(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る突っ張り式支持装置の一例としての突っ張り棒について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る突っ張り棒100について説明する。本実施形態の突っ張り棒100は、対向する壁面を支持し、例えば、カーテンレールやハンガーとして機能することができるものである。
【0014】
図1に示すように、突っ張り棒100は、第1棒材101と、第2棒材102と、調整材103とを備えて構成されている。第1棒材101、第2棒材102及び調整材103は、それぞれ円柱状の木製の棒材によって構成されている。また、第1棒材101及び第2棒材102は、接続部材104によって同軸上に連結されている。接続部材104は、例えば、薄板状のゴムシートからなり、略中央で折り返されてヒンジ部104aを構成し、ヒンジ部104aを基準として一方側の面が第1棒材101の端面に貼着され、他方側の面が第2棒材102の端面に貼着されている。そのため、ヒンジ部104aを回動軸として第1棒材101と第2棒材102とを屈曲させることができる。
【0015】
ここで、本実施形態において、第1棒材101及び第2棒材102がそれぞれ円柱状をなしているため、屈曲させようとした場合にヒンジ部104aの近傍下端同士が干渉し、屈曲動作が阻害される。そのため、第1棒材101及び第2棒材102のそれぞれ接続部材104が貼着される端部であってヒンジ部104aの近傍である下端部が切り落とされた切欠き101a,102aが形成され、第1棒材101と第2棒材102とを屈曲させた際の干渉を回避するようにしている。なお、第1棒材101及び第2棒材は、上述した円柱状に限らず、他の形状に形成されたものであってもよく、例えば、第1棒材101及び第2棒材102の各下面を平面とした断面視蒲鉾状あるいは半円状に形成されたものとしたり、角柱状にしてもよい。この場合、ヒンジ部104aが平面と接した状態とする、すなわち、第1棒材101と第2棒材102とを屈曲した場合に平面が互いに接近するような構成とした場合には、第1棒材101と第2棒材とを屈曲した場合に相互に干渉しないので、切欠き101a,102aを形成する必要がなくなる。
【0016】
なお、本実施形態では、ヒンジ部104aに用いる材料としてゴムシートを用いたが、別の材料を用いてもよく、例えば、蝶番により第1棒材101と第2棒材102とを接続するようにしてもよいし、樹脂によるシート材により第1棒材101と第2棒材102とを接続するようにしてもよい。また、本実施形態では、第1棒材101、第2棒材102及び調整材103を木製により形成しているが、他の材料により形成されてもよく、例えば、金属や樹脂等、適宜の材料により形成されてもよい。このことは、後述する第2実施形態においても同様である。
【0017】
調整材103は、第2棒材102と同軸上に接続されるものであり、調整材103の第2棒材102に対向する端面の中央には調整ネジ103aが埋設される一方、第2棒材102の調整材103に対向する端面の中央には調整ネジ103aを螺合するネジ穴が開設されている。すなわち、調整材103は、調整ネジ103aが第2棒材102のネジ穴に螺合されることで第2棒材102と同軸上に接続されている。調整材103は、第2棒材102に対して矢印R1で示す方向に正逆回転させることで第2棒材102と調整材103との間隔を矢印D1に示す方向で調整することができる。なお、第2棒材102と調整材103との間隔を調整する手段は、上述したものに限らず、既知のいずれの調整手段についても適用することができる。本実施形態では、このような構成により、突っ張り棒100の長さを伸縮させることができるようになっている。
【0018】
また、第1棒材101の接続部材104が取り付けられている端面とは反対側の端面、及び、調整材103の第2棒材102の対向面とは反対側の端面に、それぞれ緩衝部材106a,106bが取り付けられている。これらの緩衝部材106a,106bは、突っ張り棒100が取り付けられた際に、壁面等の支持面に対する押圧力を緩衝し、支持面に対する負荷を軽減する機能を有している。本実施形態において、緩衝部材106a,106bについてゴム材を適用したが、例えば、発泡EVA(Ethylene-Vinyl Acetate copolymer)等の弾性を有する樹脂等を適用してもよい。
【0019】
以上のようにして構成された突っ張り棒100を壁面等の支持面に取り付ける要領について、
図2を参照しながら説明する。
【0020】
先ず、
図2(a)に示すように、調整材103を矢印R1方向に正逆回転させて第2棒材102と調整材103との距離を矢印D1方向に調整することで突っ張り棒100の長さが対向する支持面間の距離になるよう、予め調整する。このとき、突っ張り棒100の長さが支持面間の距離よりもわずかに(緩衝部材106a,106bによりその長さが吸収できる程度)大きくなるようにすることで、突っ張り棒100を支持面に強固に支持させることができる。
【0021】
続いて、
図2(b)に示すように、第1棒材101と第2棒材102を屈曲させた状態で突っ張り棒100の両端を対向する壁面Wにあてがい、その状態で矢印D2方向に押下操作する。すると、
図2(c)に示すように、第1棒材101の端面と第2棒材102の端面とが当接し、突っ張り棒100は、水平方向に押圧力が生じるようになる。すなわち、対向する壁面Wそれぞれに対して突っ張り状態で突っ張り棒100を支持させることができるようになる。
【0022】
本実施形態では、上述したようにして、突っ張り棒100を壁面Wに取り付ける前に、予め対向する壁面W間の距離に合わせて長さを調整し、その状態で突っ張り棒100を壁面Wに取り付けるようにしたので、取り付けた後での長さの調整が不要であり、突っ張り棒100を簡便に壁面Wに取り付けることができるようになる。また、従来のように、壁面等の支持面に突っ張り棒を取り付けた後での突っ張り棒の長さの調整が不要であるので、調整不良による支持面に対して大きな負荷がかかって支持面にダメージを与えたり、支持力不足により突っ張り棒が落下してしまうなどの不都合が生じにくくなる。
【0023】
(第2実施形態)
次に、
図3を参照しながら、第2実施形態に係る突っ張り棒200について説明する。本実施形態の突っ張り棒200は、例えば、2つを1組として使用し、それぞれ床面と天井とを支持し、その状態でレール部材を架設することで、カーテンレールやハンガーや棚などの支柱として機能することができるものである。また、突っ張り棒200の長さを適宜設定することにより、例えば、棚の天板と天井とを支持して棚の転倒防止装置として機能させることも可能である。
【0024】
図3に示すように、突っ張り棒200は、上部棒材201と、下部棒材202とを備えて構成されている。上部棒材201及び下部棒材202は、それぞれ角柱状の木製の棒材により構成されている。また、上部棒材201及び下部棒材202は、接続部材203により同軸上に連結されている。接続部材203は、例えば、金属製の蝶番によって構成されており、一対の板面のうちの一方が上部棒材201の端面にねじ止め固定され、他方が下部棒材202の端面にねじ止め固定されている。したがって、接続部材203の一対の板面を回動可能に支持するヒンジ部203aを回動軸として上部棒材201と下部棒材202とを屈曲させることができるようになっている。
【0025】
また、上部棒材201の接続部材203が取り付けられている端面とは反対側の端面には、調整部材204が取り付けられている。調整部材204は、支持面としての天井に突合される突合板204aと、突合板204aの後面から一体的に突出して上部棒材201に取り付けられる調整部204bと、突合板204aの前面に取り付けられた緩衝部材204cとを備えて構成されている。突合板204aは、樹脂からなり円盤状に形成されている。調整部204bは、突合板204aと一体形成されており、外周にねじ切りが施されており、矢印R3に示すように正逆回転することで、矢印D3方向に進退させることができ、これにより、突っ張り棒200の長さを調整することができるようになっている。また、緩衝部材204cは、例えば、ゴム材により形成されており、突っ張り棒200が取り付けられた際に、天井等の支持面に対する押圧力を緩衝し、支持面に対する負荷を軽減する機能を有している。なお、緩衝部材204cの材料は、ゴム材以外であってもよく、支持面に対する押圧力を緩衝することができる材料であれば、いずれのものも採用することができる。
【0026】
一方、下部棒材202の接続部材203が取り付けられている端面とは反対側の端面には、突合部材205が取り付けられている。突合部材205は、支持面としての床面に突合される突合板205aと、突合板205aの前面に取り付けられた緩衝部材205bとを備えて構成されている。突合板205a及び緩衝部材205bの構成及び機能は、上述した突合板204a及び緩衝部材204cと同様であるので説明を省略する。なお、突合部材205には、突っ張り棒200の長さを調整する機能を有していないが、上部棒材201に取り付けられた調整部材204と同様の機能を有するようにしてもよい。すなわち、上部棒材201及び下部棒材202の両方で突っ張り棒200の長さを調整することができるように構成されてもよい。
【0027】
また、本実施形態の突っ張り棒200には、筒状からなり、突っ張り棒200の外周に対して矢印Sに示す方向に摺動可能なカバー体206が設けられている。このカバー体206は、例えば、金属により構成されており、突っ張り棒200が設置された際に接続部材203を覆うことで、上部棒材201と下部棒材202とが屈曲するのを防止するものである。なお、カバー体206の材料は金属に限らず、他の材料であってもよく、例えば、樹脂や木材等であってもよい。
【0028】
また、下部棒材202の接続部材203が取り付けられる側の端部近傍に支持部207が突設されている。支持部207は、後述するカーテンレールCR(
図4参照)を嵌合してカーテンレールCRを支持する機能を有している。なお、本実施形態において、支持部207は、角柱状に形成されているが、他の形状であってもよい。また、支持部207によって支持される部材はカーテンレールCRに限らず、例えば、ハンガーや棚等、他の機能を有する部材であってもよい。また、本実施形態では、カーテンレールCR等の架設部材を支持部207に嵌合して設置するようにしたが、例えば、支持部207に載置して設置する態様であってもよい。
【0029】
以上のようにして構成された突っ張り棒200を設置する要領について、
図4を参照しながら説明する。
【0030】
先ず、
図4(a)及び同図(b)に示すように、調整部材204を矢印R3方向に正逆回転させて上部棒材201と突合板204cとの距離を矢印D3方向に調整することで突っ張り棒200の長さを、床面から天井までの高さに整合させるように予め調整する。
【0031】
続いて、
図4(c)に示すように、上部棒材201と下部棒材202とを屈曲させた状態で一対の突っ張り棒200を床面Fと天井Cにそれぞれあてがう。このとき、支持部207を対向させるとともに、カーテンレールやハンガー等の架設部材の長さを考慮して所定間隔を空けて配置する。また、一対の突っ張り棒200は、それぞれ下部棒材202の突合板205aの位置が上部棒材201の突合板204aの位置と鉛直方向に整合するようにする。その後、一対の突っ張り棒200を互いに離間する方向に押圧すると、
図4(d)に示すように、上部棒材201の端面と下部棒材202の端面とが当接し、突っ張り棒200は、垂直方向に押圧力が生じるようになる。すなわち、上部棒材201の突合板204a及び下部棒材202の突合板205aがそれぞれ天井C及び床面Fに対して押圧し、突っ張り状態で突っ張り棒200が支持される。
【0032】
その後、
図4(e)に示すように、カバー体206を突っ張り棒200に沿って下方に摺動させて支持部207に当接すると、接続部材203が被覆される。これにより、突っ張り棒200が不用意に屈曲されるのを防止することができる。
【0033】
その後、
図4(f)に示すように、本実施形態では、カーテンレールCRを支持部207によってその両端が支持されるようにして一対の突っ張り棒200に架設する。具体的には、カーテンレールCRは底面が平面とされた断面視蒲鉾状に形成されるとともに、底面の長手方向の両端の中央にそれぞれ支持部207に嵌合する嵌合溝が形成されている。そして、カーテンレールCRを一対の突っ張り棒200に架設する際には、カーテンレールCRの底面に形成された嵌合溝を支持部207に嵌合させることにより、カーテンレールCRを一対の突っ張り棒200に対して強固に架設することができる。さらに、カーテンレールCRの長手方向の両端面がそれぞれ突っ張り棒200の接続部材203に対向配置されるので、例えば、突っ張り棒200が屈曲する方向に押圧されても、カバー体206の機能とともに、カーテンレールCRによって突っ張り棒200が屈曲するのを阻止することができる。
【0034】
本実施形態では、上述したようにして、突っ張り棒200を設置する前に、予め床面Fと天井Cとの間の距離に合わせて長さを調整し、その状態で突っ張り棒200を設置するようにしたので、取り付けた後での長さの調整が不要であり、突っ張り棒200を簡便に設置することができるようになる。また、従来のように、床面や天井等の支持面に突っ張り棒を取り付けた後での突っ張り棒の長さの調整が不要であるので、調整不良による支持面に対して大きな負荷がかかって支持面にダメージを与えたり、支持力不足により突っ張り棒が転倒してしまうなどの不都合が生じにくくなる。
【0035】
なお、本実施形態では、一対の突っ張り棒200をそれぞれ床面Fと天井Cとに突っ張り状で支持することにより設置し、設置した一対の突っ張り棒200に対してカーテンレールやハンガーを架設するようにしたが、突っ張り棒200を他の支持面に対して支持させるようにして設置させるようにしてもよく、例えば、階段下に一対の突っ張り棒を設置し、棚板を一対の突っ張り棒に対して架設して収納棚を構成するようにしてもよい。具体的には、床面と階段の踏み面の裏面とで一対の突っ張り棒をそれぞれ突っ張り状態で設置する。このとき、一対の突っ張り棒は、例えば、踏み面の長手方向に沿って設置される。また、高さの異なる複数の踏み面に亘って突っ張り棒を設置する場合には、例えば、上部棒材の上端から2つの調整部材を突設し、一方の調整部材で床面から低い位置にある踏み面の下面との距離に整合させるように上部棒材から突出させる長さを調整できるようにし、他方の調整部材で床面から高い位置にある踏み面の下面との距離に整合させるように上部棒材から突出させる長さを調整できるようにし、それぞれの調整部材で長さの調整が完了した後に、床面と階段の踏み面の下面とで突っ張り状態で設置する。もちろん、床面と1つの踏み面の下面とで突っ張り状態で設置する構成としてもよいことはいうまでもない。そして、一対の突っ張り棒の下部棒材にそれぞれ設けられた支持部に棚板を架設することで、階段下に収納棚を構成することができる。これによれば、階段下のデッドスペースを活用できることが期待される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1棒材101と、第2棒材102と、第1棒材101と第2棒材102とを軸方向に接続するとともに、第1棒材101と第2棒材102とを軸方向とは異なる位置の方向に屈曲可能に接続する接続部材104とを備えている。その結果、対向する第一の支持面と第二の支持面とに対して垂直方向に突っ張り状に渡設される突っ張り式支持装置において、簡便に支持することができるようになる。
【0037】
また、本実施形態によれば、第1棒材101及び第2棒材102の少なくともいずれか一方に、長さを可変するための調整材103が設けられているので、対向する支持面の距離の変化に対応することができるようになる。
【0038】
また、本実施形態によれば、上部棒材201及び下部棒材202の少なくともいずれか一方に対して軸方向に移動可能に貫装されるとともに、接続部材203の外周を被覆する位置で上部棒材201と下部棒材202とが屈曲するのを阻止するカバー体206を備えたので、突っ張り式支持装置が不用意に屈曲することで落下あるいは転倒するのを防止できるようになる。
【0039】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。