(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885969
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F15B 1/033 20060101AFI20210603BHJP
F03C 1/40 20060101ALI20210603BHJP
F15B 11/028 20060101ALI20210603BHJP
F03C 1/08 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
F15B1/033
F03C1/40
F15B11/028 D
F03C1/08
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-562011(P2018-562011)
(86)(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公表番号】特表2019-523847(P2019-523847A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(86)【国際出願番号】EP2017000569
(87)【国際公開番号】WO2017202485
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】102016006545.1
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505468200
【氏名又は名称】ハイダック システムズ アンド サービシズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ケニー ヒンスベルガー
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−122999(JP,A)
【文献】
実開昭63−028976(JP,U)
【文献】
特開2007−137598(JP,A)
【文献】
特開2005−254267(JP,A)
【文献】
実開昭57−046102(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/033
F03C 1/40
F15B 11/028
F03C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧機能を有する弁装置であって、前記弁装置は、少なくとも、
1つのロジック弁(V1)と、
1つの遮断弁(V2)と、
1つの減圧弁(V3)とから成り、
前記ロジック弁(V1)の入口(1)が圧力供給源(HD)に接続されうる、弁装置において、
前記ロジック弁(V1)の出口(2)と前記減圧弁(V3)の出口(1)とが共に有用接続部又は消費装置接続部(A)に接続されており、
前記遮断弁(V2)の入口(1)が前記ロジック弁(V1)の入口(1)並びに前記ロジック弁(V1)の制御側(3)に、そして前記遮断弁(V2)の出口(2)が前記減圧弁(V3)の入口(2)に接続されていることを特徴とする、弁装置。
【請求項2】
前記減圧弁(V3)の制御側のうちの一方に対して、前記減圧弁(V3)の前記出口(1)の出口側圧力が一方の前制御手段として作用し、前記減圧弁(V3)の反対側の制御側ではさらなる前制御手段が作用することを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記減圧弁(V3)の前記さらなる前制御手段が、前制御油の導出のために導出接続部(ND)に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記ロジック弁(V1)の入口側(1)並びに制御側(3)と、前記遮断弁(V2)の共通の入口側(1)との間のそれぞれの接続導管内に、ノズル(D1,D2)が連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁装置。
【請求項5】
少なくとも前記遮断弁(V2)が、前記減圧弁(V3)及び2つの前記ノズル(D1,D2)と共に、前記ロジック弁(V1)を備えた、別の主制御段(HST)と交換可能に構成された主制御段(HST)のための前制御段(VST)を形成していることを特徴とする、請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記遮断弁(V2)の出口側(1)と前記減圧弁(V3)の入口側(1)との間に、ノズル(D3)を有するさらなる接続導管が連結されており、そして前記ノズル(D3)の入口側には、前記ノズル(D3)の方向に開く逆止弁(R3)が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記ノズル(D1)が、前記ノズル(D1)の方向に開く逆止弁(R1)と前記逆止弁(R1)の方向に開くさらなる逆止弁(R2)とを備えた接続導管を介して、前記遮断弁(V2)の出口側(2)に接続されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の弁装置。
【請求項8】
前記弁装置が2方向シート弁として構想されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の弁装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の弁装置を備えた液圧モータにおいて、
前記液圧モータの流体側が有用接続部(A)に接続されており、そして前記液圧モータの加速のために、液圧アキュムレータユニット(ACC)が役立ち、前記液圧アキュムレータユニット(ACC)が、前記弁装置の対応接続個所(ACC)を介して、ロジック弁(V1)の出口側(1)及び前記減圧弁(V3)の出口側(1)に連結されていることを特徴とする、液圧モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧機能を有する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある特許文献によって、特に少なくとも1つの液圧式アクチュエータ装置とアキュムレータ装置とを備えた移動可能な作業機械において使用するために設けられた、遮断及び圧力適合のための弁装置が公知である(例えば、特許文献1参照。)。液圧式アクチュエータ装置とアキュムレータ装置とは、ロジック弁の形態を成す第1弁装置によって流体を案内するように互いに接続可能であるか又は互いに分離可能である。
【0003】
この公知の解決手段の場合、衝撃状の圧力補償を回避するために、第1弁装置によって流体案内接続を形成する前に、遮断弁又は切り換え弁の形態を成す補償装置を介して、アクチュエータ装置とアキュムレータ装置との間に制御された状態の圧力補償をもたらすことにより、アクチュエータ装置とアキュムレータ装置との間の場合によっては生じ得る圧力差が、先ずさらなる流体接続部、有利には絞られた流体接続部を介して、ロジック弁の形態を成す第1弁装置を所定の圧力レベルで開くことができるようになるまで低減され、この圧力レベルになったときには、既にアクチュエータ装置及びアキュムレータ装置は同じ圧力レベルにあるので、それぞれの作業機械の走行軸に衝撃状の制御されない運動が加えられることが有効に阻止され、所望のばね減衰挙動が直接に衝撃なしに生じる。
【0004】
また、別の特許文献によって、種々異なる流体流路のための別個の半径方向孔を備えた減圧弁が公知である(例えば、特許文献2参照。)。この公知の解決手段はこの点に関して、第1長手方向孔を備えたブシュを有する液圧組み込み弁であって、第1長手方向孔が端面の開口によって作業接続個所を形成しており、第1長手方向孔内にはピストンが直線運動可能に収容されており、ブシュが供給接続個所の領域内で、長手方向軸線に対して半径方向に延びる少なくとも1つの第1半径方向孔によって貫通され、ブシュは戻り接続個所の領域内で、長手方向軸線に対して半径方向に延びる少なくとも1つの第2半径方向孔によって貫通され、この第2半径方向孔は長手方向軸線の方向で、少なくとも1つの第1半径方向孔に対して間隔を置いて配置されており、第1流体流路が供給接続個所から作業接続個所へ延びており、そして第2流体流路が作業接続個所から戻り接続個所へ延びている、液圧組み込み弁に関する。
【0005】
この公知の解決手段において、ピストンは少なくとも1つの第3半径方向孔を有しており、第3半径方向孔は長手方向軸線に対して半径方向に延びており、第3半径方向孔は第1流体流路の構成部分であり、ピストンは少なくとも1つの第4半径方向孔を有しており、第4半径方向孔は長手方向軸線に対して半径方向に延びており、第4半径方向孔は第2流体流路の構成部分であり、そして第4半径方向孔は長手方向軸線の方向で、少なくとも1つの第3半径方向孔に対して間隔を置いて配置されている。これにより、この公知の解決手段では、第1及び第2の流体流路のために、ピストン内に異なる半径方向孔が設けられている。これらの半径方向孔はそれぞれ対応する流動状態に特異的に適合させることができる。この公知の組み込み弁はこのように、ピストンを移動させることによって作業接続個所の圧力を規定の値に調節するように構成されている。この公知の解決手段は、カートリッジ構造を成す3方向減圧弁として実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014000695号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014219634号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術から出発して、本発明の根底を成す課題は、二次側の圧力制限のための弁複合体、すなわち2方向減圧弁から知られているような、容易且つ低廉に実現することができる減圧機能を有する弁複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題は、請求項1の特徴部の構成に基づく減圧機能を有する弁装置によって解決される。弁装置は、少なくとも3つの互いに異なる弁から成る構造ユニットである。ロジックユニットの形態、特にロジック弁の形態を成す一次弁は、装置の両方の流体案内用の主接続部を、座がシールされた状態で互いに遮断する。装置は、弁の開状態では液圧式消費装置のための体積供給を保証するか、又は逆に、接続されたアキュムレータを充填するために役立つ。遮断弁は有利には2方向シート弁として形成されており、相応の作動時には流れ断面(Stroemungsquerschnitt)を解放し、ひいては接続された消費装置のための有用接続部(Nutzanschluss)において機能を解放する。二次弁はその機能において2方向減圧弁であり、遮断弁と共に、ロジック弁の形態を成す一次弁のための前制御ユニットとして機能する。有利な実施形態の場合、さらに2つのノズルを弁装置内部で使用することができる。これらのノズルは、体積流動時に、圧力降下を生じさせることができ、或いは運動減衰作用を有する。ノズルの数は必要に応じて1つのノズルに減らすこともできる。
【0009】
本発明による弁装置の1つの有利な実施形態の場合、少なくとも遮断弁が減圧弁及び2つの前記ノズルと共に、ロジック弁を備えた交換可能に構成された主制御段のための前制御段を形成している。これにより、前制御段は不変の状態で、ユニット全体に対する性能要件に相応して主制御段を広い範囲で変更することができるので有利である。すなわち前制御段は全ての性能段にわたって不変のままであり、ロジックユニットあるいはロジック弁の形態を成す主制御段だけが性能要件に適合される(公称寸法の変化)。
【0010】
前制御段の減圧弁が比例弁として構成されており、運転中、最大限に通電され、もしくは最大圧力に設定されていると、前制御段の遮断弁を作動させることにより、ユニットとしての弁装置を全体的に遮断弁として運転させることができる。このような変更形において、ユニットを、Z形態の2方向シート弁の液圧代替回路図と同等にすることができる。このような運転状態では、ロジック弁は最大ピストン工程で運転される。これにより微調整は有効でなくなる。これにより、最大流れ断面を活用することができ、圧力勾配を最小限に低減することができる。
【0011】
既に前述したように、弁装置のユニットが最大限通電される比例減圧弁を有するように構成され、相応に好ましく配置された、前制御段内の逆止弁の分だけ拡大され、そしてロジック弁が有用接続部のための弁接続部に際立った制御面積を有するように構成されると、液圧代替回路図としてW形態を成す2方向シート弁がもたらされる。ここでも、微調整ジオメトリが有効でないと、ロジック弁は最大ピストン工程で運転され、これにより最大流れ断面を活用することができ、圧力勾配は最小限に低減される。
【0012】
請求項10の特徴構成に基づいて弁装置を液圧モータにおいて使用すると特に有利であることが判っている。例えば液圧アキュムレータの形態を成す圧力可変源から供給される一定の圧力で上記液圧モータを運転するために、記載の弁装置を本発明に基づき使用することができる。
【0013】
本発明による弁装置のさらなる有利な構成は、その他のサブクレームの対象である。
【0014】
図面に示した様々な実施例に基づいて、本発明による弁装置を以下に詳述する。図面は液圧回路図の形式で原理的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】消費装置として液圧モータが接続されており、そして液圧エネルギーアキュムレータを有する本発明による弁装置の主要な構成部分を示す。
【
図2】Z形態を成す2方向シート弁としての、
図1に示された弁装置の構成を示す。
【
図3】逆止弁を有し、そして比例ユニットとして構成された減圧弁を有する、改変された前制御ユニットを備えた
図1に示された弁装置を示す。
【
図4】W形態を成す2方向シート弁としての、
図3に示された構成のための、
図2に対応する代替回路図を示す。
【
図5】「分解された(aufgeloest)」回路図において、液圧モータへの供給のための実際の実現可能性を示しており、
図6は
図1に示されたものに内容的に広範囲に対応している。
【
図6】「分解された(aufgeloest)」回路図において、液圧モータへの供給のための実際の実現可能性を示しており、
図6は
図1に示された図に内容的に広範囲に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されたユニット10は、2方向減圧弁における減圧機能と同等の、二次側の圧力制限のための弁複合体である。ユニット10は主として、互いに異なる3つの弁から成っている。ロジック弁V1の形態を成す一次弁は、主接続部HD,Aの両方を座がシールされた状態(sitzdicht)で互いに遮断する。機能的には2方向減圧弁として形成された二次弁V3は、ロジック弁V1のための前制御ユニットとして機能する。二方向シート弁は遮断弁V2として形成されており、作動時には流れ断面を、ひいては接続部1のための機能を解放する。さらに2つのノズルD1,D2が設けられている。これらのノズルは、体積が流れるときに圧力低下を生じさせる(D1)か、あるいは運動減衰作用を有する(D2)。2つのノズルD1及びD2のうち、ノズルD1は、明確な機能のために必要である。
【0017】
この回路図において、接続部HDには液圧アキュムレータ12の形態を成す液圧エネルギーアキュムレータ、又は一定圧力源又は圧力可変源の形態を成すその他の圧力体積源が接続される。接続部Aには、この場合、好ましくは走行駆動装置16の部分である液圧モータ14の形態で消費装置が接続される。このような液圧モータ−走行駆動装置は一般的なので、ここではこれ以上詳しくは触れない。液圧モータ14はその入口側で、圧力供給源18から、規定可能な圧力の流体、例えば3MPa(30bar)の入口圧力を供給される。出口側では、液圧モータ14はタンクTに接続されている。図示の構造によって、ユニット10を用いて、供給接続部Aの圧力は設定値に調節されるようになっている。ユニットの接続部NDは、減圧弁の側からの前制御油の導出に役立つ。回路はいかなる種類の押し退けユニットのためにも、つまり液圧モータ14の他に、詳しくは図示していない液圧ポンプのためにも使用することができる。
【0018】
ユニットの、規定に基づく機能のために、最小圧力勾配が接続部HD及びAの間に支配していなければならない(p
1>p
2)。このような最小圧力勾配はシステム固有のファクター、例えば内部摩擦、流れ損失、及びばね力に起因し、ひいては何よりも第一に、弁V1,V2,V3及びノズルD1,D2自体に依存する。次の考察のために、接続部HDには、この場合液圧アキュムレータ12の形態を成す液圧容量装置が取り付けられていると想定する。接続された圧力供給源において重要なのは、接続部HDにおける接続部圧力の動的な力(Dynamik)ができる限り小さいことだけである。このような圧力は必ずしも一定のままでなくてもよい。
【0019】
接続部Aは、ここでは液圧モータ14の形態を成す液圧式消費装置に接続されている。しかしながら別の可能な液圧式消費装置、例えば液圧ポンプをユニット10に接続することもできる。これに関して、接続部Aは作業導管を形成し、作業導管の液圧は、消費装置14の流入体積と流出体積とによって生じる。体積流出又は体積取り出しは、ここでは液圧モータ14の形態を成す通常通りの種類の液圧式消費装置によって行われる。体積供給は、主として、ロジック弁V1によって解放された流れ断面と、この流れ断面にわたって支配する圧力勾配とを介して行われる。接続部NDは弁V3の前制御油を導出するためだけに必要である。このような接続部は前制御油だけを導出するのであって、弁ユニット10のための機能関連の課題を遂行することはしないとはいえ、このような個所の液圧は大きい変動を被るべきではない。それというのも、このような圧力は、減圧弁V3のための弁内部の前制御手段の圧力設定値に作用し、ひいてはユニット10全体の機能安定性に直接の影響を及ぼすからである。
【0020】
ここで構成された変更形におけるロジック弁V1は古典的な2方向組み込み弁(2-Wege-Einbauventil)であり、3つの作用面を備えた微調整ジオメトリ(precision control geometry)を有するいわゆるロジックユニットに相当する。一次作用面Aには、弁接続部1の圧力が作用する。二次作用面Bは弁接続部2からの圧力を受け、そして大きさに関しては一次面Aのせいぜい1/100未満である。弁接続部3の流体圧力によって負荷される三次作用面Cは従って最も大きい作用面を形成し、作用面A及びBの和に相当する。図示のように、弁1の弁ピストン20はばねによってプレロードをかけられて座内へ押し込まれ、微調整ピンを有するように構成されている。このような微調整ピンは、定義された有効ジオメトリ又は微調整ジオメトリを有するシリンダとして、解放される流れ断面が、実施されたピストン工程によってできる限り僅かになり、こうしてできる限り高い分解能が可能になるように働く。図示のシリンダの構成の代わりに、微調整ピンは、円錐形又は場合によってはそれどころか球形に形成することもできる。
【0021】
遮断弁V2は磁石作動を伴う、通常閉形態を成す2方向シート弁である。
【0022】
減圧弁V3は前制御された2方向減圧弁又は圧力閉鎖弁である。弁は、
図1に示された基本位置では開かれており、最大流れ断面を弁接続部2から弁接続部1へ向かって解放する。接続部1の圧力が超過すると、前制御手段が反応し、流れ断面を減少させる。
【0023】
図1に示された2つのノズルD1及びD2は異なる形、例えばオリフィス、絞り、ベンチュリ・ノズル、又は類似の装置として構成されていてよい。
【0024】
以下に、減圧機能を伴う調節動作について詳しく説明する。ユニット10の調節動作のための、使用に基づく出発状態は、接続部HDと接続部Aとの間の既述の最小圧力勾配である。遮断弁V2が作動していないときには体積はノズルD1を介して流れることはない。これによりロジック弁V1の接続部1に加えられた圧力は、絞りD2を介して、弁V1の弁接続部3及び遮断弁V2の弁接続部1に加えられる。これにより、ロジック弁V1の弁ピストン20は、図示の圧縮ばねのばね力によって、座内に保持され、流れ断面を解放しない。ロジック弁V1及び遮断弁V2の弁接続部2並びに減圧弁V3の弁接続部1及び2は、体積運動なしに、ロジック弁V1の接続部2の圧力を受ける。
【0025】
本来の調節動作は今や次のように進められる。遮断弁V2を電磁的に作動させることによって、圧力媒体は、解放された断面全体にわたって、遮断弁V2及び減圧弁V3の弁接続部1を介してロジック弁V1の接続部2へ向かって流れる。続いて体積流がノズルD1を介して生じることによって、圧力低下がこのノズルによって発生し、これによりロジック弁V1の制御面Cに加えられる圧力が、弁ピストン20の制御面Aに加えられる圧力よりも小さくなる。圧力勾配が所定の予め設定可能な値に達すると、結果として生じたピストン力がピストン20を圧縮ばねの力に抗して動かし、ひいてはロジック弁V1を介して流れ断面を解放する。
【0026】
今や、圧力媒体は圧力勾配に応じてロジック弁V1を介して、弁V1の弁接続部1から弁接続部2へ、ひいてはこれと同時に接続部Aへ向かって流れ始める。この場合、今や付加的な体積によって、ここでは液圧モータ14の形態を成す消費装置の圧力が上昇する。しかし同様に減圧弁V3の弁接続部1の圧力も上昇する。このような圧力が減圧弁V3の設定圧力に達すると、弁前制御手段が調節を開始し、減圧弁V3内の流れ断面を低減する。
【0027】
減少した流れ断面は今や体積流を、減圧弁V3を介して絞る。しかしこれにより、体積流はまたノズルD1を介して減少する。これにより、圧力低下はノズルD1を介して減少し、ひいては圧力勾配もロジック弁V1を介して減少する。その結果として、開いたピストン力が減少し、ロジック弁V1のピストン20は再びその流れ断面を減少させる。これにより、体積流はロジック弁V1を介して減少し、これにより有用接続部Aの圧力は徐々に再び減少する。このような圧力が減圧弁V3内で設定された値を下回ると(この場合ヒステリシス動作は無視される)、弁は流れ断面を解放し、続いて圧力勾配はノズルD1、ひいてはロジック弁V1を介して再び増大し、弁V1は再びいくらか大きく開く。これにより、調節ループは閉じられる。
【0028】
前述の調節動作は、有用接続部Aに提供される体積流と、消費装置(液圧モータ14)によって取り出される体積流との間に均衡を得ようとしている。しかしこのような均衡に達するのは、ロジック弁V1内で解放された流れ断面が、変化する圧力勾配にこの弁V1を介して常に適応される場合だけである。このように、有用接続部Aでは、接続部1の供給圧力とは無関係に、減圧弁V3を介して設定された圧力を提供又は調節することができる。
【0029】
図1に示されたものに基づく減圧弁V3が手動で調節されるべき弁として構成されている既述のユニット10の構造と同様に、このような弁は、
図3に示されたものから得られるような比例ユニットとしても構成することができる。これにより、運転中に制御を介して例えば設定圧力に対して影響を及ぼすことができる。弁V3のための比例ユニットも、手動調節可能なユニットも、減圧弁V3のためのさらなる前制御手段を形成する。この前制御手段は、当該弁スライダの一方の制御側に作用するのに対して、弁V3の入口1の入口側の圧力は、他方の前制御手段として、減圧弁V3の当該弁スライダの対向する制御側に永久的に作用する。
【0030】
図1がさらに示すように、ユニット10を2つの領域に、それも前制御段VSTと主制御段HSTとに分けることができる。前制御段VSTはノズルD1及びD2、並びに遮断弁及び減圧弁V3を含むのに対して、主制御段HSTは主としてロジック弁V1を有する。このように2つの部分に分けられるユニット10の場合、ユニット10に対する性能要件に応じて、前制御段VSTを不変のままにして主制御段HSTを変化させることができる。
【0031】
円錐形ピンの形態、又はここでは特別に構成された、溝ジオメトリを備えたシリンダ突起の形態を成すロジック弁V1に関する、既述の微調整ジオメトリは、ここでは液圧アキュムレータ12の形態を成す圧力源、及びここでは液圧モータ14の形態を成す消費装置の特性に主制御段HSTを微細に調和させるための補助手段として活用することができる。これにより、調節動作のための高い分解能が可能になり、そしてなおも高い性能上限値に達することができるように、流れ断面−ピストン行程特性曲線に影響が与えられる。非通電状態ではユニット10はロジック弁V1の接続部1及び2の間に貫通部を有しないことにより、このような配置は「通常閉(normally-closed)」であり、座がシールされるように構成されている。このように、ユニット10は前置又は後置されたさらなる遮断弁を必要としない。このさらなる遮断弁が必要ならば、遮断弁自体を、供給する体積性能(Volumenleistung)に先ず適合させなければならず、付加的な圧力損失を招くことになる。
【0032】
前制御段VSTの減圧弁V3が
図3に示されたものに基づいて比例弁として構成されており、運転中に最大限に通電されると、ユニット10は前制御段VSTの遮断弁V2の作動により、全体的に遮断弁として運転させることができる。しかしながら、このような変更形において、
図1に示されたものに基づくユニット10は、
図3に示されたものに基づく比例ユニットを備えることができ、
図2に示されたものに基づくZ形態の2方向シート弁の代替回路図と同等にすることができる。このような運転状態において、ロジック弁V1は最大ピストン行程で運転され、これにより微調整ジオメトリは無効になる。これにより、最大流れ断面を活用して圧力勾配を最小限に低減することができる。
【0033】
既に前述のように、ユニット10が最大限に通電される比例減圧弁V3を有するように構成され、そして
図3に示されているものに基づく、ここでは有利に挿入された逆止弁R1,R2,R3及びR4の分だけ前制御段VST内で拡大され、またロジックユニットV1がその弁接続部2に際立った制御面Bを備えたユニットとして構成されると、
図4に示されたものに基づくW形態の2方向シート弁の代替回路図を有する解決手段が全体としてもたらされる。この場合にもやはり弁V1は、微調整ジオメトリの非活性化時に最大ピストン行程で運転される。これにより最大流れ断面を活用して圧力勾配を最小限に低減することができる。このことはエネルギーの面で特に好都合である。
【0034】
図1に示されたものによれば、ユニット10は液圧アキュムレータ12のような圧力可変源から供給される一定の圧力で液圧モータ14、すなわち例えばトレーラー軸16におけるホイールハブモータとしての液圧モータ14を運転するために使用されると特に有利である。
【0035】
多機能弁群V1,V2,V3によって、液圧アキュムレータ12からの液圧エネルギーは、液圧式消費装置としての詳細には示されていない液圧ポンプの吸い込み導管22をより高い圧力レベルにもたらすために活用することもできるので、閉じられた回路内で、例えば静液圧式走行駆動装置の枠内で液圧ポンプの吸い込み側にプレロード(Vorspannung)が存在するようになる(ブースト運転)。このためには、ポンプが吸い込み側で必要とする一定の体積流を、記載のユニット10を介して完全にアキュムレータ12から案内し得ることが保証されなければならない。さらに、ユニット10は、アキュムレータ12と吸い込み側の供給圧力との間の圧力勾配が大きい場合、不都合な(gravierend)体積、そしてその結果ポンプ前の圧力変動をも回避するために、相応に高い微調整能力を有していなければならない。目標は、負荷が高められたときのポンプ全体にわたる圧力勾配を最小化するために、ポンプの通常のプレロード圧力よりも優勢な供給圧力を設定し得ることである。
【0036】
前述の、走行駆動装置の「ブースト」運転における減圧機能に加えて、
図3に示されたものに基づくユニット10を用いて、体積流の反転によってアキュムレータ12を新たにローディングすることもできる。このためには、言うまでもなく、エネルギー効率に基づいて、ユニット10全体にわたる圧力勾配ができる限り僅かであることが望ましい。
【0037】
図5及び6でさらに最後に示された回路図は、実体に基づいて同じ供給ロジックを具体化している。
図6に示された回路図は実質的には
図1に示された、前制御段VSTと主制御段HSTとを備えた二分割されたユニット10に相当する。
図5に示された回路図の場合、
図6に示された減圧弁V3は、この図の弁V3によって具体化された圧力補償(Druckwaagen)機能を有する弁と、弁DB1によって具体化された圧力制限機能を有する弁とに分解された。
【0038】
さらに、このような移動駆動装置において使用する際の利点は、さらなるノズルD4が前置された、移動された(ausgelagert)さらなる液圧アキュムレータACCを設け、このノズルから、液圧アキュムレータが作業導管と同様に有用接続部Aに接続されていることである。このような配置は、既述のいわゆる「ブースト」機能のために特に有利であることが判っている。この場合、液圧アキュムレータACCが圧力調節時に緩衝器として大きな利点を有することが明らかになっている。液圧アキュムレータACCはその機能において、微調整の不充分さを補償し、上記作業導管内のあまりにも大きい体積飛躍を補償し、そしてこうして、案内された圧力を安定化する。これにより、ユニット10全体にわたる調節時には、エネルギー効率的に作業することが何よりも先ず可能になる。前記の前置されたノズルD4はその点に関して体積処理量を絞る。
【0039】
本発明による減圧弁は公知の解決手段とは、2方向手段が実現されている点、すなわち、第3のさらなる接続部の後の圧力軽減が必要とならない点で異なっている。本発明による解決手段は座がシールされるように構成されており、ひいては公知の解決手段のようにスライダがシールされるように構成されているのではない。さらに、カートリッジ手段が実現されているのではなく、それどころか前段と主段とに分離することができる弁手段が実現されている。従来技術においてはこれに相当するものはない。