(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記道路要素制約セットには、車線マークの位置、車線マークの距離、車線マークのタイプ、路面勾配、車線マークの色、カーブ半径、道路の制限速度、交通信号機の位置、交差点の停止線及び交差点の基準線のパラメータが含まれ、
前記環境要素制約セットには、環境要素間の距離、環境要素の位置、高さ、タイプ、及び色のパラメータが含まれ、
前記天気要素制約セットには、光角度、光強度、オブジェクトの影、及び路面による反射のパラメータが含まれる、ことを特徴とする請求項2に記載の車両道路シミュレーションシーンの作成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、従来技術の欠点及び欠陥を解決し、作成効率が高く、シミュレートする交通シーンが包括的であり、シミュレートする道路状況の現実感が強いという利点を有する、実道路状況要素に基づいて車両道路シミュレーションシーンを作成する車両道路シミュレーションシーンの作成方法を提供することである。
【0008】
本発明の第2の目的は、車両道路シミュレーションシーンの作成装置を提供することである。
【0009】
本発明の第3の目的は、記憶媒体を提供することである。
【0010】
本発明の第4の目的は、コンピューティング機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の目的は、以下の技術案によって達成される。
車両道路シミュレーションシーンの作成方法であって、
収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成するステップと、
収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成するステップと、
車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定するステップと、
各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成するステップと、
2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成するステップと、
各タイムスライスで生成された道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから、対応する道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記実道路状況要素は、道路要素、環境要素、及び天気要素を含み、
前記車両要素は、さまざまなタイプの自動車及び非自動車のデータを含む。
さらに、前記道路要素は、車線マーク、車線標識及び交通信号を含み、
前記環境要素は、歩行者、障害物、及び道路の両側の樹木、建物を含み、
前記天気要素は、晴れ、曇り、雨、雪、日中、夜間、夕暮れ、及び時間帯を含む。
【0013】
好ましくは、前記実道路状況要素制約セットは、道路要素制約セット、環境要素制約セット、及び天気要素制約セットを含み、
前記道路要素制約セットには、道路要素間及び/又は道路要素の関連パラメータが含まれ、
前記環境要素制約セットには、環境要素間及び/又は環境要素の関連パラメータが含まれ、
前記天気要素制約セットには、天気要素間及び/又は環境要素の関連パラメータが含まれ、
前記車両要素制約セットには、車両要素間及び/又は車両要素の関連パラメータが含まれる。
【0014】
さらに、前記道路要素制約セットには、車線マークの位置、車線マークの距離、車線マークのタイプ、路面勾配、車線マークの色、カーブ半径、道路の制限速度、交通信号機の位置、交差点の停止線及び交差点の基準線のパラメータが含まれ、
前記環境要素制約セットには、環境要素間の距離、環境要素の位置、高さ、タイプ、及び色のパラメータが含まれ、
前記天気要素制約セットには、光角度、光強度、オブジェクトの影、及び路面による反射のパラメータが含まれる。
【0015】
好ましくは、各タイムスライスで生成された道路シーン記述及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述は、いずれも道路記述、環境記述、及び天気記述を含み、
各タイムスライスで生成された車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの車両動的走行記述は、すべて自車の動作記述と他車の動作記述を含む。
【0016】
さらに、前記道路記述は、路面記述と交通信号灯器記述を含み、
前記路面記述は、路面の幅、車線の数とタイプ、路面のタイプ、歩道の有無、専用車線の有無、及び一方通行車線の有無を含み、
前記交通信号灯器記述は、交通信号機の有無、左折灯の有無、右折灯の有無、直進灯の有無、Uターン灯の有無、及び灯の色の変更を含み、
前記環境記述は、フェンス、街路灯、花壇、縁石、芝生、さまざまな形や高さの樹木、建物を含み、
前記天気記述は、晴れ、曇り、雨、雪、日中、夜間、夕暮れ、及び時間帯を含み、
自車の動作記述及び他車の動作記述は、いずれもタイプ記述と動作記述を含み、タイプ記述は、セダン、トラック、バス、自転車、オートバイ、及び電気自動車を含み、動作記述は、車両の停止、直進、左折、右折、Uターン、追い越し、譲歩、回避及び車線変更を含む。
【0017】
本発明の第2の目的は下記技術案によって達成される。
車両道路シミュレーションシーンの作成装置であって、
収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成することに用いられるデータセット作成モジュールと、
収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成することに用いられる制約セット作成モジュールと、
車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定することに用いられるタイムライン設定モジュールと、
各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成することに用いられる第1生成モジュールと、
2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成することに用いられる第2生成モジュールと、
各タイムスライスで生成された車両道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの車両道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成することに用いられるシミュレーションシーン作成モジュールと、を備える。
【0018】
本発明の第3の目的は下記技術案によって達成される。
プロセッサによって実行されると、本発明の第1の目的に記載の車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実現するプログラムが記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
【0019】
本発明の第4の目的は下記技術案によって達成される。
プロセッサと、プロセッサにより実行可能プログラムを記憶するメモリとを備えるコンピューティング機器であって、
前記プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行すると、本発明の第1の目的に記載の車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明は、下記の利点及び効果を有する。
(1)本発明の車両道路シミュレーションシーンの作成方法は、まず、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成し、収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素データセットを作成し、次に車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定し、各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成し、2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成し、生成した上記道路シーン記述と車両動的走行記述に従って、データセットから道路状況要素と車両要素を抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成する。本発明は、上記方式によって車両道路シミュレーションシーンを完全に自動的に生成することができ、このため、シミュレーションシーンの作成時間を節約し、シミュレーションシーンの作成効率を向上させ、また、本発明は、各タイムスライスと隣接するタイムスライスの間で道路記述と車両動的走行記述をランダムかつ動的に生成できるため、実道路状況に対するシミュレーションシーンの包括性が向上する。さらに、本発明で取得されたデータセットは収集された実道路状況要素から構成されるものであるので、シミュレートする道路状況の現実性を効果的に向上させることができる。
(2)本発明に係る車両道路シミュレーションシーンの作成方法では、隣接するタイムスライスの間の時間帯について、前記道路状況要素制約セットを満たす接続セクションの道路シーン記述を生成し、前記車両要素制約セットを満たす接続セクションの車両動的走行記述を生成し、本発明の上記方法によれば、連続的かつ滑らかな道路トポロジー接続及び車両走行状態を形成することができ、車両道路シミュレーションシーンの現実性を向上させる。
(3)本発明に係る車両道路シミュレーションシーンの作成方法では、実道路状況要素データセット、車両要素データセットのいずれも必要に応じて拡張することができ、これにより、車両道路シミュレーションシーンの現実性がさらに向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例及び図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
【0023】
実施例1
本実施例は、車両道路シミュレーションシーンの作成方法を開示し、
図1に示されるように、ステップ(1)〜ステップ(5)を含む。
【0024】
(1)収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成する。実道路状況要素データセットと車両要素データセットのいずれもデータセットに拡張することができる。
本実施例では、実道路状況要素は、道路要素、環境要素、及び天気要素を含み、これらのうち、道路要素は、車線マーク、車線標識、及び交通信号を含み、環境要素は、歩行者、障害物、及び道路の両側の樹木、建物を含み、天気要素は、晴れ、曇り、雨、雪、日中、夜間、夕暮れ、及び時間帯を含み、ここでの時間帯は、1日中の24時間内の各時間帯を指し、時間帯は、日照条件などの実際のニーズに応じて分割される。
たとえば、取得した道路要素は、交差道路、T字型道路、直進道路、歩道、専用車線、一方通行車線、交通信号機、左折灯、右折灯、直進灯、Uターン灯の有無などを含み、取得した環境要素は、フェンス、街路灯、花壇、縁石、芝生、さまざまな形や高さの樹木、建物などを含み、取得した天気要素は、晴れた日の日照、曇りの日の光の明るさ、雨の日の雨の量や道路での水溜まり、雪の日の積雪や日光などを含む。
車両要素は、セダン、トラック、バス、自転車、オートバイ、電気自動車など、さまざまなタイプの自動車及び非自動車のデータを含む。
【0025】
(2)収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成する。
本実施例では、実道路状況要素制約セットは、道路要素制約セット、環境要素制約セット、及び天気要素制約セットを含むことができ、道路要素制約セットには、道路要素間及び/又は道路要素の関連パラメータが含まれ、環境要素制約セットには、環境要素間及び/又は環境要素の関連パラメータが含まれ、天気要素制約セットには、天気要素間及び/又は天気要素の関連パラメータが含まれる。
本実施例では、道路要素制約セットには、車線マークの位置、車線マーク間の距離、車線マークのタイプ、道路勾配、車線マークの色、カーブ半径、道路の制限速度、交通信号機の位置、交差点の停止線、及び交差点の基準線などのパラメータが含まれ、たとえば、本実施例で作成された道路要素制約セットでは、車線間の幅が3m、車線の単一の黄色実線の長さが200m以下、車線勾配が15度未満、カーブ半径が30m以上、市道の制限速度が60km/h、高速道路の制限速度が120km/h、黄色の二重実線と白色の二重点線がつながっている。このうち、車線マーク間の距離は、道路要素間(車線マークと車線マークの間)の関連パラメータであり、車線マークのタイプ(たとえば、実線、破線、二重実線など)、車線マークの色は道路要素自体の関連パラメータである。
環境要素制約セットには、環境要素間の距離及び環境要素の位置、高さ、タイプ、及び色のパラメータが含まれ、たとえば、本実施例で作成される環境要素制約セットでは、フェンスが道路の端から0.5〜1m離れていおり、街灯の高さが5〜8m、花壇の幅×高さ×長さが3m×0.5m×5m、縁石の高さが0.25〜0.5m、芝生の幅×長さが5m×15m、白い高層ビルの幅×高さ×長さが80m×50m×60mである。このうち、フェンスと道路の端との間の距離は、環境要素のフェンスと環境要素の道路の端との間の関連パラメータであり、芝生の長さと幅は、環境要素自体の関連パラメータである。
天気要素制約には、光角度、光強度、オブジェクトの影及び路面による反射のパラメータが含まれる。たとえば、本実施例で作成された天気要素制約セットでは、光強度が45〜90度、夏の太陽光が直射するときの光強度が60,000〜100,000lx、太陽のない屋外では光強度が10,000〜10,000lxであり、
車両要素制約セットには、車両要素間及び/又は車両要素の関連パラメータが含まれ、車両要素制約セットには、車両の位置する車線、車両速度、車両距離、加速度、位置、方向などのパラメータが含まれ、前記車両要素制約セットは拡張可能である。たとえば、本実施例で作成される車両要素制約セットでは、2台の車両間の横方向の距離が1m以上、縦方向の距離が2m以上、2台の車両の相対速度が10km/h未満、車速が60〜100km/h、車両の加速度が10m/s未満、同じ方向に走行している2台の車両間の角度が5度〜8度である。
【0026】
(3)車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定し、本実施例では、タイムラインは、等長又は非等長のタイムスライスに分割することができる。
本実施例では、タイムラインは有限長のタイムライン又は無限長のタイムラインとして設定でき、有限長のタイムラインは、一定の継続時間が設定された車両道路シミュレーションシーンであり、たとえば、シミュレーションの継続時間は5時間であり、タイムスライスの継続時間は5分であり、無限長のタイムラインはタイムスライスを繰り返して生成するものであり、隣接するタイムスライスの両端が繋がって、無限長の車両道路シミュレーションシーンを形成する。
【0027】
(4)各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成し、本実施例では、実際のニーズに応じて、一定時間帯内の各タイムスライスで対応する道路シーン記述と車両動的走行記述をランダムに生成し、たとえば、車両が起動してからa1時間〜a2時間に高速道路にて走行し、a2時間〜a3時間に都市の道路にて走行する場合をシミュレートする場合、a1〜a2時間の各タイムスライスでランダムに生成されたのは、道路状況要素制約セットを満たす高速道路での道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす高速道路で走行する車両動的走行記述であり、a2〜a3時間の各タイムスライスでランダムに生成されたのは、道路状況要素制約セットを満たす市道での道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす市道で走行する車両動的走行記述である。
2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成し、2つの隣接するタイムスライスごとの接続セグメントは、一定の持続時間を有する時間帯であり、本実施例では、実際のニーズに応じて、対応する接続セグメントの道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述を、一定時間帯内の2つの隣接するタイムスライスの接続セクションごとに、ランダムに生成することができ、たとえば、車両が起動してからa2〜a3時間に高速道路にて走行し、a1〜a2時間に市道にて走行する場合をシミュレートする場合、a1〜a2時間の2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとにランダムに生成されるのは、道路状況要素制約セットを満たす高速道路での接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす高速道路で走行する車両動的走行記述であり、a2〜a3時間の2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとにランダムに生成されるのは、道路状況要素制約セットを満たす市道での接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす市道で走行する接続セグメントの車両動的走行記述である。
本実施例では、上記の各タイムスライスで生成された道路シーン記述、及び2つの隣接するタイムスライスの各接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述は、道路記述、環境記述、及び天気記述を含み、
道路記述は、路面記述と交通信号灯器記述を含み、対応する時間帯内に、2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路記述は、接続セグメントによって接続されたタイムスライスの道路記述と同じであり得る。上記の対応する時間帯とは、同じタイプ又は類似するタイプの道路をシミュレートする時間帯のことであり、たとえば、ともに高速道路での走行をシミュレートする時間帯である。
路面記述は、道路の幅、車線の数とタイプ、路面のタイプ、歩道の有無、専用車線の有無、及び一方通行車線の有無を含み、
交通信号灯器記述は、交通信号機の有無、左折灯の有無、右折灯の有無、直進灯の有無、Uターン灯の有無、及び灯の色の変更を含み、
環境記述は、フェンス、街路灯、花壇、縁石、芝生、さまざまな形や高さの樹木、建物を含み、対応する時間帯内に、2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、環境記述はセグメントで接続されたタイムスライスの環境記述と同じであり得る。
天気記述は、晴れ、曇り、雨、雪、日中、夜間、夕暮れ、及び時間帯を含む。ここで、対応する時間帯内に、2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、天気記述は、接続セグメントで接続されたタイムスライスの天気記述と同じであり得る。
本実施例では、各タイムスライスで生成された車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの車両動的走行記述は、自車の動作記述と他車の動作記述を含む。このうち、本実施例では、自車の動作記述及び他車の動作記述はいずれもタイプ記述と動作記述を含み、タイプ記述は、セダン、トラック、バス、自転車、オートバイ、及び電気自動車を含み、動作記述は、車両停止、直進、左折、右折、Uターン、追い越し、譲歩、回避及び車線変更を含む。
たとえば、継続時間が5分のタイムスライスKの場合、道路状況要素制約セットを満たす下記のような道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす下記のような車両動的走行記述がランダムに生成される。
【0028】
<道路シーン記述>
{道路記述}
[市道]
[直進道路、長さ1000m、勾配3度の上り坂、ここで、600mに交通信号灯器付き交差点、900mに横断歩道がある]
[道路の全幅は12mであり、両方向の4車線があり、各車線の幅が3mであり、左側の2車線が白色点線、右側の2車線が白色実線、中央が二重の黄色線でマークされている]
[右側の一番目の車線は左折専用車線であり、左折専用車線としてマークされている]
[制限速度80km/h]
[交通信号灯器:交通信号機、左折灯、灯色変更頻度10S]
{環境記述}
[都市環境]
[0〜400m:道路の両側には、道路から30m離れている建物があり、建物の長さと高さはランダムであり、建物間の間隔は5mである]
[400〜500m:道路の両側には、道路から30m離れている長さ100m、幅20mの芝生がある]
[0〜1000m:道路の両側には、道路から1m離れている高さ1.5mのフェンスがある]
[0〜1000m:道路の両側には、高さ10m、間隔30m、灯光照度10,000lxの街路灯がある]
{天気記述}
[晴れ]
[太陽:光角度60度、光強度60,000lx]
<車両動的走行記述>
[3台の車:自車、車両1、車両2]
{自車動作記述}
[セダン:トヨタ]
[一番左の車線を直進]
[速度40km/h、加速度0m/S2、速度60km/hまで]
[交差点を通過してから直進]
[300mで車線を変更して左側の2番目の車線に入る]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで、1m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
{車両1の動作記述}
[軽トラック:BYD T4]
[左側の2番目の車線を直進]
[速度50km/h、加速度0m/S2]
[交差点を通過してから左折]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで、1m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
{車両2の動作記述}
[セダン:フォード]
[一番左の車線を直進]
[速度60km/h、加速度0.5m/S2、速度80km/hまで]
[交差点を通過してから直進]
[800mに車線を変更して左側の2番目の車線に入る]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで、2m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
【0029】
たとえば、タイムスライスK−1とタイムスライスKの間の接続セグメントK−1に関しては、該接続セグメントK−1の継続時間は2分であり、該接続セグメントK−1について、道路条件要素制約セットを満たす下記のような接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす下記接続セグメントの車両動的走行記述がランダムに生成される。
【0030】
<道路シーン記述>
{道路記述}
[市道]
[左折用のカーブ、長さ100m、勾配3度の上り坂、弧の半径30m]
[道路の全幅は12mであり、両方向の4車線があり、各車線の幅が3mであり、左側の2車線が白色点線、右側の2車線が白色実線、中央が二重の黄色線でマークされている]
[制限速度80km/h]
[交通信号灯器なし]
{環境記述}
[都市環境]
[0〜100m:道路の両側には、道路から5m離れている樹木があり、樹木の高さと幅はランダムで、樹木の間隔は2mである]
[0〜100m:道路の両側には、道路から1m離れている高さ1.5mのフェンスがある]
[0〜100m:道路の両側には、高さ10m、間隔30m、照明強度10,000lxの街路灯がある]
{天気記述}
[晴れ]
[太陽:光角度60度、光強度60,000lx]
<車両動的走行記述>
[3台の車:自車、車両1、車両2]
{自車動作記述}
[セダン:トヨタ]
[一番左の車線にて走行]
[速度40km/h、加速度0m/S2]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで、1m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
{車両1の動作記述}
[軽トラック:BYD T4]
[左側の2番目の車線にて走行]
[速度50km/h、加速度0m/S2]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで1m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
{車両2の動作記述}
[セダン:フォード]
[一番左の車線にて走行]
[速度60km/h、加速度0.5m/S2、速度80km/hまで]
[カーブの40mに車線を変更して左側の2番目の車線に入る]
[同車線の先行車から50m離れたところで、先行車と同じ速度になるまで、2m/S2の速度で減速]
[同車線の先行車との安全距離が5m未満の場合、3秒かけて先行車と同じ速度まで急減速]
[左右車線の車両との安全距離が5m未満の場合、車線変更禁止]
【0031】
(5)各タイムスライスで生成された道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから、上記記述に含まれる道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、シミュレーションシーンの各タイムスライスの要素及び2つの隣接するタイムスライス間の接続セグメントの要素を配置することに用い、次に、各タイムスライスで生成された道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された道路シーン記述と車両動的走行記述に従って、各タイムスライスと隣接するタイムスライスの間で車両道路シミュレーションシーンを作成し、
図2には、特定のタイムスライスについて作成された車両道路シミュレーションシーンが示されており、車両道路シミュレーションシーンは経時的に変化する。
【0032】
実施例2
本実施例は、車両道路シミュレーションシーンの作成装置を開示し、
図3に示すように、
収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成することに用いられるデータセット作成モジュールと、
収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成することに用いられる制約セット作成モジュールと、
車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定することに用いられるタイムライン設定モジュールと、
各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成することに用いられる第1生成モジュールと、
2つの隣接するタイムスライスの各接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成することに用いられる第2生成モジュールと、
各タイムスライスで生成された車両の道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの車両道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成することに用いられるシミュレーションシーン作成モジュールと、を備える。
【0033】
本実施例の装置は、実施例1の車両道路シミュレーションシーンの作成方法に対応し、本実施例に係る実道路状況要素、車両要素、道路状況要素制約セット、車両要素制約セット、道路シーン記述及び車両動的走行記述は実施例1と同じであるため、ここでは詳しく説明しない。なお、本実施例による装置は、上記機能モジュールの分割を例として説明するのに過ぎず、実際に使用する際に、必要に応じて上記機能をさまざまな機能モジュールに割り当てて実施させることができ、つまり、内部構造をさまざまな機能モジュールに分割して、上記機能のすべて又は一部を実施することができる。
【0034】
実施例3
本実施例は、プロセッサによって実行されると、実施例に記載の車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実現するプログラムが記憶されている記憶媒体を開示し、前記車両道路シミュレーションシーンの作成方法は、
収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成し、
収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成し、
車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定し、
各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成し、
2 つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成し、
各タイムスライスで生成された道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから、対応する道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成する。
【0035】
本実施例におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータがアクセス可能な任意の使用可能な媒体、又は1つ以上の使用可能な媒体を含むサーバ、データセンターなどのデータ記憶機器であり得、使用可能な媒体は磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光学媒体(たとえば、DVD)、又は半導体媒体(たとえば、SSD)であり得る。
【0036】
実施例4
本実施例は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備えるコンピューティング機器を開示し、前記プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行すると、実施例1に記載の車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実現し、前記車両道路シミュレーションシーンの作成方法は、
収集された実道路状況要素と車両要素を取得し、実道路状況要素データセットと車両要素データセットを作成し、
収集された実道路状況要素に基づいて道路状況要素制約セットを作成し、収集された車両要素に基づいて車両要素制約セットを作成し、
車両道路シミュレーションシーンのタイムラインを設定し、
各タイムスライスで、道路状況要素制約セットを満たす道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす車両動的走行記述をランダムに生成し、
2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに、道路状況要素制約セットを満たす接続セグメントの道路シーン記述及び車両要素制約セットを満たす接続セグメントの車両動的走行記述をランダムに生成し、
各タイムスライスで生成された道路シーン記述と車両動的走行記述、及び2つの隣接するタイムスライスの接続セグメントごとに生成された接続セグメントの道路シーン記述と接続セグメントの車両動的走行記述に従って、実道路状況要素データセットと車両要素データセットから、対応する道路状況要素と車両要素をそれぞれ抽出して、車両道路シミュレーションシーンを作成する。
【0037】
本実施例では、コンピューティング機器は、コンピュータ、タブレット機器、パーソナル・デジタル・アシスタントなどの端末機器であってもよく、単一のネットワークサーバ、複数のネットワークサーバで構成されるサーバクラスター、又は多くのコンピュータ又はネットワークサーバで構成されるクラウドコンピューティングに基づくクラウドを含むがこれらに限定されないネットワーク機器であってもよく、そのうち、クラウドコンピューティングは分散型コンピューティングの一種であり、疎結合されたコンピュータで構成されるスーパー仮想コンピュータである。
図4に示すように、本実施例によるコンピューティング機器50は、メモリ501、プロセッサ502、及びバス503を含み得る。これらのうち、バス503は、様々な素子間の接続に用いられる。
【0038】
メモリ501には、上記実施例1による車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0039】
メモリ501とプロセッサ502は、データ伝送又はインタラクションを実現するために、直接的又は間接的に電気的に接続される。たとえば、これらの素子は、1つ又は複数の通信バス又は信号線を介して互いに電気的に接続することができ、たとえば、バス503を介して接続することができる。メモリ501は、車両道路シミュレーションシーンの作成方法を実現するコンピュータプログラムを記憶しており、ソフトウェア又はファームウェアの形でメモリ501に記憶できる少なくとも1つのソフトウェア機能モジュールを含み、プロセッサ502は、メモリ501に記憶されたソフトウェアプログラム及びモジュールを実行することにより、さまざまな機能アプリケーション及びデータ処理を実行する。
【0040】
なお、
図4の構造は例示のために過ぎず、
図4に示されるものよりも多い又は少ない構成要素を含むか、又は
図4に示されるものとは異なる構成を有するようにしてもよい。
図4に示される各構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって実現され得る。
【0041】
上記実施例は、本発明の好ましい実施例であるが、本発明の実施例は、上記実施例により制限されず、本発明の趣旨及び原理を逸脱することなく行われる他の変更、修正、置換、組み合わせや簡略化は、すべて均等な置換方式であり、いずれも本発明の特許範囲に含まれる。