(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず以下では、
図1を用いて、一実施形態に係る建物情報提供システム1の構成について説明する。なお、本実施形態に係る建物情報提供システム1は、マンション(集合住宅)に適用されるものとする。
【0017】
建物情報提供システム1は、入居者の要望に応じて、当該入居者の住宅に関する情報を提供するものである。なお、本実施形態における入居者とは、建物情報提供システム1が適用されているマンションの入居者を意味している。建物情報提供システム1は、主として入居者端末10及びホストサーバ20を具備する。
【0018】
入居者端末10は、種々の情報を表示可能であり、かつ各種の入力操作が可能なものである。入居者端末10としては、情報を表示可能な表示部及び入力操作可能な操作部を有する機器を用いることができる。例えば、入居者端末10としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。入居者端末10は、マンションの各住宅にそれぞれ設けられている。
【0019】
ホストサーバ20は、入居者が入居している住宅に関する情報を管理するものである。ホストサーバ20は、主として電子説明書サーバ21、建物情報サーバ22及び入居者情報サーバ23等を具備する。
【0020】
電子説明書サーバ21は、住宅に関する情報を記憶するものである。具体的には、住宅に関する情報として、当該住宅に設けられた設備の取扱説明書(電子データ化された取扱説明書)が電子説明書サーバ21に記憶されている。
【0021】
建物情報サーバ22は、住宅の識別情報を記憶するものである。建物情報サーバ22は、当該住宅の識別情報として、建物情報提供システム1が適用される各住宅にそれぞれ割り当てられた識別番号(建物ID)と、当該各住宅を識別するための情報(住所、部屋番号等)と、を関連付けて記憶している。なお、本実施形態のようなマンションの場合、各住宅(部屋)ごとに建物IDが割り当てられている。
【0022】
入居者情報サーバ23は、住宅の入居者の識別情報を記憶するものである。入居者情報サーバ23は、当該入居者の識別情報として、建物情報提供システム1を利用する入居者にそれぞれ割り当てられた識別番号(利用者ID)と、当該入居者を識別するための情報(氏名等)と、を関連付けて記憶している。
【0023】
ホストサーバ20は、上記電子説明書サーバ21等のほか、各種情報を記憶する記憶部(不図示)、各種の演算を行う演算部(不図示)、Webページを提供するWebサーバ等を具備する。ホストサーバ20は、インターネットN(外部ネットワーク)を介して、各入居者端末10と通信することができる。
【0024】
以下では、
図2を用いて、上述の如く構成された建物情報提供システム1の利用方法について説明する。なお、建物情報提供システム1は、マンションの管理会社によって運用されるものとする。
【0025】
まず、マンションが建設されると、当該マンションの各住宅に設けられた設備についての取扱説明書が、当該設備を提供した住宅設備メーカーからマンションの管理会社へと提供される(
図2の矢印(1)参照)。ここで住宅設備メーカーから提供される取扱説明書は、マンションの建設時から各住宅に設けられている設備(各住宅固有の設備)についての取扱説明書である。各住宅固有の設備としては、例えば給湯器、備え付けのエアコン、備え付けの照明等が含まれる。
【0026】
次に、管理会社は、住宅設備メーカーから提供された住宅固有の設備についての取扱説明書を、適宜のフォーマットで電子データ化する。また管理会社は、電子データ化された取扱説明書を、電子説明書サーバ21に記憶する(
図2の矢印(2)参照)。
【0027】
次に、管理会社は、マンションのオーナーから建物情報提供システム1の利用を依頼された(受注した)場合(
図2の矢印(3)参照)、当該マンションの各住宅の識別情報を建物情報サーバ22に記憶する(
図2の矢印(4)参照)とともに、各住宅の入居者の識別情報を入居者情報サーバ23に記憶する(
図2の矢印(5)参照)。またホストサーバ20は、住宅固有の設備についての取扱説明書、各住宅の識別情報及び各住宅の入居者の識別情報を互いに紐付ける(
図2の矢印(4)’及び矢印(5)’参照)。
【0028】
また、マンションの各住宅に入居した入居者は、入居後に自らが購入して住宅に設置した設備(入居者固有の設備)についての取扱説明書を、ホストサーバ20に記憶させる(
図2の矢印(6)参照)。入居者固有の設備としては、例えば家電、植栽、日用品等が含まれる。ホストサーバ20は、入居者固有の設備についての取扱説明書を、住宅固有の設備についての取扱説明書と同様に、電子説明書サーバ21に記憶するとともに、各住宅の識別情報及び各住宅の入居者の識別情報と互いに紐付ける。
【0029】
なお、入居者が入居者固有の設備についての取扱説明書をホストサーバ20に記憶させる方法としては、例えば、自ら入居者端末10を用いて電子データ化した後にホストサーバ20へと送信したり、外部(例えば、管理会社)に依頼したりする方法がある。
【0030】
ここで、ホストサーバ20による取扱説明書、各住宅の識別情報及び各住宅の入居者の識別情報の紐付け方について、具体的に説明する。
【0031】
図3に示すように、ホストサーバ20は、取扱説明書を利用者層L1と建物層L2の2階層に分けて管理している。
【0032】
利用者層L1とは、入居者固有の設備についての取扱説明書が記憶されている階層である。当該利用者層L1は、利用者IDに紐付けられている。これによって、利用者IDに基づいて、当該利用者固有の設備についての取扱説明書を一括して管理することができる。
【0033】
建物層L2とは、住宅固有の設備についての取扱説明書が記憶されている階層である。当該建物層L2は、建物IDに紐付けられている。これによって、建物IDに基づいて、当該住宅固有の設備についての取扱説明書を一括して管理することができる。
【0034】
さらに、利用者IDと建物IDとが紐付けられることで、各住宅と、当該住宅に入居している入居者と、が紐付けられる。当該各住宅と入居者との紐付けに基づいて、対応する利用者層L1と建物層L2とを紐付けることができる。
【0035】
このように、入居者固有の設備についての取扱説明書と、住宅固有の設備についての取扱説明書とを、異なる階層(利用者層L1及び建物層L2)で管理することで、当該利用者層L1と建物層L2との紐付けを容易に変更することができる。例えば、入居者が他の住宅に引っ越す場合には、当該入居者の利用者IDと引っ越し前の住宅の建物IDとの紐付けを解除するとともに、当該入居者の利用者IDと引っ越し先の住宅の建物IDとを新たに紐付けすることで、引っ越し先の住宅の設備についての取扱説明書を容易にまとめて管理することができる。
【0036】
このように、取扱説明書、各住宅の識別情報及び各住宅の入居者の識別情報が互いに紐付けられてホストサーバ20に記憶されている状態で、入居者から住宅の設備についての取扱説明書の閲覧を要求された場合、ホストサーバ20は当該入居者の住宅の入居者端末10に当該取扱説明書を表示させる(
図2の矢印(7)参照)。
【0037】
具体的には、入居者は、自らが入居している住宅の設備の取扱説明書を閲覧したい場合、入居者端末10から建物情報提供システム1のWebページにアクセスする。入居者は、当該Webページにおいて自らを識別する情報(例えば、利用者IDや予め設定されているパスワード等)を入力して認証を行う。ホストサーバ20は、入居者の認証が完了すると、当該入居者専用のWebページを当該入居者の入居者端末10から閲覧可能な状態にする。
【0038】
図4には、入居者専用のWebページの表示例を示している。入居者専用のWebページからは、入居者の利用者IDに紐付けられた入居者固有の設備についての取扱説明書を閲覧することができる。
図4の表示例では、「あなたの持つ説明書」として、当該入居者固有の設備についての取扱説明書を列挙している。
【0039】
また、入居者専用のWebページからは、入居者が入居している住宅固有の設備についての取扱説明書を閲覧することができる。
図4の表示例では、「建物の持つ説明書」として、当該住宅固有の設備についての取扱説明書を列挙している。
【0040】
図4の表示例では、「あなたの持つ説明書」及び「建物の持つ説明書」が左側に列挙され、その中から選択された一の取扱説明書の内容が右側に表示されている。このように、入居者は、入居者専用のWebページから所望の取扱説明書を閲覧することができる。
【0041】
また、取扱説明書の右方には、「解決できた」ボタンと「よくわからなかった」ボタンが表示される。入居者は、通常、設備に何らかの問題が生じた際に取扱説明書を閲覧するものと考えられる。このため、このような「解決できた」ボタン等を取扱説明書とともにWebページに表示することで、入居者に問題を解決できたか否かをWebページ上で入力させることができる。ホストサーバ20は、当該情報(入居者が問題を解決できたか否かの情報)を収集し、当該設備のメーカー等へと当該情報を提供する。マンションの管理会社は、このように情報を提供することで、当該メーカー等から手数料を徴収することができる。また当該メーカーは収集された情報を用いて取扱説明書の表示方法等を改善することができる。
【0042】
また、取扱説明書の下方には、現在閲覧している設備に関する広告が表示される。入居者は、通常、設備に何らかの問題が生じた際に取扱説明書を閲覧するものと考えられる。このため、このような広告を取扱説明書とともにWebページに表示することで、入居者に設備の買い替え等を効果的に促すことができる。マンションの管理会社は、このようにWebページに広告を表示することで、当該設備のメーカー等から広告料を徴収することができる。
【0043】
このように、建物情報提供システム1を用いることで、入居者はWebページ上で取扱説明書を閲覧することができるようになる。これによって、入居者が住宅に入居する際には、当該入居者に印刷された取扱説明書を渡す必要がなくなり、紙資源の節約を図ることができる。なお、この場合、入居者の希望に応じて、印刷された取扱説明書を有料又は無料で提供してもよい。
【0044】
以上の如く、本実施形態に係る建物情報提供システム1は、
建物(住宅)に関する情報が記憶されているホストサーバ20と、
前記建物の入居者の希望に応じて前記情報を閲覧可能な入居者端末10と、
を具備し、
前記情報には、
前記入居者に紐付けられた利用者層L1(第一の情報)と、
前記建物に紐付けられた建物層L2(第二の情報)と、
が含まれるものである。
このように構成することにより、情報の取り扱いの利便性を向上させることができる。すなわち、利用者層L1と建物層L2を区別して管理することで、入居者の引っ越し等による情報の変更にも、当該利用者層L1と建物層L2の紐付けを変更することで容易に対応することができる。
【0045】
また、前記建物に関する情報には、
前記建物に設けられた設備の取扱説明書が含まれるものである。
このように構成することにより、入居者自身が取扱説明書を管理する必要がなくなり、利便性を向上させることができる。
【0046】
また、前記ホストサーバ20は、
前記入居者端末10による閲覧履歴に関する情報を収集するものである。
このように構成することにより、閲覧履歴に関する情報を有効活用することができる。これによって、情報(取扱説明書等)の内容の充実を図る等、将来的な入居者の利便性の向上を図ることができる。また、当該情報を建物に関する設備のメーカー等に譲渡して手数料を徴収することで、利益を得ることもできる。
【0047】
また、前記ホストサーバ20は、
前記入居者端末10により閲覧されている情報に関する広告を前記入居者端末10に表示させるものである。
このように構成することにより、入居者に、建物に関する設備の購入等を促すことができる。また、広告主から手数料を徴収することで、利益を得ることもできる。
【0048】
以上、各実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、建物情報提供システム1は、住宅に限らず、種々の建物(例えば、戸建住宅、オフィスビル、商業施設等)に適用することが可能である。
【0050】
また、入居者端末10としては、住宅に設置された派疎なるコンピュータだけではなく、タッチパネル、ユーザーが所有する携帯型端末(例えば、スマートフォン等)、HEMS(Home Energy Management System)等を用いることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、住宅に関する情報として、当該住宅に設けられた設備の取扱説明書を例に挙げて説明したが、その他種々の情報(例えば、住宅の契約情報、保険に関する契約情報、住宅に関する履歴情報等)を用いることができる。
【0052】
また、
図4に示したWebページはあくまで一例であり、任意の態様で各種情報を表示させることが可能である。
【0053】
また、
図4に示したWebページはあくまで一例であり、その他の情報を表示させることも可能である。例えば、住宅の設備のリコール情報等を表示させることも可能である。
【0054】
また、本実施形態においては、入居者が問題を解決できたか否かの情報を収集し、設備のメーカー等へと当該情報を提供する例を示したが、その他種々の情報(例えば、閲覧ページ、閲覧時間等)を提供し、有効活用を図ることも可能である。
【0055】
また、本実施形態においては、取扱説明書を利用者層L1と建物層L2の2階層に分けて管理する例を示したが、3階層以上に分けて管理することも可能である。例えば、家族の一人一人に紐付けた利用者層により情報(取扱説明書等)を管理すれば、単身赴任や結婚等により家族のうち一部だけが他の住宅へと引っ越す場合にも容易に対応することができる。