(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パーソナルケア装置、特に電気シェーバーなどの除毛装置を操作及び/又は制御する方法であって、ユーザの挙動を特徴付ける少なくとも1つのユーザの挙動パラメータが、パーソナルケア処置セッション中に前記パーソナルケア装置を取り扱う際に、少なくとも1つの検出器(41〜56)によって検出される方法において、
−検出された前記ユーザの挙動パラメータのリアルタイムデータを、記憶装置に記憶された少なくとも1つの挙動パラメータの履歴データと比較するステップ及び/又は少なくとも1つの感情検出器によって、パーソナルケア処置セッション中に前記パーソナルケア装置を取り扱う際の前記ユーザの感情を示す少なくとも1つの感情パラメータを検出するステップ、及び、
−前記リアルタイムデータの前記挙動パラメータの履歴データとの前記比較及び/又は検出された前記感情パラメータに応じて、自然な挙動及び/又は不自然な挙動を判定するステップ、
によって特徴付けられる方法。
不自然な挙動又は自然な挙動を示す分類器に関連付けられた履歴データが、前記検出されたリアルタイムデータと比較され、前記リアルタイムデータに最も近い履歴データのセットを特定し、自然な又は不自然な挙動が、前記履歴データの最も近いセットの前記分類器に基づいて判定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
複数の異なる挙動パラメータ及び複数の挙動パラメータを示す複数の履歴データの信号が、前記パーソナルケア装置の制御ユニット(80)内に実装されている、及び/又は外部装置の制御ユニット内に実装されている挙動判定アルゴリズム(81)に入力され、自然な又は不自然な挙動が、パーソナルケア処置セッション中に前記挙動判定アルゴリズム(81)によって判定される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
前記パーソナルケア装置の皮膚接触圧、及び/又はストローク周波数、及び/又はストローク方向、及び/又はストローク長、及び/又は捩じれを示すリアルタイムデータ及び/又は履歴データが、他の挙動パラメータのリアルタイムデータ及び履歴データよりも高く重み付けされる、請求項9に記載の方法。
不自然な挙動中に検出される、空気の湿度、皮膚水分、及び毛の長さのうちの少なくとも1つを示す環境データが、解析され、前記ユーザが、不自然な挙動を用いて何を実現しようとしていたかを判定する、請求項11に記載の方法。
不自然な挙動の検出時に、前記パーソナルケア装置の少なくとも1つの作業パラメータが修正され、このような少なくとも1つの作業パラメータの修正時に、前記作業パラメータの修正後の前記ユーザの挙動を特徴付ける少なくとも1つのユーザの挙動パラメータが、前記作業パラメータの修正後の前記パーソナルケア装置を取り扱う際に、少なくとも1つの検出器によって検出され、前記作業パラメータの修正後の検出された前記ユーザの挙動パラメータの前記リアルタイムデータが、履歴データと比較され、このような比較時に、自然な又は不自然な挙動が判定される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
不自然な挙動の検出時に、不自然な挙動に応答して、フィードバック情報が前記ユーザに与えられ、フィードバック後の前記ユーザの挙動を特徴付ける少なくとも1つのユーザの挙動パラメータが、フィードバック後に前記パーソナルケア装置を取り扱う際に、少なくとも1つの検出器によって検出され、フィードバック後の検出された前記ユーザの挙動パラメータの前記リアルタイムデータが、履歴データと比較され、このような比較時に、自然な又は不自然な挙動が判定される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
パーソナルケア装置、特に電気シェーバー等の除毛装置であって、前記パーソナルケア装置を身体面に沿って手動で移動させるための細長いハンドル(2)と、パーソナルケア処置を前記身体面に対して行うための、前記ハンドル(2)に取り付けられた作業ヘッド(3)と、挙動判定アルゴリズム(81)によって特徴付けられる、前記パーソナルケア装置の取り扱い中に、ユーザの挙動及び/又は感情を示す、少なくとも1つの挙動及び/又は感情パラメータを検出するための、前記パーソナルケア装置の内部に設けられているか、又はその外部にある、少なくとも1つの検出器(41〜56)と、を備え、前記挙動判定アルゴリズムが、制御ユニット内に実装され、かつ
−検出された前記ユーザの挙動パラメータのリアルタイムデータを、記憶装置に記憶された少なくとも1つの挙動パラメータの履歴データと比較する、及び/又は前記少なくとも1つの感情パラメータを解析することと、
−前記リアルタイムデータの前記挙動パラメータの履歴データとの前記比較及び/又は検出された前記感情パラメータに応じて、自然な挙動及び/又は不自然な挙動の判定を行うことと、を自動的に実行するように構成されている、パーソナルケア装置。
前記作業ヘッド(3)が、少なくとも1つの枢動軸(110)の周りで前記ハンドル(2)に対して枢支され、調整装置(6)が、前記少なくとも1つの検出された挙動パラメータ及び/又は判定された不自然な挙動に応答して、前記少なくとも1つの枢動軸(110)の周りの前記作業ヘッド(3)の旋回運動剛性を調整するように構成されている、請求項15〜16のいずれか一項に記載のパーソナルケア装置。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア装置は、異なる種類のパーソナルケア処置をユーザに適用するために広く使用され、このようなパーソナルケア装置は、電動又は手動式及び/若しくは湿式又は乾式であってもよい脱毛器、シェーバー、又はかみそり、あるいは髭用トリマーなどの除毛装置を含み得る。更に、他のパーソナルケア装置は、電動又は手動式の歯ブラシ、歯間洗浄装置若しくは歯茎マッサージ装置、あるいは、マッサージ装置若しくは振動装置などの皮膚処置装置を含む。全てのこのようなパーソナルケア装置は、異なる人々が異なる方法で挙動し、したがって異なるユーザがパーソナルケア装置を異なる方法で使用するという問題の影響下にある。パーソナルケア装置が、その作業パラメータの一部の設定の自己調整を提供する場合であっても、異なるユーザの特性に適合することは困難である。
【0003】
より一般的な状況では、異なる人々は、異なる方法で行動する。例えば、同一の量の汚れを有するテーブルを同一の布で洗浄する際に、一部の人は、強く押すであろうし、他の人は、より軽く押すであろう。一部の人々は、いくつかの旋回運動を使用するが、他の人々は、布を直線的に移動させるであろう。これらの異なる挙動は、異なる人々にとって自然なことである。人Aが、人Bが行う方法で布を使用するように強要されるならば(及び逆もまた同様)、このときは、彼らはこの使用形態がより多くの労力(身体的及び/又は集中力)を必要とすること見出すであろう。
【0004】
完璧に開発された製品は、全てのユーザに簡単かつ直感的な使用法を提供する。特に、製品の使用中に、ユーザが高度に集中したり、非人間工学的な運動を行ったり、又は余分な労力をする必要がない。言い換えれば、ユーザが彼/彼女の自然な挙動を用いて製品を操作することができ、他の理由で製品が十分に作業しない場合に、この挙動を変更する必要がない。
【0005】
しかしながら、特にヒトは非常に多くの異なる方法で行動するので、全ての人々の全ての自然な挙動に最適に対応する製品設計はどこにもないため、複雑な製品(例えば、2つ以上の構成要素を有する製品、機械製品、電気/電子製品等)では、多くの異なる自然の挙動によく対応する製品設計を実現することは非常に困難である。これに対する1つの可能な解決策は、異なるユーザの異なる自然な挙動に適合するように適応することができる製品を設計することである。
【0006】
しかしながら、これを行うためには、製品がいつ及びどのように適応するかを知る必要があり、言い換えれば、ユーザが彼/彼女の自然な挙動からいつ逸脱し、かつ彼/彼女の自然な挙動がどのようなものであるかを特定する必要がある。人々は非常に異なる方法で行動し、1人にとって自然な挙動である可能性があるものが、他にとっては自然な挙動ではない場合があるため、これは簡単な作業ではない。また、製品を適切に適応させるために、ユーザが彼の不自然な挙動を用いて何を実現しようとしているのか(すなわち、人が自然な挙動だけを用いるときに製品が供給するものは何なのか)を理解することは有利である。
【0007】
例えば、電気シェーバーは、電気駆動ユニットによって、カッター要素がせん断フォイル下で往復運動する振動様式で駆動される1つ又は複数のカッター要素を有してもよく、このようなカッター要素又はアンダーカッターは、細長い形状を有しており、それらの長手方向軸に沿って往復運動し得る。他の型の電気シェーバーでは、振動様式又は連続様式で駆動され得る回転カッター要素が用いられる。当該電気駆動ユニットは、電気モータ又は電気式リニアモータを含み、駆動ユニットは、モータの駆動運動をカッター要素に伝達する細長い駆動伝達装置のような要素を有する駆動トレインを含み得、モータは、シェーバーのハンドル部分内に、又は代替的に、そのシェーバーヘッドに受容され得る。
【0008】
シェーバーなどのこのようなパーソナルケア装置は、ほとんどのユーザが日常的に使用しているにもかかわらず、シェーバーを実際に完全に操作しかつ取り扱うことが困難な場合がある。異なるユーザの嗜好及び習慣が異なることにより、シェーバーが調整可能である場合でも、シェーバーはその最適な範囲で動作しない。例えば、作業ヘッドが枢支されて、いくらかの角度変位を補償する場合であっても、カッター要素を備えた作業ヘッドが皮膚に強く押し付けられることがあり、又はシェーバーが、作業ヘッドのせん断フォイルが皮膚と完全に接触することを妨げる方向で保持されることがある。時には、シェーバーを、関連する皮膚部に対して正しい方向に正しい速度で皮膚に沿って移動させることも困難である。
【0009】
欧州特許第EP 0 720 523(B1)号は、カッター要素がシェーバーヘッド表面上から突出する高さを調整し、カッター刃の予張力を、カッター刃がもぐり得る予張力に対して調整し、そして髭剃り性能と皮膚刺激とのバランスを取るようにモータ速度を調整することを可能にする電気シェービング装置を開示している。当該調整可能なパラメータは、異なる作業パラメータを示す異なる入力信号の影響のバランスを取るためにファジィ論理を用いて、複数の検出された作業パラメータに応答して、自動的に制御される。
【0010】
更に、国際公開第2007/033729(A1)号は、モータ速度、したがってカッター速度を、除毛装置がユーザの皮膚に沿って移動される速度(その速度は回転センサを用いて測定される)に応答して調整する電気除毛装置を開示している。このシェーバーは、除毛セッションを過去に検出された記憶された速度と一致するモータ速度で開始するように、過去に検出された速度が記憶されるメモリを含む。
【0011】
国際公開第2015/067498(A1)号は、カメラを含む位置識別子が、処理される身体部分に対するヘアカッターの位置を特定し、フィードバックモジュールが、所望の経路及びカッターの身体部分に対する所望の方向角度を示すフィードバックを与える毛髪切断装置を開示している。
【0012】
更に、国際公開第2017/062326(A1)号は、装置の使用状況を監視するために、ネットワークを介してスマートフォン及びコンピュータシステムにリンクされたパーソナルケア装置を記載している。より詳細には、かみそりカートリッジなどの交換部品がいつ交換される必要があるかについて示すために作業時間が監視され、作業時間の決定は、シェーバーストロークを計数するための最小持続時間などのセンサ設定の調整を含む。
【0013】
更に、国際公開第2017/032547(A1)号は、剃毛に関する指示を音響的及び/又は視覚的にユーザに与えるシェービング装置を開示しており、「穏やかな圧力のみをユーザに与える」又は「敏感な速度設定を使用する」などのこのような剃毛に関する指示が、シェービング装置によって測定される圧力データ及び/又は動作データなどの使用状況データに基づいて与えられる。記憶された指示のリストから適切な指示を選択するために、使用状況データ履歴を考慮することも示唆されている。ユーザは、皮膚敏感性、年齢、毛の質、肌むら、埋没毛、毛を捕捉することの難しさなどに関する情報を含むことができるいくつかの個人評価データを手動で入力する必要があり、個人的評価データは、ユーザインタフェースを介して提示される質問に応じて、ユーザがユーザインタフェースを介して提供することができる。
【0014】
欧州特許第EP 1549468(B1)号は、せん断フォイルの髭剃りされる皮膚との適切な接触を検出するシェーバーを記載しており、このような接触は、誘導性センサ、静電容量センサ、又はせん断フォイルの真上の光バリアを含み得る光学センサを用いて検出することができることが言及されている。肌への不適切な接触がある場合には、シェーバーヘッドを旋回又は傾動させるためのアクチュエータにより、ハンドルに対するシェーバーヘッドの位置を自動的に変化させることが示唆されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一態様によれば、パーソナルケア処置中にパーソナルケア装置を取り扱う際に少なくとも1つの検出器によって検出された少なくとも1つの挙動パラメータのリアルタイムデータを、記憶装置内に記憶された少なくとも1つの挙動パラメータの履歴データと比較し、及び/又はパーソナルケア処置セッション中にパーソナルケア装置を取り扱う際のユーザの感情を示す感情検出器を用いて少なくとも1つの感情パラメータを検出して、ユーザの挙動のリアルタイムデータのその履歴データとの当該比較から、及び/又は検出された感情パラメータから、パーソナルケア装置を取り扱う際のユーザの挙動が、自然な挙動であるか又は不自然な挙動であるかどうかを判定することが示唆される。より詳細には、パーソナルケア装置は、ユーザの挙動パラメータの検出されたリアルタイムデータのユーザの挙動パラメータの履歴データとの比較に応じて、及び/又は検出された感情パラメータに応じて、自然な挙動又は不自然な挙動を自動判定するために、例えば、マイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアに関して、パーソナルケア装置の制御ユニット内又は外部装置内(例えば、クラウド内)に実装される挙動判定アルゴリズムを含むことができる。
【0033】
このような不自然な挙動には、余分な身体労力、例えば、パーソナルケア装置の作業ヘッドを身体面上により強く押し付けること、及び/又はハンドルを増大した圧力で把持すること、及び/又は非人間工学的な動作若しくは身体位置、例えば、手首を極端な角度で保持すること、及び/又は付加的な行動若しくは付加的な動作、例えば顔をゆがめる、皮膚の伸張、及び/若しくは余分な精神的労力、例えば、長時間、眼瞼を閉じずに長時間過度に集中すること、並びに/又は製品を通常よりも長く、あるいは特定の領域で、及び/又は特定のタスクのために使用することが含まれ得る。これに加えて又は代えて、このような不自然な挙動は、ユーザの自然な挙動により剃り残された毛髪などの、ユーザが望む最終的な結果を得ていないことから派生する挙動における変化を含み得る。
【0034】
対照的に、自然な挙動は、前述の不自然な挙動を含まない任意の挙動、及び/又は不自然な挙動よりも少ない労力、及び/又は直感的な挙動、及び/又は不自然な挙動よりも楽しいものになる挙動、例えば、ハンドルを笑顔で及び/又はリラックスして把持することができることとして特定することができる。これに加えて又は代えて、自然な挙動は、変化を伴わない挙動及び/又は、例えば、シェーバーが喉仏の上をより軽い圧力で誘導されるときに生理的に引き起こされる変化を伴う挙動であってもよい。
【0035】
基本的に、複数の異なる動作パラメータは、処置セッション中に検出され、その履歴データと比較されて、自然な挙動及び不自然な挙動を確実に判定することができる。有利な態様によれば、処置セッション中にリアルタイムで検出されるこのような挙動パラメータには、皮膚接触圧検出器によって検出される、作業ヘッドが身体面に対して押し付けられる皮膚接触圧、及び/若しくは、例えば加速度計によって検出される、パーソナルケア装置が身体面に沿って誘導されるときのストローク周波数及び/又はストローク方向及び/又はストローク長、並びに/又は、例えば、ジャイロメータによって検出されるパーソナルケア装置の捩じれ、並びに/あるいは体毛除去活動が含まれ得る。
【0036】
自然な挙動又は不自然な挙動の判定が、複数のファセットを伴う比較的複雑な問題であり得るために、1つ又は複数の他の挙動パラメータを検出し、及び/又は1つ又は複数の挙動検出器を使用することが有用であり得る。特に、不自然な挙動は下記の態様を伴い、その結果、以下のパラメータが、以下の検出器によって検出されてもよい。
●より高い又はより低い圧力を用いる(パーソナルケア装置を皮膚に対してより強く又はより軽く押し付ける)。
○圧力、例えば静電容量センサ又は抵抗膜式タッチセンサ
○一次元、二次元、三次元、又は多次元で動作することができる力センサ
○ホールセンサ
○モータ電流ベースの検出システム、例えば皮膚接触力
●特定の身体領域をより頻繁に/他の身体領域におけるよりも又はこの領域について典型的に行われるよりも多数のストロークで剃毛する、及び/又は特定の顔領域においてより短い迅速なストロークが起こる
○加速度計
○光学系、例えば、カメラ
●パーソナルケア装置を、特定の身体領域上で、他の身体領域で行われるよりも頻繁に、又はこの身体領域において典型的に行われるよりも頻繁に、その長手方向軸の周りに回転させる
○ジャイロスコープ
○光学系、例えば、カメラ
●非人間工学的な身体の位置/動作
○動作追跡センサ
○加速度計
○光センサ、例えば、カメラ
●ユーザがパーソナルケア装置をむしろ直線状に移動させようとする際に、パーソナルケア装置を円形/湾曲動作で移動させる(及び逆もまた同様)、及び/又はこれをある特定の時間点で/ある特定の顔領域においてのみ行う
○動作追跡センサ
○加速度計
○ジャイロスコープ
●剃毛全体で及び/又はある特定の顔領域においてより長い剃毛
○タイマー
●顔の左半分と右半分とで剃毛挙動が異なる
○圧力、例えば静電容量センサ又は抵抗膜式タッチセンサ
○一次元、二次元、三次元、又は多次元で動作することができる力センサ
○ホールセンサ
○モータ電流ベースの検出システム、例えば皮膚接触力
○動作追跡センサ
○加速度計
○光センサ、例えば、カメラ
○ジャイロスコープ
○タイマー
●より高速の又はより低速のストローク速度
○加速度計
○光学系、例えば、カメラ
●より長い又はより短いストローク
○加速度計
○光学系、例えば、カメラ
●典型的なストロークパターンにおける変化(例えば、異なる顔領域が剃毛される順序)
○加速度計
○光学系、例えば、カメラ
●作業ヘッド/ハンドルの顔/腕に対する角度の変化
○ジャイロスコープ
○動作追跡
●把持の変化(例えば、パーソナルケア装置が把持される把持の種類、例えば、手をハンドルよりも高く移動させること、把持に使用される力)
○タッチセンサ、例えば静電容量センサ又は抵抗膜式タッチセンサ
●パーソナルケア装置と身体との間の接触面積の変化(例えば、1つのシェーバーフォイルのみとの接触)
○ホールセンサ
●2番目の手の利用(例えば、皮膚伸張のために、又は1本の剃り残した毛を取ろうとして)
○動作追跡
○光学系、例えば、カメラ
●ユーザが装置を皮膚に押し付けることから生じた方向における変化
○一次元、二次元、三次元、又は多次元で動作することができる力センサ。
【0037】
このようなリアルタイムデータの全ては、対応する挙動パラメータの履歴データと比較することができ、このような履歴データは、異なるソース、例えば、前回の処置セッション及び/又は現在のセッションの前半部分中に検出器によって検出された挙動パラメータのデータ、及び/又は他の装置を取り扱うときに同一のユーザについて検出された挙動データ、及び/又は同じ型のパーソナルケア装置及び/又は他のパーソナルケア装置についての他のユーザからの平均挙動パラメータを記憶する記憶装置、及び/又はデータベースに記憶され、かつ不自然な挙動を典型的に示すことが知られている挙動パラメータ、及び/又はデータベースに記憶され、かつ自然な挙動を典型的に示すことが知られている挙動パラメータ、のデータを記憶する記憶装置に由来し得る。
【0038】
リアルタイムデータと履歴データとの当該比較からの不自然な挙動の識別をより容易にするために、記憶装置又はデータベースに記憶された履歴データは、典型的な自然な挙動及び/又は典型的な不自然な挙動を表すように分類することができ、このような記憶された履歴データを、対応する分類器に関連付けることができる。例えば、挙動判定アルゴリズムは、挙動パラメータのリアルタイムデータを、例えば、値、信号の変化、増加及び/又は減少傾向、最大値及び最小値、振幅、平均値又は信号パターン及び/又はデータパターン(例えば、経時的なデータ値)に関して解析することができ、このようなリアルタイムデータ及びそれらの解析を記憶された履歴データと比較して、データの最も近い履歴セットを特定し、データの最も近いセットに関連付けられた分類器に基づいて、自然な挙動又は不自然な挙動を判定することができる。
【0039】
これに加えて又は代えて、リアルタイムデータの平均履歴データからのずれなどの他の比較を使用して、自然な/不自然な挙動を特定してもよい。
【0040】
これに加えて又は代えて、検出された挙動パラメータは、挙動判定アルゴリズムによって解析され、経時的な挙動の変化を特定することができる。例えば、ユーザが、シェーバーなどの新しいパーソナルケア装置を使い始めるとき、ユーザは、典型的には、彼らの挙動を数週間の期間にわたって変更する。また、これに加えて又は代えて、パーソナルケア処置セッション中の挙動の変化が判定されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの感情センサによって検出された感情データも、同様な方法で解析されてもよい。例えば、少なくとも1つの感情パラメータの履歴データが記憶されて、自然な挙動及び/又は不自然な挙動を示すものとして分類されることが可能であり、これにより、挙動判定アルゴリズムは、リアルタイムの感情データをこのような履歴感情データと比較して、データの最も近い履歴セットの分類器から及び/又は記憶された履歴感情データからの偏差から、自然な挙動又は不自然な挙動を判定することができる。感情データの他の種類の比較及び/又は解析が可能である。
【0042】
より具体的には、挙動判定アルゴリズムは、検出された感情パラメータに感情応答追跡技術及び/又はジェスチャ追跡技術を適用してもよい。例えば、このような感情的応答の追跡及び/又はジェスチャ追跡は、処置セッション中にユーザが自然な挙動として特定され得るものに満足しているとき、及び/又は処置セッション中にユーザが不自然な挙動として特定され得るものに満足してないときを検出することができる。これに加えて又は代えて、顔追跡技術(例えばカメラを介する)を使用して、口角及び/又は眼の端の角度に関するわずかな変化などの顔の表情の解析を介して人々の感情応答を特定することができる。
【0043】
更に、例えば、顔及び/又は首及び/又は手部分の生理的及び/又はバイオメトリックパラメータを検出及び/又は測定するための少なくとも1つの検出器があってもよく、例えば、脈、ストレスホルモンレベル、血圧、汗レベル、及び/又はフェロモンレベルを検出し、解析して、自然な挙動及び/又は不自然な挙動を判定してもよい。
【0044】
前述の挙動パラメータ及び少なくとも1つの感情パラメータに加えて、このアルゴリズムは、自然な挙動及び/又は不自然な挙動を判定する際に、空気の湿度、皮膚の湿度、及び/又は髭の長さなどの、少なくとも1つの環境検出器によって検出される環境パラメータ若しくは状況パラメータ又は生理的パラメータを更に考慮してもよい。
【0045】
不自然な挙動が特定されると、基本的に異なるステップを取ることができる。例えば、ユーザが彼の不自然な挙動によって何を実現しようとしているかを特定するステップがあり得る。これには、状況データ、例えば、髭の長さなどの生理的条件、空気の湿度などの気候条件の検出及び/又は解析、又はユーザの挙動パターンのデータの、データベースとの、例えば、当該データベースによって分かる表示された挙動パターンとの比較が含まれ得る。
【0046】
加えて、又はこれに代えて、不自然な挙動の判定時に、フィードバックをユーザに与えることができる。例えば、挙動パラメータが不自然な挙動を示すと見なされたという情報を、ユーザに提示してもよい。例えば、ユーザが過剰に圧力を加えた及び/又は作業ヘッドを高すぎる若しくは低すぎる速度で身体に沿って移動させたというフィードバック情報が与えられてもよい。加えて、又はこれに代えて、何が自然な挙動であったかについての情報を提示することが可能ある。
【0047】
このようなフィードバック情報は、異なる方法で提示されてもよく、例えば、光学的及び/又は音響的信号が表示されてもよい。例えば、着色されたシンボルが示されてもよく、例えば、緑色光が自然な挙動を示してもよく、赤色光が、過剰すぎる圧力などの不自然な挙動を示してもよい。このフィードバックは、例えば、言葉で(例えば、文書、音声)、又は視覚的に(例えば、色、強度、周波数などを変化させる光/LED、例えば、スマートフォンディスプレイ上の図形)、又は音響的に(例えば、ブザー、ビープ音、音声指示)、又は触覚的に(例えば、ハンドル振動)で提供されてもよい。
【0048】
このようなフィードバックに加えて、又はこれに代えて、パーソナルケア装置は、不自然な挙動の判定の際に修正されてもよく、パーソナルケア装置の少なくとも1つの作業パラメータ及び/又はその設定が変更されてもよい。
【0049】
調整機構によって調整され得る作業パラメータは、作業ヘッドの、及び/又は作業ツールの、及び/又は装置の駆動ユニット若しくは動力伝達系の機械的設定若しくは機械的機能などの、パーソナルケア処置に影響を及ぼす、装置の異なる物理的設定及び/又は機能を含んでもよい。より具体的には、パーソナルケア処置が適用されるやり方を変更する作業パラメータを調整することができる。このような機械的設定又は機能には、作業ヘッドのハンドルに対する可動性、及び/又は長毛用のカッター若しくは短毛用のカッター又はそれらの群などの1つ又は複数の作業ツールの動作及びそれらの他のツールに対する位置、及び/又は皮膚を冷却/加熱するための冷却/加熱素子の温度、及び/又は処置される身体部分に潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布装置の動作、が含まれ得る。
【0050】
例えば、パーソナルケア装置は、作業ヘッドの少なくとも1つの軸の周りでのハンドルに対する旋回運動を可能にするために、その作業ヘッドの枢動可能なサスペンションを有してもよく、調整機構は、ユーザの自然な又は不自然な挙動に応じて、パーソナルケア装置に、一方ではより積極的な性能重視の操作を与え、他方ではより快適でスムーズな操作を与えるように、作業ヘッドのサスペンションの旋回運動剛性、及び/又は作業ヘッドの旋回運動に対する抵抗及び/又は抑圧を調整するように構成されてもよい。より詳細には、調整機構は、作業ヘッドをハンドルに対して枢軸旋回させるために必要とされる、及び/又は不自然な挙動が判定された際の作業ヘッドのその中立位置から逸脱するある特定の旋回角度を達成するために必要とされる、トルク並びに/若しくは力を変化させてもよい。
【0051】
加えて、又はこれに代えて、調整機構は、より大きな又はより小さな最大角度変位を可能にするために、作業ヘッドの旋回角度範囲を調整するように構成されてもよい。パーソナルケア装置は、最大利用可能旋回角度がより小さいと、ユーザに対するより積極的な性能重視の感触を与えることになるのに対し、より快適でより滑らかな感触は、より大きな最大旋回角度でもたらされる。
【0052】
作業ヘッドの旋回運動剛性及び/又は旋回角度範囲のこのような調整は、不自然な挙動の判定に応答して、及び/又は皮膚接触圧、パーソナルケア装置が処置される身体部分に沿って移動する速度、ストローク周波数、パーソナルケア装置の重力場に対する角度方向、及びハンドルを把持する指の位置、並びに作業ヘッドの処置される身体に対する位置を含むパラメータの群から選択される少なくとも1つの挙動パラメータに応じて、自動的に制御することができる。一例として、過剰に延びた手首のユーザ位置が、ヘッドが一方の方向に最大角度まで回転されるような方法で顔に接触するシェーバーをもたらすシェーバー方向と共に特定されると、この非人間工学的な挙動は、典型的には、より多くの制御の必要性/ヘッドが離れて旋回することを望まないことによって動機付けされる。この状況において、ヘッドの回転に対する抵抗は、著しく増加させることができ、これにより、ユーザが彼らの手首を不快な方法で伸ばす必要なく、より高い制御が提供される。
【0053】
これに代えて又は加えて、ユーザの生理的パラメータは、好適な生理的検出器によって検出することができる。例えば、剃毛される皮膚部分の毛の密度及び/又は長さは、カメラなどの視覚的又は光学センサ(パーソナルケア装置内に設けられていてもよく、又はその外部にあっても、例えばスマートフォンであってもよい)によって検出することができる。更に、皮膚水分又は皮膚油分を検出してもよい。
【0054】
シェーバーの通常の使用中に検出されるセンサデータに加えて、他の情報を使用して、不自然な挙動又は自然な挙動を判定してもよい。例えば、任意に、既知の生理的条件及び/又は気候条件に対する代表的適応も含む、1つ又は複数の既知のユーザ適応のデータベースを使用して、特定のユーザがいつ彼の挙動をシェーバーに適応させているかを特定してもよく、このようなデータベースは、大規模な消費者調査に基づいてもよく、及び/又は製品の寿命中に最新情報を受け取ってもよい。パーソナルケア装置の制御ユニットは、個々に検出されたパラメータを、データベースからのデータと比較して、検出されたデータが、正常な平均的な挙動及び/又は正常な/平均的なパラメータを示すかどうか、及び/又は適応挙動を表すかどうかを見極めることができる。
【0055】
データベース又は他のデータ/感知されたパラメータからのこのような基準データに加えて、又はこれに代えて、自然な挙動又は不自然な挙動の判定は、ユーザ自身から収集されたデータによって更に裏付けられてもよい。例えば、この装置又は例えばスマートフォ若しくは他の入力装置のような外部装置は、ユーザの嗜好を入力するために、タッチスクリーンなどの入力手段を含んでもよい。
【0056】
表示装置は、自然な挙動又は不自然な挙動の判定に関する情報を表示するために使用される、少なくとも1つの表示フィールドを含んでもよい。例えば、このような表示フィールドは、カスケード又は表示点の列などの絵文字を表示するように構成されてもよい。
【0057】
パーソナルケア装置それ自体に設けられたディスプレイに加えて、又はこれに代えて、タッチディスプレイなどのディスプレイは、装置の電池を充電する及び/又は装置を洗浄する(この場合、シェーバーを洗浄するために、例えば、シェーバーヘッドに流体が適用される場合がある)ためにパーソナルケア装置を受容する及び/又はパーソナルケア装置に接続されるように構成された洗浄及び/又はローディングステーション上に設けられてもよい。このような洗浄及び/又は充電ステーションは、少なくとも前述の情報を表示及び/又は入力するためにシェーバーがステーションにドッキングされたときにパーソナルケア装置と通信するように構成された表示装置を含んでもよい。
【0058】
上記で説明した通り、基本的に異なる種類の挙動パラメータ、及び/又は異なる感情パラメータ、及び/又は異なる生理的パラメータ、及び/又は他のパラメータを検出することができ、不自然な挙動を判定するために、互いに異なる組み合わせで使用することができ、また異なる履歴データを、このような判定で使用することができる。それでもやはり、不自然な挙動、及びそのような不自然な挙動を示す、対応するリアルタイムデータ及び履歴データのいくつかの典型的な例がある。このような典型的な例には下記が含まれる。
【0059】
a)消費者調査は、男性が典型的には、それぞれの髭剃りを自然な挙動で開始することを示している。(「挙動」を考慮して測定される例示的なパラメータ(圧力、ストローク)などは、上記に掲載されたように見出すことができる。)これは、特定の男性にとっての自然な挙動を特定することができる開始点とすることができるが、ある髭剃りのうちのこの髭剃り中の一定期間にわたる開始挙動を、この男性にとっての自然な挙動と同等の髭剃りであるとして簡単にとらえることは、いくつかの理由で不可能である。第1には、この自然な挙動段階は、異なる男性では、異なる長さの時間にわたって持続するためである。第2には、一方の顔領域を他方の顔領域を髭剃りした後に髭剃りする男性にとって、この「初期段階」は、各領域でもっと短く、新たな領域ごとに新たに発生するためである。
【0060】
したがって、自然な挙動である各髭剃りの「初期」期間を特定することができるように、更なるデータ入力が有用である。
【0061】
1つの可能な更なる入力は、位置識別子、例えば、光学系の加速度計であり、これは、装置が、それが男性の顔の上のどこにあるのか、したがって、男性が彼の顔/首の一方の領域を他方の領域を髭剃りした後に髭剃りしているかどうか、あるいは彼が髭剃り中に彼の顔全体にわたって髭剃りを複数回行っているかどうかを特定することを可能にする。この目的のために、加速度計は、マイクロプロセッサベースの解析にリンクされており、加速度計のデータは、例えば長い及び短いストロークを特定するために使用することができる。次いで、これらの長い及び短いストロークを、ある特定の顔領域にリンクさせることができる(例えば、鼻の下では短いストロークのみが可能である)。
【0062】
あるいは、又はこれに加えて、切断される毛の数を示すセンサもこの目的にかなうことができ、なぜなら、シェーバーが新しい顔領域に移動されると、時間当たりに切断される毛の数が突然増加し、その後、この領域で髭剃りが進行するにつれて、再び減少するためである。
【0063】
更に、自然な挙動及び不自然な挙動に費やされる時間の典型的な比率に対して、ある特定のパラメータ(例えば、1人の男性に関する髭剃り圧の平均レベル)に関連する、消費者調査に基づくデータベースを提供することができる。例えば、特に高い圧力で髭剃りする男性は、不自然な挙動により多くの時間を費やす傾向がある。
【0064】
最初に測定された挙動値とはかけ離れた顕著な変化と組み合わされたこれらの2つの更なる入力を使用して、自然な挙動を特定してもよい。
【0065】
b)男性が新しいシェーバーを用いて髭剃りを開始する場合、彼は、典型的には、その髭剃り挙動を数週間にわたって変更することである。しかしながら、これもまた、この変化の特定だけでは、自然な挙動及び不自然な挙動を特定するには十分ではない。典型的には、初期髭剃り中の挙動が自然な挙動であり、男性が彼の挙動を彼の新しいシェーバーに対して変更するにつれて、不自然な挙動が経時的に発生すると予想され得る。しかしながら、この男性は、彼の旧シェーバーに対して彼の挙動をすでに変更しており、この不自然な挙動を彼の新しいシェーバーで初期段階で使用し続けている可能性もある。時間がたつにつれて、彼は、その後、不自然な挙動が彼の新しいシェーバーにはもはやそれほど必要ないことに気づき、より自然な挙動に立ち戻る。
【0066】
したがって、これもまた、自然な挙動及び不自然な挙動を特定するために、少なくとも第2の種類の入力が有用である。
【0067】
典型的な自然な挙動及び不自然な挙動についてのパラメータ値を有するデータを備えた大規模な消費者調査からのデータベースを使用することができる。このようにして、数週間にわたる挙動の変化を、このデータベースと比較して、どの方向に変化が向かったかを特定することができる。
【0068】
c)更には、「状況」データを使用して、ユーザが彼の不自然な挙動によって何を実現しようとしているかを特定することができる。
【0069】
より長い髭、例えば、4日間又はそれ以上伸ばした髭を剃る際に、ユーザは、典型的には、彼がシェーバーを通常よりもゆっくりと移動させるという点において、製品の生理的(より長い髭)状況に適合するように、彼の挙動を不自然な挙動に適応させるであろう。この典型的な理由は、ユーザが注意しなければ、長い毛はフォイル内に挟まれて引っ張られる場合があり、これは痛みを伴うからである。この減速は、余分な労力としての集中及びより多くの時間を必要とする。より長い髭であっても、髭がトリマーだけに進入してフォイルに進入しないようにシェーバーヘッドのトリマーを自動的に上げることによって、ユーザが通常の速度でシェーバーを移動させる(自然な挙動)ことを可能にすることができる。
【0070】
しかしながら、これがシェーバーにとってかなり劇的な変化であるため、第2の種類のセンサ(例えば、毛の長さを検出するカメラなどの光センサ)を有して、これが挙動の変更のための理由であることを確実にすることが望ましい。前回使用してからの時間は、多くの男性が乾式電気シェーバーに加えて湿式かみそりを使用するため、十分な情報として見なされない。
【0071】
d)ユーザが彼の不自然な挙動で何を実現しようとしているかを特定するために、データベースは、任意に、ユーザは通常、ある特定の不自然な挙動を用いて何を実現しようとしているかを示す複数のセンサ入力に基づく機械学習を用いて、消費者調査に基づいて使用されてもよい。
【0072】
例えば、より大きな圧力かつより短いストロークで(おそらくはまた、より速い速度で)、特定の顔領域にわたって、髭剃りの最後まで髭剃りを行うことは、剃り残した毛に対する典型的な反応(不自然な挙動)であるが、剃り残した毛はより少ない圧力でより良好に剃ることができる。次いで、シェーバーは、例えば、皮膚に接触するフレームを介して圧力を減少させるようにそれ自体で適応することができ、それにより、ユーザが同じ圧力を加えている間も、切断部分に加わる圧力を低減させる。あるいは、又はこれに加えて、フィードバックがユーザに通信されてもよく、これは例えば、言葉で(例えば、1本の残っている毛を剃りたい場合には、より小さな圧力を使用して下さい(このような状況では、ユーザが典型的により多くの圧力を加え、それが逆効果であるので))又はLEDなどの信号を介してのいずれかで行われる。
【0073】
更に、空気の高湿度が、皮膚のベタベタ感をもたらし、これが皮膚と髭剃りフォイル/トリマーとの間の摩擦力を増加させることを意味することが、調査及び消費者試験から知られている。これは、シェーバーがかわるがわる皮膚の上を容易に滑るか、又は皮膚に粘着する「スティックスリップ効果」と呼ばれる現象をもたらす。これは、髭剃りをより困難かつ不快なものにする。ユーザは、様々な方法でこれに反応し、典型的には、彼らは、彼らが使用する髭剃り圧を低減させることによって、彼らの挙動を製品環境状況に対する不自然な挙動に適応させることができる。しかしながら、髭剃り圧の一般的な低減は、複数の原因を有し得るため、この状況では、アルゴリズムがこの特異な状況に対する適切なシェーバー調整(例えば、シェーバーネックの剛性(ばね予荷重)を増加させてスティックスリップによって生じたヘッドの制御不能な回転を低減するなど)を特定することができるように、追加の空気湿度センサを使用することができる。
【0074】
e)更には、1つの、又は理想的には複数の既知の古典的な不自然な髭剃り挙動のデータベースを使用して、特定のユーザがいつ彼の挙動をシェーバーに適応させるか(任意に、既知の生理的及び/又は気候的条件に対する適応も含める)を特定することができる。このデータベースは、大規模な消費者調査に基づいている。このデータベースは、任意に、製品の寿命中に最新情報を受け取ることができる。
【0075】
各個人ユーザの挙動は、「典型的」であることから著しくかけ離れて変化し得るため、データベースだけを使用することには限界がある。そのため、好ましくは、データは、ユーザ自身から、任意に彼の環境から、例えば、挙動のセンサ測定、及び、任意に生理的及び/又は気候的パラメータの追加のセンサ測定を介して、収集されてもよく、アルゴリズムを修正するために使用されてもよい。
【0076】
例えば、乾式電気シェーバーは、生えている向きと逆方向に剃るとき、髭を最良に切断する。ユーザは通常、このことを知ってはいるが、首領域で、特に首の伏せて生えている毛でこのように行うことは難しいことを感じており、ここでの髭剃りを更により難しくしている。このため、首領域の髭剃りを行う場合、男性は、通常、シェーバーをその長手方向軸(D)の周りで回転させて、シェーバーの前側が彼から離れる方向を向くように、その把持部を変更するであろう。更に、男性は、その後、シェーバーを回転軸に対して平行である軸(H)の周りで回転させる。しかしながら、これは非人間工学的であり、余分な労力を必要とする。このようにシェーバーを直感的に移動させる理由は、この状況では、軽量の旋回ヘッドが逆効果であるためである。このように行動することで、この使用が、旋回運動を軽減させることができる。
【0077】
最初に、シェーバーは、この典型的に適応する挙動を認識する。これは、加速度計及びジャイロスコープなどの異なるセンサの複数の異なる組み合わせによって達成することができる。カメラなどの光学センサの使用も選択肢となるであろう。これは、任意に、生理的及び/又は気候的データを用いることによって、更に支援されてもよい。
【0078】
多数のユーザからの使用状況、並びに任意の生理的及び/又は気候的データに基づいて、任意に機械学習を使用して、アルゴリズムは、加速度計及びジャイロスコープからのどの典型的なデータがこの挙動を示すかを認識する。次いで、この挙動が特定されると、サーボモータが、作業ヘッドとハンドルとを接続するばねの予荷重を増加させて、シェーバーネックの剛性を増加させ、かつシェーバーヘッドの旋回を低減させる。
【0079】
これら及び他の特徴は図面に示している例から明らかになる。
図1から見ることができるように、電気シェーバー1は、シェーバーを保持するためのハンドル2を形成するシェーバーハウジングを有してもよく、このハンドルは、異なる形状、例えば、大まかに言えば、シェーバーを人間工学的に把持することを可能にする、実質的に円筒形状又はボックス形状若しくは骨形状を有してもよい。
【0080】
シェーバー1の一方の端部において、シェーバーヘッド3がハンドルに取り付けられており、シェーバーヘッド3は、1つ又は複数の旋回軸の周りで旋回可能に支持されてもよい。
【0081】
シェーバーヘッド3は、せん断フォイルの下で往復運動するカッター要素又はアンダーカッターを含み得る、少なくとも1つのカッターユニット4を含む。
図1に示すように、シェーバーヘッド3はまた、長毛用のヘアカッター8を含んでもよい。
【0082】
このようなカッターユニット4及び長毛用のヘアカッター8を駆動させるために、駆動ユニット5は、ハンドル2内に受容され得、かつモータからカッターユニットまで延在するトランスミッター又は動力伝達系によって、カッターユニット4及び長毛用のヘアカッター8に接続され得るモータを含み得る。
【0083】
図1から見ることができるように、オン−オフスイッチ又は電源スイッチ17が、ハンドル2において配置されてもよい。このような電源スイッチ17により、駆動ユニット5を起動し、再びオフに切り替えることができる。
【0084】
図1から見ることができるように、シェーバー1は、ハンドル2の上に、例えば、その前側に設けてもよいディスプレイ18を更に含む。このようなディスプレイ18は、個別の設定の好みが入力されることを可能にするタッチ表示装置であってもよい。
【0085】
図1から見ることができるように、シェーバー1は、電源スイッチ17の近傍に位置付けられ得る、例えば、タッチボタン16のような入力要素7を更に含んでもよい。
【0086】
シェーバー1のいくつかの作業パラメータ及び/又は作業機能は、調整装置6によって調整することができ、調整装置6は、シェーバーヘッド3の旋回運動剛性及び長毛用ヘアカッター8の位置及び/又は動作などのシェーバーの機械的設定及び/又は動作設定を変更することができる。このような調整装置6は、電動モータ、又は電動アクター(actor)、若しくは磁気アクターなどのエネルギーの他の形態を用いる他の種類のアクターなどの、1つ又は複数の調整アクチュエータを含んでもよい。このような調整アクチュエータは、制御ユニット80によって制御されてもよく、このような制御ユニット80は、電子制御ユニット、特にメモリに記憶されたソフトウェアに基づいて動作するマイクロコントローラを含んでもよい。
【0087】
このような調整装置6の制御に加えて、又はこれに代えて、制御ユニット80は、シェーバー1のユーザの自然な挙動及び/又は不自然な挙動を特定するように構成されている。より詳細には、当該制御ユニット80は、例えば、制御ユニット80のマイクロコントローラによって実行されるソフトウェアコンポーネントに関して実装され得る、挙動判定アルゴリズム81を含むことができる。
【0088】
図2に示すように、当該挙動判定アルゴリズム81は、1つ又は複数の検出器によって検出されるリアルタイムデータ及びリアルタイムデータと比較される複数のパラメータの履歴データを含む複数の情報源からの入力を受け取ってもよく、及び/又はこれに対するアクセスを有してもよい。
【0089】
リアルタイムデータは、現在のパーソナルケア処置セッション中にパーソナルケア装置を取り扱う際に関連するパラメータを検出することができる複数の検出器からの信号であり得る。
【0090】
このような検出器は、特に、作業ヘッド3が身体面30に押し付けられる力を検出するための力検出器41を含むことができる。このような力検出器41は、作業ヘッド3のハンドル2に対するもぐりを測定するセンサ、ハンドル内の曲げ応力を測定するセンサ、又は作業ツールを駆動するモータのトルク及び/又は負荷を測定するセンサ(これらはいずれも接触圧を表す)などの種々の感知手段を含むことができる。
【0091】
前述の力の検出に加えて、又はこのような力検出に代えて、種々の他の挙動パラメータ、及び/又は環境パラメータ、及び/又は生理的パラメータが検出されてもよく、前述した挙動判定アルゴリズムは、このようなパラメータのこのようなリアルタイムデータを用いて、不自然な挙動を判定することができる。
【0092】
より詳細には、下記の検出器を設けてもよい。
−作業ヘッド3の身体面30との接触を検出するためのタッチ検出器42、
−パーソナルケア装置の速度及び/又は加速度を検出するための速度及び/又は加速度検出器43、
−パーソナルケア装置の回転及び/又は方向を三次元で検出するための回転検出器44、
−ストローク速度及び/又はストローク長を検出するためのストローク速度及び/又はストローク長検出器48(このようなストローク検出器48は、加速度計を含んでもよい)、
−処置される身体部分の所定の領域にわたるストローク数を検出するためのストローク密度検出器49(このようなストローク密度検出器49もまた、加速度計を含んでもよい)、
−シェーバー1及び/又はユーザの鏡からの距離を検出するための距離検出器50(このような距離検出器50は、位置センサを含んでもよい)、
−髭剃り中の一時停止を検出するための検出器51(このような検出器51は、シェーバーの皮膚への接触を検出する接触センサ又はオン−オフスイッチを含んでもよい)、
−シェーバーヘッド3のユーザの顔に対する角度の変化、及び/又はハンドル2のユーザの顔に対する角度の変化、及び/又はシェーバーハンドル2のユーザの手若しくは腕に対する角度の変化を検出するための角度センサ52、
−例えば、シェーバー本体に対して指をより高く上に移動させること、及び/又はハンドル2を前側では親指で、かつ裏側では他の指で保持することなど、把持の種類における変化を検出するための把持部検出器53、
−作業ヘッド3とユーザの顔の間の接触面積及び/又は当該接触面積における変化、例えば、1つのみのカッターユニット4及び/又は両方のカッターユニット4との接触を検出するための接触検出器54、
−毛密度及び/又は毛の長さを検出するための毛検出器55、
−空気の湿度及び/又は気温を検出するための環境検出器56、
−作業ヘッド3のハンドル2に対する線状及び/又は回転変位を検出するための変位検出器45、
−パーソナルケア装置の切断活動を検出するための切断活動検出器46、
−長毛用のトリマーの位置を検出するためのトリマー位置検出器47、
−ユーザの皮膚の水分を検出するための皮膚水分検出器、
−ユーザの皮膚の油性を検出するための皮膚油性検出器、
−ユーザの脈拍を感知するための脈拍検出器、
−ユーザの模倣又はジェスチャを感知するためのカメラ検出器。
【0093】
シェーバー1には、処置に関連する他のパラメータを検出又は測定するための検出ユニットが更に設けられてもよく、このような検出ユニットは、髭剃り中の駆動ユニットの電力消費を検出するための電圧及び/又は電流検出器、及び/又は、例えば髭剃り時間を測定するための時間測定手段を含んでもよい。
【0094】
図2に更に見ることができるように、ブロックS1からのこのようなリアルタイムデータに加えて、複数の履歴データ又は1つの履歴データのみを、挙動判定アルゴリズム81に入力することができる。例えば、ブロックS2Aで示すように、前回の髭剃りセッション及び/又は現在の髭剃りセッションの前半部分中に前述した検出器のうちの1つによって検出された履歴データは、アルゴリズム81によるものと考えることができ、このような履歴データは、髭剃りの開始及び/又は各顔領域の髭剃りの開始からの挙動パラメータを表すデータ、及び/若しくは初回の髭剃り、例えば、シェーバーを購入して最初に使用されたか、初回使用された後の10回の髭剃りからの挙動パラメータを示すデータ、並びに/又は過去の髭剃りからの典型的な値を含むことができる。
【0095】
ブロックS2Bで示すように、履歴データは、ドアハンドル、キーボード、シャワー、シェービングクリーム、又は歯ブラシなどの他のパーソナルケア装置などの他の物体を取り扱うか又は使用する際の特定のユーザ及び/又は一般的なユーザからの挙動データを含んでもよく、このような挙動データは、特定のユーザの挙動データと平均的ユーザの対応するデータとの差を示すために、他のユーザからの典型的な平均値との比較と共に記憶されてもよい。
【0096】
ブロックS2Cで示すように、履歴データはまた、不自然な挙動を典型的に示すことが知られている1つ又は複数の挙動パラメータの値又は値の組み合わせを含んでもよく、このような値及び/又は値の組み合わせは、外部データベース、クラウド、又は他の場所に記憶されてもよいが、パーソナルケア装置の記憶装置に記憶されてもよく、このような記憶装置は、例えば、定期的に更新されてもよい。
【0097】
ブロックS2Dで示すように、アルゴリズム81はまた、履歴データ、又は自然な挙動を典型的に示すことが知られている1つ又は複数の挙動パラメータの値又は値の組み合わせを提供する、データベース、クラウド又は記憶装置へのアクセスを有してもよい。
【0098】
更に、ブロックS2Eで示すように、挙動判定アルゴリズム81はまた、ユーザの感情応答を示すセンサ又は検出器からのリアルタイムデータ、及び/又は不自然な挙動及び/又は自然な挙動を典型的に示すことが知られている感情パラメータの値又は値の組み合わせの履歴データを考慮に入れてもよい。
【0099】
更に、ブロックS4で示すように、他の検出器からのデータは、例えば、空気の湿度、皮膚水分、及び/又は髭の長さなどの環境データを考慮に入れてもよくもよく、このような環境データは、ブロックS5で示すように、任意に不自然な挙動の考えられる理由を判定及び/又は絞り込むために使用してもよい。このような不自然な挙動の考えられる理由の任意の判定は、挙動判定アルゴリズム81の一部であってもよく、
図2のフローチャートで示すように、不自然な挙動の判定時に適用/実行されてもよい。
【0100】
自然な挙動又は不自然な挙動の判定時に、パーソナルケア装置は、異なる方法で反応することができる。
図2で示すように、特にブロックS6において、前述の調整機構6が起動され、シェーバーの作業パラメータを修正若しくは調整してもよい。
【0101】
これに加えて又は代えて、前述したように、フィードバックが与えられ、彼/彼女の挙動が不自然であったか、又は自然であったかをユーザに通知することができる。
【0102】
ブロックS8で示すように、ユーザ応答も存在してもよい。シェーバーの修正及び/又は与えられたフィードバックに基づいて、ユーザは、挙動を変更しても、又は変更しなくてもよい。例えば、旋回運動剛性が増加した場合、ユーザは、もはや彼の手/腕を非人間工学的な方法で保持する必要がないこと(シェーバーヘッドが旋回することを防止するために以前に彼が行ったように)を見出すことができるか、又は彼があまりに強く押し付けているというフィードバックを受け取るならば、そのときは、彼は押し付けを少なくすることができる。あるいは、ユーザは、挙動を変更しなくてもよく、以前のように髭剃りを続けてもよい。
【0103】
リアルタイム髭剃り挙動が、前述した複数の検出器によって連続的に又は繰り返し検出されるため、ブロックS1で示すように、挙動に変化があること又は変化がないことが感知され、挙動判定アルゴリズム81に入力される。
【0104】
検出されたリアルタイムパラメータ及び履歴データに基づいて、この装置は、異なる方法で不自然な挙動を決定することができ、いくつかの更なる例は下記を含む。
【0105】
乾式電気シェーバーは、生えている向きと逆方向に剃るとき、髭を最良に切断する。ユーザは通常、このことを知ってはいるが、首領域で、特に首の伏せて生えている毛でこのように行うことは難しいことを感じており、ここでの髭剃りを更により難しくしている。このため、首領域の髭剃りを行う場合、ユーザは、通常、シェーバー1をその長手方向軸(D)の周りで回転させて、シェーバーの前側が彼から離れる方向を向くように、その把持部を変更するであろう。更に、
図3で示すように、ユーザは、その後、シェーバーを回転軸に対して平行である軸(H)の周りで回転させる。これはユーザによって自動的になされ、彼は、典型的には、このように行っていることに気づかないであろう。しかしながら、これは非人間工学的であり、余分な労力を必要とする。このようにシェーバー1を直感的に移動させる理由は、この状況では、軽量の旋回ヘッド、すなわち、低旋回抵抗が逆効果であるためである。このように行動することで、このユーザが、回転/旋回運動を軽減させることができる。
【0106】
最初に、シェーバー1は、この典型的に適応する挙動を認識する。これは、異なるセンサの複数の異なる組み合わせによって達成することができる。この実施形態では、加速度計及びジャイロスコープの使用が有利であり得る。カメラなどの光学センサの使用も選択肢となるであろう。これは、任意に、生理的及び/又は気候的データを用いることによって、更に支援されてもよい。
【0107】
多数のユーザからの使用状況並びに任意の生理的及び/又は気候的データに基づいて、任意に機械学習を使用して、アルゴリズムは、加速度計及びジャイロスコープからのどの典型的なデータがこの挙動を示すかを認識する。次いで、この挙動が特定されると、サーボモータが、ヘッド3とハンドル2とを接続するばね(G)の予荷重を増加させて、シェーバーネックの剛性、すなわちヘッド3の旋回運動剛性を増加させ、かつシェーバーヘッド3の旋回を低減させる。
【0108】
より詳細には、シェーバーヘッド3は、例えば、シェーバーヘッド3の回転軸(本明細書では、シェーバーハンドルの長手方向軸(D)に直交して向けられた旋回軸(C)と呼ばれる)に対する回転に関する、少なくとも1つの自由度で、シェーバーハンドル2に対して移動可能であり、シェーバーハンドル2には、加速度計センサ(E)及びジャイロスコープが装備されている。加速度計(E)は、シェーバー1の周囲の重力場に関する空間的方向及び移動を判定するように設定される。ジャイロスコープは、シェーバー1のその長手方向軸の周りの捩じれを判定するように設定される。シェーバーヘッド3のハンドル2に対する相対移動は、アクチュエータ(F)、この場合はサーボモータによって制御され、サーボモータは、シェーバーハンドル2をシェーバーヘッド3に接続するばね(G)の予荷重を調整するように設定される。加えて、伏せている毛髪の位置を特定するカメラシステムもまた、含まれてもよい。
【0109】
ユーザがシェーバー1を両方の軸の周りで回転させる程度、及び彼らがこれを行う速度は、異なるユーザ間のみならず、異なるシェーバー間又は更には髭剃り中にも同様に大きく変化する。このため、アルゴリズムは、加速度計データの連続的モニタリング、異なる時間の尺度での(=可変探査時間による)滑走平均値及び滑走速度値の算出に基づいて、ばね(G)の予荷重調整を制御する制御ユニット(80)内に設けられ得る。このようにして、シェーバーは、ユーザの髭剃り挙動に個別に反応し、より滑らかな、より労力を要さない髭剃りを実現する。
【0110】
また、消費者調査からの数値的データなどの調査結果も(例えば、個人ユーザで通常とされるよりも強くシェーバーを顔に押し付けることは、彼が彼の挙動に順応していることを示唆する)、シェーバーの調整のために考慮に入れられてもよい。例えば、シェーバー1は、特定のユーザからの髭剃りデータを収集し、そうすることで何が彼の典型的な挙動であるかを学習してもよく(例えば、各々の男性は自分の個別の圧力で皮膚に対して自然にシェーバーを押し付けること)、このことから彼の挙動がいつ変化するかを特定することができる。
【0111】
シェーバーヘッド3は、ハンドル2に対して旋回又は傾斜することができるように取り付けることができる。可撓性のシェービングヘッド3は、異なる顔面領域への良好な適応を可能にする一方で、装置の保持の仕方に自由度を与える。シェービングヘッド3は、頬(checks)、首及び下顎の輪郭に追従することができる。これはまた、ユーザがシェーバーを保持する角度(ある特定の範囲内の)とは無関係に、完全な切断要素領域が皮膚と接触する時間を可能な限り多く確保する。これは、押圧力がより大きな面積にわたって広がり、このことが皮膚へのより低い圧力につながるために、顔と接触する最大切断面積が、より良好な効率(より迅速な髭剃り)及びより良好な皮膚快適性の利点をもたらすことを確実にする。
【0112】
しかしながら、ある特定の髭剃り挙動について及び/又は髭剃りのある瞬間において、低い旋回運動剛性が不都合であり得ることが特定されている。2つの例を以下に列挙する。
1.ユーザが彼のシェーバーを特に高い圧力で彼の顔に押し付け、ヘッドが突然離れて旋回するときに、制御不能な感覚が生じ得ること、
2.目標とした高い圧力を単一のフォイルに加えることが容易でないこと(例えば、一部のユーザは、近さを増大させるために、髭剃りの終わりに圧力を増加させるためにこれを行う)。軽い旋回は、典型的には、全ての切断要素が顔と接触するようにヘッドを回転させる。
【0113】
これらの状況に対する典型的な反応は、ユーザが、シェーバー1を彼らの手にどのように保持するかに適応することであろう。彼らは、シェーバーハンドル2が、ヘッド3がそれ以上旋回することができないような極端な角度で置かれるように、彼らの手及びシェーバー1の角度を変更する。しかしながら、これは非人間工学的であり、余分な労力である。
【0114】
これらの問題に対して典型的に提供される現在の解決策は、起動され得るシェービングヘッドに対する手動のロックである。消費者は、可撓性とロックされた設定のどちらかを選ぶことができるが、これは不便であり得、余分なステップであり(再びより多くの労力を要する)、消費者は、他の選択肢(例えば、ヘッドを指で保持すること)を試みることが多い。
【0115】
別の態様によれば、挙動検出(例えば、旋回圧を検出し、移動の方向並びに速度を検出し、シェーバーハンドルの角度を検出し、どの切断要素が皮膚に接触しているかを検出する)に基づいて、旋回運動に抵抗する力への自動的な適応があってもよい。旋回剛性を制御するアルゴリズムは、経時的に検出されるこの特定のユーザの典型的な挙動に基づいて、それ自体を修正してもよい。
【0116】
より詳細には、旋回ヘッド3を有するシェーバー1には、圧力センサ41と、運動の方向及び速度を検出するセンサ43とが装備される。1つ又は複数の切断要素4は、ばね仕掛けであり、小さな磁石103(
図4を参照)を有している。髭剃り圧が高くなるほど、より多くの切断要素4が押し付けられる。この運動は、各切断要素の下にあるホールセンサ104を介して追跡される。ホールセンサは、シェーバーの内部PCB上の電子制御ユニット80に接続されている。装置の3つの軸全ての加速度を検出するために、加速度計がPCB上に実装されてもよい。
【0117】
電子制御ユニット80は、ホールセンサ104及び加速度計の信号を受信する。数学的機能が、信号を圧力及び運動データに変換する。例えば、消費者が、典型的な髭剃り圧よりも高い髭剃り圧を加え始めると、切断要素4は、シェービングヘッド3により深く移動している。又は、移動はより速くかつより短時間である。電子制御ユニット80は、ホールセンサ104及び加速度計から典型的ではない信号を受信し、それを典型的ではない圧力及び運動値に変換する。これらの値が、所定の行列値と、制御ユニット80内でリアルタイムで比較され、評価されて、アクチュエータ113に対する割り当てられた信号を生成する。この例では、ばね112が引っ張られ、スイングヘッド3の特定の剛性を設定する。
【0118】
前回の使用状況(例えば、同一の髭剃りにおける他の段階及び/又は前回の髭剃り)に基づいて、アルゴリズムは、例えば、「低」、「中」、又は「高」と見なされる圧力範囲を調整する。例えば、典型的に1〜2Nの圧力で髭剃りをする男性に関しては、シェーバーは、2Nはこのユーザにとって高圧であることを学習することになり、一方、典型的に3〜5Nの圧力で髭剃りをする男性に関しては、シェーバーは、2Nはこのユーザに取って低圧であることを学習することになる。
【0119】
アルゴリズム自己書き換え段階は、最初の髭剃りと共に開始し、シェーバーの電子部品は、中央値を生成する。より多くの髭剃りが行われれば、記憶された典型的な範囲が正確になる。
【0120】
シェーバー本体は、駆動モータ5と、バッテリ109とを収容することができる。スイングヘッド3は、シェーバー本体のホルダ2上に取り付けられている軸110上に搭載される。非対称の髭剃り圧がシェービングシステム加えられると(両方のフォイルのうちの一方の圧力F1が、他方のF2よりも大きいことを意味する)、トルクが発生し、シェービングヘッドがその軸(10)の周りで揺動して顔の輪郭と整列する。揺動するヘッドの反発力が最小限に抑えられ、低圧が加えられた場合であってもシェービングシステムの良好な適応を確実にする。引きばね112は、ヘッドの下端部とシェーバー本体との間に取り付けられている。ばねは、ヘッドを揺動させる力を設定する。ばねがより強く設定されるほど、ヘッドはより強く揺動できる。アクチュエータ113は、シェーバー本体に取り付けられ、ばねの端部を保持する。ばねの長さを変更することによって、ばね112の予荷重を設定することができる。中立のアクチュエータ位置では、ばねは最も低い予荷重を有し、スイングヘッドは非常に容易に揺動することができる。最大の作動位置においては、ばねはきつく引っ張られるので、シェービングヘッドは、移動するためにより多くの髭剃り圧を必要とする。消費者は、システムがより剛性かつ強固であることを感じる。アクチュエータは、最小作動位置と最大作動位置との間でばね荷重を無段階に設定することができる。
【0121】
また更なる実施形態によれば、ユーザは、アルゴリズムに追加のデータを提供するために、データを、例えば、スマートフォン若しくは別の装置を介して直接、又はシェーバーに直接、入力することを要求されてもよい。これは、例えば購入後の1回の入力であってもよく、又は定期的に要求されてもよい。この入力は、次いで、例えば以下を評価するために使用することができる。
●この個人ユーザにとって何が特に重要であるか(例えば、一部の男性は近さを重要視するが、一方他のユーザにとって最も重要なことは、皮膚の赤みがないことである)
●ユーザが現在どのような問題を持っているか(例えば、長い毛を剃り残していること)
●髭剃りに関連する彼の生理的な詳細、例えば、彼が特に濃い髭又は薄い髭を有しているか、彼が敏感肌を有しているか、など
●彼がどのようにして自分の問題を解決しようとしているか
●どのような種類の気候的条件が彼の髭剃りに影響を及ぼし得るか、例えば、彼は通常シャワー前に髭剃りをするのか、又はシャワー後に髭剃りをするのか。
【0122】
これに代えて、又はこれに加えて、ユーザは、彼の経時的な髭剃りに関するフィードバックを提供するように要求されてもよい。このようにして、アルゴリズムは、シェーバーに行った変更のうちのどれが功を奏したかを評価することができ、これがどのように反応するかを更に精緻化することができる。
【0123】
次いで、複数のユーザからのデータを任意に収集し、アルゴリズムを更に改良するために使用することができる。
【0124】
任意に、フィードバック及び/又は指示もまた、ユーザに与えることができる。例えば:「1本の残っている毛を剃りたい場合には、より低い圧力を使用して下さい」(このような状況では、ユーザが典型的により多くの圧力を加え、それが逆効果であるので)
別の具体例では、先の例で記載されているように、シェーバーの調整を定義するアルゴリズムは、自己書き換え分類器(例えば、ニューラルネットワーク)であってよい。この場合、センサの出力(例えば、髭剃り圧、ストローク周波数、切断活動)は、任意に、センサ/データ入力からの生理的情報(例えば、毛密度)、及び/又はセンサからの気候データ(例えば、空気の湿度)のような更なるパラメータと組み合わせて、1つ又は複数の髭剃り挙動分類器の入力ノードにリンクされる。分類器の後続の(隠れ)層において、信号は処理され、多くの差別化ノードによって合成される。最終的に、分類器は、この段落で上述された更なるパラメータと任意に組み合わされた現在の髭剃り挙動が、シェーバーヘッドを保持するばね予荷重の増加又は減少を必要とするか、したがって、皮膚上のシェービングシステムのより堅いか、又はあまり堅くない感覚を必要としているかを決定する。
【0125】
最初に分類器を規定するために、分類器は、予め多数の髭剃り試験のラベル付き髭剃り挙動データを用いて学習される(工場レベルで)。次いで、システムは、ユーザの特定のユーザ挙動及び任意に更なるパラメータ(ユーザ在宅レベルで)並びにシステムにより行われた調整に対する彼の反応を学習することによって、及び/又は分類器を、ウェブベースのソースからの更に学習されたバージョンで更新することによって(クラウドレベルで)、ユーザに対してより詳細な状態にそれ自体を調整することができる。後者については、多数の異なるユーザ及び髭剃りのデータが収集され、学習データセットを拡大する。この文脈における学習は、分類器性能を向上させるために、差別化ノード間のリンクが体系的かつ自動的に調整され、重み付けされ、又は追加/削除されることを意味する。
【0126】
更なる態様によれば、空気の高湿度が、皮膚のベタベタ感をもたらし、これは皮膚と髭剃りフォイル/トリマーとの間の摩擦力を増加させることを意味する。これは、シェーバーがかわるがわる皮膚の上を容易に滑るか、又は皮膚に粘着する「スティックスリップ効果」と呼ばれる現象をもたらす。これは、髭剃りをより困難かつ不快なものにする。ユーザは、様々な方法でこれに反応し、典型的には、彼らは、彼らが使用する髭剃り圧を低減させることによって、彼らの挙動を製品環境状況に適応させることができる。しかしながら、髭剃り圧の一般的な低減は、複数の原因を有し得るため、この状況では、アルゴリズムがこの特異な状況に対する適切なシェーバー調整(例えば、シェーバーネックの剛性(ばね予荷重)を増加させてスティックスリップによって生じたヘッドの制御不能な回転を低減するなど)を特定することができるように、追加の空気湿度センサを使用することができる。
【0127】
より長い髭(例えば、4日間又はそれ以上伸ばした髭)を剃る際に、ユーザは、典型的には、彼がシェーバーを通常よりもゆっくりと移動させるという点において、製品の生理的(より長い髭)状況に彼の挙動を適応させるであろう。この典型的な理由は、ユーザが注意しなければ、より長い毛はフォイル内に挟まれて引っ張られる場合があり、これは痛みを伴うからである。この減速は、集中(余分な労力)及びより多くの時間を必要とする。より長い顎髭であっても、顎髭がけトリマーだけに進入してフォイルに進入しないようにシェーバーのトリマーを自動的に上げることによって、ユーザが通常の速度でシェーバーを移動させることを可能にすることができる。しかしながら、これがシェーバーにとってかなり劇的な変化であるため、第2の種類のセンサ(例えば、毛の長さを検出するカメラなどの光センサ)を有して、これが挙動の変更のための理由であることを確実にすることが望ましい。前回使用してからの時間は、多くの男性が乾式電気シェーバーに加えて湿式かみそりを使用するため、十分な情報として見なされない。