特許第6886016号(P6886016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886016
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】粒子線を用いて表面を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20210603BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20210603BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20210603BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20210603BHJP
   G21K 5/04 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
   H01L21/302 201B
   H01J37/305 A
   H01J37/317 D
   H01J37/20 D
   !G21K5/04 E
   !G21K5/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-520621(P2019-520621)
(86)(22)【出願日】2017年10月12日
(65)【公表番号】特表2019-537252(P2019-537252A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2017076047
(87)【国際公開番号】WO2018069438
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】102016119437.9
(32)【優先日】2016年10月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519133020
【氏名又は名称】スキア システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンガー,トラルフ
(72)【発明者】
【氏名】デムラー,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ツォイナー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ネストラー,マティアス
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−253250(JP,A)
【文献】 特開平05−090215(JP,A)
【文献】 ARNOLD T.,Ultra-precision surface finishing by ion beam and plasma jet techniques-status and outlook,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A,Elsevier B.V.,2010年 5月 1日,Vol. 616 No. 2-3,p.147-156
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01J 37/20
H01J 37/305
H01J 37/317
G21K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子線(106)を用いて、初期トポロジを有する表面(110)を処理する方法であって、
前記表面(110)の対象トポロジに従って、前記表面(110)に対して前記粒子線(106)の第1角度で、前記粒子線(106)を用いて、前記表面(110)を処理する工程と、
その後、前記表面(110)の前記対象トポロジに従って、前記表面(110)に対して前記粒子線(106)の前記第1角度とは異なる第2角度で、前記粒子線(106)を用いて、前記表面(110)を処理する工程と、を備えており、
前記表面(110)の処理動作中の前記粒子線(106)の粒子流密度及び/又は粒子電流フローは、実質的に同じであり、並びに/或いは、前記表面(110)に対する前記粒子線(106)の角度のみが変更され、前記粒子線の特性及び/又は前記粒子線の生成における前記粒子線(106)の更なるパラメータは、実質的に一定に維持されるか、又は許容値以下の偏差を示すのみであり、
当該方法は、前記表面(110)に対して前記粒子線(106)の夫々異なる角度で、前記粒子線(106)を用いて前記表面(110)上で連続的に実行された処理動作をシミュレーションする工程を更に備えており、前記連続的に実行された処理の少なくとも前記夫々異なる角度を確認するために、少なくとも一回のシミュレーションを用いる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
粒子線(106)を用いて、初期トポロジを有する表面(110)を処理する方法であって、
前記表面(110)の対象トポロジに従って、前記表面(110)に対して第1角度で前記表面(110)に入射する前記粒子線(106)を用いて、前記表面(110)を処理する工程と、
前記第1角度で前記表面(110)の前記トポロジを処理した後に、第2角度での前記表面(110)の前記トポロジの処理をシミュレーションする工程と、
その後、前記表面(110)の対象トポロジに従って、前記表面(110)に対して、前記第1角度とは異なる第2角度で前記表面(110)に入射する前記粒子線(106)を用いて、前記表面(110)の前記シミュレーションされたトポロジから開始する処理を行う工程と、を備えており、
前記表面(110)の処理動作中の前記粒子線(106)の粒子流密度及び/又は粒子電流フローは、実質的に同じであり、並びに/或いは、前記表面(110)に対する前記粒子線(106)の角度のみが変更され、前記粒子線の特性及び/又は前記粒子線の生成における前記粒子線(106)の更なるパラメータは、実質的に一定に維持されるか、又は許容値以下の偏差を示すのみであり、
当該方法は、前記表面(110)に対して前記粒子線(106)の夫々異なる角度で、前記粒子線(106)を用いて前記表面(110)上で連続的に実行された処理動作をシミュレーションする工程を更に備えており、前記連続的に実行された処理の少なくとも前記夫々異なる角度を確認するために、少なくとも一回のシミュレーションを用いる
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記表面(110)の前記トポロジをシミュレーションする工程は、前記第1角度での前記処理動作の前及び/又は間に実行されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面(110)に対する前記粒子線(106)の前記第1角度及び/又は前記第2角度は、無限に設定可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記表面(110)に対する前記粒子線(106)の前記第1角度及び/又は前記第2角度は、前記粒子線(106)の位置決め及び/又は前記表面(110)の位置決めにより設定されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面(110)の瞬間的トポロジは、前記表面(110)の前記二つの処理動作の前及び/又は後に測定されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面(110)は、大気圧よりも低い圧力を有するチャンバ(102)内で処理され、前記チャンバ(102)は、前記表面(110)の両方の処理動作の前及び後にのみ、通気孔をつける及び/又は開放されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記表面(110)に対する前記粒子線の前記角度に応じて前記表面(110)の温度を調節及び/又は制御する工程を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各種の実施形態は、粒子線を用いて表面を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンビーム又は電子ビーム等の粒子線は、表面、又はそのトポロジを精密に改質するために用いることができる。粒子線支援方法は、例えばチップ製造のチップ又はチップ前駆体である、光学的構造要素の表面又は電子的構造要素の表面を処理するために用いることができる。
【0003】
処理される表面は、一般に、処理される(例えば除去される)異なるサイズの凹凸又は構造を持つ領域を有することを特徴とする。表面上の粒子線の入射領域が小さくなるほど、表面を処理できる空間分解能は高くなり、上手く処理できる凹凸又は構造は小さくなる。
【0004】
従って、従来の粒子線支援方法では、一回の動作で比較的小さい構造と比較的大きい構造との両方を処理することができるように、例えば、対応する比較的小さい直径を有する比較的小さい入射領域が用いられる。しかしながら、その結果、例えば、比較的大きいサイズの処理される凹凸又は構造のみを有する表面の領域が、比較的不必要に小さい入射領域で処理される。これは、方法の持続期間に影響を及ぼし、対応する原価要素となる。なぜなら、入射領域が小さくなるほど、粒子線で全表面を走査する時間が長くなるからである。処理時間が長くなると、粒子線が、静電破壊及び/又はフラッシュオーバや、局所的高温度を引き起こす可能性があるため、処理される表面が損傷する危険性も増加する。
【0005】
DE 10 2012 022 168 A1は、材料片上に平面表面を作成する方法について開示している。この方法によれば、粒子線を用いた粒子線エッチングにより材料片から第1材料容積を除去することにより、材料片の実質的に平面状の第1表面領域が除去される。但し、粒子線カラムのビーム軸と第1表面領域との角度は10度よりも小さい。更に、この方法によれば、イオンビームを用いた粒子線エッチングにより材料片から第2材料容積を除去することにより、実質的に平面状の第2表面領域が作成される。但し、ビーム軸と第2表面領域との角度は30度よりも大きい。
【0006】
A. Schindler et al., Ion Beam and Plasma Jet Etching for Optical Component Fabrication, Lithographic and Micromachining Techniques for Optical Component Fabrication, Proceedings of SPIE Vol. 4440, pages 217 to 227, 2001は、イオンビームエッチングの各種技術や使用分野について記載している。
【0007】
H. Takino et al., Ultraprecision Machining of Optical Surfaces, URL: http://www.jspe.or.jp/wp_e/wp-content/uploads/isupen/2011s/2011s-1-.pdfは、複雑な形状の光学部品のイオンビーム処理について記載している。
【0008】
EP 1 680 800 B1は、表面をイオンビーム処理する方法及び装置について開示している。ここで、イオン加速、イオンエネルギー分布、イオン電流密度、イオン密度分布を変更することにより、及び/又はイオンビームをパルス化することにより、イオンビーム特性を変更している。
【発明の概要】
【0009】
各種の実施形態では、粒子線を用いて表面を複数回(即ち、少なくとも二回)処理する方法を例示的に提供できる。ここで粒子線は、入射領域(例えばエッチング/材料除去)で表面に作用する。各処理動作において、粒子線と表面との夫々異なる角度で、粒子線を表面を横切って導くことができる。しかしながら、この異なる角度により、例えば表面上の粒子線の入射領域の幾何学形状及びサイズは、各処理動作で異なり、その結果、夫々の場合において、夫々の処理動作の異なる空間分解能が得られる。よって、例えば異なるサイズの表面の凹凸又は構造は、異なる空間分解能(これは異なるサイズに適合される)で表面を複数回処理することにより、処理できる。この結果、例えば処理期間、資源消費(例えば冷却水、粒子線生成ガス、及び装置動作エネルギー)、及び表面損傷又は表面に係る基板損傷の危険性を減少できる。
【0010】
粒子線を用いて、初期トポロジを有する表面を処理する方法は、前記表面の対象トポロジに従って、前記表面に対して前記粒子線の第1角度で、前記粒子線を用いて、前記表面を処理する工程を含んでよい。当該方法は、その後、前記表面の前記対象トポロジに従って、前記表面に対して前記粒子線の前記第1角度とは異なる第2角度で、前記粒子線を用いて、前記表面を処理する工程を更に含んでよい。
【0011】
任意には、前記表面に対する前記粒子線の前記角度のみが変更されてよく、前記粒子線の特性及び/又は前記粒子線の生成における前記粒子線の更なるパラメータは、実質的に一定に維持されるか、又は許容値以下の偏差を有するのみである。
【0012】
粒子線を用いて、初期トポロジを有する表面を処理する更なる方法は、前記表面の対象トポロジに従って、前記表面に対して第1角度で前記表面に入射する前記粒子線を用いて、前記表面を処理する工程を含んでよい。当該方法は、前記第1角度で処理した後に、前記表面の前記トポロジをシミュレーションする工程を更に含んでよい。加えて、当該方法は、その後、前記表面の対象トポロジに従って、前記表面に対して、前記第1角度とは異なる第2角度で前記表面に入射する前記粒子線を用いて、前記表面の前記シミュレーションされたトポロジから開始する処理を行う工程を含んでよい。
【0013】
任意には、前記表面に対する前記粒子線の前記角度のみが変更されてよく、前記粒子線の特性及び/又は前記粒子線の生成における前記粒子線の更なるパラメータは、実質的に一定に維持されるか、又は許容値以下の偏差を有するのみである。
【0014】
粒子線支援方法では、表面の初期トポロジから開始して、表面の所望対象トポロジを得るために、どのくらいの材料が表面から局所的に除去されるべきかを確認できる。例えば、粒子線の手順計画/移動プロファイルは、表面の初期トポロジと表面の所望対象トポロジとの差に基づいて確定/確認できる。例えば、粒子線又は表面上の粒子線の入射領域は、手順計画に基づいて表面を走査できる。このような手順計画/移動プロファイルは、例えば、粒子線又は粒子線の入射領域を、粒子線の可変速度及び/又は異なる強度で表面を横切って導くことを含むことができるので、表面の異なる領域で材料の局所的可変除去速度が得られることになる。
【0015】
例えば、粒子線又は粒子線の入射領域は、比較的多量の材料が除去される表面領域中を、比較的低速度で移動されてよく、比較的少量の材料が除去される表面領域中を、比較的高速度で移動されてよい。
【0016】
例えばミリメートル範囲規模である、例えば基板(例えばウェア又はレンズ)である本体の表面の処理される凹凸又は構造は、例えばその規模に対応する粒子線の入射領域サイズ(即ち、対応する空間分解能)を有する粒子線のみを用いて、上手く処理できる。例えば、入射領域は、凹凸又は構造を上手く処理可能とするために、例えばそれらを平坦可能とするために、ミリメートル範囲規模と同等以下の直径を要求できる。
【0017】
一の方法は、少なくとも二回表面を処理する工程を含んでよく、夫々の場合において、互いに異なる角度と、その結果としての互いに異なるサイズの入射領域及び空間分解能を設定できる。各処理動作において異なる空間分解能を有する手順計画/移動プロファイルを確定/確認できる。例えば比較的高い空間分解能を有する処理と、その後の比較的低い空間分解能を有する処理とを含む、このような方法を実行できるという事実により、表面の処理される凹凸又は構造は、該凹凸又は構造の夫々の規模に実質的に又は少なくとも部分的に適合された空間分解能で処理できる。よって、例えば、(全)方法期間、及び表面損傷又は粒子線を用いて処理される表面を有する基板損傷の危険性を減少できる。
【0018】
各種の実施形態によれば、表面を二回よりも多く処理できる。例えば、表面を、三回、四回、又はさらにより頻繁に、夫々異なる角度で処理できる。これは、例えば各処理動作に対して対応するシミュレーションを実行する工程、処理される表面に対する粒子線の角度を確認/設定する工程、及び/又は手順計画を確定する工程を含んでもよい。
【0019】
各種の実施形態によれば、前記表面の前記トポロジをシミュレーションする工程は、前記第1角度での前記処理動作の前及び/又は間に実行できる。
【0020】
コンピュータシミュレーション/計算は、プロセッサの計算速度又は処理される表面のトポロジ等の状況に応じて数分かかる。第1処理動作の前及び/又は間に表面のトポロジをシミュレーションすることにより、(全)方法期間を短くできる。
【0021】
各種の実施形態によれば、当該方法は、前記表面に対して前記粒子線の夫々異なる角度で、前記粒子線を用いて前記表面上で連続的に実行された処理動作をシミュレーションする工程を更に含んでよく、前記連続的に実行された処理の少なくとも前記夫々異なる角度を確認するために、少なくとも一回のシミュレーションを用いることができる。
【0022】
例えばプロセッサを用いたコンピュータシミュレーション/計算は、一又は複数の数理解析計算方法及び/又は数値計算方法を用いることができる。複数回の処理動作におけるシミュレーション/計算は、例えば(全)方法期間を短くするために、シミュレーション/計算の一部が、異なる処理過程の間及び/又は前に、例えば第1処理動作の間に実行されるように分割できる。
【0023】
シミュレーション/計算は、複数の部分シミュレーション/計算を含むこともできる。例えば、部分シミュレーションは、表面の各処理で実行でき、先のシミュレーションは、次のシミュレーションの基準又はパラメータとして用いることができる。
【0024】
シミュレーション/計算により、互いに異なる粒子線入射領域、その結果としての、互いに異なる表面に対する粒子線角度、及びその結果としての、異なる表面を(上手く)処理するために提供された空間分解能を確認することもできる。例えば、互いに異なる角度及び入射領域は、全方法期間を最小にするように、及び/又は表面損傷又は表面に係わる基板損傷の危険性を減少又は最適にするように、確認できる。
【0025】
各種の実施形態によれば、前記表面に対する前記粒子線の前記第1角度及び/又は前記第2角度は、無限に設定可能であってよい。
【0026】
この無限設定により、第1角度及び第2角度と、その結果としての各入射領域とは、トポロジ又はトポロジの一部における夫々の処理に対して精密に設定できる。更なる角度設定も無限に実行できる。
【0027】
各種の実施形態によれば、表面の異なる処理動作中における粒子線の電流密度及び/又は電流フロー(即ち、単位時間当たりの粒子数)は、実質的に同じであってよい。
【0028】
例えば、例えば加速電圧等の粒子線生成のパラメータ、若しくは一又は複数の処理動作中における粒子流密度分布である、更なるパラメータは、実質的に同じであってよく、例えば一定か、又は許容値以下のみの偏差を有することができる。
【0029】
粒子線の特性における、及び/又は粒子線生成における粒子線のパラメータを変更すると、例えば、粒子線源や、その結果として粒子線は、粒子線が実質的に一定のビーム特性を持つまでに、ある時間間隔を必要とするという結果を生じる。例えば、粒子線源が実質的に一定である粒子線特性を持つ粒子線を出射するまで、一又は複数のパラメータの変更後に数分経過するであろう。例えば、この時間間隔内では表面からの材料の除去速度が変化するため、この時間間隔内では、表面を処理できない可能性があり、又は少ない程度でなら処理できる可能性がある。全方法期間は、パラメータを実質的に同じに維持することにより、例えば、一定に維持するか、又は許容値以下の偏差のみを有するようにすることにより、また、例えば粒子線と表面との角度のみを変化させることにより短くできる。
【0030】
各種の実施形態によれば、前記表面に対する前記粒子線の前記第1角度及び/又は前記第2角度は、前記粒子線の位置決め及び/又は前記表面の位置決めにより設定できる。
【0031】
例えば、粒子線源及び/又は表面、若しくは表面に係る基板は、粒子線と表面との角度の位置決め及び/又は設定を可能及び/又は容易にするホルダを備えることができる。
【0032】
各種の実施形態によれば、前記表面の瞬間的トポロジは、前記表面の前記二つの処理動作の前及び/又は後に測定できる。
【0033】
従来の方法では、各処理動作前及び後の表面のトポロジを測定して、初期トポロジ及び当該方法の出来を確認している。
【0034】
各種の実施形態に応じて、複数回実行される処理動作のシミュレーションが実行されて、例えば先の処理動作の(シミュレーションされた)結果が、次の処理動作をシミュレーションするためのパラメータ又は基準として用いることができるという事実により、表面の全処理動作の前及び/又は後にのみトポロジを測定できる。
【0035】
測定は、例えば表面、又は関連基板を装置から除去しなければならず、よって、全方法期間が増加し、表面汚染又は表面損傷の危険性を伴うことを意味してよい。
【0036】
各種の実施形態によれば、前記表面は、大気圧よりも低い圧力を有するチャンバ内で処理でき、前記チャンバは、前記表面の両方の処理動作の前及び後にのみ、通気孔をつける及び/又は開放できる。
【0037】
チャンバが開放されないという事実により、全方法期間及び表面汚染又は表面損傷の危険性を同様に減少できる。
【0038】
各種の実施形態によれば、当該方法は、前記表面に対する前記粒子線の前記角度に応じて前記表面の温度を調節及び/又は制御する工程を更に含むことができる。
【0039】
表面に対する粒子線の異なる角度において、及びその結果としての異なる形状の入射領域において、異なる入射領域に入射する粒子密度(又は密度分布)は異なってよく、よって、表面に違った作用を与えることができ、例えば材料のエッチング/除去ができる。従って、夫々の他の温度変化もありうる。夫々の角度に適合された表面又は関連基板の温度を制御及び/又は調節することにより、処理中の温度変化による損傷の危険性を減少できる。
【0040】
更に、イオン又は電子等の荷電粒子の場合の、例えば粒子線中和の度合等の、例えば粒子線装置のその他のパラメータも、夫々の角度に適合できる。
【0041】
各種の実施形態によれば、当該方法は、前記粒子線を用いて前記表面上で連続的に実行された処理動作をシミュレーションする工程を更に含んでよく、前記連続的に実行された処理の方法期間を確認するために、少なくとも一回のシミュレーションを用いることができる。更に、当該方法は、確認された方法期間が閾値を超える場合に、対象トポロジと初期トポロジとの差の閾値を適合させる工程を含んでよい。
【0042】
例えば、所望の方法期間が閾値を超える場合に、例えば、時間がかかりすぎる場合に、所望の方法期間を達成するように処理精度を適合できる。複数の処理動作が先ずシミュレーションされるという事実により、例えば(全)方法期間、処理精度、資源消費(例えばエネルギー、水及び/又はガス)及び/又は複数の連続的方法の予定を動的に適合及び設計できる。
【0043】
各種の実施形態によれば、表面の一又は複数の処理動作をシミュレーションする工程は、フーリエ解析を含んでよい。
【0044】
例えば、表面の初期トポロジと対象トポロジとの差は、フーリエ変換により表面うねりに変換されてよい。表面うねりは、プロセッサを用いた計算が加速される、シミュレーション又はシミュレーションにおける計算方法の変数であってよい。
【0045】
表面うねり(局所うねりとも称される)は、複数の処理動作への分割に用いることができる。例えば、表面うねりの比較的高い周波数を処理するために、一の空間分解能を用いることができ、表面うねりの比較的低い周波数を処理するために、他の空間分解能を用いることができる。
【0046】
各種の実施形態によれば、粒子線を用いた表面の一又は複数の処理動作のシミュレーションの場合に、(少なくとも見積もられた)方法期間及び/又は処理期間を確認することができる。
【0047】
各種の実施形態によれば、少なくとも一の処理動作のシミュレーションは、フィルタリングを含むことができ、これは、シミュレーションが、表面のトポロジの適合モデルに基づくことができるという意味である。
【0048】
プロセッサにより実行できる、例えばフィルタ関数を用いた数学的フィルタリングであるフィルタリングは、シミュレーションの前及び/又はシミュレーションを用いて、例えばシミュレーションの一部として実行されるように行うことができる。一又は複数の処理動作をシミュレーションする工程は、処理される表面のトポロジに応じて数分かかる。フィルタリングを用いると、トポロジの数学的モデルは、シミュレーション工程の時間が短くなるように変更できる。
【0049】
例えば、例えば粒子線を用いて処理できないようなサイズを有する表面の凹凸又は構造がフィルタリングにより「隠される」ように、表面モデルはフィルタリングにより適合されてよい。従って、シミュレーションには、例えば原則として処理できない表面の凹凸又は構造を計算に含むための時間は、例えば全く又は殆どかからない。
【0050】
以下、実施形態についてより詳細に説明し、図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】粒子線を用いて表面を処理する方法の配列を示す図である。
図2】粒子線を用いて表面を処理する方法の一の実施形態を示す図である。
図3】粒子線を用いて表面を処理する方法の更なる実施形態を示す図である。
図4】粒子線を用いて表面を処理する方法の更なる実施形態を示す図である。
図5図5A図5B図5C、及び図5Dは、夫々、各角度で表面を処理する実施形態を示す図である。
図6】二つの異なる材料に対する入射角度の関数として容積除去速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。添付図面は、本説明の一部を形成しており、本発明を実施できる詳細な実施形態が例示の目的で示されている。この点で、例えば「上に」「下に」「前に」「後ろに」「前」「後ろ」等の方向を示す文言は、説明される図面の方位に対して用いられる。実施形態の構成成分は、複数の異なる方位で配列されてよいので、この方向を示す文言は例示のために用いられ、決して限定的ではない。他の実施形態が用いられてもよく、本発明の保護範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更が行われてよいことは言うまでもない。例としてここに記載された各種の実施形態の特徴は、特に詳細に明記しない限り、互いに組み合わせることが可能であることは言うまでもない。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により規定される。
【0053】
説明中、「接続された」と「連結された」という文言は、直接的な接続及び間接的な接続と直接的な連結及び間接的な連結とを述べるために用いられる。図中、同一又は類似の要素には、適宜、同一の名称が付与される。
【0054】
各種の実施形態によれば、本開示の一の態様は、粒子線と表面との夫々異なる角度で二回以上粒子線を用いて表面を処理することにより、表面の初期トポロジから表面の対象トポロジへの移行を達成できるという事実として考えられる。表面上の粒子線の入射領域のサイズは、異なる角度を用いて設定可能である。各処理動作では、夫々の処理動作の空間分解能を設定するために、表面上の粒子線の異なるサイズの入射領域を用いることができる。このようにして、処理を、表面のトポロジの状況に動的に適合できる。例えば、凹凸又は構造は、該凹凸又は構造のサイズに適合された異なる空間分解能で処理できる。空間分解能を設定するために、角度のみが変更されるが、例えば粒子線生成は変更されないので、(全)方法期間を短くできる。なぜなら、例えば粒子線生成の変更後に、粒子線が再び安定した状態で動作するまでに時間がかかってよいからである。
【0055】
図1は、粒子線106を用いて表面110を処理する方法の配列100を示す図である。
【0056】
配列100は、チャンバ102を含んでよい。粒子線106を出射できる粒子線源104は、チャンバ102内に配列されてよい。粒子線106は、表面110上の入射領域108に入射されてよい。ここで表面110は、基板112の表面であってよい。基板112は、ホルダ114に取り付けられてよい。配列100は、少なくとも一のポンプシステム116、冷却システム118、及び粒子線制御器120を含んでよい。更に配列100は、粒子線位置決めシステム122、表面位置決めシステム124、及び少なくとも一のプロセッサ126を含んでよい。
【0057】
模式的に示されたように、ホルダ114、ポンプシステム116、冷却システム118、粒子線制御器120、粒子線位置決めシステム122、表面位置決めシステム124、及び少なくとも一のプロセッサ126は、チャンバ102に接続されてよく、例えば、チャンバ102内の構成部品に電気的に及び/又は機械的に連結することができる。配列100の異なる構成部品は、互いに異なる接続を含んでよく、例えば電気的連結を含んでよい(図示せず)。配列100の異なる構成部品は、チャンバ102内に、又は少なくとも部分的にチャンバ102内に位置してよい。プロセッサ126は、配列100の各構成部品、又は配列100の少なくとも幾つかの構成部品に、それらを制御、調節、監視、及び/又はそれらの状態を確認するために、接続されてよく、例えば電気的に連結されてよい(構成部品はチャンバ102内と外部との両方に位置してよい)。夫々の場合において、配列100の一の構成部品は、一又は複数の他の構成部品を制御、調節、監視するように、及び/又はそれらの状態を確認するように設定されてもよい。配列100は、一又は複数の電力制御器、配電(配電ネットワーク)、資源制御器、資源記憶手段、資源分配(但し、資源の例は、冷却水や粒子線生成用ガスであってよい)、及び、例えば更なるプロセッサを用いてプロセッサ126を制御又は監視するためのネットワーク接続等の、一又は複数の更なる構成部品を含んでよい(図1には図示せず)。
【0058】
チャンバ102は、少なくとも一のポンプを含む、例えばポンプシステム116を用いて、チャンバ102内の真空、例えば低真空、微小真空、高真空又は超高真空を生成及び維持するように設定されてよい。例えば、少なくとも粒子線106の所望部分が表面110に到達できるような真空を生成及び/又は維持してよい。ポンプシステム116は、チャンバ102をガスで少なくとも部分的に充満させるために用いてもよい。例えば、ガスからなる真空の場合には、残留大気の大部分により、このガスをチャンバ102内へ導くことができる。例えば、このようなガスは、例えば表面110や粒子線106を用いた表面処理に対して非反応性である窒素、又はアルゴン等の希ガスである。このようにすれば、例えば、特に表面処理動作中に温度が変化する場合に、酸素が表面110を酸化させることを少なくとも部分的に防ぐことができる。ポンプシステム116は、チャンバ102が開放されて基板112がチャンバ102から除去できるように、チャンバ102に通気孔をつけるように更に設定されてもよい。
【0059】
冷却システム118は、例えば複数の冷却システムに分割されて、配列100を冷却するように設定されてよい。例えば、粒子線源104、基板112又はその表面110、及びチャンバ102は、それらが冷却システム118を用いて冷却できるように設定されてよい。粒子線106の生成中及び/又は表面110の処理中における温度変化によって、例えば、夫々の材料を保護するために冷却が必要であり、若しくはメンテナンスの煩雑さを少なくする可能性がある。
【0060】
粒子線制御器120は、粒子線106及び/又はそのビーム特性、例えば粒子線電流密度分布を制御及び/又は調節するように設定されてよい。粒子線制御器120は、例えばチャンバ102の内部、外部、部分的に内部、又は部分的に外部に設けることができる。粒子線制御器120は、例えば、粒子線106の生成を制御するように設定されてもよい。制御及び/又は調節されるパラメータは、例えば粒子線源104のプラズマへのエネルギー供給、プラズマからの粒子を加速する加速電圧、粒子線106の直径、例えば表面110上の粒子線106の直径、粒子束、粒子密度及び粒子線電流密度分布であり、並びに、粒子線源104のガス供給に対する一又は複数のパラメータであり、例えば流量である。
【0061】
粒子線位置決めシステム122及び/又は表面位置決めシステム124は、粒子線106が表面110の全領域に到達できるように、粒子線106又はその入射領域108が表面110中に導かれるように、例えば走査されるように設定されてよい。例えば、粒子線106は、(確認された)手順計画に基づいて表面110を横切って導くことができる。更に、粒子線位置決めシステム122及び/又は表面位置決めシステム124は、例えばホルダ114又は粒子線源104のホルダ(図示せず)を用いて、粒子線106と表面110との角度を設定及び/変更するように設定できる。
【0062】
例えば互いに接続されてよい複数のプロセッサであるプロセッサ126は、一(又は複数の)コンピュータの一部として存在してよい。例えば、プロセッサ126は、ポンプシステム116、冷却システム118、粒子線制御器120、粒子線位置決めシステム122及び/又は表面位置決めシステム124を監視、調節及び/又は制御するように設定されてよい。
【0063】
プロセッサ126は、例えば一又は複数のシミュレーション、解析計算及び/又は数値計算を用いて、粒子線106を用いた表面110の表面処理動作をシミュレーションし、シミュレーションにより表面処理を監視、調節及び/又は制御するように設定されてよい。
【0064】
図2は、粒子線を用いて表面を処理する方法の一の実施形態を示す図である。
【0065】
参照符号202で指定されたように、表面を処理する方法は、表面を測定する工程を含んでよい。
【0066】
表面は、例えば基板の表面であってよい。例えば、表面は、鏡又はレンズ等の光学的構造要素である。例えば、表面は、半導体材料又は誘電体層、又は例えばチップ技術やチップ製造技術からの構造要素、若しくはセンサであってもよい。
【0067】
表面の初期トポロジを確認するための表面測定は、例えば干渉計を用いて、例えば光学的に行われてよい。例えば、干渉計は、ナノメートル規模で精密に基板の製造関連の表面凹凸を測定するために用いられてよい。
【0068】
表面の所望対象トポロジは、例えば基板の所望厚さを得るために、又は基板上の下層の一層を少なくとも部分的に暴露するために、表面に所望パターンを提供する、又は表面から材料を除去する、例えば鏡又はレンズ等の光学要素の場合のように、例えば表面ができるだけ平面状であることと関連付けられてよい。加えて、基板上の一又は複数の層の所望の層厚又は構造を得ることもできる。例えば、圧電性高周波フィルタ又はブラッグミラー等の構造要素を実現でき、或いはこのような構造要素を、例えば電磁波の周波数に適合することができる。
【0069】
基板の表面を測定した後、例えばクランプにより基板をホルダに取り付けてよく、その後、粒子線配列に挿入してよい。粒子線配列は、例えばイオンビーム処理装置(又は電子ビーム処理装置)であってよい。例えば、イオンビーム源は、真空内でプラズマを生成するように設定されてよい。但し、一又は複数の電場を用いてプラズマのうちイオンを加速できる。このように加速されたイオンは、例えば電気伝導体に印加された電圧により、例えば電場を用いて焦点を合わすことができるイオンビームを形成できる。
【0070】
参照符号204で指定されたように、シミュレーションは、例えば一又は複数のプロセッサと対応するソフトウェアを用いて行うことができる。
【0071】
シミュレーションは、例えば、先ず初期トポロジと所望対象トポロジとの差を得ることにより行われてよい。この差は、例えば二のパラメータ(例えば、「x」座量および「y」座標)を持つ関数の形態で、局所的に除去される材料の量を示してよく、例えば層厚を示してよい。この差は、例えばこのような関数の形態で、数学的フーリエ変換を用いて変換されてよい。このフーリエ変換は、表面うねりを確認するために用いられてよい。
【0072】
例示の文言において、表面うねり又は数学的表面うねり関数は、例えば全表面に広がる比較的「大きい」構造を、表面うねりの比較的低い周波数として表すことができることを意味すると理解できる。ここで、比較的「小さい」局所構造は、表面うねりの比較的高い周波数として表すことができる。
【0073】
表面うねりを確認した後、計算/シミュレーションが行うことができる。例えば、イオンビーム直径及びイオンビーム特性が既知の場合に(例えば電流密度分布が既知の場合に)、画像処理に例えば用いられるような、「ゴールド」逆重畳アルゴリズムとして例えば知られるアルゴリズムを用いて、表面の所望の対象トポロジを得るために、イオンビームをどのように表面を横切って導くことができるかを計算/シミュレーションすることができる。例えば、イオンビームの移動プロファイル/手順計画は、表面上の対応する入射領域とともに速度を変更させて表面を横切ってイオンビームが移動されるように確定できる。このようなシミュレーションは、(少なくとも一の見積もられた)処理期間も計算できる。
【0074】
このようなシミュレーションは、例えば表面上の幾何学的サイズ及びイオン電流密度分布の点で異なる入射領域である異なる入射領域を用いて、二以上の処理動作をシミュレーションするように行われてよい。先の処理動作後の表面のシミュレーション/計算されたトポロジは、次のシミュレーション/計算された処理動作の基準又はパラメータ、即ちシミュレーション/計算された更なる初期トポロジとして、ここで用いることができる。或いは、計算/シミュレーションは、一回の工程で同時に複数の処理動作をシミュレーションするように行うことができる。
【0075】
例示的には、場合により複数に分かれているこのようなシミュレーションは、処理を複数の部分的処理動作に分割できる。例えば、表面うねりの確認により、表面が、同時に比較的低い周波数(又は周波数域)と比較的高い周波数(又は周波数域)を含むことを示すことができる。二よりも多い周波数域に分割することもできる。例えば、イオンビームの一の入射領域のサイズは、一の確認された周波数域の処理に適用でき、イオンビームの他の入射領域の異なるサイズは、別の確認された周波数域の処理に適用できる。例えば、シミュレーションは、例えば処理される表面の表面うねりに応じて、適切な入射領域(又は角度)を確認するために用いてもよい。更に、一又は複数の入射領域は前もって規定でき、一又は複数の更なる入射領域は、表面のトポロジと前もって規定された入射領域とに適合させた方法でシミュレーションを用いて確認できる。一又は複数のシミュレーションに基づいて、イオンビームの移動プロファイル/手順計画及び表面に対するイオンビームの角度を確認及び確定できる。
【0076】
参照符号206で指定されたように、その後、例えば確認された複数の移動プロファイル/手順計画及び角度を用いて、複数のイオンビーム処理動作を連続的に実行できる。イオンビームの異なる入射領域は、各処理動作中、イオンビームが表面に対して異なる角度を有するという点で実現できる。例えば、一の角度における表面上のイオンビームの入射領域は円形であり、他の角度では楕円形である。
【0077】
表面とイオンビームとの異なる角度を用いて設定される異なる入射領域により表面を処理する場合には、例えば一の入射領域において表面に入射する局所イオン密度/イオン電流密度分布が変化するという事実を、シミュレーション/計算に組み入れることができる。加えて、処理自体が異なってよい。なぜなら、異なる角度で粒子線を用いて処理される表面材料の場合には、角度に応じて異なる除去速度が得られるからである。例えば、処理される材料は結晶であってよく、該結晶は、角度依存の除去速度を決定できるように、優先方向を有してよい。
【0078】
その後、例えば基板をイオンビーム装置から取り出し、この方法の結果を確認するために表面を再測定できる。
【0079】
シミュレーション結果に対する結果のずれは、更なる処理動作のシミュレーションを改善するためのパラメータになりうる。
【0080】
図3は、粒子線を用いて表面を処理する方法300の更なる実施形態を示す図である。
【0081】
参照符号302で指定したように、粒子線を用いて初期トポロジを有する表面を処理する方法は、粒子線と表面との第1角度で粒子線を用いて表面を処理する工程を含むことができる。
【0082】
その後、304に記載するように、粒子線を用いて少なくとも二回目に同じ表面を処理できる。ここで、各処理動作の場合に、粒子線と表面との異なる角度が設定されるので、少なくとも二回の処理動作の後に、表面の初期トポロジと表面の対象トポロジとの差が閾値よりも小さくなる。
【0083】
図4は、粒子線を用いて表面を処理する方法400の更なる実施形態を示す図である。
【0084】
参照符号402で指定したように、粒子線を用いて初期トポロジを有する表面を処理する方法は、粒子線を用いて表面の第1処理動作を実行する工程を含むことができる。ここで、粒子線は、表面に対して一の角度で表面に入射する。
【0085】
参照符号404で指定したように、この方法は、第1処理動作の後に、表面のトポロジをシミュレーションする工程を更に含むことができる。
【0086】
参照符号406で指定したように、この方法は、第1処理動作の後に表面のシミュレーションされたトポロジから進行する、少なくとも一の更なる処理動作を実行する工程を更に含んでよい。
【0087】
各処理動作は、夫々の場合に表面に対する粒子線の異なる角度で実行されてよいので、少なくとも一の更なる処理動作の後に、表面の初期トポロジと表面の対象トポロジの差が閾値よりも小さくなる。
【0088】
図5Aは、角度510における表面508の処理動作の実施形態を示す図である。
【0089】
粒子線源502は、粒子線504を出射してよい。粒子線504は、軸506を有してよい。ここで軸506は、モデル/補助線を構成すると理解される。粒子線504は、表面に入射し、例えば粒子線504の軸506と表面508との角度である第1角度510で、表面に作用してよい。
【0090】
図5Bは、図5Aの変形例を示しており、粒子線504は、第1角度510とは異なる第2角度512で、表面508に入射する。
【0091】
図5Cは、異なる視点からの図5Aの表面508を模式的に示している。
【0092】
この視点では、粒子線514の入射領域が示される。角度510により、入射領域514は、例えば第2角度512である他の角度設定に対して、楕円形にひずんでいる。これは、例えば表面508上の粒子線504の粒子線流密度分布が、他の角度設定に対して楕円形にひずんでいるという意味であってもよい。
【0093】
図5Dは、異なる視点からの図5Bの表面508を模式的に示している。
【0094】
図5Cと同様に、この視点では、表面508上の粒子線504の入射領域516が示される。この例では、第2角度512は90度であり、入射領域516は円形である。
【0095】
例えば、第1角度510は、滑らかに第2角度512に移行可能であってよい。例えば粒子線源502の並進移動及び回転、並びに/若しくは表面508の並進移動及び/又は回転を用いて、角度を移行可能であってよい。
【0096】
図6は、入射角度の関数として容積エッチ速度を示す図である。
【0097】
除去速度は、処理される材料、及び粒子線と材料表面との角度によって異なってよい。例として、二の材料に対して、容積速度(又は容積除去速度又は容積エッチ速度)の入射角度(粒子線と処理される材料表面との角度)への夫々の依存性を示す。測定曲線602は、酸化アルミニウムに対する容積速度の入射角度への依存性を表しており、測定曲線604は、パーマロイ(NiFeアロイ)に対する容積速度の入射角度への依存性を表している。
【0098】
例えば酸化アルミニウムに対しては、入射角度に対する除去速度は極大606を有することが示された。更に、点608において、これらの異なる材料は、同じ入射角度で同じ除去速度を有してよい。
【0099】
一の角度における一の材料の除去速度は、複数のパラメータ及び特性に依存してよい。例として、材料の結晶構造や結晶配列、又は材料が例えばアモルファスかどうか、材料の温度、及び粒子線の粒子の材料に対する適合性/材料との相互作用が挙げられる。
【0100】
この例では、酸化アルミニウム602の容積速度が、約30度から40度の間の入射角度で極大606を有している。しかしながら、上述のように、達成可能な空間分解能は、異なる入射角度(例えば0度)で、最大であってよく、又は極大を有することができる。その結果、一の角度を選択する、又は複数の角度を選択することは、達成可能な空間分解能と達成可能な除去速度(その結果、全処理時間も)とのバランスを夫々の場合において総合的に表すことができる。例えば、直角入射での空間分解能は、比較的高い又は最大にもなり、除去速度は比較的低く、また他の角度では、空間分解能は比較的低いが、除去速度は比較的高い又は最大にもなり得る。更に、このようなバランスの場合、材料が、入射角度において除去速度への異なる依存性を有する異なる物質/副素材から構成されているかも重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6