(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記増幅部は、前記差分の電圧の増幅をさらに行い、前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が導通状態か否かに応じて前記増幅における帯域幅を変更する請求項1記載の撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(ローリングシャッタ方式の撮像を行う場合の例)
2.第2の実施の形態(増幅部の利得を変更する場合の例)
3.第3の実施の形態(ダイナミックレンジに応じて基準電圧を変更する場合の例)
4.第4の実施の形態(増幅部とアナログデジタル変換部の比較部とを併用する場合の例)
5.第5の実施の形態(制御信号の波形を変更する場合の例)
6.第6の実施の形態(グローバルシャッタ方式の撮像を行う場合の例)
7.第7の実施の形態(2つの半導体チップにより構成される場合の例)
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の構成]
図1は、本技術の第1の実施の形態における撮像装置1の構成例を示す図である。この撮像装置1は、画素アレイ部10と、垂直駆動部20と、カラム信号処理部30と、基準信号供給部40と、参照信号生成部50とを備える。
【0020】
画素アレイ部10は、入射した光に応じた画像信号を生成するものである。この画素アレイ部10は、光電変換部を有する画素100が2次元行列状に配置されて構成される。また、画素アレイ部10には、画素100に制御信号を伝達するための信号線11と画素100にリセット電圧を供給する信号線13と画素100により生成された画像信号を伝達するための信号線12とがX−Yマトリクス状に配線されている。ここで、リセット電圧とは、画素100をリセットする際に画素100に入力される電圧である。信号線11は、複数の画素100の行毎に配線される。また、信号線11は、1つの行に配置された画素100に対して共通に配線される。すなわち、画素100には行毎に異なる制御信号が入力され、1行に配置された画素100には共通の制御信号が入力される。一方、信号線12および13は、複数の画素100の列毎に配線される。また、信号線12および13は、1つの列に配置された画素100に対して共通に配線される。すなわち、1列に配置された画素100の画像信号は共通の信号線12を介して伝達され、1列に配置された画素100には共通の信号線13を介してリセット電圧が供給される。画素100の構成の詳細については後述する。
【0021】
垂直駆動部20は、制御信号を生成するものである。この垂直駆動部20は、信号線11を介して制御信号を画素アレイ部10に対して出力する。
【0022】
カラム信号処理部30は、画素アレイ部10から出力された画像信号を処理するものである。このカラム信号処理部30により処理された画像信号は、撮像装置1の出力信号に該当し、撮像装置1の外部に出力される。また、このカラム信号処理部は、リセット電圧を生成して画素アレイ部10に対して出力する。
【0023】
基準信号供給部40は、基準信号を生成するものである。ここで、基準信号とは、画素100により生成された画像信号の基準となる信号であり、例えば、黒レベルの画像信号に相当する電圧の信号である。生成された基準信号は、信号線41を介してカラム信号処理部30に対して供給される。また、基準信号供給部40は、複数の異なる基準信号を生成することができる。例えば、基準信号供給部40は、第1の基準信号とこの第1の基準信号より絶対値が低い電圧の第2の基準信号とを生成し、供給することができる。そして、基準信号供給部40は、画素100がリセットされる場合に第1の基準信号を生成し、これ以外の場合に第2の基準信号を生成することができる。基準信号供給部40の構成の詳細については後述する。
【0024】
参照信号生成部50は、参照信号を生成するものである。ここで、参照信号とは、画素100により生成された画像信号をアナログデジタル変換する際の基準となる信号である。この参照信号として、例えば、電圧がランプ状に低下する信号を採用することができる。参照信号生成部50は、後述するアナログデジタル変換部330におけるアナログデジタル変換の開始と同期して参照信号の生成を行う。参照信号生成部50は、生成した参照信号をカラム信号処理部30に対して信号線51を介して出力する。
【0025】
[画素の構成]
図2は、本技術の第1の実施の形態における画素100の構成例を示す図である。この画素100は、光電変換部105と、電荷保持部106と、画像信号検出部107と、画像信号選択部108と、結合キャパシタ104と、リセット電圧保持部103と、リセット部102と、リセット電圧制御部101とを備える。
【0026】
画像信号検出部107、画像信号選択部108、リセット部102およびリセット電圧制御部101にはMOSトランジスタを使用することができる。また、画素100には、前述した信号線11乃至13が配線される。このうち信号線11は、フィードバック信号線FB(Feedback)、リセット信号線RST(Reset)および選択信号線SEL(Select)により構成される。これらの信号線は、MOSトランジスタのゲートに接続され、
図1において説明した制御信号を伝達する。これらの信号線にMOSトランジスタのゲートおよびソース間の閾値電圧以上の電圧(以下オン信号と称する。)が入力されると、該当するMOSトランジスタが導通状態になる。フィードバック信号線FBは、リセット電圧の供給を制御する信号を伝達する信号線である。リセット信号線RSTは、電荷保持部106のリセットを制御する信号を伝達する信号線である。選択信号線SELは、画素100を選択する信号を伝達する信号線である。これら以外に、画素100には電源線Vddが配線される。この電源線Vddは、正の極性の電源を供給するものである。
【0027】
光電変換部105のアノードは、接地される。光電変換部105のカソードは、画像信号検出部107のゲート、リセット部102のソース、電荷保持部106の一端および結合キャパシタ104の一端に接続される。電荷保持部106の他の一端は、接地される。結合キャパシタ104の他の一端は、リセット部102のドレイン、リセット電圧制御部101のソースおよびリセット電圧保持部103の一端に接続される。リセット電圧保持部103の他の一端は接地される。リセット部102のゲートは、リセット信号線RSTに接続される。リセット電圧制御部101のドレインは信号線13に接続され、ゲートはフィードバック信号線FBに接続される。画像信号検出部107のドレインは電源線Vddに接続され、ソースは画像信号選択部108のドレインに接続される。画像信号選択部108のゲートは選択信号線SELに接続され、ソースは信号線12に接続される。
【0028】
光電変換部105は、照射された光に応じた電荷を生成して保持するものである。この光電変換部105には、フォトダイオードを使用することができる。
【0029】
電荷保持部106は、光電変換部105により生成された電荷を保持するものである。この電荷保持部106には、半導体チップの拡散層に形成されたフローティングディフュージョンを使用することができる。同図の画素100においては、光電変換部105により生成された電荷は、光電変換部105および電荷保持部106に保持される。
【0030】
画像信号検出部107は、電荷保持部106に保持された電荷に応じた信号を画素信号として検出するものである。
【0031】
画像信号選択部108は、画像信号検出部107により検出された画像信号を出力するものである。この画像信号選択部108は、画像信号検出部107と信号線12との間を導通させることにより画像信号を出力する。
【0032】
リセット電圧制御部101は、カラム信号処理部30から出力されたリセット電圧をリセット電圧保持部103に保持させるものである。このリセット電圧制御部101は、信号線13とリセット電圧保持部103との間を導通させることによりリセット電圧をリセット電圧保持部103に保持させる。
【0033】
リセット電圧保持部103は、リセット電圧制御部101から出力されたリセット電圧を保持するものである。このリセット電圧保持部103には、例えば、キャパシタを使用することができる。
【0034】
リセット部102は、電荷保持部106をリセットするものである。このリセット部102は、リセット電圧保持部103と電荷保持部106との間を導通させることによりリセット電圧を電荷保持部106に印加し、リセットを行う。
【0035】
結合キャパシタ104は、リセット電圧保持部103に保持されたリセット電圧を電荷保持部106に伝達するものである。
【0036】
なお、画像信号検出部107および画像信号選択部108は、画像信号出力部を構成する。
【0037】
[カラム信号処理部の構成]
図3は、本技術の第1の実施の形態におけるカラム信号処理部30の構成例を示す図である。このカラム信号処理部30は、定電流電源310と、増幅部320と、アナログデジタル変換部330と、画像信号転送部340とを備える。なお、定電流電源310、増幅部320およびアナログデジタル変換部330は、画素アレイ部10における画素100の列毎に配置される。
【0038】
定電流電源310は、
図2において説明した画像信号検出部107の負荷として動作するものである。この定電流電源310は、信号線12と接地との間に接続され、画像信号検出部107とともにソースフォロワー回路を構成する。
【0039】
増幅部320は、画素100から出力された画像信号と基準信号供給部40から出力された基準信号との差分の電圧を前述したリセット電圧として出力するものである。この増幅部320は反転入力端子と非反転入力端子とを備える。反転入力端子および非反転入力端子には、信号線12および信号線41がそれぞれ接続される。すなわち、画像信号および基準信号が反転入力端子および非反転入力端子にそれぞれ入力される。また、増幅部320は、信号線13を介してリセット電圧を出力する。なお、信号線41は、カラム信号処理部30に配置された全ての増幅部320の非反転入力端子に共通に配線される。後述するように、増幅部320は、所定の利得により画像信号および基準信号の差分の電圧を増幅してリセット電圧として出力することができる。
【0040】
アナログデジタル(AD)変換部330は、アナログデジタル変換を行うものである。このアナログデジタル変換部330は、アナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。アナログデジタル変換部330には、信号線12および信号線51が配線され、画素100により生成された画像信号および参照信号生成部50により生成された参照信号がそれぞれ入力される。画素100により生成された画像信号はアナログの信号であり、アナログデジタル変換部330によりデジタルの画像信号に変換される。このアナログデジタル変換は、参照信号を基準として行われる。変換後のデジタルの画像信号は、信号線32を介して画像信号転送部340に対して出力される。なお、信号線51は、カラム信号処理部30に配置された全てのアナログデジタル変換部330に共通に配線される。アナログデジタル変換部330の構成の詳細については後述する。
【0041】
画像信号転送部340は、アナログデジタル変換部330により出力されたデジタルの画像信号を転送するものである。この画像信号転送部340は、アナログデジタル変換部330により出力されたデジタルの画像信号を順次出力することにより転送を行う。この転送は、例えば、同図において左端に配置されたアナログデジタル変換部330が出力したデジタルの画像信号から順に行うことができる。転送後のデジタルの画像信号は、信号線31を介して出力される。なお、画像信号転送部340は、特許請求の範囲に記載の処理回路の一例である。
【0042】
[アナログデジタル変換部の構成]
図4は、本技術の第1の実施の形態におけるアナログデジタル変換部330の構成例を示す図である。このアナログデジタル変換部330は、比較部331と、カウント部332と、保持部333とを備える。
【0043】
比較部331は、アナログの画像信号と参照信号との比較を行い、比較の結果をカウント部332に対して出力するものである。比較部331は、例えば、参照信号の電圧がアナログの画像信号の電圧より高い場合に値「1」を出力し、参照信号の電圧がアナログの画像信号の電圧より低い場合に値「0」を出力することができる。
【0044】
カウント部332は、アナログデジタル変換部330におけるアナログデジタル変換の開始からの時間を計時するものである。この計時は、クロック信号(不図示)をカウントすることにより行うことができる。このカウントは、アナログデジタル変換の開始とともに開始され、比較部331からの比較結果に基づいて停止される。具体的には、比較部331の出力が値「1」から「0」に遷移した際に、カウント部332は、カウントを停止することができる。この場合、カウント部332は、アナログの画像信号と参照信号とが略等しくなった際にカウントを停止することとなる。前述のように参照信号は、アナログデジタル変換の開始に同期して生成されるため、カウント部332のカウント値は、参照信号の電圧に応じたデジタルの値となる。カウント部332は、カウントを停止した際のカウント値を保持部333に対して出力する。
【0045】
保持部333は、カウント部332から出力されたカウント値をアナログデジタル変換の結果生成されたデジタルの画像信号として保持するものである。この保持部333は、保持したデジタルの画像信号を画像信号転送部340に対して出力する。
【0046】
[基準信号供給部の構成]
図5は、本技術の第1の実施の形態における基準信号供給部40の構成例を示す図である。この基準信号供給部40は、電圧源42および43と、選択部44とを備える。
【0047】
電圧源42および43は、それぞれ第1の基準信号および第2の基準信号を生成するものである。前述のように第2の基準信号は、第1の基準信号より絶対値が低い電圧の信号である。
【0048】
選択部44は、電圧源42によって生成された第1の基準信号または電圧源43によって生成された第2の基準信号の何れか選択し、信号線41に対して出力するものである。この選択部44は、
図2において説明したリセット部102によりリセット電圧制御部101の出力と電荷保持部106との間が導通状態にある場合に第1の基準信号を選択する。これ以外の場合には、第2の基準信号が選択される。
【0049】
[画素回路]
図6は、本技術の第1の実施の形態における画素回路の一例を示す図である。同図は画素100、増幅部320および基準信号供給部40により構成される回路においてリセット動作を説明する図である。
【0050】
同図において、電荷保持部106の2つの端子のうち接地されていない側の端子が接続されるノードを電荷検出ノード109と称する。この電荷検出ノード109は、電荷保持部106に保持された電荷に応じた電圧を検出するためのノードに該当する。画像信号検出部107のゲートが電荷検出ノード109に接続され、電荷保持部106に保持された電荷に応じた電圧を画像信号として検出する。具体的には、電荷検出ノード109の電圧が画像信号検出部107のゲートおよびソース間の閾値Vth以上の場合に画像信号検出部107がオン状態になり、電荷検出ノードの電圧から閾値Vthを減じた電圧が画像信号としてソース端子に出力される。この画像信号は、画像信号選択部108により、信号線12を介して出力される。同図においては、閾値Vthを電位差191により表している。リセット時においても、電荷検出ノード109の電圧と画像信号との間には閾値Vthに相当する差分を生じる。この閾値Vthは周囲温度等の影響を受けて変化するため、リセット時の画像信号には誤差が含まれることとなる。
【0051】
そこで、増幅部320を配置し、画素100から出力される画像信号と基準信号供給部40から供給される基準信号との差分を電荷検出ノード109に帰還することにより、閾値Vthに起因する誤差を低減することができる。同図においては、リセット電圧制御部101およびリセット部102を導通させることにより帰還経路が形成され、画像信号および基準信号の差分の電圧がリセット電圧として電荷検出ノード109に帰還される。この際、増幅部320は、所定の利得により画像信号および基準信号の差分の電圧を増幅し、リセット電圧として出力することにより、帰還経路を一巡する利得(ループゲイン)を高くすることができる。これにより、閾値Vthによる誤差の低減効果を向上させることが可能になる。
【0052】
また、リセット時においては、kTCノイズと称されるノイズが電荷保持部106に残留する。このノイズは、リセット部102の動作に起因するノイズであり、リセット部102が導通状態から非導通状態に移行する際に発生する。そして、その一部が電荷保持部106に残留する。同図においては、このノイズを信号源192により表している。電荷保持部106に残留するノイズは、次式により表すことができる。
【0053】
Qn
2=kTC
ここで、Qnは、ノイズ電荷を表す。kは、ボルツマン定数を表す。Tは、温度を表す。Cは、電荷保持部106の静電容量を表す。このように、電荷保持部106の静電容量Cを小さくすることにより、kTCノイズ電荷を低減することができる。しかし、静電容量Cはノードの寄生容量に依存するため、変更することは困難である。また、静電容量Cを小さくした場合には、電荷保持容量が減少することとなり、画素100のダイナミックレンジが低下する。
【0054】
そこで、直列に接続された結合キャパシタ104およびリセット電圧保持部103を電荷保持部106と並列に接続する。これにより、光電変換部105により生成された電荷はこれら3つのキャパシタを合成したキャパシタに保持されることとなり、kTCノイズを低減することができる。リセット電圧保持部103は、例えば、電荷保持部106と同じ静電容量にすることができる。また、結合キャパシタ104は、例えば、電荷保持部106より小さい静電容量にすることができる。
【0055】
このような構成の画素回路において、リセット動作は、次のように行うことができる。まず、画像信号選択部108を導通状態にする。次に、リセット電圧制御部101およびリセット部102を導通させるとともに基準信号供給部40に第1の基準信号(Vb1)を供給させる。これにより、電荷保持部106には、第1の基準信号Vb1に基づくリセット電圧が印加されてリセットされる。その後、リセット部102を非導通の状態にする。ノイズ(信号源192)が電荷保持部106、リセット電圧保持部103および結合キャパシタ104に残留することとなるが、結合キャパシタ104を介して帰還経路が維持されるため、電荷保持部106に残留するノイズは除去される。その後、リセット電圧制御部101を非導通状態にすることにより、帰還経路が開放され、露光および画像信号の生成を行うことができる。
【0056】
このリセット電圧制御部101を非導通状態にする際、リセット電圧制御部101の動作に起因するノイズが発生する。同図においては、このノイズを信号源193により表している。ノイズ(信号源193)も電荷保持部106、リセット電圧保持部103および結合キャパシタ104に残留することとなるが、電荷保持部106より結合キャパシタ104の静電容量を小さくすることにより、電荷保持部106に分圧されるノイズを小さくすることができる。このように、同図の画素回路においては、Vthに起因する誤差およびkTCノイズの影響を低減することができる。
【0057】
上述のように、電荷保持部106の静電容量に対して結合キャパシタ104の静電容量を小さくすると、電荷保持部106に残留するノイズを低減することができる。しかし、電荷保持部106の静電容量に対して結合キャパシタ104の静電容量が小さい場合、増幅部320の出力電圧を高くする必要がある。増幅部320の出力電圧のうち結合キャパシタ104に印加される電圧が増加するためである。このため、増幅部320のダイナミックレンジを大きくする必要が生じる。そこで、リセット部102が導通状態から非導通状態に移行した際に、上述の第1の基準信号Vb1より絶対値が低い電圧の第2の基準信号Vb2を基準信号供給部40に供給させ、この第2の基準電圧Vb2に基づく電圧を電荷検出ノード109に帰還させる。
【0058】
すなわち、第1の基準信号Vb1に基づくリセット電圧が増幅部320から出力される際には、リセット部102により結合キャパシタ104が短絡される。リセット部102が非導通の状態になった際には、第1の基準信号Vb1より低い電圧である第2の基準信号Vb2に基づく電圧が増幅部320から出力される。これにより、増幅部320に要求されるダイナミックレンジの増加を防止することができる。
【0059】
また、電荷保持部106には、光電変換により生成された電荷のほかに光電変換以外の要因により生成された電荷が流入する。この電荷の流入は、暗電流と称され、誤差となって画像信号に重畳される。この暗電流は、画素100内部に印加された電圧に比例する。上述のように第2の基準信号に基づく電圧をリセット電圧保持部103および結合キャパシタ104に保持させることにより、リセット電圧保持部103等の電圧を低くすることができ、暗電流の影響を軽減することができる。
【0060】
[リセット動作]
図7は、本技術の第1の実施の形態におけるリセット動作の一例を示す図である。同図において、FBおよびRSTは、それぞれフィードバック信号線FBおよびリセット信号線RSTにより画素100に入力される制御信号を表す。これらは2値化された波形のうち値「1」がオン信号の入力を表す。また、基準信号は、基準信号供給部40から供給される基準信号を表す。この基準信号において、破線は、基準信号における0Vのレベルを表す。また、増幅部出力は、増幅部320の出力電圧波形を表す。リセット電圧保持部および電荷保持部は、それぞれリセット電圧保持部103および電荷保持部106に印加される電圧波形を表す。なお、同図においては、画像信号選択部108は導通状態にあるものと想定する。
【0061】
まず、フィードバック信号線FBおよびリセット信号線RSTからオン信号が入力されてリセット電圧制御部101およびリセット部102が導通状態になる。同時に、基準信号供給部40から第1の基準信号Vb1が供給される。これにより、増幅部320は、第1の基準信号Vb1に基づくリセット電圧を出力する。リセット部102が導通状態であるため、電荷保持部106にはリセット電圧保持部103と略同じ電圧(Vb1')が印加される。この電圧は、リセット電圧に該当し、第1の基準信号Vb1に閾値Vthを重畳した電圧に略等しい値となる。
【0062】
次に、リセット信号線RSTからのオン信号の入力を停止するとともに基準信号供給部40から第2の基準信号Vb2を供給させる。この際、リセット部102の動作に起因するノイズが発生する。同図においては、このノイズの影響により電荷保持部106の電圧がΔVb1低下する例を表した。しかし、リセット電圧制御部101は導通状態にあるため、結合キャパシタ104を介して第2の基準信号Vb2に基づく電圧であるVb2'が電荷保持部106に印加される。リセット電圧保持部103には、このVb2'より低い電圧が印加される。次に、フィードバック信号線FBからのオン信号の入力が停止され、リセット電圧制御部101が非導通状態になる。この際、リセット電圧制御部101の動作に起因するノイズの影響により電荷保持部106の電圧がΔVb2だけ低下する。結合キャパシタ104の効果により、このΔVb2は、ΔVb1より低い電圧になる。
【0063】
このように本技術の第1の実施の形態におけるリセット動作を行うことができる。リセット部102を非導通状態にするとともに第2の基準信号Vb2を増幅部320に供給することにより、リセット後の電荷保持部106の電圧がVb2'に変化することとなる。この場合には、第2の基準信号を画素100における黒レベルに相当する画像信号にする。すなわち、リセット時には、画素100における黒レベルに相当する電圧より高いリセット電圧によりリセットが行われることとなる。
【0064】
[画像信号生成処理]
図8は、本技術の第1の実施の形態における画像信号生成処理の一例を示す図である。同図は、画素アレイ部10における第1行および第2行に配置された画素100の画像信号生成処理を表したものである。同図において、基準信号は、基準信号供給部40により供給される基準信号を表す。この基準信号において、破線は、基準信号の0Vの電位を表す。参照信号は、
図1において説明した参照信号生成部50により生成される参照信号を表す。比較部出力は、
図4において説明した比較部331の出力を表す。SEL、FBおよびRSTは、それぞれ選択信号線SEL、フィードバック信号線FBおよびリセット信号線RSTにより入力される制御信号を表す。これらは、行毎に異なる制御信号が入力されるため、行番号を付して区別する。例えば、SEL1およびSEL2は、それぞれ第1行および第2行の画素100に配線された選択信号線SELにより入力される制御信号を表す。また、
図7と同様に値「1」がオン信号の入力を表す。画像信号は、画素100から出力される画像信号の波形を表す。この画像信号も行番号を付して区別する。
【0065】
T0乃至T1において、基準信号供給部40は、第2の基準信号Vb2を供給する。この第2の基準信号Vb2の供給は、T5まで継続する。当該期間は初期状態に該当し、全ての信号線へのオン信号の入力が停止される。また、この期間には、光電変換部105により生成された電荷が電荷保持部106に保持される。
【0066】
T1乃至T5において、選択信号線SEL1からオン信号が入力されて第1行に配置された画素100の画像信号選択部108が導通状態になり、電荷保持部106に保持された電荷に応じた画像信号が出力される(T1)。なお、選択信号線SEL1へのオン信号の入力は、T8まで継続する。次に、参照信号生成部50が参照信号の生成を開始する(T2)。次に、参照信号の電圧が画像信号の電圧より低くなると、比較部331の出力が値「1」から「0」に遷移する(T3)。次に、参照信号生成部50は、参照信号の生成を停止する(T4)。その後、
図4において説明した保持部333にデジタルの画像信号が保持される。
【0067】
T5乃至T6において、フィードバック信号線FB1およびリセット信号線RST1からオン信号が入力されてリセット電圧制御部101およびリセット部102が導通状態になる。同時に、基準信号供給部40が第1の基準信号Vb1を供給する。これにより、第1行に配置された画素100においてリセットが行われ、画像信号の電圧が上昇する。なお、フィードバック信号線FB1へのオン信号の入力は、T7まで継続する。
【0068】
T6乃至T7において、リセット信号線RST1へのオン信号の入力が停止される。同時に、基準信号供給部40は、第2の基準信号Vb2を供給する。これにより、画像信号は、第2の基準信号Vb2に基づく電圧に変化する。なお、基準信号供給部40の第2の基準信号Vb2の供給は、T12まで継続する。
【0069】
T7乃至T8において、フィードバック信号線FB1へのオン信号の入力が停止される。これにより、第1行に配置された画素100において、新たな露光が開始され、光電変換部105により生成された電荷が電荷保持部106に保持される。
【0070】
T8乃至T15において、選択信号線SEL1へのオン信号の入力が停止され、選択信号線SEL2にオン信号が入力される(T8)。その後は、第2行に配置された画素100において、T1乃至T8と同様の処理が行われる。
【0071】
これらの処理を画素アレイ部10の全ての行に配置された画素100に対して行うことにより、1画面分の画像信号であるフレームを生成することができる。このように、露光、リセットおよび画像信号の出力を行毎に順次行う撮像方法は、ローリングシャッタと称される。
【0072】
このように、本技術の第1の実施の形態では、画素100のリセット後にリセット電圧より低い電圧を増幅部320から画素100に対して出力することにより、リセット電圧保持部103および結合キャパシタ104に印加される電圧を低くする。これにより、暗電流の増加を抑制して、画質の低下を防止することができる。
【0073】
[変形例]
上述の第1の実施の形態では、リセット電圧制御部101およびリセット部102を介してリセット電圧が供給されていた。これに対し、本技術の第1の実施の形態の変形例では、リセット電圧を直接リセット部102に供給する点において、第1の実施の形態と異なる。
【0074】
[画素の構成]
図9は、本技術の第1の実施の形態の変形例における画素100の構成例を示す図である。同図の画素100は、リセット部102のドレインが信号線13に接続される点で、
図2において説明した画素100と異なる。リセット電圧がリセット電圧制御部101を経由することなくリセット部102に供給されるため、リセット電圧を伝達する経路の等価抵抗を低くし、リセットに要する時間を短縮することができる。
【0075】
このように、本技術の第1の実施の形態の変形例によれば、リセット電圧が直接リセット部102のドレインに印加されるため、リセットに要する時間を短縮することができる。
【0076】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施形態では、単一の増幅部320を使用してリセット電圧等を画素100に対して出力していた。これに対し、帯域幅の異なる複数の増幅器を使用してリセット等を行ってもよい。本技術の第2の実施の形態では、2つの増幅器を使用する点において、第1の実施の形態と異なる。
【0077】
[画素回路]
図10は、本技術の第2の実施の形態における画素回路の一例を示す図である。同図の画素回路は、次の点で
図6において説明した画素回路と異なる。同図のカラム信号処理部30は、増幅部350および選択部360をさらに備える。増幅部350は、増幅部320とは異なる帯域幅において画像信号と基準信号との差分を増幅する。また、選択部360は、増幅部320および350の何れかを選択し、選択した増幅部の出力を信号線13に対して伝達するものである。また、同図の基準信号供給部40は、第1の基準信号Vb1を増幅部320の非反転入力端子に供給し、第2の基準信号Vb2を増幅部350の非反転入力端子に供給する。
【0078】
同図の画素回路におけるリセット動作は、次のように行うことができる。まず、リセット電圧制御部101およびリセット部102を導通させる。同時に、選択部360は、増幅部320の出力を信号線13に伝達する。これにより、基準信号Vb1に基づくリセット電圧が増幅部320から出力されて、電荷保持部106に印加される。その後、リセット部102を非導通の状態にする。同時に、選択部360は、増幅部350の出力を信号線13に伝達する。これにより、基準信号Vb2に基づく電圧が増幅部350から出力されて、結合キャパシタ104を介して電荷保持部106に印加される。
【0079】
基準信号Vb1に基づくリセット電圧が電荷保持部106に印加される際には、リセット部102が導通して結合キャパシタ104を短絡するため、帰還経路の利得(ループゲイン)が高くなる。このため、基準信号Vb1に基づくリセット電圧が電荷保持部106に印加される際には、増幅部の帯域幅を狭くすることにより、増幅部の動作を安定にすることができる。一方、基準信号Vb2に基づく電圧が電荷保持部106に印加される際には、リセット部102が非導通の状態になるため、増幅部の出力電圧は、結合キャパシタ104および電荷保持部106により分圧されることとなる。このため、ループゲインが低下し、セトリングタイムが長くなる。そこで、基準信号Vb2に基づく電圧が電荷保持部106に印加される際には、増幅部の帯域幅を広くすることにより、セトリングタイムを短くすることができる。
【0080】
本技術の第2の実施の形態では、帯域幅の異なる2つの増幅部320および350を配置し、これらの何れかを選択して使用する。そして、増幅部320の帯域幅を狭くし、増幅部350の帯域幅を広くする。これにより、リセット電圧を印加する際には、増幅部の安定度を向上させることができる。また、基準信号Vb2に基づく電圧を印加する際には、セトリングタイムを短縮することができる。
【0081】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
このように、本技術の第2の実施の形態では、帯域幅の異なる2つの増幅部を選択して電荷保持部106にリセット電圧等を印加する。これにより、リセット時の安定度を向上させるとともに、セトリングタイムを短縮して撮像に要する時間を短縮することができる。
【0083】
[変形例]
上述の第2の実施の形態では、選択部360により増幅部320および350の出力を選択していた。これに対し、本技術の第2の実施の形態の変形例では、増幅部320および350の出力をそれぞれ個別に画素100に配線する。選択部360を必要としない点において、第2の実施の形態と異なる。
【0084】
[画素回路]
図11は、本技術の第2の実施の形態の変形例における画素回路の一例を示す図である。同図の画素回路は、
図10において説明した画素回路と比較して、選択部360を備える必要はない。また、同図の増幅部320の出力は信号線14を介してリセット部102のドレインに接続され、増幅部350の出力は信号線13を介してリセット電圧制御部101のドレインに接続される。
【0085】
このように、本技術の第2の実施の形態の変形例によれば、選択部360を設けることなく増幅部320および350の出力を画素100に供給することができ、撮像装置1の構成を簡略化することができる。
【0086】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施形態では、第1および第2の基準電圧に基づくリセット電圧等を電荷保持部106に印加していた。これに対し、画素100に要求されるダイナミックレンジに応じて基準電圧を変更し、リセット電圧等を変更してもよい。本技術の第3の実施の形態では、ダイナミックレンジに応じてリセット電圧を変更する点において、第1の実施の形態と異なる。
【0087】
[基準信号供給部の構成]
図12は、本技術の第3の実施の形態における基準信号供給部40の構成例を示す図である。同図の基準信号供給部40は以下の点で、
図5において説明した基準信号供給部40と異なる。同図の基準信号供給部40は、選択部44の代わりに選択部47を備える。また、同図の基準信号供給部40は、電圧源45および46をさらに備える。
【0088】
電圧源45および46は、それぞれ第3の基準信号および第4の基準信号を生成するものである。第3の基準信号および第4の基準信号は、それぞれ第1の基準信号および第2の基準信号に対応する信号である。すなわち、第4の基準信号は、第3の基準信号より絶対値が低い電圧の信号となる。一方、第3の基準信号および第4の基準信号は、それぞれ第1の基準信号および第2の基準信号より絶対値が低い電圧の信号である。
【0089】
選択部47は、電圧源42、43、45および46によって生成された基準信号の何れかを選択し、信号線41に対して出力するものである。この選択部47は、次のように動作する。撮像装置1に対して広いダイナミックレンジが要求される場合には、第1の基準信号および第2の基準信号を選択して増幅部320に対して供給する。これにより、比較的高いリセット電圧が適用され、画素の飽和を防止して広いダイナミックレンジにすることができる。一方、広いダイナミックレンジが必要とされない場合には、選択部47は、第3の基準信号および第4の基準信号を選択して増幅部320に対して供給する。これにより、比較的低いリセット電圧を適用することができ、暗電流を低減することができる。このため、低照度環境において撮像を行う場合に、画質を改善することができる。
【0090】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、基準信号を選択して増幅部320に供給することによりリセット電圧を変更して要求されるダイナミックレンジに応じた特性を得ることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0092】
<4.第4の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、アナログデジタル変換部330において、比較部331により画像信号と参照信号との比較を行っていた。これに対し、この比較を増幅部320が行ってもよい。本技術の第4の実施の形態では、増幅部320がアナログデジタル変換における画像信号と参照信号との比較をさらに行う点において、第1の実施の形態と異なる。
【0093】
[カラム信号処理部の構成]
図13は、本技術の第4の実施の形態におけるカラム信号処理部30の構成例を示す図である。同図のカラム信号処理部30は、以下の点で
図3において説明したカラム信号処理部30と異なる。同図のカラム信号処理部30は、アナログデジタル変換部330の代わりにアナログデジタル変換部390を備える。また、同図のカラム信号処理部30は、選択部370および380をさらに備える。
【0094】
アナログデジタル変換部390は、カウント部392と、保持部393とを備える。これらの構成は、
図4において説明したカウント部332および保持部333と同様の構成にすることができる。なお、カウント部392は、信号線33により選択部380に接続される。
【0095】
選択部370は、基準信号供給部40から出力された基準信号または参照信号生成部50から出力された参照信号の何れかを選択して増幅部320の非反転入力端子に入力するものである。この選択部370は、画素100においてリセット動作を行う際には基準信号を選択し、画像信号のアナログデジタル変換を行う際には参照信号を選択する。
【0096】
選択部380は、信号線13または信号線33の何れかを選択し、増幅部320の出力を選択した信号線に対して出力するものである。この選択部380は、画素100においてリセット動作を行う際には信号線13を選択し、画像信号のアナログデジタル変換を行う際には信号線33を選択する。
【0097】
同図の増幅部320は、画像信号のアナログデジタル変換を行う際、画像信号と参照信号との差分の電圧を増幅する。この増幅後の差分の電圧を画像信号と参照信号とを比較した結果としてカウント部392に対して出力する。この際、増幅部320の利得を画素100においてリセット動作を行う際よりも高い利得にすることにより、出力の遷移を急峻なものにすることができ、アナログデジタル変換の誤差を低減することができる。
【0098】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
このように、本技術の第4の実施の形態によれば、カラム信号処理部30において比較部331を設けることなくアナログデジタル変換を行うことができ、撮像装置1の構成を簡略化することができる。
【0100】
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、リセット電圧制御部101が非導通状態に移行する際に生じるノイズを結合キャパシタ104および電荷保持部106により分圧することにより、上記ノイズの影響を削減していた。これに対し、リセット電圧制御部101の非導通状態への移行を緩慢なものにしてノイズを低減してもよい。本技術の第5の実施の形態では、リセット電圧制御部101の非導通状態への移行速度を変更する点において、第1の実施の形態と異なる。
【0101】
[制御信号]
図14は、本技術の第5の実施の形態における制御信号の一例を示す図である。同図は、フィードバック信号線FBおよびリセット信号線RSTにより伝達される制御信号の波形を表したものである。
【0102】
前述のように、フィードバック信号線FBはリセット電圧制御部101の制御信号(オン信号)を伝達し、リセット信号線RSTはリセット部102の制御信号(オン信号)を伝達する。これらのオン信号の立下がり時間を長くすることにより、リセット電圧制御部101およびリセット部102における導通状態から非導通状態への移行速度を遅くする。これにより、いわゆるスイッチングノイズを低減することができ、電荷保持部106に残留するノイズをさらに削減することができる。また、このような波形にすることにより、画素アレイ部10の行に配置された信号線11による伝播遅延の影響を低減することもできる。
【0103】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
このように、本技術の第5の実施の形態によれば、制御信号の波形を変更することにより、リセット電圧制御部101等の動作に基づいて発生するノイズを削減することができる。
【0105】
<6.第6の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、ローリングシャッタ方式の撮像を行っていた。これに対し、グローバルシャッタ方式の撮像を行ってもよい。本技術の第6の実施の形態では、グローバルシャッタ方式を採用する点において、第1の実施の形態と異なる。
【0106】
[画素の構成]
図15は、本技術の第6の実施の形態における画素100の構成例を示す図である。同図の画素100は、以下の点で
図2において説明した画素100と異なる。同図の画素100は、オーバーフローゲート111および電荷転送部112をさらに備える。また、同図の画素100には、オーバーフロー信号線OFG(Overflow)および転送信号線TRG(Transfer Gate)がさらに配線される。オーバーフロー信号線OFGは、オーバーフローゲート111にオン信号を伝達する信号線である。転送信号線TRGは、電荷転送部112にオン信号を伝達する信号線である。
【0107】
オーバーフローゲート111のゲートはオーバーフロー信号線OFGに接続され、ドレインは電源線Vddに接続される。光電変換部105のカソードは、オーバーフローゲート111のソースおよび電荷転送部112のソースに共通に接続される。電荷転送部112のゲートは転送信号線TRGに接続され、ドレインは画像信号検出部107のゲート、リセット部102のソース、電荷保持部106の一端および結合キャパシタ104の一端に接続される。なお、オーバーフローゲート111および電荷転送部112には、MOSトランジスタを使用することができる。これ以外の画素100の構成は
図2において説明した画素100の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
オーバーフローゲート111は、光電変換部105をリセットするものである。このオーバーフローゲート111は、光電変換部105と電源線Vddとの間を導通させることにより、このリセットを行う。また、オーバーフローゲート111は、光電変換部105において過剰に生成された電荷の排出をさらに行う。
【0109】
電荷転送部112は、光電変換部105において生成された電荷を電荷保持部106に転送するものである。この電荷転送部112は、光電変換部105と電荷保持部106との間を導通させることにより、電荷の転送を行う。
【0110】
[画像信号生成処理]
図16は、本技術の第6の実施の形態における画像信号生成処理の一例を示す図である。同図は、画素アレイ部10における第1行乃至第3行に配置された画素100の画像信号生成処理を表したものである。同図の記載は
図8と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
T0乃至T2において、基準信号供給部40は、第2の基準信号Vb2を供給する。この第2の基準信号Vb2の供給は、T6まで継続する。また、オーバーフロー信号線OFG1乃至3からオン信号が入力されて、画素アレイ部10に配置された画素100のオーバーフローゲート111が導通し、光電変換部105がリセットされる(T0)。次に、オーバーフロー信号線1乃至3へのオン信号の入力が停止される(T1)。これにより露光が開始される。すなわち、光電変換部105は、生成した電荷の保持を開始する。
【0112】
T2乃至T3において、転送信号線TRG1乃至3からオン信号が入力されて、画素アレイ部10に配置された全ての画素100の電荷転送部112が導通する。これにより、光電変換部105に保持された電荷が電荷保持部106に転送される。
【0113】
T3乃至T6において、転送信号線TRG1乃至3へのオン信号の入力が停止される。同時に、オーバーフロー信号線OFG1乃至3から全ての画素100のオーバーフローゲート111にオン信号が入力される。これにより、露光が停止される。なお、オーバーフロー信号線OFG1乃至3へのオン信号の入力はT22まで継続する。また、選択信号線SEL1からオン信号が入力されて、第1行の画素100の画像信号選択部108が導通状態になる。なお、選択信号線SEL1へのオン信号の入力は、T9まで継続する。次に、参照信号生成部50が参照信号の生成を行い(T4乃至T5)、画像信号のアナログデジタル変換が行われる。
【0114】
T6乃至T9において、フィードバック信号線FB1およびリセット信号線RST1からオン信号が入力されてリセット電圧制御部101およびリセット部102が導通状態になる。同時に、基準信号供給部40が第1の基準信号Vb1を供給する。これにより、第1行に配置された画素100においてリセットが行われる。次に、リセット信号線RST1へのオン信号の入力が停止される(T7)。同時に、基準信号供給部40は、第2の基準信号Vb2の供給を開始する。なお、基準信号供給部40の第2の基準信号Vb2の供給は、T12まで継続する。その後、フィードバック信号線FB1へのオン信号の入力が停止される(T8)。これにより、第1の行に配置された画素100における画像信号のアナログデジタル変換およびリセットの処理が終了する。
【0115】
T9乃至T15において、選択信号線SEL1へのオン信号の入力が停止され、選択信号線SEL2にオン信号が入力される(T9)。その後は、第2行に配置された画素100において、T3乃至T9と同様の処理が行われる。
【0116】
T15乃至T21において、選択信号線SEL2へのオン信号の入力が停止され、選択信号線SEL3にオン信号が入力される(T15)。その後、第3行に配置された画素100において、上記と同様の処理が行われる。
【0117】
T21乃至T23において、全ての行に配置された画素100に対してT3乃至T9と0同様の処理が行われ、1画面分の画像信号が画素アレイ部10から取得されるとともに画素アレイ部10に配置された全ての画素100のリセットが終了する。また、オーバーフロー信号線OFG1乃至3へのオン信号の入力が停止され、新たに露光が開始される(T22)。
【0118】
T23乃至T24において、T2乃至T3と同様の処理を行い、露光の停止および光電変換部105からの電荷の転送が行われる。
【0119】
なお、オーバーフロー信号線OFGへのオン信号の入力および入力の停止は、画素アレイ10の全ての行に配置された画素100に対して同時に行われる。同様に、転送信号線TRGへのオン信号の入力および入力の停止は、画素アレイ10の全ての行に配置された画素100に対して同時に行われる。これにより、画素アレイ部10に配置された全ての画素100において露光の開始および終了を同時に行うことができる。
【0120】
このように、露光の開始および終了が画素アレイ部10に配置された全ての画素100において同時に行われるため、ローリングシャッタ方式と比較して歪みが少ない画像信号を得ることができる。
【0121】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
このように、本技術の第6の実施の形態では、画素100にオーバーフローゲート111および電荷転送部112を配置し、光電変換部105のリセットおよび光電変換部105からの電荷の転送を全画素同時に行う。これにより、グローバルシャッタ方式を採用することができ、画質を向上させることができる。
【0123】
<7.第7の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、画素アレイ部10とカラム信号処理部30とを同一の半導体チップに形成していた。これに対し、これらを異なる半導体チップに形成してもよい。本技術の第7の実施の形態では、2つ半導体チップにより撮像装置1が形成される点において、第1の実施の形態と異なる。
【0124】
[撮像装置の構成]
図17は、本技術の第7の実施の形態における撮像装置1の構成例を示す図である。同図の撮像装置1は、画素チップ2と、回路チップ3とを備える。
【0125】
画素チップ2は、画素アレイ部10が形成された半導体チップである。この画素チップ2には、垂直駆動部20(不図示)をさらに形成することができる。
【0126】
回路チップ3は、カラム信号処理部30が形成された半導体チップである。この回路チップ3には、基準信号供給部40(不図示)および参照信号生成部50(不図示)をさらに形成することができる。
【0127】
同図の撮像装置1は、これら画素チップ2および回路チップ3が接合されて構成される。同図において、画素100からの画像信号を伝達する信号線12は、パッド122および123と配線121および124とにより構成される。パッド122および123は、それぞれ画素チップ2および回路チップ3の接合面に形成され、信号の伝達を行うものである。画素チップ2および回路チップ3が接合される際に、これらのパッドが互いに接触するように位置合わせされて接合される。これにより、これらのパッド間が電気的に接続され、信号の伝達を行うことができる。配線121は、画素チップ2に形成され、画素100とパッド122とを接続する配線である。また、配線124は、回路チップ3に形成され、増幅部320とパッド123とを接続する配線である。信号線12と同様に、信号線13もパッド132および133と配線131および134とにより構成される。
【0128】
また、画素チップ2と回路チップ3とを接合し、パッド122および123等により信号線の接続を行うことにより、増幅部320を画素100の近傍、例えば、直下に配置することができる。これにより、信号線13の配線距離を短縮することができ、信号線13の寄生容量を小さくすることができる。この寄生容量は増幅部320の出力に接続されることとなるため、この寄生容量を小さくすることにより、セトリングタイムが短くなり、リセットに要する時間を短縮することができる。
【0129】
これ以外の撮像装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した撮像装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
このように、本技術の第7の実施の形態によれば、撮像装置1を画素チップ2および回路チップ3を接合させて構成することにより、リセットに要する時間を短縮することができる。
【0131】
上述のように、本技術の実施の形態によれば、リセット後にリセット電圧より低い電圧を画素100に配置されたリセット電圧保持部103および結合キャパシタ104に印加することにより、暗電流を抑制して、画質の低下を防止することができる。
【0132】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0133】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0134】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0135】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)照射された光に応じた電荷を保持して当該保持された電荷に応じた電圧を画像信号として検出するための電荷検出ノードに接続される電荷保持部と、
前記画像信号の基準となる基準信号と前記検出された画像信号との差分の電圧を前記電荷保持部のリセット電圧として出力する増幅部と、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間を導通させることにより前記電荷保持部をリセットするリセット部と、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間に配置されて前記出力されたリセット電圧を前記電荷保持部に伝達する結合キャパシタと、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が導通状態の場合に前記基準信号を前記増幅部に供給し、前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が非導通状態の場合に前記基準信号とは異なる基準信号を前記増幅部に供給する基準信号供給部と
を具備する撮像素子。
(2)前記基準信号供給部は、前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が非導通状態の場合に前記基準信号より低い電圧の基準信号を前記増幅部に供給する前記(1)に記載の撮像素子。
(3)前記増幅部の出力と前記結合キャパシタとの間に配置されて前記出力されたリセット電圧の前記結合キャパシタへの伝達を制御するリセット電圧制御部と、
前記リセット電圧制御部の出力に接続されて前記制御されたリセット電圧を保持するリセット電圧保持部と
をさらに具備する前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)前記増幅部は、前記差分の電圧の増幅をさらに行い、前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が導通状態か否かに応じて前記増幅における帯域幅を変更する前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像素子。
(5)前記電荷検出ノードに接続されて前記検出された画像信号を出力する画像信号出力部をさらに具備する前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)前記出力された画像信号をアナログデジタル変換する際の基準となる参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記参照信号に応じたデジタルの信号を前記出力された画像信号と前記生成された参照信号との比較の結果に基づいて保持して当該保持したデジタルの信号を前記画像信号に対するアナログデジタル変換の結果として出力する保持部と
をさらに具備し、
前記増幅部は、前記出力された画像信号と前記生成された参照信号との差分の電圧を前記比較の結果として前記保持部に対してさらに出力する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)前記増幅部は、前記出力された画像信号と前記供給された基準信号との差分の電圧の増幅を行い、前記出力された画像信号と前記生成された参照信号との差分の電圧に対して前記増幅の際とは異なる利得により増幅を行う前記(6)に記載の撮像素子。
(8)照射された光に応じた電荷を保持して当該保持された電荷に応じた電圧を画像信号として検出するための電荷検出ノードに接続される電荷保持部と、
前記画像信号の基準となる基準信号と前記検出された画像信号との差分の電圧を前記電荷保持部のリセット電圧として出力する増幅部と、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間を導通させることにより前記電荷保持部をリセットするリセット部と、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間に配置されて前記出力されたリセット電圧を前記電荷保持部に伝達する結合キャパシタと、
前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が導通状態の場合に前記基準信号を前記増幅部に供給し、前記電荷検出ノードと前記増幅部の出力との間が非導通状態の場合に前記基準信号とは異なる基準信号を前記増幅部に供給する基準信号供給部と、
前記検出された画像信号を処理する処理回路と
を具備する撮像装置。