特許第6885993号(P6885993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6885993撹拌ボールミル及び撹拌ボールミルの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885993
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】撹拌ボールミル及び撹拌ボールミルの作動方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20210603BHJP
   B02C 23/08 20060101ALI20210603BHJP
   B02C 23/40 20060101ALI20210603BHJP
   B07B 1/22 20060101ALI20210603BHJP
   B01F 7/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B02C17/16 B
   B02C23/08 Z
   B02C23/40
   B07B1/22 Z
   B01F7/00 D
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-150554(P2019-150554)
(22)【出願日】2019年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-75235(P2020-75235A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2019年10月7日
(31)【優先権主張番号】10 2018 123 096.6
(32)【優先日】2018年9月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508277243
【氏名又は名称】ネッツシュ−ファインマールテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ウード エンデルレ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス サイモン
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ ソリア
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−337389(JP,A)
【文献】 特開2006−346667(JP,A)
【文献】 特表平09−511440(JP,A)
【文献】 特開平07−060147(JP,A)
【文献】 特開昭49−049260(JP,A)
【文献】 特表2014−530756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−25/00
B01F 7/00−7/32
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に支持された粉砕容器(12)を備える、撹拌ボールミル(10)であって、前記粉砕容器(12)が、粉砕材料入口(14)を含む第1端部領域及び粉砕材料出口(16)を含む第2端部領域を有し、前記撹拌ボールミル(10)が、
- 駆動ユニットにより前記粉砕容器(12)内又は粉砕チャンバ(18)内で回転可能であり、少なくとも部分的に撹拌シャフト(22)として構成され、更には撹拌要素(24)が設けられたシャフト(20)と、
- 分離装置(30)と、
を備え、前記分離装置(30)が、
・前記粉砕材料出口(16)から軸線方向に離間するよう前記撹拌シャフト(22)上に配置されると共に、回転可能なロータケージ(34)を有する分級ロータ(32)と、
・前記ロータケージ(34)内に配置されると共に、前記分級ロータ(32)に固定されたスクリーンユニット(42)と、
を含み、
前記スクリーンユニット(42)が、前記粉砕材料入口(14)側において、前記粉砕材料出口(16)側又は軸受側の粉砕チャンバ画定部に比べて、より小さな外径を有する、撹拌ボールミル。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌ボールミルであって、前記ロータケージ(34)が、前記撹拌シャフト(22)上に取り付けられたフランジ(36)を有し、前記フランジ(36)に、少なくとも2本のロータフィンガ(40)が固定されているか又は固定可能な支持プレート(38)が設けられている、撹拌ボールミル。
【請求項3】
請求項2に記載の撹拌ボールミルであって、前記少なくとも2本のロータフィンガ(40)が、長手方向において同じ長さで形成され、前記少なくとも2本のロータフィンガ(40)の長手方向に沿う直径及び/又は幅及び/又は高さが、増加しているか又は同じである、撹拌ボールミル。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記ロータケージ(34)に、固定ベース(50)が割り当てられ、前記固定ベース(50)が、前記粉砕容器(12)における前記第2端部領域の内側に配置されると共に、少なくとも部分的に前記粉砕チャンバ(18)に突入している、撹拌ボールミル。
【請求項5】
請求項3に記載の撹拌ボールミルであって、分級ロータ(32)が、支持プレート(38)領域において、リング要素(44)領域よりも小さな直径を有する、撹拌ボールミル。
【請求項6】
請求項2〜4の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、スクリーンユニット(42)が、フランジ(36)の支持プレート(38)に固定されている、撹拌ボールミル。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、スクリーンユニット(42)が、粉砕体の直径及び/又は長さ及び/又は高さの開口幅に比べて、最大で0.7倍の開口を有する、撹拌ボールミル。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、粉砕材料入口チャンバ(68)が、前記粉砕材料入口(14)の空間的に上流側に配置され、及び/又は、粉砕材料出口チャンバ(70)が、前記粉砕材料出口(16)の空間的に下流側に配置されている、撹拌ボールミル。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記粉砕容器(12)内に配置された前記シャフト(20)が、前記粉砕材料入口(14)内若しくは粉砕材料入口チャンバ(68)内に延在し、及び/又は、前記粉砕材料出口(16)内若しくは粉砕材料出口チャンバ(70)内に少なくとも部分的に延在している、撹拌ボールミル。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記粉砕材料入口(14)内及び/若しくは粉砕材料入口チャンバ(68)内における前記シャフト(20)が、少なくとも部分的に第1スクリューコンベア(58)として構成され、並びに/又は、前記スクリーンユニット(42)内及び/若しくは前記粉砕材料出口(16)内及び/若しくは粉砕材料出口チャンバ(70)内における前記シャフトが、少なくとも部分的に第2スクリューコンベア(64)として構成されている、撹拌ボールミル。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記シャフト(20)が、カンチレバー形式で取り付けられる、撹拌ボールミル。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記粉砕材料入口(14)及び/又は粉砕材料入口チャンバ(68)に、第1流体入口開口(54)が割り当てられ、前記第1流体入口開口(54)を介して、第1流体流(56)が前記粉砕材料入口チャンバ(68)及び/又は前記粉砕材料入口(14)に供給可能である、撹拌ボールミル。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、前記粉砕材料出口(16)及び/又は粉砕材料出口チャンバ(70)に、第2流体入口開口(60)が割り当てられ、前記第2流体入口開口(60)を介して、第2流体流が前記粉砕材料出口チャンバ(70)及び/又は前記粉砕材料出口(16)に供給可能である、撹拌ボールミル。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、第1流体入口開口及び/又は第2流体入口開口(54,60)に、少なくとも1つの制御要素が割り当てられ、これにより前記第1流体入口開口及び/若しくは第2流体入口開口(54,60)の断面が調整可能であり、並びに/又はこれにより第1流体流及び/若しくは第2流体流(56,62)が調節可能である、撹拌ボールミル。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、粉砕材料入口チャンバを通過する第1流体流が、流体流全体の50%よりも大きい、撹拌ボールミル。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載の撹拌ボールミルであって、固定ベース(50)を通過する第3流体流が、流体流全体の25%よりも小さい、撹拌ボールミル。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載の撹拌ボールミル(10)の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、独立請求項に係る水平型撹拌ボールミル、並びにそのような撹拌ボールミルを作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、乾燥製品を粉砕するための水平型撹拌ボールミルに関する。撹拌ボールミルとは、粉砕材料の粗大粉砕、微細粉砕、並びに超微細粉砕、又は均一化を図るための機械のことである。撹拌ボールミルは、内部において主に平行かつ中央部に配置された撹拌シャフトを有する回転不可能な粉砕容器、軸受、並びに駆動ユニットで構成される。粉砕容器は通常、円筒状に形成され、基本的にはその70%〜90%が粉砕体で充填される。粉砕容器内には、回転可能に支持された撹拌シャフト、並びにその撹拌シャフト上に配置された撹拌要素で構成され、粉砕体を集中的に動かす撹拌機が設けられる。既知の撹拌ボールミルにおいては、端壁における中央開口の1つを通して装入が行われる。代替的に、製品の導入は、粉砕シリンダを介して、半径方向又は接線方向において直接的に行うこともできる。粉砕材料は、粉砕チャンバ内に連続的に搬送されると共に、粉砕チャンバを通して搬送される。この場合、固体は、粉砕体間の衝撃力及びせん断力により、粉砕及び分散される。最終製品の放出は、撹拌ボールミルの構成に応じて決まり、例えばミルの端部で生じる。比較的微細であり、自由に流れ、大部分が球状の製品粒子の場合、粉砕シリンダ内における軸線方向への製品の搬送は、重力によってのみ生じ得る。しかしながら、製品は通常、好適には搬送用空気流として機能する流体により、粉砕シリンダを通して搬送される。この場合、粉砕体は、製品及び流体が撹拌ボールミルから導出される際に撹拌ボールミルの粉砕チャンバ内に残留するのが好適である。粉砕体の残留は、特に、撹拌ボールミル内の粉砕体を、例えば、適切な分離装置を使用して適切に分離することで実現される。
【0003】
特許文献1(独国特許出願公開第102013021757号明細書)には、カンチレバー形式で取り付けられたロータを備える撹拌ボールミルが開示されている。ロータは、回転軸線を有すると共に、軸受にカンチレバー形式で取り付けられており、その軸受から回転軸線に沿って自由ロータ端が規定されている。撹拌シャフトには、互いに離間するよう配置された多数の撹拌要素が設けられ、これら撹拌要素により、撹拌ボールミルの粉砕チャンバ内における粉砕体が回転される。ロータ端面とそのロータ端面の対向側又はステータとしてのハウジングとの間には、ギャップが形成されている。粉砕材料は完全に粉砕された後、ギャップを介して、粉砕材料出口に到達し、従って粉砕チャンバから導出可能である。しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、取り付け側の端部は粉砕材料出口に配置され、軸受側の端部は粉砕材料入口に配置されているという欠点がある。更に、粉砕材料に加えて、粉砕体自体がギャップを通過して粉砕チャンバから放出される恐れがある。
【0004】
特許文献2(独国特許第102015112760号明細書)には、粉砕材料出口の上流側に配置された分離装置を備える撹拌ボールミルが既知である。分離装置は、固定配置されたスクリーンユニットを有し、そのスクリーンユニットは、製品・粉砕体混合物の少なくとも一部における所定の直径までの少なくとも粒子を通過させることができる。分離装置は更に、分級ロータを有する。分級ロータは、撹拌ボールミルの撹拌シャフト上に堅固に取り付けられると共に、結合アタッチメントが設けられた支持プレートを有する。アタッチメントにより、ロータケージが形成され、そのロータケージは、粉砕材料出口の上流側で固定配置されたスクリーンユニット周りで回転する。アタッチメントが設けられたロータケージは、粉砕チャンバ内の粉砕体からスクリーンユニットを保護すると共に、スクリーンユニット領域における製品・流体混合物に関して所定の流動挙動を生じさせるよう機能する。特許文献3(独国特許出願公開第102012013279号明細書)には、比較的類似の撹拌ボールミルが開示されている。
【0005】
従来技術に既知の分離装置においては、撹拌シャフトの回転により、粉砕体が粉砕容器の内壁方向に押され、これにより粉砕体が粉砕容器における内壁の軸線方向に沿って集中するという問題がある。この場合、内部における製品・流体混合物の流れ方向の重なり、並びにその重なりに関連して粉砕体に生じる抗力により、分級ロータの支持プレート周りの領域における粉砕体が必然的に過度に集中し、従って製品放出部の詰まりのみならず、より大きな摩耗が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013021757号明細書
【特許文献2】独国特許第102015112760号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102012013279号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、既知の解決策に比べて粉砕材料の放出が改善され、スクリーンユニットの摩耗が低減され、更には粉砕チャンバ内における粉砕体の圧縮が回避される、撹拌ボールミル及び撹拌ボールミルの作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項の特徴を有する撹拌ボールミル、並びに撹拌ボールミルの作動方法により解決される。他の有利な実施形態及び本発明の更なる構成は、各従属請求項に記載したとおりである。
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、特に、水平型撹拌ボールミルを提案する。本発明に係る撹拌ボールミルは、粉砕材料入口を含む第1端部領域及び粉砕材料出口を含む第2端部領域を有すると共に、特に円筒状に構成された粉砕容器を備える。粉砕材料入口は、特に、粉砕容器の第1端部領域に設けられ、粉砕材料出口は、粉砕容器において、第1端部領域の反対側の第2端部領域に設けられている。
【0010】
粉砕容器又は粉砕チャンバ内には、大気に比べて、適切な真空ポンプ、吸引ブロワなどによって生成及び調整可能な負圧を生じさせるのが好適である。
【0011】
粉砕容器又は粉砕チャンバの70%〜90%までは、好適には、例えば球状に形成された粉砕体で充填することができる。粉砕体は、他の任意の形状を有していてもよい。粉砕体は、粉砕材料入口を介して供給される粉砕材料の粉砕にとって不可欠であり、粉砕手段として機能する。粉砕体は、好適には、20 mm未満、特に12 mm未満の大きさに形成することができる。
【0012】
撹拌ボールミルは、駆動ユニットにより粉砕容器内又は粉砕チャンバ内で回転可能であり、少なくとも部分的に撹拌シャフトとして構成され、撹拌要素が設けられたシャフトを備える。シャフトは、粉砕容器の長手方向に沿って粉砕材料入口内及び/又は粉砕材料出口内に少なくとも部分的に延在することができる。
【0013】
撹拌シャフトの駆動ユニットは、好適には、粉砕材料出口を有する粉砕容器の第2端部領域又は粉砕材料出口側に配置することができる。撹拌シャフトは、好適には、互いに等間隔で離間するよう配置された複数の撹拌要素を有する。撹拌要素は、特に、撹拌シャフトの外郭面から半径方向に延在することができる。この場合、撹拌要素の自由端と粉砕容器の内郭面との間の距離は、好適には全周に亘って、粉砕体の直径の少なくとも2.5倍とする。撹拌要素の自由端と粉砕容器の内郭面との間の距離は、粉砕ギャップとも称することができる。
【0014】
撹拌要素は、好適には、撹拌シャフトの外郭面に回転不可能に固定することができる。撹拌要素は、好適には、撹拌シャフトの外郭面に摩擦係合的な結合及び/又は形状密着的な結合によって固定することができる。撹拌要素は、粉砕チャンバ内の粉砕体を動かし、従って粉砕材料入口を介して供給される粉砕材料を粉砕するエネルギーを粉砕体に付与するのに機能する。
【0015】
粉砕体は、特に、2個の撹拌要素間のスペースとして規定されるいわゆる粉砕ゾーンにおいて動かすことができる。粉砕材料入口を介して供給される粉砕材料は、これら粉砕ゾーンを通過し、粉砕材料入口から粉砕材料出口までの途上で粉砕することができる。粉砕すべき粉砕材料の供給及び完全に粉砕された粉砕材料の放出により、流れが調整される。撹拌要素は、例えば、中実ディスク、軸線方向又は半径方向への隆起部を有するか又は有さない孔付きディスク、ピン、又は他の要素として構成することができる。
【0016】
完全に粉砕された粉砕材料を粉砕体から分離するため、撹拌ボールミルは、好適には、粉砕材料出口の上流側に配置された分離装置を備える。分離装置は、粉砕材料出口から軸線方向に離間するよう配置された撹拌シャフト上に配置されると共に、回転可能なロータケージを有する分級ロータを含む。ロータケージは、分離装置領域に位置する粉砕体が、粉砕容器の内壁に向けて半径方向に動かされ及び/又は遠心されるよう機能することができる。
【0017】
分離装置は更に、ロータケージ内に配置されると共に、分級ロータに固定されたスクリーンユニットを含む。スクリーンユニットは、分級ロータに固定されることによって回転可能である。スクリーンユニットは、特に、ロータケージと共に回転可能、即ちロータケージ及び/又はスクリーンユニットは、同じ速度で回転可能である。これは、ロータケージの速度がスクリーンユニットに伝達可能だからである。従って、完全に粉砕された粉砕材料は、特定の直径を有するスクリーンユニットを介して粉砕容器又は粉砕チャンバから導出可能であり、代替的に、第1流体流又は少なくとも第1流体流の一部などの流体流も、粉砕容器又は粉砕チャンバから導出可能である。この場合、粉砕材料は、粉砕材料出口に到達するのに対して、粉砕体は、粉砕容器内又は粉砕チャンバ内に残留するか又は保持される。
【0018】
スクリーンユニットがロータケージと共に回転することにより、スクリーンユニットと粉砕容器の内壁との間の粉砕体が堅固に圧縮することがなく有利である。この場合、粉砕体は、圧縮されるのではなく、恒久的に動かされつつ解きほぐされ、粉砕容器の内壁に向けて半径方向に遠心される。これにより、スクリーンユニットに対する摩耗及び/又は損傷を同時に低減することができる。
【0019】
スクリーンユニットが固定されたロータケージは、好適には、撹拌シャフトによって駆動されるため、スクリーンユニットを有するロータケージは、撹拌シャフトと同じ速度で駆動される。この目的を達成するため、トルク伝達装置などを設けることが可能であり、これによりシャフト又は撹拌シャフトのトルクをロータケージに伝達することができる。代替的に、ロータケージには、専用の駆動ユニットを割り当てることが可能であるため、スクリーンユニットを有するロータケージは、撹拌シャフトとは独立して駆動することができる。即ち、スクリーンユニットが固定されたロータケージ、並びに撹拌シャフトは、異なる速度又は同じ速度で駆動又は作動させることができる。
【0020】
スクリーンユニットは、例えば、円錐状又は星形に折り畳まれた円錐状に構成することができる。この場合、スクリーンユニットの内径は、粉砕材料出口方向に向けて増加可能であり、スクリーンユニットの最大内径は、粉砕容器の内径の95%未満に形成されている。スクリーンユニットが円錐形状に形成されることにより、分級ロータの支持プレート領域において、完全に粉砕された粉砕材料にとって大きなスクリーン表面、特に大きな通過表面を設けることができる。スクリーンユニットは、本発明に係る撹拌ボールミルに使用するのに適切な他の任意の形状とすることができる。
【0021】
ロータケージは、撹拌シャフト上に取り付けられたフランジを有することができる。即ち、分級ロータの直径は、粉砕チャンバ出口方向に向けて増加させることができる。この場合に支持プレートは、特に、分級ロータにおいて最小直径を有する端面として機能することができる。支持プレートには、少なくとも2本のロータフィンガを固定することができる。支持プレートには、任意的に、少なくとも3本、4本、5本、又は複数のロータフィンガを固定することができる。少なくとも2本のロータフィンガは、特に、支持プレートに機械的、好適には着脱可能に固定されるため、必要に応じて交換することができる。少なくとも2本のロータフィンガは、支持プレートの少なくともほぼ外周上に配置することができる。留意すべきは、ロータケージは、少なくとも2本のロータフィンガが固定された支持プレートによって構成されることである。
【0022】
少なくとも2本のロータフィンガは、長手方向において同じ長さで形成され、少なくとも2本のロータフィンガの長手方向に沿う直径及び/又は幅及び/又は高さは、増加しているか又は同じである。長手方向において、大きさが同じであるか又は長さが同じであれば、少なくとも1個のリング要素、例えばディスク状に形成されたリング要素を、少なくとも2本のロータフィンガの自由端に設けることができる。少なくとも1個のリング要素は、同心配置された孔を有し、その孔の内径は、シャフト又は撹拌シャフトの外径よりも大きい。少なくとも1個のリング要素の外径は、少なくとも2本のロータフィンガ間における少なくとも直径又は距離に対応するよう形成することができ、又はより大きく形成することができる。
【0023】
更に、ロータケージには、粉砕容器における第2端部領域の内側に配置された固定ベースが割り当てられている。固定ベースは、例えば、粉砕チャンバ内に少なくとも部分的に突入する円形要素又は管状要素とすることができる。固定ベースは、好適には、粉砕容器における第2端部領域の内側から少なくともほぼ垂直に粉砕チャンバ内に突入することができる。即ち、固定ベースは、シャフトに対して少なくとも部分的に平行に延在可能であり、特に、分級ロータに対して平行に延在可能である。
【0024】
ロータケージ、特に少なくとも2本のロータフィンガの自由端又は少なくとも1個のリング要素の粉砕材料出口側における端面は、固定ベースに対して特に離間するよう配置されることにより、粉砕体の直径の0.5倍、好適には0.3倍よりも小さな距離又はギャップが形成される。形成されたこの距離のおかげで、完全に粉砕されていない粉砕材料及び/又は粉砕体が粉砕材料出口に到達して出口の詰まり及び/又はスクリーンユニットの損傷をもたらすことが回避可能である。
【0025】
更に、分級ロータは、支持プレート領域において、リング要素領域よりも小さな直径を有することができる。
【0026】
更に、スクリーンユニットは、フランジの支持プレートに固定することができる。スクリーンユニットは、特に、摩擦係合的、形状密着的、及び/又は、材料適合的な結合によって支持プレートに好適には着脱可能に固定することができる。即ち、スクリーンユニットは、摩耗が生じた場合に容易に交換することができる。スクリーンユニットが支持プレートに固定されることにより、ロータケージのトルクがスクリーンユニットに伝達可能になる。即ち、ロータケージ及びスクリーンユニットは、共に回転可能であり、特に同じ速度で回転可能である。このように、ロータケージは、一種のトルク伝達装置として機能し得る。
【0027】
完全に粉砕された粉砕材料がスクリーンユニットを介して粉砕材料出口に到達できるように、スクリーンユニットは複数の開口を有することができる。開口は、円形、楕円形、角度付き、又は不規則な断面を有することができる。開口は、好適には、軸線方向における細長孔として形成することができる。スクリーンユニットにおける開口の大きさは、粉砕体の直径の70%未満に形成されるよう選択するのが好適である。即ち、スクリーンユニットは、粉砕体の直径及び/又は長さ及び/又は高さの開口幅に比べて、最大で0.7倍の開口を有することができる。これにより、粉砕材料出口への粉砕体の到達が回避可能である。
【0028】
更に、スクリーンユニットは、粉砕材料入口側において、粉砕材料出口側又は軸受側の粉砕チャンバ画定部に比べて、より小さな外径を有することができる。
【0029】
更に、粉砕材料入口チャンバは、粉砕材料入口の上流側に配置されている。換言すれば、粉砕材料入口チャンバは、その下流側に配置された粉砕材料入口に通じることができる。粉砕材料入口は、例えば、粉砕容器の第1端部領域における開口のように構成することができる。
【0030】
更に、粉砕材料出口チャンバは、粉砕材料出口の空間的に下流側に配置されている。換言すれば、粉砕材料出口は、その下流側に配置された粉砕材料出口チャンバに通じることができる。粉砕材料出口は、例えば、粉砕容器の第2端部領域における開口のように構成することができる。粉砕材料出口チャンバは、収集容器に通じることが可能であるため、完全に粉砕された粉砕材料は、収集することができるのみならず、更なる処理が実施されるまで一時的に貯蔵することができる。
【0031】
広義には、粉砕材料入口チャンバは、粉砕材料入口の一部と見なし、粉砕材料出口チャンバは、粉砕材料出口の一部と見なすことができる。従って、本明細書において、シャフトが粉砕材料入口内及び/又は粉砕材料出口内に少なくとも部分的に突入することが記載されている場合、シャフトは粉砕材料入口チャンバ内及び/又は粉砕材料出口チャンバ内にも延在できることを含むか又は排除しないことを意味する。
【0032】
粉砕材料出口は、シャフトに対して少なくとも部分的に平行及び/又は垂直に配置することができる。特に粉砕容器の第2端部領域には、シャフトに対して少なくとも部分的に平行及び/又は垂直に延在する開口を設けることができる。即ち、粉砕材料出口は、シャフト中央部の下方及び/又は上方に配置可能であると共に、下方及び/又は側方に延在可能である。
【0033】
更に、粉砕容器内に配置されたシャフトは、粉砕材料入口チャンバ内及び/又は粉砕材料出口チャンバ内に少なくとも部分的に延在することができる。粉砕材料出口チャンバ内に延在するシャフトは、少なくとも部分的に第1スクリューコンベア、特に第1螺旋スクリューとして構成することができる。これにより、粉砕材料は、連続的に又は必要に応じて粉砕チャンバ内に搬送することができる。同時に、粉砕材料の固着及び/又は凝集によって粉砕材料入口の詰まりを少なくとも大幅に回避することができる。
【0034】
更に、スクリーンユニット内及び/又は粉砕材料出口内及び/又は粉砕材料出口チャンバ内のシャフトは、少なくとも部分的に第2スクリューコンベア、特に第2螺旋スクリューとして構成することができる。これにより、完全に粉砕された粉砕材料は、第2スクリューコンベアに支援されつつ粉砕材料出口に沿って粉砕材料出口チャンバまで少なくとも部分的に搬送され、粉砕材料出口の詰まりを回避することができる。
【0035】
乾式撹拌ボールミルにおいては、垂直に配置された粉砕チャンバが既知であるが、重力に起因して粉砕体が粉砕シリンダの下部に圧縮されるため、製品の搬送が妨げられるという問題がある。製品・粉砕体混合物の分離部を外部に備えるミルの構成においては、粉砕体を製品と共に恒久的に供給及び放出しなければならないという欠点があるため、粉砕回路のエネルギー効率が低下する。従って、粉砕容器は水平方向に配置される。水平方向に配置された粉砕容器と、粉砕材料出口の上流側に固定配置されたスクリーンユニットを備える既知の撹拌ボールミルにおいては、粉砕体が粉砕材料出口及びスクリーンユニットの領域にて圧縮し、従ってスクリーンユニットが損傷し、最悪の場合、完全に粉砕された粉砕材料が通過できなくなるという問題がある。ロータケージと共に回転するスクリーンユニットであれば、粉砕体を恒久的に動かし続けることができるため、完全に粉砕された粉砕材料がスクリーンユニットに常にアクセス可能であり、圧縮された粉砕体による損傷を被ることがない。
【0036】
更に、シャフトは、粉砕容器内においてカンチレバー形式で取り付けられる構成とすることもできる。特に、粉砕材料入口は、シャフトの取り付け側の端部に配置可能であり、粉砕材料出口は、シャフトの軸受側の端部に配置可能である。好適には、取り付け側の端部は、粉砕容器の第1端部領域に配置可能であり、軸受側の端部は、粉砕容器の第2端部領域に配置可能である。カンチレバー形式で取り付けられたシャフトは、任意的に、逆に取り付けることもできる。この場合、取り付け側の端部は、粉砕材料出口に配置され、軸受側の端部は、粉砕材料入口に配置される。
【0037】
更に、粉砕材料入口及び/又は粉砕材料入口チャンバには、第1流体入口開口を割り当てることができる。この第1流体入口開口を介して、第1流体流、例えば第1空気体積流量又は不活性ガス又は反応性ガスが粉砕材料入口又は粉砕材料入口チャンバ内、従って粉砕容器の粉砕チャンバ内に供給可能であり又は供給される。第1流体流は、粉砕材料と混合して第1粉砕材料・流体流が形成されるよう、粉砕材料入口内又は粉砕材料入口チャンバ内に供給することができる。このように、第1流体流は、搬送流として機能し、粉砕材料を粉砕材料入口又は粉砕材料入口チャンバから粉砕チャンバ内に運ぶことができる。また、第1流体流の少なくとも一部も粉砕チャンバに沿って流れ、粉砕チャンバ内で粉砕すべき粉砕材料及び/又は完全に粉砕された粉砕材料を粉砕材料出口まで運ぶことも想定可能である。このように、完全に粉砕された粉砕材料と共に、第1流体流の一部も粉砕材料出口を介して粉砕チャンバから導出することができる。
【0038】
更に、粉砕材料出口及び/又は粉砕材料出口チャンバには、第2流体入口開口を割り当てることができる。この第2流体入口開口を介して、第2流体流、例えば第2空気体積流量又は不活性ガス又は反応性ガスが粉砕材料出口又は粉砕材料出口チャンバ内に供給可能である。第2流体流は、完全に粉砕された粉砕材料と混合して第2粉砕材料・流体流が形成されるよう、粉砕材料出口内又は粉砕材料出口チャンバ内に供給することができる。第2流体流は、完全に粉砕された粉砕材料を粉砕材料出口に沿って搬送するよう機能することができる。
【0039】
更に及び/又は付加的に、管状要素は、第2流体流が通過可能なチャネル及び/又は孔を有することができる。
【0040】
代替的かつ例示的な実施形態によれば、管状要素のチャネル及び/又は孔は、第3流体流、例えば第3空気体積流量又は不活性ガスが通る第3流体入口開口として構成することができる。第3流体流は、特に、粉砕材料出口を介して粉砕チャンバから導出することができる。
【0041】
第2流体流及び/又は第3流体流は、好適には、固定ベースとロータフィンガとの間に形成された距離又はギャップに流すことができるため、完全に粉砕された粉砕材料がギャップに全く又はほぼ侵入することはない。第2流体流及び/又は第3流体流は更に、スクリーンユニットを洗浄したり吹き飛ばしたりできる洗浄流体として作用することも可能である。
【0042】
第1流体流、第2流体流、及び/又は、第3流体流は、それぞれ、別箇又は外部の流体源、例えば別箇又は外部の空気源、又は共通かつ外部の流体源、例えば共通かつ外部の空気源で生成することができる。
【0043】
更に、第1流体入口開口及び/又は第2流体入口開口及び/又は第3流体入口開口には、少なくとも1つの制御要素が割り当てられ、これにより第1流体流及び/又は第2流体流及び/又は第3流体流を制御することができる。第1及び/又は第2及び/又は第3流体入口開口の断面は、例えば制御要素によって変更可能であり、これにより第1及び/又は第2及び/又は第3流体入口開口が調整される。少なくとも1つの制御要素は、特に、粉砕チャンバ内の負圧が維持されるよう調整することができる。
【0044】
更に、粉砕材料入口に沿って流れる第1流体流は、流体流全体の50%よりも大きくすることができる。流体流全体は、特に、第1、第2、及び/又は、第3流体流で構成することができる。
【0045】
固定ベース、並びに固定ベースとロータフィンガとの間を流れる第2及び/又は第3流体流は、好適には、流体流全体の25%よりも小さく形成することができる。
【0046】
本発明は、上述した撹拌ボールミルの作動方法にも関する。撹拌ボールミルは、粉砕材料入口を含む第1端部領域及び粉砕材料出口を含む第2端部領域を有する粉砕容器を備える。撹拌ボールミルは更に、駆動ユニットにより粉砕容器内又は粉砕チャンバ内で回転可能であり、少なくとも部分的に撹拌シャフトとして構成され、撹拌要素が設けられたシャフトを備える。
【0047】
完全に粉砕された粉砕材料を粉砕体から分離するため、好適には、粉砕材料出口に対して軸線方向に配置された分離装置が設けられている。分離装置は、粉砕材料出口から軸線方向に離間するよう配置された撹拌シャフト上に配置されると共に、回転可能なロータケージを有する分級ロータを含む。ロータケージ内には、分級ロータに固定されたスクリーンユニットが配置されている。分級ロータを制御する場合、ロータケージが回転する。スクリーンユニットは、分級ロータ、特にロータケージに固定されるため、ロータケージのトルクがスクリーンユニットに伝達され、従ってロータケージ及びスクリーンユニットが同じ速度で共に回転する。ロータケージの回転により、粉砕容器内又は粉砕チャンバ内にある粉砕体は、粉砕容器の内壁に向けて半径方向に遠心されるのに対して、完全に粉砕された粉砕材料は、スクリーンユニットを介して粉砕材料出口に到達することができる。この分離・搬送機能は、特に、粉砕すべき製品よりも粉砕体の比重がより大きい場合に支援される。なぜならこの場合、密度差に起因し、完全に粉砕された粉砕材料がスクリーンを通過して粉砕材料出口内に移動するからである。
【0048】
固定配置又は固定されたスクリーンユニットの場合、スクリーンユニットと粉砕容器の内壁との間の粉砕体は互いに圧縮すると共に固着する可能性があるため、結果的にスクリーンユニットが損傷し、スクリーンユニットを介した粉砕容器からの粉砕材料の放出が妨げられるか又は詰まりを生じる恐れがあるのに対して、スクリーンユニットが撹拌シャフト上に配置される場合、そのような粉砕体の圧縮が回避されるため、撹拌ボールミルが粉砕体材料放出領域における詰まりの影響を受け難くなる。撹拌ボールミルのメンテナンスコスト及び/又は撹拌ボールミルの洗浄に伴う製造ロスが大幅に低減する。
【0049】
本発明に係る装置に関連して記載した全ての態様及び実施形態は、本発明に係る方法の部分態様にも同様に当てはまる場合があることに留意されたい。従って、明細書又は特許請求の範囲において、本発明に係る装置に関する特定の態様及び/又は関連及び/又は効果について言及される場合、その特定の態様及び/又は関連及び/又は効果は本発明に係る方法にも同様に当てはまる。逆もまた然りであり、本発明に係る方法に関連して記載した全ての態様及び実施形態は、本発明に係る装置の部分態様にも同様に当てはまる場合があることに留意されたい。従って、明細書又は特許請求の範囲において、本発明に係る方法に関する特定の態様及び/又は関連及び/又は効果について言及される場合、その特定の態様及び/又は関連及び/又は効果は本発明に係る装置にも同様に当てはまる。
【0050】
以下、添付図面に基づいて本発明の例示的な実施形態及びその利点を詳述する。図面における個々の要素間の寸法比は、実際の寸法比を必ずしも表すものではない。これは、明瞭性を高める見地から幾つかの形状が簡略表示されており、他の幾つかの形状は拡大表示されているからである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明に係る撹拌ボールミルの一実施形態を示す概略縦断面図である。
図2図1における撹拌ボールミルの粉砕材料入口を示す概略詳細図である。
図3図1における撹拌ボールミルにおいて、分離装置が上流側に配置された粉砕材料出口を示す概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図中、同一要素又は同一作用を有する要素については、同一参照符号で表すものとする。更に、明瞭性を高める見地から、個々の図面における参照符号は、個々の図面の記載にとって必要なものに限定してある。図面における各実施形態は、本発明に係る方法及び装置を例示するものに過ぎず、限定的なものではない。
【0053】
図1は、本発明に係る撹拌ボールミル10の一実施形態の概略縦断面図を示す。撹拌ボールミル10は、円筒状に形成されると共に、水平方向に支持された粉砕容器12を備える。粉砕容器12内又は粉砕チャンバ18内においては、適切な真空ポンプ(図示せず)などで調整された負圧が生じている。
【0054】
粉砕容器12は、粉砕容器12内の開口によって形成された粉砕材料入口14及び粉砕材料出口16を有する。粉砕材料入口14は、粉砕容器12の第1端部領域(図1の左側)に設けられ、粉砕材料出口16は、第1端部領域の反対側の第2端部領域(図1の右側)に設けられている。粉砕材料入口チャンバ68は、粉砕材料入口14の空間的に上流側に配置されている(図2参照)。更に、粉砕材料出口チャンバ70は、粉砕材料出口16の空間的に下流側に配置されている(図3参照)。広義には、粉砕材料入口チャンバ68は、粉砕材料入口14の領域であり、粉砕材料出口チャンバ70は、粉砕材料出口16の領域である。
【0055】
粉砕容器12は、好適には、70%〜90%が粉砕体で充填されており、これら粉砕体は、好適には、球状に形成されているが、例えば円筒状に形成されてもよい。粉砕体は、粉砕材料入口14を介して供給される粉砕材料の粉砕にとって不可欠であり、粉砕手段として機能する。粉砕体は、好適には、12 mm未満の大きさに形成される。
【0056】
撹拌ボールミル10は、粉砕容器12内に配置された駆動ユニット(図示せず)で回転可能なシャフト20を備える。回転可能なシャフト20の駆動ユニットは、好適には、粉砕材料出口16又は粉砕材料容器12の第2端部領域に配置されている。
【0057】
シャフト20は、カンチレバー形式で取り付けられており、シャフト20の軸受側の端部は、粉砕材料出口16領域又は粉砕材料出口チャンバ70領域に配置され、シャフト20の取り付け側の端部は、粉砕材料入口14領域又は粉砕材料入口チャンバ68領域に配置されている。即ち、シャフト20は、粉砕材料入口チャンバ68又は粉砕材料入口から粉砕材料出口チャンバ70又は粉砕材料出口16まで、粉砕容器12の少なくとも長手方向に沿って延在している。
【0058】
回転可能なシャフト20は、少なくとも一部が撹拌シャフト22として構成され、撹拌要素24が設けられている。各撹拌要素24は、撹拌シャフト22の外郭面から半径方向に延在しており、撹拌シャフト22の外郭面に回転不可能、特に機械的に固定されている。撹拌要素24は、特に、撹拌シャフト22の外郭面上に互いに等間隔で配置されている。
【0059】
本発明によれば、撹拌要素24は、ピン25として形成されている。ただし、撹拌要素24は、粉砕ディスクなどとして形成することも想定可能である。各撹拌要素24は、粉砕チャンバ18内における粉砕体を動かし、従って粉砕材料入口14を介して供給された粉砕材料を粉砕するエネルギーを粉砕体に付与するのに機能する。粉砕体は、特に、2個のピン間のスペースとして規定されるいわゆる粉砕ゾーンにおいて動かされる。粉砕材料入口14を介して供給された粉砕材料は、これら粉砕ゾーンを通過し、粉砕材料入口14から粉砕材料出口16までの途上で粉砕される。粉砕すべき粉砕材料の供給及び完全に粉砕された粉砕材料の放出により、粉砕材料入口14から粉砕材料出口16方向への粉砕材料の流れが調整される。
【0060】
各撹拌要素24は、粉砕容器12の内壁28から離間するよう配置された自由端26を有する。撹拌要素24の自由端26と粉砕容器12の内壁28との間の第1距離A1は、粉砕体の平均直径の少なくとも2.5倍に相当する。撹拌要素24の自由端と粉砕容器12の内壁28との間の第1距離A1が必要なのは、粉砕体が圧縮及び/又は固着することなくこの領域を通過可能とするためである。撹拌要素の自由端と粉砕容器12の内壁との間の距離が小さ過ぎる場合、粉砕体の圧縮及び/又は固着が生じる。
【0061】
完全に粉砕された粉砕材料が粉砕チャンバ18から導出される際に、完全に粉砕された粉砕材料を粉砕体から分離するために又は粉砕体が粉砕チャンバ18内に残留するのを保証するために分離装置30が設けられており、その分離装置30は、好適には、軸線方向において粉砕材料出口16の上流側に配置されている。分離装置30は、粉砕材料出口16から軸線方向に離間するよう撹拌シャフト22上に配置されると共に、回転可能なロータケージ34を有する分級ロータ32を含む。ロータケージ34は、撹拌シャフト22上に取り付けられたフランジ36を有し、そのフランジ36には支持プレート38が設けられている(図3参照)。図1に明示されているように又は図1のフランジ36から明らかなように、分級ロータ32の直径は、粉砕材料出口方向に向けて増加している。分級ロータ32の最小直径は、フランジ36の支持プレート38によって形成されている。支持プレート38の外周には、少なくとも2本のロータフィンガ40が機械的に結合されている。
【0062】
各ロータフィンガ40は、長手方向に同じ寸法又は同じ長さを有しており、好適には、その半径方向広がりは、各ロータフィンガ40の長さに亘って変化している。即ち各ロータフィンガ40の直径は、その長手方向に沿って増加している。この場合、ロータフィンガ40の第1直径D1は、ロータフィンガ40の第2直径D2に比べて小さいことが想定可能である。ロータフィンガ40は、特に、支持プレート38から粉砕材料出口16に向けて延在している。ロータフィンガ40の自由端には、少なくとも1個のリング要素44がディスク46として構成されて設けられている。ディスク46は、同心配置された孔を有し、その孔の内径は、シャフト20又は撹拌シャフト22の外径よりも大きい。ディスク46の外径は、好適には、少なくとも2本のロータフィンガ40間の直径又は距離に対応している。分級ロータ32の最大直径は、ディスク46によって形成されている。
【0063】
分離装置30は更に、ロータケージ34内に配置されると共に、分級ロータ32に固定されたスクリーンユニット42を含む。スクリーンユニット42を介して、完全に粉砕された粉砕材料が粉砕チャンバ18から導出可能であると共に、粉砕体が粉砕チャンバ18内に残留する。スクリーンユニット42が分級ロータ32に固定されているため、スクリーンユニットを固定された状態で有するロータケージ34は、撹拌シャフト22と同じ速度で回転する。ロータケージ34の回転運動により、流れ及び力が発生し、従って粉砕体が粉砕容器12の内壁28に向けて半径方向に動かされるか又は遠心される。これにより、粉砕材料出口16周りの領域から粉砕体を遠ざけておくことができる。
【0064】
スクリーンユニット42は、複数の開口(図示せず)を有する。これら開口は、好適には、軸線方向における細長孔として形成されている。各細長孔は、粉砕体よりも小さな断面を有するため、完全に粉砕された材料だけがスクリーンユニット42の開口を通過可能であるのに対して、粉砕体は、粉砕チャンバ18内に残留する。開口は、特に、粉砕体の直径の70%よりも小さくなるよう形成された断面を有する。
【0065】
スクリーンユニット42は円錐状に形成されると共に、その外径は粉砕材料出口16方向に増加するようロータケージ34内に配置されており、スクリーンユニット42の最大外径は、粉砕材料容器の内径の95%未満に形成されている。スクリーンユニット42が球状に形成されていることにより、完全に粉砕された粉砕材料に関して大きな表面、特に大きな通過表面が得られる。言うまでもなく、表面を増大させるために、スクリーンユニット42は、例えば、星形に折り畳まれたスクリーンプレートで構成され、そのスクリーンプレートの外側スリーブ表面を円錐状に形成してもよい。
【0066】
支持プレート38側におけるスクリーンユニット42の端面は、好適には、支持プレート38に機械的に固定された2つのウェブ48,48’を有する。これにより、スクリーンユニット42が支持プレート38に固定されている。2つのウェブ48,48’を介した支持プレート38へのスクリーンユニット42の固定は、トルク伝達装置と同様に機能し得る。即ち、ロータケージ34のトルクは、ロータケージ34が回転するとスクリーンユニット42に自動的に伝達される。従って、スクリーンユニット42は、ロータケージ34と同じ速度で自動的に回転する。
【0067】
ロータケージ34には更に、粉砕容器12における第2端部領域の内側に配置された固定ベース50が割り当てられている。固定ベース50は、粉砕容器12における第2端部領域から少なくとも一部が粉砕チャンバ18内に垂直に突入する円形要素又は管状要素52として構成されている。円形要素又は管状要素52は、シャフト20がガイドされる孔を有する。円形要素又は管状要素52における粉砕チャンバ側の自由端又は端面とディスク46との間には、軸線方向における第2距離A2又はギャップが形成され、その第2距離A2又はギャップは、粉砕体の直径の0.3倍よりも小さいのが好適である。即ち、第2距離A2又はギャップは、粉砕体及び/又は完全に粉砕されていない粉砕材料が粉砕材料出口16に不都合に到達するのを回避するよう形成されている。
【0068】
図2は、図1における撹拌ボールミル10の粉砕材料入口14の概略詳細図を示す。粉砕すべき粉砕材料は、ファンネル状に形成されると共に、粉砕材料入口チャンバ68を介して粉砕材料入口14に接続された貯蔵容器72に貯蔵されている。貯蔵容器72に貯蔵された粉砕材料を、粉砕材料入口チャンバ68を介して粉砕チャンバ18に位置する粉砕材料入口14に供給するために、貯蔵容器72の最下部にはゲート74が設けられている。粉砕材料は、特に、重力によって粉砕材料入口14に供給される。
【0069】
粉砕材料の供給を制御および支援するため、粉砕材料入口14、特に粉砕材料入口チャンバ68には、第1流体入口開口54が割り当てられ、その第1流体入口開口54を介して、第1流体流56(矢印で図示)が例えば第1空気体積流量として粉砕材料入口14、従って粉砕チャンバ18に供給される。代替的に、不活性ガス又は反応性ガスを使用することも想定可能である。第1流体流56は、粉砕材料と混合可能であるため、第1粉砕材料・流体流、特に第1粉砕材料・空気体積流量が形成される。第1流体流56は、粉砕容器12又は粉砕チャンバ18内の負圧に影響を及ぼさないよう計量されるが、粉砕材料を粉砕容器12内に搬送するのに十分なように計量される。第1流体流56は、空気源などの外部流体源(図示せず)によって生成される。
【0070】
第1流体入口開口54は、任意的に、第1流体流56を計量又は調整するために、少なくとも1つの制御要素(図示せず)を有することができる。第1流体入口開口54の断面は、例えば、少なくとも1つの制御要素によって変更することができる。
【0071】
粉砕チャンバ18内への粉砕材料の搬送を支援し、粉砕材料入口14の詰まりを回避するため、特に、粉砕材料入口チャンバ68に突入する粉砕材料入口14のシャフト20は、少なくとも一部が第1スクリューコンベア58、特に第1螺旋スクリュー66として構成されている。
【0072】
図3は、図1における撹拌ボールミルにおいて、分離装置30が上流側に配置された粉砕材料出口16の概略詳細図を示す。図3に明示されているように、スクリーンユニット42の内部及び粉砕材料出口16に突入するシャフト20は、少なくとも一部が第2スクリューコンベア64、特に第2螺旋スクリュー67として構成されている。これにより、スクリーンユニット42を通過すると共に、完全に粉砕された粉砕材料は、スクリーンユニット42から粉砕材料出口16に沿って運ばれるか又は粉砕材料出口16から搬送される。
【0073】
粉砕材料出口16は、特に第2スクリューコンベア64に向けて、シャフト20の上方及び/又は下方に対して少なくとも部分的に平行に延在し、粉砕材料出口16の空間的に下流側に配置された粉砕材料出口チャンバ70に通じている。この場合、粉砕材料出口チャンバ70は、完全に粉砕された粉砕材料用の収集容器に連通している。
【0074】
粉砕材料出口16、特に粉砕材料出口チャンバ70には、第2流体入口開口60が割り当てられ、その第2流体入口開口60を介して、第2流体流62(矢印で図示)が例えば第2空気体積流量として粉砕材料出口16、従って粉砕材料出口チャンバ70にも供給される。代替的に、不活性ガス又は反応性ガスを使用することも想定可能である。第2流体流62は、一方では、完全に粉砕された粉砕材料と混合する搬送媒体として機能するため、第2粉砕材料・流体流、特に第2粉砕材料・空気体積流量が形成される。従って、第2流体流62により、完全に粉砕された粉砕材料の搬送が粉砕材料出口16及び粉砕材料出口チャンバ70に沿って支援される。同時に、粉砕材料出口16が粉砕材料で詰まることも回避される。
【0075】
図1に関連して上述したように、粉砕チャンバ側における円形要素又は管状要素52の自由端又は端面とディスク46との間には、軸線方向における第2距離A2又はギャップが形成され、その第2距離A2又はギャップは、粉砕体の直径の0.3倍よりも小さいのが好適である。このギャップは、好適には、管状要素52のチャネル及び/又は孔(図示せず)を通過する第2流体流及び/又は任意的に第3空気体積流量などの第3流体流(図示せず)により洗浄されるため、完全に粉砕された製品がギャップに全く又はほぼ侵入することはない。
【0076】
第2流体流62及び/又は第3流体流は更に、スクリーンユニット42を洗浄可能な洗浄流体、特に洗浄空気としても作用する。特に、スクリーンユニット42の開口(図示せず)も、洗浄流体によって洗浄したり吹き飛ばしたりすることができる。
【0077】
第2流体流62は、空気源などの更なる外部流体源(図示せず)によって生成される。外部流体源は、任意的に、第1流体流56を生成するのと同じ流体源であってもよい。
【0078】
第3流体流は、空気源などの流体源(図示せず)によって提供することができる。第3流体源は、別箇の流体源又は更なる外部流体源、特に空気源とすることができる。この流体源は、任意的に、第1及び/又は第2流体流56,62を生成するのと同じ流体源であってもよい。
【0079】
第2流体入口開口60は、任意的に、第2流体流62を計量又は調整するために、更なる制御要素(図示せず)を有することができる。第2流体入口開口60の断面は、例えば、制御要素によって変更することができる。ただし留意すべきは、供給される第2流体流62は、粉砕容器12内の負圧に影響を及ぼさないよう選択されるが、完全に粉砕された粉砕材料を搬送するのに十分なように選択される。
【0080】
上述した実施形態、例、代案、並びに特許請求の範囲又は以下の記載及び図面は、異なる視点又は個々の特徴を含め、互いに独立して又は任意の組み合わせで適用することができる。実施形態に関連して記載した各特徴は、互いに相容れない場合を除いて、全ての実施形態に適用することができる。
【0081】
図面との関連で「概略的」という用語が使用されていたとしても、図面及びその説明が本発明の開示において二次的な重要さしか有さないことを意味するわけではない。当業者であれば、必ずしも寸法比を反映していない撹拌ボールミル及び/又は撹拌ボールミルの一部又は図示された他の要素に対する理解が損なわれることなく、本発明の理解を容易にする概略的及び抽象的な図面から十分な情報を得ることができる。従って、当業者は、図面を参照すれば、具体的に記載された本発明に係る方法の実施形態及び具体的に記載された本発明に係る装置の実施形態との関連で、特許請求の範囲及び明細書本文に一般的及び/又は抽象的に記載された本発明の思想をより容易に理解することが可能である。
【0082】
以上、本発明を好適な実施形態を参照しつつ説明した。ただし、当業者であれば、添付の特許請求の保護範囲を逸脱することなく、本発明に対して修正又は変更を加えられることは自明のことであろう。
【符号の説明】
【0083】
10 撹拌ボールミル
12 粉砕容器
14 粉砕材料入口
16 粉砕材料出口
18 粉砕チャンバ
20 シャフト
22 撹拌シャフト
24 撹拌要素
25 ピン
26 自由端
28 粉砕容器の内壁
30 分離装置
32 分級ロータ
34 ロータケージ
36 フランジ
38 支持プレート
40 ロータフィンガ
42 スクリーンユニット
44 リング要素
46 ディスク
48 ウェブ
48’ ウェブ
50 固定ベース
52 円形要素又は管状要素
54 第1流体入口開口
56 第1流体流
58 第1スクリューコンベア
60 第2流体入口開口
62 第2流体流
64 第2スクリューコンベヤ
66 第1螺旋スクリュー
67 第2螺旋スクリュー
68 粉砕材料入口チャンバ
70 粉砕材料出口チャンバ
72 貯蔵容器
74 ゲート

A1 第1距離
A2 第2距離
D1 第1直径
D2 第2直径
図1
図2
図3