特許第6886070号(P6886070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6886070薬物送達装置のための用量検出モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886070
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】薬物送達装置のための用量検出モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   A61M5/315 550A
   A61M5/315 550R
【請求項の数】24
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-502647(P2020-502647)
(86)(22)【出願日】2018年2月22日
(65)【公表番号】特表2020-527424(P2020-527424A)
(43)【公表日】2020年9月10日
(86)【国際出願番号】US2018019179
(87)【国際公開番号】WO2019040118
(87)【国際公開日】20190228
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】62/548,059
(32)【優先日】2017年8月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アントネッリ,マシュー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バーク,ウィリアム チャーチル タリアーフェロ
(72)【発明者】
【氏名】バイリー,ロイ ハワード
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,ラッセル ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】リットシャー,ケニース アラン
(72)【発明者】
【氏名】サミア,エリアス ラード
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−526486(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03184137(EP,A1)
【文献】 特表2008−523930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、用量送達中に第1の回転軸を中心に前記装置本体に対して回転可能な用量設定部材と、
前記用量設定部材に取り付けられ回転的に固定された被検知要素であって、前記用量設定部材の前記第1の回転軸を中心に半径方向に間隔を置いて配置された第1のギヤ歯を含む前記被検知要素と、
前記装置本体に取り付けられたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、用量設定中の第1の動作モード中に、前記用量設定部材と軸方向におよび回転的に固定され、かつ前記第1の回転軸を中心に回転可能であり、前記アクチュエータが、用量送達中の第2の動作モード中に、前記装置本体に対して回転不能であり、前記被検知要素および前記用量設定部材が、送達される投与量に関連して用量送達中に前記アクチュエータに対して回転する、前記アクチュエータと、
用量送達中に前記アクチュエータに取り付けられた回転センサであって、前記回転センサが、第2の回転軸を中心に半径方向に間隔を置いて配置されて回転する第2のギヤ歯を含み、前記第2のギヤ歯は、前記第1のギヤ歯が用量送達中の前記アクチュエータに対する前記被検知要素の回転中に前記第1の回転軸を中心に回転すると、前記第2のギヤ歯が前記第2の回転軸を中心として回転駆動されるように、前記被検知要素の前記第1のギヤ歯によって動作可能に受容されており、前記回転センサが、前記第2のギヤ歯の前記回転に応答して前記用量設定部材の前記回転を検出する、前記回転センサと、
前記回転センサに応答し、用量送達中の前記アクチュエータに対する前記用量設定部材の前記検出された回転に基づいて送達用量を判定するコントローラと
を備える前記薬物送達装置。
【請求項2】
前記第1のギヤ歯が、前記第1の回転軸を中心に半径方向外側に延在している、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項3】
前記回転センサが、前記第2のギヤ歯を含む駆動ギヤを含むエンコーダを備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項4】
前記エンコーダが、前記第1のギヤ歯の近位に位置付けられた本体を含み、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸に対して平行である、請求項3に記載の薬物送達装置。
【請求項5】
前記用量設定部材が、前記アクチュエータの近位に延在している、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項6】
前記第1のギヤ歯が、前記第1の回転軸を中心に半径方向内側に延在している、請求項に記載の薬物送達装置。
【請求項7】
前記第2のギヤ歯が、前記アクチュエータの近位に位置付けられ、前記第2の回転軸を中心に半径方向外側に延在している、請求項6に記載の薬物送達装置。
【請求項8】
前記アクチュエータに取り外し可能に取り付けられたモジュールを備え、前記モジュールが、前記回転センサを含む、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項9】
前記用量設定部材が、前記装置本体の外側に露出した外面を備え、前記被検知要素が、前記露出した外面に取り付けられている、請求項8に記載の薬物送達装置。
【請求項10】
前記被検知要素が、前記露出した外面に取り外し可能に取り付けられている、請求項9に記載の薬物送達装置。
【請求項11】
記第1のギヤ歯および前記露出した外面は、前記第1の回転軸に沿って軸方向に整列され、前記モジュールが、前記第1および第2のギヤ歯を覆うように遠位に延在する外壁を含む、請求項9に記載の薬物送達装置。
【請求項12】
前記回転センサが、前記第2のギヤ歯を備える駆動ギヤを含むエンコーダを備える、請求項11に記載の薬物送達装置。
【請求項13】
前記エンコーダが、前記モジュールの前記外壁に取り付けられている、請求項12に記載の薬物送達装置。
【請求項14】
前記モジュールが、コンパートメントを画定する内壁と、前記内壁を取り囲む外壁とを含む、請求項10に記載の薬物送達装置。
【請求項15】
前記回転センサが、前記第2のギヤ歯を備える駆動ギヤを含むエンコーダを備える、請求項14に記載の薬物送達装置。
【請求項16】
前記エンコーダが、前記モジュールの前記内壁に取り付けられている、請求項15に記載の薬物送達装置。
【請求項17】
前記被検知要素が、前記用量設定部材から前記アクチュエータの近位まで前記内壁と前記外壁との間に延在している、請求項14に記載の薬物送達装置。
【請求項18】
前記第1のギヤ歯が、前記第1の回転軸を中心に半径方向内側に延在している、請求項17に記載の薬物送達装置。
【請求項19】
前記第2のギヤ歯が、前記アクチュエータの近位に位置付けられ、前記第2の回転軸を中心に半径方向外側に延在している、請求項18に記載の薬物送達装置。
【請求項20】
前記用量設定部材が、前記装置本体の外側に露出した外面を備え、前記被検知要素が、前記露出した外面に取り付けられ、前記露出した外面の近位に延在しており、前記第1のギヤ歯が、前記アクチュエータの近位に位置付けられており、前記第1の回転軸は前記第2の回転軸に対して平行である、請求項19に記載の薬物送達装置。
【請求項21】
前記被検知要素が、前記露出した外面に取り外し可能に取り付けられている、請求項20に記載の薬物送達装置。
【請求項22】
前記第2の回転軸が、前記第1の回転軸とは異なる、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項23】
前記第2の回転軸が、前記第1の回転軸に対して平行である、請求項22に記載の薬物送達装置。
【請求項24】
薬物を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の薬物送達装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達装置のための電子用量検出システムに関し、具体的には、薬物送達装置の近位端部分に取り外し可能に取り付けるように適合された電子用量検出モジュールに関する。用量検出システムは、薬物送達装置によって送達される薬物の投与量を検出するように動作可能である。
【背景技術】
【0002】
様々な病気に苦しんでいる患者は、自分自身に薬物を注射しなければならないことが頻繁にある。人が薬物を便利にかつ正確に自己投与することを可能にするために、ペン型注射器または注射ペンとして広く知られている様々な装置が開発されている。一般に、これらのペンは、ピストンを含み、かつ複数用量の液体薬物を含有するカートリッジが装填されている。駆動部材は、前方に移動可能であり、カートリッジ内のピストンを前進させて、含有された薬物を遠位カートリッジ端の出口から、典型的には針を介して、分注する。使い捨てまたは事前充填されたペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給を使い果たすように利用された後、ユーザは、ペン全体を廃棄し、新しい代わりのペンを使用し始める。再使用可能なペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給を使い果たすように利用された後、ペンは、分解されて、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジに交換することが可能になり、次に、ペンは、その後の使用のために再組み立てされる。
【0003】
多くのペン型注射器および他の薬物送達装置は、装置の動作によって送達される用量に比例した様態で、部材が互いに対して回転および/または平行移動する機械的システムを利用する。したがって、当該技術分野では、送達される用量を評価するために、薬物送達装置の部材の相対的な運動を正確に測定する信頼性の高いシステムを提供する努力がなされてきた。そのようなシステムは、薬物送達装置の第1の部材に固定され、装置の第2の部材に固定された被検知構成要素の相対的な運動を検出するセンサを含み得る。
【0004】
適切な量の薬物の投与は、薬物送達装置によって送達される用量が正確であることを必要とする。多くのペン型注射器および他の薬物送達装置は、注射事象中に装置によって送達される薬物の量を自動的に検出して記録するための機能を含まない。自動化システムがない場合、患者は各注射の量および時間を手動で追跡しなければならない。したがって、注射事象中に薬物送達装置によって送達される用量を自動的に検出するように動作可能な装置が必要である。さらに、そのような用量検出装置は、取り外し可能であり、かつ複数の送達装置と共に再使用可能である必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様によれば、用量検出システムは、用量送達中にアクチュエータに対して回転する用量設定部材を含む薬物送達装置のために提供される。用量検出システムは、アクチュエータに取り付けられた電子機器アセンブリと、用量設定部材に取り付けられた被検知要素とを備える。電子機器アセンブリは、用量送達中にアクチュエータに対する用量設定部材の運動を検出するように被検知要素と共に動作可能な回転センサを含む。電子機器アセンブリは、1つ以上の他のセンサ、メモリ、プロセッサ、コントローラ、電池などの様々な追加の構成要素をさらに含むことができる。
【0006】
他の態様では、用量検出システムは、薬物送達装置に取り外し可能に取り付け可能なモジュールを備える。他の利点の中でも、取り付け可能および取り外し可能なモジュールは、それが取り付けられる薬物送達装置の機能性または操作を変更することなく送達された薬物量を検出するように動作可能である。いくつかの実施形態では、検知システムは、送達用量のサイズを記録し、その情報を外部装置に伝達する。薬物送達装置は、薬物を含み得る。当業者であれば、他の利点を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、当業者にさらに明らかになるであろう。
【0008】
図1】本開示の用量検出システムが動作可能である例示的な薬物送達装置の斜視図である。
図2図1の例示的な薬物送達装置の断面斜視図である。
図3-4】図3は、図1の例示的な薬物送達装置の近位部分の斜視図である。図4は、図1の例示的な薬物送達装置の近位部分の部分分解斜視図であり、用量検出モジュールを示している。
図5】薬物送達装置の近位部分に取り付けられて示される用量検出システムの例示的な実施形態の部分断面概略斜視図である。
図6】薬物送達装置の近位部分に取り付けられて示される用量検出システムの第2の例示的な実施形態の部分断面概略斜視図である。
図7】薬物送達装置の近位部分に取り付けられて示される用量検出システムの第3の例示的な実施形態の部分断面概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の原理の理解を促進するために、次に、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明しよう。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
【0010】
本開示は、薬物送達装置用の検知システムに関する。一態様では、検知システムは、薬物送達装置の用量設定部材とアクチュエータとの間の相対回転運動の検知に基づいて、薬物送達装置によって送達される投与量を判定するためのものである。検知された相対回転運動は、送達される投与量と相関している。例として、薬物送達装置は、ペン型注射器の形態で記載されている。しかしながら、薬物送達装置は、ペン型注射器、注入ポンプまたはシリンジなどの、ある用量の薬物を設定して送達するために使用される任意の装置であり得る。薬物は、このような薬物送達装置によって送達され得るタイプのうちのいずれかであり得る。
【0011】
装置10等の本明細書に記載の装置は、例えば、リザーバまたはカートリッジ20内等に、薬物をさらに含むことができる。別の実施形態では、システムは、装置10を含む1つ以上の装置および薬物を含み得る。「薬物」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリンアナログ、インスリン誘導体、ダラグルチドまたはリラグルチドなどのGLP−1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体および上記の装置による送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。本装置において使用されるような薬物は、1つ以上の賦形剤と共に製剤化されてもよい。装置は、人に薬物を送達するために、患者、介護者または医療専門家によって、概して一般に上述のような様態で操作される。
【0012】
例示的な薬物送達装置10は、針を通して患者に薬物を注射するように構成されるペン型注射器として図1図4に示されている。ペン型注射器10は、遠位部分14および近位部分16を含む細長いペン型ハウジング12を備えた本体11を含む。遠位部分14は、ペンキャップ18内に受容されている。図2を参照すると、遠位部分14は、分注動作中にその遠位出口端を通して分注されるべき薬液を保持するように構成されたリザーバまたはカートリッジ20を含む。遠位部分14の出口端には、取り外し可能なカバー25によって囲まれた注射針24を含む取り外し可能な針アセンブリ22が装備されている。
【0013】
ピストン26は、リザーバ20内に配置される。近位部分16内に配置された注射機構は、用量分注動作中にピストン26をリザーバ20の出口に向かって前進させて、含まれる薬物を強制的に針端に通すように動作可能である。注射機構は、リザーバ20を通してピストン26を前進させるために、例示的にハウジング12に対して軸方向に移動可能なねじの形態である駆動部材28を含む。
【0014】
用量設定部材30は、装置10によって分注されるべき用量を設定するためにハウジング12に連結される。例示される実施形態では、用量設定部材30は、用量設定中および用量分注中にハウジング12に対して螺旋運動する(すなわち、軸方向にかつ回転的に同時に移動する)ように動作可能なねじ要素の形態である。図1および図2は、そのホームまたはゼロ用量位置でハウジング12内に完全にねじ込まれた用量設定部材30を示す。用量設定部材30は、1回の注射で装置10によって送達可能な最大用量に対応する完全に伸張された位置に到達するまで、ハウジング12から近位方向にねじ切るように動作可能である。
【0015】
図2図4を参照すると、用量設定部材30がハウジング12に対して螺旋運動することを可能にするように、用量設定部材30は、ハウジング12の対応するねじ山付き内面に係合する螺旋状ねじ山付き外面を有する円筒状用量ダイヤル部材32を含む。用量ダイヤル部材32は、装置10のスリーブ34(図2)のねじ山付き外面に係合する螺旋状ねじ山付き内面をさらに含む。ダイヤル部材32の外面は、ユーザに設定用量を示すために、投与量窓36を介して視認可能な数字などの用量指標マーキングを含む。用量設定部材30は、ダイヤル部材32の開放近位端に連結され、かつダイヤル部材32の開放41内に受容される戻り止め40によって用量ダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される、管状フランジ38をさらに含む。用量設定部材30はさらに、その近位端でダイヤル部材32の外周の周りに位置付けられたスカートまたはカラー42を含む。スカート42は、用量ダイヤル部材32によって形成されたスロット46に受容されるタブ44によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される。
【0016】
したがって、用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42が全て、回転的にかつ軸方向に一緒に固定されているため、用量設定部材30はそれらのいずれかまたは全てを含むと見なすことができる。用量ダイヤル部材32は、用量の設定および薬物の送達の推進に直接関与している。フランジ38は、用量ダイヤル部材32に取り付けられ、後述するように、クラッチと協働して用量ダイヤル部材32を用量ボタンに選択的に連結する。
【0017】
スカート42は、ユーザが用量を設定するために用量ダイヤル部材32を回転させることができるように、本体11の外部に表面を提供する。スカート42は、例示的に、スカート42の外面上に形成された複数の表面特徴部48および環状隆起部49を含む。表面特徴部48は、例示的に、スカート42の外面の周りに円周方向に離間された長手方向に延在するリブおよび溝であり、ユーザがスカートを把持して回転させ易くする。代替的な実施形態では、スカート42は取り外されるか、またはダイヤル部材32と一体化され、ユーザは、用量設定のために、用量ダイヤル部材32を把持して回転させることができる。
【0018】
送達装置10は、用量ダイヤル部材32内に受容されるクラッチ52を有するアクチュエータ50を含む。クラッチ52は、その近位端に軸方向に延在するステム54を含む。アクチュエータ50は、用量設定部材30のスカート42の近位に配置された用量ボタン56をさらに含む。用量ボタン56は、用量ボタン56の遠位面の中央に位置する装着カラー58(図2)を含む。カラー58は、用量ボタン56とクラッチ52を一緒に軸方向にかつ回転可能に固定するために、締まり嵌めまたは超音波溶接などによりクラッチ52のステム54に取り付けられる。
【0019】
用量ボタン56は、円盤形状の近位端表面または面60と、遠位に延在し、かつ面60の外周縁の半径方向内側に離間された環状壁部分62とを含み、その間に環状リップ64を形成する。用量ボタン56の面60は、アクチュエータ50を遠位方向に押すために、手動で、すなわち、ユーザによって直接的に、力が加えられ得る押圧表面として機能する。用量ボタン56は、例示的に、近位面60の中央に位置する凹状部分66を含むが、近位面60は、代替的に平坦な表面であってもよい。付勢部材68、例示的にばねが、ボタン56の遠位表面70と管状フランジ38の近位表面72との間に配置され、アクチュエータ50および用量設定部材30を互いから軸方向に離して付勢する。用量ボタン56は、用量分注動作を開始するようにユーザによって押下可能である。
【0020】
送達装置10は、用量設定モードおよび用量分注モードの両方で動作可能である。用量設定モードの動作では、装置10によって送達されるべき所望の用量を設定するために、用量設定部材30をハウジング12に対してダイヤルする(回転させる)。近位方向へのダイヤルは、設定用量を増加させるように機能し、遠位方向へのダイヤルは、設定用量を減少させるように機能する。用量設定部材30は、用量設定動作中に設定用量の最小増分増加または減少に対応する回転増分(例えば、クリック)で調節可能である。例えば、1回の増分または「クリック」は、2分の1または1単位の薬物と等しくなり得る。設定用量は、投与窓36を通して示されるダイヤル指標マーキングを介してユーザに視認可能である。用量ボタン56およびクラッチ52を含むアクチュエータ50は、用量設定モードでのダイヤル中に用量設定部材30と共に軸方向にかつ回転的に移動する。
【0021】
用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42は全て互いに回転固定されており、用量ダイヤル部材32とハウジング12とのねじ接続に起因して、用量設定中に回転して薬物送達装置10の近位に伸張する。この用量設定動作中、用量ボタン56は、付勢部材68によって一緒に付勢されるフランジ38およびクラッチ52の相補的スプライン74(図2)によってスカート42に対して回転固定される。用量設定の過程で、スカート42および用量ボタン56は、ハウジング12に対して「開始」位置から「終了」位置まで螺旋状に移動する。ハウジングに対するこの回転は、薬物送達装置10の操作によって設定される投与量に比例する。
【0022】
所望の用量が設定されてから、注射針24が、例えばユーザの皮膚を適切に貫通するように装置10を操作される。用量分注モードの動作は、用量ボタン56の近位面60に加えられる軸方向の遠位力に応答して開始される。軸方向の力は、ユーザによって用量ボタン56に直接加えられる。これにより、アクチュエータ50をハウジング12に対して軸方向に遠位に移動させる。
【0023】
アクチュエータ50の軸方向への移動動作は、付勢部材68を圧縮し、用量ボタン56と管状フランジ38との間の間隙を縮小するかまたは閉鎖する。この相対的な軸方向への移動は、クラッチ52およびフランジ38上の相補的スプライン74を分離し、それにより、アクチュエータ50、例えば用量ボタン56を、用量設定部材30に回転固定された状態から解放する。具体的には、用量設定部材30は、アクチュエータ50から回転的に連結解除され、アクチュエータ50およびハウジング12に対する用量設定部材30の後方駆動回転を可能にする。また、用量設定部材30およびアクチュエータ50は、自由に相対回転できるため、それを押すことによる用量ボタン56のユーザの係合により、アクチュエータ50は、装置ハウジング12に対して回転しないように保持される。
【0024】
アクチュエータ50がハウジング12に対して回転しない状態で軸方向に押し込まれ続けると、ダイヤル部材32が用量ボタン56に対して回転するにつれて、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される。注射されるべき量がまだ残っていることを示す用量マーキングは、窓36を通して視認可能である。用量設定部材30が遠位にねじ止めされると、駆動部材28は、遠位に前進されて、リザーバ20を通してピストン26を押し込み、かつ針24(図2)を通して薬物を放出する。
【0025】
用量分注動作中に、薬物送達装置から放出される薬物の量は、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される際のアクチュエータ50に対する用量設定部材30の回転運動の量に比例する。注射は、ダイヤル部材32の雌ねじがスリーブ34の対応する雄ねじの遠位端に到達したときに完了する(図2)。次に、装置10は、図2および図3に示されるような準備状態またはゼロ用量位置に再び配置される。
【0026】
送達される用量は、用量送達中のアクチュエータ50に対する用量設定部材30の回転に基づいて導出され得る。この回転は、用量送達中に用量設定部材が回転するときに「カウントされる」用量設定部材の増分運動を検出することにより決定され得る。
【0027】
例示的な送達装置10の設計および動作のさらなる詳細は、Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantageと題される米国特許第7,291,132号に見出すことができ、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
用量検出システムは、薬物送達装置の部材に取り付けられた検知構成要素および被検知構成要素を使用する。「取り付けられた」という用語は、それらが本明細書に記載されるように動作可能であるように、構成要素の位置を薬物送達装置の別の構成要素または部材に固定する任意の様態を包含する。例えば、検知構成要素は、部材上に直接配置されるか、部材内に受容されるか、部材に一体化されるか、または別様に部材と接続されることによって、薬物送達装置の部材に取り付けられ得る。接続は、例えば、摩擦係合、スプライン、スナップまたは圧入、音波溶接または接着剤によって形成される接続を含み得る。
【0029】
「直接取り付けられた」という用語は、2つの構成要素、または1つの構成用途と1つの部材が、取り付け構成要素以外の中間部材を用いることなく物理的に一緒に固定される取り付けを説明するために使用される。取り付け構成要素は、取り付けを容易にするために2つの構成要素間に介在する締結具、アダプタ、または締結システムの他の部品(圧縮膜など)を備えることができる。「直接的な取り付け」は、例えば、図2において用量ダイヤル部材32がクラッチ52によって用量ボタン56に連結される手段などの、構成要素/部材が1つ以上の中間機能部材によって連結される取り付けと区別される。
【0030】
「固定された」という用語は、示される運動が起こり得るかまたは起こり得ないかのいずれかを示すために使用される。例えば、2つの部材が回転して一緒に移動することが必要とされる場合、第1の部材は第2の部材と「回転固定」される。一態様では、部材は、構造的にではなく機能的に別の部材に対して「固定」されてもよい。例えば、2つの部材間の摩擦係合がそれらを一緒に回転固定するようにある部材が別の部材に対して押圧されてもよいが、2つの部材は第1の部材の押圧がなければ一緒に固定され得ない。
【0031】
様々なセンサシステムが本明細書において企図される。一般に、センサシステムは検知構成要素および被検知構成要素を含む。「検知構成要素」という用語は、被検知構成要素の相対位置または運動を検出することができる任意の構成要素を指す。検知構成要素は、検知要素または「センサ」を、検知要素を操作するための関連する電気構成要素と共に含む。「被検知構成要素」は、検知構成要素が検知構成要素に対する被検知構成要素の位置および/または運動を検出することができる任意の構成要素である。用量検出システムの場合、被検知構成要素は検知構成要素に対して回転し、それによって被検知構成要素の回転運動を検出することができる。検知構成要素は1つ以上の検知要素を含むことができ、被検知構成要素は1つ以上の被検知要素を含むことができる。
【0032】
センサシステムは、被検知構成要素の運動を表す出力を産生する。コントローラは、出力を受信するために、センサに動作可能に接続される。コントローラは、薬物送達装置の動作によって送達される投与量を出力から決定するように構成される。
【0033】
例示的に、用量検出システムは、本明細書に記載されるようなセンサシステムの動作に好適な電子機器アセンブリを含む。回転センサからの出力を受信するために、コントローラは、センサシステムに動作可能に接続される。コントローラは、薬物送達装置の動作によって送達される投与量を出力から決定するように構成される。コントローラは、プロセッサ、電源、メモリ、マイクロコントローラなどの従来の構成要素を含み得る。代替的に、少なくともいくつかの構成要素は、コンピュータ、スマートフォン、または他の装置などによって、別々に提供されてもよい。次に、有線または無線接続などによって適切なときに外部コントローラ構成要素をセンサシステムに動作可能に接続するための手段が提供される。
【0034】
例示的な電子機器アセンブリ76は、複数の電子部品を有するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を含む。電子機器アセンブリは、検知された回転を表す信号をセンサから受信するためにプロセッサと動作可能に通信する1つ以上のセンサを含むセンサシステムを備える。電子機器アセンブリ76は、少なくとも1つの処理コアおよび内部メモリを備えるマイクロコントローラユニット(MCU)をさらに含む。このシステムは、構成要素に電力を供給するための電池、例示的にコイン型電池を含む。MCUは、アクチュエータに対する用量設定部材の検出された回転に基づいて薬物送達装置10によって送達される用量を判定することを含む、本明細書に記載される動作を実行するように動作可能な制御ロジックを含む。電子機器アセンブリの構成要素の多くは、用量ボタン56の近位に位置するコンパートメント78に含まれていてもよい。
【0035】
MCUは、検出された用量送達をローカルメモリ(例えば、内部フラッシュメモリまたはオンボードEEPROM)に格納するように動作可能である。MCUは、さらに、検出された投与量を表す信号を、ユーザのスマートフォンなどの一対の遠隔電子装置に無線送信するように動作可能である。送信は、例えば、Bluetooth低エネルギー(BLE)または他の好適な短距離もしくは長距離無線通信プロトコルを介して行われることができる。例示的に、BLE制御ロジックおよびMCUは、同じ回路上に集積される。
【0036】
用量設定部材と装置本体との間の相対回転に基づいて送達される用量を判定するように動作可能な用量検出システムを含む薬物送達装置が本明細書にさらに開示される。用量検出システムは、装置本体に取り付けられ、用量送達中に回転軸の周りで装置本体に対して回転可能な用量設定部材を利用する。被検知要素は、用量設定部材に取り付けられて回転固定される。アクチュエータは、装置本体に取り付けられ、用量送達中に装置本体に対して回転しないように保持される。それにより、被検知要素は、送達される用量の量に関連して用量送達中にアクチュエータに対して回転する。
【0037】
用量検出システムは、2つの部材間の相対回転運動を検出することを含む。送達される投与量と既知の関係を有する回転の程度により、センサシステムは、用量注射の開始から用量注射の終了までの角運動量を検出するように動作する。例えば、ペン型注射器の典型的な関係は、用量設定部材の18°の角変位が1単位用量に等しいということであるが、他の角度関係もまた好適である。センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の全角変位を判定するように動作可能である。したがって、角変位が90°であれば、5単位の用量が送達されたことになる。
【0038】
角変位は、注射が進むにつれて用量の増分をカウントすることによって判定される。例えば、検知システムは、各繰り返しが角回転の既定度の指標となるように、被検知要素の繰り返しパターンを使用することができる。都合のよいことに、パターンは、各繰り返しが薬物送達装置を用いて設定され得る用量の最小増分に対応するように確立することができる。
【0039】
センサシステム構成要素は、恒久的にまたは取り外し可能に薬物送達装置に取り付けることができる。例示的な実施形態では、用量検出システムの構成要素の少なくともいくつかは、薬物送達装置に取り外し可能に取り付けられるモジュールの形態で提供される。これは、これらのセンサ構成要素を1つより多くのペン型注射器で使用できるようにするという利点を有する。
【0040】
センサシステムは、用量送達中に、被検知構成要素、したがって用量設定部材の相対回転を検出し、それから薬物送達装置によって送達される投与量が判定される。例示的な実施形態では、回転センサがアクチュエータに取り付けられ、回転固定される。アクチュエータは、用量送達中に薬物送達装置の本体に対して回転しない。この実施形態では、被検知構成要素が、用量送達中にアクチュエータおよび装置本体に対して回転する用量設定部材に取り付けられ、回転固定される。
【0041】
センサシステムは、アクチュエータに取り付けられた回転センサを含む。被検知要素は、用量設定部材の回転軸に対応する第1の回転軸を中心とする円筒状駆動表面を含む。回転センサは、被検知要素の回転に応答して被駆動部材を移動させるために駆動部材によって受容される被駆動表面を含む被駆動部材を含む。例示的に、被駆動部材は、駆動部材の回転に応答して回転するギヤなどの円形構成要素であり、例えば、駆動ギヤを備え得る。回転センサは、被駆動部材の運動に応答して、送達投与量に対応する信号を生成する。コントローラは、回転センサによって生成された信号に応答して、用量送達中のアクチュエータに対する用量設定部材の検出された回転に基づいて送達用量を判定する。
【0042】
駆動部材および被駆動部材は、被検知要素の回転を検出可能な第2の運動に伝達することを提供する任意のものを含み得る。広い意味で、被駆動部材の運動は、直線または回転などの任意の様態であり得る。例示的に、被駆動部材は、用量設定部材の第1の回転軸と同じであっても異なっていてもよい、第2の回転軸を中心に回転する。特定の態様では、被駆動部材は、第1の回転軸と同一または平行である第2の回転軸を中心に回転する。
【0043】
被検知要素の駆動表面は、被駆動部材の被駆動表面と連結する表面特徴部を含む。例として、駆動表面と被駆動表面との間の連結は、両者の間の摩擦係合であってもよい。一態様では、駆動部材および被駆動部材は、噛み合った歯の組を含むギヤである。
【0044】
図5を参照すると、装置10などの薬物送達装置との組み合わせにおいて有用なモジュール82を含む用量検出システム80が概略的な形態で示されている。モジュール82は、回転センサ86と、プロセッサ、メモリ、電池などの他の関連構成要素を備える検知構成要素85を含む、84で概略的に示される、センサシステムを担持する。モジュール82は、アクチュエータに取り外し可能に取り付けられ得る別個の構成要素として提供されてもよい。
【0045】
用量検出モジュール82は、用量ボタン56に取り付けられた本体88を含む。本体88は、例示的に、内壁90、外壁91、および内壁90にまたがってそれを封止する頂壁92を含む。例として、図5において、内壁90は、モジュール82を用量ボタン56に取り付ける内側に延在するタブ94を有するように概略的に示されている。これにより、モジュール82は、モジュールを押すと設定用量を送達するように、用量ボタン56に取り付けられる。
【0046】
用量検出モジュール82は、代替的に、スナップまたは圧入、ねじインターフェースなどの任意の好適な締結手段を介して用量ボタン56に取り付けられ得るが、但し、一態様では、モジュール82を第1の薬物送達装置から取り外し、その後、第2の薬物送達装置に取り付けることができるものとする。取り付けは用量ボタン56上のいずれの位置であってもよいが、但し、本明細書で論じるように、用量ボタン56が用量設定部材30に対して軸方向に任意の必要量を移動することができるものとする。
【0047】
用量送達中、用量設定部材30は用量ボタン56およびモジュール82に対して自由に回転できる。例示的な実施形態では、モジュール82は、用量ボタン56と回転固定されており、用量送達中に回転しない。これは、例えば、図5のタブ94を用いて、または、用量ボタン56に対してモジュール82が軸方向に移動するときにモジュール本体88および用量ボタン56上の互いに向かい合うスプラインまたは他の表面特徴部を係合させることによって、構造的に提供され得る。別の実施形態では、モジュールの遠位への押圧は、モジュール82と用量ボタン56との間に十分な摩擦係合をもたらし、用量送達中にモジュール82と用量ボタン56を一緒に回転固定されたままにする。
【0048】
頂壁92は、用量ボタン56の面60から離間され、それにより、電子機器アセンブリ76の一部または全てを含むコンパートメント78を内壁90と共に提供する。コンパートメント78は、チャンバ96を画定し、底部が開口していてもよいか、または底壁98などによって囲まれていてもよい。底壁98は、用量ボタン56の面60に直接当接するように配置することができる。代替的に、底壁98は、存在する場合、用量ボタン56から離間されてもよく、モジュール82と用量ボタン56との間の他の接触は、モジュール82に加えられる軸方向力が用量ボタン56に伝達されるように使用され得る。
【0049】
図5を参照すると、用量設定部材30に取り付けられた被検知要素100をさらに含む用量検出システム80が概略的に示されている。上記のように、用量設定部材30は、軸方向および回転的に一緒に固定される、いくつかの別個の構成要素を備えてもよい。したがって、被検知要素100は、送達投与量に比例して用量送達中にアクチュエータ50に対して回転する用量設定部材30の任意の構成要素に取り付けられ得る。図5に示される実施形態では、被検知要素100は、スカート42に取り付けられている。
【0050】
被検知要素100は、駆動表面104を含む円筒状外面102を含む。例示的に、駆動表面104は、第1のギヤ歯106を含み得る。用量設定部材30、具体的にこの場合ではスカート42は、第1の回転軸108を中心にアクチュエータ60に対して回転可能である。第1のギヤ歯106は、第1の回転軸108を中心に半径方向に間隔を置いて配置されている。
【0051】
用量ボタン56を含むアクチュエータ60は、送達装置10に取り付けられて、2つのモードで動作する。第1の動作モードでは、用量設定中、アクチュエータ60は、用量設定部材30と軸方向および回転的に固定される。用量送達中の第2の動作モードでは、アクチュエータ60は、装置本体11および被検知要素100に対する回転に抗して保持され、用量設定部材30は、送達される投与量に関連してアクチュエータ60に対して回転する。
【0052】
回転センサ86は、用量送達中にアクチュエータ60に取り付けられている。回転センサ86は、駆動表面104と動作可能に係合する被駆動表面112を含む接触構成要素110を含む。上記のように、駆動表面104と被駆動表面112との間の動作可能な係合は、被検知要素100の回転を接触構成要素110に伝達する任意の様態で提供され得る。これは、例えば、駆動表面と被駆動表面との間の摩擦係合を含み得る。図5の実施形態では、駆動表面104は、この場合に半径方向外側に延在する第1のギヤ歯106を有するものとして示されている。対応する一組の第2のギヤ歯114が、次いで、好ましくは、被駆動表面112に設けられる。第2のギヤ歯114は、図5では第1の回転軸から分離しているように示されている第2の回転軸116を中心に半径方向に間隔を置いて例示的に設けられている。
【0053】
接触構成要素110は、用量送達中に用量設定部材30の回転量を検出するために回転センサ86によって使用され、様々な手段で提供され得る。一般に、回転センサ86は、接触構成要素110の検出された回転を被検知要素100、したがって用量設定部材30の回転量に変換するように一緒に動作する、いくつかの構成要素を含む。図5に示されるように、例えば、回転センサ86は、エンコーダ118を含み得る。この様態で有用なエンコーダの例は、Miniature Optoelectronic Encoder Series MOT7などのマイクロエンコーダであり、Megatronから入手可能である。そのようなエンコーダは、当該技術分野で周知である。
【0054】
再び図5を参照すると、エンコーダ118は、本体120、シャフト122、および接触構成要素110を含む。例示的な実施形態では、接触構成要素110は、被検知要素100の第1のギヤ歯106と噛み合う第2のギヤ歯114を含む駆動ギヤ124を含む。それにより、第2のギヤ歯114は、第1のギヤ歯106によって動作可能に受容され、それにより、第2のギヤ歯114は、第1のギヤ歯が、用量送達中にアクチュエータ60に対する被検知要素100の回転中に第1の回転軸108を中心に回転するとき、第2の回転軸116を中心に回転駆動される。
【0055】
図5に示されるように、例示的に、エンコーダ118は、アクチュエータ50の近位、具体的には用量ボタン56の近位に位置付けられた本体120によって配向される。シャフト122は、用量ボタン56の面60の下に遠位に延在し、接触構成要素110および関連する被駆動表面112を用量設定部材30と軸方向に整列させて位置付ける。この実施形態では、被検知要素100は、スカート42の露出した外面126に取り付けられた円筒状部材として提供される。それにより、駆動ギヤ124は、第2のギヤ歯114が第1のギヤ歯106と軸方向に整列した状態で位置付けられる。
【0056】
モジュール82は、用量ボタン56の環状リップ64と連結するためにタブ94が延在する底壁98を含む。したがって、モジュール82は、スナップフィットが生じるまで用量ボタンに対してモジュールを遠位に移動させることによって用量ボタン56に取り付けられる。それにより、モジュール82は、アクチュエータ50、この場合、具体的には用量ボタン56に取り外し可能に取り付けられている。但し、上述のように、代替形態の取り付けが使用されてもよい。
【0057】
モジュール82の底壁98は、エンコーダ118をモジュール82に取り付ける底壁98からの突起128を含む。これは、電子機器アセンブリ76の近くに回転センサ86の取り付けを位置付けて、それらの間の接続を容易にする。但し、代替的に、回転センサ86は、内壁90、外壁91、またはモジュール82の他の構成要素に取り付けられてもよい。エンコーダ118は、モジュール82によって収容される電子機器アセンブリ76と動作可能に接続されている。
【0058】
エンコーダ118の構成要素は、用量設定部材30の回転を検出するために第2のギヤ歯116の回転に応答するように動作可能である。コントローラ(図示せず)は、電子機器アセンブリ76の構成要素として提供される。コントローラは、用量送達中の被検知要素100の回転を示す信号を回転センサ86から受信し、送達された投与量をそれから決定するように動作可能である。
【0059】
したがって、モジュール82は、装置10に取り外し可能に取り付けられた様態で回転センサ86を含み、いくつかのそのような装置と共に回転センサを使用する方法を提供する。被検知要素100はまた、モジュール82の使用を補完する別個のアドオン構成要素であってもよい。例えば、被検知要素100は、スカート42または用量設定部材30の別の構成要素に取り外し可能に取り付けられた別個の部材であってもよい。被検知要素100のそのような取り付けは、スナップフィット(図示のように)、摩擦フィット、互いに向かい合うスプラインの相互係止などによる任意の動作可能な様態で行われ得る。接触構成要素110は、用量ボタン56へのモジュール82の装着中に第2のギヤ歯14との第1のギヤ歯の噛み合いを容易にするように、テーパ付き下端が設けられてもよい。
【0060】
一実施形態では、用量設定部材30は、薬物送達装置10の本体11の外側に露出した外面1268を含む。露出した外面126は、用量検出システム80がない場合、ユーザが用量設定部材30を回転させて用量を設定するために有用である。モジュール82と共に使用する場合、被検知要素100は、被検知要素100を用量設定部材30に回転固定するために好適な任意の様態で露出した外面126に取り付けられるが、そこからの取り外しも可能である。
【0061】
図6を参照すると、図5の実施形態の代替例が示されており、特定のタイプの回転センサが、被検知要素100の回転を検出するために使用される。回転センサ86は、突起128に取り付けられ、頂壁92から遠位に延在する連結部132にその近位端130で回転可能に取り付けられた本体120を含む。回転センサ86は、磁石136を担持する外側スリーブ134をさらに含む。ホールまたは他の磁気センサ138が、プリント回路基板140に取り付けられている。用量送達中に被検知要素100が回転すると、駆動表面104は、駆動表面112を第2の軸116を中心に回転運動させる。シャフト122、本体120およびスリーブ134は、被駆動表面112と共に回転運動する。磁石136は、被検知要素100、したがって用量設定部材30の回転を表す信号を生成する磁気センサ138によって検知されたエリアを通って回転させられる。接触構成要素110の回転を検出するために、様々な他の検知システムが使用され得ることが理解されよう。
【0062】
図5および図6の実施形態では、被検知要素100は、用量ボタン56の近位表面60の遠位に位置付けられている。必須ではないが、被検知要素100は、スカート42の露出した外面126と軸方向に整列して位置付けられている。第2のギヤ歯114は、第1のギヤ歯106および露出した外面126と軸方向に整列されている。外壁91は、用量ボタン56を越えて遠位に延在して第1および第2のギヤ歯を軸方向に覆う下部分142(図6)を含む。このようにして、モジュール82は、ユーザが被検知要素100または接触構成要素110と偶発的に接触することを防止する。
【0063】
図7では、用量検出システムの別の例示的な実施形態が示されている。上記のように、システム80は、タブ94によって用量ボタン56に固設された内壁90を含むモジュール82を含む。モジュール82は、外壁91および頂壁92をさらに含む。内壁90および頂壁92は、電子機器アセンブリを収容するコンパートメント78を一緒に画定する。
【0064】
被検知要素150は、延伸部材154に取り付けられた連結部材152を備える。連結部材152は、上記のように適切な手段によってスカート42の露出した外面155に取り付けられている。図7に示されるように、連結部材152は、連結部材152をスカート42と回転固定するために、スカート42の外面特徴部158に対して相補的に形成された内面特徴部156を含む。
【0065】
延伸部材154は、スカート42の露出した外面155およびアクチュエータ50の近位にある、被検知要素150の一部分を提供する。図7の実施形態を参照すると、延伸部材154は、内壁90と外壁91との間に受容され、用量ボタン56の近位に位置し、半径方向内側に向けられた第1のギヤ歯160を含む。
【0066】
回転センサ161は、コンパートメント78に固設された支柱164に回転可能に装着された被駆動内部ギヤ162を含む。被駆動ギヤ162は、半径方向外側に延在し、第1のギヤ歯160と噛み合う第2のギヤ歯166を含む。被検知要素150の回転は、第1のギヤ歯160に第2のギヤ歯166を回転させ、したがって軸168を中心に被駆動ギヤ162を回転させる。被駆動ギヤ162はまた、軸168の周囲に半径方向に間隔を置いて配置された開口170も含む。
【0067】
回転センサ161は、被駆動ギヤ162の近位でコンパートメント78に取り付けられ、かつ被駆動ギヤ162が軸168を中心に回転すると、開口170と軸方向に整列して位置付けられるLED172をさらに含む。光受信器174は、被駆動ギヤ162の遠位でコンパートメント78に取り付けられ、LED172と軸方向に整列して位置付けられて、開口170を通してLED172によって放出された光を受光する。回転センサ161は、被駆動ギヤ162が回転すると周期的に遮断される光を光受信器174で受光し、それによって、用量送達中に検知要素150の回転を検出する。回転センサ161は、送達される投与量を決定するコントローラに信号を提供する。
【0068】
一態様では、用量検出システムは、モジュール形態で提供される。取り外し可能に取り付けられたモジュールの使用は、アクチュエータおよび/または用量設定部材が薬物送達装置ハウジングの外部にある部分を含む、薬物送達装置と共に使用するために特に適している。これらの外部部分は、本明細書に説明されるように、用量ボタンなどのアクチュエータに対する、回転センサを収容するモジュールの直接的な取り付け、および/またはスカート、フランジ、もしくは用量ダイヤル部材などの用量設定部材に対する被検知要素の取り付けを可能にする。例示的に、モジュールおよび被検知要素の両方が、薬物送達装置に取り外し可能に取り付けられている。代替的に、被検知要素は、薬物送達装置と一体的に提供され、モジュールは、取り外し可能に取り付けられる。後者の手法は、回転センサおよびコントローラを含む、より複雑で高価な電子機器が異なる薬物送達装置によって再利用され得る利点を有する。被検知要素は、通常、比較的単純で安価な機能を使用し得るため、薬物送達装置と一体化され得る。本明細書に説明された装置のうちのいずれも、例えば、装置のカートリッジ内などに、本明細書に説明された薬物のうちのいずれか1つを含み得る。
図1
図2
図3-4】
図5
図6
図7