(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0018】
[顧客属性推定システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る顧客属性推定システム及びその通信先の構成を示すブロック図である。本実施の形態の顧客属性推定システムは、
図1における顧客属性推定装置(以下、単に「推定装置」という)1により構成されている。推定装置1は、複数の顧客に対して各種のサービス・商品を提供する事業者側に設けられる装置であり、
図1に示すとおり、その顧客側で用いられる複数の顧客端末2,2,…と通信可能に接続されている。その他にも、推定装置1は、不動産物件の賃貸・売買に係る広告情報を蓄積する不動産広告データベース(DB)3と通信可能に接続されている。
【0019】
顧客端末2,2,…は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話機、タブレット端末及びPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機能を有する装置等で構成される。推定装置1は、これらの顧客端末2,2,…とインターネット等の通信ネットワーク100を介して通信を行う。
【0020】
なお、不動産広告DB3としては、現在普及している「レインズ」(登録商標)等の不動産流通情報システムを利用することが可能である。
【0021】
本実施の形態では、上記のとおり推定装置1と不動産広告DB3とが別装置となっているが、推定装置1が不動産広告DB3を有していてもよい。
【0022】
[顧客属性推定装置の構成]
以下、上述した推定装置1の詳細な構成について説明する。
図2は、実施の形態の推定装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示すとおり、コンピュータ(推定装置)1は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、通信インタフェース(I/F)14、及びディスプレイ15を備えており、これらのCPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、通信I/F14、及びディスプレイ15は、バス16によって接続されている。
【0023】
CPU10は、RAM12にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の推定装置1として機能することになる。
【0024】
ROM11は、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU10にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0025】
RAM12は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM12は、ハードディスク13に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU10が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0026】
ハードディスク13には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU10に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク13には、顧客に関する顧客情報が格納される顧客情報データベース(DB)13Aと、不動産広告DB3から取得した不動産物件の広告情報に基づいて生成される広告掲載情報が格納される広告掲載情報データベース(DB)13Bと、不動産物件の属性と居住者の属性とが対応付けられた属性対応情報が格納される属性対応情報データベース(DB)13Cとが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0027】
さらに、ハードディスク13には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
通信I/F14は、通信ネットワーク100を介して推定装置1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。推定装置1は、この通信I/F14を介して、顧客端末2,2,…及び不動産広告DB3との間で各種のデータの送受信を行う。
【0029】
ディスプレイ15は、LCD等で構成される出力装置であり、CPU10から与えられた画像データに応じた映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
【0030】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベースの詳細について説明する。
(A)顧客情報DB13A
図3は、本発明の実施の形態に係る推定装置1に設けられている顧客情報DB13Aのレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すように、顧客情報DB13Aは、顧客を識別するための顧客IDが格納される顧客IDフィールド101、顧客の氏名又は名称が格納される氏名フィールド102、顧客の住所の郵便番号が格納される郵便番号フィールド103、顧客の住所が格納される住所フィールド104、及び顧客の住所以外の連絡先が格納される連絡先フィールド105を少なくとも有している。
【0031】
上記の連絡先フィールド105には、例えば、固定電話・携帯電話の番号、電子メールアドレス、及びSNS(Social Network Service)のアカウントID等が、連絡先として格納されている。
【0032】
上記の顧客情報DB13Aに格納される顧客情報は、顧客から提供された情報に基づいて生成される。また、顧客からの指示に基づいて適宜更新される。
【0033】
(B)広告掲載情報DB13B
図4は、本発明の実施の形態に係る推定装置1に設けられている広告掲載情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。
図4に示すように、広告掲載情報DB13Bは、各不動産物件の広告を識別するための広告IDが格納される広告IDフィールド201、当該物件が賃貸及び売買の何れに係るものであるのかを示す物件種類が格納される物件種類フィールド202、当該物件の郵便番号が格納される郵便番号フィールド203、当該物件の住所が格納される住所フィールド204、当該広告の掲載が開始された時期(以下「掲載開始時期」という)が格納される掲載開始フィールド205、同じく終了した時期(以下「掲載終了時期」という)が格納される掲載終了フィールド206、当該広告の広告主が格納される広告主フィールド207、その広告主の連絡先が格納される連絡先フィールド208、当該物件の価値を示す情報が格納される価値フィールド209、当該物件の間取りを示す情報が格納される間取りフィールド210、当該物件の平米数が格納される平米数フィールド211、及び当該物件の構造の種別(木造、RC等)が格納される構造フィールド212を少なくとも有している。
【0034】
上記の広告掲載情報は、推定装置1が不動産広告DB3にアクセスして取得した情報により生成される。そのアクセスが適宜のタイミングで繰り返し行われることにより、広告掲載情報DB13Bの内容は最新の状態に保たれている。なお、広告掲載情報DB13Bに格納されている各種情報の一部が不動産広告DB3以外から取得された情報であってもよい。
【0035】
本実施の形態において、価値フィールド209には、不動産物件の賃料又は売買価格が格納されている。但し、これら以外にも、価値フィールド209に格納される不動産物件の価値を示す情報として、管理費、築年数、及び駅からの距離等を用いてもよい。また、これらの各情報を組み合わせることによって、不動産物件の価値を規定するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態において、間取りフィールド210には、不動産物件の間取りを直接示す情報が格納されているが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、間取りフィールド210には床面積が格納されており、推定装置1がその床面積に基づいて間取りを推定するようにしてもよい(例えば、床面積が100平法メートルの場合は3LDKと推定する等)。
【0037】
なお、掲載終了フィールド206に掲載終了時期が格納されているものは、過去の広告に関する広告掲載情報である。このように、本実施の形態では、現在有効な広告のみではなく、過去の広告に関する広告掲載情報も使用する。これによって、より多くの不動産物件を処理対象とすることが可能になる。
【0038】
(C)属性対応情報DB13C
上述したように、属性対応情報DB13Cには、不動産物件の属性と居住者の属性とが対応付けられた属性対応情報が格納される。この属性対応情報DB13Cは、複数のテーブルで構成されている。以下、各テーブルの例について図を参照しながら説明する。
【0039】
図5Aは、賃料・収入レベルテーブルの一例を示す図である。この賃料・収入レベルテーブルは、賃料が0万円以上3万円未満の場合は収入レベルが100万円等のように、不動産物件の賃料と居住者の収入レベルとの対応を示している。この賃料・収入レベルテーブルの他にも、属性対応情報DB13Cには、不動産物件の売買価格と居住者の収入レベルとの対応を示す売買価格・収入レベルテーブル等が設けられている。
【0040】
広告掲載情報DB13Bの価値フィールド209に格納されている情報と、上記の賃料・収入レベルテーブル及び売買価格・収入レベルテーブル等とを照合することにより、各顧客の富裕度を得ることができる。ここで、富裕度とは、顧客の富裕性の度合いを示す値であり、収入レベルはその一指標である。
【0041】
図5Bは、間取り・家族構成テーブルの一例を示す図である。この間取り・家族構成テーブルは、間取りが1K又は1DKの場合は家族構成が独身等のように、不動産物件の間取りと居住者の家族構成との対応を示している。
【0042】
広告掲載情報DB13Bの間取りフィールド210に格納されている情報と、上記の間取り・家族構成テーブルとを照合することにより、各顧客の家族構成を推定することができる。
【0043】
図5Cは、間取り・連絡手段テーブルの一例を示す図である。この間取り・連絡手段テーブルは、間取りが1K又は1DKの場合は連絡手段が電子メール,SNS等のように、不動産物件の間取りと居住者に連絡する場合に適した連絡手段(以下、「好適な連絡手段」という)との対応を示している。この連絡手段は、居住者の数が多いと考えられる間取りに居住する顧客に対しては郵送又は固定電話等が、居住者の数が少ないと考えられる間取りに居住する顧客に対しては電子メール又は携帯電話等がそれぞれ適している等の推測に基づいて、規定されている。
【0044】
広告掲載情報DB13Bの間取りフィールド210に格納されている情報と、上記の間取り・連絡手段テーブルとを照合することにより、各顧客について好適な連絡手段を推定することができる。
【0045】
図5Dは、平米数・信用リスクテーブルの一例を示す図である。この平米数・信用リスクテーブルは、平米数が20平米未満の場合は信用リスクが1(値が低いほどリスクが高いことを示している)等のように、不動産物件の平米数と居住者の信用リスク(債務不履行リスク)との対応を示している。この信用リスクは、平米数が大きい住居の顧客はローン等が債務不履行になるリスクが低く、平米数が小さい住居の顧客はそのリスクが高い等の推測に基づいて、規定されている。
【0046】
広告掲載情報DB13Bの平米数フィールド211に格納されている情報と、上記の平米数・信用リスクテーブルとを照合することにより、各顧客の信用リスクを推定することができる。
【0047】
図5Eは、売買価格・不正リスクテーブルの一例を示す図である。この売買価格・不正リスクテーブルは、売買価格が1000万円未満の場合は不正リスクが1(値が低いほどリスクが高いことを示している)等のように、不動産物件の売買価格と居住者の不正リスクとの対応を示している。この不正リスクは、売買価格が高い住居の顧客は商品購入等の際に不正な行為をとりにくく、売買価格が低い住居の顧客はそのような不正な行為をとりやすい等の推測に基づいて、規定されている。また、売買価格が相場から離れている場合には不正リスクを高くすること等も想定される。
【0048】
広告掲載情報DB13Bの価値フィールド209に格納されている情報と、上記の売買価格・不正リスクテーブルとを照合することにより、各顧客の不正リスクを推定することができる。
【0049】
上述したように、属性対応情報DB13Cにおいて、不動産物件の各種属性と居住者の各種属性とが対応付けられている。不動産物件の属性としては、上記の賃料、売買価格、間取り、及び平米数の他にも、構造、管理費、築年数、駅からの距離等を挙げることができる。また、居住者の属性としては、上記の収入レベル(富裕度の一指標)、家族構成、連絡手段、信用リスク、及び不正リスクの他にも、年齢、性別、就業状況、保有資産レベル(富裕度の一指標)等を挙げることができる。例えば、管理費が高い住居の顧客は仕事を有している等のように、不動産物件の管理費と居住者の就業状況との対応を示すテーブルが属性対応情報DB13Cに設けられていてもよい。なお、このように不動産物件の属性として管理費等を用いる場合、その管理費等の情報が広告掲載情報DB13Bに格納されている必要がある。
【0050】
[顧客属性推定システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の顧客属性推定システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。本実施の形態の顧客属性推定システムにおいて実行される主な処理には、(1)顧客の属性を推定するための顧客属性推定処理、及び(2)顧客に対して各種の情報を提供するための情報提供処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0051】
(1)顧客属性推定処理
図6は、本発明の実施の形態の推定装置1によって実行される顧客属性推定処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示すとおり、推定装置1はまず、顧客情報DB13Aを参照して処理対象となる顧客情報を特定する(S101)。次に、推定装置1は、特定した顧客情報から顧客の郵便番号及び住所を取得し(S102)、その郵便番号及び住所をキーとして広告掲載情報DBから広告掲載情報を検索する(S103)。なお、ここでは、郵便番号及び住所の両情報で検索を行っているが、住所のみを用いて検索を行うようにしてもよい。
【0052】
上記のステップS103による検索の結果、広告掲載情報が検索されなかった場合、すなわち、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在しなかった場合(S104でNO)、推定装置1は、後述するステップS110へ進む。
【0053】
他方、上記のステップS103による検索で広告掲載情報が検索された場合、すなわち、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在している場合(S104でYES)、推定装置1は、その広告掲載情報に含まれている当該不動産物件の属性を特定する(S105)。本実施の形態の場合、広告掲載情報DB13Bの価値フィールド209、間取りフィールド210、平米数フィールド211、及び構造フィールド212に格納されている各属性が特定されることになる。
【0054】
次に、推定装置1は、特定した不動産物件の属性に基づいて、属性対応情報DB13Cから属性対応情報を検索する(S106)。より具体的に説明すると、推定装置1は、属性対応情報DB13Cに設けられている各テーブルを参照し、ステップS105にて特定した不動産物件の属性を含む属性対応情報を抽出する。そして、推定装置1は、その抽出した属性対応情報に示されている居住者の属性を、顧客の属性として特定する(S107)。例えば、ステップS105において不動産物件の属性として間取りが特定された場合、推定装置1は、属性対応情報DB13Cにおける間取り・家族構成テーブル及び間取り・連絡手段テーブルにて当該間取りと対応付けられている家族構成及び連絡手段を、顧客の属性として特定する。このステップS107により、顧客の属性の推定がなされる。
【0055】
次に、推定装置1は、ステップS107において特定した顧客の属性を含む顧客属性推定情報を生成し(S108)、その顧客属性推定情報を含む顧客属性表示画面をディスプレイ15に出力する(S109)。
【0056】
その後、推定装置1は、すべての顧客情報について処理を行ったか否かを判定し(S110)、まだ処理していない顧客情報が存在すると判定した場合(S110でNO)、ステップS101に戻ってそれ以降の処理を実行する。他方、すべての顧客情報について処理を行ったと判定した場合(S110でYES)、推定装置1は顧客属性推定処理を終了させる。
【0057】
図7は、推定装置1のディスプレイ15に表示される顧客属性表示画面の一例を示す図である。
図7に示すとおり、顧客属性表示画面1001には、顧客を特定するための顧客ID及び氏名、並びにその顧客について顧客情報にて規定されている属性(住所、電話番号、及び電子メール等)の他、ステップS107において特定された顧客の属性、すなわち推定装置1によって推定された顧客の属性が表示されている。この
図7に示す例では、そのような推定属性として、収入レベル、家族構成、好適な連絡手段、及び信用リスクが表示されており、不正リスクについては特定できなかったために「不明」と表示されている。
【0058】
事業者は、顧客属性表示画面1001を参照することにより、推定された顧客の属性を把握することができる。これらの属性は、事業者において実施されるマーケティング及びリスク管理等に活用することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では属性対応情報DB13Cを用いて顧客の属性を推定しているが、属性対応情報DB13Cを用いることなく顧客の属性を推定することも可能である。例えば、広告掲載情報DB13Bに格納されている掲載開始時期及び掲載終了時期を用いることにより、居住年数及び転居予定の有無等の顧客の属性を推定することができる。より具体的に説明すると、推定装置1は、掲載終了時期から所定期間後(例えば1ヵ月後等)に顧客は現住所に居住を開始したものと判断して、顧客の居住年数を推定することができる。また、推定装置1は、広告掲載情報に掲載開始時期のみしか格納されておらず掲載終了時期が格納されていない場合、顧客は転居予定であると推定することができる。
【0060】
(2)情報提供処理
推定装置1は、上述した顧客属性推定処理により推定された顧客の属性を用いて、次の情報提供処理を実行する。
図8は、推定装置1によって実行される情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図8に示すとおり、推定装置1はまず、顧客情報DB13Aを参照して処理対象となる顧客情報を特定する(S201)。
【0061】
次に、推定装置1は、上記の顧客属性推定処理によって推定された顧客の収入レベル及び家族構成に応じて定められているサービス・商品に関する広告情報を、顧客に対して提供する情報として特定する(S202)。より具体的には、推定装置1は、収入レベルに応じて定められているサービス・商品(例えば、収入レベルが高い場合は高額なサービス・商品、低い場合は低額なサービス・商品等)に関する広告情報、及び家族構成に応じて定められているサービス・商品(例えば、家族構成が独身である場合は独身向けのサービス・商品、子供がいる場合は子供向けのサービス・商品等)に関する広告情報をハードディスク13に記憶しており、その広告情報の中から、推定された収入レベル及び家族構成に対応したものを特定する。
【0062】
上記のとおり、本実施の形態では、顧客の収入レベル及び家族構成の両方に基づいて広告情報が特定されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、いずれか一方のみに基づいて広告情報が生成されてもよい。
【0063】
次に、推定装置1は、上記の顧客属性推定処理によって推定された好適な連絡手段を特定し(S203)、その連絡手段を用いて、ステップS202にて特定した広告情報を顧客に対して提供する(S204)。例えば、好適な連絡手段として電子メールが特定された場合、推定装置1は、広告情報を参照するためのURLを、顧客情報に含まれている電子メールアドレス宛に電子メールにて送信する。同じくSNSが特定された場合であれば、推定装置1は、顧客情報に含まれているSNSのアカウント宛に当該URLを送信する。各顧客は、このようにして送信されたURLに対して顧客端末2を用いてアクセスすることにより、自身に適した広告情報を得ることができる。
【0064】
また、好適な連絡手段として固定電話又は携帯電話が特定された場合、推定装置1は、顧客情報に含まれている電話番号宛に連絡する旨の情報をディスプレイ15上に出力する。この情報にしたがって、オペレータが顧客に対して広告情報を電話にて伝えることにより、広告情報の提供が完了する。その他にも、好適な連絡手段として郵送が特定された場合であれば、想定装置1は顧客情報に含まれている住所宛に連絡する旨の情報をディスプレイ15上に出力する。この情報にしたがって、オペレータが顧客に対して広告情報が掲載された資料を郵送することにより、広告情報の提供が完了する。
【0065】
上述したように、本実施の形態の場合、顧客情報及び不動産広告情報を利用することによって、各顧客の属性を推定することができる。この顧客情報は、顧客の住所を含んでいるものであれば、どの業界の顧客についての顧客情報であってもよい。そのため、本実施の形態によれば、種々の業界における顧客の属性を取得することができる。
【0066】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態において、推定装置1は、不動産物件の広告情報を用いて各物件の属性を取得しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、不動産の各種管理を行うためのそれ以外の情報を用いて各物件の属性を取得するようにしてもよい。例えば、各不動産物件が空室であるか否かを示す不動産空室情報を用いて、その間取り及び平米数等の属性を取得するようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態では、推定装置1が適宜のタイミングで繰り返し不動産広告DB3にアクセスして広告に関する情報を取得しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、推定装置1は、顧客属性推定処理を実行する都度、不動産広告DB3にアクセスして広告に関する情報を取得するようにしてもよい。その場合、処理対象となっている顧客に係る不動産物件の広告に関する情報のみを取得してもよく、不特定多数の不動産物件の広告に関する情報を取得しても構わない。
【0068】
また、上記の実施の形態では、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在しなかった場合、当該顧客の属性の推定を行っていないが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、顧客の住所と同一の住所については広告掲載情報が登録されていなくても、その住所から所定距離の範囲内にある近隣地域の不動産物件に係る広告掲載情報が登録されていれば、その広告掲載情報に基づいて当該顧客の属性の推定を行うようにしてもよい。さらに、所定の領域毎に取引価格(売買価格又は賃料)の相場の情報を推定装置1が有しており、顧客の住所が属する領域の相場を参照することにより、当該顧客の属性の推定を行うことも可能である。ここでの相場は、当該領域内の不動産物件の取引価格の平均値等が想定される。その他にも、各領域の取引価格が平均的な相場とどの程度乖離しているのか等を示す情報を推定装置1が有しており、その情報を用いることによって当該顧客の属性の推定を行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態では、推定装置1が特定の事業者側に設けられているが、この推定装置1の機能をASP(Application Service Provider)により提供するような形態であってもよい。これにより、複数の事業者が容易に当該機能を利用することが可能になる。
【0070】
上述した実施の形態では、単一のコンピュータ1によって推定装置1の機能が実現されているが、例えば複数のコンピュータによる分散システムによって推定装置1の機能が実現されていてもよく、様々な態様が想定される。