特許第6886169号(P6886169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886169
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ステアリングホイールカバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-185444(P2016-185444)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-47829(P2018-47829A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年9月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052585
【氏名又は名称】株式会社ボンフォーム
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西脇 保彦
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−094728(JP,A)
【文献】 特開2002−096739(JP,A)
【文献】 実開平04−075774(JP,U)
【文献】 特開2016−88222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のステアリングホイールに装着されるステアリングホイールカバーであって、
該ステアリングホイールカバーは、伸縮性と可撓性を有する帯状部材の端部同士が縫い目を介して接合されたリング状のカバー本体を有し、前記縫い目は、前記帯状部材の表裏面でテープによって覆われており、該カバー本体は、前記ステアリングホイールに装着した場合に前記ステアリングホイールの外周形状に沿って引き伸ばされて垂直断面形状においてU字型をなし、前記ステアリングホイールの外周面及び側面を被覆するとともに、前記カバー本体の周縁同士が離隔して前記ステアリングホイールの内周面側に周全体に亘って開口が形成され
前記カバー本体は、装着される前記ステアリングホイールの円周長さの60%から85%の円周長さを有し、かつ、装着される前記ステアリングホイールの垂直断面の円周長さの60%から80%の幅長さを有し、
前記カバー本体は、把持面となる表地と、前記ステアリングホイールの外周面及び側面に密着する面となる裏地とからなり、前記裏地は、表面に滑り止めが施されており、
前記カバー本体は、周縁に二つ巻き縫い、三つ巻き縫いまたは四つ巻き縫いが施されていることを特徴とするステアリングホイールカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリングホイールに取り付けるカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールカバーは、ステアリングホイールの装飾や操作性の改善等の目的で広く用いられている。自動車のステアリングホイールカバーとしては、例えば、断面C型の円環状に形成されてなるゴム、ウレタン等の伸縮性及び緩衝性を有する部材からなるベース層と、該ベース層の上表面に被覆される表面層とを備えた自動車用ステアリングホイールカバーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。係る自動車用ステアリングホイールカバーは、断面C型の開口からステアリングホイールに引き延ばしつつ嵌め込んで取り付けることができる。
【0003】
しかし、このような自動車用ステアリングホイールカバーは厚みがあるため、ステアリングホイールに取り付けると太さが大きく増してしまう。このため、手の小さい運転者や、ステアリングホイールカバーを付けていない状態の太さを好む運転者等、太さが増大することを理由にステアリングホイールカバーを取り付けることに躊躇する者も少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−62422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ステアリングホイールに簡単に取り付けることができ、かつ取り付けた状態でも太さが大きく変わらないステアリングホイールカバーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、自動車のステアリングホイールに装着されるステアリングホイールカバーであって、該ステアリングホイールカバーは、伸縮性と可撓性を有する帯状部材の端部同士が接合されたリング状のカバー本体を有し、該カバー本体は、前記ステアリングホイールに装着した場合に前記ステアリングホイールの外周面及び側面を被覆することを特徴とするステアリングホイールカバー、である。
【0007】
なお、本明細書及び特許請求の範囲にて使用される用語は、下記の意味で使用される。「接合」とは、帯状部材の両端をつなぎ合わせて形成することだけでなく、つなぎ目が生じない状態に形成されることも示す。「リング状」とは、ステアリングホイールカバーの全体の輪の形状を示す。「外周面」とは、ステアリングホイールのスポークが取り付けられている面(内周面)とは反対側の外側に位置する面を示し、「側面」とは、ステアリングホイールの外周面と内周面との間に位置する面を示す。また、「円周長さ」とは、ステアリングホイールあるいはステアリングホイールの垂直断面の外周長さ、又はカバー本体の外周長さを示す。また、「垂直断面」とは、ステアリングホイールの直径に沿って切断した場合の切断面を示す。
【0008】
このように、カバー本体を伸縮性と可撓性を有する帯状部材の端部を連結してなるリング状とすることで、カバー本体の厚みを薄くすることができる。このため、ステアリングホイールに取り付けたときに、その太さにほとんど影響を及ぼすことがない。また、厚みを薄くすることでステアリングホイールの外面形状に沿って容易に変形するので、ステアリングホイールに密着させて取り付けることができる。さらに、カバー本体をステアリングホイールに取り付けたとき、カバー本体はステアリングホイールの外周面と側面だけを被覆するので、内周面に形成されているスポークに干渉することがない。
【0009】
なお、カバー本体を構成する伸縮性と可撓性を有する帯状部材の材質は、当該性質を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニルやポリウレタン等を用いることができる。
【0010】
さらに、前記カバー本体は、前記ステアリングホイールの円周長さの60%から85%の円周長さを有するようにしてもよい。このように、カバー本体の円周長さをステアリングホイールの円周長さよりも短くすることで、カバー本体をステアリングホイールの外周面及び側面に密着させることができる。
【0011】
さらに、前記カバー本体は、前記ステアリングホイールの垂直断面の円周長さの60%から80%の幅長さを有するようにしてもよい。このように、カバー本体の幅長さをステアリングホイールの垂直断面の円周長さよりも短く設定すると、ステアリングホイールに取り付けた際に、カバー本体の周縁同士が離隔してステアリングホイールの内周面側に開口が形成されるので、カバー本体がステアリングホイールのスポークと干渉することがなくなる。
【0012】
さらに、前記カバー本体は、把持面となる表地と、前記ステアリングホイールの外周面及び側面に密着する面となる裏地とからなるようにしてもよい。こうすることで、カバー本体の表地と裏地とを異なる素材で形成することが可能となる。
【0013】
表地及び裏地の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニルやポリウレタン等を用いることができる。
【0014】
さらに、前記裏地は、その表面に滑り止めが施されてもよい。こうすることで、ステアリングホイールの操作中にカバー本体がステアリングホイール上でずれることを防ぐことが可能となる。
【0015】
なお、「滑り止め」には、裏地の表面に滑り止め加工を施すことのみならず、裏地そのものを滑り止め効果のある素材から形成することも含む。
【0016】
さらに、前記カバー本体は、リング状の周縁に二つ巻き縫い、三つ巻き縫いまたは四つ巻き縫いが施されていてもよい。
【0017】
こうすることで、周縁をきれいに仕上げることができるので、装飾性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るステアリングホイールカバーによれば、カバー本体を伸縮性と可撓性を有する帯状部材の端部同士を接合してリング状とすることで、カバー本体の厚みを薄くすることができるので、ステアリングホイールの太さにほとんど影響を及ぼすことがない。また、ステアリングホイールの外面形状に沿って容易に変形させることができるので、ステアリングホイールに密着させて取り付けることができるだけでなく、特殊形状のステアリングホイールにも対応させることができる。さらに、カバー本体をステアリングホイールに取り付けたときに、カバー本体がステアリングホイールの外周面と側面だけを被覆するので、ステアリングホイールの内周面に設けられているスポークに干渉することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例に係るステアリングホイールカバーの斜視図である。
図2】実施例に係るステアリングホイールカバーの正面図である。
図3】実施例に係るステアリングホイールカバーの平面図である。
図4】実施例に係るステアリングホイールカバーの底面図である。
図5】実施例に係るステアリングホイールカバーにおける帯状部材の端部同士の接合状態を示す図である。
図6】実施例に係るステアリングホイールカバーを畳んだ状態の平面図である。
図7】実施例に係るステアリングホイールカバーを畳んだ状態の底面図である。
図8】実施例に係るステアリングホイールカバーをステアリングホイールに取り付けた状態を示す図である。
図9】実施例に係るステアリングホイールカバーをステアリングホイールに取り付けた状態における内周面を示す図である。
図10】実施例に係るステアリングホイールカバーの取り付け方法を説明する図である。
図11】実施例に係るステアリングホイールカバーを取り付け可能なステアリングホイールの一例を示す図である。
図12】ステアリングホイールカバーの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1から図4には、本実施例に係るステアリングホイールカバー1が示されている。ステアリングホイールカバー1は、カバー本体10を有する。カバー本体10は、図5に示されているように、帯状部材の端部10a、10b同士を接合することによってリング状に形成される。端部10a、10b同士は、図5に示すように千鳥縫いによって接合されており、さらに、その接合の境目の表裏面には、縫い目を隠しつつ補強を行うテープ20が、端部10aと端部10bとを跨ぐようにして縫着されている。
【0022】
こうしてリング状に形成されたカバー本体10は、伸縮性と可撓性とを有し、ステアリングホイールに取り付けた場合に、ステアリングホイールの外面形状に沿って変形するように形成される。本実施例では、カバー本体10は、ステアリングホイールに取り付けた場合に把持される面を形成する表地11と、ステアリングホイールの表面に密着する面を形成する裏地12とを有する。表地11はパンチング加工が施されたレザー調のポリ塩化ビニルより形成され、裏地12は滑り止め効果のあるウレタンより形成されている。そして、これらの表地12と裏地13とが接着剤によって接着されてカバー本体10が形成されている。
【0023】
カバー本体10は、直径が365mm〜379mm、円周長さが1146〜1190mmのステアリングホイールに適合するように、その円周長さが920mm(ステアリングホイールの円周長さのおよそ80%〜77%)に設定されている。カバー本体10の円周長さをこのような寸法に設定することで、ステアリングホイールに取り付ける際にカバー本体10を引き伸ばしながら、ステアリングホイールに密着するように取り付けることができるようになる。
【0024】
また、カバー本体10の幅長さは、一般的なステアリングホイールの垂直断面の円周長さよりも70%〜80%短い87mmに設定されている。カバー本体10の幅長さをこのような寸法に設定することで、ステアリングホイールに取り付けた際に、カバー本体の周縁10c同士が離隔してステアリングホイールの内周面側に開口Aが形成されるようになる。なお、上記の各寸法はあくまでも一例にすぎず、適宜設定することが可能である。
【0025】
リング状のカバー本体10の周縁10cには、三つ巻き縫いが施されている。これにより、カバー本体10の柔軟性を確保しつつ、表地11と裏地12とが容易に剥離することを防止することができるとともに、装飾性を高めることができる。
【0026】
図6及び図7には、ステアリングホイールカバー1を畳んだ状態が示されている。このように、カバー本体10は自在に折り畳むことができる。このため、コンパクトなパッケージングが可能となって、流通過程において取り扱い易く、また、店舗にて展示する際においても場所をとらない。
【0027】
図8には、ステアリングホイールSにステアリングホイールカバー1を取り付けた状態が示されている。このように、リング状のカバー本体10は、ステアリングホイールSに取り付けられるとステアリングホイールSの外周形状に沿って変形して密着する。すなわち、ステアリングホイールSを垂直断面方向から見た場合に、カバー本体10が略U字型をなしてステアリングホイールSの外周面と側面とに密着した状態となる。一方、図8及び図9に示すように、カバー本体10の一対の周縁10cは離隔してステアリングホイールの内周面側に開口Aが形成される。このような開口Aが形成されることで、カバー本体がステアリングホイールSのスポークS1と干渉することがなくなるのである。
【0028】
図10には、ステアリングホイールカバー1の取り付け方法を説明する図が示されている。ステアリングホイールカバー1は、次のような手順で取り付けられる。まず、図10(a)に示されているように、カバー本体10をステアリングホイールSの上部(A部分)から半分くらいまで被せる。このとき、A部分は、図10(b)に示すように、ステアリングホイールSの中心軸Xよりもやや奥となる位置に引っかけるようにする。次に、B部分をステアリングホイールSに被せたら、C部分、D部分の順にカバー本体10を引っ張りながら被せる。そして最後に全体のねじれを整えて取り付けが完了する。なお、ここで示す取り付け方法はあくまでも一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0029】
本実施例に係るステアリングホイールカバー1によれば、カバー本体10を伸縮性と可撓性を有する帯状部材の端部10a、10bを連結してなるリング状としているので、カバー本体10の厚みを薄くすることができる。このため、ステアリングホイールの太さにほとんど影響を及ぼすことがない。また、ステアリングホイールSの外面形状に沿って容易に変形させることができるので、ステアリングホイールの外周面と側面にぴったり密着させることができる。さらに、図11(a)に示すような一般的な円形状のステアリングホイールだけでなく、図11(b)に示すような下部を平らにしたような特殊形状のステアリングホイールにも対応させることもできる。また、付随的な効果として、カバー本体10は自在に折り畳むことができることから、コンパクトなパッケージングが可能となって、流通過程における取り扱い易さの向上や店頭展示の際の省スペース化を図ることができる。
【0030】
尚、本発明は上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
【0031】
例えば、上記実施例では、表地をレザー調に形成しているが、図11に示すようなカーボン調としてもよい。また、上記実施例では、カバー本体10を表地11と裏地12とからなる2枚構造としているが、1枚構造としてもよい。また、上記実施例では、カバー本体10の円周長さ及び幅長さの範囲を特定しているが、これにとらわれることなく、ステアリングホイールの円周長さ及び垂直断面の円周長さに応じて適宜変更することができる。また、上記実施例では、裏地12の滑り止めとして、裏地12そのものを滑り止め効果のあるウレタンから形成しているが、これに替えて、例えば、滑り止め効果のない裏地の表面にゴムやウレタン等の滑り止め材を線状やドット状等に配置してもよい。また、上記実施例では、カバー本体のリング状の周縁に三つ巻き縫いが施されているが、これに替えて、例えば、二つ巻き縫い、四つ巻き縫いとしてもよいし、または巻き縫いではなく周縁を被覆する別部材を取り付けてもよいし、あるいは、これらを省略してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ステアリングホイールカバー
10 カバー本体
10a、10b 端部
10c 周縁部
11 表地
12 裏地
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12