特許第6886191号(P6886191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886191
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】リボ核酸高収量を示す酵母
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/16 20060101AFI20210603BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   C12N1/16 G
   C12P19/34 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-233950(P2018-233950)
(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公開番号】特開2020-92671(P2020-92671A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2019年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006770
【氏名又は名称】ヤマサ醤油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岸本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】太田 聖人
(72)【発明者】
【氏名】石毛 和也
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/159812(WO,A1)
【文献】 特開2016−214104(JP,A)
【文献】 国際公開第88/005267(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/123019(WO,A1)
【文献】 PLoS One,2013年 4月24日,Vol.8, No.4, e61748,pp.1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 7/08
C12P 1/00−41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(3)の工程を含む親株に比べてRNA収量が向上したキャンディダ属酵母変異株の取得方法
(1)酵母に変異原処理を行う工程、
(2)変異原処理した酵母菌株の中から、バニリン耐性を有する変異株を選抜する工程、
(3)選抜された株の中から、親株よりもRNA収量の高い株を取得する工程。
【請求項2】
請求項1に記載の方法で酵母変異株を取得する工程、
取得した酵母変異株を好気的に培養する工程、
培養した酵母よりRNAを抽出する工程、
を含むことを特徴とする、RNAの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボ核酸高収量を示す酵母に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RNA(リボ核酸)は、旨味調味料、機能性食品や医薬品の原料として使用されている。そのため、RNAを効率よく製造する技術は、産業上重要である。
【0003】
RNAを製造するには、酵母を炭素源、窒素源、リン源を含む培地で培養し、酵母菌体からRNAを抽出する方法が一般的に用いられている。RNAを効率よく製造する試みは以前から多く見られ、例えば、酵母菌体のRNA含量を高める方法や、得られた酵母菌体内のRNAを効率よく抽出する方法などである。
【0004】
前者の例としては、実用的には菌株の育種が主に行われており、ラパマイシンに耐性を有する変異株を取得する方法(特許文献1)、塩化カリウムに感受性を示す変異株を取得する方法(非特許文献1)、低温環境下で生育が著しく阻害される変異株を探索する方法(特許文献2)、チアジン・オキサジン系色素、およびアクリジン系色素に対する耐性を有する変異株を探索する方法(特許文献3)、Rrn10欠損株で生育のよい株に対して、Rrn10遺伝子を再導入する方法(特許文献4)、FOB1遺伝子を欠損された株を得る方法(特許文献5)などが挙げられる。
【0005】
後者としては、界面活性剤とともに酵母菌体を加熱する方法(特許文献6)、苛性ソーダなどのアルカリ溶液中で抽出する、もしくはアルカリで前処理して酸で中和して生成する塩の存在下で加温抽出する方法(特許文献7)などが知られているが、廉価で、高品質なRNAを取得する手法として、弱酸性条件下、40〜60℃にて処理された菌体を中和し、塩水を加えて、95℃加熱抽出する方法があげられ(特許文献8)、工業規模の生産では本法がよく採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−214104号
【特許文献2】特公昭56−46824号
【特許文献3】特公昭48−32350号
【特許文献4】特開2009−50247号
【特許文献5】特開2007−75013号
【特許文献6】特公昭45−33657号
【特許文献7】特公昭38−8140号
【特許文献8】特公昭52−18200号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】土井等,日農化講演要旨、P347(1974)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した公知の菌株育種方法においては、親株と比較してRNA高収量を示す酵母の選抜効率は十分でなく、目的の株を取得するまでに多大な労力及び時間が必要だという問題点があった。
したがって、本発明の課題は、RNA高収量を示す酵母の効率的な選抜法を確立し、することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記のような課題を解決すべく、酵母を用いたRNAの製造方法を検討する中で、バニリン耐性を有する酵母変異株を選抜することで、RNA高収量を示す株を効率的に取得することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、親株に比べてRNA高収量を示す酵母変異株を、既存の変異株取得方法と比較して極めて高い効率で取得することができる。さらに、本発明によって取得されたRNA高収量を示す株は、培養のスケールを大きくしても安定してRNA高収量を示すことから、工業的なRNA生産に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書においてRNA収量とは、抽出されたRNA量を元の培養液あたりの重量濃度で示した値(g/L)をいう。
【0012】
酵母としては、食品や医薬品原料の製造に通常用いることが可能なキャンディダ属酵母が挙げられる。さらなる具体例としては、キャンディダ属の例としてキャンディダ・ユティリス(Candida utilis)やキャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、などを挙げることができる。
【0013】
本発明に用いる親株としては、供与株や一般的な野生株に加え、公知の育種法にて取得されたRNA高収量の株を用いることができる。公知の育種法としては、前述の通りラパマイシンに耐性を有する変異株を取得する方法、塩化カリウムに感受性を示す変異株を取得する方法、低温環境下で生育が著しく阻害される変異株を探索する方法、チアジン・オキサジン系色素、およびアクリジン系色素に対する耐性を有する変異株を探索する方法、Rrn10欠損株で生育のよい株に対してRrn10遺伝子を再導入する方法、FOB1遺伝子を欠損された株を得る方法、などを挙げることができるが、当然これらに限定されない。
親株は、上記の育種法のうち1つを用いて取得された株でもよいし、複数の方法を組み合わせて複数の選抜を経た株でもよい。
【0014】
本発明は(1)酵母に変異原処理を行う工程、(2)バニリン耐性を有する酵母変異株を選抜する工程、(3)選抜された株の中から、親株よりもRNA収量の高い株を取得する工程、を含む、高いRNA収量を示す酵母変異株の取得方法によって取得されるキャンディダ属酵母変異株に関するものである。
なお、高いRNA収量を示す酵母変異株とは、親株と比較したときにRNA収量が1.10倍以上である変異株のことをいう。
【0015】
(1)の変異原処理の方法は、特に限定されないが、紫外線や電離放射線などによる物理的な方法や、亜硝酸、ニトロソグアニジン、メタンスルホン酸メチルを用いた化学的な方法など、公知の方法を用いればよい。
【0016】
(2)のバニリンに対する耐性を有する変異株を選抜する方法としては、バニリンを含む寒天培地上に酵母を播種し、生存する株を選抜すればよい。このバニリンの濃度としては、500ppm以上2000ppm以下であればよく、750ppm以上1500ppm以下が好ましく、1000ppm以上1500ppm以下がさらに好ましい。
【0017】
工程(1)と(2)は、(1)(2)の順に実施することもでき、または同時に行うこともできる。(1)(2)を同時に行う際には、バニリンを含有する寒天培地に酵母の親株を播種し、寒天培地上の当該親株に対して紫外線照射を行うなどして変異原処理を行えばよい。その後、培地上にコロニーを形成する株を選抜することで、バニリン耐性を有する変異株を選抜することができる。
【0018】
(3)のRNA収量の高い株を取得する方法としては、特に限定されないが、たとえばバニリン耐性変異株をフラスコ内で小スケール培養し、酵母菌体から所定の方法でRNA抽出を行い、HPLC等の手法によりRNAを定量するなどして、親株よりRNA収量の高い株を選抜することができる。
【0019】
RNAの抽出方法については、公知の方法に従えばよい。たとえば、培養液を遠心分離して菌体を濃縮した後、塩酸等による酸性条件下で加熱処理する。その後、上清を除き、沈殿物に水を加えて濃縮スラリーを調製し、アルカリで中和させた後、塩化ナトリウム等の塩を加えて加熱処理する。得られた加熱処理物を遠心分離に供し、上清を回収することによりRNA抽出液を得ることができる。
【0020】
取得したRNA抽出液におけるRNA量は、HPLC等の公知の方法により、定量することができる。
RNA量を定量し、元の培養液あたりの重量濃度で表すことで、RNA収量を算出することができる。
【0021】
この方法によれば、単に酵母に変異原処理を行い、RNA高収量を示す株を選抜するだけの方法や、公知のRNA高含量を示す株の取得方法(たとえば、ラパマイシン耐性株を取得する方法(特許文献1))に比べて、極めて効率よくRNA高収量を示す株を取得することができる。
【0022】
本発明では、さらに取得した酵母変異株を好気培養し、培養した酵母よりRNAを抽出することによるRNAの製造法が提供される。RNA製造においては、前述の方法で得られたバニリン耐性変異株を炭素源、窒素源および無機塩等を含む培地で好気的に培養すればよい。
【0023】
菌株を培養する培地組成としては、炭素源として通常の微生物の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜および亜硫酸パルプ廃液等からなる群より選抜される、1種または2種以上が用いられ、窒素源としては硝酸およびその塩、尿素、アンモニア、およびその塩、およびコーンスティープリカー、カゼイン、酵母エキスもしくはペプトン等の含窒素有機物等からなる群より選ばれる1あるいは2種以上が使用される。さらに、リン酸成分、カリウム成分、マグネシウム成分を培地に添加してもよく、これらとしてはリン酸一アンモニウム、リン酸、過リン酸石灰、水酸化カリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の工業用原料でよい。その他、亜鉛、銅、マンガン、鉄イオン等の無機イオンを添加してもよい。さらに、ビタミン、核酸関連物質等を添加してもよい。
【0024】
培養形式としては、特に限定されず、回分培養、流加培養あるいは連続培養のいずれであってもよい。
培養装置としては、公知のものを制限なく用いることができるが、工業的にRNA生産を行う際には、そのスケールや利便性から、ファーメンターを用いて培養を行うことが好ましい。
【0025】
培養温度は一般的な酵母の培養条件に従えばよく、たとえば20〜40℃、望ましくは25〜35℃がよく、pHについては2.5〜8.0、望ましくは2.8〜6.0がよい。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて、本発明を説明する。なお、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)バニリン耐性を指標とした変異株の取得
キャンディダ・ユティリスNBRC0988株を親株に用いて、以下の方法により、変異株の取得を行った。
当該親株を、YM培地(0.3%酵母エキス、0.3%麦芽エキス、0.5%カゼインペプトン、1%グルコース、2%寒天)を含むフラスコにて1昼夜培養した。培養した菌体を回収し、1000ppmまたは1500ppmのバニリンを含む、グルコースを唯一の炭素源とした寒天培地に播種し、紫外線照射(UVランプ:Panasonic GL−15、波長253.7nm)により、致死率70−80%となるような条件で変異処理を行った。変異処理した寒天培地を1500ppmのバニリン含有培地で3〜7昼夜30℃で培養し、耐性株のコロニー形成を確認した。
【0028】
NBRC0988株より得られた100株の耐性株を、40mLのYM培地を含む500mLフラスコで培養し、得られた菌体培養液酵母を培養して得られた培養液から、乾燥菌体重量が10〜15%となるように遠心分離で菌体を濃縮した後、50±10℃に加温し、pH2.0〜3.5となるよう塩酸を添加して加熱処理を行った。遠心分離上清を除き、沈殿物に対して水を加えて、もとの培養液の15%量にけん濁液を調製した。けん濁液に30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.5〜7.0に中和した後、食塩を4%となるよう添加し、90±5℃にて加熱処理した。得られた加熱処理物を遠心分離に供し、上清を回収した。沈殿物に対して、加熱処理液と等量の水を加えて再けん濁させ、再度遠心分離に供して上清を回収した。回収した上清をあわせることで、RNA抽出液を取得した。
【0029】
得られたRNA抽出液を適当に希釈し、ゲル浸潤高圧液体クロマトグラフィー(以下GPC−HPLC)に供した。HPLCカラムにはTSKgel G3000PWXLを、移動層として7M 尿素・50mM Tris−HCl(pH7.5)溶液を用いた。高分子領域における260nm紫外光吸収物質を検出する。あらかじめシュミット・タンホイザー・シュナイダーの方法[J.Biol.Chem.1946、164、747](以下STS法)により定量しておいたRNA溶液を同様の分析に供することで、その紫外吸収ピーク面積から、抽出液中のRNA量を定量した。
上記方法によって、取得された変異株のRNA収量を算出し、RNA収量が親株に比べて高い株を選抜した。
【0030】
本実施例1の結果、親株であるNBRC0988株から、収量が1.10倍以上に向上した株を14株取得した。
【0031】
(実施例2)公知のスクリーニング方法との比較
本発明の方法と、公知のRNA高収量を示す変異株取得方法とを比較した。比較対象として、KCl法、ラパマイシン法を選択した。
KCl法及びラパマイシン法については、それぞれ非特許文献1又は特許文献1に記載の方法に従って変異株取得を行った。KCl法では680株のKCl耐性変異株を、ラパマイシン法では560株のラパマイシン耐性変異株を取得した。
【0032】
NBRC0988株より得られた各耐性変異株を、40mLのYM培地を含む500mLフラスコで培養し、得られた菌体培養液酵母を培養して得られた培養液から、乾燥菌体重量が10〜15%となるように遠心分離で菌体を濃縮した後、50±10℃に加温し、pH2.0〜3.5となるよう塩酸を添加して加熱処理を行った。遠心分離上清を除き、沈殿物に対して水を加えて、もとの培養液の15%量にけん濁液を調製した。けん濁液に30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.5〜7.0に中和した後、食塩を4%となるよう添加し、90±5℃にて加熱処理した。得られた加熱処理物を遠心分離に供し、上清を回収した。沈殿物に対して、加熱処理液と等量の水を加えて再けん濁させ、再度遠心分離に供して上清を回収した。回収した上清をあわせることで、RNA抽出液を取得した。
【0033】
得られたRNA抽出液を適当に希釈し、ゲル浸潤高圧液体クロマトグラフィー(以下GPC−HPLC)に供した。HPLCカラムにはTSKgel G3000PWXLを、移動層として7M 尿素・50mM Tris−HCl(pH7.5)溶液を用いた。高分子領域における260nm紫外光吸収物質を検出する。あらかじめシュミット・タンホイザー・シュナイダーの方法[J.Biol.Chem.1946、164、747](以下STS法)により定量しておいたRNA溶液を同様の分析に供することで、その紫外吸収ピーク面積から、抽出液中のRNA量を定量した。
上記方法によって、実施例1と同様それぞれ取得された変異株のRNA収量を算出し、RNA収量が親株に比べて高い株を選抜した。
【0034】
上記の各変異株取得方法を用いてRNA高収量を示す変異株を選抜した結果を、表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
KCl法では、取得した680株の中に、RNA収量が親株の1.10倍以上に向上した株は存在しなかった。
ラパマイシン法では、取得した560株の中に、RNA収量が親株の1.10倍以上に向上した株が3株存在した。
【0037】
以上の結果から、本発明の方法は、RNA高収量を示す酵母変異株を、公知のRNA高含量を示す株の取得方法であるKCl法及びラパマイシン法の10倍以上の効率で取得できることが明らかになった。
【0038】
(実施例3)本願発明により取得された変異株を用いた工業的RNA生産検討
工業的RNA生産を行う際には、小スケールにおいてはRNA高収量を示すが、スケールアップを行った際にはRNA収量が低下する株が見出され、しばしば問題となる。
そこで、本実施例3においては、実施例1で取得した変異株を用いた工業的なRNA生産の実現可能性を検討するために、培養をスケールアップし、ファーメンターを用いて回分培養を行った。
【0039】
検討には、実施例1にて取得したRNA高収量変異株であるNV−9(実施例1におけるRNA収量:親株比1.11倍)と、NV−42(実施例1におけるRNA収量:親株比1.16倍)と、NV−46(実施例1におけるRNA収量:親株比1.12倍)の3株を用いた。上記3株をあらかじめフラスコ内で種培養しておき、3Lファーメンターへ植菌して回分培養を行った。
培地組成は4.2%グルコース、0.2%塩化カリウム、600ppm 硫酸マグネシウム・7水和物、8.3ppm 塩化鉄(III)・6水和物、6.3ppm 塩化マンガン4水和物、0.5ppm 硫酸銅・5水和物、10ppm硫酸亜鉛・7水和物、2.2g/L リン酸一アンモニウム、 5g/L 硫酸アンモニウム、0.025% Adekanol LG−109とした。培養条件は、培地液量1.5L、液温30℃、攪拌回転速度1000rpm、通気1.3vvmとし、溶存酸素量が0.2mg/Lを下回らないように、状況に応じて酸素ガスを通気した。また、pH3.2以上を維持するように14%のアンモニア水を滴下し、pHを維持した。
得られた培養液から、前述の方法によってRNA抽出液を得て、RNA収量を算出した。
【0040】
本実施例の結果、それぞれの菌株培養液より得られた抽出液中の、親株RNA収量に対する変異株RNA収量比は、表2のとおりであった。
【0041】
【表2】
【0042】
本発明によりNBRC0988株から得られた3株は、いずれも安定して、小スケールと同等の親株比1.10倍以上のRNA高収量を示した。
本実施例の結果から、本発明によって選抜された変異株は、ファーメンター培養においても、安定してRNA高収量を示すことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上より、本発明によって、親株に比べてRNA高収量を示す酵母変異株を、既存の変異株取得方法と比較して極めて高い効率で取得することができることが明らかとなった。
加えて、本発明によって取得されたRNA高収量を示す株は、培養のスケールを大きくしても安定してRNA高収量を示すことから、工業的なRNA生産に好適であることが明らかとなった。