【課題を解決するための手段】
【0006】
上記実情に鑑み、本発明者らは、まず、HMG−CoA還元酵素阻害剤の一種であるピタバスタチンの癌細胞に対する直接的な増殖抑制作用ではなく、腫瘍抗原特異的T細胞に対する作用を検討したところ、ピタバスタチンが単独で腫瘍抗原特異的T細胞の誘導を増強する作用を有することを見出した。当該腫瘍抗原特異的T細胞誘導増強作用は、癌免疫療法に関与することに鑑み、ピタバスタチンと抗PD−1抗体とを併用して、腫瘍抗原特異的T細胞の誘導作用、及び抗腫瘍作用を検討したところ、当該併用により、腫瘍抗原特異的T細胞誘導作用及び抗腫瘍作用が相乗的に増強されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[33]に関するものである。
[1]免疫チェックポイント阻害剤、及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を組み合わせてなる抗癌剤。
[2]免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、及び抗CTLA−4抗体からなる群から選択される[1]に記載の抗癌剤。
[3]抗PD−1抗体が、ニボルマブ又はペンブロリズマブである[2]に記載の抗癌剤。
[4]抗PD−L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブである[2]に記載の抗癌剤。
[5]抗CTLA−4抗体が、イピリムマブ又はトレメリムマブである[2]に記載の抗癌剤。
[6]HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である[1]〜[5]のいずれかに記載の抗癌剤。
[7]ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が、ピタバスタチンカルシウム又はピタバスタチンカルシウム水和物である[6]に記載の抗癌剤。
[8]癌の予防及び/又は治療のために用いられる[1]〜[7]のいずれかに記載の抗癌剤。
[9]癌が卵巣癌である[8]に記載の抗癌剤。
[10]癌が大腸癌である[8]に記載の抗癌剤。
[11]免疫チェックポイント阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、及び医薬として許容される担体を含有してなる医薬組成物。
[12]免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、及び抗CTLA−4抗体からなる群から選択される[11]に記載の医薬組成物。
[13]抗PD−1抗体が、ニボルマブ又はペンブロリズマブである[12]に記載の医薬組成物。
[14]抗PD−L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブである[12]に記載の医薬組成物。
[15]抗CTLA−4抗体が、イピリムマブ又はトレメリムマブである[12]に記載の医薬組成物。
[16]HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である[11]〜[15]のいずれかに記載の医薬組成物。
[17]ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が、ピタバスタチンカルシウム又はピタバスタチンカルシウム水和物である[16]に記載の医薬組成物。
[18]腫瘍増殖抑制のために用いられる[11]〜[17]のいずれかに記載の医薬組成物。
[19]癌の予防及び/又は治療のために用いられる[11]〜[18]のいずれかに記載の医薬組成物。
[20]癌が卵巣癌である[19]に記載の医薬組成物。
[21]癌が大腸癌である[19]に記載の医薬組成物。
[22]免疫チェックポイント阻害剤、及びHMG−CoA還元酵素阻害剤を組み合わせてなる癌の予防及び/又は治療のための医薬。
[23]免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、及び抗CTLA−4抗体からなる群から選択される[22]に記載の医薬。
[24]抗PD−1抗体が、ニボルマブ又はペンブロリズマブである[23]に記載の医薬。
[25]抗PD−L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブである[23]に記載の医薬。
[26]抗CTLA−4抗体が、イピリムマブ又はトレメリムマブ)である[23]に記載の医薬。
[27]HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である[22]〜[26]のいずれかに記載の医薬。
[28]ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が、ピタバスタチンカルシウム又はピタバスタチンカルシウム水和物である[27]に記載の医薬。
[29]癌が卵巣癌である[22]〜[28]のいずれかに記載の医薬。
[30]癌が大腸癌である[22]〜[28]のいずれかに記載の医薬。
[31]HMG−CoA還元酵素阻害剤を有効成分とする腫瘍抗原特異的T細胞の誘導増強剤。
[32]HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である[31]に記載の腫瘍抗原特異的T細胞の誘導増強剤。
[33]ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が、ピタバスタチンカルシウム又はピタバスタチンカルシウム水和物である[32]に記載の腫瘍抗原特異的T細胞の誘導増強剤。