【課題を解決するための手段】
【0008】
  本発明の目的は、以下を含む、ガラスペインを曲げ加工するための装置によって、本発明に従って達成される:
  −  フレームの形状をした接触面を有する、下部プレス曲げ加工型、
  −  この接触面に向き合わせて配置した、上部プレス曲げ加工型、
  ここで、下部プレス曲げ加工型と、上部プレス曲げ加工型は、(軟化温度に加熱して)これらの間に置いたガラスペインの形を、プレスすることによって変えるために適しており、
  このガラスペインの側端は、接触線に沿って、この接触面上にもたれ掛かっており、
  プレスの間、この接触線は、最初の接触線からプレス線までをずっと移動する(すなわち、この接触線は、接触面上を移動する)。
【0009】
  本発明の目的は、また、以下を含む、ガラスペインを曲げ加工するための方法によって達成される:
  (a)少なくとも、その軟化温度に加熱されたガラスペインを、フレームの形状をした接触面を有する下部プレス曲げ加工型と、この接触面に向き合わせて配置した上部プレス曲げ加工型の間に配置し、かつ最初の接触線に沿って、ガラスペインの側端と、接触面の間の接触を確立すること;
  (b)下部プレス曲げ加工型と、上部プレス曲げ加工型の間で、ガラスペインをプレス曲げ加工すること(すなわち、プレスすることによってガラスペインの形を変えること)、ここで、ガラスペインの側端は、常に、周縁の接触線に沿って、この接触面上にもたれ掛かっており、この接触線は、プレスの間、最初の接触線からプレス線までをずっと移動する。
【0010】
  本発明による装置及び方法を、この装置及び方法の説明及び好ましい実施態様に、同様に言及しながら、以下にあわせて提示する。
【0011】
  本発明によれば、最初の接触線とプレス線の間の接触面は、凸面状に湾曲している。この接触面の凸面状の湾曲は、ガラスペインの湾曲の方向と逆である。したがって、接触面は、いわば、ガラスペインから離れて曲がっており、このことは、ペインの主面が、この接触面と接するようになることを防止する。それどころか、ペインが強い湾曲を有していても、ガラスペインの側端に沿った線状の接触が保証される。特に、その縁部領域に強い湾曲を有し、かつ高い光学品質を有するガラスペインを、本発明による下部プレス曲げ加工型を使って製造することができる。しかしながら、このために、曲げ加工装置及び方法についての複雑な適応は、全く必要とされない。既存の装置の下部プレス曲げ加工型を、本発明によるものに取り換える必要があるだけである。したがって、本発明は、既存のプラント及び工程に容易に組み込むことができる。これらは、本発明の主要な利点である。
【0012】
  本発明による装置は、下部及び上部プレス曲げ加工型を含む。これらのプレス曲げ加工型は、互いに向き合わせて配置され、相補的な作用面又は接触面を有している。ここで、この作用面又は接触面は、これらのプレス曲げ加工型の間で、軟化温度に加熱したガラスペインをプレスすることによって、ガラスペインを、ペインの湾曲を変化させながら所望の形状に曲げ加工するために適している。本発明に照らして、「下部曲げ加工型」とは、ガラスペインの下側の、地面を向いた面と接するか又はそれに対応し、かつこの面に作用する型を意味する。「上部曲げ加工型」との用語は、地面とは反対側を向いているガラスペインの上面と接するか又はそれに対応し、かつこの面に作用する型を意味する。曲げ加工型は、曲げ工具(ベンディング・ツール)と呼ぶこともできる。
【0013】
  下部プレス曲げ加工型は、フレーム状の接触面を有している。ここでの、「接触面」との用語は、プレスの間にガラスペインを支持することが意図されている、地面とは反対側を向いている、実質的に上方を指す面をいう。接触面は、縁によって、特には、それぞれの場合に、フレーム状の様式で周縁に延在する、外縁及び内縁によって範囲を定められる。内縁は、中心を向いており、目的とする用途において、ガラスペインの中心を向いている。外縁は、外側を指しており、目的とする用途において、ガラスペインの中心とは反対側を向いている。曲げ加工工程の間で、ガラスペインと直接接するのは、接触面全体ではなく、最初の支持線とプレス線の間の領域だけである。接触面は、いわゆる「中実型」ではなく、つまり、ガラスペインの大部分と接触することが意図されている中実な曲げ加工型ではない。代わりに、接触面は、フレーム状又はフレームの形状をしており、曲げられるガラスペインの外形に適合していて、それによって、ガラスペインの周縁の側端に接触するのに適するようになっている。このような曲げ加工型は、リング(曲げ加工リング)又はフレーム(フレーム型)とも呼ばれる。ガラスペインの下面は、接触面と直接的には接触せず、その側端だけで接触する。接触面は、必ずしも完全なフレームを形成する必要はなく、不連続なものとすることもできる。接触面は、完全なフレームの形態でも、又は不連続なフレームの形態でも、実施される。
【0014】
  プレス曲げ加工前に、ガラスペインが、最初に、下部又は上部プレス曲げ加工型と接するようになっているかどうかは重要ではない。したがって、ガラスペインを下部プレス加工型の上に置くことができ、その後に、上部プレス曲げ加工型に近付けるようにすることができる。あるいは、ガラスペインを、例えば、吸引又は吹き付けの作用によって、まず上部プレス曲げ加工型で持ち上げ、続いて、下部プレス加工型に近付けるようにすることができる。いずれの場合でも、ガラスペインの側端だけが、下部プレス加工型の接触面と接するようにする。したがって、ガラスペインと接触面の間の直接的な接触は、線状又は線の形状をしており、本発明に照らしてこの線を「接触線」と呼ぶ。接触線は、フレームのように、接触面の周縁で実施される。ガラスペインの形状を変えることを開始する前に、型を互いに近付けるとき、ガラスペインは、接触線に沿って、最初に接触面に接し、この接触線を、本発明に照らして、「最初の接触線」と呼ぶ。実際にプレス曲げ加工を開始し、ペインが形を変えるとすぐに、ガラスペインの側端は、接触面上を移動する。ガラスペインの湾曲が増大する結果、接触線は、フレーム状の接触面の境界となる外縁から離れて、内側に向かって移動する。プレス曲げ加工の完了時に、最終的なペインの形状に達した後で、曲げ加工型が、その最終的な位置に到達したとき、接触線は、最大限に移動して、その最も内側の位置に到達している。本発明に照らして、この接触線を「プレス線」と呼ぶ。接触線は、曲げ加工工程の間に、最初の接触線から出発して、プレス線までをずっと、内側に向かって移動する。
【0015】
  曲げ加工工程全体の間の、ガラスペインと下部曲げ加工型との間の直接的な接触は、常に、接触線に沿った線の形態のみとなる。ペインの下面は、下部曲げ加工型と決して接することはない。ここで、下部曲げ加工型及び地面を向いているガラスペインのその主面を、「ペイン下面」と呼び、その一方、下部曲げ加工型に背を向けて上方を指しているガラスペインのその主面を、「ペイン上面」と呼ぶ。周縁の側端は、ペイン上面とペイン下面の間に延在している。正確に言えば、ペイン下面と側端との間にある境界線は、特に接触面と接触している。
【0016】
  下部プレス曲げ加工型の接触面は、少なくとも、最初の接触線とプレス線の間の領域に、凸面状に湾曲している、少なくとも一つの部分を有している。ガラスペインは、上部プレス曲げ加工型によって、下部プレス曲げ加工型にプレスされ、それによって、ガラスペインの中央が垂れ下がり、かつペインの縁が、ペインの中央に対して上昇する。こうしてガラスペインは曲げられ、これにより、ペイン下面が凸面状に湾曲し、ペイン上面が凹面状に湾曲する。接触面は凸面状に湾曲しており、それによって、接触面の湾曲とガラスペインの湾曲とが、互いに逆の方向であるようになっている。接触面の高さは、外縁から内縁の方向に減少する。したがって、接触面の内側領域は、いわば、ガラスペインから離れて曲がっており、それによって、ペインの湾曲が強い場合であっても、接触面がペインの下面に接することを防止するようになっている。
【0017】
  本発明による湾曲は、必ずしも接触面全体の周縁に存在する必要はない。接触面のある部分のみが、本発明による湾曲を具備しており、その他の領域は通常のように形成することも可能である。このことは、例えば、ガラスペインが、その側端の一部分の領域で強く湾曲しており、その一方で、その側端の残りの領域には、実際に強い湾曲を有していないときに生じ得る。この場合には、本発明による湾曲を、強く湾曲した側端を伴う接触面の領域だけに提供することが有利になり得る。
【0018】
  接触面に要求される湾曲の度合いは、曲げられるガラスペインの形状に実質的に依存し、曲げ工具の計画立案の間に、一般的な技術的計算によって決定することができる。この湾曲は、特に、最終的な曲げ状態であっても、ペイン下面が、接触面と接しないように選択される。この湾曲は、最終的な曲げ状態であっても、ペイン下面が、接触面と接しないように選択される。したがって、ペイン下面と接触面とは、常に、0°よりも大きい角度をなして取り囲んでおり、本発明に照らして、この角度を「クリアランス角」と呼ぶ。ペインの湾曲に起因して、接触線上のそれぞれの接平面を、クリアランス角の正確な決定のために使用しなければならない。プレス線でのガラスペインと接触面との間のクリアランス角は、好ましくは、少なくとも3°、特に好ましくは、少なくとも5°、例えば、5°〜8°である。したがって、ペインの表面と接触面とは、製造の許容誤差を考慮したとしても、十分に離れており、直接的な接触を効果的に排除している。
【0019】
  最初の接触線とプレス線の間の接触面の曲率半径は、有利には、最大で750mm、好ましくは、最大で500mmとすべきである。これらの値によって、曲げられるガラスペインは、一般的な曲率半径を有しながら、良好な結果が達成され、かつ十分なクリアランス角が保証される。
【0020】
  有利な発展形態では、この曲率半径は、最初の接触線からプレス線の方向に、少なくとも部分的に増大し、つまり、この部分の湾曲は、外側から内側の方へ向かって弱くなっている。最初の接触線からプレス線への断面には、したがって、外側から内側の方へ向かって、湾曲がより強くなる、少なくとも一部分の接触面が存在する。その結果、接触面の内縁は、さらに低くなり、ペイン表面と接触面との間の接触のリスクがさらに低減する。最初の接触線とプレス線の間の領域全体で、外側から内側の方へ向かって、曲率半径が増加することが、特に最も有利である。
【0021】
  好ましい実施態様では、最初の接触線とプレス線の間の距離は、2cm〜50cm、好ましくは、5cm〜30cmである。この距離は、最初の接触線とプレス線の間の接触面上の最も短い結合に沿って、特に、これらの2つの線に実質的に垂直に測定される。ここに示した距離によって、特に良好な曲げ加工の結果を得ることができる。
【0022】
  プレス線と接触面の内縁の間の距離は、好ましくは、少なくとも10mm、例えば、10mm〜100mmである。最初の接触線と、接触面の外縁の間の距離は、好ましくは、少なくとも5mm、例えば、5mm〜100mmである。
【0023】
  有利な実施態様では、上部プレス曲げ加工型は、いわゆる「中実型」として実施され、すなわち、表面全体が下方を向いた接触面又は作用面を有している。フレーム曲げ加工型とは異なり、「中実」とも呼ぶことができるそのような作用面は、曲げ加工工程の終わりに、ペイン上面の大部分と、あるいは、ペイン上面の全体と接している。中実な上部プレス曲げ加工型は、フレーム状の下部プレス曲げ加工型に関連して、プレス曲げ加工のために、特に適している。上部プレス曲げ加工型の作用面は、特に、凸面状であり、最終的に曲げられたペインの表面形状に相当する形状を有している。
【0024】
  プレス曲げ加工の場合には、2つのプレス曲げ加工型の接触面は、典型的には、生地で、特に、他の曲げ加工型には一般的であるような、金属含有生地で覆われていない。その代わりに、ガラスペインは、曲げ加工型の金属表面と直接接する。
【0025】
  本発明による装置は、下部及び上部プレス曲げ加工型を、互いの方向に動かすための手段も含む。この手段によって、ガラスペインを曲げ加工のために置いた後で、2つのプレス曲げ加工型を、互いにより近くに移動させ、それによって、この2つの型が一緒に作用し、ガラスペインをプレスするようにされている。下部プレス曲げ加工型、若しくは上部プレス曲げ加工型、又はこれらの両方の鉛直変位を利用して、互いにより近くにもってくることができる。
【0026】
  本発明による装置は、ガラスペインを軟化温度に加熱する手段も含む。典型的には、曲げ加工型は、加熱可能な曲げ加工炉又は加熱可能な曲げ加工チャンバーの内部に配置される。ガラスペインは、加熱のための別個のチャンバー、例えば、トンネル炉を通過させることもできる。
【0027】
  本発明による装置は、曲げられるガラスペインを移動する手段も含み、それによって、ガラスペインを、加熱手段へ移送し、かつ曲げ加工後に再び加熱手段から離すようにされている。したがって、例えば、プレス曲げ加工型を、例えば、ローラー又はコンベアベルトによって動く移送ラック上に、移動できるように積載することができる。あるいは、曲げ加工型を、曲げ加工炉の中に、固定して配置することができ、かつガラスペインを、ローラー又はコンベアベルト上で直接移動させることができる。曲げ加工炉では、ガラスペインを、例えば、上部プレス曲げ加工型から持ち上げることができる。この目的のために、鉛直方向の空気流による上部プレス曲げ加工型への吸引又は吹き込みによって、ガラスペインを、上部プレス曲げ加工型から移動することができる。
【0028】
  有利な実施態様では、ガラスペインを、プレス曲げ加工前に予備曲げ加工し、かつ、本発明による装置は、この予備曲げを生じさせる相応の手段を備えている。予備曲げ加工は、例えば、上部プレス曲げ加工型上へ、軟化したガラスペインを吹き付けることにより行うことができる。あるいは、予備曲げ加工を、重力曲げ加工によって生じさせることもできる。この目的のために、この装置は、好ましくは、内縁及び外縁によって範囲を定められるフレームの形状をした支持表面を有する、重力曲げ加工型を備えている。ガラスペインの一つの縁だけが、支持表面と直接的に接し、その一方で、ガラスペインの大部分は、重力曲げ加工型とは直接的には接しない。ガラスペインの周縁の側端を、支持表面上に配置することができ、あるいは、さらに、ガラスペインの周縁の側端が、部分的に又は周囲に、支持表面を越えて突出することもできる。ガラスペインが軟化温度に加熱されるとき、ガラスペインの中央は、重力の影響を受けて垂れ下がり、かつペインの縁は、ペインの中央に対して上昇し、予備曲げを生じさせる。予備曲げを生じさせる重力曲げ加工と、最終的な曲げのためのプレス曲げ加工とを組み合わせることによって、複雑な形状を有するガラスペインを、高い光学品質で製造することができる。
【0029】
  本発明の装置は、好ましくは、ガラスペインを重力曲げ加工型の上に配置する手段を含み、特に、下方を向いている接触面を有する上部移送型を含む。ガラスペインを、接触面上に吸引し又は吹き付ける。重力曲げ加工型は、移送型の下を移動し(又は、代わりに、移送型が、重力曲げ加工型の上を移動し)、任意に、重力曲げ加工型を移送型の近くにもってきて、そして、吸引又は吹き付けの作用のスイッチを切ることによって、ガラスペインを、重力曲げ加工型の支持表面上に置く。移送型の接触面は、好ましくは、平面であり、その結果、初期状態で平面であるガラスペインを、最適に移送することができる。
【0030】
  この装置は、例えば、特に、ガラスペインを、重力曲げ加工型から下部プレス曲げ加工型へと移動させる手段を含むことができ、例えば、さらなる上部移送型を含むことができる。ガラスペインを上部プレス曲げ加工型に対して吹き付けることによって、ガラスペインを重力曲げ加工型から上昇させ、続いて、この重力曲げ加工型を下部プレス曲げ加工型と交換しつつ、それによって、プレス曲げ加工型の装置を準備することもできる。有利な実施態様では、重力曲げ加工型と下部プレス曲げ加工型は、共通の工具内に組み合わされており、ここで、下部プレス曲げ加工型の接触面は、重力曲げ加工型の支持表面を取り囲んでおり、又はその逆も同様である。下部プレス曲げ加工型の接触面、及び重力曲げ加工型の支持表面は、互いに対して、鉛直変位によって動かすことができ、それによって、重力曲げ加工型の支持表面が、下部プレス曲げ加工型の接触面よりも高いところに配置されている第一の状態と、下部プレス曲げ加工型の接触面が、重力曲げ加工型の支持表面よりも高いところに配置されている第二の状態との間で、変化させることができる。第一の状態において、重力曲げ加工型上で、ガラスペインを予備曲げしたときは、ガラスペインを、道具で持ち上げる必要なく、第二の状態へ移行させることによって、単純な様式で、下部プレス曲げ加工型上へ移送することができる。
【0031】
  好ましくは、重力曲げ加工型は、その上にガラスペインを配置するために適しており、かつ内縁及び外縁を有する、フレームの形状をした支持表面を有している。内縁は、中央を向いており、目的とする用途において、ガラスペインの中央を向いている。外縁は、外側を向いており、目的とする用途において、ペインの縁を向いており、ガラスペインの中心とは反対側を向いている。ガラスペインの周縁の側端を、支持表面上に配置することができ、あるいは、さらに、ガラスペインの周縁の側端は、部分的に又は周囲に、支持表面を越えて突出することもできる。
【0032】
  特に好ましい発展形態では、支持表面は、完全な平面ではなく、部分的に湾曲している。支持表面は、外側領域、中央領域、及び内側領域を有している。これらの領域は、外側領域が中央領域を取り囲み、次に、中央領域が内側領域を取り囲みながら、フレーム状のものとして実施することもできる。外側領域が、外縁と向き合い;内側領域が、内縁と向き合い;かつ中央領域が、外側領域と内側領域の間に配置されている。本発明の重力曲げ加工型の断面では、これらの領域を、支持表面の外縁と内縁の間で識別することができ、外縁から出発して、内縁の方向に、まず外側領域、次に中央領域、それから内側領域が配置されている。
【0033】
  支持表面の外側領域は平面であり、かつ水平に配置されている。中央領域は、平面であるか、又は(好ましくは、凸面状に)わずかに湾曲していてよく、かつ内側に向かって、つまり内縁に向かって傾斜している。対照的に、内側領域は、重力曲げ加工工程の間に生じるガラスペインの湾曲とは逆の方向に、比較的強い湾曲を有している。ペインの中央が、重力の影響を受けて垂れ下がり、ペインの縁が、ペインの中央に対して持ち上げられるので、ガラスペインは、重力曲げ加工の間に曲がり、それによって、ペインの下面は、凸面状に湾曲し、ペインの上面は、凹面状に湾曲する。したがって、本発明による支持表面の内側領域は、凸面状に湾曲しており、それによって、この第二の領域(内側領域)の湾曲と、ガラスペインの湾曲とが、互いに逆方向になるようにされている。この支持表面の形状は、ガラスペインが、支持表面の縁の上だけにもたれ掛かることを防止する。その代わりに、ガラスペインは、最初は外側領域に平らに載っており;かつ、曲げ加工の開始後には、中央領域に平らに載っている。したがって、厄介な型傷が付くリスクを、効果的に回避することができる。ガラスペインは、また、支持表面の内縁と接するようにはなっておらず、このことは、強く湾曲した内側領域によって保証されている。そして、内縁とガラスペインとの間の接触がないことによって、ガラスペインに型傷が付くことを回避することができる。
【0034】
  内側領域は、中央領域よりも強く湾曲しており、すなわち、内側領域は、より小さな曲率半径を有している。内側領域の湾曲は、特に、最終的な曲げ状態で、ガラスペインが内縁と接しないように選択される。
【0035】
  好ましい実施態様では、内側領域の曲率半径は、最大で200mm、特に好ましくは、20mm〜100mmである。中央領域の曲率半径は、好ましくは、少なくとも200mm、特に好ましくは、少なくとも400mmである。これらの条件下で、通常のペインの曲げ加工で、特に良好な結果が得られる。
【0036】
  支持表面は、好ましくは、3cm〜20cm、特に好ましくは、5cm〜15cmの幅を有する。このような幅は、重力曲げ加工型の支持表面にとっては通常のものである。「幅」との用語は、外縁と内縁の間の最短の結合に沿った、特に、実質的にこれらの2つの縁に垂直な支持表面の寸法を指す。中央領域の幅は、好ましくは、支持表面の幅の少なくとも50%、特に好ましくは、少なくとも70%、最も特に好ましくは、80%〜90%である。支持表面の平面な外側領域の幅は、少なくとも5mm、好ましくは、5mm〜20mmとすべきである。支持表面の湾曲した内側領域の幅は、少なくとも2mm、好ましくは、2mm〜10mmとすべきである。
【0037】
  重力曲げ加工型の支持表面は、生地、特に、金属含有生地で覆われていてよい。このことは、一方で、生地を当てることで、型傷が付くリスクをさらに低下させ、他方で、断熱することで、重力曲げ加工型によるガラスペインの冷却を低減することに役立つ。
【0038】
  本発明はまた、ガラスペインを曲げ加工するための配置を含み、この配置は、本発明による装置、及び下部プレス曲げ加工型と上部プレス曲げ加工型の間に設置されたガラスペインを含む。
【0039】
  プレス曲げ加工後に、ガラスペインを冷却し、これは、所望の任意の様式で行うことができる。冷却を、ペインを移送した別の型上で行うこともできる。冷却は、室温で、又は能動的な冷却によって行うことができる。本発明による重力曲げ加工型及び本発明による方法は、一般的であるような、曲げられ、プレストレスを与えられたガラスペイン、例えば、自動車のサイドウィンドウ又はリアウィンドウとしてのガラスペインを製造するために、特に適している。したがって、好ましい実施態様では、ガラスペインは、迅速な冷却によって、曲げ加工後に、熱的にプレストレスを与えられている。この目的のために、ガラスペインは、曲げ加工後に、いわゆる「強化処理(テンパリング)フレーム」へ移送され、プレストレス工程の間、このフレーム上で保管される。
【0040】
  曲げられるガラスペインは、ウィンドウペインにとって通常であるように、好ましくは、ソーダ石灰ガラスを含む。しかしながら、その他の種類のガラスを含んでいてもよく、例えば、ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスを含むことができる。ガラスペインの厚さは、典型的には、0.5mm〜10mm、好ましくは、1mm〜5mmである。ガラスペインを曲げ加工するための典型的な温度は、500℃〜700℃であり、ソーダ石灰ガラスでできたペインの曲げ加工では、特に、おおよそ650℃である。
【0041】
  本発明は、また、陸上、空中、又は水上を移動するための、移動手段用のガラスペインをプレス曲げ加工するための、好ましくは、鉄道乗り物又は自動車のウィンドウペインをプレス曲げ加工するための、特に、乗用車のリアウィンドウ、サイドウィンドウ、又はルーフパネルをプレス曲げ加工するための、本発明による装置の使用を含む。本発明による方法によって曲げられたガラスペインは、好ましくは、陸上、空中、又は水上を移動するための、移動手段用に使用され、特に好ましくは、鉄道乗り物又は自動車のウィンドウペインとして、特に、乗用車のリアウィンドウ、サイドウィンドウ、又はルーフパネルとして使用される。
【0042】
  以下に、図面及び例示的な実施態様を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図面は概略的な描写であって、正確な縮尺ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。