(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3に記載の電気部品組立体を備え、マスタシリンダと車輪ブレーキとの間に接続され、前記車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記基体に前記電磁弁が取り付けられ、前記電磁弁に前記コイル組立体が装着されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、車両用ブレーキ液圧制御装置の前後上下を言うときは、
図1に示す方向、左右を言うときは
図3、
図4に示す方向を基準とする。また、電気部品であるコイル組立体の前後左右上下を言うときは、
図5(a)に示す方向を基準とするが、車両用ブレーキ液圧制御装置に対するコイル組立体の組み付け方向を限定する趣旨ではない。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の電気部品組立体を2つのブレーキ系統を備えた二輪車用の車両用ブレーキ液圧制御装置に適用した場合を例として説明する。もちろん、四輪車用の車両用ブレーキ液圧制御装置に適用しても差し支えない。
【0017】
(車両用ブレーキ液圧制御装置の構成)
車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、図示しないマスタシリンダと車輪ブレーキとの間に接続され、車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧を制御するものである。
車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、
図1,
図2に示すように、2つのブレーキ系統に対応した電磁弁V1,V2、モータM、往復動ポンプPなどが組み付けられる基体100を備えている。車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、車体の挙動を検出して、電磁弁V1,V2の開閉やモータMの作動を制御する電気部品としての制御基板201を備えた電気部品組立体としての電子制御ユニット200を備えている。基体100には、電磁弁V1,V2の他に圧力センサ等の各種センサを組み付けることができる。
基体100内には、図示しないブレーキ液路(油路)が形成されている。車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、車体の挙動に基づいて、制御基板201が電磁弁V1,V2やモータMを作動させることで、ブレーキ液路内のブレーキ液圧を変動させるように構成されている。
【0018】
(基体の構成)
基体100は、略直方体に形成された金属部品(
図2参照)であり、その内部には図示しないブレーキ液路(油路)が形成されている。
基体100の各面のうち、一面側となる前面101には、電磁弁V1,V2が装着される有底の取付穴110等が複数形成されている。なお、用いられる電磁弁V1,V2の数は、例えば、対象となる車両が四輪車である場合や車両用ブレーキ液圧制御装置Uが有する機能の差で異なる。本実施形態の電磁弁V1,V2には、電気部品としてのコイル組立体1がそれぞれ装着されている。電磁弁V1は、例えば、常開型電磁弁である。電磁弁V2は、例えば、常閉型電磁弁である。各コイル組立体1は、後記するように、プレスフィット端子10を用いて制御基板201に電気的に接続されている。
【0019】
基体100の上面103には、
図2に示すように、車輪ブレーキ(図示せず)に至る配管が接続される入口ポート111や出口ポート112等が形成されている。
また、基体100の下面には、リザーバを構成するリザーバ構成部品(図示せず)が組み付けられるリザーバ穴等が形成されている。
また、基体100の側面104には、往復動ポンプPが装着されるポンプ孔113等が形成されている。
なお、基体100に設けられた穴は、直接に、あるいは基体100の内部に形成された図示せぬブレーキ液路を介して互いに連通している。
【0020】
(モータの構成)
モータMは、往復動ポンプPの動力源となる電動部品である。モータMは、基体100の他面側となる後面102に一体的に固着されている。モータMは、往復動ポンプPを駆動する。
モータMには、ロータに電力を供給するためのモータバスバー(不図示)が接続されている。モータバスバーは、基体100の端子孔115(
図2参照)に挿通され、電子制御ユニット200のバスバー端子部230(
図2、
図4参照)を通じて制御基板201(
図1参照、以下同じ)に電気的に接続されている。バスバー端子部230には、前側に突出するように図示しないプレスフィット端子が接続されている。バスバー端子部230に接続されたモータバスバーは、当該プレスフィット端子を介して制御基板201に電気的に接続されている。
【0021】
(電子制御ユニットの構成)
電子制御ユニット200は、コイル組立体1と、制御基板201と、ハウジング202と、蓋体203と、を備えている。コイル組立体1は、後記するようにハウジング202に対して圧入により固定されている。ハウジング202は、コイル組立体1および制御基板201を収容するとともに、基体100から突出した電磁弁V1,V2やモータバスバー(不図示)を収容している。ハウジング202に対するコイル組立体1の取付構造の詳細は後記する。
【0022】
制御基板201は、電気回路がプリントされた略長方形の基板本体に、半導体チップなどの電子部品を取り付けたものである。制御基板201には、コイル組立体1に備わるプレスフィット端子10が圧接されるスルーホール201aが複数形成されている。制御基板201は、車両に備わる図示しないセンサ等から得られた情報や、予め記憶させておいたプログラムに基づいて制御を行う。具体的には、コイル組立体1(
図2参照)やモータMへの通電を制御して、電磁弁V1,V2の開閉作動やモータMの駆動を制御する。センサとしては、他に角速度センサや加速度センサ等の種々のものが挙げられる。
【0023】
(ハウジングの構成)
ハウジング202は、
図1に示すように、基体100の前面101から突出する電磁弁V1,V2等を覆った状態で、基体100の前面101に一体的に固着される箱体である。ハウジング202は、樹脂材料によって一体成形されている。ハウジング202には、制御基板201およびコイル組立体1が組み付けられている。
ハウジング202は、基体100側とは反対側の前面および基体100側の後面がそれぞれ開口している。
【0024】
ハウジング202は、
図2に示すように、板状の底部210と、底部210の前面側に設けられる第一周壁部211と、底部210の後面側に設けられる第二周壁部212とを備えている。
底部210は、略長方形の外形を備えている。第一周壁部211は、底部210の周縁部から前方へ延在しており、外周形状が略四角形状を呈している。第一周壁部211は、その内側に略四角形状の制御基板201を収容する第一収容室215(
図1参照)を形成している。
【0025】
第二周壁部212は、底部210の後面から後方へ延在しており、外周形状が略八角形状を呈している。第二周壁部212は、その内側にコイル組立体1を収容する第二収容室216(
図1参照)を形成している。
第一収容室215および第二収容室216は、
図1、
図3に示すように、相互に連通している。つまり、第一収容室215と第二収容室216との間には、仕切壁が存在しない構造となっている。ハウジング202は、このように仕切壁が存在しない構造とすることで、
図1に示すように、第二収容室216から第一収容室215に亘ってコイル組立体1が配置されるようにしてある。これにより、ハウジング202は、前後方向の小型化を図りながらコイル組立体1の好適な収容が可能となっている。
【0026】
第二周壁部212の内面には、
図4に示すように、凹凸形状の保持壁220が形成されている。保持壁220は、第二収容室216の左右内側に突出するボス部221、上内側に突出する端子ボス部222、および下内側に突出する保持部223を備えている。保持壁220の内側には、隣接するボス部221と端子ボス部222との間、および隣接するボス部221と保持部223との間に、コイル組立体1を装着可能な装着スペース225が計四つ形成されている。各装着スペース225における保持壁220の内面形状は、同様であり、コイル組立体1の外面形状に沿う形状に形成されている。各装着スペース225の開口縁部には、コイル組立体1を装着スペース225内に位置決めするとともに固定するための一対の溝部226が凹設されている。各装着スペース225において溝部226は、対向配置される保持壁220の対向する部位に形成されている。各溝部226の内面には、
図8(a)に示すように、組付時に圧入効果をもたらす突起226aが形成されている。突起226aは、溝部226内に向けて突出しており、後記するように、溝部226に挿入されるリブ25(
図8(b)参照)に当接する。なお、保持壁220の内面には、
図2に示すように、補強用リブ227が形成されている。
【0027】
第二周壁部212の後端部には、周溝228が形成されている。周溝228には、基体100の前面101に固定するための接着剤が介在される。ハウジング202は、接着剤を介して基体100の前面101に気密にシールされる。
図2において基体100の前面101に示す環状のハッチングラインS11(
図10参照)で示した領域や、電磁弁V1,V2を挟みリブ25に対応する位置にある線状のハッチングラインS21(
図10参照)で示した領域に、接着剤が介在した状態で周溝228やリブ25が当接する。なお、環状のハッチングラインS11および線状のハッチングラインS21への接着剤の塗布は、同じ工程で行われる。
なお、ハウジング202は、第二収容室216の保持壁220のボス部221に挿通した固定ねじ(不図示)を基体100のねじ穴116(
図2,
図10参照)に螺合することで、基体100に取り付けられる。
【0028】
蓋体203は、ハウジング202の基体100側とは反対側となる前面の開口部を密閉する樹脂製の蓋体である。蓋体203は、溶着や接着、ねじ締結などの手段によりハウジング202の前端面に固着される。
【0029】
(コイル組立体の構成)
コイル組立体1は、
図5(a)、
図6各図に示すように、ボビン2と、コイル50と、ヨーク3と、接続端子としてのプレスフィット端子10と、を備えている。コイル組立体1は、
図1に示すように、電磁弁V1,V2を取り囲んだ状態で、ハウジング202内に収容される電気部品である。コイル組立体1は、制御基板201からプレスフィット端子10を介してコイル50に通電されることで、電磁弁V1,V2の周囲に磁場をそれぞれ発生させる電磁コイルである。コイル組立体1は、後記するように接着剤を介して基体100の前面101に固着される。
【0030】
(ボビンの構成)
ボビン2は、
図6(d)に示すように、円筒部21の上下両端部に、鍔部22,23が形成された樹脂部品(絶縁部品)である。円筒部21には、ボビン側挿通孔としての円形の挿通孔21aが中心部を貫通している。挿通孔21aは、上側の鍔部22に形成された上側ヨーク収容部22cおよび鍔部22の孔部22aに連通している。また、挿通孔21aは、下側の鍔部23に形成された下側ヨーク収容部23aに連通している。挿通孔21aは、内径D1を備えている。鍔部22,23は、
図6(a)(e)に示すように、前部がコイル50の巻形状に対応して平面視で半円形状に形成され、後部がヨークの形状に対応して平面視で略矩形状に形成されている。なお、鍔部22の孔部22aの内径は、挿通孔21aの内径D1よりも大きくなっている。
【0031】
上側の鍔部22は、
図6(d)に示すように、下側の鍔部23よりも上下方向に分厚く形成されている。上側の鍔部22の内側には、ヨーク3の上部31を収容可能な上側ヨーク収容部22cが形成されている。上側ヨーク収容部22cは、上側の鍔部22の後面および前面に開口している。ヨーク3の上部31は、上側の鍔部22の後面側から上側ヨーク収容部22cに収容される。
【0032】
上側ヨーク収容部22cは、ボビン2の軸方向に直交する方向(水平方向)において、収容されたヨーク3の上部31との間に、所定のクリアランスを備えている。これにより、上側ヨーク収容部22c内においてヨーク3の上部31は、前記クリアランスを備える分だけ水平方向に移動可能となっている。
なお、鍔部22は、ヨーク3の上部31の略全体を覆っているので、絶縁性に優れている。
【0033】
上側の鍔部22の後端縁部には、
図6(c)に示すように、二つの突起部22e,22e(片側のみ図示)が左右方向に所定間隔を置いて形成されている。この突起部22eは、上側の鍔部22の後端縁部から後方に突出した板状の部位であり、平面視で矩形に形成されている。
【0034】
また、上側の鍔部22の左右後部には、
図5(a)(b)に示すように、二つのプレスフィット端子10,10の基部11,11を支持する端子支持部22b,22bが形成されている。この端子支持部22b,22bには、プレスフィット端子10,10の一部がインサート成形によって埋設されている。つまり、端子支持部22b,22b(上側の鍔部22)がプレスフィット端子10,10の絶縁体として機能している。
端子支持部22b,22bの下方には、上側ヨーク収容部22cに収容されたヨーク3の上部31が配置されている。つまり、二つのプレスフィット端子10,10は、端子支持部22b,22bを介してヨーク3の上部31に支持されている。一方、端子支持部22b,22bは、ヨーク3の上部31における、プレスフィット端子10,10を支持している部分を覆っている。これによって、プレスフィット端子10,10とヨーク3との絶縁が図られている。
【0035】
下側の鍔部23の内側には、
図6(d)に示すように、ヨーク3の下部32を収容可能な下側ヨーク収容部23aが形成されている。下側ヨーク収容部23aは、下側の鍔部23の後面および下面に開口している。つまり、ヨーク3の下部32は、コイル組立体1の下面に露出している(
図6(e)参照)。ヨーク3の下部32は、下側の鍔部23の後面側から下側ヨーク収容部23aに収容される。
【0036】
下側ヨーク収容部23aの内面の左右対向部位には、
図6(e)に示すように、内側に向けて突出する湾曲状の凸部23b,23bが形成されている。下側ヨーク収容部23aは、前記した上側ヨーク収容部22cと同様に、収容されたヨーク3の下部32との間に、ボビン2の軸方向に直交する方向(水平方向)に所定のクリアランスを備えている。これにより、下側ヨーク収容部23a内においてヨーク3の下部32は、前記クリアランス分だけ水平方向に移動可能となっている。
【0037】
下側の鍔部23の後部側の左右側面(組付方向に交差するコイル組立体1の外面)には、四角柱状のリブ25,25が形成されている。リブ25,25は、コイル組立体1をハウジング202の第二収容室216に組み付ける際の嵌合部(位置決め部)として機能する(
図3参照)。具体的に、リブ25,25は、
図2、
図3に示すように、第二収容室216の装着スペース225に設けられた溝部226,226に圧入される。この圧入によって、コイル組立体1は、ハウジング202に対する組付方向(
図8(a)の矢印方向、コイル組立体1の軸方向)に交差する方向への移動、および組付方向に平行な軸まわりの回動が規制されている。
【0038】
一方、リブ25は、基体100の前面101にコイル組立体1を接着剤で固定するための電気部品接着代S2(
図9参照)としても機能する。具体的に、リブ25の下面25aは、
図8(b)に示すように、リブ25が溝部226に圧入された状態で、保持壁220の後面220aと面一に配置される。これにより、リブ25の下面25aは、基体100の前面101に対して当接可能であり、コイル組立体1を接着剤で固定するための電気部品接着代S2として機能する。
なお、リブ25,25は、例えば、ハウジング202の内側に図示しない中間壁部を設けて、これに設けられた溝部に対して圧入されるものであってもよい。
ここで、接着剤は、リブ25の下面25aにのみ介在されるものに限られることはなく、リブ25からヨーク3の下部32の下面に亘って介在されるように構成してもよい。また、リブ25の下面25aに部分的に介在されていてもよい。いずれにしても、接着剤によってコイル組立体1が基体100の前面101に固着されるように介在されていればよい。
【0039】
以上のようなボビン2は、例えば、射出成形等によって作成される。ボビン2が射出成形される際に同時に、鍔部22にプレスフィット端子10,10が一体的に接合される状態にインサート成形される。
【0040】
(ヨークの構成)
ヨーク3は、ボビン2に取り付けられる部材であり、磁性を有する金属材料で形成されている。ヨーク3は、
図5(a)、
図6(d)に示すように、上部31と、下部32と、これら上部31と下部32とを繋ぐ側部33と、から構成されている。ヨーク3は、縦断面略凹状に形成されている(
図6(d)参照)。
上部31は、ボビン2の上側の鍔部22の上側ヨーク収容部22cに収容される部位である。上部31は、ボビン2の上側の鍔部22と外形状が同様であり、前部が半円形状に形成され、後部が略矩形状に形成されている。上部31は、上側ヨーク収容部22cに前記したクリアランスを備えて収容されるようになっており、上側ヨーク収容部22cに対して水平方向に移動可能である。
なお、上部31は、下部32よりも外形状が一回り小さい大きさに形成されており、組み付け作業時に上下を区別し易くなっている。
【0041】
上部31は、上側ヨーク収容部22cに収容されることで、上側の鍔部22を介してプレスフィット端子10の下方に配置される。つまり、上部31は、端子部12の軸方向の延長上でプレスフィット端子10(端子部12、基部11)を支持している。
【0042】
下部32は、ボビン2の下側の鍔部23の下側ヨーク収容部23aに収容される部位である(
図6(d)参照)。下部32は、上部31の外形状と同様に、前部が半円形状に形成され、後部が略矩形状に形成されている。
下部32には、
図6(e)に示すように、下側ヨーク収容部23aの凸部23b,23bに対向する部位に、凹部32b,32bが形成されている。下側ヨーク収容部23aに下部32を収容した状態で、下部32の凹部32b,32bに下側ヨーク収容部23aの凸部23b,23bが緩く嵌合する(隙間を有して嵌合する)ようになっている。下部32は、下側ヨーク収容部23aにクリアランスを備えて収容されるようになっており、前記のように凹部32b,32bに凸部23b,23bが緩く嵌合した状態で、下側ヨーク収容部23aに対して水平方向に移動可能である。つまり、前記した水平方向の移動を許容するように凹部32bに凸部23bが嵌合している。
【0043】
ヨーク3には、
図6(d)に示すように、ヨーク側挿着孔として、上部31に円形の挿通孔31aが形成され、下部32に円形の装着孔32aが形成されている。これらの挿通孔31a,32aは、同一の内径D2を備えている。内径D2は、電磁弁V1(V2)に外嵌可能な大きさに設定されている。ここで、前記したボビン2の挿通孔21aの内径D1とヨーク3の挿通孔31a,32aの内径D2との関係は、ボビン2側の内径D1が大きく、ヨーク3側の内径D2が小さくなるように、内径D1>内径D2に設定されている。
【0044】
(プレスフィット端子の構成)
二つのプレスフィット端子10,10は、
図5(b)に示すように、端子支持部22b,22b(ボビン2)に一部がインサート成形された金属部品である。二つのプレスフィット端子10,10は、
図5(a)に示すように、左右方向に所定間隔を離して配設されている。二つのプレスフィット端子10,10には、巻線51の端部がそれぞれ電気的に接続されている。
【0045】
プレスフィット端子10は、
図7各図に示すように、板状の基部11と、基部11の一端上部から上方へ突出する端子部12と、基部11の他端下部から下方へ突出する接続部13と、を備えている。
基部11の大部分は、
図5(b)に示すように、端子支持部22bに埋設されている。基部11の上部は、端子支持部22bから露出している。基部11には、
図7(a)に示すように、成形時に樹脂の入り込みを許容する挿通孔11aが形成されている。基部11は、
図5(b)に示すように、端子支持部22bに設けられた補強リブ22dで補強支持されている。
【0046】
端子部12は、基部11の一端上部から上方へ(ボビン2の軸方向外側へ)垂直に突出している。つまり、端子部12は、上側の鍔部22の上方に向けて延出している。端子部12は、先端部が環状に膨らんでおり、制御基板201(
図1参照)のスルーホール201a(
図1参照)に圧接される。
【0047】
接続部13は、コイル50の巻線51を接続する部位である。接続部13において、巻線51が接触する部分となる接触部14の板厚は、接続部13の他の部分の板厚に比べて薄肉に形成されている。つまり、圧接により板厚の制限を受けやすいプレスフィット端子10において、巻線51が接続される接続部13を薄肉にして、巻線51の被覆が接触によって削られるように構成している。
接触部14には、
図7(d)に示すように、断面が略V字形状の溝15が形成されている。溝15の上縁部はアール状に拡がっている。溝15の内面の対向する部位には、溝15内(内側)に向けて突出する一対の段部16,16が形成されている。段部16,16の部分で溝15bは、幅狭に形成されている。溝15の段部16,16の部分の溝15bの幅L1(左右方向の幅)は、巻線51の線径D3(皮膜が備わる状態の線径)よりも小さく形成されている。溝15は、最深部15cに向けて幅狭に形成されている。
【0048】
接続部13の下部側方には、
図7(a)(c)に示すように、溝15との間で巻線51を巻き回すための突起部17が形成されている。また、接続部13の下端部には、端子支持部22b(
図5(b)参照)に向けて鈎状に突出する鈎状部13bが形成されている。鈎状部13bは、端子支持部22b(
図5(b)参照)に埋設されている(不図示)。
【0049】
プレスフィット端子10は、例えば、プレス加工(プレス打ち抜き加工)によって得られる。薄肉の接触部14は、プレス打ち抜き加工後に、さらにプレス加工されることで薄肉に形成される。その後、溝15を打ち抜いて形成する。なお、プレス打ち抜き加工時に同時にプレス加工を行うことで、接触部14を形成してもよいし、先に接触部14をプレス加工により形成しておいてから打ち抜き加工を行ってもよい。
【0050】
(コイルの構成)
コイル50は、
図5(a)に示すように、ボビン2の円筒部21に巻線51が巻着されてなる。両端部の巻線51,51は、プレスフィット端子10,10の接続部13,13に巻着されており、コイル50と各プレスフィット端子10,10とが電気的に接続されている。
【0051】
(ハウジングへのコイル組立体の組み付け)
ハウジング202へのコイル組立体1の組み付けは、
図8(a)に示すように、第二収容室216の後面側から行う。この場合、装着スペース225にプレスフィット端子10を向け、かつ、ヨーク3の側部33を装着スペース225の補強用リブ227側に向けてコイル組立体1を装着スペース225に挿入する。なお、
図8(a)では、プレスフィット端子10の形状を簡略化している。
【0052】
図8(a)に矢印で示すように、組付方向にコイル組立体1を挿入すると、ボビン2の鍔部23のリブ25,25が装着スペース225の各溝部226の開口縁に当接する。この状態で組付方向にコイル組立体1を押し込み、リブ25,25を各溝部226内に進入させて圧入する。
【0053】
この圧入により、ハウジング202の第二収容室216の所定位置にコイル組立体1が位置決めされるとともに固定される。
【0054】
(基体へのハウジングの組み付け)
ハウジング202に各コイル組立体1を組み付けたら、基体100の前面101のハウジング202の周溝228のハウジング接着代S1、および各コイル組立体1のリブ25の下面25aの電気部品接着代S2に対応する環状のハッチングラインS11および線状のハッチングラインS21に接着剤を塗布する。その後、ハウジング202を基体100の前面101に近づけ、前面101に突出する電磁弁V1,V2に各コイル組立体1を装着しつつ、ハウジング202の後端を基体100の前面101に当接する。これにより、基体100とハウジング接着代S1および電気部品接着代S2との間に介在された接着剤で、ハウジング202および各コイル組立体1が基体100の前面101に接着される。その後、第二収容室216の保持壁220のボス部221に挿通した固定ねじ(不図示)を基体100のねじ穴116(
図2参照)に螺合する。これにより、ハウジング202および各コイル組立体1が基体100の前面101に固定される。
【0055】
なお、ボビン2の挿通孔21aの内径D1は、ヨーク3の挿通孔31a,32aの内径D2よりも大きい。これにより、電磁弁V1,V2に各コイル組立体1を装着する際に、ハウジング202に固定されたボビン2に対してヨーク3を移動(軸方向に直交する方向に移動)させることが可能である。したがって、電磁弁V1,V2と各コイル組立体1との間に相対的に僅かな位置ずれが生じていたとしても、これを吸収して各コイル組立体1を電磁弁V1,V2に装着することができる。つまり、各プレスフィット端子10が所定位置に位置決めされた状態を維持したまま、電磁弁V1,V2との位置ずれを吸収して各コイル組立体1を装着することが可能である。
【0056】
(ハウジングへの制御基板の組み付け)
基体100へハウジング202を組み付けた後、ハウジング202の前面側に開口する第一収容室215の開口を通じて制御基板201を組み付ける。組み付け時には、制御基板201の各スルーホール201aを対応するプレスフィット端子10の先端部に位置合わせし、制御基板201をコイル組立体1に向けて押し込む。そうすると、プレスフィット端子10の端子部12がスルーホール201a内に圧接される。なお、この間、プレスフィット端子10は、コイル組立体1の端子支持部22bに保持され、端子支持部22b上において直立する姿勢を保持する。これにより、プレスフィット端子10の端子部12がスルーホール201a内に確実に圧接される。
その後、第一収容室215の前端部に接着剤等により蓋体203を液密に固着する。
【0057】
以上説明した本実施形態では、溝部226へのリブ25の圧入により、組付方向に交差する方向、および組付方向に平行な軸まわりの回動を規制してコイル組立体1をハウジング202に固定できる。これにより、組付用の治具等を用いることなくコイル組立体1をハウジング202の所定位置に位置合わせすることができる。したがって、プレスフィット端子10をハウジング202の所定位置に精度よく配置することができ、組付用の治具等を用いることなく接続端子を制御基板201に容易に接続することができる。したがって、接続時に必要であった治具配置用のスペースを排除することができ、その分、コンパクト化を図ることができる。また、治具を取り付けるための取付部をコイル組立体1に設ける必要がなくなるので、コイル組立体1の構造の単純化を図ることができる。
【0058】
また、接続端子がプレスフィット端子10であるので、プレスフィット端子10と制御基板201との電気的な接続を容易に行うことができ、組付性が向上する。
【0059】
また、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置Uでは、電子制御ユニット200のコンパクト化やコイル組立体1の構造の単純化を図ることができるので、装置全体の小型化やコストダウンを実現することができる。また、装置全体の小型化を実現できるので、車両に対する組付作業性の向上を図ることができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電気部品組立体が適用された車両用ブレーキ液圧制御装置について説明する。本実施形態では、電気部品組立体を1つのブレーキ系統を備えた二輪車用の車両用ブレーキ液圧制御装置に適用した場合を例として説明する。もちろん、2つのブレーキ系統を備えた二輪車用の車両用ブレーキ液圧制御装置や四輪車用の車両用ブレーキ液圧制御装置に適用しても差し支えない。なお、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0061】
本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置U1は、
図11、
図12に示すように、電磁弁V1,V2とモータMが、電気部品組立体である電子制御ユニット200Aのハウジング202A内に収容される構造を備えている。
【0062】
車両用ブレーキ液圧制御装置U1は、1つのブレーキ系統に対応した電磁弁V1,V2、モータM、往復動ポンプPなどが組み付けられる基体100Aを備えている。
【0063】
(基体の構成)
基体100Aは、略直方体に形成された金属部品(
図12,
図13参照)であり、その内部には図示しないブレーキ液路(油路)が形成されている。
基体100Aの各面のうち、
図13に示すように、一面側となる前面101Aには、電磁弁V1,V2が装着される有底の取付穴110、モータMが装着される有底の取付穴(不図示)等が複数形成されている。つまり、基体100Aの前面101Aに電磁弁V1,V2およびモータMの取付穴がまとめて形成されている。電磁弁V1,V2には、電気部品としてのコイル組立体1がそれぞれ装着されている。各コイル組立体1は、後記するように、プレスフィット端子10Aを用いて制御基板201A(
図11参照、以下同じ)に電気的に接続されている。
【0064】
(モータの構成)
モータMは、基体100Aの前面101Aにボルト120(
図21参照)で一体的に固着されている。モータバスバーM11(
図13,
図21参照)は、モータMのカバーの底部に一対設けられており、
図12に示すように、ハウジング202Aの内壁(第一収容室215A)に設けられたバスバー端子部250にそれぞれ接続されている。バスバー端子部250には、制御基板201Aに接続するためのプレスフィット端子251が立設されている。
【0065】
(電子制御ユニットの構成)
電子制御ユニット200Aは、コイル組立体1Aと、制御基板201Aと、ハウジング202Aと、蓋体203と、を備えている。コイル組立体1Aは、第1実施形態と同様にハウジング202Aに対して圧入により固定されている。ハウジング202Aは、コイル組立体1Aおよび制御基板201Aを収容するとともに、基体100Aから突出した電磁弁V1,V2やモータMを収容している。
【0066】
制御基板201Aは、コイル組立体1AやモータMへの通電を制御して、電磁弁V1,V2の開閉作動やモータMの駆動を制御する。
【0067】
(ハウジングの構成)
ハウジング202Aは、
図11に示すように、基体100Aの前面101Aから突出する電磁弁V1,V2やモータMを覆った状態で、基体100Aの前面101Aに一体的に固着される箱体である。ハウジング202Aは、第1実施形態と同様に樹脂材料によって一体成形されている。ハウジング202Aには、制御基板201Aおよびコイル組立体1Aが組み付けられている。
ハウジング202Aは、基体100A側とは反対側の前面および基体100A側の後面がそれぞれ開口している。
【0068】
ハウジング202Aは、
図12に示すように、板状の底部210Aと、底部210Aの前面側に設けられる第一周壁部211Aと、底部210Aの後面側に設けられる第二周壁部212Aとを備えている。
底部210は、略長方形の外形を備えている。第一周壁部211Aは、底部210Aの周縁部から前方へ延在しており、外周形状が略四角形状を呈している。第一周壁部211Aは、その内側に略四角形状の制御基板201Aを収容する第一収容室215A(
図11参照)を形成している。
【0069】
第二周壁部212Aは、底部210Aの後面から後方へ延在しており、外周形状が略七角形状(
図15参照)を呈している。第二周壁部212Aは、その内側にコイル組立体1AおよびモータMを収容する第二収容室216A(
図11参照)を形成している。第二周壁部212Aは、コイル組立体1Aよりも軸方向(前後方向)に大きいモータM(モータカバー)を収容可能とするために、第1実施形態のものに比べて前後方向に大きく形成されている。
第一収容室215Aおよび第二収容室216Aは、
図11、
図12、
図15に示すように、底部210Aの開口部256を通じて相互に連通している。つまり、第一収容室215Aと第二収容室216Aとの間には、仕切壁が存在しない構造となっている。本実施形態においてもハウジング202Aは、このように仕切壁が存在しない構造とすることで、
図11に示すように、第二収容室216Aから第一収容室215Aに亘ってコイル組立体1AおよびモータMが配置されるようにしてある。つまり、コイル組立体1Aよりも軸方向(前後方向)に大きいモータM(モータカバー)を収容可能としながら、前後方向のスペースを有効に利用して小型化を図っている。
【0070】
第二周壁部212Aの後部側内面には、
図15に示すように、凹凸形状の保持壁220Aが形成されている。保持壁220Aは、第二収容室216Aの上下内側に突出するボス部221、左内側に突出する保持部223Aを備えている。保持壁220Aの内側には、隣接するボス部221と保持部223Aとの間に、コイル組立体1Aを装着可能な装着スペース225Aが計二つ形成されている。各装着スペース225Aにおける保持壁220Aの内面形状は、第1実施形態のものと同様であり、コイル組立体1Aの外面形状に沿う形状に形成されている。各装着スペース225Aの開口縁部には、コイル組立体1Aを装着スペース225A内に位置決めするとともに固定するための一対の溝部226が凹設されている。各装着スペース225Aにおいて溝部226は、対向配置される保持壁220の対向する部位に形成されている。各溝部226は、
図18(a)に示すように、突起226aを備えている。
【0071】
図15に示すように、各装着スペース225Aには、板状の端子保持部240が設けられている。端子保持部240は、各装着スペース225Aに配置されるように左側の上下の保持壁220間に亘って設けられている。
端子保持部240には、略直方体状の外形を備えるガイド部241が突設されている。ガイド部241には、スリット状の挿通孔242(
図19参照)が形成されている。挿通孔242は、装着スペース225Aに装着されるコイル組立体1Aの各プレスフィット端子10Aに対応する位置に設けられている。これにより、各挿通孔242には、プレスフィット端子10Aを挿通可能である。
なお、端子保持部240の上下の隅部には、コイル組立体1A以外のプレスフィット端子252がハウジング202Aにインサート成形されるとともに、プレスフィット端子252を支持するガイド部243が備わる(
図12参照)。
【0072】
第二周壁部212Aの後端部には、周溝228Aが形成されている。周溝228Aには、基体100Aの前面101Aに固定するための接着剤が介在される。ハウジング202Aは、接着剤を介して基体100Aの前面101Aに液密にシールされる。
図21において基体100Aの前面101Aに示す環状のハッチングラインS11で示した領域や、電磁弁V1,V2を挟みリブ25aに対応する位置にある線状のハッチングラインS21で示した領域に、接着剤が介在した状態で周溝228Aやリブ25aが当接する。なお、環状のハッチングラインS11および線状のハッチングラインS21への接着剤の塗布は、同じ工程で行われる。
なお、ハウジング202Aは、第二収容室216Aの保持壁220Aのボス部221に挿通した固定ねじ(不図示)を基体100のねじ穴116(
図13参照)に螺合することで、基体100Aに取り付けられる。
【0073】
蓋体203は、ハウジング202Aの基体100側とは反対側となる前面の開口部に固着される。
【0074】
(コイル組立体の構成)
本実施形態のコイル組立体1Aが第1実施形態のコイル組立体1と異なるところは、
図16、
図17に示すように、全長の大きいプレスフィット端子10Aを備えている点である。コイル組立体1Aのその他の点に変更はない。
プレスフィット端子10Aは、ボビン2の端子支持部22bに一部がインサート成形された金属部品である。プレスフィット端子10Aは、
図16(a)に示すように、左右方向に所定間隔を離して配設されている。各プレスフィット端子10Aには、巻線51の端部がそれぞれ電気的に接続されている。
【0075】
プレスフィット端子10Aは、
図17各図に示すように、板状の基部11と、基部11の一端上部から上方へ突出する端子部12Aと、基部11の他端下部から下方へ突出する接続部13と、を備えている。
端子部12Aは、第1実施形態の端子部12(
図7(a)〜(c)参照)に比べて全長が長く形成されている。端子部12Aの全長は、ハウジング202Aの第二収容室216Aの前後方向の寸法に合わせて設定されている。つまり、本実施形態では、第二収容室216A内にモータMが収容される構成であるため、第1実施形態に比べて第二周壁部212Aを前後方向に大きく延在させている分、端子部12Aの全長を大きく設定している。
【0076】
端子部12Aは、基部11の一端上部から上方へ(ボビン2の軸方向外側へ)垂直に突出している。端子部12Aの中間部分には、他の部分よりも幅広に形成された幅広部18が形成されている。幅広部18は、ハウジング202Aの装着スペース225Aにコイル組立体1Aを組み付けた状態(
図18(b)参照)で、
図19に示すように、端子保持部240のガイド部241に備わる挿通孔242の内面に保持される。つまり、全長の大きい端子部12Aの中間部分が、端子保持部240を介してハウジング202Aに保持されている。
【0077】
(ハウジングへのコイル組立体の組み付け)
第1実施形態と同様に、ハウジング202Aへのコイル組立体1Aの組み付けは、
図18(a)に示すように、第二収容室216Aの後面側から行う。この場合、装着スペース225Aにプレスフィット端子10Aを向け、かつ、ヨーク3の側部33を装着スペース225Aの補強用リブ227側に向けてコイル組立体1Aを装着スペース225Aに挿入する。なお、
図18(a)では、プレスフィット端子10Aの形状を簡略化している。
【0078】
コイル組立体1Aを装着スペース225Aに挿入してゆくと、挿入の過程で端子保持部240の挿通孔242にプレスフィット端子10Aの端子部12Aが挿入される。この場合、プレスフィット端子10Aの幅広部18の端子部12A側の端部18Aが円弧状の面取り形状となっているので、挿通孔242に対する端子部12Aの挿入をスムーズに行うことができる。その後、組付方向にコイル組立体1Aをさらに押し込み、リブ25,25を各溝部226内に進入させて圧入する。
【0079】
この圧入により、ハウジング202Aの第二収容室216Aの所定位置にコイル組立体1Aが位置決めされるとともに固定される。
【0080】
(基体へのハウジングの組み付け)
ハウジング202Aに各コイル組立体1Aを組み付けたら、基体100Aの前面101Aのハウジング202Aの周溝228Aのハウジング接着代S1、および各コイル組立体1Aのリブ25の下面25aの電気部品接着代S2に対応する環状のハッチングラインS11および線状のハッチングラインS21に接着剤を塗布する。その後、ハウジング202Aを基体100Aの前面101Aに近づけ、前面101Aに突出する電磁弁V1,V2に各コイル組立体1Aを装着しつつ、ハウジング202Aの後端を基体100Aの前面101Aに当接する。これにより、基体100Aとハウジング接着代S1および電気部品接着代S2との間に介在された接着剤で、ハウジング202Aおよび各コイル組立体1Aが基体100Aの前面101Aに接着される。その後、第二収容室216Aの保持壁220Aのボス部221に挿通した固定ねじ120(
図13参照)を基体100Aのねじ穴116(
図13参照)に螺合する。これにより、ハウジング202Aおよび各コイル組立体1Aが基体100Aの前面101Aに固定される。
【0081】
本実施形態においても、電磁弁V1,V2に各コイル組立体1Aを装着する際に、ハウジング202Aに固定されたボビン2に対してヨーク3を移動(軸方向に直交する方向に移動)させることが可能である。したがって、電磁弁V1,V2と各コイル組立体1Aとの間に相対的に僅かな位置ずれが生じていたとしても、これを吸収して各コイル組立体1Aを電磁弁V1,V2に装着することができる。つまり、各プレスフィット端子10Aが所定位置に位置決めされた状態を維持したまま、電磁弁V1,V2との位置ずれを吸収して各コイル組立体1Aを装着することが可能である。
【0082】
(ハウジングへの制御基板の組み付け)
基体100Aへハウジング202Aを組み付けた後、ハウジング202Aの前面側に開口する第一収容室215Aの開口を通じて制御基板201Aを組み付ける。組み付け時には、制御基板201Aの各スルーホール201aを対応するプレスフィット端子10Aの先端部に位置合わせし、制御基板201Aをコイル組立体1Aに向けて押し込む。そうすると、プレスフィット端子10Aの端子部12Aがスルーホール201a内に圧接される。なお、この間、プレスフィット端子10Aは、コイル組立体1Aの端子支持部22bに保持され、端子支持部22b上において直立する姿勢を保持する。また、プレスフィット端子10Aの中間部分を端子保持部240でハウジング202Aに保持することができる。
なお、制御基板201Aの組付時に、
図12に示すように、ハウジング202のバスバー端子部250のプレスフィット端子251やコネクタ部229のプレスフィット端子253の接続も同時に行うことができる。
【0083】
その後、第一収容室215Aの前端部の溝275(
図12参照)に接着剤を塗布し蓋体203を液密に固着する。なお、前端部には係合部255が設けられており、この係合部255に蓋体203側の図示しないフック部を係合することにより、組付時の位置合わせを容易に行うことができる。このようにして、組み付けが終了する。
【0084】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。さらに、プレスフィット端子10Aの中間部分をハウジング202Aの端子保持部240に挿通して保持することができる。これにより、プレスフィット端子10Aの全長が大きい場合でも、その中間部分をハウジング202A側で確実に保持できるので、プレスフィット端子10Aの折れ曲がりや倒れ込みを防止して制御基板201Aへのコイル組立体1Aの接続を確実に行うことができる。
また、制御基板201Aとコイル組立体1Aとの距離がある程度離間していても制御基板201Aへのコイル組立体1Aの接続を確実に行うことができるので、ハウジング202A内のコイル組立体1Aのレイアウトの自由度が高まる。
さらに、プレスフィット端子10Aの中間部分には、他の部分よりも幅広とされた幅広部18が形成されている。したがって、幅広部18を介してプレスフィット端子10Aの中間部分を挿通孔242の内面に確実に保持することができる。これにより、プレスフィット端子10Aの折れ曲がりや倒れ込みをより一層効果的に防止することができる。
【0085】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0086】
例えば、リブ25は、直方体形状のものを示したが、これに限られることはなく、種々の形状のものを採用することができる。また設置個数は、単数でもよいし、三つ以上であってもよい。
【0087】
また、コイル組立体1(1A)側にリブ25を設け、ハウジング202(202A)側に溝部226を設けたが、これとは逆に、コイル組立体1(1A)側に溝部を設け、ハウジング202(202A)側にリブを設けてもよい。
【0088】
また、接続端子としてプレスフィット端子10(10A)を用いたが、その他のスナップフィット端子等、圧接可能な端子を接続端子として採用することができる。
【0089】
また、プレスフィット端子10は端子部12がボビン2から上方に突出しているものであればよく、プレスフィット端子10の接続部13等がボビン2の側方等に配置されていてもよい。
【0090】
また、プレスフィット端子10は、ボビン2にインサート成形されたものを示したが、これに限られることはなく、ボビン2に後から取り付けられるものであってもよい。
【0091】
また、本発明は、電気部品としてコイル組立体1(1A)を示したが、ハウジング202(202A)に組み付けられる他の電気部品に対しても好適に実施することができる。
【0092】
また、接着剤は、基体100(100A)の前面101(101A)に塗布したが、ハウジング202(202A)およびコイル組立体1(1A、電気部品)側に先に塗布してもよい。