(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部は、前記表示部を、前記モニター装置が取り付けられる部品の表面に沿う方向に延びる回転軸で回動させることが可能な回動部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子ミラーシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗員室内の前面や側面のうち、従来サイドミラーが取り付けられていた箇所の近傍は、サイドミラーを視認する必要から窓となっている。窓ガラスにモニターを取り付けることは困難であるため、現状の構造の自動車にモニターを取り付けようとすると、ドアライニングやインストルメントパネル等の、従来のサイドミラーよりも低い位置に取り付けることになる。
しかし、そうなると、乗員は、モニターを斜めに見下ろすように視認しなければならないので、ドライバーにとって見づらいものとなる。特に、表示部が液晶ディスプレイの場合、斜めから視認すると画面が暗く見えるという問題もある。
また、運転中に視線を窓から大きくそらすことで、前方を視認できない時間が増えてしまうし、目線の上下動が増えることで、ドライバーの目に過度の負担がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、自動車に備えられる電子ミラーシステムにおいて、モニターを従来のサイドミラーよりも低い位置に設けることにより生じる不具合を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、自動車の側面に取り付け可能で、当該自動車の斜め後方を動画で撮影可能なカメラと、前記自動車の乗員室内に取り付け可能で、前記カメラが撮影した動画を表示可能なモニター装置と、を備える電子ミラーシステムであって、前記モニター装置は、動画が表示される表示部を、前記乗員室内における当該モニター装置が取り付けられる壁面に対して移動させることが可能な可動部
と、前記表示部を収納する筐体と、を備え、かつ、前記筐体が前記壁面の凹部に収納されるように折りたたむことが可能に構成されており、前記凹部に収納された前記筐体の前記乗員室内側を向く面は、前記壁面と面一になることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子ミラーシステムであって、
前記モニター装置は、前記表示部の表示面が前記壁面側を向くように折りたたみ可能に構成され、前記筐体の背面は、前記壁面と同じ又は似た外観となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項
1又は請求項2に記載の電子ミラーシステムであって、
前記可動部は、前記壁面に取り付けられる取付部と前記表示部との間に設けられ、前記表示部を昇降させることが可能な昇降部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項
3に記載の電子ミラーシステムであって、
前記昇降部は、前記乗員室の左右方向の側面と、前記表示部における前記乗員室の左右方向の側面寄りの端部と、の間に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子ミラーシステムであって、
前記可動部は、前記表示部の表示面の、当該可動部に対する角度を変えることが可能な角度調節部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子ミラーシステムであって、
前記可動部は、前記表示部を、前記モニター装置が取り付けられる部品の表面に沿う方向に延びる回転軸で回動させることが可能な回動部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は
、自動車用ドアであって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子ミラーシステムのモニター装置が、自動車の乗員室内側となる壁面に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、
自動車であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子ミラーシステムのモニター装置が、インストルメントパネルの端部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、自動車であって、
請求項7に記載の自動車用ドアを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、
請求項8又は9に記載の自動車であって、
前記電子ミラーシステムのカメラの斜め後方における所定の事象の発生を監視する監視手段と、前記監視手段が所定の事象の発生を検知した場合に、乗員の注意を前記電子ミラーシステムのモニター装置に向けさせる注意喚起手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項
10に記載の自動車であって、
前記筐体内であって、前記表示部の周囲に設けられている発光部が前記注意喚起手段となっていることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項
1に記載の
電子ミラーシステムであって、前記モニター装置を制御する制御装置を備え、前記モニター装置は、前記
表示部の表示面が自動車の乗員室内側を向くように折りたたみ可能に構成され、前記制御装置は、前記モニター装置を折りたたんだときに、前記表示部に前記壁面と同じ又は似た外観の画像を表示させることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項
8から11のいずれか一項に記載の自動車であって、前記モニター装置を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記モニター装置を折りたたんだときに、前記表示部に表示を行わせないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、可動部によって、表示部の角度を上向きに変更したり、表示部の高さをモニター装置の取り付け位置よりも高くしたりすることが可能となるので、モニター装置の取り付け位置が従来のサイドミラーより低くなっても、視認性が低下したり、ドライバーの負担が増えたりするのを防ぐことができる。従って、モニターを従来のサイドミラーよりも低い位置に設けることにより生じる不具合を解消することができる。
また、モニター装置が折りたたまれたときの壁面の美観を損ねることがない。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、
モニター装置の背面と壁面とに統一感が生まれるので、モニター装置が折りたたまれたときの壁面の美観を損なうことがない。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、
昇降部が昇降することで、表示部を上下動するようになるので、表示部を従来のサイドミラーと同程度の高さまで上昇させることが可能となり、視認性の低下を防ぐことができるとともに、視線を上下させることによるドライバーの負担を低減することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、
昇降部が伸び表示部が上方へ移動したときに、表示部の下方が大きく空くので、例えば、インストルメントパネルの左右両端部にあるエアコンの吹き出し口を遮蔽したり、ドアに設けられた窓ガラスの開閉等を操作する操作ボタンの操作を邪魔したりすることがない。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、
表示面を上に向けることが可能になるので、表示面が視線に対して斜めになりにくく、視認性の低下を抑えることができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、
不使用時は表示面が取り付けられる部品の表面に沿うよう折りたたんでおくことが可能となり、乗員の乗降の邪魔になりにくい。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、
エアバック装置の作動やエアコンの風の吹き出しの邪魔になることなく、視認性の高い電子ミラーシステムを備えることができるようになる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、
比較的高い位置にモニター装置が位置することになるので、表示部を上昇させる手段等が不要になり、電子ミラーシステムを比較的簡素な構成とすることができる。
また、大きく移動することのない部材なので、振動などによるモニター装置故障のリスクを低減することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、
インストルメントパネル等の自動車本体側の部品の設計を変更する必要がないので、容易に電子ミラーシステムを設けることができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、
所定の事象が発生すると、注意喚起手段により、ドライバーをはじめとする乗員の注意が、モニター装置の表示部に向けられることとなり、必要に応じて、接近してくる他の自動車を回避する等の措置をとることができる。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、
所定の事象が発生すると、発光部が発光することにより、ドライバーをはじめとする乗員の注意が、モニター装置の表示部に向けられることとなり、必要に応じて、接近してくる他の自動車を回避する等の措置をとることができる。
【0030】
請求項12に記載の発明によれば、モニター装置が折りたたまれて、表示部が乗員室内を向いても、表示部が周囲の壁面と一体化したように見え、美観が損なわれない。
【0031】
請求項13に記載の発明によれば、モニター装置を折りたたんだとき、すなわち、モニター装置の不使用時に画像の表示が行われないので、無駄な電力消費を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る自動車の概略構成について説明する。
図1は、自動車100の乗員室内を後方から見たときの概略図である。
なお、
図1には、乗用車を例示したが、本発明はバスやトラック等の大型自動車にも適用可能である。また、
図1には、右ハンドル車を例示したが、本発明は左ハンドル車や助手席の無い一人乗りの(ハンドルの左右の区別が無い)自動車にも適用可能である。
【0034】
本実施形態に係る自動車100は、いわゆるミラーレス車と呼ばれるものである。すなわち、斜め後方を映すサイドミラー(ドアミラーやフェンダーミラー)を備えておらず、代わりに、電子ミラーシステム10を備えている。
なお、自動車100における、電子ミラーシステム10以外の構造的な構成は、従来の自動車と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
電子ミラーシステム10は、カメラ1(
図3参照)や、モニター装置2等で構成されている。
カメラ1は、動画の撮影が可能ものとなっており、自動車100の外側の側面(例えばフェンダーやドア等)に、当該自動車100の斜め後方を撮影可能となるように取り付けられている。
また、カメラ1は、乗員室内に設けられたスイッチ50の操作に基づいて、撮影する角度を調節することが可能となっている。
撮影した動画のデータは、当該自動車100が備える制御装置40(
図3参照)を介してモニター装置2に送られる。
【0036】
モニター装置2は、カメラ1が撮影した動画を表示するためのもので、本実施形態においては、
図1に示したように、運転席の左右両側方にあるドア20の内側壁面に設けられている。より具体的には、ドアライニング20aの前上部(インストルメントパネル(以下、インパネ)30の近傍の部位)に設けられている。こうすることで、インパネ30等の自動車100本体側の部品の設計を変更する必要がないので、容易に電子ミラーシステム10を設けることができる。
ドアライニング20aには、凹部20bが形成されており、モニター装置2を凹部20b内に収納しておくことが可能となっている。
【0037】
次に、上記自動車100に備えられるモニター装置2の詳細について説明する。
図2は、自動車100を構成するドア20の縦断面図である。
モニター装置2は、
図2(a)に示したように、モニター本体2aと、可動部2bと、を備えている。また、モニター本体2aは、筐体21や、表示部22、発光部23等を備えている。
【0038】
筐体21は、ドア20の凹部20bの奥行き以下の厚さを有する矩形箱型に形成されており、正面には開口21aが形成されている。
また、筐体21は、少なくとも背面が、ドアライニングと同じもしくは似た材質の表皮で覆われている。
【0039】
表示部22は、筐体21に収納され、表示面が筐体21の開口21aから露出している。表示部22は、動画を表示可能なものであれば特に限定されないが、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、できるだけ薄い部品を用いるのが好ましい。そうすることで、モニター装置2を薄くすることができ、延いては、モニター装置2が収納されるドア20が厚くなってしまうのを防ぐことができる。特に、有機ELディスプレイは、液晶よりも低温環境下での表示の遅れが生じにくいので、安全性の観点から特に好ましい。
【0040】
発光部23は、筐体21内であって、表示部22の周囲に設けられている。発光部23が発光すると、筐体21における表示部22の周囲の少なくとも一部が明るく光るようになっている。
【0041】
可動部2bは、モニター本体2aを、ドアライニング20aに対して移動可能とするためのものである。
可動部2bは、本実施形態においては、角度調節部24、回動部25、昇降部26等で構成されている。
【0042】
角度調節部24は、表示部22の表示面の、可動部2bあるいは筐体21の前面に対する角度を変更するためのもので、筐体21の中であって、表示部22の背後に設けられている。角度調節部24の具体的な機構としては、例えば、特許第4649831号公報等に記載されたような従来のサイドミラーの鏡面の角度を調節するための機構を利用することができる。
【0043】
回動部25は、本実施形態においては、モニター本体2aの側方に突出するように設けられている。そして、鉛直方向(ドアライニング20aに沿う方向)に延びる回転軸25aがドア20に支持されることにより、モニター装置2がドア20に取り付けられる。すなわち、回動部25は本発明における取付部としても機能する。回動部25の具体的な機構としては、例えば、特許第3729944号公報等に記載されたような従来のサイドミラーを回動させるための機構を利用することができる。
そして、回転軸25aでモニター本体2aを回動させることにより、立てて
図2(a),(c)に示した使用状態にしたり、折りたたんで
図2(b)に示した不使用(凹部20bに収納された)状態にしたりすることが可能となっている。因みに、本実施形態においては、不使用状態のときに表示面がドアライニング20a側を向くようになっている。
なお、回動部25は、モニター本体2aの側方に突出させずに、筐体21やドア20の中に内蔵させるようにしてもよい。
【0044】
昇降部26は、筐体21の回動部25寄りの端部の中、すなわち、回動部25と表示部22との間に設けられ、モニター本体2aを昇降させることが可能に構成されている。昇降部の具体的な機構は、特に限定されるものでは無く、回動部25に対してスライドするようなものであってもよいし、角度調節部24と回動部25との間で伸縮するようなものであってもよい。
なお昇降部26により、モニター本体2aと回動部25との距離が変化するため、ドア20からモニター本体2aに接続される電線は、モニター本体2aが最も上昇した状態のときに合わせて筐体21内又はドア20内に余裕をもって配線しておくようにする。
【0045】
次に、上記自動車100の電気的構成について説明する。
図3は、自動車100が備える電気的構成のブロック図である。
自動車100は、
図3に示したように、制御装置40を備えている。制御装置40は、電子ミラーシステム10の他、スイッチ50、シフトレバー60、各種センサ70,71、カーナビ80等に接続され、これらの機器の制御を行うようになっている。
【0046】
具体的には、制御装置40は、シフトレバー60が運転可能なモードに入れられたこと、スイッチ50が操作されたこと、あるいはシートに設けられたセンサ70がドライバーの着席を検知したこと等に基づいて、回動部25を、モニター本体2aが凹部20bから出る方向へ動作させ、その後、昇降部26をモニター本体2aが上昇するように動作させる。なお、モニター本体2aの上昇を、自動ではなく、スイッチ50の操作等に基づいて行うようにしてもよい。
また、制御装置40は、回動部25や昇降部26が動作を終えると、カメラ1に撮影開始を指示し、カメラ1から動画データを受信する。受信した動画データは、表示部22に転送する。なお、動画データには、必要な画像処理(明るくする等の処理)を加えてから転送するようにしてもよい。
また、制御装置40は、スイッチ50の操作を検知すると、角度調節部24を、表示部22の表示面の角度が、スイッチ50の操作に応じた角度となるよう動作させる。
【0047】
一方、シフトレバー60が運転不能なモードに入れられたこと、スイッチ50が操作されたこと、あるいはシートのセンサ70がドライバーの離席を検知したこと等に基づいて、モニター本体2aに動作の停止を指示するとともに、昇降部26をモニター本体2aが下降するように動作させ、その後、回動部25を、モニター装置2が凹部20bに入る方向へ動作させる。こうすることで、モニター装置2の不使用時における無駄な電力消費を抑えることができる。
【0048】
また、制御装置40は、自動車100の外側に取り付けられたセンサ71が、何らかの物体が当該自動車100へ所定以上の速度で近づいてきたこと(所定の事象)を検知すると、モニター装置2の発光部23へ通電する。すなわち、制御装置40は、本発明における監視手段をなす。
なお、撮影した動画に映る物体の大きさの変化等に基づいて接近を検知するようにしてもよいし、例えば、ドアに物が挟まっていること等の他の事象を監視するようにしてもよい。
【0049】
また、制御装置40は、表示部22の動作を監視し、正常に表示を行えていないと判断した場合に、動画の転送先を、当該表示部22から他の表示装置(もう一方のモニター装置2やカーナビ80)へ切り替える。
また、制御装置40は、カメラ1の動作を監視し、正常に撮影を行えていないと判断した場合に、電子ミラーシステム10が機能しない旨の報知や、代替手段(備え付けの非常用ミラー)を用いる指示等を行う
【0050】
このように構成された本実施形態に係る自動車100は、ドライバーが乗車していないとき、あるいは駐車しているときは、
図1に示したように、モニター装置2が凹部20bに収納された状態となる。このため、モニター装置2がドライバーの乗降の邪魔になることがない。
また、上述したように、モニター装置2の筐体21は、凹部20bの奥行き以下の厚さとなっているので、筐体21の背面と、ドアライニング20aとが面一になるよう収納することができ、ドア20の凹凸を少なくすることができる。
また、上述したように、筐体21の背面は、ドアライニング20aと同じ又は似た表皮で覆われているため、筐体21の背面とドアライニング20aとに統一感が生まれるので、モニター装置2が収納されたときのドア20の美観を損なうことがない。
【0051】
また、自動車100が走行できる状態になると、
図4に示ように、モニター本体2aが、表示部22をドライバーの方向を向けるとともに上昇する。
回動部25が回動するだけの場合、表示部22がかなり低くなり、場合によっては表示部22の一部がハンドルに遮蔽されることもあり、視認性が低いものとなるが、昇降部26がモニター本体2aを上昇させるので、視認性が向上する。
また、モニター本体2aの位置が低いと、ドア20のスイッチ50等が操作しにくくなる可能性があるが、モニター本体2aが上昇することで、そのような心配もなくなる。
【0052】
また、自動車100の走行中、当該自動車100に他の自動車等が後方から急接近してくると、発光部23が発光する。このため、ドライバーをはじめとする乗員の注意が、モニター装置2の表示部22に向けられることとなり、必要に応じて、接近してくる他の自動車を回避する等の措置をとることができる。つまり、発光部23は、本発明における注意喚起手段として機能する。
【0053】
(変形例1)
なお、上記実施形態では、モニター本体2aを可動部2bに対してスライドさせるだけであったために、モニター本体2aの昇降幅がモニター本体の高さ程度にとどまっていたが、
図5に示したように、昇降部26が筐体21に対し出没自在な支持部材26aを備えるようにし、モニター本体2aを上昇させた後、支持部材26aを突出させることにより、モニター本体2aを更に上昇させるようにしてもよい。
このようにすれば、表示部22が、破線で示した従来のサイドミラーMと同程度の高さに位置するので、表示部22を視認する際に視線を上下させる必要がなくなる。また、支持部材26aはドア20(乗員室の左右方向の側面)の近傍を通るので、モニター本体2aの下方が大きく空くことにより、エアコンの吹き出し口Aが遮蔽されなくなる。
【0054】
(変形例2)
また、上記実施形態では、収納時は表示部22が隠れるようになっていたが、
図6に示したように、収納時に表示部22が乗員室内側を向くように構成し、収納時にカメラ1が撮影した動画以外の画像を表示部22に表示するようにしてもよい。このとき、例えば、ドアライニング20aの表皮と同じ又は似た画像を表示するようにすれば、モニター装置2が折りたたまれて、表示部22が乗員室内を向いても、表示部22が周囲のドアライニング20aと一体化したように見え、美観が損なわれない。
また、モニター本体2aの収納時は、少なくともドライバーの運転操作を必要としない状態(自動運転状態を含む)なので、テレビや、各種メディアのプレイヤーとして使用するようにしてもよい。
【0055】
なお、本変形例のようにすると、回動部25の回転軸25aが凹部20bのドライバー寄りの端部に設けられることになるので、筐体21がハンドルSと接触したり、乗員が圧迫感を受けたりしないようにするため、可動部2bに、モニター本体2aを前後方向にスライドさせるスライド部を備え、モニター本体2aを立てたときに、モニター本体2aを前方へ移動させるようにするのが好ましい。
【0056】
(変形例3)
また、上記実施形態では、筐体21に発光部23を備え、筐体21の周縁部を光らせることで乗員の注意を表示部22に向けさせるようにしたが、例えば、
図7に示したように、複数の発光領域90aが一列に並べられ、発光させる発光領域90aを順次移動させる発光ユニット90を、
図8に示したように、ハンドルSやドアライニング20aのモニター装置2の近傍に、発光領域90aの移動方向の先にモニター装置2の表示部22が位置するように設けるようにしてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る電子ミラーシステム10は、モニター装置2が、動画が表示される表示部22を、ドアライニング20a(乗員室内における当該モニター装置が取り付けられる壁面)に対して移動させることが可能な可動部2bを備える。
これにより、可動部2bによって、表示部22の角度を上向きに変更したり、表示部22の高さをモニター装置2の取り付け位置よりも高くしたりすることが可能となるので、モニター装置2の取り付け位置が従来のサイドミラーMより低くなっても、視認性が低下したり、ドライバーの負担が増えたりするのを防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る電子ミラーシステム10は、可動部2bが、ドアライニング20a(壁面)に取り付けられる回動部25(取付部)と表示部22との間に設けられ、表示部22を昇降させることが可能な昇降部26を備える。
これにより、昇降部26が昇降することで、表示部22を上下動するようになるので、表示部22を従来のサイドミラーMと同程度の高さまで上昇させることが可能となり、視認性の低下を防ぐことができるとともに、視線を上下させることによるドライバーの負担を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る電子ミラーシステム10は、昇降部26が、ドアライニング20a(乗員室の左右方向の側面)と、表示部22における乗員室の左右方向のドアライニング20a寄りの端部と、の間に設けられている。
これにより、昇降部26が伸び表示部22が上方へ移動したときに、表示部22の下方が大きく空くので、例えば、インパネ30の左右両端部にあるエアコンの吹き出し口Aを遮蔽したり、ドア20に設けられたスイッチ50の操作を邪魔したりすることがない。
【0060】
また、本実施形態に係る電子ミラーシステム10は、可動部2bが、表示部22の表示面の、当該可動部2bや筐体21の前面に対する角度を変えることが可能な角度調節部24を備える。
これにより、表示面を上に向けることが可能になるので、表示面が視線に対して斜めになりにくく、視認性の低下を抑えることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る電子ミラーシステム10は、可動部2bが、表示部22を、ドアライニング20aの表面に沿う方向に延びる回転軸25aで回動させることが可能な回動部25を備える。
これにより、モニター装置2の不使用時は、モニター装置2を、表示面がドアライニング20aの表面に沿うよう折りたたんでおくことが可能となり、乗員の乗降の邪魔になりにくい。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る自動車100Aの乗員室内を後方から見たときの概略図である。
【0063】
第1実施形態に係る自動車100は、モニター装置2をドア20に備えていたが、本実施形態に係る自動車100Aは、モニター装置2Aがインパネ30Aの左右両端部に設けられている点が第1実施形態と異なる。
【0064】
具体的には、本実施形態のインパネ30Aは、左右両端部にモニター装置2を収納するための凹部30aを有している。
また、モニター装置2Aは、可動部2cの構成が第1実施形態とは異なる。本実施形態の可動部2cは、回動部25Aが、水平方向(インパネ30Aに沿う方向)に延びる回転軸25bでモニター本体2aを回動させることにより、折りたたんで
図9に実線で示した不使用(凹部30aに収納された)状態にしたり、立てて
図9に破線で示した使用状態にしたりすることが可能となっている。
また、本実施形態においては、モニター装置2Aが、ドアライニング20aよりも高い位置に設けられており、上昇させる必要性が低いため、可動部2cは、第1実施形態の昇降部26に相当する構成を備えていない。
【0065】
こうすることで、第1実施形態に比べ、モニター装置2を比較的簡素な構成とすることができる。
また、インパネ30Aは、ドア20等と異なり、大きく移動することのない部品であるため、振動などによるモニター装置2A故障のリスクを低減することができる。
【0066】
以上、本発明を実施形態に即して説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、一対のモニター装置2を、左右のドア20あるいはインパネ30の左右両端部にそれぞれ備えるようにしたが、モニター装置2を一つだけ備え、表示部22の表示領域を左右に分割し、2つのカメラ1の動画を左右の表示領域にそれぞれ表示するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、モニター装置2の故障時は、もう一方のモニター装置2又はカーナビ80に表示するようにしたが、非常用のサイドミラーを備えておき、モニター装置2が故障した時に、取り付けられるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、可動部にモーター等を備え、自動で回動や昇降をするようにしたが、乗員の手によってこれらの動作をするようにしてもよい。
また、