特許第6886162号(P6886162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886162
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ボルト留め部品の取り外し工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/067 20060101AFI20210603BHJP
   B25B 27/073 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B25B27/067 Z
   B25B27/073 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-130232(P2019-130232)
(22)【出願日】2019年7月12日
(65)【公開番号】特開2021-13993(P2021-13993A)
(43)【公開日】2021年2月12日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】512135849
【氏名又は名称】西田 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 勝彦
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−025430(JP,A)
【文献】 実公昭53−040800(JP,Y2)
【文献】 特開2003−285278(JP,A)
【文献】 特開2000−135686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/067
B25B 27/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付台にボルト留めされる部品であってボルトが外された後にもこの取付台に固着したままの部品をこの取付台から引き離す工具であって、
この部品は前記ボルトが貫通するボルト貫通孔を備え、このボルト貫通孔の前後両端に座繰りを有し、
前記取付台は前記ボルトの先端がねじ結合するねじ穴を有し、
前記工具は、
前端にフックを備えたシャフトと、
前記シャフトへその軸に沿ってスライド自在に保持された芯出しリングと、
前記芯出しリングよりも後方で前記シャフトへその軸に沿ってスライド自在に保持され、シャフトの径方向での大きさが前記座繰りよりも大きく形成された抑え具と、
前記抑え具よりも後方で前記シャフトに保持されてこのシャフトの軸方向に沿って移動自在の位置決めガイドと、
前記位置決めガイドよりも後方で前記シャフトへその軸に沿ってスライド自在に保持されたハンマーと
を備え、
前記フックは前記シャフトの前端から半径方向外方に突出して、前記シャフトの先端が前記部品の前記ボルト貫通孔に挿入された時に、前記フックが前記ボルト貫通孔の奥側の座繰り内に収められるように形成され、
前記位置決めガイドは前記シャフトの外周に切られたねじにねじ結合され、前記フックが前記座繰りの底面に引っ掛けられた時に、前記抑え具を前記部品の前面に押しつける位置に前方へ移動させた位置決めガイドにより保持することで、前記フックとこの抑え具とで前記部品を挟み込むように構成され、
前記シャフトの後端には前記ハンマーを受け止めるストッパが形成され、前記ハンマーを前記シャフトの軸に沿って後方へスライドさせて前記ストッパに衝突させたときに生じる打撃力が、前記フックに作用して前記部品を前記取付台から引き離す力を生じさせるものであり、
前記芯出しリングは前記シャフトの軸に沿ってスライドして前記ボルト貫通孔の手前側の座繰り内に移動すると共にこの芯出しリングがこの座繰りの内周に接することによって、前記シャフトを前記ボルト貫通孔内の中心付近に位置決めして、前記フックが前記ボルト貫通孔の奥側の前記座繰りの底面に引っ掛かるようになった
ことを特徴とするボルト留め部品の取り外し工具。
【請求項2】
前記抑え具が、前記部品の前面の形状に合致する
ことを特徴とする請求項1に記載のボルト留め部品の取り外し工具。
【請求項3】
前記フックは前記ボルト貫通孔よりもやや小径の円形の外形を有し、前記シャフトの軸に対して偏心した
ことを特徴とする請求項1または2に記載のボルト留め部品の取り外し工具。
【請求項4】
前記芯出しリングは前記ボルト貫通孔の内径よりも大きな外径を有し、前記座繰り内へ収められる多角形の外形を有する
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のボルト留め部品の取り外し工具。
【請求項5】
前記シャフトは、ねじを有する第1シャフトと、この第1シャフトに着脱自在の第2シャフトで構成され、
前記第1シャフトに前記フック、前記芯出しリング、前記抑え具、前記位置決めガイドが保持され、
前記第2シャフトに前記ハンマーと前記ストッパとが保持され、
前記第2シャフトの一端に固定された継ぎ手と前記ストッパとの間で前記ハンマーが第2シャフトの軸に沿ってスライド自在となり、
前記継ぎ手に前記第1シャフトの後端がねじ結合される
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のボルト留め部品の取り外し工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト留め部品の取り外し工具、更に詳しくは、ボルトを外した後にも取付台に強固に固着したままのボルト留め部品を取付台から引き離すために使用する工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ボルトを外した後にも、取付台に固着したボルト留め部品を引き抜く工具を開示している。この工具は、部品を取付台に固定するボルトとは別のねじ付きシャフトと、このシャフトにねじ結合するテーパ部材と、このシャフトに保持された押圧部材とで構成されている。押圧部材の先端は、半径方向に移動可能な拡径部となり、拡径部の内側にテーパ部材が収められ、シャフトの軸に沿ってテーパ部部材を移動させることで、拡径部をボルトが外された後の部品のボルト通孔の内周壁に密接させることで、ねじ付きシャフトを部品と一体化させる。その後、ねじ付きシャフトを回転させてその先端を取付台のボルト固定穴の底に押しつけることで、部品を取付台から引き離すようになっている。従って、部品を取付台から取りはずした後も、部品のボルト通孔の内周に押圧部材が圧接しており、ねじ付きシャフトが押圧部材と共に、部品にねじ結合で一体化されている。このため、別の部品を取り外す場合は、その都度、部品に圧接している押圧部材を外すために、テーパ部材とねじ付きシャフトとのねじ結合を解く必要があり、複数の部品を連続して取りはずす上での効率が低いという問題がある。
【0003】
特許文献2は、取付台に固定されている軸受けを取り外す軸受抜き工具を開示している。この軸受抜工具も、ねじ付きシャフトにテーパ部材がねじ結合され、テーパ部材がこのシャフトの軸に沿って移動することで押圧部材を軸受けの内周に圧接させて、ねじ付きシャフトを軸受けと一体化させ、このシャフトを取付台から引き離すことで、軸受けを取付台から取りはずす構造である。
【0004】
特許文献1、2で開示する工具は、いずれも、部品の内周に工具の一部、すなわち、押圧部材を圧接させることで、部品と工具を一体化させており、部品と工具との結合力の殆どは圧接力に依存している。このため、圧接させる力が弱いと、取付台に強固に付着した部品を取り除くことが困難になる虞がある。逆に、圧接力を強くするためには、テーパ部材と押圧部材との結合力を高めるために、シャフトに対するテーパ部材のねじ締め力を強くすることが必要となる。この結果、部品から工具を取り除く力も高くなり、複数の部品を連続して取り外すには苦労を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-285278号公報
【特許文献2】特開2000-135686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、ボルトを外した後にも取付台に固着しているボルト留め部品を、容易な作業で簡単に取り外すことができるボルト留め部品の取り外し工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のボルト留め部品の取り外し工具は、取付台50にボルト留めされる部品60であってボルト70が外された後にもこの取付台50に固着したままの部品60をこの取付台50から引き離す工具であって、この部品60は前記ボルト70が貫通するボルト貫通孔62を備え、このボルト貫通孔62の前後両端に座繰り64を有し、前記取付台50は前記ボルト70の先端がねじ結合するねじ穴54を有する。
【0008】
前記の取り外し工具は、前端にフック14を備えたシャフト10と、前記シャフト10へその軸に沿ってスライド自在に保持された芯出しリング18と、前記芯出しリング18よりも後方で前記シャフト10へその軸に沿ってスライド自在に結合された抑え具16と、前記抑え具16よりも後方で前記シャフト10に保持されてこのシャフト10の軸方向に沿って移動自在の位置決めガイド20と、前記位置決めガイド20よりも後方で前記シャフト10へその軸に沿ってスライド自在に保持されたハンマー24とを備える。
【0009】
前記フック14は前記シャフト10の前端から半径方向外方に突出して、前記シャフト10の先端が前記部品60の前記ボルト貫通孔62に挿入された時に、前記フック14が前記ボルト貫通孔62の奥側の座繰り64内に収められるように形成される。
【0010】
前記位置決めガイド20は前記シャフト10へねじ結合され、前記フック14が前記座繰り64の底面に引っ掛けられた時に、前記抑え具16を前記部品60の前面に押しつける位置に保持されることで、前記フック14とこの抑え具16とで前記部品60を挟み込むように構成される。
【0011】
前記シャフト10の後端には前記ハンマー24を受け止めるストッパ26が形成され、前記ハンマー24を前記ストッパ26に撃ち付ける打撃力が、前記フック14に作用して前記部品60を前記取付台50から引き離す力を生じさせる。
【0012】
前記芯出しリング18は前記ボルト貫通孔62の手前側の座繰り64内に移動した時に、前記シャフト10を前記ボルト貫通孔62内の中心位置に位置決めして、前記フック14を前記ボルト貫通孔62の奥側の前記座繰り64の底面に引っ掛けるように機能する。
【0013】
このため、ハンマー24のストッパ26への衝突による打撃力が、部品60の引き離し方向に沿ってダイレクトに前記フック14から部品60へ伝達されることで、取付台50に強固に固着した部品60を容易に取り外すことができる。
【0014】
また、抑え具16とフック14との間で部品60を挟み込むことにより、フック14と部品60との間に遊びを残すことなく確実にフック14を部品60に結合できて、より確実に打撃力を部品60に伝達できる。
【0015】
更には、芯出しリング18の採用により、前記シャフト10を前記ボルト貫通孔62内の中心付近に位置決めすることで、フック14をボルト貫通孔62の奥側の座繰り64底面に確実に引っ掛けることができる。すなわち、フック14はボルト貫通孔62を通過できる寸法であるにも係わらず、芯出しリング18によってボルト貫通孔62の座繰り64の底面にフック14が確実に引っ掛かる位置に保持でき、部品60との結合が簡単且つ確実にでき、多くの部品60を短時間で取りはずすのに最適である。
【0016】
前記抑え具16が、前記部品60の前面の形状に合致することが好ましい。これにより、部品60の前面との密着性が向上し、前記フック14と前記抑え具16との間での前記部品60の保持力が高まり、部品60の引き抜きをより一層確実に行うことができる。
【0017】
前記フック14は前記ボルト貫通孔62よりもやや小径の円形の外形を有し、前記シャフト10の軸に対して偏心していることが好ましい。これにより、ボルト貫通孔62を通して奥側の座繰り64まで容易に送り込むことができながら、座繰り64との結合を確実にすることができる。
【0018】
また、前記芯出しリング18は前記ボルト貫通孔62の内径よりも大きな外径を有し、前記座繰り64内へ収められる多角形の外形を有することも好ましい。部品60によっては、ボルト貫通孔62の前方に位置して前記の芯出しリング18が収められる座繰り64の周縁の一部が、部品60の使用中に外力を受けて変形を来すことがあるが、そのような場合でも、この変形部分を避ける形で芯出しリング18を座繰り64内に移動させることができる。
【0019】
前記シャフト10は、ねじを有する第1シャフト11と、この第1シャフト11に着脱自在の第2シャフト12で構成されることが好ましい。この場合、前記第1シャフト11に前記フック14、前記芯出しリング18、前記抑え具16、前記位置決めガイド20が保持され、前記第2シャフト12に前記ハンマー24と前記ストッパ26とが保持される。前記第2シャフト12の一端に固定された継ぎ手22と前記ストッパ26との間で前記ハンマー24が第2シャフト12の軸に沿ってスライド自在となり、前記継ぎ手22に前記第1シャフト11の後端がねじ結合されることで、第1シャフト11と第2シャフト12が結合される。この構成を採用することで、部品60をフック14と抑え具16とで保持する作業時には、重量があるハンマー24を保持する第2シャフト12を第1シャフト11から離しておくことができ、第1シャフト11と部品60との結合を、ハンマー24の重量に煩わされることなく、楽に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るボルト留め部品の取り外し工具は、ハンマー24のストッパ26への衝突による打撃力を、部品60の引き抜き方向に沿ってダイレクトに部品60へ作用させることができ、取付台50に強固に固着した部品60を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るボルト留め部品の取り外し工具を示す斜視図。
図2】同上の取り外し工具の使用対象である刃物部品とこれが固定される取付台を示す概略図。
図3】同上の刃物部品が取付台へ固定された状態を示す断面図。
図4】同上の取り外し工具の分解斜視図。
図5】同上の取り外し工具の第1シャフトを部品に取り付けた状態を示す説明図。
図6】同上の取り外し工具の芯出しリングの機能を示す説明図。
図7】同上の取り外し工具に部品を固定保持した状態を示す説明図。
図8】同上の取り外し工具の第1シャフトに第2シャフトを取り付けた状態を示す説明図。
図9】同上の取り外し工具で部品を取付台から引き抜いた直後を示す説明図。
図10】同上の取り外し工具の第1シャフトから第2シャフトを取りはずした状態を示す説明図。
図11】同上の取り外し工具から部品を引き離す過程を示す説明図。
図12】同上の取り外し工具から部品を引き離した直後の状態を示す説明図。
図13】同上の取り外し工具における芯出しリングの機能を示す説明図。
図14】同上の取り外し工具に使用される芯出しリングを示し、(a)(b)はそれぞれ変更態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係るボルト留め部品の取り外し工具について、添付図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施形態では、金属製品などの産業廃棄物である対象物を所定の粒度に破砕する破砕機に使用される刃物部品を取り外す工具を開示する。図2及び図3に示すように破砕機用の刃物部品60は、回転ドラムである取付台50に形成された凹所52へ一部を収めた形で嵌め込まれ、ボルト70で固定されている。そして回転ドラムである取付台50の回転によって所定の軌跡上を移動する刃物部品60と破砕機本体側に設けられた固定刃との間で、対象物を破砕する。刃物部品60は消耗品であるため取り替えが求められるが、破砕機の性質上、刃物部品60には繰り返し大きな応力が加わることで、ボルト70を外した後にも、刃物部品60が取付台50の凹所52内に強固に固着していることが多いことから、本発明の取り外し工具が使用される。刃物部品60を固定するボルト70にはキャップボルトが使用され、刃物部品60の前後に貫通するボルト貫通孔62の両端は座繰り穴64とされ、ボルト70の先端が取付台50のねじ穴54に締め付けられて、刃物部品60が取付台50に固定される。
【0024】
取り外し工具はステンレス鋼の部材を組み合わせて構成される。図1に示すように、取り外し工具は、前端にフック14を備えたシャフト10と、このシャフト10の軸に沿ってスライド自在に保持された抑え具16と、抑え具16よりも後端側でシャフト10に保持されてこのシャフト10の軸方向に沿って移動自在の位置決めガイド20と、位置決めガイド20よりも後端側でシャフト10へその軸に沿ってスライド自在に保持されたハンマー24を備える。シャフト10の後端にはハンマー24を受け止めるストッパ26が固定されている。シャフト10には、位置決めガイド20とハンマー24との間で、継ぎ手22が設けられる。シャフト10は、図4に示すように、外周にねじが切られた第1シャフト11と、筒状の継ぎ手22が前端に固定された第2シャフト12とで構成され、第1シャフト11の後端が継ぎ手22の内周の雌ねじにねじ結合することで、第1シャフト11と第2シャフト12とが取り外し可能に結合してシャフト10を構成する。第1シャフト11にはフック14、芯出しリング18、抑え具16、位置決めガイド20が備えられる。第2シャフト12は継ぎ手22、ハンマー24、ストッパ26が保持される。
【0025】
位置決めガイド20は第1シャフト11にねじ結合して第1シャフト11の軸に沿って移動自在とされ、抑え具16及び芯出しリング18はフック14と位置決めガイド20との間で第1シャフト11の軸に沿ってスライド自在に保持される。
【0026】
フック14は部品60のボルト貫通孔62を通過できる略円形の外形を示し、第1シャフト11の前端へ偏心した形で結合して、第1シャフト11の前端から半径方向外方に突出する。芯出しリング18は、ボルト貫通孔62には嵌まらないが座繰り64内に収められる外径を有する。抑え具16の部品60と対向する面は、部品60の前面形状に適合する凹面になっている。
【0027】
取り外し工具を使用して刃物部品60を取付台50から引き外す手順を、図5図12を参照して、説明する。図5に示すように、ボルト70を抜き去った後にも取付台50の凹所52に固着している部品60を引き離す手順の最初は、第1シャフト11を第2シャフト12から切り離した状態で、ボルト貫通孔62に第1シャフト11を差し込み、フック14をボルト貫通孔62の奥側の座繰り64迄到達させる。この状態で、フック14はボルト貫通孔62の奥側の座繰り64の底面へ確実に止まっていない。
【0028】
次に、図6に示すように、芯出しリング18を前方へスライドさせてボルト貫通孔62の前側の座繰り64内に進めることで、第1シャフト11をボルト貫通孔62内の軸中心近くに位置決めする。これに伴って、フック14が確実にボルト貫通孔62の奥側の座繰り64の底面に引っ掛けられる。
【0029】
この後は、図7に示すように、位置決めガイド20を回転させることにょって前方へ移動させ、抑え具16を部品60の前面に押し付ける位置に保持することで、同図に示すように、抑え具16とフック14との間で部品60を挟持する形で部品60に第1シャフト11が固定される。
【0030】
次に、図8に示すように、第1シャフト11に継ぎ手22を介して第2シャフト12を結合してシャフト10を一体化する。この後にハンマー24を後方へスライドさせてストッパ26へ強く押し当てて衝撃を加えると、この際に生じる打撃力がシャフト10を介してフック14に作用し、フック14を強い力で後方へ移動させる力が働く。この結果、フック14に引っ掛けられている部品60に取付台50の凹所52から引きはがす大きな力が作用し、図9に示すように取付台50の凹所52から部品60が引き抜かれる。
【0031】
上記のようにして部品60を取付台50の凹所52から引き抜いた後は、図10に示すように、第2シャフト12を第1シャフト11から切り離し、ハンマー24の重さを排除してから、図11に示すように位置決めガイド20を回して後方へ移動させて緩め、抑え具16および芯出しリング18をスライドさせて部品60から遠ざける。これにより、フック14と座繰り64との結合が解かれ、フック14をボルト貫通孔62から引き抜くことで、図12に示すように、部品60から完全に、第1シャフト11すなわち取り外し工具が切り離される。
【0032】
上述した一連の動作により、ボルト70を外した後にも取付台50へ固着している部品60を、素早く確実に、取付台50から取り除くことができる。
【0033】
本実施形態において、芯出しリング18は四角形の外形とされている。本実施形態の取り外し工具が適用される刃物部品60は、粉砕機で使用中に変形をもたらすような外力を受けることがあり、特に、座繰り64周縁の露出部分が変形を受けて、図13に示すように、座繰り64の周縁の一部に膨れ67が生じることがある。このような場合であっても、円形の座繰り64の周縁に対して芯出しリング18の外形を多角形としているため、膨れ67を避けて芯出しリング18を座繰り64の中に進めることができ、フック14を部品60の奥側の座繰り64底面へ確実に引っ掛けることができる。
【0034】
芯出しリングとしては、この他、図14(a)(b)に示すように、六角形状の芯出しリング18Aや三角形状の芯出しリング18Bが使用可能である。
【0035】
尚、本実施形態では、ボルト留め部品の取り外し工具の一使用例として、刃物部品60を回転ドラムのような取付台50から取り外すことを説明したが、本発明のボルト留め部品の取り外し工具は、このような使用に特定されるものではなく、フック14と抑え具16との間で挟持される種々の部品60へハンマー24による打撃力を作用させてこれらの部品60を取付台50から引き離すことに使用できる。
【0036】
また抑え具16は、対象となる部品の形状に応じてこれへの密着力を高める形状とされるものである。本実施形態においては、取付台50の凹所52から突出する部品60の前端が三角形であるのに合わせて、三角形状の凹部を抑え具16の前面に形成しているものであり、この形状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
10 シャフト
11 第1シャフト
12 第2シャフト
14 フック
16 抑え具
18 芯出しリング
20 位置決めガイド
22 継ぎ手
24 ハンマー
26 ストッパ
50 取付台
54 ねじ穴
60 部品
62 ボルト貫通孔
64 座繰り
70 ボルト

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14