特許第6886035号(P6886035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886035
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】アンテナシステム及び端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/30 20060101AFI20210603BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20210603BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H01Q21/30
   H01Q5/335
   H01Q1/24 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-549468(P2019-549468)
(86)(22)【出願日】2018年11月8日
(65)【公表番号】特表2020-534710(P2020-534710A)
(43)【公表日】2020年11月26日
(86)【国際出願番号】CN2018114498
(87)【国際公開番号】WO2020042361
(87)【国際公開日】20200305
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】201811014066.0
(32)【優先日】2018年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517188574
【氏名又は名称】ペキン シャオミ モバイル ソフトウェア カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING XIAOMI MOBILE SOFTWARE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼▲はん▼
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第03333977(EP,A1)
【文献】 米国特許第04291312(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0214443(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0048051(US,A1)
【文献】 特開2012−249281(JP,A)
【文献】 特開2020−005252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
第一の金属ラジエーター、第二の金属ラジエーター、第一のマッチングネットワーク、第二のマッチングネットワーク、第一のRFパス及び第二のRFパスを含み、
前記第一の金属ラジエーターの末端が前記アンテナシステムの第一の給電点に接続され、前記第一の給電点が第一のマッチングネットワークを介して前記第一の無線周波数(RF)パスに接続され、
前記第二の金属ラジエーターの末端が前記アンテナシステムの第二の給電点に接続され、前記第二の給電点が第二のマッチングネットワークを介して前記第二のRFパスに接続され
前記第二の金属ラジエーターは全地球測位システム(GPS)L5波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数を形成するように構成され、
前記第一の金属ラジエーターは端末の第一の金属フレームであり、前記第二の金属ラジエーターは前記端末の第二の金属フレームであり、前記第一の金属フレームの末端が前記第二の金属フレームの末端に隣接し、前記第一の給電点が前記第二の給電点に隣接し、前記第一の金属フレームの末端と前記第二の金属フレームの末端との間に隙間があり、前記隙間の幅は0.5mm〜3mmであり、
前記第一の金属フレームは横方向延長部分及び縦方向延長部分を含み、前記横方向延長部分及び前記縦方向延長部分の総長さが10mm〜30mmであり、前記第二の金属フレームの長さが30mm未満であり、
前記第二のマッチングネットワークはさらに一つのローパスフィルタとして機能する、アンテナシステム。
【請求項2】
前記第一の金属ラジエーターは全地球測位システム(GPS)L1波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数、ワイヤレスフィデリティ(WiFi)の2.4GHz周波数帯域の共振周波数及び5GHz周波数帯域の共振周波数を形成するように構成される、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記第一のマッチングネットワークは、
第一のコンデンサ、第二のコンデンサ、第一のインダクタ及び第二のインダクタを含み、
前記第一のコンデンサの第一の端部が前記第一の給電点に接続され、前記第一のコンデンサの第二の端部が前記第二のコンデンサの第一の端部及び前記第一のインダクタの第一の端部に接続され、
前記第一のインダクタの第二の端部が前記第二のコンデンサの第二の端部、前記第二のインダクタの第一の端部及び前記第一のRFパスに接続され、前記第二のインダクタの第二の端部が接地する、請求項に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記第二のマッチングネットワークは、
第三のコンデンサ及び第三のインダクタを含み、
前記第三のコンデンサの第一の端部が前記第二の給電点及び前記第三のインダクタの第一の端部に接続され、前記第三のコンデンサの第二の端部が接地し、
前記第三のインダクタの第二の端部が前記第二のRFパスに接続される、請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記第一の金属ラジエーターによって形成された共振周波数は前記第二の金属ラジエーターによって形成された共振周波数より大きい、請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
端末であって、
請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナシステムを備える、端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は出願番号が201811014066.0であり、出願日が2018年8月31日である中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は通信技術分野に関し、特にアンテナシステム及び端末に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術では、より多くの機能を実現するために、端末はより多くの周波数帯域の無線周波数(RF)信号を伝送できるアンテナを追加する必要があり、例えば、衛星ナビゲーションの測位精度を向上させるために、現在1176.45MHzを3番目の民間信号として追加するため、端末は該周波数帯域のRF信号を伝送できるアンテナを追加する必要もある。しかし、端末における元のアンテナに影響を与えることなく、アンテナで満たされている端末にどのようにアンテナを追加するかは、現在の解決すべき緊急な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術の問題を解決するために、本開示の実施例はアンテナシステム及び端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例の一つの態様によるアンテナシステムは、第一の金属ラジエーター、第二の金属ラジエーター、第一のマッチングネットワーク、第二のマッチングネットワーク、第一の無線周波数(RF:Radio Frequency)パス及び第二のRFパスを含み、前記第一の金属ラジエーターの末端が前記アンテナシステムの第一の給電点に接続され、前記第一の給電点が第一のマッチングネットワークを介して前記第一のRFパスに接続され、前記第二の金属ラジエーターの末端が前記アンテナシステムの第二の給電点に接続され、前記第二の給電点が第二のマッチングネットワークを介して前記第二のRFパスに接続される。
【0006】
選択可能に、前記第一の金属ラジエーターは端末の第一の金属フレームであり、前記第二の金属ラジエーターは前記端末の第二の金属フレームであり、前記第一の金属フレームの末端が前記第二の金属フレームの末端に隣接し、前記第一の金属フレームの末端と前記第二の金属フレームの末端との間に隙間がある。
【0007】
選択可能に、前記隙間の幅は0.5mm〜3mmである。
【0008】
選択可能に、前記第一の金属フレームは横方向延長部分及び縦方向延長部分を含み、前記横方向延長部分及び前記縦方向延長部分の総長さが10mm〜30mmであり、前記第二の金属フレームの長さが30mm未満である。
【0009】
選択可能に、前記第一の金属ラジエーターは全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)L1波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数、ワイヤレスフィデリティ(WiFi:Wireless Fidelity)の2.4GHz周波数帯域の共振周波数及び5GHz周波数帯域の共振周波数を形成するように構成される。
【0010】
選択可能に、前記第二の金属ラジエーターはGPS L5波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数を形成するように構成される。
【0011】
選択可能に、前記第一のマッチングネットワークは第一のコンデンサ、第二のコンデンサ、第一のインダクタ及び第二のインダクタを含み、
前記第一のコンデンサの第一の端部が前記第一の給電点に接続され、前記第一のコンデンサの第二の端部が前記第二のコンデンサの第一の端部及び前記第一のインダクタの第一の端部に接続され、前記第一のインダクタの第二の端部が前記第二のコンデンサの第二の端部、前記第二のインダクタの第一の端部及び前記第一のRFパスに接続され、前記第二のインダクタの第二の端部が接地する。
【0012】
選択可能に、前記第二のマッチングネットワークは第三のコンデンサ及び第三のインダクタを含み、前記第三のコンデンサの第一の端部が前記第二の給電点及び前記第三のインダクタの第一の端部に接続され、前記第三のコンデンサの第二の端部が接地し、前記第三のインダクタの第二の端部が前記第二のRFパスに接続される。
【0013】
選択可能に、前記第一の金属ラジエーターによって形成された共振周波数は前記第二の金属ラジエーターによって形成された共振周波数より大きい。
【0014】
本開示の実施例の第二の態様による端末は、本開示の実施例の第一の態様に記載されるいずれかのアンテナシステムを備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示の実施例による技術的解決策は、以下のような有益な効果を含むことができる。
【0016】
本開示の実施例のアンテナシステムでは、2つのマッチングネットワーク及び2つのRFパスを使用してそれぞれ第一の金属ラジエーター及び第二の金属ラジエーターに接続され、2つのアンテナシステムを形成し、該2つのアンテナシステムが互いのRF信号を効果的に隔離することができ、両者間の相互影響が回避され、アンテナシステムの放射効率が向上する。
【0017】
理解すべきものとして、以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものだけであり、本開示の実施例を限定することができない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一つの例示的な実施例によるアンテナシステムの概略図である。
図2】一つの例示的な実施例による第一のマッチングネットワークの概略図である。
図3】一つの例示的な実施例による第二のマッチングネットワークの概略図である。
図4】一つの例示的な実施例によるスミスチャート上のアンテナシステム1のトレースの概略図である。
図5】一つの例示的な実施例による第二のマッチングネットワークの指向性伝送係数の概略図である。
図6】一つの例示的な実施例によるアンテナシステム1のリターンロスパフォーマンスグラフである。
図7】一つの例示的な実施例によるアンテナシステム2のリターンロスパフォーマンスグラフである。
図8】一つの例示的な実施例による第一のマッチングネットワーク及び第二のマッチングネットワークによってマッチングされる前のアンテナシステム1とアンテナシステム2との間の隔離度が周波数に伴って変化するグラフである。
図9】一つの例示的な実施例による第一のマッチングネットワーク及び第二のマッチングネットワークによってマッチングされた後のアンテナシステム1とアンテナシステム2との間の隔離度が周波数に伴って変化するグラフである。
図10】一つの例示的な実施例によるアンテナシステムの効率グラフである。
図11】一つの例示的な実施例による端末のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここでの図面は本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本開示に該当する実施例を示し、そして明細書と共に本開示の実施例の原理を解釈することに用いられる。
【0020】
ここで例示的な実施例を詳細に説明し、その例が図面に示される。以下の説明が図面に関する場合、特に明記しない限り、異なる図面における同じ数字が同一又は類似の要素を指す。以下の例示的な実施例に記載される実施形態は本開示の実施形態と一致する全ての実施形態を表すものではない。逆に、それらは、添付の特許請求の範囲に詳細に説明される、本開示の実施例のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例だけである。
【0021】
図1は一つの例示的な実施例によるアンテナシステムの概略図である。図1に示すように、該アンテナシステムは、
第一の金属ラジエーター11、第二の金属ラジエーター12、第一のマッチングネットワーク、第二のマッチングネットワーク、第一のRFパス及び第二のRFパスを含み、
図1に示すように、第一の金属ラジエーター11の末端がアンテナシステムの第一の給電点13に接続され、第一の給電点13が第一のマッチングネットワークを介して前記第一のRFパスに接続され、
第二の金属ラジエーター12の末端がアンテナシステムの第二の給電点14に接続され、第二の給電点14が第二のマッチングネットワークを介して第二のRFパスに接続される。
【0022】
可能な実施形態では、上記アンテナシステムは端末に設置されてもよく、端末の金属フレームの良好な放射能力を十分に利用するために、端末の一部の金属フレームを上記第一の金属ラジエーター及び第二の金属ラジエーターとして使用することができる。
【0023】
上記アンテナシステムはアンテナシステム1及びアンテナシステム2という2つのアンテナシステムに分けられてもよく、ここで、アンテナシステム1が第一の金属放射ラジエーター及び該アンテナシステムのメイングランドを含むことができ、第一のラジエーターの先端部(末端と逆の別の端部)とアンテナシステム1のメイングランドが接地し、アンテナシステム2が第二の金属ラジエーター及び該アンテナシステムのメイングランドを含むことができ、第二の放射体の先端(末端と逆の端部)とアンテナシステム2のメイングランドが接地し、ここで、アンテナシステムのメイングランドが端末の一部の金属メタルバックシェル及び端末の金属ミドルフレームなどを含むことができ、アンテナシステム1及びアンテナシステム2が同一のメイングランドを共用することができる。
【0024】
図1に示すように、ここで、エリア15はアンテナシステムにおける非金属材質の隙間及び/又はブレークポイントであり、該隙間又はブレークポイントが例えば1.5mmであってもよい。上記第一のRFパス及び第二のRFパスはRF信号処理及び信号伝送を行うためのリンクであってもよく、該リンクが複数の電子部材を含むことができ、例えば低ノイズ増幅器、選択スイッチ、電力増幅器及びRF送受信機などのうちの一つ又は複数を含むことができる。
【0025】
可能な実施形態では、アンテナシステム1及びアンテナシステム2がそれぞれ異なる周波数帯域を覆うことが可能となるように、第一のマッチングネットワークと第二のマッチングネットワークは異なる構造を有するLC回路であってもよい。
【0026】
本開示の実施例のアンテナシステムでは、2つのマッチングネットワーク及び2つのRFパスを使用してそれぞれ第一の金属ラジエーター及び第二の金属ラジエーターに接続され、2つのアンテナシステムを形成し、該2つのアンテナシステムが互いのRF信号を効果的に隔離することができ、両者間の相互影響が回避され、アンテナシステムの放射効率が向上する。
【0027】
可能な実施形態では、図1に示すように、上記アンテナシステムは端末に応用されてもよく、これに基づき、第一の金属ラジエーターは端末の第一の金属フレームであってもよく、第二の金属ラジエーターは端末の第二の金属フレームであってもよく、第一の金属フレームの末端が第二の金属フレームの末端に隣接し、第一の金属フレームの末端と第二の金属フレームの末端との間に隙間があり、第一の給電点が第一の金属ラジエーターの末端に接続され、第二の給電点と第二の金属ラジエーターの末端に接続され、本実施例において、第一の給電点と第二の給電点との間の距離が近いため、第一の給電点の属するアンテナシステム1と第二の給電点の属するアンテナシステム2との間の距離を増大し、両者間の相互影響をできるだけ減少することができる。
【0028】
可能な実施形態では、上記第一の金属フレームと上記第二の金属フレームとの間の隙間の幅が0.5mm〜3mmであってもよい。該隙間が広いほど、2つのアンテナシステムとの間の隔離性が良くなるが、該隙間が広いほど、端末のサイズがこれに対応して大きくなり、そのため該隙間の幅は実際ニーズに応じて設定されてもよい。
【0029】
可能な実施形態では、図1に示すように、第一の金属フレームは横方向延長部分(例えば端末の短辺に沿って延長する部分)及び縦方向延長部分(例えば端末の長辺に沿って延長する部分)を含むことができ、GPS L5波長帯の対応する周波数ポイント及びWIFI 5G周波数帯域の対応する周波数ポイントがスミスチャートの感知エリアに入ることができ、WIFI2.4G周波数帯域の対応する周波数ポイントがスミスチャートの容量性エリアに入ることができるように該横方向延長部分及び縦方向延長部分が要求される。この時に第一のマッチングネットワークの容量値を調整することにより、3つの周波数帯域の対応する共振を実現することができる。端末の実際設計を考慮する場合、金属フレーム及び非金属材料充填隙間の違いがあり、アンテナ波長原理に応じて、前記横方向延長部分及び前記縦方向延長部分の総長さが10〜30mmであってもよい。アンテナシステム1及びアンテナ2の2つの給電点との間の距離が近い場合、2つのアンテナシステム間の隔離性が悪く、この状況を回避するために、アンテナシステム2における第二の金属フレームの長さを合理的に短縮させ、第二のマッチングネットワークの等価ローパスフィルタの作用と組み合わせて解決することができる。通常、1.2GHz周波数帯域の共振周波数を形成する必要がある場合、金属ラジエーターの有効長さが四分の一の波長で、約60mmであり、本実施例では、第二の金属ラジエーターの長さを30mm未満に設定することにより、1.2GHzの周波数ポイントがスミスチャート(反射系散在平面に正規化された入力インピーダンス(又はアドミッタンス)等価円群がプロットされた計算グラフ)の第一の象限に入ることが可能になり、同様に第二のマッチングネットワークによってアンテナシステム2をスミスチャートのの50オームに近くの領域にマッチングさせることができる。
【0030】
可能な実施形態では、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)L5波長帯に対応する周波数帯域の実際の周波数帯域が狭いことを考慮する場合、第二の金属フレームの長さを短く設定することができ、例えば第二の金属フレームの長さを12mmに設定することができる。
【0031】
可能な実施形態では、アンテナシステムの帯域幅とアンテナの伝送効率などの性能を考慮する場合、12mmに基づいて第二の金属フレームの長さを適切に長くすることができ、例えば、第二の金属フレームの長さを30mmに設定する。
【0032】
可能な実施形態では、上記第一の金属ラジエーターはGPS L1波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数、WiFiの2.4GHz周波数帯域の共振周波数及び5GHz周波数帯域の共振周波数を形成するように構成されてもよく、これに対応して、上記第一のRFパスはGPS L1波周波数帯域に対応する周波数帯域、WiFi2.4周波数帯域及び5GHz周波数帯域のスリーインワンRFパスであってもよく、これらの周波数帯域のRF信号を処理及び伝送することに用いられてもよい。
【0033】
可能な実施形態では、上記第二の金属ラジエーターはGPS L5波長帯に対応する周波数帯域の共振周波数を形成するように構成されてもよく、これに対応して、上記第二のRFパスはGPS L5波長帯に対応する周波数帯域のRFパスであってもよく、該周波数帯域のRF信号を処理及び伝送することに用いられてもよい。本実施例では、金属フレームの優れた放射能力を利用し、一つのRFパスを個別に使用して新しく追加されたGPS L5周波数帯域のRF信号を伝送し、該RFパスに接続された第二のマッチングネットワークがマッチングとして機能することができるだけでなく、一つのローパスフィルタとして元のスリーインワンアンテナを隔離し、2つのアンテナシステム間の隔離度の大幅な向上を達成することができ、元の3つの周波数帯域のアンテナシステムの性能が低下しないことが保証されることに基づき、GPS L5の放射効率が向上し、異なるアンテナシステム間の隔離度も保証される。
【0034】
図2は一つの例示的な実施例による第一のマッチングネットワークの概略図である。図2に示すように、該第一のマッチングネットワークは、
第一のコンデンサ21、第二のコンデンサ22、第一のインダクタ23及び第二のインダクタ24を備えることができる。
【0035】
第一のコンデンサ21の第一の端部が第一の給電点13に接続され、第一のコンデンサ21の第二の端部が第二のコンデンサ22の第一の端部及び第一のインダクタ23の第一の端部に接続される。
【0036】
第一のインダクタ23の第二の端部が第二のコンデンサ22の第二の端部、第二のインダクタ24の第一の端部及び第一のRFパス25に接続され、第二のインダクタ24の第二の端部が接地する。該第一のマッチングネットワークはアンテナシステム1のGPS L1波長帯に対応する周波数帯域、WiFi 2.4GHz及びWiFi 5GHzをスミスチャートの50オームエリアの付近にマッチングさせ、該3つの周波数帯域の共振周波数を励起することができる。
【0037】
図3は一つの例示的な実施例による第二のマッチングネットワークの概略図である。図3に示すように、該第二のマッチングネットワークは第三のコンデンサ31及び第三のインダクタ32を含むことができ、第三のコンデンサ31の第一の端部が第二の給電点14及び第三のインダクタ32の第一の端部に接続され、第三のコンデンサ31の第二の端部が接地し、第三のインダクタ32の第二の端部が第二のRFパス33に接続される。該第二のマッチングネットワークはGPS L5波長帯に対応する周波数帯域をスミスチャートの50オームエリアの付近にマッチングさせ、該周波数帯域の共振周波数を励起することができ、図4に示すように、曲線Aはいかなるマッチングネットワークを追加しない場合のスミスチャート上のアンテナシステム1のトレースであり、ここで、mark1点がGPS L5波長帯の中心周波数であり、曲線Bがmark1点に対する第二のマッチングネットワークのマッチング役割である。該第二のマッチングネットワークはさらに一つのローパスフィルタとして機能することができる。図5は一つの例示的な実施例による第二のマッチングネットワークの指向性伝送係数の概略図である。図5に示すように、GPS L1波長帯に対応する周波数帯域の中心周波数ポイントに16dB以上の挿入損失があり、WiFi 2.4GHz及びWiFi 5GHzの範囲内の挿入損失がより高く、そのため第二のマッチングネットワーク、アンテナシステム2はアンテナシステム1のRF信号を効果的に隔離することができる。
【0038】
上記第二のマッチングネットワークはさらにより複雑なフィルタネットワーク、例えば並列インダクタ、直列コンデンサ、並列コンデンサ、直列ンダクタの周波数セレクタ、又はアンテナシステム2に対するノッチフィルタなどのうちのいずれか一つを使用することができる。一つの実施形態では、一つの端末において、アンテナ2は最低周波数帯域のRF信号を伝送するように構成されてもよく、アンテナシステム1は残りの高周波長帯のRF信号を伝送するように構成されてもよく、例えば、アンテナシステム2はGPS L1波長帯に対応する周波数帯域を覆い、アンテナシステム1はセルラー移動通信ネットワークにおける中及び高の共通周波数帯域(1.71GHz−2.69GHz)を覆う。
【0039】
上記アンテナシステム1及びアンテナシステム2はそれぞれ図6図7に示すアンテナシステムのリターンロスパフォーマンスを実現することができる。図8は第一のマッチングネットワーク及び第二のマッチングネットワークによってマッチングされる前のアンテナシステム1とアンテナシステム2との間の隔離度が周波数に伴って変化するグラフである。図8から分かるように、2つのアンテナシステムとの間の隔離性能が悪く、最も悪い周波数ポイントの隔離度が−2.44dBだけである。図9は第一のマッチングネットワーク及び第二のマッチングネットワークによってマッチングされた後のアンテナシステム1とアンテナシステム2との間の隔離度が周波数に伴って変化するグラフである。図9から分かるように、マッチングされた2つのアンテナシステムとの間の隔離度が−14.34dBに達成し、11.9dB大幅に向上する。
【0040】
図10は一つの例示的な実施例によるアンテナシステムの効率グラフである。図10に示すように、各周波数帯域における該アンテナシステムの効率が移動端末アンテナの従来の基準を満たすことができる。実際にテストした後、上記アンテナシステムは、測位精度を効果的に向上させ、特に橋を有する都市道路及び高層ビルの非開放環境において、動作トレースの測位及び取得の精度が明らかに向上する。本開示の実施例のアンテナシステムにおけるアンテナシステム2は、サイズが小さく、GPS L5波長帯の効率が高く、他の3つの周波数帯域のアンテナに対する影響が小さく、且つ別個の第二のマッチングネットワーク及び第二のRFパスが使用されるため、RFパスの損失がより小さく、一方、他の3つの周波数帯域のアンテナのデバッグがより独立して柔軟性を有し、4つの周波数帯域のデバッグにおいてある周波数帯域が他の3つの周波数帯域に影響を与えて周波数オフセットが発生するという問題を解決することができる。
【0041】
本開示の実施例ではさらに端末が提供され、該端末は上記のいずれかのアンテナシステムを備え、該端末は例えばインテリジェント移動端末であり、又は測位及びWiFi用途を含むインテリジェントデバイスを内蔵する。
【0042】
図11は一つの例示的な実施例による端末のブロック図である。例えば、端末800は移動電話、コンピュータ、デジタル放送端末、メッセージ送受信機、ゲームコンソール、タブレットデバイス、医療デバイス、フィットネスデバイス、パーソナルデジタルアシスタントなどであってもよい。
【0043】
図11を参照すると、端末800は処理コンポーネント802、メモリ804、電源コンポーネント806、マルチメディアコンポーネント808、オーディオコンポーネント810、入力/出力(I/0)インターフェイス812、センサコンポーネント814、及び通信コンポーネント816の一つ又は複数を含むことができる。
【0044】
処理コンポーネント802は一般的に端末800の全体操作、例えば表示、電話コール、データ通信、カメラ操作と記録操作に関連する操作を制御する。処理コンポーネント802は一つ又は複数のプロセッサ820を含んで命令を実行し、上記の方法の全て又は一部のステップを完了することができる。また、処理コンポーネント802と他のコンポーネントとの間のインタラクションを容易にするように、処理コンポーネント802は一つ又は複数のモジュールを含むことができる。例えば、マルチメディアコンポーネント808と処理コンポーネント802との間のインタラクションを容易にするように、処理コンポーネント802はマルチメディアモジュールを含むことができる。
【0045】
メモリ804は端末800の操作をサポートするために様々なタイプのデータを記憶するように構成される。これらのデータの例は端末800で実行されるいかなるアプリケーションプログラム又は方法のための命令、連絡先データ、電話帳データ、メッセージ、ピクチャー、ビデオなどを含む。メモリ804は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク又は光ディスクのようないかなるタイプの揮発性又は不揮発性ストレージデバイス又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
電源コンポーネント806は端末800の様々なコンポーネントに電力を供給する。電源コンポーネント806は電源管理システム、一つ又は複数の電源、及び端末800のための電力の生成、管理及び割り当てに関連する他のコンポーネントを含むことができる。
【0047】
マルチメディアコンポーネント808は前記端末800とユーザとの間の出力インタフェースを供給するスクリーンを含む。いくつかの実施例では、スクリーンは液晶ディスプレイ(LCD)及びタッチパネル(TP)を含むことができる。スクリーンがタッチパネルを含む場合、スクリーンは、ユーザからの入力信号を受信するようにタッチスクリーンとして実現されてもよい。タッチパネルは、タッチ、スライドとタッチパネル上のジェスチャをセンシングするように一つ又は複数のタッチセンサーを含む。前記タッチセンサーはタッチ又はスライド動作の境界をセンシングすることだけでなく、前記タッチ又はスライド動作に関連する持続時間及び圧力を検出することができる。いくつかの実施例では、マルチメディアコンポーネント808は一つのフロントカメラ及び/又はリアカメラを含む。端末800が動作モード、撮影モード又はビデオモードにある場合、フロントカメラ及び/又はリアカメラは外部のマルチメディアデータを受信することができる。各フロントカメラとリアカメラは一つの固定された光学レンズシステムであってもよく、又は焦点距離及び光学ズームを有する。
【0048】
オーディオコンポーネント810はオーディオ信号を出力及び/又は入力するように構成される。例えば、オーディオコンポーネント810は一つのマイク(MIC)を含み、端末800が動作モード、例えばコールモード、記録モードと音声識別モードにある場合、マイクは外部オーディオ信号を受信するように構成される。受信されたオーディオ信号はさらにメモリ804に記憶されてもよく、又は通信コンポーネント816を介して送信されてもよい。いくつかの実施例では、オーディオコンポーネント810はさらにオーディオ信号を出力するように構成されるスピーカーを含む。
【0049】
I/Oインタフェース812は処理コンポーネント802と周辺インターフェースモジュールとの間のインタフェースを供給し、上記周辺インタフェースモジュールがキーボード、クリックホイール、ボタンなどであってもよい。これらのボタンはホームボタン、音量ボタン、開始ボタンとロックボタンを含むがこれらに限定されない。
【0050】
センサーコンポーネント814は端末800に各方面の状態評価を供給するように構成された一つ又は複数のセンサーを含む。例えば、センサーコンポーネント814は、端末800のオープン/オフ状態、コンポーネントの相対的な測位、例えば前記コンポーネントが端末800のディスプレイとキーパッドであることを検出することができ、センサーコンポーネント814はさらに端末800又は端末800の一つのコンポーネントの位置変化、ユーザと端末800の接触の有無、端末800の方位又は加速/減速と端末800の温度変化を検出することができる。センサーコンポーネント814はさらにいかなる物理的接触がない時に近くの物体の存在を検出するように構成された近接センサを含むことができる。センサーコンポーネント814はさらに光センサー、例えばイメージングアプリケーションで使用するように構成されたCMOS又はCCD画像センサーを含むことができる。いくつかの実施例では、該センサーコンポーネント814はさらに加速度センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー、圧力センサー又は温度センサーを含むことができる。
【0051】
通信コンポーネント816は端末800と他の装置との間の有線又は無線方式の通信を容易にするように構成される。端末800は通信規格に基づく無線ネットワーク、例えばWiFi、2G又は3G又はそれらの組み合わせにアクセスすることができる。一つの例示的な実施例では、通信コンポーネント816はブロードキャストチャネルを介して外部ブロードキャスト管理システムからのブロードキャスト信号又はブロードキャスト関連情報を受信する。一つの例示的な実施例では、前記通信コンポーネント816はさらに近距離通信を推進するための近距離通信(NFC)モジュールを含む。例えば、NFCモジュールはRF識別(RFID)技術、赤外線データ協会(IrDA)技術、超広帯域(UWB)技術、ブルートゥース(登録商標)(BT)技術と他の技術に基づいて実現されてもよい。
【0052】
例示的な実施例では、端末800は一つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の電子素子によって実現されてもよく、上記方法を実行するように構成される。
【0053】
当業者は明細書を考慮してここで開示された発明を実施した後、本開示の実施例の他の実施形態を容易に想到する。本出願は本開示の実施例のいかなる変形、用途又は適応変化を包含することを意図し、これらの変形、用途又は適応変化が本開示の実施例の一般的な原理に従い且つ本開示の実施例で開示されない本技術分野における公知常識又は慣用技術手段を含む。明細書と実施例が単なる例示的なものとみなし、本開示の実施例の真の範囲及び精神は以下の請求項によって指摘される。
【0054】
理解すべきものとして、本開示の実施例は以上に説明され且つ図面に示された正確な構造に限定されなく、そしてその範囲から逸脱することなく様々な変更及び変形を行うことができる。本開示の実施例の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の実施例による技術的解決策は、以下のような有益な効果を含むことができる。
【0056】
本開示の実施例のアンテナシステムでは、2つのマッチングネットワーク及び2つのRFパスを使用してそれぞれ第一の金属ラジエーター及び第二の金属ラジエーターに接続され、2つのアンテナシステムを形成し、該2つのアンテナシステムが互いのRF信号を効果的に隔離することができ、両者間の相互影響が回避され、アンテナシステムの放射効率が向上する。
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