特許第6886171号(P6886171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6886171地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886171
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20210603BHJP
   G01C 21/32 20060101ALI20210603BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20210603BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20210603BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20210603BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   G09B29/00 Z
   G01C21/32
   G09B29/10 A
   G08G1/0969
   G06T7/60 200J
   G06T11/60 300
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-252462(P2016-252462)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-106017(P2018-106017A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】399027831
【氏名又は名称】株式会社オゼットクリエイティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114672
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】前田 匡
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 宏之
【審査官】 鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−325777(JP,A)
【文献】 特表2013−508692(JP,A)
【文献】 特開2002−046506(JP,A)
【文献】 小山 浩他,自動走行におけるダイナミックマップ整備,システム/制御/情報,一般社団法人システム制御情報学会,2016年11月15日,第60巻 第11号,第7〜12頁
【文献】 加藤 彰良,第58回(平成11年前期)全国大会 講演論文集(4) インタフェース コンピュータと人間社会,1999年 3月 9日,第4分冊 第319−320頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00−10
G06T 7/60−11/60
G08G 1/096
G01C 21/00−36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、に接続され、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置であって、
前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得し、前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する基本地図作成部と、
道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成し、前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する道路地図情報作成部と、を備え、
前記道路地図情報作成部は、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて、前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加する、
ことを特徴とする地図情報作成装置。
【請求項2】
前記道路地図情報作成部は、前記道路を移動するユーザが使用する携帯端末から、前記位置情報、又は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項3】
前記道路地図情報作成部は、前記位置情報の移動軌跡に基づいて所定の幅の車線エリアを特定し、前記基本地図情報の前記車線エリアから白線を抽出し、前記道路地図情報の前記道路に前記白線で区切られたレーンの情報を付加する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地図情報作成装置。
【請求項4】
所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、に接続され、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置で動作する地図情報作成プログラムであって、
前記地図情報作成装置に、
前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得する第1処理、
前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する第2処理、
道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成する第3処理、
前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する第4処理、を実行させ、
前記第3処理では、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて、前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加する、
ことを特徴とする地図情報作成プログラム。
【請求項5】
前記第3処理では、前記道路を移動するユーザが使用する携帯端末から、前記位置情報、又は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とを取得する、
ことを特徴とする請求項4に記載の地図情報作成プログラム。
【請求項6】
前記第3処理では、前記位置情報の移動軌跡に基づいて所定の幅の車線エリアを特定し、前記基本地図情報の前記車線エリアから白線を抽出し、前記道路地図情報の前記道路に前記白線の情報を付加する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の地図情報作成プログラム。
【請求項7】
所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置と、が通信ネットワークで接続されたシステムにおける地図情報作成方法であって、
前記地図情報作成装置は、
前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得する第1処理と、
前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する第2処理と、
道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成する第3処理と、
前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する第4処理と、を実行し、
前記第3処理では、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて、前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加する、
ことを特徴とする地図情報作成方法。
【請求項8】
前記第3処理では、前記道路を移動するユーザが使用する携帯端末から、前記位置情報、又は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とを取得する、
ことを特徴とする請求項7に記載の地図情報作成方法。
【請求項9】
前記第3処理では、前記位置情報の移動軌跡に基づいて所定の幅の車線エリアを特定し、前記基本地図情報の前記車線エリアから白線を抽出し、前記道路地図情報の前記道路に前記白線の情報を付加する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の地図情報作成方法。
【請求項10】
前記システムに、前記地図情報作成装置から前記道路地図情報を取得する飛行体を含み、
前記飛行体は、
予め設けた撮影部が直下の地上を撮影した空撮画像を取得し、
予め設けたGPS(Global Positioning System)センサが受信したGPS情報に基づいて自身の位置を特定し、
前記道路地図情報から、前記特定した位置近傍の画像を抽出し、
前記空撮画像と前記抽出した画像との比較結果に基づいて自身の位置を修正し、
前記道路地図情報から、前記修正した位置に最も近い道路を特定し、
前記特定した道路の上空に移動し、
前記特定した道路に付加された前記高度の情報に基づいて、前記特定した道路に沿って飛行する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の地図情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法に関し、特に、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置、当該地図情報作成装置で動作する地図情報作成プログラム及び地図情報作成装置を含むシステムにおける地図情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)を利用して自車の位置を特定し、予め記憶した道路地図情報に自車の位置を重ね合わせて表示することにより、目的地へのナビゲーションを行っている。このナビゲーションは、運転者が安全に目的地に移動できるように支援すると共に、自動運転において適切に車両を移動できるようにすることが重要であり、そのために、ナビゲーションの精度の向上が求められている。
【0003】
ナビゲーションの精度を向上させるためには、自車の位置を正確に特定すると共に、道路地図情報を最新の状態に更新することが重要である。前者に関しては、複数の衛星からのGPS信号を用いて位置検出精度を高めたり、GPSセンサの精度向上を図ったり、GPS情報を受信できない場合に各種センサからの信号により自律航法の精度向上を図ったりする必要があり、後者に関しては、定期的に道路地図情報のアップデートを行う必要がある。
【0004】
上記位置検出精度を高める技術に関して、例えば、下記特許文献1には、移動体に搭載され、該移動体の走行位置を検知するための走行位置検知装置であって、GPS衛星からのGPS衛星データを受信するGPS電波受信アンテナと、前記GPS電波受信アンテナにより受信したGPS衛星データに基づいて装置本体の位置を示すGPS位置データを一定時間毎に算出するGPS位置測位手段と、前記GPS位置測位手段により前回のGPS位置データが算出されてから新たなGPS位置データが算出されるまでの間、前回のGPS位置データからの移動距離を求めて装置本体の位置を示す自律位置データを一定時間毎に算出する自律位置測位手段と、装置本体の路面に対する傾斜データを検出するための傾斜センサと、前記前回のGPS位置データおよび前記自律位置データに対して前記傾斜データにより路面の傾きを補正して、前記移動体の接地位置データを算出する接地位置算出手段と、前記接地位置データを記憶するための記憶手段とを備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−58096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の道路地図情報は、作成に時間がかかるために価格が高く、頻繁に道路地図情報をアップデートするとユーザの負担が大きくなる。また、従来の道路地図情報は、道路地図情報を提供する会社が実際に道路を走行して作成しているため、道路地図情報の更新頻度は高くなく、定期的に道路地図情報をアップデートしたとしても、道路地図情報が最新の状態に維持されるとは限らない。また、詳細な道路地図情報はデータサイズが大きいため、車載用ナビゲーション装置がデータを受信したり、受信したデータを処理したりするのにも時間がかかる。
【0007】
一方、ナビゲーションにおいては、車両が適切に道路を運行するために必要な情報があればよく、道路以外の場所の詳細な情報は必須ではない。このような背景から、ナビゲーションに適した道路地図情報を安価に作成する方法の提案が求められている。また、このような問題は自動4輪車や自動2輪車などの車両のナビゲーションに限らず、ドローンなどの飛行物体のナビゲーションにおいても同様に生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、最新かつ詳細な道路の情報が付加されたデータサイズの小さい道路地図情報を安価に作成することができる地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、に接続され、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置であって、前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得し、前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する基本地図作成部と、道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成し、前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する道路地図情報作成部と、を備え、前記道路地図情報作成部は、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加することを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、に接続され、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置で動作する地図情報作成プログラムであって、前記地図情報作成装置に、前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得する第1処理、前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する第2処理、道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成する第3処理、前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する第4処理、を実行させ、前記第3処理では、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて、前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加することを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面は、所定の間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報を含む3次元点群情報を提供する第1サーバと、画素毎又は数画素毎の緯度/経度の情報を含む2次元地図情報を提供する第2サーバと、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置と、が通信ネットワークで接続されたシステムにおける地図情報作成方法であって、前記地図情報作成装置は、前記第1サーバから前記3次元点群情報を取得すると共に前記第2サーバから前記2次元地図情報を取得する第1処理と、前記3次元点群情報と前記2次元地図情報とを合成して、前記2次元地図情報に前記ポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成する第2処理と、道路を移動する移動体から位置情報を取得し、前記位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、前記基本地図情報に前記特定した道路の情報を付加した道路地図情報を作成する第3処理と、前回作成した前記道路地図情報との差分又は今回作成した前記道路地図情報を、ナビゲーション装置を備える移動体に出力する第4処理と、を実行し、前記第3処理では、前記移動体から前記位置情報と共に前記移動体の角速度情報及び/又は加速度情報を取得した場合は、前記位置情報と前記角速度情報及び/又は前記加速度情報とに基づいて、前記道路の勾配情報を算出し、前記ポイント毎の高度の情報と前記道路の勾配情報とに基づいて、前記道路地図情報の前記道路に高度の情報を付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法によれば、最新かつ詳細な道路の情報が付加されたデータサイズの小さい道路地図情報を安価に作成することができる。
【0013】
その理由は、予め取得した所定間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の3次元点群情報と画素毎(又は数画素毎)の緯度/経度の2次元地図情報とを用いて、2次元地図情報にポイント毎の高度の情報を付加した基本地図情報を作成し、道路を移動する移動体から取得した位置情報に基づいて、基本地図情報に道路の情報を付加した道路地図情報を作成し、道路を移動する移動体から取得した位置情報と角速度情報及び/又は加速度情報とに基づいて道路の勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて、道路地図情報の道路に高度の情報を付加し、更新情報として前回作成した道路地図情報との差分又は今回作成した道路地図情報を移動体に送信する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成システムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る移動体の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成システムの概略動作を説明する模式図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置の動作を示すフローチャート図である。
図6】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置の動作(3次元点群情報と2次元地図情報の合成処理)を示すフローチャート図である。
図7】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置の動作(道路情報の付加処理)を示すフローチャート図である。
図8】本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置の動作(道路の高度情報の付加処理)を示すフローチャート図である。
図9】本発明の第2の実施例に係る白線抽出処理を説明する画像の一例である。
図10】本発明の第2の実施例に係る地図情報作成装置の動作(白線抽出処理)を示すフローチャート図である。
図11】本発明の第3の実施例に係る地図情報作成システムの構成を示す模式図である。
図12】本発明の第3の実施例に係る地図情報作成システムの構成を示す模式図である。
図13】本発明の第4の実施例に係る地図情報作成システムの構成を示す模式図である。
図14】本発明の第4の実施例に係る飛行体の構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第4の実施例に係る飛行体の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、車載用ナビゲーション装置では、GPSを利用して自車の位置を特定し、予め記憶した道路地図情報に自車の位置を重ねて表示することにより、ナビゲーションを行うが、ナビゲーションの精度を向上させるためには、自車の位置を正確に特定すると共に、道路地図情報を最新の状態に更新することが重要である。前者に関しては、ナビゲーション装置自体の性能向上により対応可能であるが、後者に関しては、道路地図情報のアップデートは費用がかかり、頻繁に道路地図情報をアップデートするとユーザの負担が大きくなる。また、道路地図情報の更新頻度は高くないため、定期的にアップデートしたとしても、道路地図情報が最新の状態に維持されるとは限らない。特に、都心部などの交通量が多い場所では道路地図情報の更新頻繁は高いが、山間部や農村部などの交通量が少ない場所では更新頻度は低い。また、国によっても道路地図情報が更新される頻度は異なり、先進国では更新頻繁は高いが、開発途上国では更新頻度は低い。また、詳細な道路地図情報はデータサイズが大きいため、車載用ナビゲーション装置がデータを受信したり、受信したデータを処理したりするのにも時間がかかる。
【0016】
一方、ナビゲーションにおいては、車両が適切に道路を運行するために必要な情報があればよく、道路以外の場所の詳細な情報は必須ではない。すなわち、ナビゲーションにおいては、全ての場所について詳細な緯度/経度/高度の情報を含む道路地図情報は必要なく、道路に関して詳細な緯度/経度/高度の情報を含む道路地図情報であればよい。
【0017】
そこで、本発明の一実施の形態では、まず、離散的な(例えば、3m間隔程度のポイント毎の)緯度/経度/高度の3次元情報を含む3次元点群情報と、詳細な(画素毎又は数画素毎の)緯度/経度の2次元情報を含む2次元地図情報と、を用いて、緯度/経度については詳細な情報を有し、高度に関しては離散的な情報を有する基本地図情報を作成する。次に、道路を移動する移動体(自動4輪車や自動2輪車、自転車、歩行者など)から位置情報(緯度及び経度)を取得し、位置情報の移動軌跡に基づいて道路を特定し、基本地図情報に道路情報を付加した道路地図情報を作成する。また、道路を移動する移動体(自動4輪車や自動2輪車など)から位置情報及び移動体の加速に関する情報(角速度情報及び/又は加速度情報)を取得した場合は、それらの情報に基づいて道路の勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて、道路地図情報の道路に高度の情報を付加して道路地図情報を作成/修正する。これにより、道路部分は詳細な緯度/経度/高度の情報を含み、道路以外の部分は詳細な緯度/経度の情報と離散的な高度の情報とを含む道路地図情報を作成することができる。そして、更新情報として以前に作成した道路地図情報との差分又は今回作成した道路地図情報を移動体に送信してナビゲーション装置が利用できるようにする。
【0018】
このように、基本地図情報として、少なくとも高度に関しては情報量の少ないデータを利用することにより、基本地図情報を簡便に作成することができ、コストを削減することができる。また、道路を移動する移動体から取得した位置情報を利用することにより、道路が適切に更新された道路地図情報を作成することができる。更に、道路を移動する移動体から取得した角速度情報及び/又は加速度情報に基づいて道路の勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて道路の高度情報を算出することにより、ナビゲーションに必要な道路部分に関して詳細な情報を提供することができ、道路地図情報全体のデータサイズを縮小することができる。
【0019】
また、道路を移動するユーザが使用する携帯端末から位置情報や角速度情報及び/又は加速度情報を取得して道路地図情報を作成/修正する。これにより、道路地図情報を作成するコストを削減することができ、多数の携帯端末から取得した情報を利用することにより最新の道路地図情報を簡便に作成することができる。また、所定の移動速度の携帯端末から取得した情報のみを利用することにより、登山やサイクリングなどのナビゲーションにも利用可能な道路地図情報を作成することができる。
【0020】
また、道路地図情報を作成する際に、基本地図情報の中の道路と判定された箇所から白線を抽出し、道路地図情報に白線で区切られるレーン情報を追加する。これにより、実際に道路を走行してレーン情報を取得しなくても、正確なナビゲーションが可能な道路地図情報を作成することができ、人が運転する場合のみならず、自動運転においても正確なナビゲーションを行うことができる。
【0021】
また、道路地図情報をドローンなどの飛行体が利用できるようにし、飛行体が空撮する画像と道路地図情報とを比較して、飛行物体を道路上空に誘導することにより、飛行体を安全にナビゲーションすることができる。
【実施例1】
【0022】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法について、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、本実施例の地図情報作成システムの構成を示す模式図であり、図2は、地図情報作成装置の構成を示すブロック図、図3は、移動体の構成を示すブロック図である。また、図4は、本実施例の地図情報作成システムの概略動作を説明する模式図であり、図5乃至図8は、本実施例の地図情報作成装置の動作を示すフローチャート図である。
【0023】
本実施例の地図情報作成システムは、図1に示すように、緯度/経度/高度の3次元点群情報を提供する第1サーバ10と、緯度/経度の2次元地図情報を提供する第2サーバ20と、第1サーバ10から取得した3次元点群情報と第2サーバ20から取得した2次元地図情報と移動体40から取得した情報とを用いて道路地図情報を作成する地図情報作成装置30と、道路地図情報を利用するナビゲーション装置を備える移動体40とで構成される。
【0024】
第1サーバ10と第2サーバ20と地図情報作成装置30とはイーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークを介して接続されている。また、地図情報作成装置30と移動体40とは、公衆無線LANなどの通信ネットワーク、UWC−136、DECT等の規格で定められる3G、HSPA(High Speed Packet Access)等の規格で定められる3.5G、LTE(Long Term Evolution)やモバイルWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の規格で定められる3.9G、LTEAdvanced、WiMAX2等の規格で定められる4Gなどの移動体通信ネットワークを介して接続されている。
【0025】
なお、図1では、移動体40が車両の情報(位置情報、角速度情報及び/又は加速度情報)を地図情報作成装置30に送信すると共に、地図情報作成装置30から道路地図情報を取得してナビゲーションを行う構成とするが、車両の情報を地図情報作成装置30に送信する移動体40と地図情報作成装置30から道路地図情報を取得する移動体40とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。以下、各装置について詳細に説明する。
【0026】
[第1サーバ]
第1サーバ10は、所定の間隔(例えば、3m間隔)のポイント毎の緯度/経度/高度の3次元点群情報を提供するコンピュータ装置であり、制御部、記憶部、通信I/F部などを備える。制御部は、3次元点群情報を作成して記憶部に保存し、通信I/F部を介して、通信ネットワークに繋がっている装置に3次元点群情報を提供する。
【0027】
[第2サーバ]
第2サーバ20は、ジオリファレンス情報が埋め込まれた画素毎(又は数画素毎)の緯度/経度の2次元地図情報(例えば、GeoTIFFデータ)を提供するコンピュータ装置であり、制御部、記憶部、通信I/F部などで構成される。制御部は、2次元地図情報を作成して記憶部に保存し、通信I/F部を介して、通信ネットワークに繋がっている装置に2次元地図情報を提供する。
【0028】
[地図情報作成装置]
地図情報作成装置30は、ナビゲーション装置で使用する道路地図情報を作成するコンピュータ装置であり、図2(a)に示すように、制御部31と記憶部35と通信I/F部36と必要に応じて表示部37及び操作部38などで構成される。
【0029】
制御部31は、マイクロプロセッサ等により構成されるCPU(Central Processing Unit)32と、ROM(Read Only Memory)33やRAM(Random Access Memory)34などのメモリと、で構成され、CPU32は、ROM33や記憶部35から制御プログラムを呼び出し、RAM34に展開して実行することにより、地図情報作成装置30全体の動作を制御する。上記制御部31は、図2(b)に示すように、基本地図作成部31a、道路地図作成部31b、更新情報送信部31cなどとして機能する。
【0030】
基本地図作成部31aは、第1サーバ10から3次元点群情報を取得すると共に、第2サーバ20から2次元地図情報を取得し、3次元点群情報と2次元地図情報とを用いて基本地図情報を作成する。具体的には、3次元点群情報の各ポイントの緯度/経度に基づいて、そのポイントに対応する2次元地図情報の位置を特定し、特定した位置に、そのポイントの高度情報を埋め込むことにより、画素毎(又は数画素毎)の緯度/経度の情報とポイント毎の高度の情報とを含む基本地図情報を作成する。
【0031】
道路地図作成部31bは、道路を移動する移動体40(自動4輪車や自動2輪車など)から位置情報(緯度及び経度)、又は、位置情報及び移動体40の加速に関する情報(角速度情報及び/又は加速度情報、以下、角速度/加速度情報と略記する。)を取得する。移動体40から位置情報を取得した場合は、取得した位置情報に基づいて、基本地図情報に、ナビゲーション装置が利用できるように道路情報を付加した道路地図情報を作成、又は、道路情報が付加された道路地図情報に道路情報を追加する。具体的には、移動体40から取得した位置情報の移動軌跡に基づいて、基本地図情報の道路を特定し、特定した道路の道路情報を基本地図情報に埋め込んで道路地図情報を作成/更新し、作成/更新した道路地図情報又は特定した道路情報を記憶部35などに記憶する。また、移動体40から位置情報及び角速度/加速度情報を取得した場合は、取得した位置情報及び角速度/加速度情報に基づいて道路の勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて、基本地図情報に、ナビゲーション装置が利用できるように道路情報及び道路の高度情報を付加した道路地図情報を作成、又は、道路情報又は道路情報及び道路の高度情報が付加された道路地図情報に道路情報及び道路の高度情報を追加する。具体的には、取得した位置情報の移動軌跡に基づいて、基本地図情報の道路を特定すると共に、取得した角速度/加速度情報に基づいて、公知の手法を用いて道路の勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて、基本地図情報に、道路情報及び道路の高度情報を埋め込んで道路地図情報を作成/更新し、作成/更新した道路地図情報又は特定した道路情報及び道路の高度情報を記憶部35などに記憶する。
【0032】
道路の勾配情報を算出する方法としては、例えば、特開2009−236532号公報に記載されているように、ジャイロセンサ及び加速度センサが一体的に構成された慣性航法用センサを用い、ジャイロセンサの検出結果を積分して慣性航法用センサの絶対姿勢の推定値を算出し、算出した推定絶対姿勢に基づいて、移動体自身を基準とした移動体座標系と基準座標系との座標変換行列を算出し、算出した座標変換行列を用いて、加速度センサの検出結果を基準座標系に変換すると共に重力加速度の成分を減算して基準座標系における移動体の移動ベクトルを算出し、移動ベクトルを用いて現在位置を測位することにより道路の勾配情報を算出する。また、特開2013−44562号公報に記載されているように、移動体の略重心位置に設置され、3次元の角速度と加速度とを求めるためのデータを出力する慣性計測装置を用い、GPSセンサが受信したGPS情報と、慣性計測装置が出力したデータとをカルマンフィルタにより処理することで速度を算出し、算出された速度の水平/垂直方向の速度を積算し、水平/垂直方向相対距離を算出し、算出された水平方向相対距離が所定の水平方向距離になる区間ごとに、算出された水平方向相対距離と、算出された垂直方向相対距離とに基づいて、道路の勾配情報を算出する。そして、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて算出した道路の高度情報を埋め込むことにより、道路部分は詳細な緯度/経度/高度の情報を含み、道路以外の部分は詳細な緯度/経度の情報及び離散的な高度の情報を含むデータサイズが相対的に小さい道路地図情報を作成/更新することができる。
【0033】
更新情報送信部31cは、所定のタイミングで、記憶部35などから道路地図情報を取得し、最新の道路地図情報と移動体40に送信済みの道路地図情報との差分(新たに追加された道路情報又は道路情報及び道路の高度情報)を移動体40に送信する。又は、更新情報送信部31cは、記憶部35などから最新の道路地図情報を取得して移動体40に送信する。上記送信に際して、道路情報や道路の高度情報が付加される度に送信する場合は、道路情報や道路の高度情報が追加されたら送信タイミングになったと判断し、ある程度、道路情報や道路の高度情報が蓄積されてから送信する場合は、所定回数分の道路情報や道路の高度情報が付加されたら送信タイミングになったと判断する。
【0034】
上記基本地図作成部31a、道路地図作成部31b、更新情報送信部31cは、ハードウェアとして構成してもよいし、制御部31を、基本地図作成部31a、道路地図作成部31b、更新情報送信部31cとして機能させるソフトウェア(地図情報作成プログラム)として構成し、当該地図情報作成プログラムをCPU32に実行させるようにしてもよい。
【0035】
記憶部35は、メモリやHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などで構成され、第1サーバ10から取得した3次元点群情報や第2サーバ20から取得した2次元地図情報、移動体40から取得した位置情報、角速度/加速度情報、基本地図作成部31aが作成した基本地図情報、道路地図作成部31bが作成した道路地図情報などを記憶する。
【0036】
通信I/F部36は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、地図情報作成装置30を通信ネットワークに接続し、第1サーバ10や第2サーバ20、移動体40との通信を確立する。
【0037】
表示部37は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成され、基本地図情報や道路地図情報の画面などを表示する。
【0038】
操作部38は、マウスやキーボード、表示部37上に配置された格子状の電極からなるタッチセンサなどで構成され、基本地図情報や道路地図情報に対する各種操作を可能にする。
【0039】
[移動体]
移動体40は、道路を走行する自動4輪車(エンジン自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車など、本実施例ではエンジン自動車とする。)、自動2輪車などであり、図3(a)に示すように、制御部41と記憶部45と通信I/F部46とナビゲーション部47と駆動部48などで構成される。
【0040】
制御部41は、マイクロプロセッサ等により構成されるCPU42と、ROM43やRAM44などのメモリと、で構成され、CPU42は、ROM43や記憶部45から制御プログラムを呼び出し、RAM44に展開して実行することにより、移動体40全体の動作を制御する。上記制御部41は、図3(b)に示すように、情報送信部41aなどとして機能する。
【0041】
情報送信部41aは、ナビゲーション部47のGPSセンサから移動体40の位置情報を取得し、地図情報作成装置30に送信する。また、情報送信部41aは、ナビゲーション部47の加速度センサ及びジャイロセンサ又は駆動部48に設けられた慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)から移動体40の角速度/加速度情報を取得し、これらの情報を地図情報作成装置30に送信する。
【0042】
記憶部45は、メモリやHDD、SSDなどで構成され、地図情報作成装置30から受信した更新情報や更新情報を用いて更新した道路地図情報などを記憶する。
【0043】
通信I/F部46は、NICやモデムなどで構成され、移動体40を通信ネットワークに接続し、地図情報作成装置30との通信を確立する。なお、地図情報作成装置30との通信は、VICS(Vehicle Information and Communication System、登録商標)を利用して行ってもよい。
【0044】
ナビゲーション部47は、操作部、表示部、スピーカ、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどを備え、移動体40を現在地から目的地まで誘導するナビゲーションのための制御を行う。このナビゲーション部47は、更新情報取得部47a、地図情報更新部47b、ナビゲーション制御部47cなどとして機能する。
【0045】
更新情報取得部47aは、地図情報作成装置30から送信される更新情報(記憶部45に記憶されている道路地図情報との差分の情報又は新たに作成された道路地図情報)を取得する。この更新情報は移動体通信ネットワークを介して取得してもよいが、更新情報のデータサイズが小さい場合は、VICS(登録商標)で使用されるFM(frequency modulation)多重放送や電波ビーコン、光ビーコンなどを用いて取得してもよい。
【0046】
地図情報更新部47bは、記憶部45に記憶されている道路地図情報と更新情報取得部47aが取得した更新情報とに基づいて(又は、更新情報取得部47aが取得した道路地図情報に基づいて)、道路地図情報を更新する。
【0047】
ナビゲーション制御部47cは、入力側に、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、操作部が接続され、車速パルスが入力されるようになっている。また、出力側に、表示部、スピーカが接続される。ナビゲーション制御部47cは、位置計算部を有しており、位置計算部は、GPSセンサが受信するGPS情報(軌道及び時刻を含む情報)に基づいて、現在の自車位置(絶対位置)を計算する(電波航法)。また、位置計算部は、車速パルスと、ジャイロセンサが検出する方位情報と、加速度センサが検出する加速度情報とに基づいて、自車位置(相対位置)を計算する(自律航法)。そして、地図情報更新部47bが更新した道路地図情報に基づいて、自車位置及びその周辺の地図の画像を表示部に表示する。その際、道路地図情報に埋め込まれている道路情報に基づいて、地図の画像に道路を識別可能に表示する。また、道路地図情報に埋め込まれている道路の高度情報に基づいて、地図の画像に表示される道路に高度を識別可能に表示する。例えば、道路近傍に勾配を数値で表示したり、勾配に応じて道路を立体的に表示したりする。また、ナビゲーション制御部47cは、自車位置から指定された目的地までのルート計算を行い、算出された推奨ルートに基づいて、推奨ルートの画像や交差点の拡大画像等の案内画像を表示部に表示すると共に、交差点の右左折案内等の案内音声をスピーカから出力する。
【0048】
駆動部48は、エンジン、エンジン用電子制御ユニット、トルクコンバータや無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)、ギヤ機構、車輪、慣性計測装置などで構成され、エンジンからの動力をトルクコンバータやCVT、ギヤ機構を介して車輪に出力して駆動する。上記エンジン用電子制御ユニットには、エンジンの状態を示す各種信号、イグニッションスイッチからのイグニッション信号、シフトレバーの操作位置を示すシフトポジション、アクセルペダルの踏み込み量を示すアクセル開度、ブレーキペダルの踏み込み量を示すブレーキペダルポジション、慣性計測装置からの各種情報(例えば、車速、加速度、車輪速)、自動運転の場合はナビゲーション制御部47cからのナビゲーション情報などが入力される。また、エンジン用電子制御ユニットからは、例えば、エンジンを駆動するための各種制御信号が出力される。このエンジン用電子制御ユニットは、必要に応じて、慣性計測装置から取得した移動体40本体の角速度/加速度情報を情報送信部41aに通知する。
【0049】
なお、図1乃至図3は、本実施例の地図情報作成システムの一例であり、各装置の構成や制御内容は適宜変更可能である。例えば、ナビゲーション部47は、道路地図情報に基づいてナビゲーションが可能な構成であればよい。また、上記ではエンジン自動車を前提にして駆動部48を説明したが、駆動部48は、移動体40を道路上で移動可能な構成であればよい。
【0050】
以下、上記構成の地図情報作成システムの概略動作について、図4の模式図を参照して説明する。図4(a)は第1サーバ10から取得した3次元点群情報の説明であり、3次元点群情報には所定間隔のポイント毎の緯度/経度/高度の情報が含まれる。また、図4(b)は、第2サーバ20から取得した2次元地図情報の説明であり、2次元地図情報には画素毎(又は数画素毎)の緯度/経度の情報が含まれる。図4(c)は、3次元点群情報と2次元地図情報とを合成した基本地図情報の説明であり、画素毎(又は数画素毎)の緯度/経度の情報とポイント毎の高度の情報とが含まれる。
【0051】
図4(d)は、図4(c)で作成した基本地図情報に、移動体40から取得した位置情報に基づいて道路情報を付加した道路地図情報の説明であり、移動体40の位置情報の移動軌跡を道路と判断することにより、実際に道路を撮影した画像を取得する手間を省くことができる。図4(e)は、図4(c)で作成した基本地図情報、又は、図4(d)で作成した道路地図情報に、移動体40から取得した位置情報及び角速度/加速度情報に基づいて算出した勾配情報とポイント毎の高度の情報と用いて道路の高度情報を付加した道路地図情報の説明であり、道路の部分のみ詳細な高度情報を設定することにより、ナビゲーションに必要/十分なデータサイズの小さい道路地図情報を簡便に作成することができる。
【0052】
次に、本実施例の地図情報作成装置30の動作について説明する。CPU32は、ROM33又は記憶部35に記憶した地図情報作成プログラムをRAM34に展開して実行することにより、図5乃至図8のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0053】
まず、制御部31(基本地図作成部31a)は、第1サーバ10から3次元点群情報を取得し(S100)、第2サーバ20から2次元地図情報を取得する(S110)。そして、制御部31(基本地図作成部31a)は、3次元点群情報と2次元地図情報とを合成して基本地図情報を作成する(S120)。図6は、このステップの詳細を示しており、まず、3次元点群情報から1点を選択する(S121)。次に、選択した点の緯度/経度に対応する2次元地図情報の位置を特定し(S122)、特定した位置に、選択した点の高度情報を埋め込む(S123)。次に、3次元点群情報の全ての点を選択したかを判断し(S124)、全ての点を選択するまでS121に戻って同様の処理を繰り返す。
【0054】
図5に戻って、制御部31(道路地図作成部31b)は、移動体40からの情報の受信を監視し(S130)、移動体40から情報を受信したら、受信した情報のヘッダ等の記述を参照して、その情報が位置情報であるか、位置情報及び角速度/加速度情報であるかを判断する(S140)。
【0055】
受信した情報が位置情報の場合は、制御部31(道路地図作成部31b)は、S120で作成した基本地図情報に、位置情報に基づく道路情報を付加して道路地図情報を作成する(S150)。図7は、このステップの詳細を示しており、まず、道路を移動する移動体40から位置情報(緯度及び経度)を取得し(S151)、その位置情報の移動軌跡に対応する基本地図情報(又は既に作成した道路地図情報)の位置を特定する(S152)。次に、特定した位置が既に道路として設定されているかを判断し(S153)、道路として設定されていない場合は、特定した位置に対してフラグを立てるなどして道路に設定する(S154)。その後、取得した全ての位置情報について処理を行ったかを判断し(S155)、未処理の位置情報があればS152に戻って同様の処理を繰り返し、全ての位置情報の処理が終了したら、フラグを立てた位置に道路情報を埋め込むなどして、設定した道路を基本地図情報(又は既に作成した道路地図情報)に反映させる(S156)。
【0056】
再び図5に戻って、受信した情報が位置情報及び角速度/加速度情報の場合は、制御部31(道路地図作成部31b)は、位置情報及び角速度/加速度情報から勾配情報を算出し、ポイント毎の高度の情報と道路の勾配情報とに基づいて、道路の高度情報を算出する(S160)。勾配情報を算出に際して、例えば、上述したように、ジャイロセンサの検出結果を積分して絶対姿勢の推定値を算出し、算出した推定絶対姿勢に基づいて、移動体40を基準とした移動体座標系と基準座標系との座標変換行列を算出し、算出した座標変換行列を用いて、加速度センサの検出結果を基準座標系に変換すると共に重力加速度の成分を減算して基準座標系における移動体の移動ベクトルを算出し、移動ベクトルを用いて現在位置を測位することにより道路の勾配情報を算出する。又は、GPSセンサが受信したGPS情報と、ジャイロセンサ及び加速度センサが出力したデータとをカルマンフィルタにより処理することで速度を算出し、算出された速度の水平/垂直方向の速度を積算し、水平/垂直方向相対距離を算出し、算出された水平方向相対距離が所定の水平方向距離になる区間ごとに、算出された水平方向相対距離と、算出された垂直方向相対距離とに基づいて、道路の勾配情報を算出する。
【0057】
そして、制御部31(道路地図作成部31b)は、算出した道路の高度情報を基本地図又はS150で作成した道路地図情報の道路位置に付加して道路地図情報を作成/更新する(S170)。図8は、このステップの詳細を示しており、まず、道路の位置情報及び高度情報を取得し(S171)、道路の位置に対応する基本地図情報又は道路地図情報の位置を特定する(S172)。次に、特定した位置に既に高度が設定されているかを判断し(S173)、高度が設定されていない場合は、特定した位置に高度情報を埋め込む(S174)。その後、道路の全ての位置情報について処理を行ったかを判断し(S175)、全ての位置情報の処理の完了するまでS172に戻って同様の処理を繰り返す。
【0058】
再び図5に戻って、制御部31(更新情報送信部31c)は、更新情報の送信タイミングであるかを判断する(S180)。例えば、道路情報や道路の高度情報が付加される度に更新情報を送信する場合は、道路情報や道路の高度情報が付加されたら送信タイミングになったと判断し、ある程度、道路情報や道路の高度情報が蓄積されてから更新情報を送信する場合は、所定回数分の道路情報や道路の高度情報が付加されたら送信タイミングになったと判断する。そして、送信タイミングになったら、制御部31(更新情報送信部31c)は、移動体40に更新情報(前回作成した道路地図情報との差分又は今回作成した道路地図情報)を送信する(S190)。
【0059】
以上説明したように、基本地図情報として、少なくとも高度に関しては情報量の少ないデータを利用することにより、基本地図情報を簡便に作成することができ、コストを削減することができる。また、道路を移動する移動体40から取得した位置情報を利用することにより、道路が適切に更新された道路地図情報を作成することができる。更に、道路を移動する移動体40から取得した角速度/加速度情報に基づいて道路の勾配情報を算出し、道路の勾配情報とポイント毎の高度の情報とを用いて道路の高度情報を算出することにより、ナビゲーションに必要な道路部分に関して詳細な情報を提供することができ、道路地図情報全体のデータサイズを縮小することができる。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明の第2の実施例に係る地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、本実施例の白線抽出処理を説明する画像の一例であり、図10は、本実施例の地図情報作成装置の動作を示すフローチャート図である。
【0061】
前記した第1の実施例では、基本地図情報に、ナビゲーション装置が利用できるように道路情報を付加したが、道路が複数のレーンに分割されている場合、ナビゲーションを正確に行うためには、レーンの情報も必要である。特に、自動運転を行う場合は、車載カメラでレーンを認識して移動体40の位置を制御するため、レーンの情報は不可欠である。しかしながら、悪天候時や夜間、白線がかすれて見え難い場合などの悪条件下では、車載カメラでは白線を十分に認識できないケースがある。また、従来のナビゲーション用の道路地図情報には、道路の中心線の情報や交差点での車線数の情報しかないため、適切にナビゲーションを行うことができない。
【0062】
すべての道路で車線数、車線幅、交差点での車線の規制(右左折直進)があると車載カメラによる白線認識に非常に役に立つことから、本実施例では、道路地図情報を作成する際に、基本地図情報を解析して白線を抽出し、抽出した白線で区切られるレーンの情報も道路地図情報に付加するようにする。
【0063】
その場合、地図情報作成装置30の基本構成は第1の実施例と同様であるが、制御部31の道路地図作成部31bは、基本地図情報に道路情報を付加した道路地図情報を作成する際に、基本地図情報に対してグレースケール処理、シャープネス処理、車線エリア推定処理、白線抽出処理を実行する。
【0064】
図9は、この白線抽出処理を説明する画像の一例であり、まず、図9(a)に示すように、基本地図情報のカラー画像をグレースケールに変換する。次に、図9(b)に示すように、エッジを強調するシャープネス処理を実施し、白線領域を検出しやすくする。次に、図9(c)に示すように、移動体40の移動軌跡(図の矢印付きの太い実線)から任意のドット数幅の車線エリアを推定する。その後、図9(d)に示すように、車線エリア(図の斜線のハッチング領域)内の白い線の画像を白線として抽出し、白線で区切られたレーンを特定する。
【0065】
以下、本実施例の地図情報作成装置30の動作について説明する。CPU32は、ROM33又は記憶部35に記憶した地図情報作成プログラムをRAM34に展開して実行することにより、図10のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、第1の実施例の図5のS100〜S140、及び、S160〜S190は同様であるため説明を省略し、S150の制御部31(道路地図作成部31b)が行う道路情報の付加処理のみ説明する。
【0066】
まず、道路を移動する移動体40から位置情報(緯度及び経度)を取得し(S201)、その位置情報の移動軌跡に対応する基本地図情報の位置を特定する(S202)。次に、特定した位置が既に道路として設定されているかを判断し(S203)、道路として設定されていない場合は、特定した位置に対してフラグを立てるなどして道路に設定する(S204)。
【0067】
次に、設定された道路に対して白線が抽出済みであるかを判断し(S205)、白線が未抽出であれば、S204で設定した道路近傍の画像をグレースケールに変換し(S206)、シャープネス処理を実施する(S207)。そして、位置情報の移動軌跡を用い、移動軌跡から任意のドット数幅の車線エリアを推定し(S208)、推定した車線エリア内の画像から白線を抽出し、白線で区切られたレーンを特定する(S209)。
【0068】
その後、全ての位置情報について処理を行ったかを判断し(S210)、未処理の位置情報があればS202に戻って同様の処理を繰り返し、全ての位置情報の処理が終了したら、設定した道路及び特定したレーンを基本地図情報に反映させる(S211)。これにより、実際の道路が登録され、かつ、レーンが特定された道路地図情報を作成する。
【0069】
このように、ナビゲーション装置が利用する道路地図情報にレーン情報を付加することにより、悪条件下でもレーンに沿って運転を行うことができる。また、自動運転において、車載カメラで撮影した画像から白線を抽出する処理をリアルタイムで実施する必要がなくなる(又は車載カメラで撮影した画像から白線を抽出する処理が容易になる)ため、通常のコンピュータ装置に搭載されるCPUよりも処理能力が低いプロセッサでも、リアルタイムに近い処理が可能となり、自動運転のシステム構成を簡略化することができる。また、白線の誤認識率を減らすことができるため、自動運転の安全性を向上させることができる。
【実施例3】
【0070】
次に、本発明の第3の実施例に係る地図情報作成装置、地図情報作成プログラム及び地図情報作成方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、本実施例の地図情報作成システムの構成を示す模式図である。
【0071】
前記した第1及び第2の実施例では、移動体40として自動車を前提にして説明したが、近年の携帯電話やスマートフォン、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末はGPSセンサや加速度センサなどを備えており、また、ナビゲーション機能もアプリケーションをダウンロードすることにより実現可能であるため、携帯端末を利用して道路地図情報を作成することもできる。
【0072】
その場合、地図情報作成システムの構成は図11に示すようになり、情報送信部41aとして機能する携帯端末50が、位置情報、角速度/加速度情報を地図情報作成装置30に送信し、ナビゲーション部47として機能する携帯端末50が、地図情報作成装置30から道路地図情報を取得してナビゲーションに使用する。又は、図12に示すように、情報送信部41aとして機能する携帯端末50が、位置情報、角速度/加速度情報を地図情報作成装置30に送信し、自動車などの移動体40が、地図情報作成装置30から道路地図情報を取得してナビゲーションに使用する。
【0073】
このように、携帯端末50を利用して道路地図情報を作成することにより、大量の位置情報、角速度/加速度情報を容易に収集することができ、迅速に道路地図情報を作成することができる。また、携帯端末50は世界中に存在することから、世界中の道路地図情報を作成することができる。また、携帯端末50から受信する位置情報の内、予め定めた速度以上で移動している(すなわち、移動する自動車内にあると推定される)携帯端末50からの位置情報を利用することにより、自動車が走行可能な道路や高速道路を道路地図情報に反映させることができる。
【0074】
また、予め定めた速度以下で移動している(すなわち、歩行している人が使用していると推定される)携帯端末50からの位置情報を利用することにより、登山道などの人が通行する道路を道路地図情報に反映させることができる。また、予め定めた速度範囲(例えば、時速5〜20km)で移動している(すなわち、自転車に乗っている人が使用していると推定される)携帯端末50からの位置情報を利用することにより、サイクリングロードなどの自転車が通行する道路を道路地図情報に反映させることができる。
【0075】
また、本地図情報作成システムが提供するサービスを利用する参加者は、無料で道路地図情報を利用可能にすることにより、多数の参加者から送信される情報を利用することができ、基本地図上の道路情報の認識精度や位置精度を高めることができる。また、GPSセンサや加速度センサなどから取得した情報を地図情報作成装置30に送信するためのアプリケーションを有料で提供することにより、ビジネスとしてサービスを提供することができる。
【実施例4】
【0076】
次に、本発明の第4の実施例に係る地図情報作成方法について、図13乃至図15を参照して説明する。図13は、本実施例の地図情報作成システムの構成を示す模式図であり、図14は、本実施例の飛行体の構成を示すブロック図である。また、図15は、本実施例の飛行体の動作を示すフローチャート図である。なお、本実施例は、地図情報作成装置30が作成した道路地図情報を利用する場合の実施例である。
【0077】
近年、ドローン(小型無人機)を利用した空撮(空中撮影)が盛んに行われている。現在、ドローンは一定の限られたエリアでの飛行のみが許可されているが、今後、ドローンの物流への応用や監視機としての応用が行われ、日常的にドローンが上空を飛行するようなった時に、互い衝突を回避する技術が必要となるだけでなく、3次元空路マップ(ドローンが通過することできる空間情報)が必要となることが想定される。3次元空路マップがあれば、ある一定エリア内に存在するドローンの、現在の状態(停止・飛んでいる位置)を把握し、飛ぶべき方向へ誘導する事で衝突・墜落事故などを防ぐことが可能となる。
【0078】
しかしながら、3次元空路マップを作成するのは容易ではないことから、本実施例では、地図情報作成装置30が作成する道路地図情報を利用して、ドローンが安全に飛行できるようにする。その際、GPSの性能は、周辺の建物の状況や元々の精度の問題により、数十センチから数メートルの範囲で、実際の飛行場所とのズレが生じるため、自動飛行の際に、ドローンが自身の位置を正確に認識することができない。
【0079】
この問題に対して、ドローンがカメラを備えている場合、カメラで直下の地上を撮像して空撮画像を取得し、自身のおよその位置をGPSで判断し、自身の位置周辺の道路地図情報の画像と空撮画像とを比較することにより、自身の位置を正確に判断することができる。そして、道路地図情報を参照して、現在の自身の位置に一番近い道路上空に移動し、その道路位置の高度情報を参考にしながら飛行する。
【0080】
この場合、地図情報作成システムの構成は図13に示すようになり、移動体40(又は携帯端末50)が、位置情報、角速度/加速度情報を地図情報作成装置30に送信し、ドローン(小型無人機)など飛行体60が、飛行前又は飛行中に地図情報作成装置30から道路地図情報を取得してナビゲーションに使用する。
【0081】
上記飛行体60は、図14(a)に示すように、制御部61と記憶部65と通信I/F部66とナビゲーション部67と駆動部68と撮影部69などで構成される。
【0082】
制御部61は、マイクロプロセッサ等により構成されるCPU62と、ROM63やRAM64などのメモリと、で構成され、CPU62は、ROM63や記憶部65から制御プログラムを呼び出し、RAM64に展開して実行することにより、飛行体60全体の動作を制御する。
【0083】
記憶部65は、メモリなどで構成され、地図情報作成装置30から受信した道路地図情報などを記憶する。
【0084】
通信I/F部66は、NICやモデムなどで構成され、飛行体60を通信ネットワークに接続し、地図情報作成装置30との通信を確立する。
【0085】
ナビゲーション部67は、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどを備え、飛行体60を現在地から目的地まで誘導するナビゲーションのための制御を行う。このナビゲーション部67は、更新情報取得部67a、地図情報更新部67b、ナビゲーション制御部67cなどで構成される。
【0086】
更新情報取得部67aは、飛行体60の飛行前又は飛行中に、地図情報作成装置30から送信される更新情報(記憶部65に記憶されている道路地図情報との差分の情報又は新たに作成された道路地図情報)を取得する。
【0087】
地図情報更新部67bは、飛行体60の飛行前又は飛行中に、記憶部65に記憶されている道路地図情報と更新情報取得部67aが取得した更新情報とに基づいて(又は、更新情報取得部67aが取得した道路地図情報に基づいて)、道路地図情報を更新する。
【0088】
ナビゲーション制御部67cは、入力側に、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが接続される。また、ナビゲーション制御部47cは、位置計算部を有しており、位置計算部は、GPSセンサが受信するGPS情報(軌道及び時刻を含む情報)に基づいて、現在の飛行体60の位置(絶対位置)を算出する。次に、撮影部69が直下の地上を撮像した空撮画像を取得すると共に、道路地図情報から上記で算出した位置近傍の画像を抽出し、抽出した画像と空撮画像とを比較してパターンマッチングを行うことにより、飛行体60の位置を修正する。次に、道路地図情報から、上記で修正した位置に最も近い道路を特定し、飛行体60が特定した道路上空を飛行するようにナビゲーションを行う。
【0089】
なお、上記では、飛行体60内部で更新情報の受信及び道路地図情報の更新を行う構成としたが、飛行体60が飛行前に更新済みの道路地図情報を取得する場合は、更新情報取得部67a、地図情報更新部67bを省略することができる。また、道路地図情報をUSB(Universal Serial Bus)メモリなどを介して取得する場合は、通信I/F部66も省略することができる。
【0090】
駆動部68は、モータ、モータ用電子制御ユニット、バッテリー、プロペラ、慣性計測装置などで構成され、バッテリーで駆動されるモータからの動力をプロペラに出力して駆動する。上記モータ用電子制御ユニットには、ナビゲーション制御部67cのナビゲーション情報、モータの状態を示す各種信号、プロペラの回転数、慣性計測装置からの各種情報などが入力される。
【0091】
撮影部69は、CCD(Charge Coupled Devices)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどであり、地上(好ましくは、飛行体60の直下の地上)を空撮し、空撮画像をナビゲーション制御部67cに出力する。
【0092】
以下、本実施例の飛行体60の動作について、図15のフローチャート図を参照して説明する。なお、道路地図情報は予め地図情報作成装置30から取得して記憶部65などに記憶しているものとする。
【0093】
まず、ナビゲーション制御部67cは、撮影部69が直下の地上を空撮した空撮画像を取得する(S301)。次に、ナビゲーション制御部67cは、GPSセンサが受信するGPS情報に基づいて、現在の飛行体60の位置を算出する(S302)。次に、ナビゲーション制御部67cは、予め記憶部65などに記憶している道路地図情報の中から、S302で算出した位置近傍の画像を抽出する(S303)。そして、ナビゲーション制御部67cは、S301で取得した空撮画像とS303で抽出した画像とを比較してパターンマッチングを行い(S304)、パターンマッチングの結果に従って飛行体60の位置を修正する(S305)。
【0094】
次に、ナビゲーション制御部67cは、道路地図情報から修正した位置に最も近い道路を特定し(S306)、駆動部68を制御して、飛行体60を特定した道路上空に移動させる(S307)。次に、ナビゲーション制御部67cは、道路地図情報に埋め込まれた道路の高度情報を取得し、取得した高度情報に基づいて高度を制御しながら飛行体60を道路に沿って飛行させる(S308)。
【0095】
このように、道路地図情報に道路の高度情報を埋め込むことにより、道路地図情報を道路上空の3次元空路マップとして利用することができるため、ドローンなどの飛行体60の衝突を未然に回避することができ、飛行体60を所望の場所に安全に誘導することができる。
【0096】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、地図情報作成システムの各装置の構成や制御は適宜変更可能である。
【0097】
例えば、第1及び第2の実施例では、移動体40から位置情報又は位置情報及び角速度/加速度情報を取得し、第3の実施例では、携帯端末50から位置情報又は位置情報及び角速度/加速度情報を取得したが、移動体40及び携帯端末50の双方から位置情報又は位置情報及び角速度/加速度情報を取得する構成としてもよい。
【0098】
また、第2の実施例では、3次元点群情報と2次元地図情報とを用いて作成した基本地図情報から白線を抽出し、抽出した白線で区切られるレーンの情報を道路地図情報に付加したが、2次元地図情報から白線を抽出し、抽出した白線で区切られるレーンの情報を道路地図情報に付加することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、ナビゲーションに使用される道路地図情報を作成する地図情報作成装置、当該地図情報作成装置で動作する地図情報作成プログラム、当該地図情報作成プログラムを記録した記録媒体及び地図情報作成装置を含むシステムにおける地図情報作成方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 第1サーバ
20 第2サーバ
30 地図情報作成装置
31 制御部
31a 基本地図作成部
31b 道路地図作成部
31c 更新情報送信部
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 通信I/F部
37 表示部
38 操作部
40 移動体
41 制御部
41a 情報送信部
42 CPU
43 ROM
44 RAM
45 記憶部
46 通信I/F部
47 ナビゲーション部
47a 更新情報取得部
47b 地図情報更新部
47c ナビゲーション制御部
48 駆動部
50 携帯端末
60 飛行体
61 制御部
62 CPU
63 ROM
64 RAM
65 記憶部
66 通信I/F部
67 ナビゲーション部
67a 更新情報取得部
67b 地図情報更新部
67c ナビゲーション制御部
68 駆動部
69 撮影部
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