送方向を規定する、請求項1に記載の熱水機器。
【請求項3】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の第2熱交換流体が水である、請求項1又は2に記載の熱水機器。
【請求項4】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路の導管が、実質的に全体において明確に延び、燃焼ガスが、導管の周囲の実質的に全体に流れることができる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項5】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管が、実質的に可撓性のチューブを備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項6】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管は、波形のケース面を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項7】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管が、金属から製造される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項8】
煙道ガス放出部は、燃焼ガスの送り方向を横断する実質的に長方形の断面を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項9】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路は、蛇行態様で煙道ガス放出部内に配置され、燃焼ガスの送り方向に煙道ガス放出部内を延びる少なくとも2つの導管セグメントを有する導管を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項10】
燃焼ガスの送り方向に延びる仕切り壁が煙道ガス放出部に設けられ、導管回路が、仕切り壁の両側で実質的に対称の構造を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項11】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機の更なる導管回路は、バーナーに関連した第1の熱交換機の第1の導管回路の上流に接続される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱水機器。
【請求項12】
バーナーに関連した熱交換機の導管回路は、少なくとも1つのバーナーで加熱される熱伝導材に配置される、請求項11に記載の熱水機器。
【請求項13】
熱水機器のための煙道ガス放出部であって、前記熱水機器は、
内部空間(4)を規定するハウジング(2);
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)を備える熱源;
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)に関連した第1の熱交換機(40)にして、当該第1の熱交換機(40)が第1の導管回路を含む、第1の熱交換機(40);
ハウジング(2)の内部空間(4)の一部を占めるべくハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、少なくとも1つのバーナー(12)の燃焼ガスを前記ハウジング(2)の内部空間(4)から煙道ガス放出部(22)を通じて放出するように構成された煙道ガス放出部(22);及び
ハウジング(2)の内部空間(4)に配置され、煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)を備え、
少なくとも1つのバーナー(12)の燃焼ガスが、煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)の第1熱交換流体を形成し、
煙道ガス放出部(22)に関連した更なる熱交換機(54)が、煙道ガス放出部(22)内に配置され、また、加熱のために導管回路(56)を通じて流体を搬送するように構成された更なる導管回路(56)を備え、この流体が、煙道ガス放出部(22)に関連した熱交換機(54)の第2熱交換流体を形成し、
煙道ガス放出部(22)に関連した熱交換機(54)の更なる導管回路(56)が多数の導管セグメント(60)を有し、多数の導管セグメント(60)が、燃焼ガスの送り方向に煙道ガス放出部(22)内を延び、
更なる導管回路(56)が、少なくとも1つのバーナー(12)に関連した第1の熱交換機(40)の第1の導管回路により規定される平面に実質的に平行な実質的に平坦な面に配置される、煙道ガス放出部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱水機器、熱水機器用の煙道ガス放出部、及び流体を加熱するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換機は、相対的に高い温度の媒体から相対的に低い温度の媒体に熱を伝達するために用いられる。相対的に冷たい媒体を加熱することに供される熱交換機は、例えば、中央加熱システム(CH(central heating))又は水道水システムといった熱水機器に用いられる。バーナーで熱伝導材を加熱することによりそのような熱水機器で水が加熱される。この熱伝導材に配置された導管回路を通じて搬送される水が、バーナーにより間接的に加熱される。
【0003】
追加の熱交換機が熱水機器の煙道ガス放出部(flue gas discharge)内に配置可能であることが知られている。この追加の熱交換機により、熱水機器で加熱されるべき水を予熱するためにバーナーから到来する燃焼ガス由来の熱を利用することができる。従って、熱伝導材に配置され、主たる熱交換機を形成する導管回路を通じて水が搬送される前、水の温度をある程度まで高めることができる。実際には、それ自体が60〜70℃の温度を有する煙道ガスを用いて、例えば、10℃の温度の水道水を40〜50℃まで予熱することができる。オランダでは、ユーザーによる所望の設定温度は、概して、60℃であり、この場合、バーナーは、10〜20℃の追加の温度上昇を生じさせるために採用する必要があるだけである。世界的には、ユーザーによる所望の設定温度は、概して、55℃〜80℃の範囲内にある。
【0004】
そのような追加の熱交換機は、熱水機器の効率を顕著に高めるが、追加のサブシステムが要求されるという欠点を有する。熱水機器の標準的なハウジングには、そのような従来の追加の熱交換機のため空間が設けられていない。ハウジングの長尺化が望まれないため、そのような追加の熱交換機は、通常、オプションのサブシステムとして熱水機器のハウジングの外部に設けられる。
ヨーロッパ特許出願EP2660530A1は、隠れた熱交換機を有する熱水機器を開示する。これに対して、少なくとも請求項1の特徴部が新規性を有する。ヨーロッパ特許出願EP2565552A1、国際特許出願WO2009/015435A1及びWO2015/088343A1、オランダ特許出願NL8403385A及び米国特許出願US2012/090560A1及びUS2010/229804が更なる先行技術として認識される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明は、その目的として、上述した欠点が生じないか、少なくともより少ない程度の上述の種類の熱水機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的は、
請求項1に係
る熱水機器で達成される。
【0007】
煙道ガス放出部に関連した熱交換機がハウジングの内部空間に配置されるため、熱水機器のハウジングによる断熱の利益を享受し、これにより熱水機器のハウジング外への熱損失が低減され、従って、煙道ガス放出部に関連した熱交換機における熱交換流体間の熱交換の効率が高められる。煙道ガス放出部に関連した熱交換機は、更に、熱水機器のハウジングにより視野から隠される。
【0008】
好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機が煙道ガス放出部内に配置され、これは、幾つかの特有の効果を提供する。第1に、この構成によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機は、熱水機器の部分を予め形成している構成要素の内部空間に収容される。熱交換機は、この結果、従来の熱水機器のハウジングの内部空間に配置可能である。つまり、煙道ガス放出部に関連した本発明に係る熱交換機を装備した熱水機器のためにより大きいハウジングを提供する必要がない。従来の熱水機器のハウジングの内部自由空間は、実質的な変更なく維持できる。第2に、高温燃焼ガスは、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路の導管の外側ケースの周囲に直に流れることができ、効率的な熱伝導が得られる。
【0009】
更なる好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機は、加熱のために導管回路を通じて流体を搬送するように構成された導管回路を備え、これが、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の第2熱交換流体を形成する。煙道ガス放出部に関連した熱交換機の第2熱交換流体は、好適には水である。要求される溶接部及び/又は分割ジョイントの数は、導管回路の適用によって限定的に維持することができる。煙道ガスが非常に腐食性であるため、これは、有利である。そのうえである程度の形状自由度を提供する適切な導管回路は、波形チューブである。ステンレス鋼の波形チューブが好適に用いられる。
【0010】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路の導管が、実質的に全体において明確に延び、燃焼ガスが、導管の周囲の実質的に全体に流れることができる。これにより効率的な熱伝導が得られる。
【0011】
更なる好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路の導管が、実質的に可撓性のチューブを備え、このチューブは、簡素な態様の所望のコースで煙道ガス放出部の内部空間に配置可能である。
【0012】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管は、波形のケース面を有し、これは、熱伝導が生じる接触面を増加する。
【0013】
更なる好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管が、金属、好適にはステンレス鋼から製造される。金属導管は、一方で燃焼ガスの高温に適するものであり、他方、良好な熱伝導を生じさせる。ステンレス鋼は、飲料水用にも適する。
【0014】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部は、燃焼ガスの送り方向を横断する実質的に長方形の断面を有する。この実質的に長方形の断面のおかげで、煙道ガス放出部は、限定された設置厚(installation thickness)に合わせて相対的に高い流速を有することができる。この設置厚は、長方形の形状の短辺に対応する。
【0015】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路は、実質的に平坦な面を規定する。熱交換機の設計は、概して、周囲への熱損失を最小化する主たる目標に起因し、できるだけ多くの熱が熱交換機の熱交換流体間の熱交換に利用可能になる。幾何形状に変換されると、円形又は球状形状に帰結する。なぜなら、これらの幾何形状では周囲に臨む面が相対的に小さいからである。驚くべきことに、煙道ガス放出部に関連の熱交換機の導管回路の実質的に平坦な形状が、本発明に係る熱水機器において特に良好な結果を示したことが試験により分かっている。これは、煙道ガス放出部に関連の熱交換機がハウジングにより規定された内部空間に組み込まれたことに部分的に説明可能であり、熱交換機は、また、好適には断熱ケースが設けられる熱水機器のハウジングの断熱特性からも利益を得る。加えて、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路の導管の周囲の高温燃焼ガスの良好な流れが再び参照される。
【0016】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路は、蛇行態様で煙道ガス放出部内に配置され、燃焼ガスの送り方向に煙道ガス放出部内を延びる少なくとも2つの導管セグメントを有する導管を備える。導管回路で要求されるチューブ曲げ部の数は、煙道ガス放出部を通じる燃焼ガスの送り方向に、すなわち、煙道ガス放出部の長手方向に導管セグメントを配置することにより最小化することができる。これは、導管回路における流体抵抗を低減し、加えて、より多数のより短い導管セグメントが燃焼ガスの送り方向に横断して配置される実施形態よりも複雑にならない。燃焼ガスが実質的に均等な温度分布を有するため、導管回路の導管セグメントが煙道ガス放出部の長手方向に配向されることで良い熱伝導特性が達成される。
【0017】
また別の好適な実施形態によれば、燃焼ガスの送り方向に延びる仕切り壁が煙道ガス放出部に設けられ、導管回路が、仕切り壁の両側で実質的に対称の構造を有する。仕切り壁は、煙道ガス放出部の強化リブとして機能し、好適には、構造的な理由から煙道ガス放出部の実質的に中心に配置される。
【0018】
また別の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機の導管回路は、バーナーに関連した熱交換機の更なる導管回路にそこを通じて搬送可能である加熱用の流体の下流に接続される。例えば、10℃である水道水は、従って、それ自体が60〜70℃の温度を有し得る燃焼ガスの熱を利用して、煙道ガス放出部に関連した熱交換機で40〜50℃の温度まで加熱される。ユーザーが、レジオネラを阻止することに部分的に由来する一般的な設定値である60℃に所望の水温を設定するならば、バーナーに関連した熱交換機で10〜20℃だけ水が更に加熱されるだけで十分である。バーナーの燃焼ガスの熱を利用することにより、熱水機器の効率性を顕著に高めることができる。
【0019】
バーナーに関連した熱交換機の導管回路は、少なくとも1つのバーナーで加熱されることができる熱伝導材に配置される。この構成によれば、少なくとも1つのバーナーは、バーナーに関連した熱交換機の熱伝導材を加熱するために採用可能であり、他方、放出される燃焼ガスは、煙道ガス放出部に関連した熱交換機により効率的に利用可能である。
【0020】
本発明は、更に、熱水機器のための煙道ガス放出部に関し、本出願で構成された本出願に記述された熱交換機を備える。
【0021】
本発明は、更に、流体を加熱するための方法にも関し、ハウジングの内部空間において流体を予熱する工程;少なくとも1つのバーナーでハウジングの内部空間において予熱された流体を更に加熱する工程を含み、少なくとも1つのバーナーの燃焼ガスが煙道ガス放出部により放出され、煙道ガス放出部に関連した熱交換機が、ハウジングの内部空間において流体を予熱する工程のために用いられる。
【0022】
本方法の好適な実施形態によれば、煙道ガス放出部に関連した熱交換機は、煙道ガス放出部内に配置される。
【0023】
本方法のまた別の好適な実施形態によれば、本発明に係る熱水機器が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の好適な実施形態が、図面を参照して後述の記述において更に説明される。
【
図1】
図1は、本発明に係る熱水機器の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した熱水機器の切り取り(cut-away)斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した熱水機器の切り取り斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した熱水機器の切り取り斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した熱水機器の切り取り斜視図である。
【
図6】
図6は、これに関連した本発明に係る煙道ガス放出部及び熱交換機の切り取り斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示す熱水機器1がハウジング2を有し、ハウジング2の内部空間4に受容された熱水機器1の構成要素を示すためにフロントパネル(不図示)が取り外されている。
図1は、従来の熱水機器1と本発明に係る熱水機器1の両方を示し、燃焼ガスと空気を規定の混合比で混合するガスブロック6を示す。混合ガスがファン10により引かれ、混合ガスがガスブロック6からガス混合パイプ8及びファンを介してバーナー12に搬送される。バーナー12は、ハウジング2内に配置された熱源を形成し、更に後述のように、バーナー12に関連した熱交換機40のフロントカバー50の後に配置された熱伝導材が加熱される。熱水機器1は、上側に煙道ガス放出部パイプ28が設けられ、これは、以下に記述される煙道ガス放出部22の煙道ガス出口26に接続される。
【0026】
図2の切り取り図において、バーナー12に関連した熱交換機40の熱伝導材が省略されており、この熱伝導材に受容された導管回路42が視認可能である。バーナー12に関連した熱交換機40の導管回路42は、導管セグメント46とパイプ曲げ部48を有する導管44を備える。図示の実施形態では、バーナー12に関連した熱交換機40の導管回路42の導管セグメント46は、以下で更に記述される煙道ガス放出部22を介したバーナー12の燃焼ガスの放出方向を横断するように延びる。
【0027】
図1に示される位置に配置されたバーナー12が熱伝導材を更に加熱する時、導管44の壁も加熱し、従って、そこを通じて搬送される流体も加熱し、これは、熱水機器1における水を含む。バーナー12の燃焼ガスが、煙道ガス放出部22の煙道ガス入口24の方向、すなわち、図示された熱水機器1の方向において下方に移動する。
【0028】
煙道ガス放出部22は、次に、煙道ガス入口24から煙道ガス出口26、すなわち、図示の熱水機器1の配向において上側に燃焼ガスを搬送する。燃焼ガスの冷却の間に濃縮が生じ、この濃縮が濃縮水放出部32を介して放出可能である。
【0029】
燃焼ガスは、バーナー12から煙道ガス入口24に下方に移動し、次に、煙道ガス出口26の方向に再び上方に移動する。
【0030】
本発明によれば、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54が煙道ガス放出部22に配置される。バーナー12に関連した熱交換機40が
図3で省略されているため、煙道ガス放出部22を明確に見ることができる。煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54は、
図4〜6を参照して更に説明されるように、煙道ガス放出部22の内部空間に延びる導管回路56を更に備える。
【0031】
煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54の導管回路56の導管58は、好適には実質的に可撓性のチューブ58により形成される。チューブは、例えば、ステンレス鋼から製造され、好適には、波形のケース面を有する。波形は、一方で熱伝導の接触面を増加させ、他方で導管58の可撓性に寄与する。
【0032】
導管回路56の導管58は、その第1外端で熱水機器1の(冷却)水供給管14に接続され、反対の外端でバーナー12に関連した熱交換機40の導管回路42に接続される。
【0033】
煙道ガス放出部22内の導管回路56の導管58は、それ自体が60〜70℃に到達し得る煙道ガスで加熱され、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54の第1熱交換流体を形成するバーナー12の燃焼ガスと、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54の第2熱交換流体を形成する導管58を通じて搬送される水の間の熱交換に帰結する。
【0034】
試験において見出されたように、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54で一般的に約10℃の温度を有する水道水を40〜50℃の温度まで加熱可能である。もしユーザーが、例えば、60℃の所望の温度の水に設定するならば、バーナー12に関連した熱交換機40は、10〜20℃分だけ既に予熱された水を加熱すれば十分である。水が所望の温度に達した後、(熱)水放出管16を通じて水の利用者まで導くことができる。
【0035】
図示のように、
図5及び6において、導管回路56は、煙道ガス放出部22の内部空間において蛇行態様で配置され、導管58とバーナー12の燃焼ガスの間におけるより広い熱伝導接触面に帰結する。導管回路56は、燃焼ガスの送り方向、すなわち、図示の熱水機器1の配向における高さ方向において煙道ガス放出部22内を延びる多数の導管セグメント60を有する。煙道ガス放出部22の長手方向において導管セグメント60を配置することにより、限定された数のチューブ曲げ部62で十分になる。これにより導管58における流体抵抗が低減され、また煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54の簡素さや製造に関してチューブ曲げ部62のより制限された数がなお有利である。
【0036】
煙道ガス放出部22は、バーナー12の燃焼ガスの送り方向を横断するように実質的に長方形の断面を有し、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54の導管回路56が、煙道ガス放出部22の長方形の断面内で実質的に平坦な面を規定する。図示の実施形態においては、導管回路56の異なる導管セグメント60が、ここで、幾つかの相互距離で配置され、すなわち、実質的に接触せず、バーナー12の燃焼ガスが、導管58の周囲の実質的に全体に流れることができる。
【0037】
図6は、煙道ガス放出部22が、バーナー12の燃焼ガスの流れ方向に延び、強化リブとして機能する仕切り壁30を具備することを示す。図示の実施形態においては、導管回路56は、仕切り壁30の両側で実質的に対称な構造を有し、仕切り壁30を対称面と見なすことができる。
【0038】
煙道ガス放出部22は、下側で、導管入口開口部34と導管出口開口部36を具備し、これらを通じて導管58が、煙道ガス放出部22の内部空間の内外に個別に案内可能である。
【0039】
本発明に係る熱水機器1は、煙道ガス放出部22に関連し、また熱水機器1の標準的なサイズのハウジング2に配置可能である熱交換機54を適用し、この熱交換機54が煙道ガス放出部22に組み込まれるためにハウジング2の内部空間4における余分な空間を殆ど取り去ることがない。しかしながら、煙道ガス放出部22に関連した熱交換機54が熱水機器1のハウジング2の内部空間4に配置されるため、熱交換機54は、熱水機器1のハウジング2により提供される断熱から利益を得ることができる。コンビボイラー(combi-boiler)が、動作中に中央加熱(CH)のために活性化される時、約40〜50℃の温度の煙道ガスがそこに生成される。どこかに存在する煙道ガス放出部22が、熱交換機54に関連し、これらの煙道ガスを停滞した水道水を予熱するために用いることができる。煙道ガスを放出する代わり、コンビボイラーの他の機能のため、熱がそこからの取り出される:加熱された水道水を供給する。
【0040】
熱水機器1の効率は、熱交換機40に加えて追加の熱交換機54を適用することにより高められる。追加の熱交換機54の容量と用途が同一である時、僅かに低い容量の主たる交換機40で十分である。従って、熱交換機40は、幾分、より小型な形状を取ることができる。より小型な形状は、材料を節約し、また、従って、軽く、より安い。
【0041】
本発明の好適な実施形態を示したが、上述の実施形態は、本発明を単に記述するだけのものであり、如何なる態様でも本発明の仕様を限定するものではない。請求項における手段に参照番号が続く場合、そのような参照番号は、請求項の理解のためだけに貢献するものであり、保護の範囲を何ら制限するものではない。記述の権利は、次請求項により規定され、この範囲内で多数の修正を想定可能である。