(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品は、1つ以上の粒子を更に含み、前記1つ以上の粒子は、活性剤含有粒子であり、前記1種以上の活性剤及び前記活性剤含有粒子は、それぞれ界面活性剤を含み、前記粒子中の界面活性剤及び前記繊維要素内の界面活性剤は、互いに異なる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語の定義
本明細書で使用するとき、「繊維構造体」は、1つ以上の繊維要素、及び任意に1つ以上の粒子を含む構造体を意味する。一実施例では、本開示による繊維構造体は、機能を実行することが可能な、一体型構造体など構造体を共に形成する繊維要素、及び任意に粒子の結合体を意味する。
【0011】
本開示の繊維構造体は、均質であってよい、又は層状であってよい。層状である場合、繊維構造体は、少なくとも2つ及び/又は少なくとも3つ及び/又は少なくとも4つ及び/又は少なくとも5つ、例えば、1種又は複数の繊維要素層、1種又は複数の粒子層、及び/又は1種又は複数の繊維要素/粒子混合層を含み得る。層は、繊維構造体内又は繊維構造体内の繊維要素層間に粒子層を含んでよい。繊維要素を含む層は、プライと呼ばれる場合がある。プライは、本明細書に記載のように、均質であっても層状であってもよい繊維構造体であってよい。
【0012】
一実施例では、本開示による単プライ繊維構造体又は本開示による1つ以上の繊維構造体プライを含む多プライ繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定されるとき、5000g/m
2未満の坪量を示し得る。一実施例では、本開示による単プライ又は多プライ繊維構造体は、坪量試験法に従って測定されるとき、10g/m
2超〜約5000g/m
2、及び/又は10g/m
2超〜約3000g/m
2、及び/又は10g/m
2超〜約2000g/m
2、及び/又は10g/m
2超〜約1000g/m
2超、及び/又は20g/m
2〜約800g/m
2、及び/又は30g/m
2〜約600g/m
2、及び/又は50g/m
2超〜約500g/m
2超、及び/又は300g/m
2超〜約3000g/m
2、及び/又は500g/m
2超〜約2000g/m
2超の坪量を示し得る。
【0013】
一実施例では、本開示の繊維構造体は、「一体型繊維構造体」である。
【0014】
本明細書で使用するとき、「一体型繊維構造体」は、互いに絡み合って又は別の方法で互いに結合して繊維構造体及び/又は繊維構造体プライを形成する、2つ以上及び/又は3つ以上の複数の繊維要素を含む配置である。本開示の一体型繊維構造体は、多プライ繊維構造体内の1つ以上のプライであってよい。一実施例では、本開示の一体型繊維構造体は、3つ以上の異なる繊維要素を含み得る。別の実施例では、本開示の一体型繊維構造体は、2つ以上の異なる繊維要素を含み得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、「物品」は、消費者用ユニット、消費者用単位用量ユニット、消費者用販売可能ユニット、単回用量ユニット、又は一体型繊維構造体を含む、及び/若しくは本開示の1つ以上の繊維構造体を含む他の使用形態を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「繊維要素」は、長さがその平均直径を大きく上回る、すなわち、長さの平均直径に対する比が少なくとも約10である、細長い粒子を意味する。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。1つの例では、繊維要素は、複数の繊維要素を含む糸ではなく、単一の繊維要素である。
【0017】
本開示の繊維要素は、好適な紡糸プロセス操作(例えばメルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡糸など)によって、繊維要素形成組成物とも呼ばれるフィラメント形成組成物から紡糸されてよい。
【0018】
本開示の繊維要素は、1成分(コア/シース2成分のような2つの異なる部品ではなく単一の一体型固体片)及び/又は多成分であってよい。例えば、繊維要素は、二成分繊維及び/又はフィラメントを含んでよい。二成分繊維及び/又はフィラメントは、サイドバイサイド(side-by-side)型、芯鞘型、海島型などの任意の形態であり得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、「フィラメント」は、長さ5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上を示す上記のような細長い微粒子を意味する。
【0020】
フィラメントは、典型的には、本質的に連続であるか又は実質的に連続であるとみなされる。フィラメントは、相対的に繊維より長い。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローンフィラメント及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸することができるポリマーの非限定的な例としては、例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えば、レーヨン及び/又はリヨセル)、セルロース誘導体、ヘミセルロース、及びヘミセルロース誘導体などの天然ポリマー、並びにポリビニルアルコール、熱可塑性ポリマーフィラメント、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンフィラメント、及びポリエチレンフィラメント)、並びに生分解性熱可塑性繊維、例えば、ポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントが挙げられるが、これらに限定されない合成ポリマーが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「繊維」は、5.08cm(2インチ)未満、及び/又は3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は2.54cm(1インチ)未満の長さを示す上記のような細長い粒子を意味する。
【0022】
典型的には、繊維は、本質的に不連続とみなされる。繊維の非限定的な例には、本開示のフィラメント又はフィラメントトウを紡糸し、その後フィラメント又はフィラメントトウを5.08cm(2インチ)未満の断片に切断することにより生産された短繊維が挙げられる。
【0023】
一実施例では、フィラメントが、より短い長さ(5.08cm未満の長さなど)に切断される場合など、本開示のフィラメントから1つ以上の繊維が形成され得る。したがって、一実施例では、本開示は、本開示のフィラメントから製造される繊維、例えば1種以上のフィラメント形成材料及び1種以上の添加剤(活性剤など)を含む繊維も含む。したがって、本明細書に記載の本開示のフィラメントへの言及は、特に指定しない限り、かかるフィラメントから製造される繊維も含む。繊維は、典型的には、本質的に連続しているとみなされるフィラメントに対して、本質的に不連続であるとみなされる。
【0024】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本開示の繊維要素を製造するのに好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1種以上のフィラメント形成材料を含み、それらの材料は、それらを繊維要素へと紡糸するために好適なものにさせる特性を示す。一実施例では、フィラメント形成材料は、ポリマーを含む。1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の添加剤(例えば1つ以上の活性剤)を含んでもよい。更に、フィラメント形成組成物は、1つ以上の極性溶媒(例えば水)を含んでもよく、この極性溶媒中に、1つ以上(例えば全て)のフィラメント形成材料及び/又は1つ以上(例えば全て)の活性剤が、繊維要素(フィラメント形成組成物由来のフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解され及び/又は分散されていてもよい。
【0025】
図1に示されるような一実施例では、繊維要素、例えば本開示の繊維要素形成組成物から製造される本開示のフィラメント10は、1種以上の添加剤12、例えば1種以上の活性剤、繊維要素及び/又は粒子中の活性剤と同じであっても異なっていてもよい1種以上の活性剤を含むコーティング組成物などが、フィラメント上ではなくフィラメント内に存在してよい。繊維要素形成材料の総濃度、及び繊維要素形成組成物中に存在する活性剤の総濃度は、本開示の繊維要素が、それから製造される限り、任意の好適な量であってよい。
【0026】
1つの例では、1種又は複数種の添加剤、例えば、活性剤は、繊維要素中に存在してもよく、1種又は複数種の追加の添加剤、例えば、活性剤は、繊維要素の表面上に存在してもよい。別の例では、本開示の繊維要素は、元々製造時には繊維要素中に存在するが、繊維要素の目的とする使用条件に曝される前及び/又は曝されたときに、繊維要素の表面にブルームする1種以上の添加剤、例えば、活性剤を含んでよい。
【0027】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成材料」及び/又は「繊維要素形成材料」は、繊維要素を製造するのに好適な特性を示すポリマー、又はポリマーを製造することができるモノマーなどの材料を意味する。一実施例では、フィラメント形成材料は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び/又は非イオン性のポリマーなどの、1種以上の置換ポリマーを含む。他の実施例では、ポリマーは、例えばポリビニルアルコール(「PVOH」)などのヒドロキシルポリマー、部分加水分解したポリ酢酸ビニル、及び/又は多糖(例えばデンプン)、及び/又はデンプン誘導体(例えばエトキシル化デンプン)、及び/又は酸希釈デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースを含んでもよい。別の例では、ポリマーは、ポリエチレン及び/又はテレフタレートを含み得る。更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、極性溶媒可溶性材料である。
【0028】
本明細書で使用するとき、「粒子」は、粉末、顆粒、カプセル、マイクロカプセル、及び/又はプリルなどの固体添加剤を意味する。一実施例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、2000μm以下の中央粒径を示す。別の実施例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、約1μm〜約2000μm、及び/又は約1μm〜約1600μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。粒子の形状は、球状、棒状、皿状、管状、四角形、矩形、円盤状、星状、繊維状であってもよく、規則的な又は不規則なランダム形状を有していてもよい。
【0029】
「活性剤含有粒子」とは、本明細書で使用するとき、1種又は複数の活性剤を含む固体添加剤を意味する。1つの例では、活性剤含有粒子は、粒子の形態の活性剤である(言い換えれば、粒子は、100%活性剤を含む)。活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、2000μm以下の中央粒径を示し得る。別の例では、活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、約1μm〜約2000μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。1つの例では、1種又は複数の活性剤は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、20μm以下の中央粒径を示す粒子の形態である。
【0030】
本開示の一実施例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば活性剤含有粒子と、複数の繊維要素と、を、1:100以上、及び/又は1:50以上、及び/又は1:10以上、及び/又は1:3以上、及び/又は1:2以上、及び/又は1:1以上、及び/又は2:1以上、及び/又は3:1以上、及び/又は4:1以上、及び/又は5:1以上、及び/又は7:1以上、及び/又は8:1以上、及び/又は10:1以上、及び/又は約10:1〜約1:100、及び/又は約8:1〜約1:50、及び/又は約7:1〜約1:10、及び/又は約7:1〜約1:3、及び/又は約6:1〜1:2、及び/又は約5:1〜約1:1、及び/又は約4:1〜約1:1、及び/又は約3:1〜約1.5:1の粒子、例えば活性剤含有粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0031】
本開示の別の実施例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子と、複数の繊維要素と、を、約10:1〜約1:1、及び/又は約8:1〜約1.5:1、及び/又は約7:1〜約2:1、及び/又は約6:1〜約2.5:1の粒子、例えば活性剤含有粒子と対繊維要素との重量比で含む。
【0032】
本開示の更に別の実施例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子と、複数の繊維要素と、を、約1:1〜約1:100、及び/又は約1:15〜約1:80、及び/又は約1:2〜約1:60、及び/又は約1:3〜約1:50、及び/又は約1:3〜約1:40の粒子、例えば活性剤含有粒子と繊維要素との重量比で含む。
【0033】
別の実施例では、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定されるとき、1g/m
2超、及び/又は10g/m
2超、及び/又は20g/m
2超、及び/又は30g/m
2超、及び/又は40g/m
2超、及び/又は約1g/m
2から約5000g/m
2まで、及び/又は約3500g/m
2まで、及び/又は約2000g/m
2まで、及び/又は約1g/m
2〜約2000g/m
2、及び/又は約10g/m
2〜約1000g/m
2、及び/又は約10g/m
2〜約500g/m
2、及び/又は約20g/m
2〜約400g/m
2、及び/又は約30g/m
2〜約300g/m
2、及び/又は約40g/m
2〜約200g/m
2の坪量で複数の粒子、例えば活性剤含有粒子を含む。一実施例では、繊維構造体は、粒子、例えば活性剤含有粒子の2つ以上の層を含み、例えば、粒子の各層は、約1g/m
2〜約500g/m
2の坪量で存在する。一実施例では、複数の粒子は、多プライ物品内の2つ以上のプライ内の物品に存在する。一実施例では、複数の粒子は、多プライ物品内の2つ以上のプライ間の物品に存在する。別の実施例では、複数の粒子は、多プライ物品内の2つ以上のプライ間の物品内の粒子層として、物品に存在する。
【0034】
別の実施例では、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定されるとき、1g/m
2超、及び/又は10g/m
2超、及び/又は20g/m
2超、及び/又は30g/m
2超、及び/又は40g/m
2超、及び/又は約1g/m
2から約5000g/m
2まで、及び/又は約1g/m
2から約3000g/m
2まで、及び/又は約10g/m
2から約5000g/m
2まで、及び/又は約3000g/m
2まで、及び/又は約2000g/m
2まで、及び/又は約20g/m
2〜約2000g/m
2まで、及び/又は約30g/m
2〜約1000g/m
2、及び/又は約30g/m
2〜約500g/m
2、及び/又は約30g/m
2〜約300g/m
2、及び/又は約40g/m
2〜約100g/m
2、及び/又は約40g/m
2〜約80g/m
2の坪量で複数の繊維要素を含む。1つの例では、繊維構造体は、繊維要素が約1g/m
2〜約500g/m
2の坪量で層の少なくとも1つに存在する、2つ以上の層を含む。一実施例では、複数の繊維要素は、多プライ物品内の2つ以上のプライ内の物品に存在する。
【0035】
本明細書で使用するとき、「添加剤」は、本開示の繊維要素内に存在し、フィラメント形成材料ではない任意の材料を意味する。1つの例では、添加剤は、活性剤を含む。別の例では、添加剤は、加工助剤を含む。更に別の例では、添加剤は、充填剤を含む。1つの例では、添加剤は、繊維要素中に存在する任意の材料であって、その材料が繊維要素に存在しなくとも、繊維要素の繊維要素構造は損なわれない(言い換えれば、その材料が存在しなくとも、繊維要素の固体形態は損なわれない)材料を含む。別の例では、添加剤、例えば、活性剤は、非ポリマー材料を含む。
【0036】
他の実施例では、添加剤は繊維要素のための可塑剤を含んでいてもよい。本開示に好適な可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、及びジメチコンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、ラクチトール、並びに他の一価及び多価低分子量アルコール(例えば、C2〜C8アルコール);単糖、二糖、及びオリゴ糖、例えば、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固体、及びデキストリン、並びにアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
1つの例では、可塑剤としては、グリセリン、及び/又はプロピレングリコール、及び/又はプロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体が挙げられる。更に別の例では、可塑剤は、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリシドール、尿素、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、糖類、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
他の実施例では、添加剤は、剪断力変性剤及び/又は伸長変性剤などのレオロジー変性剤を含んでいてもよい。レオロジー変性剤の非限定的な例としては、本開示の繊維要素中で使用され得るポリアクリルアミド、ポリウレタン、及びポリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。レオロジー変性剤の非限定的な例は、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0039】
更に別の実施例では、添加剤は、繊維要素が目的とされる使用条件に曝された際に、及び/又は活性剤が繊維要素から放出された際に、及び/又は繊維要素の形態が変化した際に、視覚的な信号を提供するために、本開示の繊維要素内に組み込まれる1つ以上の色及び/又は染料を含んでよい。
【0040】
更に他の実施例では、添加剤には1つ以上の剥離剤及び/又は潤滑剤が含まれていてもよい。好適な離型剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、脂肪アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例では、剥離剤及び/又は潤滑剤は繊維要素に適用してもよく、換言すれば、繊維要素形成後に、適用してもよい。一実施例では、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、回収装置で繊維要素を回収して繊維構造体を形成する前に、繊維要素に適用されてよい。別の実施例では、1種以上の剥離剤/潤滑剤は、繊維構造体の積層体など1つ以上の繊維構造体を接触させる前に、本開示の繊維要素から形成された繊維構造体に適用してよい。更に別の例では、繊維要素及び/若しくは繊維構造体の剥離を促進するために、並びに/又は本開示の繊維要素及び/若しくは繊維構造体のプライが互いにくっつくのを、更には意図せずにくっつくのを避けるために、繊維要素及び/又は繊維構造体が表面(例えば、加工システムにおいて使用される装置の表面)と接触する前に、本開示の繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体に、1種以上の剥離剤/潤滑剤を適用してよい。1つの例では、離型剤/潤滑剤は、微粒子を含む。
【0041】
更に他の実施例では、添加剤は1つ以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含んでいてもよい。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定的な例としては、デンプン、デンプン誘導体、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「意図される使用条件」は、本開示の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体をその設計用途の1つ以上のために使用するときに曝される温度条件、物理的条件、化学的条件、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が、洗濯物ケアの目的で洗濯機において使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、洗濯洗浄操作中の、任意の洗浄水を含む、洗濯機内に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。別の実施例では、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が、ヘアケア目的のためにシャンプーとしてヒトによって使用されるように設計されている場合、目的とする使用条件は、ヒトの毛髪のシャンプー中に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。同様に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が、手又は食器洗浄機による食器洗浄操作において使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、食器洗浄操作中の食器洗浄水及び/又は食器洗浄機中に存在する、温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。
【0043】
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は本開示の繊維要素を含む繊維構造体の外部の環境において、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体の意図される使用条件に曝される場合に、意図した効果を生じさせる添加剤を意味する。1つの例では、活性剤は、表面、例えば、硬質表面(すなわち、キッチンのカウンター、バスタブ、トイレ、便器、シンク、床、壁、歯、車、窓、鏡、皿)及び/又は軟質表面(すなわち、布地、毛髪、皮膚、カーペット、作物、植物)を処理する添加剤を含む。別の実施例では、活性剤は、化学反応(すなわち、発泡(foaming)、泡立ち、発泡(effervescing)、着色、加温、冷却、起泡、消毒、及び/又は浄化、及び/又は塩素化、例えば、水の浄化、及び/又は水の消毒、及び/又は水の塩素化)を生じさせる添加剤を含む。更に別の例では、活性剤は、環境を処理する(すなわち、空気を脱臭する、浄化する、芳香を付する)添加剤を含む。一実施例では、活性剤は、活性剤を含有する繊維要素及び/又は粒子の形成中などで、その場で形成され、例えば繊維要素及び/又は粒子は、水溶性ポリマー(例えばデンプン)及び界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤)を含んでもよい。水溶性ポリマー及び界面活性剤は、布地の表面を処理するのに使用される活性剤として機能する高分子錯体、又はコアセルベートを作り出すことができる。
【0044】
「処理する」は、表面の処理に関して本明細書で使用するとき、活性剤が、表面又は環境に利益をもたらすことを意味する。処理としては、表面又は環境の外観、清浄度、匂い、純度、及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善が挙げられる。1つの例では、ケラチン性組織(例えば、皮膚及び/又は毛髪)表面の処理に関する処理とは、ケラチン性組織の美容上の外観及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善を意味する。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪(ケラチン性組織)の条件の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するための、皮膚、毛髪、又は爪の肥厚化(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(例えば、皮下脂肪又は筋肉)層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹の角質層の構築)、真皮−表皮の境界(乳頭間隆起としても既知)の回旋の増加、弾性線維症、たるみ、皮膚若しくは毛髪の変形からの回復の喪失などの、皮膚又は毛髪の弾性の喪失(機能的皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活性化)の防止、目の下のくま、しみ(例えば、酒さなどによる不均一な赤味)(以降では「赤斑」と称される)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症若しくはクモ状血管によって引き起こされる変色、及び白髪などの、皮膚、毛髪、又は爪の色のメラニン性変化若しくは非メラニン性変化の防止が挙げられる。処理は、洗濯機における洗浄又は柔軟化中に布地に利益を提供すること、毛髪のシャンプー、コンディショニング、若しくは着色中に毛髪に利益を提供すること、又は洗浄若しくは消毒によって便器のような環境に利益を提供することを含んでよい。
【0045】
別の例では、処理は、布地物品(例えば、衣類、タオル、リネン)及び/又は硬質表面(例えば、カウンター及び/又は深鍋及び平鍋などの食器)から染み及び/又は臭いを除去することを意味する。
【0046】
本明細書で使用するとき、「布地ケア活性剤」は、布地に適用したときに、その布地に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。布地に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、洗浄(例えば、界面活性剤によって)、染み除去、染み低減、しわ除去、色回復、静電気制御、しわ耐性、パーマネントプレス、磨耗減少、磨耗耐性、毛玉取り、毛玉耐性、汚れ除去、汚れ耐性(汚れ放出を含む)、形状保持、縮み低減、柔軟性、芳香、抗菌、抗ウイルス、防臭、及び臭い除去が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用するとき、「食器洗浄用活性剤」は、食器、ガラス製品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートに適用したときに、食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、及び/又はクッキングシートに、利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。食卓用食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートへの利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食物及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば界面活性剤による)染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、ガラス及び金属ケア、衛生化、輝き、並びに研磨が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用するとき、「硬質表面用活性剤」は、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに適用したときに、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食品及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば、界面活性剤による)、染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、石鹸かすの除去、消毒、光沢、研磨、及びフレッシュニングが挙げられる。
【0049】
本明細書で使用するとき、「ケラチン性組織活性剤」は、ケラチン組織(例えば、毛髪、皮膚、又は爪)条件の処置に有用であり得る活性剤を意味する。ヘアケア活性剤の場合、「処置している(treating)」又は「処置(treatment)」又は「処置する(treat)」とは、ケラチン性組織の美容的外見及び/又は感触を調節する及び/又は即座に改善することを含む。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪の状態の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するために、皮膚、毛髪、又は爪を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(sub-dermal)[例えば、皮下脂肪又は筋肉]層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹のケラチン性層の構築);真皮−表皮の境界の回旋(convolution)(乳頭間隆起としても知られている)の増加;弾力線維症、たるみ、変形による皮膚又は毛髪の反跳の喪失全て、皮膚又は毛髪の弾性喪失(機能性皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活化)の予防;目の下のクマなどの皮膚、毛髪、又は爪の着色におけるメラニン又は非メラニン変化、斑点(例えば、酒さなどによる不均一な赤い着色)(以後「赤色斑点」と称する)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管、及び白髪により引き起こされる変色が挙げられる。ケラチン性組織活性剤の別の例は、毛髪のシャンプー、コンディショニング、又は染色に使用される活性剤であり得る。
【0050】
本明細書で使用するとき、「重量比」は、乾燥基準での2つの材料間の比率を意味する。例えば、繊維要素中のフィラメント形成材料と活性剤との重量比とは、繊維要素中の乾燥重量基準のフィラメント形成材料の重量(g又は%)と、繊維要素中の乾燥重量基準の添加剤(例えば活性剤)の重量(g又は%−フィラメント形成材料の重量と同じ単位)との比率である。別の実施例では、繊維構造体中の粒子と繊維要素との重量比とは、繊維構造体中の乾燥重量基準の粒子の重量(g又は%)と、繊維壁材中の乾燥重量基準の繊維要素の重量(g又は%−粒子の重量と同じ単位)との比率である。
【0051】
本明細書で使用するとき、「水溶性材料」は、水に混和性である材料を意味する。言い換えれば、周囲条件で、水と、安定した(均質な液を形成した後、5分超にわたって分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
【0052】
本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、約23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。
【0053】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」は、Colloids and Surfaces A.Physico Chemical&Engineering Aspects,Vol.162,2000,p.107−121に見出されるプロトコルに従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される重量平均分子量を意味する。
【0054】
本明細書で使用するとき、「物品寸法」は、物品の長さ、幅、高さ、質量、体積、密度などを指す。
【0055】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「長さ」は、一方の末端から他方の末端までの繊維要素の最長軸に沿った長さを意味する。繊維要素が内部にねじれ、丸まり、又は曲がりを有する場合、長さは一方の末端からもう一方の末端までの繊維要素の全経路に沿った長さになる。物品の寸法に関して、「長さ」は、異なって定義されてよい。例えば、不規則形状の物品に関して、長さは、物品の境界に接する2つの平行平面間の最長距離である最大フェレ径又はキャリパ径を指す。例えば、直線形状の物品の場合、長さは、一方の縁部から反対側の縁部までの距離を指す。一実施例では、10個の実質的に類似の複製物品を測定し、10個の個々の物品の長さ測定値の平均を集計し、値を0.01cm単位で報告することによって、平均長さが提供され得、個々の物品の長さ測定値は、較正され、NISTトレーサブルであり、0.01cm単位で測定可能な任意の適切な器具によって測定され得る。
【0056】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される。一実施例では、本開示の繊維要素は、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を示す。
【0057】
物品寸法に関して本明細書で使用するとき、「幅」は、その従来の定義に従った測定値を指してよい。例えば、直線形状の物品の場合、幅は、一方の縁部から反対側の縁部までの距離を指す。しかしながら、不規則形状の物品に関して、幅は、物品の境界に接する2つの平行平面間の最長距離である最大フェレ径又はキャリパ径を指す。一実施例では、10個の実質的に類似の複製物品を測定し、10個の個々の物品の幅の測定値の平均を集計し、値を0.01cm単位で報告することによって、平均幅が提供され得、個々の物品の幅の測定値は、較正され、NISTトレーサブルであり、0.01cm単位で測定可能な任意の適切な器具によって測定され得る。
【0058】
物品寸法に関して本明細書で使用するとき、「高さ」は、その従来の定義に従った測定値を指してよい。物品の高さ又は厚さは、例えば、本明細書に記載の厚さ試験法によって測定され得る。
【0059】
物品寸法に関して本明細書で使用するとき、「体積」は、その従来の定義に従った測定値を指してよい。例えば、物品の体積は、物品の長さ及び幅の平面に直交して見て、物品の投影面積を測定し、物品の高さをこの面積に乗じることによって計算され得る。一実施例では、10個の実質的に類似の複製物品を測定し、10個の個々の物品の体積の測定値の平均を集計し、値を0.01cc単位で報告することによって、平均体積が提供され得る。
【0060】
物品に関して本明細書で使用するとき、「質量」は、その従来の定義に従った測定値を指してよい。例えば、物品の質量は、±0.01gの分解能を有する上皿化学天秤を使用して測定され得、天秤は、風防によって、気流及び他の外乱から保護される。物品の調整後、物品の質量は0.01g単位で測定され得る。一実施例では、10個の実質的に類似の複製物品を測定し、10個の個々の物品の質量の測定値の平均を集計し、値を0.01g単位で報告することによって、平均質量が提供され得る。
【0061】
物品に関して本明細書で使用するとき、「密度」は、その従来の定義に従った測定値を指してよく、したがって、密度は、物品の質量をその体積で割ることによって計算され得る。一実施例では、密度は、0.01g/cc単位で報告され得る。
【0062】
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、一実施例において、刺激として機能し、本開示の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体において変化(例えば、繊維要素の、及び/若しくは繊維構造体の物理的構造の喪失若しくは変化、並びに/又は活性剤などの添加剤の放出)を開始させる又は引き起こす作用又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の実施例では、誘発条件は、本開示の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を水に添加したときに、環境(例えば水など)中に存在していてもよい。言い換えれば、本開示の繊維要素及び/又は繊維構造体が水に添加されたという事実を除いて、水中で変化は生じない。
【0063】
繊維要素の、及び/又は粒子の形態変化に関して本明細書で使用するとき、「形態変化」とは、繊維要素が、その物理的構造の変化を経験することを意味する。本開示の繊維要素及び/又は粒子の形態変化の非限定的な例としては、溶解、融解、膨張、収縮、粉砕、破裂、延長、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本開示の繊維要素及び/又は粒子は、意図される使用条件に曝される場合に、その繊維要素及び/又は粒子の物理的構造を完全に、又は実質的に失ってもよく、又はその形態が変化してもよく、又はその繊維要素又は粒子の物理的構造を保持するか、又は実質的に保持してよい。
【0064】
「乾燥繊維要素基準での重量」、及び/又は「乾燥粒子基準での重量」、及び/又は「乾燥繊維構造体基準での重量」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体がそれぞれ温度23℃±1.0℃及び相対湿度50%±10%に調整された室内で2時間調整された直後にそれぞれ測定された繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体の重量を意味する。一実施例では、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体での重量は、本明細書に記載の含水率試験法により測定されるとき、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体の乾燥重量に基づいて、20重量%未満、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は7重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は0重量%、及び/又は0重量%超の水分(水(例えば、遊離水)など)を含むことを意味する。
【0065】
本明細書で使用するとき、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体中に存在する1種以上の活性剤の総濃度に関して本明細書で使用するとき、「総濃度」は、被験材料(例えば、活性剤)の全ての重量又は重量%の合計を意味する。換言すれば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体中に存在する活性剤の総濃度が、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で50重量%超、すなわち55重量%になるように、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で25重量%のアニオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で15重量%の非イオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で10重量%のキレートと、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で5重量%の香料と、を含んでよい。
【0066】
本明細書で使用するとき、「繊維構造体製品」は、1種以上の活性剤(例えば、布地ケア活性剤、食器洗浄用活性剤、硬質表面用活性剤、及びこれらの組み合わせ)を含む固体形態(例えば、時にシートと称する矩形の固体)を意味する。一実施例では、本開示の繊維構造体製品は、1種以上の界面活性剤、1種以上の酵素(小粒酵素の形態など)、1種以上の香料、及び/又は1種以上の抑泡剤を含む。別の実施例では、本開示の繊維構造体製品は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の実施例では、本開示の繊維構造体製品は、漂白剤(カプセル化された漂白剤など)を含む。
【0067】
本明細書で使用するとき、「異なる形態」又は「異なる」は、材料(繊維要素全体、及び/又は繊維要素内のフィラメント形成材料、及び/又は繊維要素内の活性剤など)に関して、1つの材料(繊維要素、及び/又はフィラメント形成材料、及び/又は活性剤など)が、化学的、物理的、及び/又は構造的に他の材料(繊維要素、及び/又はフィラメント形成材料、及び/又は活性剤など)と異なることを意味する。例えば、フィラメント形態のフィラメント形成材料は、繊維形態の同じフィラメント形成材料とは異なる。同様に、デンプンポリマーは、セルロースポリマーとは異なる。しかし、分子量の異なるデンプンなど、異なる分子量の同じ物質は、本開示の目的において、互いに異なる物質ではない。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「ポリマーのランダム混合体」は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料がランダムに結合して、繊維要素を形成していることを意味する。その結果、シースコア型の2成分の繊維要素など、規則正しく結合して繊維要素を形成する2種以上の異なるフィラメント形成材料は、本開示の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダム混合物ではない。
【0069】
繊維要素及び/又は粒子に関して本明細書で使用するとき、「結合する(Associate)」、「結合される(Associated)」、「結合体(Association)」、及び/又は「結合している(Associating)」は、繊維構造体が形成されるように、繊維要素及び/又は粒子を直接接触又は間接接触によって組み合わせることを意味する。1つの例では、結合される繊維要素及び/又は粒子は、例えば、接着剤及び/又は熱接着によって互いに接着され得る。別の例では、繊維要素及び/又は粒子は、ベルト及び/又はパターン付ベルトを作製する同一の繊維構造体上に付着させることによって互いに結合され得る。
【0070】
一実施例では、2つ以上の繊維構造体プライは、化学結合剤、例えば、含水接着剤など接着剤によって一緒に結合されてよい。別の実施例では、2つ以上の繊維構造体プライは、繊維要素、例えばフィラメントの機械的な絡み合いによって、1つの繊維構造体プライから多プライ繊維構造体、例えば多プライ物品の隣接する繊維構造体プライに結合されてよい。別の実施例では、2つ以上の繊維構造体プライは、多プライ繊維構造体、例えば多プライ物品の2つの隣接する繊維構造体プライの間に形成された圧力結合によって一緒に結合されてよい。
【0071】
本明細書で使用するとき、「機械方向」又は「MD」は、繊維構造体製造装置及び/又は繊維構造体製品製造機を通って繊維構造体が流れる方向と平行な方向を意味する。
【0072】
本明細書で使用するとき、「機械横断方向」又は「CD」は、繊維構造体及び/又は繊維構造体を含む繊維構造体製品の同一平面上で、機械方向と垂直である方向を意味する。
【0073】
本明細書で使用するとき、「プライ」又は「多プライ」は、他のプライと実質的に連続の向かい合わせの関係に任意に配置され、多プライ繊維構造体を形成する、個々の繊維構造体を意味する。単一繊維構造体は、例えばそれ自体の上に折り畳むことによって、2「プライ」又は多「プライ」を有効に形成できることも意図される。プライは、フィラメント、フィラメント/粒子ブレンド、及び/又は粒子の層を含んでよい。別の実施例では、プライ間にフィラメント又は粒子の層が存在してよい。
【0074】
本明細書で使用するとき、本明細書で使用する場合の冠詞「a」及び「an」、例えば、「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」は、特許請求又は記載される1種以上の材料を意味すると理解される。
【0075】
全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、重量で計算される。全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、全組成物に基づいて計算される。
【0076】
特に記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性濃度に関するものであり、市販の供給源中に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0077】
物品寸法及び端封止部の特性
本開示の繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば、複数の活性剤含有フィラメントなど複数のフィラメント、並びに任意に1つ以上の粒子、例えば水溶性活性剤含有粒子、及び/又は非水溶性粒子、例えばゼオライト、多孔質ゼオライト、香料充填ゼオライト、活性剤充填ゼオライト、シリカ、香料充填シリカ、活性剤充填ゼオライト、香料マイクロカプセル、粘土、及びこれらの混合物など1種以上の活性剤含有粒子を含み得る。
【0078】
理論に束縛されるものではないが、端封止部強度、端封止部幅、及び/又は物品寸法は、消費者の手の中における溶解前に、消費者にとって最も好ましい物品の性能因子の組み合わせを達成することに寄与し得ると考えられ、かかる因子には、消費者にとって好ましい物品の可撓性、並びに初期溶解の直前及びその間の消費者の手の手のひらにおける収容又は位置決めが挙げられる。
【0079】
更に、端封止部強度及び端封止部幅のそれぞれにおいて適切なバランスを達成すること、及び所望の物品寸法を提供することは、処理される表面への適用前に、消費者の手の手のひらに収まる、滑らかで絹のような、泡立つ溶液の生成など、最も消費者にとって好ましい性能を達成するのに寄与し得ると考えられる。手溶解試験法によって測定されるとき、初期溶解中に可撓性、及び分配によって測定される、乾燥状態における物品性能の優れた組み合わせ、初期溶解直前及び初期溶解中に消費者の手の手のひらに収まる能力、並びに処理される表面への適用時の性能が提供され得ると更に考えられる。
【0080】
特定の実施例では、物品は1つ以上の繊維要素を有し得、繊維要素のうちの少なくとも1つは、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤と、を含む。かかる物品は、物品の外周の少なくとも一部に沿って概ね位置付けられる端封止部を更に含み得る。十分な端封止部強度を有する端封止部を設けることによって、物品は、製造、分配、分注、及び使用前の消費者の取り扱い中に無傷のままであり得る。しかしながら、端封止部強度が大きすぎる場合、物品は消費者の期待を満たさない場合がある。例えば、端封止部が強すぎる場合、端封止部は密度が高すぎて、非多孔性であり得、その結果、物品の他の部分が十分に溶解していても、端封止部は溶解しにくいことがある。本開示では、望ましい端封止部強度範囲が提供され、その結果、物品は、可撓性、溶解性、及び/又は他の消費者に許容可能な物品使用特性に悪影響を及ぼすことなく、その構造的な一体性を保持できる端封止部を含み得ると考えられる。
【0081】
特定の実施例では、端封止部強度は、端封止部幅を増加させることによって向上できる。しかしながら、大きすぎる端封止部幅を提供することは、消費者が許容可能な物品使用特性に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、大きすぎる端封止部幅は、消費者にとって魅力的ではない外観、物品コストの増大、及び不十分な溶解のリスクの増加をもたらし得る。また、高濃度の粒子を含む端封止部は、粒子が端封止部内の結合部と干渉する結果として、端封止部強度要件を満たすことができない場合があることも発見されている。それにもかかわらず、端封止部における粒子の存在は、端封止部及び物品全体の望ましい溶解を可能にし得る。理論に束縛されるものではないが、粒子は、端封止部が溶解機構にアクセス可能であり得るように、端封止部の開放及び多孔性の維持を支援し得ると考えられる。端封止部強度と同様に、端封止部幅及び端封止部で使用される粒子の量においてバランスが達成される必要があると考えられる。かかるバランスは、本開示の物品によって達成されると更に考えられる。
【0082】
特定の実施例では、物品は、約0.1N/in〜約4N/in、又はそれらの間の任意の値の端封止部強度を示し得る。したがって、特定の実施例では、物品は、約0.1N/in〜約3N/in、約0.2N/in〜約3N/in、約0.2N/in〜約2N/in、約0.2N/in〜約1N/in、約0.3N/in〜約1N/in、又は約0.3N/in〜約0.8N/inの端封止部強度を示し得る。一実施例では、物品は、約0.4N/inの端封止部強度を示し得る。端封止部強度の測定値は、本明細書に記載の端封止部強度試験法に従って取得される。
【0083】
特定の実施例では、端封止部は、約0.5mm〜約4mm、又はそれらの間の任意の値の端封止部幅を有し得る。したがって、特定の実施例では、端封止部は、約0.8mm〜約3.5mm、約1mm〜約3mm、約1.2mm〜約2.8mm、約1.5mm〜約2.5mm、又は約1.6mm〜約2mmの端封止部幅を有し得る。一実施例では、端封止部は、約1.7mmの端封止部幅を有し得る。端封止部幅の測定値は、本明細書に記載の端封止部強度試験法に従って取得される。
【0084】
特定の実施例では、物品は、約1cm〜約20cm、約2cm〜約20cm、約2cm〜約18cm、約3cm〜約15cm、約3cm〜約12cm、約4cm〜約8cm、約4cm〜約6cm、又は約5cm〜約6cmの長さを有し得る。特定の実施例では、物品は、約1cm〜約10cm、約2cm〜10cm、又は約7cm〜9cmの長さを有し得る。
【0085】
特定の実施例では、物品は、約1cm〜約11cm、約2cm〜約11cm、約2cm〜約10cm、約3cm〜約9cm、約4cm〜約8cm、又は約4cm〜約6cmの幅を有し得る。特定の実施例では、物品は、約1cm〜6cm、約2cm〜約6cm、約3cm〜約5cm、又は約3.5cm〜約4.5cmの幅を有し得る。他の実施例では、物品は、約6cm〜約8cmの幅を有し得る。
【0086】
特定の実施例では、物品の長さと物品の幅との比は、約3:1〜約0.5:1、約5:2〜約0.5:1、又は約2:1〜約1:1であり得る。
【0087】
物品は、約0.01mm以上、約0.05mm以上、約0.1mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約4mm以上の高さ又は厚さを有し得る。特定の実施例では、物品は、約50mm以下、約20mm以下、約10mm以下、約8mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.3mmの高さ又は厚さを有し得る。したがって、特定の実施例では、物品は、約0.01mm〜約50mm、約0.01mm〜約44mm、約0.1mm〜約50mm、約0.1mm〜約44mm、約1mm〜約20mm、又は約1mm〜約5mmの高さを有し得る。特定の実施例では、物品は、約3mm〜約12mm、又は約4mm〜約10mmの高さ又は厚さを有し得る。高さ又は厚さの測定値は、本明細書に記載の厚さ試験法に従って取得される。
【0088】
物品は、約0.25立方センチメートル(cc)〜約60cc、約0.5cc〜約60cc、約0.5cc〜約50cc、約1cc〜約40cc、約1cc〜約30cc、約2cc〜約20cc、約3cc〜約20cc、約4cc〜約15cc、又は約4cc〜約10ccの体積を有し得る。特定の実施例では、物品は、約3cc〜約6ccの体積を有し得る。特定の実施例では、物品は、約20cc〜約35cc、又は約24cc〜約30ccの体積を有し得る。
【0089】
物品は、約50g以下、約40g以下、約30g以下、約25g以下、約20g以下、約15g以下、約10g以下、約7.5g以下、約5g以下、約4g以下、約3g以下、2g以下、約1.5g以下、約1.25g以下、約1g以下、約0.75g以下、又は約0.5g以下の質量を有し得る。特定の実施例では、物品は、約0.25g〜約50g、約0.25g〜約40g、約0.25g〜約30g、約0.25g〜約25g、約0.25g〜約20g、約0.5g〜約15g、約0.5g〜約10g、約0.5g〜約5g、約0.5g〜約4g、約0.5g〜約3g、約0.5g〜約2.5g、約1g〜約2gの質量を有し得る。特定の実施例では、物品は、約5g〜約15g、又は約約8g〜約12gの質量を有し得る。
【0090】
物品は、約0.05g/cc以上、約0.08g/cc以上、約0.1g/cc以上、約0.15g/cc以上、約0.2g/cc以上、約0.25g/cc以上、約0.3g/cc以上、約0.35g/cc以上、約0.4g/cc以上の密度を有し得る。特定の実施例では、物品は、約0.8g/cc以下、約0.6g/cc以下、約0.5g/cc以下、約0.4g/cc以下、約0.35g/cc以下、約0.3g/cc以下、約0.25g/cc以下、約0.2g/cc以下、約0.15g/cc以下、約0.12g/cc以下、約0.1g/cc以下、約0.08g/cc以下、又は約0.05g/cc以下の密度を有し得る。したがって、特定の実施例では、物品は、約0.05g/cc〜約0.8g、約0.08g/cc〜約0.8g/cc、約0.1g/cc〜約0.8g/cc、約0.2g/cc〜約0.6g/cc、約0.2g/cc〜約0.4g/ccの密度を有し得る。特定の実施例では、物品は、約0.3g/cc〜約0.5g/ccの密度を有し得る。
【0091】
特定の実施例では、物品は、約1cm〜約11cmの幅、約1cm〜約20cmの長さ、約0.01mm〜約50mmの高さ、約0.25g〜約40gの質量、約0.25cc〜約60ccの体積、及び約0.05g/cc〜約0.8g/ccの密度のうちの1つ以上を有する。特定の実施例では、物品は、約1cm〜約11cmの幅、約1cm〜約20cmの長さ、及び約0.01mm〜約50mmの高さのうちの1つ以上を有する。特定の実施例では、物品は、約0.25g〜約40gの質量、約0.25cc〜約60ccの体積、及び約0.05g/cc〜約0.8g/ccの密度のうちの1つ以上を有する。特定の実施例では、物品は、約1cm〜約11cmの幅、約1cm〜約20cmの長さ、及び約0.01mm〜約50mmの高さのうちの1つ以上、並びに約0.25g〜約40gの質量、約0.25cc〜約60ccの体積、及び約0.05g/cc〜約0.8g/ccの密度のうちの1つ以上を有する。
【0092】
物品組成及び追加の特性
上記の物品寸法、並びに任意に、上記の端封止部強度及び/又は端封止部幅値のうちの1つ以上に加えて、物品、例えば本開示の繊維構造体は、以下の特性のうちの1つ以上を示し得る:
a.本明細書に記載の修正円形曲げ試験法に従って測定されるとき、20.00N未満、及び/又は15.00N未満、及び/又は10.00N未満、及び/又は8.50N未満、及び/又は7.50N未満、及び/又は5.00N未満、及び/又は0N超、及び/又は0超〜20.00N未満の平均最大ピーク力;
b.本明細書に記載の修正円形曲げ試験法に従って測定されるとき、3000.0N/m未満、及び/又は2500.0N/m未満、及び/又は2200.0N/m未満、及び/又は1900.0N/m未満、及び/又は1600.0N/m未満、及び/又は1200.0N/m未満、及び/又は1000.0N/m未満、及び/又は800.0N/m未満、及び/又は500.0N/m未満、及び/又は100.0N/m超、及び/又は3000.0N/m未満〜100.0N/m超の平均曲げ剛性;並びに、
c.本明細書に記載の手溶解試験法に従って測定されるとき、30溶解ストローク未満、及び/又は29溶解ストローク未満、及び/又は25溶解ストローク未満、及び/又は20溶解ストローク未満、及び/又は15溶解ストローク未満、及び/又は10溶解ストローク未満、及び/又は5溶解ストローク未満、及び/又は30溶解ストローク未満〜0溶解ストローク超、及び/又は25溶解ストローク未満〜少なくとも1溶解ストロークの平均手溶解。
【0093】
一実施例では、本開示による繊維構造体の1つ以上のプライは、例えば、接着剤(glue)、接着剤(adhesive)、水、熱結合、圧着、あるプライから別のプライへの繊維の絡み合い、あるプライから別のプライへの繊維のニードルパンチング、プライの一時的結合、プライ間の不連続ゾーン/領域若しくは別個のゾーン/領域のみのプライ結合、本明細書に記載のプライ結合方法の組み合わせ、又はプライを一緒に結合する他の好適な手段によってプライを一緒に結合することにより、繊維構造体の1つ以上の他のプライ、例えば、本開示による別の繊維構造体プライと結合されてよい。別の実施例では、2つ以上の繊維構造体プライは、ある繊維構造体プライから隣接する繊維構造体プライへのフィラメントの機械的な絡み合いによって一緒に結合されてよい。
【0094】
物品、例えば、本開示による繊維構造体は、本明細書に記載の手溶解試験法に従って測定されるとき、30溶解ストローク未満、及び/又は29溶解ストローク未満、及び/又は25溶解ストローク未満、及び/又は20溶解ストローク未満、及び/又は15溶解ストローク未満、及び/又は10溶解ストローク未満、及び/又は5溶解ストローク未満の平均手溶解値を示し得る。
【0095】
一実施例では、物品、例えば、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、360秒(s)未満、及び/又は200s未満、及び/又は100s未満、及び/又は60s未満、及び/又は30s未満、及び/又は10s未満、及び/又は5s未満、及び/又は2.0s未満、及び/又は1.5s未満、及び/又は約0s、及び/又は0s超の平均崩壊時間を示し得る。
【0096】
一実施例では、物品、例えば、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、3600秒(s)未満、及び/又は3000s未満、及び/又は2400s未満、及び/又は1800s未満、及び/又は1200s未満、及び/又は600s未満、及び/又は400s未満、及び/又は300s未満、及び/又は200s未満、及び/又は175s未満、及び/又は100s未満、及び/又は50s未満、及び/又は1s超の平均溶解時間を示し得る。
【0097】
別の実施例では、物品、例えば、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、24時間未満、及び/又は12時間未満、及び/又は6時間未満、及び/又は1時間(3600秒)未満、及び/又は30分未満、及び/又は25分未満、及び/又は20分未満、及び/又は15分未満、及び/又は10分未満、及び/又は5分未満、及び/又は1秒超、及び/又は5秒超、及び/又は10秒超、及び/又は30秒超、及び/又は1分超の平均溶解時間を示す。
【0098】
一実施例では、物品、例えば、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、約1.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約0.5s/gsm以下、及び/又は約0.2s/gsm以下、及び/又は約0.1s/gsm以下、及び/又は約0.05s/gsm以下、及び/又は約0.03s/gsm以下の試料1gsm当たりの平均崩壊時間を示し得る。
【0099】
一実施例では、物品、例えば、本開示の繊維構造体は、本明細書に記載の溶解試験法に従って測定されるとき、約10秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約5.0s/gsm以下、及び/又は約3.0s/gsm以下、及び/又は約2.0s/gsm以下、及び/又は約1.8s/gsm以下、及び/又は約1.5s/gsm以下の試料のgsm当たりの平均溶解時間を示し得る。
【0100】
一実施例では、繊維要素及び/又は粒子は、繊維構造体内に配置されて、異なる活性剤を含む2つ以上の領域又は層を繊維構造体に提供してよい。例えば、繊維構造体のある領域は、漂白剤及び/又は界面活性剤を含んでよく、繊維構造体の別の領域は、柔軟剤を含んでよい。
【0101】
図2に示されるように、本開示の物品20のある例、例えば、本開示による多プライ繊維構造体は、(物品20の繊維構造体を形成する本開示のフィラメント10の物品20のz方向に2つ以上の異なる繊維構造体層、つまりプライ22、24を含んでよい。層22内のフィラメント10は、層24内のフィラメント10と同一であってよい、又はこれと異なってよい。各層、つまりプライ22、24は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なる複数のフィラメントを含んでよい。例えば、物品20内の他のフィラメントよりも速い速度で活性剤を放出し得るフィラメント、及び/又は物品20の1つ以上の繊維性構造層、つまりプライ22、24は、物品20の外面として位置付けられてよい。層、つまりプライ22及び24は、2つの層、つまりプライの間のそれらの境界面での機械的絡み合いによって、及び/又は熱若しくは接着剤結合によって、並びに/又は層、つまりパイルのうちの1つを他の既存の層、つまりプライ上に堆積させることによって、例えば、層、つまりプライ22の繊維要素を層、つまりプライ24の表面に紡糸することによって、互いに結合されてよい。
図3は、プライ22及び24を有する物品20の別の図を示す。上記の物品寸法に関して、物品の長さ(L)、幅(W)、及び高さ(H)は、それぞれ、x方向、y方向、及びz方向の測定値に対応するように
図3に示される。
【0102】
図4に示されるように、物品20の別の実施例、例えば、本開示による繊維構造体は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層、つまりプライ22と、複数の繊維要素、例えば、フィラメント10を含む第2の繊維構造体層24と、第1の繊維構造体層22と第2の繊維構造体層24との間に位置付けられる複数の粒子又は粒子層26と、を含む。類似の繊維構造体は、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第1のプライの表面に複数の粒子を堆積させ、次いで、粒子又は粒子層が第1の繊維構造体プライと第2の繊維構造体プライとの間に位置付けられるように、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第2のプライを結合させることによって形成され得る。
【0103】
図5に示されるように、本開示の物品20の別の実施例、例えば、本開示の繊維構造体は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層22を含み、第1の繊維構造体層22は、不規則パターン又は非ランダムな繰り返しパターンであり得る1つ以上のポケット28(凹部、無充填ドーム、又は偏向ゾーンとも呼ばれる)を含む。ポケット28のうちの1つ以上は、1つ以上の粒子26を含んでよい。本実施例の物品20は、粒子26がポケット28に封入されるように、第1の繊維構造体層22と結合された第2の繊維構造体層24を更に含む。上記のように、類似の物品は、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第1のプライのポケット内に複数の粒子を堆積させ、次いで、粒子が第1のプライのポケットに封入されるように、複数の繊維要素を含む繊維構造体の第2のプライを結合させることによって形成され得る。一実施例では、ポケットは繊維構造体から分離されていて、別個のポケットを生成してよい。
【0104】
図6に示されるように、物品20の別の実施例、例えば、本開示の多プライ繊維構造体は、上記の
図5による繊維構造体の第1のプライ30と、第1のプライ30に結合された繊維構造体の第2のプライ32と、を含み、第2のプライ32は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10と、物品20にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26と、を含む。
【0105】
図7に示されるように、本開示の物品20の別の実施例、例えば、本開示の繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば、活性剤含有フィラメントなどフィラメント10と、物品20にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば、活性剤含有粒子と、を含む。
【0106】
図8に示されるように、物品20の別の実施例、例えば、本開示の繊維構造体は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層22と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10、例えば活性剤含有フィラメントを含む第2の繊維構造体層24と、第2の繊維構造体層24にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば、活性剤含有粒子と、を含む。あるいは、別の実施例では、複数の粒子26、例えば活性剤含有粒子は、不規則パターン又は非ランダムな繰り返しパターンで第2の繊維構造体層24内に分散されてよい。上記のように、2プライの繊維構造体を含む類似の物品は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体プライ22と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10、例えば活性剤含有フィラメントを含む第2の繊維構造体プライ24と、第2の繊維構造体プライ24にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば、活性剤含有粒子と、を含む。あるいは、別の実施例では、複数の粒子26、例えば活性剤含有粒子は、不規則なパターン又は非ランダムな繰り返しパターンで第2の繊維構造体プライ24内に分散されてよい。
【0107】
図9は、物品20の別の実施例、例えば、本開示の多プライ繊維構造体を示し、この多プライ繊維構造体は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層22と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10、例えば活性剤含有フィラメントを含む、第2の繊維構造体層24と、第2の繊維構造体プライ24にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば、活性剤含有粒子と、を含む
図8に示されるような繊維構造体の第1のプライ30と、第1のプライ30と結合された繊維構造体の第2のプライ32であって、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層22と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10、例えば活性剤含有フィラメントを含む第2の層24と、第2の繊維構造体層24にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば活性剤含有粒子と、を含む、第2のプライ32と、第2のプライ32と結合された繊維構造体の第3のプライ34であって、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む第1の繊維構造体層22と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10、例えば活性剤含有フィラメントを含む第2の繊維構造体層24と、第2の繊維構造体層24にわたってx軸、y軸、及びz軸に(この場合はランダムに)分散された複数の粒子26、例えば、活性剤含有粒子と、を含む、第3のプライ34と、を含む。
【0108】
図10に示されるように、物品20の別の実施例、例えば、本開示の多プライ繊維構造体は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む、繊維構造体の第1のプライ30と、第1のプライ30に結合された繊維構造体の第2のプライ32であって、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む、繊維構造体の第2のプライ32と、第2のプライ32に結合された繊維構造体の第3のプライ34であって、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む、繊維構造体の第3のプライ34と、を含む。
図10の一実施例では、各プライのフィラメント10は、活性剤含有フィラメントを含んでよい。
【0109】
図11は、本開示の物品20の別の実施例、本開示の多プライ繊維構造体20を示し、この多プライ繊維構造体20は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む繊維構造体の第1のプライ30と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む繊維構造体の第2のプライ32と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む繊維構造体の第3のプライ34と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む繊維構造体の第4のプライ36と、複数の繊維要素、例えばフィラメント10を含む繊維構造体の第5のプライ38と、を含む。この実施例では、物品20は、少なくとも2つの隣接する繊維構造体プライ、例えばプライ30及び32、又はプライ32及び34、又はプライ34及び36、又はプライ36及び38の間に位置付けられた1つ以上の粒子又は粒子層26を更に含む。プライ30、32、34、36、及び38は、1つ以上の他のプライと結合されて一体構造を形成し、物品20内に粒子26が存在する場合には、物品20からの粒子の解離を最小限に抑える。別の実施例では、少なくとも2つの隣接する繊維構造体プライの間に位置付けられた1つ以上の粒子又は粒子層26は、不規則パターン、非ランダムな繰り返しパターンで、又はプライ間の選択されたゾーンにのみ存在する。
【0110】
図12は物品20の別の実施例を示しており、物品20は、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤と、を含む、1つ以上の繊維要素を含む。物品20は、物品20の外周に沿って概ね位置付けられる端封止部21を更に含む。
図12に示されるように、端封止部21は端封止部Bを有する。特定の実施例では、
図12に示されるように、端封止部21は連続していてよい。しかしながら、他の実施例では、端封止部21は不連続であり得、その結果、端封止部21は、物品20の周囲の一部に沿ってのみ位置付けられている。特定の実施例では、2つ以上の繊維構造体プライのうちの少なくとも1つは、1つ以上の粒子を含み得、特定の実施例では、端封止部21は、その内部に1つ以上の粒子を含み得る。
【0111】
端封止部21を有する物品20のかかる実施例では、物品20は、2つ以上の繊維構造体プライを含んでよく、その結果、物品20は多プライ物品である。特定の実施例では、2つ以上の繊維構造体プライのうちの少なくとも2つは、互いに異なる組成物から形成され得る。特定の実施例では、物品20は、例えば、
図13に示されるように第1の最外プライ23と、第2の最外プライ25と、を含み得、第1の最外プライ23及び第2の最外プライ25のそれぞれの端部は、端封止部21を形成し得る。物品20は、1つ以上の内側プライを更に含み得、1つ以上の内側プライは、第1の最外プライ23及び第2の最外プライ25によって包囲され得る。物品20は、任意の好適な量の内側プライを含み得るが、内側プライの量が増加するにつれて、端封止部の溶解が生じる可能性がますます高くなり得ることが理解されよう。特定の実施例では、1つ以上の内側プライは、端封止部21を形成しない。しかしながら、他の実施例では、第1の最外層、第2の最外プライ、及び1つ以上の内側プライのそれぞれの端部は、端封止部を形成し得ることが理解されよう。特定の実施例では、1つ以上の内側プライは、その中に1つ以上の粒子を含み得、特定の実施例では、第1の最外プライ23及び第2の最外プライ25は、粒子を実質的に含まなくてよい。
【0112】
本開示の繊維要素及び/又は繊維構造体は固体形態であるが、本開示の繊維要素を製造するために使用されるフィラメント形成組成物は液体形態であってよい。
【0113】
一実施例では、繊維構造体は、本開示による繊維要素と組成の点で同一である、又は実質的に同一である複数の繊維要素を含む。別の実施例では、繊維構造体は、本開示による2つ以上の異なる繊維要素を含んでよい。繊維要素の相違点の非限定的な例としては、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違い等の物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;繊維要素が意図される使用条件に曝される場合に、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;繊維要素が意図される使用条件に曝される場合に、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び繊維要素が意図される使用条件に曝される場合に、繊維要素が1種又は複数のその活性剤を放出する速度の違いであってよい。一実施例では、繊維構造体内の2つ以上の繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含んでよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤(例えば、シャンプー活性剤)及びカチオン性界面活性剤(例えば、ヘアコンディショナー活性剤)が互いに相溶性ではない場合に該当し得る。
【0114】
一実施例では、繊維要素内に存在する1種以上の活性剤のうちの少なくとも1つは、第1の界面活性剤を含み、活性剤含有粒子は、第2の界面活性剤を含み、例えば、第1の界面活性剤は第2の界面活性剤と異なる。
【0115】
別の例では、繊維構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を示していてよい。更に別の例では、繊維構造体は、1つ又は複数のその表面に質感を含み得る。繊維構造体の表面は、非ランダムな反復パターン等のパターンを含んでよい。繊維構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。別の例では、繊維構造体は、開口を含んでいてよい。開口は、非ランダムな反復パターンで配置されてよい。
【0116】
1つの例では、繊維構造体は、繊維構造体の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。
【0117】
本開示の繊維構造体の用途の非限定的な例としては、洗濯乾燥機の基材、洗濯機の基材、浴用タオル、硬質表面洗浄及び/又は研磨基材、床洗浄及び/又は研磨基材、バッテリー内の要素として、乳児用ワイプ、成人用ワイプ、婦人衛生用ワイプ、トイレットペーパーワイプ、窓洗浄基材、油封じ込め及び/又は掃除用基材、防虫基材、スイミングプール用化学基材、食品、口臭清涼剤、防臭剤、ごみ処理バック、梱包フィルム及び/又はラップ、創傷包帯、医薬品送達、建物用断熱材、作物及び/又は植物用カバー及び/又は苗床、糊基材、スキンケア基材、ヘアケア基材、空気ケア剤、水処理基材及び/又はフィルタ、便器洗浄基材、キャンディ基材、ペットフード、家畜用敷料、歯のホワイトニング基材、カーペット洗浄基材、並びに本開示の活性剤の他の好適な用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本開示の繊維構造体は、そのまま使用されてよい、又は1種以上の活性剤でコーティングされてよい。
【0119】
一実施例では、繊維構造体は、本明細書に記載の厚さ試験法に従って測定されるとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は約0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚さを示し得る。
【0120】
特定の実施例では、製品アセンブリは、本明細書に記載の物品のうちの1つ以上を含み得る。
【0121】
本開示に好適な他の繊維構造体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2013/0171421(A1)号及び米国特許第9,139,802号に開示されており、参照することによって組み込まれる。
【0122】
粒子
粒子は、水溶性又は非水溶性であってよい。一実施例では、ある粒子群は水溶性であってよく、別の粒子群は非水溶性であってよい。粒子(水溶性又は非水溶性)は、それ自体が消費者に利益をもたらしてよい。別の実施例では、粒子(水溶性又は非水溶性)は、1種以上の活性剤を含んでよい(換言すれば、粒子は活性剤含有粒子を含んでよい)。更に別の実施例では、粒子は、1種以上の活性剤から本質的になる、及び/又は1種以上の活性剤からからなる(換言すれば、粒子(水溶性及び/又は非水溶性)は、乾燥粒子基準で100重量%、又は約100重量%超の1種以上の活性剤を含んでよい)。更に別の実施例では、粒子は水溶性粒子を含んでよい。更に別の例では、粒子は、水溶性の活性剤含有粒子を含んでよい。他の一実施例では、非水溶性粒子は、ゼオライト、多孔質ゼオライト、香料充填ゼオライト、活性剤充填ゼオライト、シリカ、香料充填シリカ、活性充填シリカ、香料マイクロカプセル、粘土、及びこれらの混合物を含む。
【0123】
一実施例では、粒子は、水溶性粒子、例えば、漂白剤、ビルダー、酵素、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、香料送達系、移染防止剤、増白剤、色相染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤を含む水溶性の活性剤含有粒子を含む。一実施例では、水溶性の活性剤含有粒子は、酵素顆粒を含む。別の実施例では、水溶性の活性剤含有粒子は、カプセル化漂白剤を含む。別の実施例では、水溶性の活性剤含有粒子は、香料マイクロカプセルを含む。
【0124】
一実施例では、粒子のうちの少なくとも1つは、非水溶性粒子、例えば、非水溶性の活性剤含有粒子を含む。
【0125】
一実施例では、1つ以上の粒子は、物品内の別個の粒子として存在する。
【0126】
繊維要素
繊維要素は、水溶性又は非水溶性であってよい。一実施例では、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。別の実施例では、繊維要素は、1種以上の活性剤を含む。更に別の実施例では、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と、1種以上の活性剤と、を含む。別の例では、繊維要素は、水溶性繊維要素を含んでよい。
【0127】
フィラメント及び/又は繊維など本開示の繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料を含む。フィラメント形成材料に加えて、繊維要素は、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が目的とする使用条件に曝されたときなどに繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤を更に含んでよい。一実施例では、繊維要素中に存在する1種以上のフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で80重量%未満であり、繊維要素中に存在する1種以上の活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超である。
【0128】
一実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約100重量%、及び/又は95重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は85重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は50重量%超の1種以上のフィラメント形成材料を含む。例えば、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、及び他の好適なポリマー(特にヒドロキシルポリマー)を含み得る。
【0129】
別の実施例では、本開示の繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と、1種以上の活性剤とを含み、繊維要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%〜80重量%未満であり、繊維要素中に存在する活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超〜約95重量%である。
【0130】
一実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は60重量%未満、及び/又は55重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超、及び/又は少なくとも約30重量%、及び/又は少なくとも約35重量%、及び/又は少なくとも約40重量%、及び/又は少なくとも約45重量%、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤と、を含む。
【0131】
一実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも5重量%、及び/又は少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約30重量%超、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約55重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は少なくとも約65重量%、及び/又は少なくとも約70重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤と、を含む。一実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で80重量%超の活性剤を含む。
【0132】
別の実施例では、1種以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、4.0以下、及び/又は3.5以下、及び/又は3.0以下、及び/又は2.5以下、及び/又は2.0以下、及び/又は1.85以下、及び/又は1.7未満、及び/又は1.6未満、及び/又は1.5未満、及び/又は1.3未満、及び/又は1.2未満、及び/又は1未満、及び/又は0.7未満、及び/又は0.5未満、及び/又は0.4未満、及び/又は0.3未満、及び/又は0.1超、及び/又は0.15超、及び/又は0.2超の活性剤に対するフィラメント形成材料の総濃度の重量比で繊維要素中に存在する。
【0133】
更に別の実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超から約90重量%まで、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含む。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含んでよい。
【0134】
更に別の実施例では、本開示の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%から、及び/又は約15重量%から80重量%未満までのフィラメント形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超から約90重量%まで、及び/又は約85重量%までの活性剤と、を含み、活性剤に対するフィラメント形成材料の重量比は、4.0以下である。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含んでよい。
【0135】
本開示の更に別の実施例では、繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が目的とする使用条件に曝されたときに放出可能である、及び/又は放出される酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、知覚剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の活性剤と、を含む。一実施例では、繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は約5重量%まで、及び/又は約10重量%まで、及び/又は約20重量%までの総濃度のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は約95重量%まで、及び/又は約90重量%まで、及び/又は約80重量%までの総濃度の、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、香料、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤と、を含む。1つの例では、活性剤は、1種又は複数の酵素を含む。別の例では、活性剤は、1種又は複数の漂白剤を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数のビルダーを含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数のキレート剤を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数の香料を含む。更に別の例では、活性剤は、1種又は複数種の抗微生物剤、抗菌剤、及び/又は抗真菌剤を含む。
【0136】
本開示の更に別の実施例では、本開示の繊維要素は、空中に飛散した場合に健康及び/又は安全上の懸念が生じ得る活性剤を含み得る。例えば、繊維要素は、繊維要素内の酵素が空中に飛散するのを妨げるのに使用され得る。
【0137】
一実施例では、本開示の繊維要素は、メルトブローン繊維要素であり得る。別の実施例では、本開示の繊維要素は、スパンボンド繊維要素であり得る。別の例では、繊維要素は、1種又は複数のその活性剤が放出される前及び/又は放出された後に中空の繊維要素であり得る。
【0138】
本開示の繊維要素は、親水性又は疎水性であり得る。繊維要素は、繊維要素固有の親水性又は疎水性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理してもよい。
【0139】
1つの例では、繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を示す。別の実施例では、本開示の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定されるとき、1μm超の直径を示す。本開示の繊維要素の直径は、繊維要素中に存在する1種又は複数の活性剤の放出速度、並びに/又は繊維要素の物理的構造の損失及び/若しくは変化の速度を制御するために使用され得る。
【0140】
繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含んでいてよい。1つの例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに相溶性である。別の例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに非相溶性である。
【0141】
1つの例では、繊維要素は、繊維要素中の活性剤と、繊維要素上をコーティングする活性剤などの、繊維要素の外面上の活性剤と、を含み得る。繊維要素の外面上の活性剤は、繊維要素中に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合は、活性剤は互いに相溶性であってもよく、又は非相溶性であってもよい。
【0142】
別の実施例では、本開示の繊維構造体又は物品は、物品のプライの表面のうちの1つに位置する外部繊維要素又はフィラメント上にコーティングを含んでよい。このコーティングは、プライの表面に塗布されてよく、コーティングを有する表面は、物品全体の外側表面であってもよく、又は物品の内部の表面であってよい。コーティングの配置は、送達されることが望ましい有益剤又は活性剤に依存する。例えば、物品の外側表面プライへのコーティングは、消費者が見ることができる表面上にあるため、消費者にとってより容易に視認可能であろう。物品の内側表面プライへのコーティングは、消費者の直視から隠され得るため、視認性が低くなり得る。物品の内側表面及び/又は外側表面へのコーティングの配置は、物品製造プロセスの一環として達成されるであろう。内側表面プライへのコーティングは、物品の外側表面へのコーティングと異なっていてよく、又は同一であってよい。一実施例では、物品は、物品の外側表面及び/又は内側表面にコーティングを有してよい。別の実施例では、物品は、物品を構成するプライの外側表面及び/又は内側表面にコーティングを有してよい。更に別の実施例では、物品は、物品を構成するプライの外側表面及び/又は内側表面にコーティング、又はコーティングを含むアミノシリコーンを含むシリコーン活性剤を有してよい。
【0143】
1つの例では、1種又は複数の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布していてもよく、又は実質的に均一に分布していてもよい。別の例では、1種又は複数の活性剤は、繊維要素内に分離した領域として分布していてもよい。更に別の例では、少なくとも1種の活性剤は、繊維要素全体に均一に又は実質的に均一に分布し、少なくとも1種の他の活性剤は、繊維要素内に1種又は複数の分離した領域として分布する。更に別の例では、少なくとも1種の活性剤は、繊維要素内に1種又は複数の分離した領域として分布し、少なくとも1種の他の活性剤は、繊維要素内に第1の分離した領域とは異なる1種又は複数の分離した領域として分布する。
【0144】
フィラメント形成材料
フィラメント形成材料は、紡糸プロセスなどによってフィラメントを製造するのに好適な特性を呈するポリマー又はポリマーを製造することができるモノマーなど、任意の好適な材料である。
【0145】
一実施例では、フィラメント形成材料は、アルコール可溶性材料及び/又は水溶性材料などの、極性溶媒可溶性材料を含み得る。
【0146】
別の実施例では、フィラメント形成材料は、非極性溶媒可溶性材料を含んでよい。
【0147】
更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、水溶性材料を含んでよく、非水溶性材料を含まなくてよい(乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満及び/又は0重量%)。
【0148】
更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、フィルム形成材料とすることができる。更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、合成又は天然由来のものとすることができ、その材料は、化学的、酵素的、及び/又は物理的に修正することができる。
【0149】
本開示の更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、エチレン性不飽和性カルボン酸モノマー及びエチレン性不飽和モノマーなどのアクリルモノマーから誘導されたポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリルレートのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースカルボキシメチルセルロース)からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0150】
更に別の実施例では、フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでよい。
【0151】
別の実施例では、フィラメント形成材料は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0152】
水溶性材料
水溶性材料の非限定的な例には、水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマーは合成物であっても又は天然由来であってもよく、かつ化学的に及び/又は物理的に修飾されてもよい。1つの例では、極性溶媒可溶性ポリマーは、少なくとも10,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000g/モル、及び/又は少なくとも40,000g/モル、及び/又は少なくとも80,000g/モル、及び/又は少なくとも100,000g/モル、及び/又は少なくとも1,000,000g/モル、及び/又は少なくとも3,000,000g/モル、及び/又は少なくとも10,000,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000,000g/モル、及び/又は約40,000,000g/モルまで、及び/又は約30,000,000g/モルまでの重量平均分子量を示す。
【0153】
水溶性ポリマーの非限定的な例としては、水溶性ヒドロキシルポリマー、水溶性熱可塑性ポリマー、水溶性生分解性ポリマー、水溶性非生分解性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールを含む。別の例では、水溶性ポリマーは、デンプンを含む。更に別の例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びデンプンを含む。更に別の実施例では、水溶性ポリマーはカルボキシメチルセルロースを含む。別の実施例では、ポリマーはカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールを含んでいる。
【0154】
a.水溶性ヒドロキシルポリマー−本開示による水溶性ヒドロキシルポリマーの非限定的な例としては、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアルコールコポリマー、デンプン、デンプン誘導体、デンプンコポリマー、キトサン、キトサン誘導体、キトサンコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースエーテル及びエステル誘導体、セルロースコポリマー、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ヘミセルロースコポリマー、ゴム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質、カルボキシメチルセルロース及び他の様々な多糖、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0155】
一実施例では、本開示の水溶性ヒドロキシルポリマーは、多糖類を含む。
【0156】
本明細書で使用するとき、「多糖類」は、天然多糖類、及び多糖誘導体、及び/又は修飾多糖類を意味する。好適な水溶性多糖類としては、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。水溶性多糖類は、約10,000g/モル〜約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は約3,000,000g/モル超〜約40,000,000g/モルの重量平均分子量を示してよい。
【0157】
水溶性多糖類は、非セルロース、及び/又は非セルロース誘導体、及び/又は非セルロースコポリマー水溶性多糖類を含んでよい。このような非セルロース水溶性多糖類は、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0158】
別の実施例では、本開示の水溶性ヒドロキシルポリマーは、非熱可塑性ポリマーを含む。
【0159】
水溶性ヒドロキシルポリマーは、約10,000g/モル〜約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は約3,000,000g/モル超〜約40,000,000g/モルの重量平均分子量を有してよい。より高い分子量及びより低い分子量の水溶性ヒドロキシルポリマーを、特定の所望の重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと併用してよい。
【0160】
例えば、天然デンプンなどの水溶性ヒドロキシルポリマーの周知の修飾としては、化学修飾及び/又は酵素修飾が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈(acid-thinned)、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化することができる。更に、水溶性ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンを含んでよい。
【0161】
天然起源のデンプンは、一般に、Dグルコース単位の直鎖アミロースと分岐アミロペクチンポリマーとの混合物である。アミロースは、(1,4)−α−D結合によって結合されているD−グルコース単位の実質的に直鎖状のポリマーである。アミロペクチンは、分岐点において(1,4)−α−D結合及び(1,6)−α−D結合によって結合されているD−グルコース単位の高度に分岐したポリマーである。天然起源のデンプン、例えば、コーンスターチ(64〜80%アミロペクチン)、ワキシートウモロコシ(waxy maize)(93〜100%アミロペクチン)、コメ(83〜84%アミロペクチン)、ジャガイモ(約78%アミロペクチン)、及びコムギ(73〜83%アミロペクチン)は、典型的には、比較的高濃度のアミロペクチンを含有する。全てのデンプンが本明細書において潜在的に有用であるが、本開示は、最も一般的には、豊富に供給され、容易に補充可能であり、かつ安価であるという利点が得られる、農業資源に由来する高アミロペクチン天然デンプンを用いて実施される。
【0162】
本明細書で使用するとき、「デンプン」は、任意の天然起源の非修飾デンプン、修飾デンプン、合成デンプン、及びこれらの混合物に加えて、アミロース又はアミロペクチン画分の混合物を含み、デンプンは、物理的、化学的、若しくは生物学的プロセス、又はこれらの組み合わせによって修飾され得る。本開示についての非修飾又は修飾デンプンの選択は、所望の最終製品に依存し得る。本開示の一実施例では、本開示において有用なデンプン又はデンプン混合物は、デンプン又はその混合物の約20重量%〜約100重量%、より典型的には約40重量%〜約90重量%、更により典型的には約60重量%〜約85重量%のアミロペクチン含量を有する。
【0163】
好適な天然起源のデンプンとしては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コムギデンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、ダイズデンプン、アロールートデンプン、アミオカデンプン(amioca starch)、ワラビデンプン、ハスデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、及び高アミローストウモロコシデンプンを挙げることができるが、これらに限定されない。天然起源のデンプン、特にトウモロコシデンプン及びコムギデンプンは、経済性及び入手可能性の点で好ましいデンプンポリマーである。
【0164】
本明細書におけるポリビニルアルコールは、その特性を改質するために他のモノマーによりグラフトすることができる。広範なモノマーをポリビニルアルコールにグラフトすることに成功している。このようなモノマーの非限定的な例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メチルアリルスルホン酸ナトリウム、フェニルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、フェニルメタリルエーテルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸(AMP)、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び様々なアクレートエステルが挙げられる。
【0165】
一実施例では、水溶性ヒドロキシルポリマーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なポリビニルアルコールの非限定的な例としては、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)から商標名CELVOL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。好適なポリビニルアルコールの他の非限定例としては、Nippon Ghoseiより市販されているG Polymerが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースの非限定例にとしては、上記のポリビニルアルコールとの組み合わせを含む、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商標METHOCEL(登録商標)で市販されているものが挙げられる。
【0166】
b.水溶性熱可塑性ポリマー−好適な水溶性熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、熱可塑性デンプン及び/又はデンプン誘導体、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、及び特定のポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0167】
本開示の水溶性熱可塑性ポリマーは、親水性又は疎水性であってよい。水溶性熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー固有の親水性若しくは疎水性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理され得る。
【0168】
水溶性熱可塑性ポリマーは、生分解性ポリマーを含んでもよい。
【0169】
熱可塑性ポリマーのために任意の好適な重量平均分子量を使用してよい。例えば、本開示による熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/モル超、及び/又は約40,000g/モル超、及び/又は約50,000g/モル超、及び/又は約500,000g/モル未満、及び/又は約400,000g/モル未満、及び/又は約200,000g/モル未満である。
【0170】
有効成分
活性剤は、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体の外部の環境に利益をもたらす等、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体自体以外の何かに利益をもたらすように設計及び意図される添加剤の部類である。活性剤は、繊維要素の意図した使用条件下で、意図した効果を生じさせる任意の好適な添加剤であってよい。例えば、活性剤は、以下からなる群から選択してよい:パーソナルクレンジング及び/又はコンディショニング剤、例えば、ヘアケア剤(例えば、シャンプー剤及び/又は染毛剤)、ヘアコンディショニング剤、スキンケア剤、日焼け止め剤、及びスキンコンディショニング剤;洗濯物ケア及び/又はコンディショニング剤、例えば、布地ケア剤、布地コンディショニング剤、布地柔軟剤、布地しわ防止剤、布地ケア静電気防止剤、布地ケア染み除去剤、汚れ放出剤、分散剤、発泡抑制剤、発泡促進剤、消泡剤、及び布地リフレッシング剤;液体及び/又は粉末食器洗浄剤(食器手洗い及び/又は自動食器洗浄機用)、硬質表面ケア剤及び/又はコンディショニング剤及び/又は研磨剤;他の洗浄及び/又はコンディショニング剤、例えば、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、布地着色剤、香料、漂白剤(例えば、酸素漂白剤、過酸化水素、過炭酸塩漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、塩化物漂白剤)、漂白活性化剤、キレート剤、ビルダー、ローション、増白剤、空気ケア剤、カーペットケア剤、転染阻害剤、粘土汚れ除去剤、再付着防止剤、高分子汚れ放出剤、高分子分散剤、アルコキシ化ポリアミンポリマー、アルコキシ化ポリカルボキシレートポリマー、両親媒性グラフトコポリマー、溶解助剤、緩衝系、水軟化剤、水硬化剤、pH調整剤、酵素、凝集剤、発泡剤、防腐剤、化粧剤、メークアップ除去剤、起泡剤、付着助剤、コアセルベート形成剤、粘土、増粘剤、ラテックス、シリカ、乾燥剤、臭気制御剤、制汗剤、冷却剤、加温剤、吸収性ゲル剤、抗炎症剤、染料、顔料、酸、及び塩基;液体処理活性剤;農業用活性剤;工業用活性剤;摂取可能な活性剤、例えば、医薬剤、歯科用ホワイトニング剤、歯ケア剤、洗口剤、歯周歯肉ケア剤、可食性剤、食用剤、ビタミン、ミネラル;水処理剤、例えば、水清澄剤及び/又は消毒剤、並びにこれらの混合物。
【0171】
好適な化粧剤、スキンケア剤、スキンコンディショニング剤、ヘアケア剤、及びヘアコンディショニング剤の非限定的な例は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992に記載されている。
【0172】
1種又は複数の化学物質の部類が、上に列挙した1種又は複数の活性剤に有用であり得る。例えば、界面活性剤は、任意の数の上記活性剤のために使用してよい。同様に、漂白剤は、布地ケア、硬質表面洗浄、食器洗浄、及び更には歯科用ホワイトニングのために使用してよい。したがって、当業者は、活性剤が、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体の所望の目的とする用途に基づいて選択されることを理解するであろう。
【0173】
例えば、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体をヘアケア及び/又はコンディショニングに使用する場合、繊維要素及び/若しくは粒子、並びに/又は繊維要素及び/若しくは粒子が組み込まれる繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたときに消費者に所望の利益をもたらすように、1種又は複数種の好適な界面活性剤、例えば、発泡性界面活性剤を選択することができる。
【0174】
1つの例では、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体が、洗濯操作において衣類の洗濯に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/若しくは粒子、並びに/又は繊維要素及び/若しくは粒子が組み込まれる繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたときに消費者に所望の利益をもたらすように、1種又は複数種の好適な界面活性剤、及び/又は酵素、及び/又はビルダー、及び/又は香料、及び/又は発泡抑制剤、及び/又は漂白剤を選択することができる。別の例では、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体が、洗濯操作における衣類の洗濯及び/又は食器洗浄操作における食器の洗浄に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、洗濯洗剤組成物若しくは食器洗浄洗剤組成物又はこのような組成物で使用される活性剤を含んでよい。
【0175】
一実施例では、活性剤は非香料系活性剤を含む。別の例では、活性剤は非界面活性剤を含む。更に別の例では、活性剤には、非摂取可能な活性剤を含み、つまり摂取可能な活性剤以外の活性剤を含む。
【0176】
界面活性剤
好適な界面活性剤の非限定的な例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。共界面活性剤はまた、繊維要素及び/又は粒子に含まれてよい。洗濯洗浄剤及び/又は食器洗浄剤としての使用に設計されている繊維要素及び/又は粒子に関して、界面活性剤の総濃度は、染み及び/又は匂い除去を含む洗浄を提供するのに十分であるべきであり、一般的に約0.5%〜約95%の範囲である。更に、洗濯洗浄剤及び/又は食器洗浄剤用の繊維要素及び/又は粒子で使用するために設計されている2種以上の界面活性剤を含む界面活性剤系は、全アニオン性界面活性剤系、アニオン性及び非イオン性界面活性剤の混合物を含む混合物系界面活性剤系、又は非イオン性−カチオン性界面活性剤の混合物又は低発泡性非イオン性界面活性剤を含んでよい。特定の実施例では、繊維要素(例えば、フィラメント)に含まれる界面活性剤は、粒子に含まれる界面活性剤とは異なり得る。
【0177】
本明細書に記載の界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖であってよい。1つの例では、好適な直鎖界面活性剤としては、例えばココヤシ油、パーム核油、大豆油、又は他の野菜系油など、農業化学油由来のものが挙げられる。
【0178】
a.アニオン性界面活性剤
好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、分枝状アルキルサルフェート、分枝状アルキルアルコキシレート、分枝状アルコキシレートサルフェート、中鎖分枝状アルキルアリルスルホネート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリルスルホネート、一級又は二級アルカンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0179】
本明細書において使用するのに好適なアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートとしては、対応する式ROSO
3M及びRO(C
2H
4O)
xSO
3M(式中、Rは約8〜約24個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1〜10であり、Mは水溶性カチオン、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、及びトリエタノールアミンである)を有する物質が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.及びMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.に記載されている。
【0180】
一実施例では、本開示の繊維要素及び/又は粒子に有用なアニオン性界面活性剤としては、C
9〜C
15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C
8〜C
20アルキルエーテルサルフェート、例えばアルキルポリ(エトキシ)サルフェート、C
8〜C
20アルキルサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。他のアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホネート(MES)、二級アルカンスルホネート、メチルエステルエトキレート(MEE)、スルホン化エストリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0181】
別の実施例では、アニオン性界面活性剤は、C
11〜C
18アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)及び一級分枝鎖及びランダムC
10〜C
20アルキルサルフェート(「AS」)、式CH
3(CH
2)
x(CHOSO
3−M
+)CH
3及びCH
3(CH
2)
y(CHOSO
3−+)CH
2CH
3(式中、x及び(y+1)は、少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、Mは水溶性カチオン、特に、硫酸オレイルなどの不飽和硫酸塩である)のC
10〜C
18二級(2,3)アルキルサルフェート、C
10〜C
18α−スルホン化脂肪酸エステル、C
10〜C
18硫酸化アルキルポリグリコシド、C
10〜C
18アルキルアルコキシサルフェート(「AE
xS」)(式中、xは1〜30である)、並びにC
10〜C
18アルキルアルコキシカルボキシレート、例えば、米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に記載のとおりの1〜5個のエトキシ単位を含む、中鎖分岐アルキルサルフェート;同第6,008,181号及び同第6,020,303号に記載のとおりの中鎖分岐アルキルアルコキシサルフェート;国際公開第99/05243号、同第99/05242号、及び同第99/05244号に記載のとおりの修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);及びα−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0182】
b.カチオン性界面活性剤
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、以下の式(I)を有するものが挙げられる:
【0183】
【化1】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立して、(a)1〜26個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最高22個までの炭素原子を含有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルカルボキシ、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩生成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである。一実施例では、アルキルサルフェートラジカルは、メトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0184】
一般式(I)の好適な四級アンモニウムカチオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、2−エチルヘキシルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジタローオイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアロイルジメチルアンモニウムメトサルフェート、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩が挙げられてよく、ここで、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0185】
好適なカチオン性界面活性剤の非限定的な例は、Akzo Nobel Surfactants(Chicago,IL)から商標名ARQUAD(登録商標)で市販されている。
【0186】
一実施例では、好適なカチオン性界面活性剤には、例えば、最大で26個の炭素原子を有する四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ:米国特許第6,136,769号明細書に記載されているようなアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;同第6,004,922号に記載されているようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド、国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号、及び同第98/35006号で議論されるようなポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号、及び同第6,022,844号に記載されているカチオン性エステル界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号に記載されているようなアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0187】
一実施例では、カチオン性エステル界面活性剤は、洗濯洗浄の条件下で加水分解性である。
【0188】
c.非イオン性界面活性剤
好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコキシル化アルコール(AE)及びアルキルフェノール、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(PFAA)、アルキルポリグリコシド(APG)、C
10〜C
18グリセロールエーテルなどが挙げられる。
【0189】
一実施例では、本開示で有用な非イオン性洗浄界面活性剤の非限定的な例としては、C
12〜C
18アルキルエトキシレート(NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤類(Shell)など);C
6〜C
12アルキルフェノールアルコキシレート(ここで、アルコキシレート単位はエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物である);エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルフェノールエトキシレートとのC
12〜C
18アルコール縮合物及びC
6〜C
12縮合物(PLURONIC(登録商標)(BASF)など);米国特許第6,150,322号において議論されるようなC
14〜C
22中鎖分枝状アルコール(BA);米国特許第6,153,577号、米国特許第6,020,303号及び米国特許第6,093,856号において議論されるようなC
14〜C
22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート類、BAE
x(ここで、xは1〜30である);1986年1月26日に発行された同第4,565,647号(Llenado)に記載のアルキル多糖類;特に、同第4,483,780号及び同第4,483,779号に記載のアルキルポリグリコシド;同5,332,528号に記載のポリヒドロキシ洗剤酸アミド;並びに同第6,482,994号及び国際公開第01/42408号に記載のエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0190】
本開示に好適な市販の非イオン性界面活性剤の例としては、Tergitol(登録商標)15−S−9(C
11〜C
15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)及びTergitol(登録商標)24−L−6NMW(分子量分布の狭い6モルのエチレンオキシドとC
12〜C
14一級アルコールの縮合生成物)(双方ともDow Chemical Companyより販売);Neodol(登録商標)45−9(C
14〜C
15直鎖アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)23−3(C
12〜C
13直鎖アルコール3モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45−7(C
14〜C
15直鎖アルコールと7モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)、Neodol(登録商標)45−5(C
14〜C
15直鎖アルコールと5モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(Shell Chemical Companyより販売);Kyro(登録商標)EOB(C
13〜C
15アルコールと9モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(The Procter & Gamble Companyより販売);及びGenapol LA O3O又はO5O(C
12〜C
14アルコールと3又は5モルのエチレンオキシドとの縮合生成物)(Clariantより販売)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は約8〜約17、及び/又は約8〜約14の範囲のHLBを呈し得る。プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの縮合物もまた使用されてもよい。
【0191】
アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンオキシド縮合物もまた、本開示における非イオン性界面活性剤としての使用に好適である。これらの化合物としては、アルキレンオキシドを含む直鎖構成又分枝鎖構成のいずれかにある、約6〜約14個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールの縮合生成物が挙げられる。このタイプの市販の非イオン性界面活性剤としては、Igepal(登録商標)CO−630(GAF Corporationから販売)、並びにTriton(登録商標)X−45、X−114、X−100及びX−102(全てDow Chemical Companyから販売)が挙げられる。
【0192】
自動食器洗浄用途では、低起泡性非イオン性界面活性剤が使用され得る。好適な低発泡性非イオン性界面活性剤は、米国特許第7,271,138号の第7段10行〜第7段60行に開示されている。
【0193】
他の好適な非イオン性界面活性剤の例は、市販のPluronic(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)、市販のTetronic(登録商標)化合物(BASFにより販売)、及び市販のPlurafac(登録商標)界面活性剤(BASFにより販売)である。
【0194】
d.双極性イオン界面活性剤
双極性又は両性界面活性剤の非限定例としては、二級及び三級アミンの誘導体、複素環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム、四級ホスホニウム、若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極イオン性界面活性剤類の例に関しては、米国特許第3,929,678号の第19欄38行目〜第22欄48行目を参照されたく、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C
8〜C
18(例えば、C
12〜C
18)アミンオキシド、並びにN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートなどのスルホ及びヒドロキシベタインが挙げられる(ここで、アルキル基は、C
8〜C
18、特定の実施例ではC
10〜C
14とすることができる)。
【0195】
e.両性界面活性剤
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族ラジカルが直鎖若しくは分枝鎖であり得る、複素環式二級及び三球アミンの脂肪族誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。その脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、例えば約8〜約18個の炭素原子を含んでよく、少なくとも1つは、アニオン性水可溶化基、例えばカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩を含む。両性界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、第19段18〜35行を参照のこと。
【0196】
香料
1種以上の香料及び/又は香料の原材料、例えば調和剤及び/又はノートは、本開示の1つ以上のフィラメント及び/又は粒子に組み込まれてよい。香料は、アルデヒド香料成分、ケトン香料成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料成分を含んでもよい。
【0197】
1種以上の香料及び/又は香料成分は、本開示の繊維要素及び/又は粒子に含まれてよい。香料及び/又は香料成分として有用な広範な天然及び合成化学成分としては、アルデヒド、ケトン、エステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、サンダルウッド油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる様々な天然の抽出物及びエキスも挙げられる。最終香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。一実施例では、最終香料は、典型的には、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約0.01%〜約10%、及び/又は約0.01%〜約8%、及び/又は約0.01%〜約6%、及び/又は約0.01%〜約4%、及び/又は約0.01%〜約2%、及び/又は約0.05%〜約2重量%を含む。
【0198】
香料送達系
特定の香料送達系、特定の香料送達系を製造する方法及びこの種の香料送達系の使用は、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。香料送達系の非限定的な例には以下のものが挙げられる:
I.ポリマー支援型送達(PAD):この香料送達技術は、香料物質を送達するのにポリマー性材料を用いるものである。古典的なコアセルベーション、水溶性又は部分水溶性〜水不溶性の荷電又は中性ポリマー、液晶、ホットメルト、ヒドロゲル、香料付与プラスチック、マイクロカプセル、ナノ−及びマイクロラテックス、ポリマー性フィルム形成剤、及びポリマー吸収剤、ポリマー吸着剤等がいくつかの例である。PADとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
a.)マトリックス系:芳香剤をポリマーマトリックス又は粒子中に溶解又は分散させる。例えば、香料は、1)製品に配合する前にポリマー中に分散させるか、又は2)製品の配合中又は配合後にポリマーとは別に添加してよい。ポリマーからの香料の拡散は、所望の表面(部位)に付着又は適用されたポリマーマトリックス系から香料を放出させるか、あるいはその放出速度を増加させる上で一般的な誘因であるが、香料の放出を制御する他の多くの誘因が知られている。ポリマー粒子、フィルム、溶液などの内部又は上部への吸収及び/又は吸着はこの技術の態様である。有機物質(例えば、ラテックス)からなるナノ又はマイクロ粒子が、その例である。好適な粒子としては、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロプレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、並びにアクリロニトリル−ブタジエン、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、酢酸ビニル−エチレン、及びこれらの混合物などに基づくポリマー又はコポリマーなどの広範な物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
「標準的な」系とは、ポリマーと結合した予備充填された香料を香料の放出の瞬間まで保持することを意図して「予備充填された」系を指す。かかるポリマーは、未希釈の製品の匂いを抑制し、香料の放出速度に応じて香料ブルーム効果及び/又は持続効果も与え得る。かかる系による課題の1つは、1)製品内安定性(必要時まで担体内部に香料を保持すること)と、2)適時放出(使用時又は乾燥部位から)との理想的なバランスを実現することである。かかる安定性の実現は、製品の保存及び製品の老化中に特に重要である。この課題は、ヘビーデューティ液体洗濯用洗剤などの、水性界面活性剤含有製品に特に明らかである。利用可能な多くの「標準的」マトリックス系は、水性製品に配合した場合に効果的に「平衡」系となる。「平衡」系又はリザーバ系を選択することができ、これは、許容可能な製品内拡散安定性及び利用可能な放出誘因(例えば、摩擦)を有する。「平衡」系は、香料及びポリマーが製品に別々に添加され得る系であり、香料とポリマーとの間の平衡相互作用が、1つ以上の消費者接触点で効果を引き起こす(これに対し、自由香料制御はポリマー支援型送達技術を有しない)。このポリマーもまた、香料で予備充填されてよい。しかしながら、香料の一部又は全部は製品保存時に拡散し、所望の香料原材料(PRM)がポリマーに結合した平衡状態に達する場合がある。すると、ポリマーは香料を表面へと送達し、典型的には、香料が拡散することで放出が行われる。こうした平衡系ポリマーを使用することで、未希釈の製品の未希釈の匂いの強度が低下する可能性がある(通常、予備充填された標準系の場合に特にそうした傾向がある)。かかるポリマーの蓄積は、放出プロファイルを「平坦化」し、持続性を高めることができる。上に示したように、かかる持続性は初期の強度を抑制することによって得られ、配合者が、より高いインパクト又は低い嗅覚閾値(ODT)又は低いコバッツ・インデックス(KI)のPRMを用いて、初期強度が強すぎるか、又は変質されていることのない初期製品嗅覚効果を得ることが可能となる。所望の消費者の接触点に影響を与えるためには、香料の放出は、適用のタイムフレーム内で起きることが重要である。好適なマイクロ粒子、及びマイクロラテックス並びにその製造方法は、米国特許出願第2005/0003980A1号に見出すことができる。マトリックス系は、ホットメルト接着剤及び香料付与プラスチックも含む。更に、疎水的に改質された多糖を香料添加製品に配合することによって、香料蓄積を増加させ、及び/又は香料放出を改変することができる。例えば多糖類及びナノラテックスを含むかかるマトリクス系は全て、PADリザーバ系などの他のPAD系を含む他のPDTと組み合わせて香料マイクロカプセル(PMC)の形態とすることができる。ポリマー支援型送達(PAD)マトリックス系としては、以下の参照文献に記載されているものが挙げられる:米国特許出願公開第2004/0110648A1号、同第2004/0092414A1号、同第2004/0091445A1号及び2004/0087476A1、並びに米国特許第6,531,444号、同第6,024,943号;同第6,042,792号;同第6,051,540号;同第4,540,721号及び同第4,973,422号。
【0200】
シリコーンもPDTとして用いることができるポリマーの例であり、ポリマー支援型送達「マトリックス系」に類似の方法で香料効果をもたらすことができる。かかるPDTは、シリコーン支援型送達(SAD)と称される。シリコーンを香料で予備充填すること、又はシリコーンをPADについて述べたような平衡系として使用することができる。好適なシリコーン並びにその製造方法は、国際特許公開第2005/102261号、米国特許出願公開第20050124530(A1)号、同第2005/0143282A1号、及び国際特許公開第2003/015736号に見出すことができる。米国特許出願第2006/003913(A1)号に記載されるように、官能化シリコーンも使用され得る。シリコーンの例としては、ポリジメチルシロキサン及びポリアルキルジメチルシロキサンが挙げられる。他の例としては、アミン官能性を有するものが挙げられ、これを用いてアミン支援型送達(AAD)、及び/又はポリマー支援型送達(PAD)、及び/又はアミン反応生成物(ARP)に関連する効果を提供することができる。他のかかる例は、米国特許第4,911,852号、米国特許出願公開第2004/0058845(A1)号、同第2004/0092425(A1)号、及び同第2005/0003980(A1)号に見出すことができる。
【0201】
b.)リザーバ系:リザーバ系はコア/シェル型技術、すなわち香料が保護シェルとして機能し得る香料放出制御膜によって包囲される技術としても知られる。マイクロカプセル内部の物質が、コア、内部相、又は充填物と称されるのに対して、この壁は、時としてシェル、コーティング、又は膜と称される。マイクロ粒子、感圧カプセル、又はマイクロカプセルは、この技術の例である。本開示のマイクロカプセルは、コーティング、押し出し、噴霧乾燥、界面重合、その場での重合、及びマトリクス重合が挙げられるが、これらに限定されない、様々な手順によって形成される。使用可能なシェル物質は、水に対する安定性が大きく異なる。最も安定したものとして、水溶液(又は製品)中で特定のPRMをより長期にわたって保持し得るポリオキシメチレン尿素(PMU)系材料がある。かかる系としては、尿素−ホルムアルデヒド、及び/又はメラミン−ホルムアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。安定なシェル材料としては、水溶性若しくは水分散性アクリル酸アルキル酸コポリマー、アルカリ、又はアルカリ塩を含むアニオン性乳化剤の存在下で、油溶性若しくは分散性アミンと、多官能性アクリレート又はメタクリレートモノマー若しくはオリゴマーと、油溶性酸及び反応開始剤との反応生成物として得られるポリアクリレート系材料が挙げられる。例えば架橋度に応じて水に速やかに又はゆっくりと溶解するように、ゼラチン系マイクロカプセルを調製してよい。多くの他のカプセル壁材料が入手可能であり、これらは、観察される香料の拡散安定性の程度が異なっている。理論に束縛されるものではないが、例えば一度所定の表面に付着したカプセルからの香料の放出速度は、通常、製品内の香料拡散安定性の逆数である。このため、例えば尿素−ホルムアルデヒド、及びメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルは、通常、機械的力(例、摩擦力、圧力、剪断応力)などの、カプセルを破壊して香料(芳香剤)の放出速度を増大させる、拡散以外の(又は拡散の他の更なる)放出機構を香料の放出のために必要とする。他の誘因としては、融解、溶解、加水分解又は他の化学反応、及び電磁放射などが挙げられる。予備充填されたマイクロカプセルの使用には、製品内安定性、及び使用時及び/又は表面上(部位上)放出の適正な比に加えてPRMの適切な選択が求められる。尿素−ホルムアルデヒド、及び/又はメラミン−ホルムアルデヒド系のマイクロカプセルは、特に中性に近い水溶液中で比較的安定している。これらの材料は摩擦誘因を必要とする場合があるが、これは全ての製品用途に適用できるものではない。他のマイクロカプセル材料(例、ゼラチン)は、水系製品中では不安定な場合があり、製品の経時後に(自由香料制御と比較して)効果が低下する場合もある。擦ると香りが出る(スクラッチ・アンド・スニフ)技術は、PADの更なる別の例である。香料マイクロカプセル(PMC)は以下の参考文献に記載のものを含み得る:米国特許出願公開第2003/0125222(A1)号;同第2003/215417A1号、同第2003/216488A1号、同第2003/158344A1号、同第2003/165692A1号、同第2004/071742A1号、同第2004/071746A1号、同第2004/072719A1号、同第2004/072720A1号、同第2006/0039934(A1)号;同第2003/203829A1号、同第2003/195133A1号、同第2004/087477A1号、同第2004/0106536(A1)号、及び米国特許第6,645,479(B1)号;同第6,200,949(B1)号;同第4,882,220号;同第4,917,920号;同第4,514,461号;同第6,106,875号及び同第4,234,627号、同第3,594,328号、並びに米国再発行特許第32713号、国際公開第2009/134234(A1)号、同第2006/127454(A2)号、同第2010/079466(A2)号、同第2010/079467(A2)号、同第2010/079468(A2)号、同第2010/084480(A2)号に記載のものが挙げられる。
【0202】
II.分子支援型送達(MAD):非ポリマー材料又は分子もまた、香料の送達性を高める機能を有し得る。理論に束縛されるものではないが、香料は、有機物質と非共有結合的に相互作用する場合があり、香料の異常な蓄積及び/又は放出につながる。かかる有機物質の非限定例としては、有機油、ワックス、鉱油、ワセリン、脂肪酸又はエステルなどの疎水性物質、糖類、界面活性剤、リポソーム、及び更には他の香料原料(香油)、並びにボディーオイル及び/又は他の汚れなどの天然油が挙げられるが、これらに限定されない。香料定着剤は、更なる別の例である。一態様では、非ポリマー材料又は分子は、約2よりも大きいCLogP値を有する。分子支援型送達(MAD)にはまた、米国特許第7,119,060号及び同第5,506,201号に記載のものが含まれる。
【0203】
III.繊維支援型送達(FAD):部位の選択又は使用は、それ自体が香料の送達を改善するように機能し得る。実際に、部位自体が、香料送達技術であり得る。例えば、綿又はポリエステルなどの異なる種類の布地は、香料を誘引する及び/又は保持する及び/又は放出する能力に関して異なる性質を有する。繊維の表面又は繊維中に堆積される香料の量は、繊維の選択によって、また、繊維の履歴又は処理によって、並びに任意の繊維コーティング又は処理によって変化し得る。繊維は、織繊維でも不織繊維でもよく、天然繊維でも合成繊維でもよい。天然繊維としては植物、動物、及び地質学的プロセスによって作られるものが挙げられ、綿、リネン、黄麻、亜麻、カラムシ、サイザルアサ、及び紙や衣服の製造に用いられる繊維が挙げられるがこれらに限定されない。繊維支援型送達は、サーモメカニカルパルプ、晒又は未晒クラフト、又は亜硫酸パルプなどの木質繊維の使用からなり得る。動物繊維は、主として絹、羽毛、腱、腸、及び毛髪(ウールなど)などの特定のタンパク質からなるものである。合成化学物質に基づいたポリマー繊維としては、ポリアミドナイロン、PET又はPBTポリエステル、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)、ポリビニルアルコール繊維(PVOH)、ポリ塩化ビニル繊維(PVC)、ポリオレフィン(PP、及びPE)及びアクリルポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。こうした繊維は全て香料で予備充填し、次いで自由香料、及び/又は1つ以上の香料送達技術を含有しても含有しなくてもよい製品に加えることができる。1つの態様では、香料で充填する前に繊維を製品に加え、次いで繊維中に拡散し得る香料を製品に加えることによって繊維に香料を充填してもよい。理論に束縛されるものではないが、香料は、例えば、製品の保存時に繊維表面に吸収されるか繊維内部に吸着され、後に1つ以上の適切な時点又は消費者接触点において放出され得る。
【0204】
IV.アミン支援型送達(AAD):アミン支援型送達技術の手法は、アミン基を含有する材料を使用することによって香料の付着量を増大させる、又は製品使用時の香料放出性を調整するものである。この手法では、製品への添加に先立って香料原材料とアミンとを予め複合又は予め反応させる必要がない。一態様では、本明細書における使用に好適なアミン含有AAD物質は、非芳香族、例えば、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine、PEI)若しくはポリビニルアミン(polyvinylamine、PVAm)等のポリアルキルイミン又は芳香族、例えばアントラニレートであり得る。このような材料は、ポリマーであってもよく、非ポリマーであってもよい。一態様では、このような材料は、少なくとも1つの第1級アミンを含有する。この技術は、アミン官能性によって低ODTの香料のノート(例えば、アルデヒド、ケトン、エノン)の持続性を高め、放出も制御とし、理論に束縛されるものではないが、更にポリマー性アミンのポリマー支援型送達による他のPRMの送達を可能とするものである。この技術を用いない場合、揮発性のトップノートの寿命が非常に短くなり、トップノートに対しミドルノート及びベースノートの割合が高くなってしまう。ポリマー性アミンの使用により、より高濃度のトップノート、及び他のPRMを使用することで未希釈の製品の匂いが理想よりも強くなり過ぎないように新鮮さを持続したり、トップノート及び他のPRMをより効率的に利用することが可能となる。1つの態様では、AAD系は中性付近よりも高いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AAD系の、より多くのアミンが脱プロトン化されるような条件下では、不飽和ケトン及びダマスコーンなどのエノンを含むアルデヒド、並びにケトンなどのPRMに対する、脱プロトン化されたアミンの親和性が高くなる可能性がある。別の態様では、ポリマーアミンは、中性付近よりも低いpHにおいてPRMを効果的に送達する。理論に束縛されるものではないが、AAD系よりも多くのアミンがプロトン化されるような条件下では、アルデヒド、及びケトンなどのPRMに対する、プロトン化されたアミンの親和性が低くなり、幅広いPRMに対してポリマー骨格の親和性が高くなる可能性がある。かかる態様では、ポリマー支援型送達は、より多くの香料効果を送達することができ、かかる系はAADのサブ種であり、アミン−ポリマー支援型送達又はAPADと称され得る。pHが7未満の組成物でAPADを使用する場合には、かかるAPAD系もポリマー支援型送達(PAD)と考えることもできる。更なる別の態様では、AAD及びPAD系はアニオン界面活性剤又はポリマーなどの他の材料と相互作用してコアセルベート及び/又はコアセルベート様の系を形成する。別の態様では、例えば、硫黄、リン、又はセレンなどの窒素以外のヘテロ原子を含有する材料をアミン化合物の代わりに使用することができる。更に別の態様において、上述の代替化合物をアミン化合物と併用してもよい。更なる別の態様において、1つの分子が、アミン部分と、代替ヘテロ原子部分(例えば、チオール、ホスフィン及びセレノール)のうちの1つ以上と、を含んでもよい。好適なAAD系及びその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、同第2003/0199422(A1)号、同第2003/0036489(A1)号、同第2004/0220074(A1)号、及び米国特許第6,103,678号に見出すことができる。
【0205】
V.シクロデキストリン送達系(CD):この技術手法は、環状オリゴ糖又はシクロデキストリンを用いて香料の送達を向上させる。一般的に、香料とシクロデキストリン(CD)との複合体を形成する。かかる複合体は、事前形成してもよいし、その場で形成してもよいし、部位の表面又は内部で形成してもよい。理論に束縛されるものではないが、特に他の補助成分(例、界面活性剤)がシクロデキストリンの内腔をめぐって香料と競合するような高濃度で存在しない場合には、水の損失によって、平衡状態は、CD−香料複合体側に移動し得る。後の時点で水との接触や含水量の増大が起こった場合に、ブルーム効果が得られる可能性がある。加えて、シクロデキストリンによって香料の配合者によるPRMの選択の柔軟性が増加する。シクロデキストリンは所望の香料安定性、蓄積、又は放出効果を得るために香料で予備充填してもよく、あるいは香料とは別に添加してもよい。好適なCD並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号及び同第2006/0263313(A1)号、並びに米国特許第5,552,378号、同第3,812,011号、同第4,317,881号、同第4,418,144号及び同第4,378,923号に見出すことができる。
【0206】
VI.デンプン封入アコード(SEA):デンプン封入アコード(SEA)技術の使用により、例えばデンプンなどの成分を加えて液体香料を固体に変換することによって、香料の性質を改変することが可能である。その効果としては、製品保存時の香料の保持率が特に非水性条件下において向上することが挙げられる。水分との接触時には、香料のブルームが誘発され得る。製品の配合者は、デンプンによって、通常であればSEAの非存在下では使用できないPRM又はPRMの濃度を選択することが可能となることから、他の最適な時点で更に効果が得られる可能性がある。別の技術の例としては、香料を液体から固体に転化する上でシリカなどの他の有機及び無機材料を使用することが挙げられる。好適なSEA並びにその製造方法は米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号、及び米国特許第6,458,754(B1)号に見出すことができる。
【0207】
VII.無機担体送達系(ZIC):この技術は香料を送達するのに多孔質のゼオライト又は他の無機材料を使用することに関する。香料充填ゼオライトは、例えば、香料充填ゼオライト(PLZ)をコーティングするために使用される補助成分と共に又は補助成分なしで使用して、製品の保存の間、又は使用時、又は乾燥部位からの香料放出特性を変化させることができる。好適なゼオライト及び無機担体、並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号及び米国特許第5,858,959号、同第6,245,732(B1)号、同第6,048,830号及び同第4,539,135号に見出すことができる。シリカは、ZICの別の形態である。好適な無機担体の別の例としては、香料又は他の活性物質がナノ小管又はマイクロ小管の内腔内に収容されている、無機小管が挙げられる。1つの態様では、香料充填無機小管(又は、香料充填小管(PLT))は、ハロイサイト、又はハロイサイトと他の無機材料(他の粘土など)との混合物などの、鉱物性のナノ又はマイクロ小管である。PLT技術はまた、製品内拡散安定性、所望の部位への付着を向上させるため、又は充填された香料の放出速度を制御する目的で、小管の内側及び/又は外側に更なる成分を含んでもよい。デンプン封入体などのモノマー性材料及び/又は高分子材料を使用することによって、PLTのコーティング、プラギング、キャッピング又は封入が可能になる。好適なPLT系及びその製造方法は、米国特許第5,651,976号において見出すことができる。
【0208】
VIII.プロ香料(PP):この技術は、1つ以上のPRMと1つ以上の担体との間に共有結合を有する材料を形成するために香料材料と他の基材又は化学物質とを反応させることから得られる香料技術を指す。PRMは、プロPRM(すなわち、プロ香料)と呼ばれる新たな材料に変換され、プロPRMは、次いで、水又は光などの誘因に曝されたときに元のPRMを放出し得る。プロ香料は、香料付着性、持続性、安定性、保持性を増加させるように、香料送達特性を向上させ得るものである。プロ香料には、モノマー性(非ポリマー性)又はポリマー性のものがあり、予備形成されていてもよく、製品内保存時あるいは湿潤又は乾燥部位に存在し得るような平衡条件下でその場で形成してもよい。プロ香料の非限定的な例としては、マイケル付加物(例、β−アミノケトン)、芳香族又は非芳香族イミン(シッフ塩基)、オキサゾリジン、β−ケトエステル、及びオルトエステルが挙げられる。別の態様としては、例えばα、β−不飽和ケトン、アルデヒド又はカルボン酸エステルなどの、PRMを放出可能な1つ以上のβ−オキシ−又はβ−チオ−カルボニル部分を含む化合物が含まれる。香料放出の典型的な誘因は、水に曝すことであるが、他の誘因として、酵素、熱、光、pH変化、自動酸化、平衡のシフト、及び濃度又はイオン強度の変化などが挙げられ得る。水性の製品では、光誘因プロ香料が特に適している。かかる光プロ香料(PPP)には、限定するものではないが、誘発時にクマリン誘導体、及び香料、及び/又はプロ香料を放出するものが挙げられる。放出されたプロ香料は、上述の任意の誘因によって1つ以上のPRMを放出し得る。1つの態様では、光プロ香料は、光、及び/又は水分誘因に曝された場合に窒素系プロ香料を放出する。別の態様では、光プロ香料から放出された窒素系プロ香料は、例えばアルデヒド、ケトン(エノンなど)、及びアルコールから選択される1つ以上のPRMを放出する。更なる別の態様では、PPPは、ジヒドロキシクマリン誘導体を放出する。光誘発プロ香料はまた、クマリン誘導体及び香料アルコールを放出するエステルであってもよい。一態様では、プロ香料は、米国特許出願公開第2006/0020459(A1)号に記載のジメトキシベンゾイン誘導体である。別の態様では、プロ香料は、電磁放射線に曝されるとアルコールを放出する3’,5’−ジメトキシベンゾイン(DMB)誘導体である。更なる別の態様では、プロ香料は、リナロール、テトラヒドロリナロール、又はジヒドロミルセノールなどの三級アルコールを含む1つ以上の低ODTのPRMを放出する。好適なプロ香料及びその製造方法は、米国特許第7,018,978(B2)号、同第6,987,084(B2)号;同第6,956,013(B2)号;同第6,861,402(B1)号;同第6,544,945(B1)号;同第6,093,691号、同第6,277,796(B1)号;同第6,165,953号、同第6,316,397(B1)号;同第6,437,150(B1)号;同第6,479,682(B1)号;同第6,096,918号、同第6,218,355(B1)号;同第6,133,228号、同第6,147,037号、同第7,109,153(B2)号;同第7,071,151(B2)号;同第6,987,084(B2)号;同第6,610,646(B2)号及び同第5,958,870号に見出すことができ、並びに、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号及び同第2006/0223726(A1)号に見出すことができる。
【0209】
a.)アミン反応生成物(ARP):本出願の目的において、ARPは、PPの下位又は種である。アミン官能基を1つ以上のPRMと予め反応させてアミン反応生成物(ARP)を形成する「反応性」ポリマーアミンを使用してよい。典型的には、反応性アミンは、一級及び/又は二級アミンであり、ポリマーの一部であってもモノマー(非ポリマー)であってもよい。また、このようなARPを追加のPRMと混合して、ポリマー支援型送達効果及び/又はアミン支援型送達の効果を提供することもできる。ポリマーアミンの非限定的な例としては、ポリエチレンイミン(PEI)などのポリアルキルイミン、又はポリビニルアミン(PVAm)に基づくポリマーが挙げられる。モノマー(非ポリマー)アミンの非限定的な例としては、ヒドロキシルアミン(例えば、2−アミノエタノール)及びそのアルキル置換誘導体、並びに芳香族アミン(例えば、アントラニレート)が挙げられる。ARPは、香料と事前混合しておいてもよく、リーブオン用途又はリンスオフ用途では別個に添加してもよい。別の態様では、例えば、酸素、硫黄、リン又はセレンなどの窒素以外のヘテロ原子を含有する物質を、アミン化合物の代わりに使用することができる。更に別の態様において、上述の代替化合物をアミン化合物と併用してもよい。更なる別の態様において、1つの分子が、アミン部分と、代替ヘテロ原子部分(例えば、チオール、ホスフィン及びセレノール)のうちの1つ以上と、を含んでもよい。その効果としては、香料の送達向上に加えて、香料の放出制御を挙げることができる。好適なARP並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980(A1)号及び米国特許第6,413,920(B1)号に見ることができる。
【0210】
抗微生物剤、抗菌剤、及び抗真菌剤
ある実施例では、ピリジンチオン粒子は、本開示で使用するのに好適な抗菌活性剤である。ある実施例では、抗ふけ活性剤は、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩であり、粒子形態である。ある実施例では、ピリジンチオン粒子の濃度は、本開示の繊維構造体の乾燥繊維要素、及び/又は乾燥粒子、及び/又は乾燥繊維構造体の約0.01重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.1重量%〜約2重量%の範囲である。ある実施例では、ピリジンチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウムなどの重金属、一般的には亜鉛から形成されるもの、典型的には1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「亜鉛ピリジンチオン」又は「ZPT」として知られている)、通常、血小板粒子形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩である。ある実施例では、小板形粒子形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定されるとき、約20マイクロメートル以下、又は約5マイクロメートル以下、又は約2.5マイクロメートル以下の平均粒径を有する。他のカチオン(例えば、ナトリウム)から形成される塩もまた好適であり得る。ピリジンチオン活性物質は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0211】
別の実施例では、抗菌剤は、トリクロサン、トリクロカルバン、クロロヘキシジン、メトロニトゾール、及びこれらの混合物から選択される。
【0212】
ある実施例では、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗菌活性物質に加えて、組成物は、1つ以上の抗真菌及び/又は抗菌活性物質を更に含んでよい。ある実施例では、抗細菌活性物質は、コールタール、硫黄、アゾール、硫化セレン、硫黄粒子、角質溶解薬、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィンなど)、ティーツリー油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC−50、Elestab HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ(lyticase)、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンなどのイソチアザリノン、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0213】
漂白剤
本開示の繊維要素及び/又は粒子は、1種以上の漂白剤を含んでよい。好適な漂白剤の非限定的な例としては、ペルオキシ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、次亜ハロゲン酸系漂白剤、漂白剤前駆体、漂白活性剤、漂白触媒、過酸化水素、漂白促進剤、光漂白剤、漂白性酵素、フリーラジカル開始剤、過酸素系漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0214】
本開示の繊維要素及び/又は粒子に含まれ得る1種以上の漂白剤は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.05重量%〜約30重量%、及び/又は約1重量%〜約20重量%の濃度で含まれ得る。存在する場合には、漂白活性剤は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.1重量%〜約60重量%、及び/又は約0.5重量%〜約40重量%の濃度で本開示の繊維要素及び/又は粒子に存在してよい。
【0215】
漂白剤の非限定的な例としては、酸素系漂白剤、過ホウ酸塩系漂白剤、過カルボン酸系漂白剤及びそれらの塩、過酸素系漂白剤、過硫酸塩系漂白剤、過炭酸塩系漂白剤、及びこれらの混合物が挙げられる。更に、漂白剤の非限定的な例は、米国特許第4,483,781号、米国特許出願第740,446号、欧州特許出願第0133354号、米国特許第4,412,934号、及び同第4,634,551号に開示されている。
【0216】
漂白活性剤の非限定的な例(例えばアシルラクタム活性剤)は、米国特許第4,915,854号、同第4,412,934号、同第4,634,551号、及び同第4,966,723号に開示されている。
【0217】
一実施例では、漂白剤は遷移金属漂白触媒を含んでもよく、これは封入されてもよい。遷移金属漂白触媒は、典型的には、例えばMn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ni(I)、Ni(II)、Ni(III)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、Cr(VI)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)、W(IV)、W(V)、W(VI)、Pd(II)、Ru(II)、Ru(III)、及びRu(IV)からなる群から選択される遷移金属からの遷移金属イオンを含む。一実施例では、遷移金属はMn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(V)、及びCr(VI)からなる群から選択される。遷移金属漂白触媒は、典型的には配位子を含み、例えば架橋マクロ多環状配位子などのマクロ多環状配位子を含む。遷移金属イオンは配位子に配位され得る。更に、配位子は、少なくとも4つの供与原子を含んでもよく、そのうちの少なくとも2つは、橋頭供与原子である。好適な遷移金属漂白触媒の非限定的な例は、米国特許第5,580,485号、米国特許第4,430,243号;米国特許第4,728,455号;米国特許第5,246,621号;米国特許第5,244,594号;米国特許第5,284,944号;米国特許第5,194,416号;米国特許第5,246,612号;米国特許第5,256,779号;米国特許第5,280,117号;米国特許第5,274,147号;米国特許第5,153,161号;米国特許第5,227,084号;米国特許第5,114,606号;同第5,114,611号、欧州特許第549,271(A1)号;欧州特許第544,490(A1)号;同第549,272(A1)号、及び同第544,440(A2)号に記載されている。一実施例では、好適な遷移金属漂白触媒は、例えば米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒を含む。別の例では、好適なコバルト漂白触媒は、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に教示されているとおり、公知の手順によって容易に作製される。更に別には、好適な遷移金属漂白触媒は、国際公開第05/042532(A1)号に記載のビスピドンなど配位子の遷移金属錯体を含む。
【0218】
漂白触媒の非限定的な例としては、規定された漂白触媒活性の、銅、鉄、チタニウム、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオンなどの遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムカチオンなどの漂白触媒活性をわずかに有する、又は全く有さない補助的な金属カチオン、並びに触媒及び補助金属陽イオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性塩を含む触媒系が挙げられる。かかる触媒は、米国特許第4,430,243号に記載されている。他の種の漂白触媒としては、米国特許第5,246,621号及び同第5,244,594号に開示されているマンガン系錯体が挙げられる。これらの触媒の好ましい例としては、Mn.sup.IV.sub.2(u−O).sub.3(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン).sub.2−(PF.sub.6).sub.2(「MnTACN」)、Mn.sup.III.sub.2(u−O).sub.1(u−OAc).sub.2(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン).sub.2−(ClO.sub.4).sub.2、Mn.sup.IV.sub.4(u−O).sub.6(1,4,7−トリアザシクロノナン).sub.4−(ClO.sub.4).sub.2、Mn.sup.III Mn.sup.IV.sub.4(u−O).sub.1(u−OAc).sub.2(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン).sub.2−(ClO.sub.4).sub.3、及びこれらの組み合わせが挙げられる。欧州特許出願公開第549,272号も参照されたい。本明細書での使用に好適な他の配位子としては、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、及びこれらの混合物が挙げられる。自動食器洗浄組成物及び濃縮粉末洗剤組成物で有用な漂白触媒は、本開示のために適宜選択され得る。好適な漂白触媒の例としては、米国特許第4,246,612号及び同第5,227,084号を参照されたい。Mn(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(OCH3).sub.3−(PF.sub.6)などの単核マンガン(IV)錯体を教示している米国特許第5,194,416号も参照されたい。米国特許第5,114,606号に開示されるような更に別の種の漂白触媒は、少なくとも3つの連続するC−OH基を有する非カルボキシレートポリヒドロキシ化合物である配位子を有するマンガン(II)、(III)、及び/又は(UV)の水溶性錯体である。好ましい配位子としては、ソルビトール、イジトール、ズルシトール、マンニトール、キシリトール、アラビトール、アドニトール、メト−エリスリトール、メト−イノシトール、ラクトース、及びこれらの混合物が挙げられる。米国特許第5,114,611号は、非−(マクロ)−環状配位子を有するMn、Co、Fe、又はCuなど遷移金属の錯体を含む漂白触媒を教示している。配位子の非限定的な例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、及びトリアゾールの環が挙げられる。一実施例では、配位子は2,2’−ビスピリジルアミンである。一実施例では、漂白触媒としては、Co(2,2’−ビスピリジルアミン)Cl
2、ジ(イソチオシアナト)ビスピリジルアミン−コバルト(II)、トリスピリジルアミン(trisdipyridylamine)−コバルト(II)過塩素酸塩、Co(2,2−ビスピリジルアミン)
2O
2ClO
4、ビス−(2,2’−ビスピリジルアミン)銅(II)過塩素酸塩、トリス(ジ−2−ピリジルアミン)鉄(II)過塩素酸塩、及びこれらの混合物などCo、Cu、Mn、Fe、−ビスピリジルメタン及びビスピリジルアミン錯体が挙げられる。漂白触媒の他の例としては、Mnグルコネート、Mn(CF
3SO
3)
2、Co(NH
3)
5Cl、並びにN
4Mn(III)(u−O)
2Mn(IV)N
4)
+及び[Bipy
2Mn(III)(u−O)
2Mn(IV)bipy
2]−(ClO
4)
3を含む、N四座及びN二座の配位子と錯体を形成した二核Mnが挙げられる。
【0219】
また、漂白触媒は、水溶性リガンドを水溶性マンガン塩と水性媒体中で合わせ、得られた混合物を蒸発により濃縮することによって調製することもできる。本明細書では、マンガンの任意の便利な水溶性塩を使用することができる。マンガン(II)、(III)、(IV)及び/又は(V)は、商業規模で容易に入手可能である。場合によっては、十分なマンガンが洗浄液中に存在してもよいが、一般に、触媒として有効な量で存在するようにするために、組成物中に洗剤組成物のMnカチオンが存在することが好ましい。したがって、MnSO.sub.4,Mn(ClO.sub.4).sub.2又はMnCl.sub.2からなる群から選択される、配位子のナトリウム塩及びメンバーは、約1:4〜4:1の範囲の配位子:Mnのモル比で水中に溶解される。水は、最初に沸騰により脱酸素され、窒素で噴霧することによって冷却されてよい。得られた溶液を蒸発させ(所望であればN.sub.2下で)、得られた固体を更に精製することなく本明細書の漂白及び洗剤組成物に使用する。
【0220】
代替モードでは、MnSO.sub.4など水溶性マンガン源は、漂白剤/洗浄組成物に、又は配位子を含む水性漂白/洗浄浴に添加される。いくつかの種の錯体が明らかにその場で形成され、改善された漂白性能が確保される。かかるその場プロセスでは、マンガンよりも相当にモル過剰量の配位子を使用することが好都合であり、配位子:Mnは、典型的には3:1〜15:1である。追加の配位子も、鉄及び銅のような不安定な金属イオンを掃去し、これによって漂白剤を分解から保護するのにも利用できる。1つの可能なかかる系は、欧州特許出願公開第549,271号に記載されている。
【0221】
本開示で有用な漂白触媒性マンガン錯体の構造は解明されていないが、それらは、配位子のカルボキシル原子及び窒素原子とマンガンカチオンとの相互作用から生じるキレート又は他の水和配位錯体を含むと推定され得る。同様に、触媒プロセス中のマンガンカチオンの酸化状態は確実には知られておらず、(+II)、(+III)、(+IV)又は(+V)原子価状態であってよい。マンガンカチオンに結合する配位子の可能な6個の点により、多核種及び/又は「ケージ」構造が水性漂白媒体中に存在し得ることが合理的に推測され得る。実際に存在する活性
【0222】
【数1】
の形態がいかなるものであっても、茶、ケッチアップ、コーヒー、ワイン、ジュースなど頑固な染みに対して改善された漂白性能を提供する。
【0223】
他の漂白触媒は、例えば、欧州特許出願公開第408,131号(コバルト錯体触媒)、同第384,503号及び同第306,089号(メタロポルフィリン触媒)、米国特許第4,728,455号(マンガン/多座配位子触媒)、同第4,711,748号及び欧州特許出願公開第224,952号(アルミノシリケート触媒にマンガンを吸収させた)、米国特許第4,601,845号(マンガン及び亜鉛又はマグネシウム塩を含むアルミノケイ酸塩担体)、同第4,626,373号(マンガン/配位子触媒)、同第4,119,557号(第二鉄錯体触媒)、独国特許明細書第2,054,019号(コバルトキレート触媒)、加国特許第866,191号(遷移金属含有塩)、米国特許第4,430,243号(マンガンカチオン及び非触媒金属カチオンを有するキレート剤)、並びに米国特許第4,728,455号(マンガングルコネート触媒)に記載されている。
【0224】
一実施例では、漂白触媒は、式[Co(NH.sub.3).sub.5 Cl]Y.sub.y、特に[Co(NH.sub.3).sub.5 Cl]CI.sub.2を有するコバルトペンタアミンクロリド塩を含む。本明細書で有用な他のコバルト漂白触媒は、例えば、M.L.Tobe,「Base Hydrolysis of Transition−Metal Complexes」,Adv.Inorg.Bioinorg.Mech.,(1983),2,1−94ページに記載されている。例えば、17ページの表1には、
【0225】
【数2】
と錯体を形成したコバルトペンタアミン触媒の塩基加水分解速度(文献中ではk.sub.OHと表記)が提供されている。本明細書で有用な最も好ましいコバルト触媒は、式[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc]T.sub.y(式中、OAcは酢酸部分を表す)を有するコバルトペンタアミン酢酸塩、特にコバルトペンタアミンアセテートクロリド、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc]Cl.sub.2、並びに[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](OAc).sub.2、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](PF.sub.6).sub.2、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](SO.sub.4)、[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](BF.sub.4).sub.2、及び[Co(NH.sub.3).sub.5 OAc](NO.sub.3).sub.2)である。
【0226】
これらの漂白触媒は、既知の手順によって容易に調製することができ、例えば、本明細書のTobe論文及びその中に引用されている参考文献、米国特許第4,810,410号(Diakunら、1989年3月7日発行);J.Chem.Ed.(1989),66(12),1043−45;The Synthesis and Characterization of Inorganic Compounds,W.L.Jolly Prentice−Hall;1970),pp.461−3;Inorg.Chem.,18,1497−1502(1979);Inorg.Chem.,21,2881−2885(1982);Inorg.Chem.,18,2023−2025(1979);Inorg.Synthesis,173−176(1960);及びJournal of Physical Chemistry 56,22−25(1952)に教示されているもののような既知の手順により容易に調製される。これらの漂白触媒はまた、製品の審美性のために所望される場合には色の影響を低減するために補助材料と共処理されてもよく、又は以下に例示されるような酵素含有粒子に含まれてもよく、又は組成物は、触媒「スペックル」を含有するように製造されてよい。
【0227】
酸素系漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野において既知であり、本明細書において使用することができる(例えばスルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニンのような光活性化漂白剤(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,033,718号)、及び/又は予備形成有機過酸、例えばペルオキシカルボン酸若しくはその塩、及び/又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩)。1つの例では、好適な有機過酸は、フタロイルイミドペルオキシカプロン酸又はその塩を含む。存在する場合には、光活性化による漂白開始剤(例えばスルホン化亜鉛フタロシアニン)は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約0.025重量%〜約1.25重量%の濃度で本開示の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体に存在してよい。
【0228】
漂白活性剤の非限定例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、フェニルベンゾエート(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C.sub.10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C.sub.8−OBS)、過加水分解可能な(perhydrolyzable)エステル及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタムである。約8〜約9.5のpH範囲にある、特に好ましい漂白活性剤はOBS又はVL脱離基を有するものから選択される。四級置換漂白活性剤(四級置換漂白活性剤(QSBA)又は四級置換過酸(QSP))も含まれてもよい。
【0229】
有機過酸化物の非限定例、特にジアシルペルオキシドは、Kirk Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.17,John Wiley and Sons,1982の27〜90ページ、特に63〜72ページに広範に説明されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。ジアシルペルオキシドを使用する場合、これはスポッティング/フィルミングへの悪影響を最小限に抑えるものであり得る。
【0230】
移染防止剤
本開示の繊維要素及び/又は粒子は、1つ以上の移染防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、並びにポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。移染防止剤は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約0.0001%〜約10%、約0.01%〜約5%、又は更には約0.1%〜約3重量%の濃度で、本開示の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体製品に存在してもよい。
【0231】
増白剤
本開示の繊維要素及び/又は粒子は、増白剤、例えば蛍光増白剤など活性剤を含んでよい。かかる増白剤は、洗浄される物品を着色してよい。
【0232】
繊維要素及び/又は粒子は、C.I.蛍光増白剤260を、以下の構造を有するα−結晶質形態で、含み得る。
【0234】
一態様において、増白剤は、α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260など冷水可溶性増白剤である。
【0235】
一態様では、増白剤は、主にα−結晶質形態にあり、これは、典型的には少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも99重量%、又は更には実質的に全てのC.I.蛍光増白剤260がα−結晶質形態にあることを意味する。
【0236】
増白剤は、典型的には、中央粒径試験法に従って測定されるとき、3〜30μm、3〜20μm、又は3〜10μmの重量平均一次粒径を有する、微粉化粒子形態であってよい。
【0237】
組成物は、βクリスタリンの形態をなすC.I.蛍光増白剤260を含んでもよく、(i)α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260と、(ii)β−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260との重量比は少なくとも0.1、又は少なくとも0.6となり得る。
【0238】
BE680847は、α−結晶質形態のC.I.蛍光増白剤260の製造プロセスに関する。
【0239】
本開示において有用であり得る市販の光増白剤は、サブグループに分類でき、そのグループとしては、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5員及び6員の複素環、及びその他の様々な作用剤の誘導体が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。かかる増白剤の例は、「The Production and Application of Fluorescent Brightening Agents」(M.Zahradnik、John Wiley & Sons発行、(New York)(1982))に開示されている。本組成物において有用である蛍光増白剤の具体的な非限定例は、米国特許第4,790,856号及び同第3,646,015号に特定されているものである。
【0240】
更に好適な増白剤は、以下の構造を有する。
【0242】
好適な蛍光増白剤濃度としては、約0.01、約0.05、約0.1又は更には約0.2重量%の下限から0.5又は更には0.75重量%の上限までが挙げられる。
【0243】
一態様では、増白剤を粘土に装填して粒子を形成してもよい。
【0244】
色相剤
組成物は、色相剤を含んでよい。好適な色相剤としては、染料、染料−粘土複合体、及び顔料が挙げられる。好適な染料としては、低分子染料及び高分子染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アッシドレッド、アッシドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット及びベーシックレッド、又はこれらの混合物の色指数(Colour Index、C.I.)分類に区分される染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0245】
別の態様では、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、ダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトバイオレット99、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90、及びアシッドブルー113、アシッドブラック1、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー45、アシッドブルー113、アシッドブラック1、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、及びこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の一態様において、好適な小分子染料には、カラーインデックス(Society of Dyers and Colourists(Bradford,UK))番号で、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113、又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0246】
好適な高分子染料には、共役色原体を含むポリマー(染料−ポリマー共役体)、ポリマーの骨格に共重合した色原体を有するポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0247】
別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg,South Carolina,USA)の名称で販売されている表面直接着色剤(surface-substatntive colorants)、少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーと、から形成される染料−ポリマー共役体からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。更に別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg(South Carolina,USA))バイオレットCT、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッド染料で共役されているカルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば、Megazyme(Wicklow,Ireland)から商品名AZO−CM−CELLULOSE、商品コードS−ACMCで販売されているC.I.リアクティブブルー19と共役しているCMC、アルコキシル化トリフェニール−メタン高分子着色料、アルコキシル化チオフェン高分子着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0248】
好ましい色相染料として、国際公開第08/87497(A1)号に含まれる増白剤が挙げられる。これらの増白剤は以下の構造(I)によって特徴付けられてよい:
【0249】
【化4】
式中、R
1及びR
2は、独立して、以下から選択され得る:
a)[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である]、
b)R
1=アルキル、アリール又はアリールアルキル、及びR
2=[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である]、
c)R
1=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]及びR
2=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]
[式中、R
3は、H、(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
R
4は、(C
1〜C
16)アルキル基、アリール基、及びこれらの混合物からなる群から選択される]、
d)式中、R1及びR2は、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルの、アミノ付加生成物に1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加したものから独立して選択することができる。
【0250】
本開示の好ましい増白剤は以下の構造(II)によって特徴付けられてよい:
【0251】
【化5】
[式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R’’は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である]。
【0252】
本開示の更に好ましい増白剤は、以下の構造(III)によって特徴付けられてよい:
【0254】
この増白剤は一般に「Violet DD」と呼ばれている。Violet DDは典型的に合計5個のEO基を有する混合物である。この構造は、上記の「パートa」に示される以下のペンダント基の構造Iにおける以下の選択によって達成される。
【0256】
更なる増白剤としては、米国特許出願公開第2008/34511(A1)号(Unilever)に記載されているものが挙げられる。好ましい薬剤は、「Violet 13」である。
【0257】
好適な染料−粘土結合体としては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料及びスメクタイト粘土、並びにこれらの混合物を含む群から選択される染料−粘土結合体が挙げられる。別の態様では、好適な染料−粘土複合体としては、C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、CIベーシックブラック1〜11からなる群から選択される1つの陽イオン性/塩基性染料と、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土及びこれらの混合物からなる群から選択される粘土とからなる群から選択される、染料粘土複合体が挙げられる。更に別の態様では、好適な染料粘土複合体としては、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2複合体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2複合体、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595複合体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015複合体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555複合体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040複合体、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160複合体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2複合体、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土複合体が挙げられる。
【0258】
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1〜4個の塩素原子を含有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(イミド基は、非置換であってもよく、又はC1〜C3−アルキル若しくはフェニル若しくは複素環式ラジカルによって置換されていてもよく、当該フェニル及び複素環式ラジカルは、水溶性を付与しない置換基を更に有してもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、1分子あたり最高2個の塩素原子を含有し得る銅フタロシアニン、1分子あたり最高14個の臭素原子を含有するポリクロロ−銅フタロシアニン又はポリブロモクロロ−銅フタロシアニン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0259】
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0260】
前述の布地色相剤は、組み合わせて用いることができる(布地色相剤のいずれの混合物も用いることができる)。好適な布地色相剤は、Aldrich(Milwaukee,Wisconsin,USA)、Ciba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)、BASF(Ludwigshafen,Germany)、Dayglo Color Corporation(Mumbai,India)、Organic Dyestuffs Corp.(East Providence,Rhode Island,USA)、Dystar(Frankfurt,Germany)、Lanxess(Leverkusen,Germany)、Megazyme(Wicklow,Ireland)、Clariant(Muttenz,Switzerland)、Avecia(Manchester,UK)から購入できる、及び/又は本明細書に含まれる実施例に従って製造可能である。好適な色調剤は、米国特許第7,208,459(B2)号により詳細に記載されている。
【0261】
酵素
1種以上の酵素が本開示の繊維要素及び/又は粒子に存在してもよい。好適な酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含むカルボヒドラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ(penosanase)、マラナーゼ、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0262】
酵素は、基材からタンパク質系、炭水化物系、若しくはトリグリセリド系の染みの除去、布地の洗濯の際に遊離する染料による移染の防止、及び布地の修復が挙げられるがこれらに限定されない種々多様な目的のために、本開示の繊維要素及び/又は粒子内に含有させることができる。一実施例では、本開示の繊維要素及び/又は粒子には、植物、動物、細菌、真菌、及び酵母などの任意の好適な資源由来のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物が含まれ得る。使用される酵素の選択は、pH活性及び/又は安定性最適条件、熱安定性、及び繊維要素及び/又は粒子中に存在する活性剤のような他の添加剤(例えばビルダー)への安定性などの要因によって影響を受ける。一実施例では、酵素は細菌酵素(例えば、細菌アミラーゼ及び/又は細菌プロテアーゼ)、真菌酵素(例えば、真菌セルラーゼ)、及びこれらの混合物から選択される。
【0263】
本開示の繊維要素及び/又は粒子に存在する場合、酵素は「洗浄に有効な量」を提供するのに十分な濃度で存在し得る。用語「洗浄に有効な量」は、基材、例えば布地、食器類、床材、陶磁器、金属表面などに対して、洗浄、染み除去、汚れ除去、増白、脱臭、又は洗いたて感の改善効果を生じることが可能な量を指す。現在の商業的製剤に関する実際の問題として、活性酵素の典型的な量は、本開示の繊維要素及び/又は粒子1グラム当たり、重量で最高約5mgまで、更に典型的には、0.01mg〜3mgである。特に指定した場合、本開示の繊維要素及び/又は粒子は、典型的には、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.001重量%〜約5重量%、及び/又は約0.01重量%〜約3重量%、及び/又は約0.01重量%〜約1重量%を構成する。
【0264】
繊維要素及び/又は粒子が製造された後、1種以上の酵素が繊維要素及び/又は粒子に適用されてよい。
【0265】
酵素物質の範囲及び本開示のフィラメント形成組成物(これは合成洗剤組成物でもあり得る)への酵素物質を組み込む手段は、国際公開第9307263(A)号、同第9307260(A)号、同第8908694(A)号、米国特許第3,553,139号、同第4,101,457号、及び同第4,507,219号に開示されている。
【0266】
酵素安定化系
酵素が本開示の繊維要素及び/又は粒子内に存在するとき、酵素安定剤系もまた、繊維要素及び/又は粒子内に含まれてもよい。酵素は様々な技術によって安定化させることができる。酵素安定化技法の非限定的な例は、米国特許第3,600,319号及び同第3,519,570号、欧州特許第199,405号、同第200,586号、及び国際公開第9401532(A)号に開示され、例示されている。
【0267】
一実施例では、酵素安定化系はカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含んでよい。
【0268】
酵素安定化系は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.001重量%〜約10重量%、及び/又は約0.005重量%〜約8重量%、及び/又は約0.01重量%〜約6重量%の濃度で本開示の繊維要素及び/又は粒子に含まれてよい。この酵素安定化系は、繊維要素及び/又は粒子に存在する酵素と適合性である任意の安定系であり得る。このような酵素安定化系は、他の配合活性物質により固有に提供されてよく、又は、例えば酵素の配合者若しくは製造者によって別個に添加されてよい。このような酵素安定系は、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、及びこれらの混合物を含んでもよく、異なる安定化問題に対処するように設計される。
【0269】
熱形成剤
本開示の繊維要素及び/又は粒子は、熱形成剤を含んでよい。熱形成剤は、水及び/又は酸素の存在下(例えば、空気中の酸素など)で熱が発生し、それによって、水及び/又は酸素の存在下で繊維構造体の分解速度を加速し、繊維要素内の1種以上の活性物質の効率を向上するために配合される。あるいは、熱形成剤は、繊維構造体からの1つ以上の活性物質の放出速度を加速するのにも使用され得る。熱形成剤は、酸素に曝されるとき(すなわち、空気中の酸素、水中の酸素など)、発熱反応が起きるように配合される。多くの異なる材料及び材料の組み合わせが、熱形成剤として使用され得る。繊維構造体に使用され得る非限定的な熱形成剤としては、電解質塩(例えば、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化第二銅、塩化第一銅、硫酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、石灰(例えば、生石灰、消石灰など)、金属(例えば、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガンなど)、酸化金属(例えば、酸化アルミニウム、酸化鉄など)、ポリアルキレンアミン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ゼオライト、グリセリン、1,3,プロパンジオール、ポリソルベートエステル(例えば、Tweens20、60、85、80)、及び/又はポリグリセロールエステル(例えば、Noobe,Drewpol and Drewmulze(Stepan))が挙げられる。熱形成剤は、1つ以上の材料から形成され得る。例えば、硫酸マグネシウムは、単独で熱形成剤を形成し得る。別の非限定的な例では、約2〜25重量%の活性炭、約30〜70重量パーセントの鉄粉末及び約1〜10重量パーセントの金属塩の組み合わせで、熱形成剤を形成し得る。理解されるように、他の材料又は更なる材料が、単独又は他の材料と共に使用され、熱形成剤が形成され得る。繊維構造体に使用される熱形成剤を形成するのに使用され得る材料の非限定的な例は、米国特許第5,674,270号及び同第6,020,040号、並びに米国特許出願公開第2008/0132438号及び同第2011/0301070号に開示されている。
【0270】
分解促進剤
本開示の繊維要素及び/又は粒子は、水及び/又は酸素の存在下で繊維構造体が分解する速度を加速するために使用される分解促進剤を含んでよい、又は含有してよい。使用される場合、分解促進剤は、一般的に水及び/又は酸素に曝されるときにガスを放出するように設計され、繊維構造体周辺の区域を揺動し、繊維構造体の分解又は溶解を促進する。使用される場合、分解促進剤は、又はあるいは、繊維構造体からの1種以上の活性物質の放出速度を加速するのに使用され得るが、必ずしも必要ではない。使用される場合、分解促進剤は、又はあるいは、繊維構造体中の1種以上の活性物質の効率を向上するのに使用され得るが、必ずしも必要ではない。分解促進剤としては、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウムなど)、炭酸アンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない1種以上の物質を含み得る。繊維構造体は、繊維構造体中の1種以上の分解促進剤を活性化させる又はその活性化速度を増加させるために使用される、1種以上の活性剤を任意に含んでよい。理解され得るように、1種以上の活性剤は、分解促進剤が繊維構造体中に存在しない場合であっても、繊維構造体中に含まれ得るが、必ずしも必要ではない。例えば、活性剤系はまた、酸性化合物又は塩基性化合物を含んでよく、かかる酸性化合物又は塩基性化合物は、促進剤を分解するか、又は繊維構造体中に含まれない場合に、繊維構造体中で1つ以上の活性剤に対する補助剤として使用され得る。使用される場合、繊維構造体中に含まれ得る活性剤の非限定的な例としては、有機酸(例えば、ヒドロキシ−カルボキシル酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸など)、飽和脂肪族カルボキシル酸(例えば、酢酸、コハク酸など)、不飽和脂肪族カルボキシル酸(例えば、フマル酸など)が挙げられる。繊維構造体に使用される分解促進剤及び活性剤を形成するのに使用され得る材料の非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0301070号に開示されている。
【0271】
発泡剤
本開示の発泡剤は、発泡可能である組成物を含む。本明細書で定義するとき、用語「発泡性の」は、液体環境内で気泡を形成することが可能な任意の製品を意味し、また、液体環境内で、又は液体環境から二酸化炭素を遊離させることができる任意の製品とみなされてもよい。同様に、「発泡性」とは、液体環境内で気泡を形成すること、又は液体環境内又は液体環境から二酸化炭素を遊離させることを意味する。あるいは、「発泡性」は、液体又は水性環境に遭遇すると、物品を泡立てること(fizzing)又は泡立てること(foaming)を意味する。特定の実施例では、気泡の存在は二酸化炭素の形成に起因する。例えば、水などの液体に添加すると、少なくとも1つの酸と少なくとも1つの塩との混合物は、二酸化炭素を遊離させる化学反応をもたらす。一態様では、酸及び塩の両方は、無水形態であってよい。
【0272】
これらの例示的な実施例での使用に好適な酸としては、酒石酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸、シュウ酸、又はスルファミン酸が単独で、又は組み合わせて挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの実施例の発泡性は、クエン酸又はクエン酸と酒石酸との組み合わせから調製される。例示的な実施例における使用に好適な塩の例としては、アルカリ金属塩が挙げられるが、これに限定されない。炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、及びこれらの組み合わせが使用されてよい。
【0273】
他の実施例では、特定の酸及び/又は塩の選択並びにそれらの比率は、少なくとも部分的に、二酸化炭素放出量に対する要件に依存する。いくつかの実施例では、酸は発泡成分の約10重量%〜約60重量%の量で添加されてよく、アルカリ金属塩は、発泡成分の約10重量%〜60重量%の量で添加されてよい。
【0274】
一実施例では、発泡成分は、乾燥繊維要素基準、並びに/又は乾燥粒子基準、並びに/又は乾燥繊維構造体及び/若しくは乾燥物品基準で、約0.1重量%〜約50重量%、及び/又は約1重量%〜約40重量%、及び/又は約5重量%〜約30%重量%を構成してよい。
【0275】
冷却剤
冷却剤の目的は、繊維構造体若しくは物品に流体侵襲が発生しているとき及び/又は発生したときに、知覚可能な感覚をユーザーに提供することである。この感覚は、温度低下の知覚をもたらす実際の温度低下又は刺激物質の結果である。
【0276】
冷却剤は、粒子、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉末、球体、粉砕物質など、並びにこれらの組み合わせを含み得る固体の形態である。固体は、例えば、立方体、棒状、多面体、球状又は半球状、円形又は半円形、角、不規則など任意の所望の形状を有し得る。一実施例では、冷却剤は、記載の態様での処理を容易にするために粒子形態で提供される。
【0277】
冷却剤の量は、坪量単位で表され得る。したがって、冷却活性物質のみの坪量は、約5gsm〜約100gsm、及び/又は約100gsm〜約800gsm、及び/又は約200gsm〜約600gsmの範囲であってよい。
【0278】
一実施例では、水性液体、例えば水との接触時のかかる冷却剤の溶解度は、水1グラム当たり約0.01〜約6グラムの材料(g/g)、及び/又は約0.1g/g〜約3g/gであってよい。
【0279】
冷却剤は、水性溶解溶液との接触に反応して、冷却効果をもたらす。一態様では、これが達成される機構は、水性溶解溶液中の冷却剤の溶解によるものである。例えば、冷却剤は、熱の形態のエネルギーが吸収されるように、溶解状態と結晶状態との間に相当なエネルギー差を有する粒子を含んでよい。代替的に、冷感剤は、相当なエネルギー差の感覚をもたらす粒子を含んでよい。
【0280】
一実施例では、繊維構造体及び/又は物品は、少なくとも約2℃、及び/又は少なくとも約5℃、及び/又は少なくとも約10℃、及び/又は約3℃〜約15℃の水性溶解液体で侵襲されたときに、好適に温度変化をもたらしてよい。
【0281】
キシリトール粒子などのポリオールは、冷却剤として選択されてよい。キシリトール粒子は、水性液体中での溶解時に熱を吸収するため、冷感が生じる。あるいは、ソルビトール又はエリスリトールなどの他のポリオールは、冷却感覚をもたらすように有利に選択されてよい。更に他の実施例では、上記冷却剤の様々な組み合わせが用いられてよい。好適なポリオールは、Roquette America,Inc.(Keokuk,Iowa,U.S.A.にオフィスを有する企業である)から商品名XYLISORB(キシリトール)又はNEOSORB(ソルビトール)の商品名で入手することができる。かかるポリオールは、一般に、繊維ウェブ又は物品に配置するために90マイクロメートル、300マイクロメートル、500マイクロメートルなどの特定の粒径で製造業者から入手できる。
【0282】
溶解中に熱を吸収する他の好適な冷却剤としては、酢酸ナトリウム(H
2O)、炭酸ナトリウム(H
2O)、硫酸ナトリウム(H
2O)、チオ硫酸ナトリウム(H
2O)、及びリン酸ナトリウム(H
2O);硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硝酸ナトリウムなどの無水塩;尿素などの有機化合物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0283】
加えて、上述のように、いくつかの態様では、繊維ウェブ又は物品は、望ましくは、約2℃〜約15℃の湿潤時に表面温度変化をもたらす。この結果を達成するために、温度変化物質及び使用される量は、可能な総エネルギー変化が1平方センチメートル当たり約1〜約30カロリー(cal/cm
2)であるように選択されるべきであり、これは、約1〜約20cal/cm
2の可能な総エネルギー放出、及び/又は約2〜約15cal/cm
2、又は約3〜約10cal/cm
2などの可能な総エネルギー吸収のいずれかを表し得る。
【0284】
水溶液と接触する熱を吸収する温度変化剤は、望ましくは、約5cal/g超及び/又は約−120cal/g未満の溶液、水和、又は反応の熱を有する。溶液、水和、又は反応の熱は、キシリトールは−32cal/g、尿素は−60cal/gなど、好適には、約30〜約90cal/g、又は約−30〜約−90cal/gの範囲内、例えば、約30〜約70cal/g、又は約−30〜約−70cal/gである。
【0285】
一実施例では、冷却剤は、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体及び/若しくは乾燥物品基準で約0.1重量%〜約50重量%、及び/又は約1重量%〜約40重量%、及び/又は約5重量%〜約30%重量%を構成してよい。
【0286】
その他の活性剤
本開示の他の活性剤の非限定的な例は、一例では、1つ以上の繊維要素の外面及び/又は1つ以上の表面、例えば、本開示の多プライ繊維構造体及び/若しくは多プライ物品の繊維構造体プライの内面、並びに/又は本開示の多プライ繊維構造体及び/若しくは多プライ物品の繊維構造体プライの外面に存在するコーティング組成物として、又はその中に存在してよい。
【0287】
一実施例では、物品は、物品の外側表面に存在するコーティング組成物を含む。別の実施例では、物品は、2つ以上の繊維構造体プライを含む多プライ繊維構造体を含み、コーティング組成物は、2つ以上の繊維構造体プライのうちの少なくとも1つの内側表面に存在する。別の実施例では、物品は、2つ以上の繊維構造体プライを含む多プライ繊維構造体を含み、コーティング組成物は、2つ以上の繊維構造体プライのうちの少なくとも1つの外側表面に存在する。
【0288】
非水溶性活性剤及び/又は不揮発性液体活性剤であり得るかかる他の活性剤の非限定的な例としては、シリコーン、例えばシリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、高屈折率シリコーン、官能化シリコーン、シリコーン樹脂、及びこれらの混合物、有機油、例えば炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、メタセシス化不飽和ポリオールエステル、シラン変性油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0289】
シリコーン活性剤
本開示による好適なシリコーン活性剤の非限定的な例としては、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施例では、活性剤は不揮発性シリコーン活性剤である。揮発性シリコーン活性剤が存在する場合、典型的には、シリコーンゴム及び/又はシリコーン樹脂など市販の形態の不揮発性シリコーン活性剤用の溶媒又は担体としての使用に付随するものである。シリコーン活性剤は粒子の形態であってよく、シリコーン流体活性剤を含んでよく、シリコーン流体の付着効率を改善する、及び/又は毛髪など処理された表面の光沢を高めるために、シリコーン樹脂などの他の成分を更に含んでよい。
【0290】
一実施例では、シリコーン活性剤は、シロキサン、シリコーンゴム、アミノシリコーン、末端アミノシリコーン、アルキルシロキサンポリマー、カチオン性オルガノポリシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0291】
一実施例では、本開示の繊維要素、及び/又は繊維構造体、及び/又は物品上、及び/又はこれらの中のシリコーン活性剤の濃度は、約0.5%〜約30%、及び/又は約1%〜約24%、及び/又は約2%〜約16%、及び/又は約3%〜約8%である。好適なシリコーン活性剤及びシリコーン活性剤のための任意の懸濁剤の更なる非限定例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び同第5,106,609号に記載されている。本開示の組成物に使用するためのシリコーン活性剤は、25℃で測定されるとき、約20〜約2,000,000センチポアズ(「cPs」)、及び/又は約1,000〜約1,800,000cPs、及び/又は約50,000〜約1,500,000cPs、及び/又は約100,000〜約1,500,000cPsの粘度を有し得る。
【0292】
シリコーン流体、シリコーンゴム、及びシリコーン樹脂、並びにシリコーンの製造を議論する項を包含するシリコーンの背景資料は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp.204−308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に見出される。
【0293】
本開示のシリコーン活性剤は、高分子量のポリアルキル又はポリアリールシロキサン及びシリコーンゴムを含む1種以上のシリコーン、低分子量のポリジメチルシロキサン流体、及びアミノシリコーンを含んでよい。
【0294】
高分子量のポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサン及びシリコーンガムは、25℃で約100,000mPa・s〜約30,000,000mPa・s、及び/若しくは約200,000mPa・s〜約30,000,000mPa・sの粘度、並びに/又は約100,000〜約1,000,000、及び/若しくは約120,000〜約1,000,000の分子量を示し得る。
【0295】
一実施例では、本明細書で有用な、より高分子量のシリコーン化合物としては、以下の構造を有するポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0296】
【化7】
式中、R
93は独立してアルキル基又はアリール基であり、pは、約1,300〜約15,000、より好ましくは約1,600〜約15,000の整数である。Z
8は、独立して、アルキル基又はアリール基であり、シリコーン鎖の末端をブロックする基を表す。一実施例では、シロキサン鎖において置換されるアルキル及び/若しくはアリール基(R
93)又はシロキサン鎖の末端において置換されるアルキル及び/若しくはアリール基Z
8は、得られるシリコーンが23℃で流体のままであり、分散性であり、刺激性がなく、毒性もなく、その他の点で有害でもなく、組成物の他の成分と相溶性であり、通常の使用及び保管条件下で化学的に安定であり、処理される毛髪に付着することができる限り、任意の構造を有してよい。一実施例では、好適なZ
8基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。一実施例では、ケイ素原子上の2つのR
93基は、同一の基又は異なる基を表してよい。一実施例では、2つのR
93基は同一の基を表す。好適なR
93基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、及びフェニルメチルが挙げられる。一実施例では、かかるシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及び/又はポリメチルフェニルシロキサンと呼ばれる。一実施例では、シリコーン化合物はポリジメチルシロキサンであり、これはジメチコンとしても既知である。本明細書で有用な市販のシリコーン化合物には、例えば、General Electric CompanyからTSF451シリーズで入手可能なもの、及びDow CorningからDow Corning SH200シリーズで入手可能なものが挙げられる。
【0297】
本明細書で使用され得るシリコーン化合物としては、シリコーンガムも挙げることができる。本明細書で使用するとき、用語「シリコーンガム」は、25℃で1,000,000mPa・s以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン物質を意味する。本明細書に記載のシリコーンゴムは、上に開示されたより高分子量のシリコーン化合物といくらかの重複を有する場合もあることが認識される。この重複は、これら材料のいずれにおいても限定を意図しない。「シリコーンガム」は、典型的には、約165,000超、一般的には約165,000〜約1,000,000の質量分子量を有する。かかるシリコーンゴムの非限定的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサンジフェニルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で有用な市販のシリコーンガムとしては、例えば、General Electric Companyから入手可能なTSE200A及びCF330Mが挙げられる。
【0298】
一実施例では、より低分子量のシリコーンは25℃で約1mPa・s〜約10,000mPa・s、及び/若しくは約5mPa・s〜約5,000mPa・sの粘度、並びに/又は約400〜約65,000、及び/若しくは約800〜約50,000の重量平均分子量を有する。
【0299】
一実施例では、本明細書で有用な、より低分子量のシリコーン化合物としては、以下の構造を有するポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0300】
【化8】
式中、R
93は独立してアルキル基又はアリール基であり、pは、約7〜約850、より好ましくは約7〜約665の整数である。Z
8は、独立して、アルキル基又はアリール基であり、シリコーン鎖の末端をブロックする基を表す。シロキサン鎖において置換されるアルキル若しくはアリール基(R
93)又はシロキサン鎖の末端において置換されるアルキル若しくはアリール基Z
8は、一実施例では、シロキサン鎖において置換されるアルキル若しくはアリール基(R
93)又はシロキサン鎖の末端において置換されるアルキル若しくはアリール基Z
8は、得られるシリコーンが23℃で流体のままであり、分散性であり、刺激性がなく、毒性もなく、その他の点で有害でもなく、組成物の他の成分と相溶性であり、通常の使用及び保管条件下で化学的に安定であり、処理される毛髪に付着することができる限り、任意の構造を有してよい。一実施例では、好適なZ
8基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。一実施例では、ケイ素原子上の2つのR
93基は、同一の基又は異なる基を表してよい。一実施例では、2つのR
93基は同一の基を表す。好適なR
93基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、及びフェニルメチルが挙げられる。一実施例では、かかるシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及び/又はポリメチルフェニルシロキサンと呼ばれる。一実施例では、シリコーン化合物はポリジメチルシロキサンであり、これはジメチコンとしても既知である。本明細書で有用な市販のシリコーン化合物には、例えば、General Electric CompanyからTSF451シリーズで入手可能なもの、及びDow CorningからDow Corning SH200シリーズで入手可能なものが挙げられる。
【0301】
一実施例では、本開示のシリコーン活性剤には1種以上のアミノシリコーンが含まれる。本明細書で提供されるアミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又は第四級アンモニウム基を含むシリコーンである。一実施例では、本開示のアミノシリコーンは、アミノシリコーンの約0.5重量%未満、及び/又は約0.2重量%未満、及び/又は約0.1重量%未満の窒素を有し得る。一実施例では、本開示のアミノシリコーンは、200超のシロキサン単位を有する少なくとも1つのシリコーンブロックを有する。
【0302】
一実施例では、本開示のアミノシリコーンは、25℃で約1,000センチポアズ(「cPs」)〜約100,000cPs、及び/又は約2,000cPs〜約50,000cPs、及び/又は約4,000cPs〜約40,000cPs、及び/又は約6,000cPs〜約30,000cPsの粘度を示す。
【0303】
一実施例では、本開示のアミノシリコーンは、水溶性である。「非水溶性アミノシリコーン」とは、25℃で水100g当たり10g以下、及び/又は水100g当たり5g以下、及び/又は水100g当たり1g以下の溶解度を有するアミノシリコーンを意味する。一実施例では、「非水溶性アミノシリコーン」とは、アミノシリコーンがコポリオール基を実質的に含まないことを意味する。コポリオール基が存在する場合、それはアミノシリコーンの10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0.1重量%未満の濃度で存在する。
【0304】
一実施例では、本開示のアミノシリコーンは、存在する場合、約0.5重量%〜約30重量%、及び/又は約1.0重量%〜約24重量%、及び/又は約2.0重量%〜約16重量%、及び/又は約3.0重量%〜約8重量%の濃度で存在してよい。
【0305】
本開示の好適なアミノシリコーンの非限定的な例としては、一般式(I)に従うアミノシリコーンが挙げられる:
(R
1)
aG
3−a−Si−(−OSiG
2)
n−(−OSiG
b(R
1)
2−b)
m−O−SiG
3−a(R
1)
a
(I)
(式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC
1〜C
8アルキル、好ましくはメチルであり、aは、0、又は1など1〜3の値を有する整数であり、bは、1など0、1、又は2であり、aは0であり、bは2ではなく、nは、0〜1,999の数であり、mは、0〜1,999の整数であり、nとmとの合計は、1〜2,000の数であり、a及びmはいずれも0ではなく、R
1は、一般式CqH
2qLに従う一価ラジカルであり、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは、−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2、−N(R
2)
2、−N(R
2)
+3A
 ̄、−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
−、の基から選択され、ここで、R
2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、例えば、約C
1〜約C
20のアルキルラジカルなどであり、A ̄は、ハロゲン化物イオンである。
【0306】
一実施例では、アミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチル、nは、約1500〜約1700、例えば約1600であり、Lは、−N(CH
3)
2又は−NH
2、例えば−NH
2である)に相当する。他のアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチル、nは、約400〜約600、例えば約500であり、Lは、−N(CH
3)
2又は−NH
2、例えば−NH
2である)に相当するものを含み得る。これらのアミノシリコーンは末端アミノシリコーンと呼ぶこともできるが、これはシリコーン鎖の一端又は両端が窒素含有基によって末端処理されているためである。
【0307】
式(I)に相当する代表的なアミノシリコーンは、「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるポリマーであり、下記の式(II)に示される:
【0308】
【化9】
式中、nは1〜1,999の数であり、mは1〜1,999の数である。
【0309】
シリコーンはまた、末端アミノシリコーンであってよい。本明細書で定義するとき、「末端アミノシリコーン」は、シリコーン主鎖の一端又は両端に1つ以上のアミノ基を含むシリコーンポリマーを意味する。一実施例では、本開示の活性剤、例えば、疎水性コーティング組成物であり得る本開示の活性剤を含むコーティング組成物は、末端アミノシリコーン以外の任意のシリコーン化合物を含まなくてよい、又は実質的に含まなくてよい。
【0310】
一実施例では、末端アミノシリコーンのシリコーン主鎖の少なくとも1つの末端のアミノ基は、一級アミン、二級アミン及び三級アミンからなる群から選択される。末端アミノシリコーンは、式IIIに従い得る:
(R
1)
aG
3−a−Si−(−OSiG
2)
n−O−SiG
3−a(R
1)
a III
(式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC
1〜C
8アルキル、好ましくはメチルであり、aは、1〜3の値を有する整数である、又は1であり、bは、0、1、若しくは2である、又は1であり、nは、0〜1,999の数であり、R
1は、一般式CqH
2qLに従う一価ラジカルであり、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは、−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2、−N(R
2)
2、−N(R
2)
3A
−、−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
−、の基から選択され、ここで、R
2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカルであり、A ̄は、ハロゲン化物イオンである。一態様では、R
2は、1〜20個の炭素原子、又は2〜18個の炭素原子、又は4〜12個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。
【0311】
一実施例では、好適な末端アミノシリコーンは式IIIに相当し、式中、a=1、q=3、G=メチル、nは約1000〜約2500、及び/又は約1500〜約1700であり、Lは−N(CH
3)
2である。別の実施例では、好適な末端アミノシリコーンは、式IIIに対応し、式中、a=0、G=メチル、nは約100〜約1500、及び/又は約200〜約1000であり、Lは、以下の基から選択される:−N(R
2)CH
2−CH
2−N(R
2)
2;−N(R
2)
2、−N(R
2)
3A
 ̄;−N(R
2)CH
2−CH
2−NR
2H
2A
 ̄、例えば−NH
2(式中、R
2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカルであり、A ̄は、ハロゲン化物イオンである。一実施例では、R
2は、1〜20個の炭素原子、及び/又は2〜18個の炭素原子、及び/又は4〜12個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。更に別の例では、末端アミノシリコーンは、ビス−アミノメチルジメチコン、ビス−アミノエチルジメチコン、ビス−アミノプロピルジメチコン、ビス−アミノブチルジメチコン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0312】
好適な末端アミノシリコーンの非限定的な例としては、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(例えば、4,000〜6,000cSt(4〜6Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−A35で入手可能)、ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端(例えば、5,000cSt(5Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−T35で入手可能)、ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端(例えば、1,000cSt(1Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−T31で入手可能)、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(例えば、900〜1,100cSt(0.9〜1.1Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−A31で入手可能)、ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端(例えば、50cSt(0.05Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−T15で入手可能)、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(例えば、50〜60cSt(0.05〜0.06Pa・s)の粘度を有し、Gelest,Inc.から商品名DMS−A15で入手可能)、ビス−アミノプロピルジメチコン(例えば、10,220cSt(10.2Pa・s)の粘度を有し、Momentive Performance Materials Inc.から入手可能)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0313】
好適なアルキルシロキサンポリマーの非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0243874(A1)号、同第2011/0243875(A1)号、同第2011/0240065(A1)号、同第2011/0243878(A1)号、同第2011/0243871(A1)号、及び同第2011/0243876(A1)号に記載されている。
【0314】
好適なカチオン性オルガノポリシロキサンの非限定的な例は、米国特許出願公開第2014/0030206(A1)号、国際公開第2014/018985(A1)号、同第2014/018986(A1)号、同第2014/018987(A1)号、同第2014/018988(A1)号、同第2014/018989(A1)号に記載されている。
【0315】
有機油
本開示の有機油の非限定的な例としては、炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、メタセシス化不飽和ポリオールエステル、シラン変性油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0316】
一実施例では、本開示の繊維要素、及び/又は繊維構造体、及び/又は物品上及び/又はその中の有機油活性剤の濃度は、約0.5%〜約20%、及び/又は約0.05%〜約10%、及び/又は約0.05%〜約3%、及び/又は約0.08%〜約1.5%、及び/又は約0.1%〜約1%であってよい。
【0317】
一実施例では、有機油活性剤は、20超、及び/又は30超、及び/又は40超の平均炭素鎖長を含む。
【0318】
炭化水素油の非限定的な例としては、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環式炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)(これらのポリマー及び混合物を含む)が挙げられる。一実施例では、炭化水素油は、約C
12〜約C
19の炭素鎖長を有するなど直鎖炭化水素油である。別の実施例では、炭化水素油は、19超の炭素原子の炭素鎖長を有する炭化水素ポリマーなど分枝鎖炭化水素油である。
【0319】
好適な炭化水素油の非限定的な例としては、パラフィン油、鉱物油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリデセン、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物の分枝鎖異性体並びに長鎖炭化水素も用いられることができ、例としては、ペルメチル置換異性体のような高度に分岐され、飽和又は不飽和化されたアルカン、例えば2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナン(Permethyl Corporationから入手可能)のようなヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル置換異性体が挙げられる。ポリブテン及びポリデセンなど炭化水素ポリマーも有機油活性剤として好適である。一実施例では、炭化水素ポリマーは、イソブチレン及びブテンのコポリマーなどポリブテンである。この種の市販されている物質は、Amoco Chemical Corporation製のL−14ポリブテンである。
【0320】
好適なポリオレフィンの非限定的な例としては、液体ポリ−αオレフィンなどの液体ポリオレフィン、例えば水素化液体ポリ−αオレフィンが挙げられる。一実施例では、本開示の液体ポリオレフィンは、約C
4〜約C
14、及び/又は約C
6〜約C
12のオレフィンモノマーの重合によって調製され得る。液体ポリオレフィンを調製するのに使用するためのオレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、4−メチル−1−ペンテンのような分岐鎖異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。オレフィン含有精製原料及び/又は溶出液も液体ポリオレフィンを調製するのに好適である。一実施例では、液体ポリオレフィンは、液体ポリ−αオレフィン、例えば1−ヘキセンから1−ヘキサデセン、1−オクテン〜1−テトラデセン、及びこれらの混合物などの、液体ポリ−αオレフィンである。
【0321】
本開示の好適な脂肪酸エステルの非限定的な例としては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪族エステルの非限定的なとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、並びにジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。一実施例では、本明細書における脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合など)など、他の適合性官能基を含んでいてもよく、それに共有結合していてもよい。
【0322】
本開示の脂肪族エステルの非限定的な例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、アジピン酸オレイル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0323】
一実施例では、本開示の脂肪族エステルとしては、一般式R’COORのモノカルボン酸エステルであり、式中、R’及びRは独立してアルキル又はアルケニルラジカルであり、R’及びRの炭素原子の合計は、少なくとも10個、及び/又は少なくとも22個である。
【0324】
別の実施例では、本開示の脂肪族エステルとしては、C
4〜C
8ジカルボン酸のエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のC
1〜C
22、好ましくはC
1〜C
6エステル)などカルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステルが挙げられる。カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル及びアルケニルエステルの非限定な例としては、ステアリン酸イソセチルステアリル(stearyol)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、クエン酸トリステアリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0325】
更に別の実施例では、本開示の脂肪族エステルとしては、多価アルコールエステルが挙げられる。かかる多価アルコールエステルの非限定的な例としては、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのようなアルキレングリコールエステルが挙げられる。
【0326】
更に別の実施例では、本開示の脂肪酸エステルとしては、グリセリド、例えば、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、例えば、トリグリセリドなどのジ−及びトリ−グリセリドが挙げられる。好適なグリセリドの非限定的な例としては、グリセロールとC
10〜C
22カルボン酸など長鎖カルボン酸とのモノ−、ジ−及びトリ−エステルが挙げられる。様々なこれらの種のグリセリドは、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、及びダイズ油などの植物及び動物の油脂から得ることができる。合成油としては、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0327】
別の実施例では、本開示に好適な脂肪酸エステルとしては、非水溶性合成脂肪酸エステルが挙げられてよい。かかる合成脂肪酸エステルの非限定的な例は、一般式(IX)に相当する:
【0328】
【化10】
(式中、R
1は、独立してC
7〜C
9アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、又はヒドロキシアルケニル基、例えば飽和アルキル基など、例えば、飽和直鎖アルキル基であり、nは、3など2〜4の値を有する正の整数であり、Yは約2〜約20個及び/又は約3〜約14個の炭素原子を有する、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、又はカルボキシ置換アルキル又はアルケニルである)。一実施例では、かかる合成脂肪酸エステルは、一般式(X)に従う:
【0329】
【化11】
(式中、R
2は、独立してC
8〜C
10アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、又はヒドロキシアルケニル基であり、飽和アルキル基など、例えば飽和直鎖アルキル基であり、n及びYは、式(XI)において上に定義したとおりである)。
【0330】
本開示の好適な合成脂肪族エステルの非限定的な例としては、P−43(トリメチルプロパンのC
8〜C
10トリエステル)、MCP−684(3,3ジエタノール−1,5ペンタンジオールのテトラエステル)、MCP121(アジピン酸のC
8〜C
10ジエステル)が挙げられ、これらは全てMobil Chemical Companyから市販されている。
【0331】
メタセシス化不飽和ポリオールエステル及びそれらの出発物質の非限定的な例は、米国特許出願公開第2009/0220443(A1)号及び同第2016/0244915(A1)号に記載されている。メタセシス化不飽和ポリオールエステルとは、1つ以上の不飽和ポリオールエステル成分をメタセシス反応に供したときに得られる生成物を指す。メタセシスは、炭素−炭素二重結合の形成及び切断を介して1種又は複数の二重結合を含有する化合物(すなわち、オレフィン性化合物)間でアルキリデン単位を交換することを伴う触媒反応である。メタセシスは、2つの同じ分子間で生じる場合もあり(多くの場合、自己メタセシスと呼ばれる)及び/又は2つの異なる分子間で生じる場合もある(多くの場合、交差メタセシスと呼ばれる)。
【0332】
好適なシラン変性油の非限定的な例としては、飽和油、不飽和油、及びこれらの混合物からなる群から選択される炭化水素鎖と、及びこの炭化水素鎖と共有結合している加水分解性シリル基と、を有するシラン変性油が挙げられる。好適なシラン変性油の非限定的な例は、米国特許出願公開第2014/0335032(A1)号に記載されている。
【0333】
活性剤の放出
繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が誘発条件に曝露されたとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数種の活性剤が放出され得る。1つの例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部が、そのアイデンティティを失ったとき、言い換えれば、その物理的構造を失ったときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部から1種又は複数の活性剤が放出され得る。例えば、フィラメント形成材料が溶解したとき、融解したとき、又はその構造が失われるような何らかの他の変形工程を経たときに、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体は、その物理的構造を失う。1つの例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体の形態が変化したとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数の活性剤が放出される。
【0334】
別の例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部のアイデンティティが変化したとき、言い換えれば、その物理的構造を失うのではなく、その物理的構造が変化したときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部から1種又は複数の活性剤が放出され得る。例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体は、フィラメント形成材料が膨張したとき、収縮したとき、延びたとき、及び/又は短くなったときに、その物理的構造を変えるが、そのフィラメント形成特性は保持する。
【0335】
別の例では、その形態が変化することなく(その物理的構造を失うことも変化することもなく)、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数の活性剤が放出され得る。
【0336】
1つの例では、例えば、上述のとおり繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体のアイデンティティを失わせるか又は変化させることによって、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が活性剤を放出させる誘発条件に曝露された際に、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、活性剤を放出し得る。誘発条件の非限定的な例としては、溶媒、極性溶媒(アルコール及び/又は水など)、及び/又は非極性溶媒に繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を曝すこと(これは、フィラメント形成材料が、極性溶媒可溶性材料及び/又は非極性溶媒可溶性材料を含むかどうかに依存して、逐次行ってよい);75°F超、及び/又は100°F超、及び/又は150°F超、及び/又は200°F超、及び/又は212°F超などの温度までの熱に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を曝すこと;40°F未満、及び/又は32°F未満、及び/又は0°F未満の温度までの冷温に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を力、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を用いる消費者によって印加される延伸力に曝露すること;及び/又は繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を化学反応に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、相変化を引き起こす条件に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、pH変化及び/又は圧力変化及び/又は温度変化に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、1種又は複数の活性剤を放出する繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が得られる1種又は複数の化学物質に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を超音波に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を光及び/又は特定の波長に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を様々なイオン強度に曝すこと;及び/又は繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、別の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から放出される活性剤に曝すことが挙げられる。
【0337】
一実施例では、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維構造体製品が、以下からなる群から選択される誘発工程に曝されたときに、本開示の繊維要素及び/又は粒子から1種以上の活性剤が放出され得る:繊維構造体と共に布地物品上の染みを前処理すること;繊維構造体製品を水と接触させることによって洗浄液を形成すること;乾燥機内で繊維構造体製品を回転させること;乾燥機中で繊維構造体製品を加熱すること;及びこれらの組み合わせ。
【0338】
フィラメント形成組成物
本開示の繊維要素はフィラメント形成組成物から製造される。フィラメント形成組成物は極性溶媒系組成物である。一実施例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料及び1つ以上の活性剤を含む水溶性組成物である。
【0339】
本開示のフィラメント形成組成物は、本明細書に記載の剪断粘度試験法に従って測定された場合に、3,000秒
−1の剪断速度及び処理温度(50℃〜100℃)において、約1パスカル×秒〜約25パスカル×秒、及び/又は約2パスカル×秒〜約20パスカル×秒、及び/又は約3パスカル×秒〜約10パスカル×秒の剪断粘度を有してよい。
【0340】
フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物から繊維要素を製造する際に、約50℃〜約100℃、及び/又は約65℃〜約95℃、及び/又は約70℃〜約90℃の温度で処理してもよい。
【0341】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、少なくとも20重量%、及び/又は少なくとも30重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%〜約90重量%まで、及び/又は約85重量%まで、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約75重量%までの1つ以上のフィラメント形成材料、1つ以上の活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。フィラメント形成組成物は、約10重量%〜約80%の極性溶媒、例えば水を含んでいてもよい。
【0342】
一実施例では、フィラメント形成組成物の不揮発性成分が、フィラメント形成組成物の総重量基準の重量で、約20%から、及び/又は約30%から、及び/又は40%から、及び/又は45%から、及び/又は50%から約75%までの、及び/又は80%までの及び/又は85%までの、及び/又は90%までを構成してもよい。不揮発性成分は、主鎖ポリマー、活性剤、及びこれらの組み合わせなど、フィラメント形成組成物から構成されてもよい。フィラメント形成組成物の不揮発性成分が、残りのパーセンテージ、及びフィラメント形成組成物の総重量基準の重量で10%〜80%の範囲を含んでいる可能性がある。
【0343】
繊維要素の紡糸プロセスでは、繊維要素は、紡糸用ダイを出るときに初期安定性を有する必要がある。毛管数は、この初期安定性基準を特徴付けるために使用される。ダイ条件において、毛管数は、少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも4、及び/又は少なくとも5であるべきである。
【0344】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物が繊維要素に有効にポリマー加工され得るように、少なくとも1から約50まで、及び/又は少なくとも3から約50まで、及び/又は少なくとも5から約30までの毛管数を呈する。
【0345】
本明細書で使用するとき、「ポリマー加工」は、フィラメント形成組成物から、加工されたフィラメント形成材料を含む繊維要素が形成される、任意の紡糸操作及び/又は紡糸プロセスを意味する。紡糸操作及び/又はプロセスは、スパンボンド、メルトブローン、エレクトロスピニング、回転紡糸、連続フィラメント製造、及び/又はトウ繊維製造操作/プロセスを含んでよい。本明細書で使用されるとき、「処理されたフィラメント形成材料」は、溶融処理作業、及びその後のポリマー処理作業を受け、結果として繊維要素となった、任意のフィラメント形成材料を意味する。
【0346】
毛管数は、この液滴の破断の可能性を特徴付けるために使用される無次元数である。大きい毛管数は、ダイを出る際の流体安定性がより大きいことを示す。毛管数は以下のように定義される。
【0347】
【数3】
Vは、ダイ出口における流体速度であり(時間当たりの長さの単位)、
ηは、ダイの条件における流体粘度(長さ×時間当たりの質量の単位)であり、
σは、流体の表面張力(時間の二乗当たりの質量の単位)である。速度、粘度、及び表面張力が一連の一貫した単位で表されるとき、得られる毛管数は、それ自体の単位を有しないことになる。個別単位は打ち消すことになる。
【0348】
毛管数はダイの出口での状態に対して定義される。流体速度は、ダイの孔を通過する流体の平均速度である。平均速度は、以下のとおり定義される:
【0349】
【数4】
Vol’=体積流量(時間当たりの長さの三乗の単位)であり、
面積=ダイ出口の断面積(長さの二乗の単位)である。
【0350】
ダイの孔が円形の穴である場合、流体速度は、以下のとおり定義することができる:
【0351】
【数5】
Rは、円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0352】
流体粘度は、温度に依存し、剪断速度に依存し得る。ずり減粘流体の定義は、剪断速度に対する依存を含む。表面張力は、流体の構成及び流体の温度に依存する。
【0353】
一実施例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上の剥離剤及び/又は潤滑剤を含み得る。好適な離型剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、及び脂肪酸アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0354】
一例では、フィラメント形成組成物は、1つ以上のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定例としては、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられる。
【0355】
本開示の活性剤は、繊維要素形成前に及び/又は繊維要素形成中にフィラメント形成組成物に添加してよく、並びに/又は繊維要素形成後に繊維要素に添加してよい。例えば、本開示に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、香料活性剤を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。別の実施例では、本開示に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、酵素活性剤を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。更に別の例では、本開示に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、(繊維要素を製造するための紡糸プロセスを通過するのに好適でなくともよい)1つ又は複数の粒子を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。
【0356】
伸長助剤
1つの例では、繊維要素は、伸張助剤を含む。伸長助剤の非限定的な例としては、ポリマー、他の伸長助剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0357】
1つの例では、伸長助剤は、少なくとも約500,000Daの重量平均分子量を有する。別の例では、伸長助剤の重量平均分子量は、約500,000〜約25,000,000、別の例では、約800,000〜約22,000,000、更に別の例では、約1,000,000〜約20,000,000、別の例では、約2,000,000〜約15,000,000である。高分子量の伸長助剤は、伸長融解粘度を増加させ、かつ融解破壊を低減する能力のために、いくつかの実施例では好ましい。
【0358】
伸長助剤は、メルトブロープロセスにおいて使用する場合、紡糸プロセス中の繊維の融解破壊及び毛管破壊を明らかに低減するのに有効な量で本開示の組成物に添加され、比較的一貫した直径を有する実質的に連続的な繊維を融解紡糸することができるようにする。繊維要素及び/又は粒子を製造するのに使用されるプロセスにかかわらず、伸長助剤は、使用される場合、1つの例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.001重量%〜約10重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.005重量%〜約5重量%、更に別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.01重量%〜約1重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.05重量%〜約0.5重量%で存在し得る。
【0359】
伸長助剤として使用することができるポリマーの非限定的な例としては、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、アガー、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0360】
他の伸長助剤の非限定的な例としては、修飾及び非修飾ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含む)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0361】
繊維要素を製造するための方法
本開示の繊維要素は、任意の好適なプロセスによって製造することができる。繊維要素を作製するための好適なプロセスの非限定的な例は以下に記載される。
【0362】
図14及び15に示されるように、本開示の繊維要素は、以下のように製造されてよい。繊維要素は小規模装置によって形成され得、その略図が
図14及び15に示される。バッチ操作に好適な加圧タンク39は、本開示による、好適なフィラメント形成組成物で満たされる。Parker Hannifin Corporation(Sanford,N.C.,USA)のZenithポンプ部門により製造され、1回転当たり5.0立方センチメートル(cc/rev)の容量を有するZenith(登録商標)PEP IIなどのポンプ40が、パイプ41を介してのフィラメント形成組成物の紡糸用ダイ42への輸送を容易にするために、使用可能である。加圧タンク39から紡糸ダイ42へのフィラメント形成組成物の流量は、ポンプ40の1分当たりの回転数(rpm)を調節することによって制御されてよい。パイプ41は、加圧タンク39、ポンプ40、及び紡糸ダイ42を接続させるために使用される。
【0363】
図15に示される紡糸ダイ42は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPだけ互いに離間された円形押し出しノズル(繊維要素形成穴44)のいくつかの列を有する。ノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズルは、細径化空気を各個々の溶解した毛管46に供給するために、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心の細長化流体用穴48)によって囲まれている。ノズルを通して押し出されているフィラメント形成組成物は、オリフィスを通して供給されるほぼ円筒形の湿った空気の流れにより囲まれ細径化される。
【0364】
一実施例では、
図14及び
図15に示されるように、本開示による繊維要素10を製造する方法47は、以下の工程:
a.1種以上のフィラメント形成材料と、任意に1種以上の活性剤と、を含むフィラメント形成組成物を用意する工程と、
b.フィラメント形成組成物を、例えば、紡糸用ダイ42を介して、1種以上のフィラメント形成材料と、任意に1種以上の活性剤と、を含む1つ以上の繊維要素、例えば、フィラメント10に紡糸する工程と、を含む。1種以上の活性剤は、意図する使用条件に曝されると、繊維要素から放出可能であってよい。繊維要素中に存在する1種以上のフィラメント形成材料、例えばフィラメント10の総濃度は、活性剤がその中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、80重量%未満、及び/又は70重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は50重量%以下であってよく、1種以上の活性剤の総濃度は、繊維要素中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%以上、65重量%以上、及び/又は80重量%以上であってよい。
【0365】
図15に示されように、紡糸ダイ42は、繊維要素形成穴44を出るときにその中を流体(空気など)が通過して、フィラメント形成組成物の繊維要素、例えば繊維要素10中への細長化を容易にする同心の細長化流体用穴48に囲まれた溶解した毛管46を含む複数の繊維要素形成穴44を含んでもよい。
【0366】
細長化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒータ、例えば、Emerson Electricの一部門であるChromalox(Pittsburgh,Pa.,USA)によって製造されたヒータによって加熱することにより提供してよい。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された送出パイプ中の条件において、加熱された空気を飽和又はほとんど飽和させるために、適切な量の流れを添加した。凝縮水は、電気的に加熱されサーモスタット制御される分離器中で除去される。
【0367】
初期繊維要素は、乾燥空気流によって乾燥されるが、この乾燥空気流は、電気抵抗加熱器(図示せず)により約149℃(約300°F)〜約315℃(約600°F)の温度を有し、乾燥ノズルを通して供給され、押し出される初期繊維要素の全体的な向きに対して、約90°の角度に放出される。乾燥した初期繊維要素は、収集装置(例えば、小孔のある可動ベルト又はパターン化された収集ベルトなど)上で回収される。形成域の真下に真空源を追加して、繊維の回収を補助するために使用してもよい。
【0368】
一実施例では、フィラメント形成組成物に含まれる任意の揮発性溶媒(水など)は、紡糸工程中に、繊維要素10が形成される際に、乾燥などによって除去される。一実施例では、フィラメント形成組成物の揮発性溶媒(例えば水)のうち、30重量%超、及び/又は40重量%超、及び/又は50重量%超は、紡糸工程中に、例えば製造する繊維要素を乾燥させることによって除去される。
【0369】
フィラメント形成組成物から製造される繊維要素が、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約5重量%〜50重量%以下の総濃度のフィラメント形成材料と、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥繊維構造体基準で、50重量%〜約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のフィラメント形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでよい。
【0370】
一実施例では、フィラメント形成組成物から製造される繊維要素は、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥構造体基準で、約5重量%〜50重量%以下の総濃度のフィラメント形成組成物と、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準、及び/又は乾燥粒子基準、及び/又は乾燥構造体基準で、50重量%〜約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のフィラメント形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでよく、活性剤の総濃度に対するフィラメント形成材料の重量比は1以下である。
【0371】
1つの例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から、約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までのフィラメント形成材料;フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までの活性剤;並びにフィラメント形成組成物の約20重量%から、及び/又は約25重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は約40重量%から、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約70重量%まで、及び/又は約60重量%まで、及び/又は約50重量%までの揮発性溶媒(水など)を含む。フィラメント形成組成物は、少量の他の活性剤、例えばフィラメント形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の可塑剤、pH調整剤、及び他の活性剤を含んでよい。
【0372】
フィラメント形成組成物は、任意の好適な紡糸プロセス(メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡績など)によって、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。一実施例では、フィラメント形成組成物はメルトブローによって複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。例えば、フィラメント形成組成物はタンクからメルトブロー紡糸口金(spinnerette)にポンプ移送され得る。紡糸口金内の1つ以上のフィラメント形成穴を出ると、フィラメント形成組成物は空気によって細径化され、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子を形成する。次いで、繊維要素及び/又は粒子を乾燥させて、紡糸のために使用される任意の残留溶媒(例えば、水)を除去してよい。
【0373】
本開示の繊維要素及び/又は粒子を、ベルト(例えばパターン化されたベルト)上に収集して、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維構造体を形成してよい。
【0374】
繊維構造体の製造方法
図16に示されるように、繊維構造体、例えば、本開示の繊維構造体層、つまりプライ22は、
図14及び15に示されるように、紡糸ダイ42からフィラメント形成組成物を紡糸することによって製造されて、フィラメント10など複数の繊維要素を形成し、次いで任意に、粒子源50、例えば、シフター又はエアレイド成形ヘッドによって供給される1つ以上の粒子26を結合させてよい。粒子26は、繊維要素、例えばフィラメント10内に分散されてよい。粒子26と繊維要素、例えばフィラメント10との混合物は、三次元テクスチャなどのテクスチャを繊維構造体層、つまりプライ22の少なくとも1つの表面に付与する、パターン化された収集ベルトなど収集ベルト52上で回収されてよい。
【0375】
図17は、
図5による物品20の製造方法のある実施例を示す。本方法は、ポケット28が第1の繊維構造体層22の表面に形成されるように、複数の繊維要素、例えばフィラメント10の第1の繊維構造体層22を形成する工程を含む。1つ以上の粒子26は、粒子源50からポケット28内に堆積される。次いで、複数の繊維要素、例えば紡糸ダイ42から製造されたフィラメント10を含む第2の繊維構造体層24は、粒子26がポケット28に封入されるように、第1の繊維構造体層22の表面上に形成される。
【0376】
図18は、
図4による物品20の製造方法の更に別の実施例を示す。本方法は、複数の繊維要素、例えばフィラメント10の第1の繊維構造体層22を形成する工程を含む。1つ以上の粒子26は、粒子源50から第1の繊維構造体層22の表面に堆積される。複数の繊維要素、例えば紡糸ダイ42から製造されたフィラメント10を含む第2の繊維構造体層24は、粒子26が第1の繊維構造体層22と第2の繊維構造体層24との間に位置付けられるように、粒子26の上に形成される。
【0377】
乾燥初期繊維要素、例えばフィラメントは、上述するとおり、成型部材上で回収されてよい。成型部材の構造によって、固有の構造に応じて通気性の領域がもたらされる。成形部材を構成するのに使用されるフィラメントは非通気性であるが、フィラメント間の空隙領域は通気性である。加えて、成形部材にパターンが適用されてよく、本質的に連続的、非連続的、又は半連続的であり得る非通気性領域が更に提供され得る。所定の場所で使用される真空は、繊維を本発明のパターンに偏向させるのに使用される。これらの成型部材のうちの1つのある実施例が
図19に示される。
【0378】
異なる特性(例えば、平均密度)を有する繊維構造体内での区域の形成において、本明細書に記載の技術に加えて、好適な結果をもたらすために他の技術も適用され得る。その一例としては、かかる区域を形成するエンボス化技術が挙げられる。好適なエンボス化技術は、米国特許出願公開第2010/0297377号、同第2010/0295213号、同第2010/0295206号、同第2010/0028621号、及び同第2006/0278355号に記載されている。
【0379】
一実施例では、多プライ物品において、1つ以上の繊維構造体プライは、既存の繊維構造体のプライの上に直接形成及び/又は堆積されて、多プライ繊維構造体を形成し得る。2つ以上の既存の繊維構造体プライは、例えば、熱結合、接着、エンボス加工、穿孔、ロッジング、回転ナイフによる穿孔、ダイカット、ダイパンチング、ニードルパンチング、ローレット加工、空圧成形、液圧成形、レーザー切断、タフティング、及び/又は他の機械的結合プロセスによって、本開示の多プライ物品を形成するための、1つ以上の他の既存の繊維構造体プライを用いて結合されてよい。
【0380】
繊維構造体の非限定的な実施例(F)
実施例1F、2F、及び3F−本開示に従って、以下の表1に記載の式から繊維構造体を製造する。
【0382】
物品の非限定的な実施例(A)
実施例1A−幅21インチである、実施例1Fの繊維構造体のロールを供給する。ルールダイカッター45を使用して、6インチ×10インチのシート3枚をウェブから切断し、A、B、及びCとラベル付けできる。ルールダイカッターは、機械横断方向に6インチの寸法をセットするように配置できる。ルールダイカッター45は、
図20に示されるように、Lexanベース49内に配置された4個の鋭利な金属片47であり得、鋭利な金属片のうちの2つは、長さ10インチであり、他の2つは、長さ6インチである。
【0383】
シートCは、カウンタートップ上で布地側を下向きして紡糸され得、シートBは、シートC上で布地側を下向きにして紡糸され得る。シートAは、シートB上で布地側を上向きにして紡糸され得る。任意に、液体添加物、例えば、香料、シリコーン、香料マイクロカプセル(PMC)溶液、他の有益活性溶液、又はこれらの組み合わせが、シートBに対して噴霧、コーティング、又は塗布され得る。また、任意に、乾性有益添加剤若しくは粒子、例えば、塩、酵素、増白剤など、他の有益活性粒子、又はこれらの組み合わせが、シートBに対して散布、添加され得る、又は組み入れられ得る。
【0384】
物品の端封止部を形成するために使用される工具51は、ステンレス鋼で作製され得る。かかる工具51は、例えば、
図21A〜21Cに示されている。
図21Aは、5つの試料を製造するために使用される工具51の上面図を示す。
図21Bは、
図21Aの文字A−Aで囲まれた工具の断面図を示す。
図21Cは、封止されるウェブと接触する工具の先端の断面詳細を示す。
図22に示されるように、この工具51は、10インチのエアシリンダ57を用いて、典型的な実験室用機械プレス55の加熱された上板53及び底板にボルト止めされる。機械プレスの一例は、Machinteck Corporation(3721 Port Union Rd.,Fairfield,OH 45014.)によって製造される。
【0385】
空気圧は25〜35psiに設定でき、温度は145°Fに設定でき、滞留時間は5秒に設定できる。6インチ×10インチのシート3枚の積層体を加熱された機械プレス55に移し、ボルト止めされた工具51を有する、加熱された上板53の下に置くことができる。プレス55を作動させて、加熱された上板53をウェブの6インチ×10インチ積層体上に下降させて、5個の封止された試料を形成することができる。これらの試料は、依然としてウェブの6インチ×10インチ積層体内に収容されている。第1の圧縮サイクルが完了すると、空気圧を90〜100psiに増加させた第2の圧縮サイクルを完了させることができ、封止された試料をウェブの残りの部分から切断することができる。
図21Cに示されるように、端封止部幅は、ウェブと接触する工具51の先端部の幅によって決定され得る。かかる実施例では、端封止部幅は、工具先端部の幅の半分であり得る。例えば、先端部の幅が0.13インチである場合、端封止部幅は0.065インチとなる。
【0386】
実施例2A−幅21インチである、実施例3Fの繊維構造体のロール、及び幅21インチである、実施例2Fの繊維構造体のロールを供給する。6インチx10インチのルールダイカッター45を使用してウェブのシートを切断できる。ルールダイカッターは、
図20に示されるように、Lexanベース49内に配置された4個の鋭利な金属片47であり得、鋭利な金属片のうちの2つは、長さ10インチであり、他の2つは、長さ6インチである。
【0387】
ルールダイカッター45は、ウェブロールの機械横断方向に6インチの寸法をセットするように配置できる。ルールダイカッター45を使用して、6インチ×10インチのシート3枚を実施例2Fのウェブから切断し、A、B、及びCとラベル付けできる。ルールダイカッター45を使用して、6インチ×10インチのシート2枚を実施例3F(粒子を含まない)から切断し、D及びEとラベル付けできる。シートEは、カウンタートップ上で布地側を下向きして紡糸され得、シートCは、シートE上で布地側を下向きにして紡糸され得る。シートBは、シートC上で布地側を上向きにして紡糸され得る。シートAは、シートB上で布地側を上向きにして紡糸され得、香料及びシリコーン材料を被覆する。シートDは、シートA上で布地側を上向きにして紡糸され得る。任意に、液体添加物、例えば、香料、シリコーン、香料マイクロカプセル(PMC)溶液、他の有益活性溶液、又はこれらの組み合わせが、シートA、B、及び/又はCに対して噴霧、コーティング、又は塗布され得る。また、任意に、乾性有益添加剤若しくは粒子、例えば、塩、酵素、増白剤など、他の有益活性粒子、又はこれらの組み合わせが、A、B、及び/又はCに対して散布、添加され得る、又は組み入れられ得る。
【0388】
1Aに記載されるように、物品の端封止部を形成するために使用される工具51は、ステンレス鋼で作製され得る。かかる工具51は、例えば、
図21A〜21Cに示されている。
図21Aは、5つの試料を製造するために使用される工具51の上面図を示す。
図21Bは、
図21Aの文字A−Aで囲まれた工具の断面図を示す。
図21Cは、封止されるウェブと接触する工具の先端の断面詳細を示す。
図22に示されるように、この工具51は、10インチのエアシリンダ57を用いて、典型的な実験室用機械プレス55の加熱された上板53及び底板にボルト止めされる。機械プレスの一例は、Machinteck Corporation(3721 Port Union Rd.,Fairfield,OH 45014.)によって製造される。
【0389】
空気圧は50psiに設定でき、温度は145°Fに設定でき、滞留時間は5秒に設定できる。6インチ×10インチのシート5枚の積層体を加熱された機械プレス55に移し、ボルト止めした工具51を有する、加熱された上板53の下に置くことができる。プレス55を作動させて、加熱された上板53をウェブの6インチ×10インチ積層体上に下降させて、5個の封止された試料を形成することができる。これらの試料は、依然としてウェブの6インチ×10インチ積層体内に収容されている。第1の圧縮サイクルが完了すると、空気圧を90〜100psiに増加させた第2の圧縮サイクルを完了させることができ、封止された試料をウェブの残りの部分から切断することができる。
図21Cに示されるように、端封止部幅は、ウェブと接触する工具の先端部の幅によって決定され得る。かかる実施例では、端封止部幅は、工具先端部の幅の半分であり得る。例えば、先端部の幅が0.13インチである場合、端封止部幅は0.065インチとなる。
【0390】
以下の表2は、本開示の実施例1A及び2Aの物品によって示されるそれぞれの特性を示す。例えば、データは、本開示の物品において、所望の端封止部強度及び端封止部幅の性能レベルが達成されることを示す。
【0392】
自動食器洗浄機用物品
自動食器洗浄機用物品は、1つ以上の本開示の繊維構造体及び界面活性剤系、任意に洗浄分野において既知の1種以上の任意成分(例えば、自動食器洗浄機での食器の洗浄に有用な成分)を含む。これらの任意成分の例としては、スケール防止剤、キレート剤、漂白剤、香料、染料、抗菌剤、酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ)、洗浄ポリマー(例えば、アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマー)、再付着防止ポリマー、ヒドロトロープ、抑泡剤、カルボン酸、増粘剤、防腐剤、消毒剤、ガラス及び金属ケア剤、自動食器洗浄器用洗浄液が全体的に3〜14の(あるいは8〜11)のpHを有するようなpH緩衝手段、又はこれらの混合物が挙げられる。自動食器洗浄機用活性物質の例は、米国特許第5,679,630号、同第5,703,034号、同第5,703,034号、同第5,705,464号、同第5,962,386号、同第5,968,881号、同第6,017,871号、同第6,020,294号に記載されている。
【0393】
スケール形成が問題になり得る。これはアルカリ土類金属炭酸塩、リン酸塩、及び珪酸塩の折出により生じ得る。スケール防止の例としては、ポリアクリレート、及び他の基と結合したアクリル酸系のポリマーが挙げられる。これらのポリマーのスルホン化した変種はリン酸不存在の配合の実施に特に効果的である。スケール防止剤の例としては、米国特許第5,783,540号(第15欄20行目〜第16欄2行目)及び欧州特許第0 851 022(A2)号(12ページ、1〜20行目)に記載されているものが挙げられる。
【0394】
一実施例では、本開示の繊維構造体を含む自動食器洗浄用物品は、典型的には自動食器洗浄用物品の0〜約30重量%、及び/又は約0.5重量%〜約20重量%、及び/又は約1重量%〜約10重量%の範囲の分散ポリマーを含有してよい。分散ポリマーは、米国特許第4,659,802号に記載のエトキシル化カチオン性ジアミン又はエトキシル化カチオン性ポリアミンであってよい。他の好適な分散ポリマーとしては、Rohm&Haasにより供給されるACUSOL(登録商標)480N及びACUSOL 588(登録商標)、並びにRohm&Haasから入手可能なAcusol 425N(登録商標)の商標名で販売されているアクリル−マレイン酸(比率80/20)ホスホノ末端基などアクリル酸、マレイン酸、及びメタクリル酸から合成されたコポリマーが挙げられる。カルボキシレート及びスルホネートモノマーの両方を含有するポリマー、例えば、ALCOSPERSE(登録商標)ポリマー(Alcoにより供給される)もまた、許容可能な分散ポリマーである。一実施例では、商品名ALCOSPERSE(登録商標)725として販売されているALCOSPERSE(登録商標)ポリマーは、スチレン及びアクリル酸のコポリマーである。ALCOSPERSE(登録商標)725はまた、金属腐食防止効果を提供し得る。他の分散ポリマーは、米国特許第4,530,766,号及び同第5,084,535号、並びに欧州特許出願公開第66,915号(1982年12月15日公開)に開示されている不飽和脂肪族カルボン酸の低分子量コポリマーなど低分子量変性ポリアクリレートコポリマーである。
【0395】
一実施例では、本開示の繊維構造体を含む自動食器洗浄用物品、は、非イオン界面活性剤、スルホン化ポリマー、任意にキレート剤、任意にビルダー、及び任意に漂白剤、並びにこれらの混合物を含んでよい。本開示の自動食器洗浄機用物品を自動食器洗浄機の中に投与する工程を含む、食器洗浄の方法が提供される。
【0396】
食器手洗い用物品
食器手洗い用物品は、界面活性剤系、並びに任意に、洗浄及び手のケアの分野において既知の1種以上の任意成分(例えば手で食器を洗う際に有用である)を含む、本開示の1つ以上の繊維構造体を含む。これらの任意成分の例としては、香料、染料、真珠光沢剤、抗菌剤、酵素(例えば、プロテアーゼ)、洗浄ポリマー(例えば、アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマー)、カチオンポリマー、ヒドロトロープ、保湿剤、皮膚軟化剤、手ケア剤、ポリマー泡安定剤、漂白剤、ジアミン、カルボン酸、増粘剤、防腐剤、消毒剤、食器洗浄液が全体的に3〜14、及び/若しくは8〜11のpHを有するようなpH緩衝手段、又はこれらの混合物が挙げられる。食器手洗い用活性物質の例は、米国特許第5,990,065号、及び同第6,060,122号に記載されている。
【0397】
一実施例では、食器手洗い用物品の界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルコキシスルフェート、アルキルスルホネート、アルコキシスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アミンオキシド、ベタイン又は脂肪族若しくは複素環式二級及び三級アミンの誘導体、四級アンモニウム界面活性剤、アミン、単一若しくは多アルコキシル化アルコール、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アミド界面活性剤、C
8〜C
20アンモニアアミド、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、イソプロパノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、又はこれらの混合物を含む。
【0398】
本開示の食器手洗い用物品を、汚れた食器を収容するのに適した流し台又はボウルに投与する工程を含む、食器洗浄の方法が提供される。流し台又はボウルは、水及び/又は汚れた食器を収容する場合がある。
【0399】
硬質表面洗浄物品
硬質表面洗浄物品は、洗浄の分野において既知の1種以上の成分(例えば硬質表面の洗浄に有用である)、例えば酸性成分、例えば、石炭のかすの良好な除去性能を提供する酸性成分(例えば、ギ酸、クエン酸、ソルビン酸、酢酸、ホウ酸、マレイン酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、グリコール酸、又はこれらの混合物)を提供する酸性成分などを含む、本開示の1つ以上の繊維構造体を含む。酸性硬質表面洗浄物品に含まれ得る成分の例としては、米国特許第7,696,143号に記載のものが挙げられる。あるいは、硬質表面洗浄物品は、アルカリ性成分(例えば、アルカノールアミン、炭酸塩、重炭酸塩化合物、又はこれらの混合物)を含む。アルカリ性硬質表面洗浄物品に含まれ得る成分の例としては、米国特許出願公開第2010/0206328(A1)号に記載のものが挙げられる。硬質表面を洗浄する方法は、硬質表面を洗浄する方法において、硬質表面洗浄物品を使用すること、又は投与することを含む。一実施例では、本方法は、硬質表面洗浄物品をバケツ又は同様の容器に投与することと、任意に、物品をバケツに投与する前若しくは投与した後にバケツに水を加えることと、を含む。別の実施例では、本方法は、硬質表面洗浄物品を便器に投与することと、任意に、便器内の水に物品を溶解した後に、便器の表面を磨くことと、を含む。
【0400】
便器洗浄ヘッド
本開示の1つ以上の繊維構造体を含む便器洗浄用具のための便器洗浄ヘッドが提供される。トイレ便器洗浄ヘッドは使い捨てであってもよい。便器洗浄ヘッドは、取り外し可能にハンドルに取り付けられてもよく、そのためユーザーの手はこのハンドルによって便器から離れたままである。一実施例では、便器洗浄ヘッドは、水分散性シェルを含有してよい。次に、水分散性シェルは、本開示の1つ以上の繊維構造体を含んでよい。この水分散性シェルはコア部を包んでもよい。このコア部は、少なくとも1種の顆粒状物質を含んでよい。コア部の顆粒状物質は、界面活性剤、有機酸、香料、消毒剤、漂白剤、洗剤、酵素、微粒子、又はこれらの混合物を含んでよい。任意に、コアはセルロースを含まなくてよく、本開示の1つ以上の繊維構造体を含んでよい。好適な便器洗浄ヘッドの例は、本開示の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/901,804号に従って製造され得る。デンプン物質を含有する好適な便器洗浄ヘッドは、本開示の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/073,308号、同第13/073,274号、及び/又は同第13/07,3346号に従って製造され得る。本開示の便器洗浄ヘッドを便器表面と接触させる工程を含む、便器表面の洗浄方法が提供される。
【0401】
使用方法
本開示による1種以上の布地ケア活性剤を含む本開示の繊維構造体は、布地物品を処理する方法で利用され得る。布地物品の処理方法は、以下からなる群から選択される1種又は複数の工程を含み得る:(a)布地物品を洗浄する前に布地物品を前処理する工程、(b)繊維構造体と水とを接触させることによって形成される洗浄液と布地物品を接触させる工程;(c)乾燥機中で、布地物品と繊維構造体とを接触させる工程;(d)乾燥機中で、繊維構造体の存在下で布地物品を乾燥させる工程;及び(e)これらの組み合わせ。
【0402】
いくつかの実施例では、本方法は、前処理される布地物品に接触させる前に、繊維構造体を事前に濡らす工程を更に含んでよい。例えば、繊維構造体を水で予め湿らせ、次いで、前処理される、染みを含む布地の一部分に付着させてよい。あるいは、布地を湿らせ、繊維構造体をその布地上に置くか又はその布地に付着させてもよい。いくつかの実施例では、本方法は、布地物品を処理する際に使用するための繊維構造体の一部分のみを選択する工程を更に含み得る。例えば、1つの布地ケア物品のみを処理する場合、繊維構造体の一部分を切断し、及び/又は引き裂いて、布地上に置くか又はその布地に付着させてよく、あるいは水中に入れて比較的少量の洗浄液を形成し、次いで、この洗浄液を使用して布地を前処理してよい。この方法では、使用者は、当面の課題に従って布地処理方法をカスタマイズしてよい。いくつかの実施例では、繊維構造体の少なくとも一部は、装置を使用して処理される布地に塗布されてよい。代表的な装置には、ブラシ、スポンジ及びテープが挙げられるが、これらに限定されない。更に他の実施例では、繊維構造体は、布地の表面に直接適用してよい。所望の布地処理効果を達成するために前述の工程の任意の1種又は複数を繰り返してもよい。
【0403】
試験方法
特に規定がない限り、定義の節に記載されたものを含む本明細書に記載の全ての試験及び次の試験法は、23℃±1.0℃の温度、及び50±2%の相対湿度に調節された部屋で、試験に先立つ最低2時間にわたって、調整された試料に対して行われる。試験した試料は、「使用可能ユニット」である。本明細書で使用するとき、「使用可能ユニット」は、シート、ロール材から得た平らな部分、あらかじめ変換された平らな部分、シート、及び/又は単プライ製品若しくは多プライ製品を意味する。全ての試験は、同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。しわ、破れ、穴等の欠陥を有するサンプルは試験しない。本明細書に記載のとおりに調整された試料は、試験目的に関し、乾燥試料(例えば「乾燥フィラメント」)であるとみなされる。全ての計器は、製造業者の仕様書に従って較正する。
【0404】
坪量試験法
繊維構造体の坪量は、分解能±0.001gの上皿化学天秤を使用して、12個の使用可能ユニットを積み重ねて測定する。天秤は、風防を使用して、気流及び他の外乱から保護する。全ての試料を調製するために、3.500インチ±0.0035インチ×3.500インチ±0.0035インチの精密打抜型を使用する。
【0405】
精密切断用金型を用いて、試料を正方形に切断する。切断した正方形をまとめて、試料12個の厚さに積み重ねる。積み重ねた試料の質量を測定し、結果を、0.001g単位で記録する。
【0406】
坪量は、次のように、lbs/3000ft
2又はg/m
2で計算される。
坪量=(積み重ねた試料の質量)/[(積み重ねた試料の1正方形の面積)×(積み重ねた試料中の正方形の数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft
2)=[[積み重ねた試料の質量(g)/453.6(g/lbs)]/[12.25(in
2)/144(in
2/ft
2)×12]]×3000
又は、
坪量(g/m
2)=積み重ねた試料の質量(g)/[79.032(cm
2)/10,000(cm
2/m
2)×12]
結果は、0.1lbs/3000ft
2又は0.1g/m
2単位で報告する。試料寸法は、上述のものと類似の精密カッターを使用して、変更又は変化させ、積層体内の試料面積の少なくとも100平方インチであるようにできる。
【0407】
含水率試験法
繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体中に存在する含水(水分)率を、以下の含水率試験法を使用して測定する。事前に切断されたシートの形態である繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体、あるいはそれらの一部(「試料」)を、23℃±1.0℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調整された部屋に試験前の少なくとも24時間載置する。各繊維構造体試料は、少なくとも4平方インチの面積を有するが、天秤の計量皿上に適切に適合するのに十分小さい寸法である。上述の温度及び湿度の条件下で、少なくとも小数第4位まで測定できる天秤を用いて、試料の重量を、10分の間に前の(測定した)重量からの変化が0.5%未満になるまで、5分ごとに記録する。最終重量を、「平衡重量」として記録する。10分以内に、試料を、乾燥のために、強制空気乾燥器中のホイル上に、温度70℃±2℃、相対湿度4%±2%で、24時間載置する。24時間の乾燥後、試料を取り除いて、15秒以内にその重量を測定する。この重量は、試料の「乾燥重量」と呼ばれる。
【0408】
サンプルの含水(水分)率を以下のとおり計算する:
【0409】
【数6】
3つの複製物についてのサンプル中の含水(水分)%を平均して、サンプル中の含水(水分)%として報告する。結果は、小数点第1位(0.1%)まで報告する。
【0410】
溶解試験法
装置及び材料(
図23〜
図25も参照):
600mLビーカー54
磁気攪拌器56(LablineモデルNo.1250又は等価物)
磁気攪拌棒58(5cm)
温度計(1〜100℃+/−1℃)
打抜型−−寸法3.8cm×3.2cmのステンレス鋼打抜型
タイマー(0〜3,600秒又は1時間)、秒単位の精度。使用するタイマーは、サンプルが3,600秒を超える溶解時間を示す場合にも十分な合計時間測定範囲を有していなければならない。しかし、タイマーは、秒単位の精度を必要とする。
Polaroid 35mmのスライド台60(Polaroid Corporationから市販、又は等価物)
35mmのスライド台ホルダー62(又は等価物)
以下の特性を有するCincinnati市水道水又は等価物:合計硬度=155mg/L(CaCO
3として);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;ホスフェート含量=0.0462。
【0411】
試験プロトコル
23℃±1.0℃及び50%RH±2%の一定の温度及び湿度環境で少なくとも2時間、試料を平衡化する。本明細書に定義される坪量試験法を用いて、測定を行う繊維構造体試料の坪量を測定する。24×36mmの孔面積寸法を有する35mmのスライド台60内に収まるように、打抜型を使用して物品、例えば、繊維構造体試料から3つの溶解試験の試験片を切り抜く(3.8cm×3.2cm)。別個の35mmのスライド台60に各片を固定する。磁気攪拌棒58を600mLビーカー54に入れる。蛇口をひねって水道水(又は等価物)を出し、温度計で水温を測定し、必要に応じて、試験温度に維持するように温水又は冷水で調整する。試験温度は、15℃±1℃の水である。試験温度に到達したら、ビーカー54に15℃±1℃の水道水500mL±5mLを充填する。充填されたビーカー54を磁気攪拌器56上に置き、攪拌器56のスイッチを入れ、渦が発生し、かつ渦の底部がビーカー54の400mLの印に達するまで、攪拌速度を調整する。スライド台60の長端部66が水面と平行になるように、35mmスライド台60を35mmスライド台ホルダー62のワニクランプ64に固定する。ワニクランプ64は、スライド台60の長端部66の中央に位置付ける必要がある。ホルダー62の深さ調節器68は、深さ調節器68の底部とワニクランプ64の底部との距離が〜11+/−0.125インチとなるように設定する必要がある。この設置により、サンプル表面が水の流れと垂直に配置される。1回の動作で、固定されたスライド及びクランプを水中に下ろし、タイマーを起動させる。サンプルがビーカーの中心になるようにサンプルを下ろす。不織布構造体が分断されると、崩壊が生じる。これを崩壊時間として記録する。目に見える不織布構造体が全てスライド台から離れたら、溶解していない不織布構造体の断片について溶液のモニタリングを続けながら、スライドを水から引き上げる。不織布構造体の断片が全てもはや水中に見えなくなったら、溶解が生じている。これを溶解時間として記録する。
【0412】
各サンプルの3つの複製物を試験し、平均崩壊時間及び平均溶解時間を記録する。平均崩壊時間及び平均溶解時間は、秒単位である。
【0413】
それぞれを、本明細書で定義する坪量法によって決定した試料坪量で除することによって、平均崩壊時間及び平均溶解時間を坪量で正規化できる。坪量で正規化された崩壊時間及び溶解時間は、秒/サンプルのgsm(s/(g/m
2))の単位である。
【0414】
中央粒径試験法
平均粒径を求めるためには、この試験法を使用しなければならない。
【0415】
1989年5月26日に承認されたASTM D 502−89、「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」、更に分析に用いられる篩のサイズについての規格を用いて、シード物質の中央粒径を測定するために中央粒径試験を実施する。第7項の「Procedure using machine−sieving method」に従って、米国標準(ASTM E11)篩♯8(2360um)、♯12(1700um)、♯16(1180um)、♯20(850um)、♯30(600um)、♯40(425um)、♯50(300um)、♯70(212um)、♯100(150um)を含む、入れ子状の清浄な乾燥した篩が必要である。規定された機械篩い法には、上記の入れ子状の篩が使用される。シード物質をサンプルとして用いる。好適な篩振盪機は、W.S.Tyler Company(Mentor,Ohio,U.S.A.)から得ることができる。
【0416】
各篩のマイクロメートル開口サイズを対数横座標にプロットし、累積質量パーセント(Q
3)を線形縦座標にプロットした片対数プロット上に、データをプロットする。上記データ表現の例は、ISO 9276−1:1998、「Representation of results of particle size analysis−Part 1:Graphical Representation」の
図A.4に記載されている。本開示のために、シード物質の中央粒径(D
50)は、累積質量パーセントが50パーセントに等しい点における横座標値として定義され、以下の等式を使用する50%値の真上(a50)及び真下(b50)のデータ点間の直線補間によって計算される。
D
50=10^[Log(D
a50)−(Log(D
a50)−Log(D
b50))
*(Q
a50−50%)/(Q
a50−Q
b50)]
(式中、Q
a50及びQ
b50は、それぞれ、50パーセンタイル値の真上及び真下のデータの累積質量パーセンタイル値であり、D
a50及びD
b50は、これらデータに対応するマイクロメートル篩サイズ値である)。
【0417】
50パーセンタイル値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さいか又は最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、中央値が2つの測定された篩サイズ間に入るまで、1.5以下の等比級数に従って入れ子に追加の篩を加えなければならない。
【0418】
シード物質の分布Spanとは、中央値(中央粒径)に関するシードサイズ分布の全幅の尺度である。これは、以下に従って計算される。
Span=(D
84/D
50+D
50/D
16)/2
式中、D
50は中央粒径であり、D
84及びD
16は、それぞれ、累積質量パーセントのプロット上の16パーセンタイル値及び84パーセンタイル値における粒径である。
【0419】
D
16値が、最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さい場合、Spanは、以下に従って計算される:
Span=(D
84/D
50)。
【0420】
D
84値が、最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、Spanは、以下に従って計算される:
Span=(D
50/D
16)。
【0421】
D
16値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さく、かつD
84値が最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、分布Spanを最大値5.7とする。
【0422】
直径試験法
個々の繊維要素又は繊維構造体内の繊維要素の直径を、走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用して決定する。200〜10,000倍の倍率を選択し、繊維要素を測定のために適切に拡大する。SEMを使用する場合には、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を避けるために、サンプルを金又はパラジウム化合物でスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像(モニタースクリーン上)から繊維要素の直径を測定するにはマニュアルの手順を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維要素の縁部を探し、その後、その幅(すなわち、その点における繊維要素の方向に対して垂直な)にわたって繊維要素の他方の縁部まで測定する。目盛り付きの較正された画像解析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。繊維構造体中の繊維要素について、繊維要素をいくつか、SEM又は光学顕微鏡を用いて、繊維構造体の試料全体からランダムに選択する。繊維構造体の少なくとも2つの部分を切り取り、この方法で試験する。統計解析のために、このような測定を合計少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録したデータを用いて、繊維要素の直径の平均値(平均)、繊維要素の直径の標準偏差、及び繊維要素の直径の中央値を計算する。
【0423】
別の有用な統計値として、特定の上限以下である繊維要素の集合の量を算出する。この統計値を決定するために、繊維要素の直径のうちのどれくらい多くの結果が、上限以下であるかカウントするようにソフトウェアをプログラムし、このカウント(データの合計数によって除され、100%を掛ける)を、上限以下であるパーセント(例えば直径が1マクロメートル以下であるパーセント、又はサブミクロンである%)として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形繊維要素に関し測定された直径(μmで)をdiとして表す。
【0424】
繊維要素が非円形断面を有する場合では、繊維要素の直径の測定は、水力直径として、及びこれと等しいものとして決定される。水力直径とは繊維要素の断面積を4倍して繊維要素の断面の周囲の長さ(中空の繊維要素の場合は外側の周囲の長さ)で除したものである。数−平均直径、あるいは平均直径は、以下のとおりに計算する:
【0426】
引張試験法:伸長、引張強度、TEA、及び弾性率
伸長、引張強度、TEA、及び接線弾性率は、測定される力がセルの限界の10%〜90%以内にあるロードセルを使用して、コンピュータインターフェースを備えた伸張引張試験機(好適な機器は、Thwing−Albert Instrument Co.(米国ニュージャージー州Wet Berlin)からのEJA Vantage)で一定速度で測定する。可動式(上部)空気圧つかみ具及び固定式(下部)空気圧つかみ具の双方に、高さ25.4mm及び試験標本の幅よりも広い平滑ステンレス鋼張りの把持部を装着する。約60psiの空気圧をつかみ具に供給する。
【0427】
繊維構造体の8つの使用可能ユニットは、それぞれ4つの試料を積み重ねて2つに分ける。それぞれ積み重ねた試料は、機械方向(MD)及び横断方向(CD)に確実に配向する。スタックの一方はMDの試験用、もう一方はCDの試験用である。1インチの精密カッター(Thwing Albert JDC−1−10又は同類物)を使用して、1つの積層体から4つのMDストリップ、及び他の積層体から4つのCDストリップ(幅1.00インチ±0.01インチ×長さ3.0〜4.0インチ)を切断する。1つの使用可能なユニットの厚さのそれぞれのストリップは、試験の単一標本として扱われる。
【0428】
引張試験機をプログラムして、クロスヘッドを2.00インチ/分(5.08cm/分)の速度に上げ、標本が破断するまで、20Hzの獲得率で力及び伸張データを収集しながら伸張試験を実施する。破断感度は80%に設定する。すなわち、測定された力が最大ピーク力の20%まで低下すると試験を終了し、その後、クロスヘッドは最初の位置に戻る。
【0429】
ゲージ長を1.00インチに設定する。クロスヘッド及びロードセルをゼロ点調整する。単一標本を上部把持部内に挿入し、それを上部つかみ具及び下部つかみ具内で垂直整列し、上部把持部を閉じる。単一標本を下部把持部内に挿入し、閉じる。単一標本は、いかなるたるみをも除くのに十分であるが、ただしロードセル上の力が5.0g未満となる引張力下になければならない。引張試験機を始動させ、データ収集を開始する。4つのCD及び4つのMD単一標本全てに対して、同様に試験を繰り返す。ソフトウェアをプログラムし、築かれた力(g)と伸張(インチ)曲線との対比から下記を算出する。
【0430】
引張強度は、最大ピーク力(g)を試料幅(in)で除算して求められ、1g/in単位でg/inとして報告する。
【0431】
調整された標点距離は、3.0gの力が元の標点距離(in)に加わった時点で測定される伸張(in)として計算される。
【0432】
伸長は、最大ピーク力における伸張(in)を調整されたゲージ長(in)で除算して100を掛けて計算され、0.1%単位で%として報告する。
【0433】
全エネルギー(TEA)は、ゼロ伸張から最大ピーク力における伸張までを積算した力曲線の下側の面積(g
*in)を、調整されたゲージ長(in)と試験片の幅(in)の積で除したものとして計算し、1g
*in/in
2単位で報告する。
【0434】
力(g)対歪み曲線として、力(g)対伸張曲線(in)を再プロットする。本明細書における歪みとは、伸張(in)を調整されたゲージ長(in)で除算したものとして定義される。
【0435】
構成された力(g)対歪み曲線から以下を計算するようにソフトウェアをプログラムする。
接線弾性率は、力(g)対歪み曲線上の2つのデータ点間に引かれた線形直線の傾きとして計算され、その場合、用いるデータ点の一方は28gの力の後に記録された第1のデータ点であり、用いるデータ点のもう一方は48gの力の後に記録された第1のデータ点である。この傾きは、次に標本幅(2.54cm)で除され、1g/cm単位で報告される。
【0436】
引張強度(g/in)、伸長(%)、全エネルギー(g
*in/in
2)、及び接線弾性率(g/cm)は、4つのCD単一標本及び4つのMD単一標本に対して計算する。CD及びMD標本において、各パラメーターの平均を別々に計算する。
【0437】
計算:
幾何平均引張強度=[MD引張強度(g/in)×CD引張強度(g/in)]の平方根
幾何平均ピーク伸長=[MD伸長(%)×CD伸長(%)]の平方根
幾何平均TEA=[MD TEA(g
*in/in
2)×CD TEA(g/in
2)]の平方根
幾何平均弾性率=[MD弾性率(g/cm)×CD弾性率(g/cm)]の平方根
総乾燥引張強度(TDT)=MD引張強度(g/in)+CD引張強度(g/in)
総TEA=MD TEA(g
*in/in
2)+CD TEA(g
*in/in
2)
総弾性率=MD弾性率(g/cm)+CD弾性率(g/cm)
引張比=MD引張強度(g/in)/CD引張強度(g/in)
【0438】
厚さ試験方法
繊維構造体の厚さ及び/又は物品の高さは、ProGage Thickness Tester(Thwing−Albert Instrument Company(West Berlin,NJ))を用いて、2.00インチの円形プレッシャーフット直径(3.14インチ
2の面積)、15.5g/cm
2の圧力で測定する。5つの試料は、各切断試料がプレッシャーフット面よりも大きいサイズであるように、繊維構造体の試料を切断し、しわ、折り目、及び明らかな欠陥のないように調製する。物品が、プレッシャーフットの直径よりも小さい長さ又は幅を有する場合、より小さい直径のプレッシャーフットを使用してよく、一方では、15.5g/cm
2の圧力が依然として適用されるように適切な調整を行う。個々の試料は、試料をプレッシャーフットの下の中心に置くように、又は物品の最大高さの位置の中心に置くように、アンビル上に配置する。0.03in/秒で15.5g/cm
2の圧力が加わるまでプレッシャーフットを下降させる。3秒の滞留時間後に読み取りを行い、プレッシャーフットを上昇させる。残りの4つの試料について同様の方法で測定を繰り返す。厚さ又は物品高さは、5つの試料の平均厚さとして計算し、0.01mm単位で報告する。
【0439】
剪断粘度試験方法
本開示のフィラメント形成組成物の剪断粘度は、毛管レオメーターである、Goettfert USA(Rock Hill SC,USA)で製造されたGoettfert Rheograph6000を使用して測定する。測定は、1.0mmの直径D及び30mmの長さL(すなわちL/D=30)を有する毛管ダイを使用して行う。レオメーターの20mmのバレルの下端にダイを取り付け、75℃のダイ試験温度に保持する。ダイ試験温度に予め熱しておいたフィラメント形成組成物の60gのサンプルを、レオメーターのバレル領域にロードする。サンプルから、閉じ込められた空気を全て取り除く。一連の選択された速度1,000〜10,000秒
−1で、サンプルをバレルから毛管ダイを通して押し出す。見かけの剪断粘度は、試料がバレルから毛管ダイを通って進むときに試料に生じる圧力低下及び毛管ダイを通る試料の流量から、レオメーターのソフトウェアを用いて計算することができる。log(見かけの剪断粘度)をlog(剪断速度)に対してプロットすることができ、このプロットを式η=Kγ
n−1(式中、Kは材料の粘度定数であり、nは材料の薄化指数であり、γは剪断速度である)に従って、指数法則でフィッティングすることができる。本明細書におけるフィラメント形成組成物の見かけの剪断粘度の報告値は、指数法則関係を用いて剪断速度3,000秒
−1に対する補間から計算される。
【0440】
重量平均分子量
材料(例えば、ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、混床式カラムを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められる。以下の構成要素:Millenium(登録商標)、Model 600Eポンプ、システムコントローラ及びコントローラソフトウェア バージョン3.2、Model 717 Plusオートサンプラ、並びにCHM−009246カラムヒータ(全てWaters Corporation(Milford,MA,USA)製)を有する高性能液体クロマトグラフ(HPLC)を使用する。カラムは、長さ600mm及び内径7.5mmのPLゲル20μm混合Aカラム(ゲル分子量:1,000g/モル〜40,000,000g/モル)であり、ガードカラムは、長さ50mm、ID7.5mmのPLゲル20μmである。カラムの温度は55℃であり、注入量は200μLである。検出器は、Wyatt Technology(Santa Barbara,CA,USA)製のAstra(登録商標)ソフトウェア、バージョン4.73.04検出器ソフトウェア、K5セル及び690nmレーザーを有するレーザー光散乱検出器を備える、DAWN(登録商標)Enhanced Optical System(EOS)である。奇数が振られた検出器のゲインを、101に設定する。偶数が振られた検出器のゲインを、20.9に設定する。Wyatt TechnologyのOptilab(登録商標)示差屈折率計を、50℃に設定する。ゲインを10に設定する。移動相は、0.1%w/vのLiBrを含むHPLC等級のジメチルスルホキシドであり、移動相の流量は、1mL/分、定組成である。実行時間は、30分間である。
【0441】
名目上移動相1mL当たり材料3mgで材料を移動相に溶解させることによって、サンプルを調製する。サンプルに蓋をし、次いで、磁気攪拌器を使用して約5分間攪拌する。次いで、サンプルを85℃の対流式オーブン内に60分間入れる。次いで、サンプルを室温まで放冷する。次いで、サンプルを、5mLのシリンジを介して、5μmのナイロン膜(タイプ:Spartan−25、Schleicher&Schuell(Keene,NH,USA)製)で濾過して5ミリリットル(mL)のオートサンプラバイアルに入れる。
【0442】
各一連の測定サンプル(材料の3つ以上のサンプル)について、ブランクサンプルの溶媒をカラムに注入する。次いで、上記サンプルに関する方法と同様にチェックサンプルを調製する。チェックサンプルは、47,300g/モルの重量平均分子量を有する2mg/mLのプルラン(Polymer Laboratories)を含む。各サンプルセットを分析する前に、チェックサンプルを分析する。ブランクサンプル、チェックサンプル、及び材料試験サンプルの試験を、デュープリケートで行う。最後の測定には、ブランクサンプルを用いる。光散乱検出器及び示差屈折計は、「Dawn EOS Light Scattering Instrument Hardware Manual」及び「Optilab(登録商標)DSP Interferometric Refractometer Hardware Manual」(両方ともWyatt Technology Corp.(Santa Barbara,CA,USA)によって作成され、両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に従って用いる。
【0443】
検出器のソフトウェアを使用して、サンプルの重量平均分子量を計算する。dn/dc(濃度による屈折率の微分変化)値0.066を使用する。レーザー光検出器及び屈折率検出器のベースラインを補正して、検出器の暗電流及び溶媒散乱の干渉を除去する。レーザー光検出器の信号が飽和した場合、又は過剰なノイズを呈する場合、その値を分子質量の計算には使用しない。分子量の特性決定のための領域は、レーザー光散乱及び屈折率用の90°の検出器の信号が、両方とも、それぞれのベースラインノイズレベルの3倍よりも大きくなるように選択する。典型的に、クロマトグラムの高分子量側は、屈折率信号によって制限され、低分子量側はレーザー光信号によって制限される。
【0444】
重量平均分子量は、検出器のソフトウェアに定義されている「一次Zimmプロット」を使用して計算することができる。サンプルの重量平均分子量が1,000,000g/モルよりも大きい場合、一次及び二次Zimmプロットの両方を計算し、回帰当てはめの最もエラーの少ない結果を使用して分子質量を計算する。報告する重量平均分子量は、材料試験サンプルの2回の実行の平均である。
【0445】
繊維要素組成物試験方法
繊維要素組成物測定用に繊維要素を調製するために、繊維要素の外面上に存在する任意の除去可能であるコーティング組成物及び/又は材料を除去することによって、繊維要素を調整する。それを実行する方法の例としては、繊維要素を変化させずに外部のコーティングを除去する好適な溶剤で、繊維要素を3回洗浄することである。その後、繊維要素の水分が10%未満となるまで、繊維要素を、温度23℃±1.0℃で、空気乾燥させる。調整した繊維要素の化学分析を次いで完了させ、フィラメント形成材料、及び繊維要素内に存在する活性剤に関して、繊維要素の組成の構成を決定する。
【0446】
繊維要素形成材料及び活性剤に関する組成の構成はまた、TOF−SIMS又はSEMを使用して、断面解析を完了することによって決定されてもよい。繊維要素の組成の構成を決定するための更に他の方法は、マーカーとして蛍光染料を使用するものである。更に、常として、繊維要素の製造者は自分達の繊維要素の組成を知っていなくてはならない。
【0447】
修正円形曲げ試験法
試験する繊維構造体の試料の修正円形曲げを、測定した力がセルの限界の10%〜90%以内となるロードセルを使用した定速の延伸引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks4.0Softwareを使用したMTS Allianceである)で測定する。全ての試験は、23℃±3℃及び50%±2%の相対湿度に制御された部屋にて行われる。
【0448】
図26A及び26Bに示されるように、下定置固定具92は、幅102.0mm×長さ102.0mm×厚さ6.35mmの平滑な研磨ステンレス鋼水平プラットフォーム94からなる。プラットフォーム94は、その中心に直径18.75mmのオリフィス96を有し、このオリフィス96の重なり縁部98は、4.75mmの深さまで45度の角度を有する(すなわち、斜面の外径は28.25mmである)。下定置固定具92は、プラットフォーム94の下に少なくとも20mmの隙間を有するように構築される。プラットフォーム94には引張試験機に適合するアダプター100があり、これは、プラットフォーム94を水平に、かつ引張試験機の引張方向に対して直角に固定することができる。上固定具102は、全長70mm、直径6.25mmの円筒形プランジャ104からなる。プランジャ104は、半径2.97mmのボールノーズである接触先端部106を有する。プランジャ104には、ロードセルの取り付けに適合するアダプター108があり、これは、プランジャ104をプラットフォーム94に対して直角に固定することができる。組み立てられると、プランジャ94はオリフィス96と同軸であり、全側面に等しい隙間を有する。
【0449】
試験前に、23℃±3℃及び50%±2%の相対湿度で2時間、繊維構造体試料を予め調整する。10個の個々の繊維構造体試料を取り出し、2つの5積層体に分割し、上から下への方向を維持する。第1の積層体は、上向きの試料の頂部で試験し、第2の積層は、上向きの試料の底部で試験する。
【0450】
プランジャ104の接触先端部106の底部からプラットフォーム94の底面までの標点距離を25.0mmに設定する。引張試験機を圧縮試験としてプログラムし、クロスヘッドを50.0cm/分で25.0mm下降させ、100Hzのデータ速度で力(N)及び変位(mm)を記録し、次いでクロスヘッドをその元の標点距離に戻す。
【0451】
クロスヘッド及びロードセルをゼロ点調整する。プランジャの下の中心に試料を位置付け、その縁部は、プラットフォーム94の縁部に対して平行かつ垂直にする。試験を開始し、力(N)及び変位(mm)データを収集する。
【0452】
力(N)対変位(mm)のグラフを作成する。グラフから最大ピーク力(N)を読み取り、0.01N単位で記録する。最大ピーク力の少なくとも20%である線分を使用して、曲線の最大勾配として曲げ剛性を計算し、0.1N/m単位で記録する。
【0453】
全10試料について同様に繰り返し、平均最大ピーク力(N)及び平均曲げ剛性の算術平均を、それぞれ0.01N単位及び0.1N/m単位で報告する。
【0454】
手溶解試験法
必要材料:
試験する物品:個々の物品試料の場合、それぞれの平均ストローク数を計算し、物品の平均手溶解値として記録するように、5つの物品を試験する。この方法では、消費者用販売可能物品、又は消費者用物品の全体を試験する。消費者用販売可能物品又は消費者用物品の全体の長さ及び/又は幅が7cmを超える場合、物品は、7cm超の寸法をそれぞれ4〜5cmに縮小するように切断する。
ニトリル手袋
10ccシリンジ
プラスチック製秤量ボート(〜3インチ×3インチ)
100mLガラスビーカー
水:(以下の特性を有するCincinnati市水道水又は等価物:合計硬度=155mg/L(CaCO
2として);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;リン酸含量=0.0462mg/L)
【0455】
プロトコル:
・水80mLをガラスビーカーに加える。
・水が100°F±3°Fの温度になるまでビーカー内の水を加熱する。
・シリンジを介して、10mLの100°F±3°Fの水をビーカーから秤量ボートに移す。
・水を秤量ボートに移してから30秒以内に、手袋を着用した手のひら(物品試料を保持し、物品試料を侵襲する水を保持するために杯状にした手)に物品試料を置く。
・秤量ボートから物品試料に水を素早く加え、直ちに5〜10秒間濡らせるようにする。
・2回の高速円形ストロークで、反対側の手で擦り合わせる(この手も手袋を着用している)。
・2回のストローク後に、手の中の物品試料を目視検査する。物品試料が完全に溶解している場合、ストローク数=2溶解ストロークを記録する。完全に溶解していない場合、残りの物品試料を更に2回の円形ストローク(合計4回)で擦り合わせ、溶解度を観察する。2回の更なるストローク後に物品試料が固体片を含有しない場合、ストローク数=4溶解ストロークを記録する。合計4回のストローク後、物品試料が依然として、溶解していない物品試料の固体片を含有する場合、物品試料が完全に溶解するか、又は合計ストロークが30に達するかのいずれか早い方まで、引き続き更に2回の円形ストロークで残りの物品試料を擦り合わせ、各更に2回の円形ストローク後に物品の残りの固体片が残っているか否かを確認する。合計ストローク数を記録する。固体物品試料片が上限の30ストローク後に残った場合であっても、30溶解ストロークを記録する。
・更に4つの物品試料のそれぞれについて、このプロセスを繰り返す。
・5つの個々の物品試料の記録された溶解ストロークの値の算術平均を計算し、物品の平均手溶解値として記録する。平均手溶解値は、溶解ストローク単位で報告する。
【0456】
端封止部強度試験法
端封止部強度測定は、ASTM F88/F88M−09に従って以下の仕様で実行する。全ての試験は、23℃±3℃及び50%±2%の相対湿度に制御された部屋で行う。試験片の調製及び試験の前に、全ての試料を2時間にわたって調整する。幅1.0インチ、長さ約2.0インチに切断することによって、5個の封止された試験用試験片を複製する。長さ寸法において試験片の2つの端部は互いに平行であり、封止された端部に対して可能な限り垂直である。個々の内側プライを特定できず、分離できない試験片については、z方向の中央に沿って試験片を手動で分離させ、試験用に試験片を把持するために2つの脚部を形成する。あるいは、個々のプライが試験片内に存在する場合、プライの数を可能な限り均等に分割して、試験用に把持するために2つの脚部を形成する。換言すれば、偶数のプライが存在する場合、2つの脚部のそれぞれが等しい数のプライを含むように試験片を分離させる。あるいは奇数のプライが存在する場合には、一方の脚部が他方よりも1つ多いプライを含むように試験片を分離させる。脚部を分離させ、試験片を把持部に取り付けるプロセスでは、試験前に試験片封止部の早期分離を生じさせないように注意する必要がある。支持されていない尾部を保持する技術Aを使用して、試験中に試験片を保持する。グリップ間の初期距離(標点距離)は2.0インチに等しく、グリップ分離速度(クロスヘッド速度)は300mm/分である。試料又は物品のサイズにより、1.0インチの試験片幅を得ることができない場合、試験片幅を狭くして試料又は物品から可能な限り最大の幅が得られるようにして、最大封止強度計算における試験片幅の減少を補う。試料又は物品のサイズにより、2.0インチの試験片長さを得ることができない場合、試料の長さを短くして試料又は物品から可能な限り最大の長さが得られるようにし、それに応じて、把持部間の初期距離(標点距離)を減少させて試料長さの減少に対応する。
【0457】
元の試験片の単位幅当たりの最大力を0.1N/in.単位で記録し、5個の複製試験片のこの最大封止部強度の統計的平均を、端封止部強度として報告する。加えて、(ASTM F88/F88M−09の
図2の封止部寸法「X」として特定された)試験片の封止部の直線距離を0.1mm単位で測定して記録し、5個の複製試験片の統計的平均を端封止部幅として報告する。
【0458】
本開示の発明は、以下の段落のいずれかによって説明され得る。
【0459】
1つ以上の繊維要素を有する物品であって、繊維要素のうちの少なくとも1つは、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤と、を含み、端封止部は、物品の外周の少なくとも一部に沿って概ね位置付けられており、物品は、端封止部強度試験法に従って測定されるとき、約0.1N/in〜約4N/inの端封止部強度を示す。
【0460】
1つ以上の繊維要素を有する物品であって、繊維要素のうちの少なくとも1つは、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤と、を含み、端封止部は、物品の外周の少なくとも一部に沿って概ね位置付けられており、端封止部は、端封止部強度試験法に従って測定されるとき、約0.5mm〜約4mmの端封止部幅を有する。
【0461】
1つ以上の繊維要素を有する物品であって、繊維要素のうちの少なくとも1つは、1種以上のフィラメント形成材料と、繊維要素から放出可能な1種以上の活性剤と、を含み、端封止部は、物品の外周の少なくとも一部に沿って概ね位置付けられており、端封止部は、端封止部強度試験法に従って測定されるとき、約0.5mm〜約4mmの端封止部幅を有し、物品は、端封止部強度試験法に従って測定されるとき、約0.1N/in〜約4N/inの端封止部強度を示す。
【0462】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0463】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0464】
本開示の特定の実施形態について例示し記載したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。