(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記緩衝材の前記両側縁に隣接する前記外箱の前記側壁は、該側壁の外側部分を構成する前記段ボール紙が該側壁の上端部で前記開口部の内側へ前記底壁に向けて折り返され前記凸部に隣接する折返し部を有し、
前記折返し部の前記底壁側の端部は、前記凸部の頂部よりも前記底壁に近接しかつ前記底壁から離隔していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡ケース。
前記両側縁の一方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部と、前記両側縁の他方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部とは、非回転対称に配置されていること特徴とする請求項5に記載の内視鏡ケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された従来の内視鏡収納ケースは、内視鏡スコープの取り出しおよび収納が煩雑である。たとえば、内視鏡スコープを取り出すときには、ケース本体の内部に収容された内箱状の上部緩衝材と下部緩衝材を、扁平なケース本体の厚さ方向に沿う一側面の開口部から完全に抜き出す必要がある。さらに、ケース本体から抜き出した上部緩衝材と下部緩衝材とを、下部緩衝材が下になるように配置して、下部緩衝材の上部を覆う上部緩衝材を取り外すことで、ようやく内視鏡スコープを取り出すことが可能になる。
【0006】
一方、前記特許文献2に記載された従来の内視鏡用収納ケースは、収納された内視鏡を取り出すときに、ケース上蓋が上になるようにケース本体を配置し、ケース上蓋の前端側を上方に持ち上げる。これにより、ケース上蓋の後端とケース本体との間の連結部がヒンジとして機能し、ケース上蓋が上方へ開き、内視鏡を取り出すことが可能になる。したがって、特許文献1に記載された内視鏡収納ケースと比較して、簡単に内視鏡を取り出すことができ、逆の手順により簡単に内視鏡を収納することができる。
【0007】
しかし、この特許文献2に記載された内視鏡用収納ケースは、下部緩衝材および上部緩衝材の素材が段ボール紙であるため、たとえばケース上蓋の開閉、内視鏡の取り出し、または、内視鏡の収納時の擦れによって発生したちりやほこりが内視鏡に付着しやすい。また、下部緩衝材および上部緩衝材の素材が段ボール紙であると、内視鏡の保護に必要な緩衝性が不足し、搬送時の振動や衝撃によって内視鏡に不具合が生じるおそれがある。
【0008】
また、前記特許文献1に記載された従来の内視鏡収納ケースは、下部緩衝材の上面が上部緩衝材によって覆われたときに、下部緩衝材の平坦な上面と、上部緩衝材の平坦な下面とが接した状態になる。そのため、たとえばケース本体に対する上部緩衝材と下部緩衝材の挿入または抜き出し、もしくは、下部緩衝材に対する上部緩衝材の配置または取り外しを行うときに、上部緩衝材の下面と下部緩衝材の上面とが面方向に擦れ、ちりやほこりが発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、簡素な素材からなり、緩衝性に優れ、内視鏡にちりやほこりが付着するのを防止することができ、内視鏡の取り出しおよび収納が容易な内視鏡ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明の内視鏡ケースは、内視鏡を収納するための内視鏡ケースであって、段ボール紙を素材とする外箱と、該外箱に収容され発泡樹脂を素材とする緩衝材と、を備え、前記外箱は、底壁と、該底壁の周囲に立設された側壁と、該側壁によって画定され該側壁の上端に開口する開口部と、該開口部を開閉可能な上蓋と、該上蓋の一端を前記側壁に連結する連結部と、を有し、前記緩衝材は、前記上蓋に隣接して配置された上部緩衝材と、前記内視鏡を保持する凹状の保持部が形成され前記底壁に隣接して配置された下部緩衝材と、を有し、前記上部緩衝材と前記下部緩衝材は、一方が凹部を有し、他方が該凹部に係合する凸部を有し、前記凹部と前記凸部は、前記緩衝材の両側縁に沿って延在していることを特徴とする。
【0011】
本発明の内視鏡ケースを構成する外箱と緩衝材は、それぞれ、簡素な素材である段ボールと発泡樹脂によって構成されている。そのため、本発明の内視鏡ケースは、軽量化が可能で、再資源化が容易であり、製造コストを抑制することができる。
【0012】
本発明の内視鏡ケースに内視鏡を収納するときには、たとえば外箱の底壁が下になるように内視鏡ケースを配置する。そして、外箱の開口部を閉鎖する上蓋を、この上蓋の一端と外箱の側壁とを連結する連結部をヒンジとして上方に回動させて開き、外箱の開口部を開放する。次に、外箱に収容され、保持部を含む下部緩衝材の上面の全体を覆う上部緩衝材を、外箱の開口部から取り出す。
【0013】
次に、外箱の開口部から外箱の内部に内視鏡を収容し、外箱に収容された下部緩衝材の保持部に、内視鏡を配置して保持する。下部緩衝材の保持部は、たとえば下部緩衝材の上面に凹設され、内視鏡の各部の形状に対応する形状の凹部や溝である。次に、外箱の開口部から外箱の内部に上部緩衝材を収容し、上部緩衝材によって、下部緩衝材の保持部に保持された内視鏡を覆うとともに下部緩衝材の上面を覆う。
【0014】
このとき、上部緩衝材と下部緩衝材のうち、一方の両側縁に設けられた凹部を、他方の両側縁に設けられた凸部に係合させる。このとき、上部緩衝材を下部緩衝材の上に配置すると、まず凸部が凹部に係合され、次に上部緩衝材の下面と下部緩衝材の上面が対向または当接する。そのため、上部緩衝材を下部緩衝材の上に被せるときに、凹部と凸部の係合によって、これらの延在方向に交差する方向の上部緩衝材と下部緩衝材との相対移動が防止され、上部緩衝材の下面と下部緩衝材の上面との面方向の擦れを抑制することができる。
【0015】
また、凹部と凸部は、緩衝材の両側縁に沿って延在しているので、これらを係合させるときに、上部緩衝材と下部緩衝材の位置合わせが容易である。たとえば、凹部と凸部が、緩衝材の側縁の内側に、側縁から離隔して点状または島状に存在していると、上部緩衝材を下部緩衝材に重ねるときに凹部と凸部を視認しにくく、これらを係合させにくくなる。しかし、凸部と凹部が、緩衝材の両側縁に沿って延在していれば、上部緩衝材を下部緩衝材に重ねるときに凹部と凸部を視認しやすく、これらを係合させやすくすることができる。
【0016】
また、上部緩衝材を下部緩衝材に被せ、凸部と凹部を係合させることで、凸部と凹部の延在方向に交差する方向において、上部緩衝材と下部緩衝材との相対移動が防止される。また、凸部と凹部を係合させることで、凸部および凹部を有しない場合と比較して、上部緩衝材と下部緩衝材の接触面積を大きくすることができ、凸部と凹部の延在方向においても摩擦抵抗を増加させ、上部緩衝材と下部緩衝材との相対移動を防止することができる。したがって、上部緩衝材の下面と下部緩衝材の上面との面方向の擦れを抑制し、ちりやほこりの発生を抑制して内視鏡への付着を防止することができる。
【0017】
次に、外箱の連結部をヒンジとして上蓋を回動させて閉じ、外箱の開口部を上蓋によって閉塞する。これにより、段ボールよりも緩衝性に優れた発泡樹脂製の下部緩衝材と上部緩衝材との間に内視鏡を収納し、さらにその外側を耐久性に優れた段ボール製の外箱で覆うことができる。したがって、本発明の内視鏡ケースは、前記特許文献2に記載された従来の内視鏡用収納ケースよりも、内視鏡の保護に必要な緩衝性に優れ、搬送時の振動や衝撃をより効果的に緩和して、内視鏡に不具合が発生するのを防止することができる。
【0018】
また、下部緩衝材の保持部に内視鏡を配置して保持し、この保持部を含む下部緩衝材の上面を上部緩衝材によって覆うことで、下部緩衝材と上部緩衝材との間にちりやほこりが侵入するのを防止することができる。したがって、本発明の内視鏡ケースによれば、下部緩衝材に設けられた保持部に保持され、上部緩衝材に覆われた内視鏡にちりやほこりが付着するのを防止することができる。
【0019】
本発明の内視鏡ケースに収納された内視鏡を取り出すときには、たとえば外箱の底壁が下になるように内視鏡ケースを配置し、外箱の上蓋の一端と側壁との連結部をヒンジとして上蓋を上方に回動させて開き、外箱の開口部を開放する。次に、外箱に収容され、保持部を含む下部緩衝材の上面を覆う上部緩衝材を、外箱の開口部から取り出す。これにより、下部緩衝材の保持部に保持された内視鏡を取り出すことが可能になる。
【0020】
このように、本発明の内視鏡ケースは、外箱の連結部をヒンジとして上蓋を開閉し、外箱の開口部を介して上部緩衝材を出し入れするだけで、内視鏡を内視鏡ケースに収納し、内視鏡を内視鏡ケースから取り出すことが可能になる。したがって、本発明の内視鏡ケースによれば、前記特許文献1に記載された従来の内視鏡収納ケースと比較して、内視鏡の収納および取り出しを容易にすることができる。
【0021】
また、前述のように、上部緩衝材と下部緩衝材の一方の両側縁に設けられた凹部は、他方の両側縁に設けられた凸部に係合している。そのため、下部緩衝材の上面を覆う上部緩衝材を取り外すときに、凹部と凸部の延在方向に交差する方向の上部緩衝材と下部緩衝材の相対的な移動が抑制される。したがって、下部緩衝材の上面を覆う上部緩衝材を取り外すときに、上部緩衝材の下面と下部緩衝材の下面との面方向の擦れを抑制し、ちりやほこりの発生を抑制して内視鏡への付着を防止することができる。なお、上部緩衝材と下部緩衝材は、一方が凹部を有し、他方がその凹部に係合する凸部を有していればよい。
【0022】
たとえば、前記内視鏡ケースにおいて、前記上部緩衝材は、前記下部緩衝材に対向する面に前記凸部を有し、前記下部緩衝材は、前記上部緩衝材に対向する面に前記凹部を有してもよい。この場合、上部緩衝材を取り外した後に、たとえば下部緩衝材に対向する面を下にして床面などに置いても、凸部によって上部緩衝材を支持し、下部緩衝材に対向する上部緩衝材の下面が、凸部を除き、床面に接するのを防止できる。したがって、下部緩衝材に対向する上部緩衝材の下面にちりやほこりが付着するのを抑制し、内視鏡にちりやほこりが付着するのを抑制することができる。
【0023】
また、前記内視鏡ケースにおいて、前記上部緩衝材は、前記下部緩衝材に対向する面に前記凹部を有し、前記下部緩衝材は、前記上部緩衝材に対向する面に前記凸部を有してもよい。この場合、前述のように、上部緩衝材が下部緩衝材に対向する面に凸部を有する場合とは異なり、上部緩衝材の下部緩衝材に対向する面を下にして上部緩衝材を平坦な載置面に置くと、上部緩衝材の下部緩衝材に対向する面の大部分が載置面に接する。したがって、上部緩衝材を載置面に安定して配置することができ、上部緩衝材が凸部を有する場合と異なり、凸部に負荷が集中して破損するのを防止することができる。
【0024】
このように、下部緩衝材が両側縁に凸部を有する場合に、前記内視鏡ケースは、さらに次の構成を備えることができる。すなわち、前記内視鏡ケースにおいて、前記下部緩衝材の前記両側縁に隣接する前記外箱の前記側壁は、該側壁の外側部分を構成する前記段ボール紙が該側壁の上端部で前記開口部の内側へ前記底壁に向けて折り返され前記凸部に隣接する折返し部を有し、前記折返し部の前記底壁側の端部は、前記凸部の頂部よりも前記底壁に近接しかつ前記底壁から離隔していてもよい。
【0025】
これにより、外箱の側壁の内側部分において、折返し部よりも底壁側の部分を、下部緩衝材の両側面によって覆うことができる。したがって、折返し部を底壁まで延ばす必要がなく、段ボール紙の使用量を削減することができる。また、段ボール紙の弾性によって折返し部を外箱の内側へ向けて付勢して下部緩衝材の側面に当接させることができ、折返し部によって、下部緩衝材を、一定程度、位置決めすることが可能になる。
【0026】
また、前記内視鏡ケースにおいて、前記凹部と前記凸部は、前記緩衝材の前記両側縁の間の一側縁に沿って延在していてもよい。これにより、緩衝材の両側縁とこの両側縁の間の一側縁において凹部と凸部を係合させ、上部緩衝材と下部緩衝材との相対移動をより効果的に抑制し、上部緩衝材と下部緩衝材との擦れを防止することができる。この場合、前記内視鏡ケースは、さらに以下の構成を備えることができる。
【0027】
すなわち、前記内視鏡ケースにおいて、前記緩衝材の前記両側縁の前記凸部の突出方向の高さは、前記緩衝材の前記一側縁の前記凸部の突出方向の高さよりも高くてもよい。これにより、下部緩衝材の両側縁の凸部の頂部がより外箱の開口部に近い位置に配置され、その分、外箱の側壁の折返し部において、外箱の開口部を画定する側壁の上端部から底壁に最も近い下端部までの長さを短縮することができる。したがって、段ボール紙の使用量をさらに削減することが可能になる。
【0028】
また、前記内視鏡ケースにおいて、前記上部緩衝材は、前記下部緩衝材の前記保持部に対向する凹部を有していてもよい。この保持部に対向する凹部によって、保持部から突出した内視鏡と上部緩衝材との干渉を回避することができる。この場合、前記内視鏡ケースは、さらに次の構成を備えることができる。
【0029】
すなわち、前記内視鏡ケースにおいて、前記両側縁の一方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部と、前記両側縁の他方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部とは、非回転対称に配置されていてもよい。ここで、凹部と凸部が非回転対称に配置されているとは、たとえば、上部緩衝材を、外箱の底壁に垂直な回転軸を中心として、下部緩衝材に対して360度回転させなければ、緩衝材における凹部と凸部の配置が同一の配置にならないことを意味する。すなわち、前記両側縁の一方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部と、前記両側縁の他方の側縁に沿う前記凹部および前記凸部の配置は、回転対称性を有しない。
【0030】
このように、下部緩衝材と上部緩衝材において、凹部と凸部が非回転対称に配置されている場合、凹部に凸部を係合させると、上部緩衝材と下部緩衝材の配置が一意に決定される。したがって、下部緩衝材の保持部から突出した内視鏡と上部緩衝材との干渉を回避するための上部緩衝材の凹部を、下部緩衝材の保持部の所定の位置に確実に対向させることが可能になる。
【0031】
逆に、下部緩衝材と上部緩衝材において、緩衝材の両側縁の一方の側縁に沿う凹部および凸部と、他方の側縁に沿う凹部および凸部の配置が回転対称性を有する場合、上部緩衝材と下部緩衝材との配置は、2以上のパターンを有し、一意に決定されない。具体的には、上部緩衝材を下部緩衝材に対して180×n°(nは整数)回転させると、凹部と凸部が同一の配置になり、凹部と凸部が係合するため、上部緩衝材と下部緩衝材との配置を一意に決定することができない。この場合、内視鏡の一部と上部緩衝材との干渉を回避するための凹部を、下部緩衝材の保持部の適切な位置に対向せることができないおそれがある。
【0032】
また、前記内視鏡ケースにおいて、前記外箱は、前記緩衝材の前記両側縁の間の一側縁に隣接する前記側壁に把手が取り付けられ、前記把手は、前記側壁の内側に係合するストッパーと、前記側壁の外側に露出した帯板部とを有し、該帯板部の両端部が前記側壁を貫通して前記ストッパーに連結されており、前記下部緩衝材は、前記一側縁の前記ストッパーに対応する位置に凹状の切欠部を有し、前記切欠部は、前記ストッパーよりも前記外箱の前記開口部に近接する位置まで延在していてもよい。
【0033】
この構成により、内視鏡ケースを持ち運ぶときに把手をつかんで容易に持ち運ぶことができる。また、下部緩衝材の切欠部によって、把手のストッパーと下部緩衝材との干渉を回避して、ちりやほこりの発生を防止することができる。また、下部緩衝材の切欠部が、ストッパーよりも外箱の開口部に近接する位置まで延在しているので、下部緩衝材よりも外箱の開口部側に配置される上部緩衝材と把手のストッパーとの干渉を回避することができ、ちりやほこりの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、簡素な素材からなり、内視鏡の保護に必要な緩衝性に優れ、内視鏡にちりやほこりが付着するのを防止することができ、内視鏡の取り出しおよび収納が容易な内視鏡ケースを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明に係る内視鏡ケースの実施の形態を説明する。
【0037】
(内視鏡ケース:実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る内視鏡ケース100の分解斜視図である。
【0038】
本実施形態の内視鏡ケース100は、たとえば、内視鏡を収納するための容器である。内視鏡ケース100は、段ボール紙を素材とする外箱110と、この外箱110に収容された発泡樹脂を素材とする緩衝材120と、を備えている。外箱110は、底壁111と、この底壁111の周囲に立設された側壁112と、この側壁112によって画定され、この側壁112の上端に開口する開口部110aと、この開口部110aを開閉可能な上蓋113と、この上蓋113の一端を側壁112に連結する連結部114と、を有している。
【0039】
詳細については後述するが、本実施形態の内視鏡ケース100は、次の構成を特徴としている。外箱110に収容された緩衝材120は、外箱110の底壁111に隣接して配置された下部緩衝材130と、外箱110の上蓋113に隣接して配置された上部緩衝材140とを有している。下部緩衝材130は、内視鏡を保持する凹状の保持部131を有している。上部緩衝材140と下部緩衝材130は、一方が凹部146を有し、他方がその凹部146に係合する凸部132を有している。これらの凹部146と凸部132は、緩衝材120の両側縁に沿って延在している。
【0040】
以下では、この内視鏡ケース100の各構成について詳細に説明する。なお、以下の説明において、内視鏡ケース100の縦方向、横方向、および高さ方向を、それぞれ、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向とする直交座標系を用いて、内視鏡ケース100の各部を説明する場合がある。また、以下では、単に、縦方向、横方向、および高さ方向という場合には、それぞれ、内視鏡ケース100の縦方向(x軸方向)、横方向(y軸方向)、および高さ方向(z軸方向)を意味する。
【0041】
また、特に説明のない限り、各図に示すx軸、y軸、z軸の正方向と負方向を、それぞれ、前(x軸正方向)、後(x軸負方向)、右(y軸正方向)、左(y軸負方向)、上(z軸正方向)、下(z軸負方向)として説明する。ただし、これらの方向は、単に内視鏡ケース100の構成を説明するためのものであり、内視鏡ケース100の使用時の方向を限定するものではない。
【0042】
図2は、
図1に示す内視鏡ケース100の外箱110に緩衝材120を収容して閉じた状態の斜視図である。
【0043】
外箱110は、たとえば、おおむね直方体の形状を有し、縦方向および横方向の寸法に対して高さ方向の寸法が小さい薄型の矩形箱形の形状を有している。外箱110は、たとえば、所定の形状に切断された複数のシート状の段ボール紙を接合し、これらの段ボール紙を所定の折目に沿って折り曲げることによって組み立てられている。外箱110を構成する段ボール紙の一方の表面は、たとえばプレスコートなどの表面加工が施されて光沢と平滑性が付与された外装面とされ、他方の表面は素材の表面が露出した内装面とされている。
【0044】
本実施形態の内視鏡ケース100において、外箱110の外装面および内装面の色は、たとえば白色系など、外箱110の内部に収容された緩衝材120の色よりも明度の高い色である。なお、外箱110の外装面および内装面の色は、特に限定されない。また、外箱110の外装面および内装面は、任意の色、模様、文字などを有することができる。
【0045】
外箱110は、たとえば、内装面の表面粗さが外装面の表面粗さよりも高くなっている。内装面および外装面の表面粗さは、たとえば、接触式表面粗さ測定機によって計測することができる。また、外箱110は、たとえば、内装面の静摩擦係数が外装面の静摩擦係数よりも高くなっている。内装面および外装面の静摩擦係数は、たとえば、JIS P8147:2010に準拠した測定装置によって計測することができる。
【0046】
外箱110は、たとえば、二枚のシート状の段ボール紙を所定の形状に切断し、これらを接合して複数の箇所を折り曲げることによって構成することができる。具体的には、たとえば、
図1に示すように、一枚の段ボール紙によって、高さ方向の下端に配置される底壁111と、縦方向または前後方向に延びる左右一対の側壁112と、横方向または左右方向に延びる前後一対の側壁112を構成することができる。さらに、もう一枚の段ボール紙によって、外箱110の上端に配置される上蓋113と、縦方向に延びる左右一対の側壁112と、横方向に延びる前後一対の側壁112とを構成することができる。
【0047】
外箱110の底壁111を構成する段ボール紙の前端部は、たとえば上方へ折り曲げられ、横方向に延びる正面の側壁112の内側部分を構成している。この外箱110の正面の側壁112の内側部分を構成する段ボール紙の前端部は、たとえば、横方向の両端部が後方へ折り曲げられ、縦方向に延びる左右一対の側壁112の内側で前方側の半部を構成している。外箱110は、たとえば、正面の側壁112の内側部分の横方向および高さ方向の中央部に、樹脂製の把手115が取り付けられている。
【0048】
図3は、
図2に示す閉じた状態の内視鏡ケース100の把手115の近傍のIII-III線に沿う拡大断面図である。
【0049】
外箱110は、たとえば、緩衝材120の左右の両側縁の間の前方の一側縁に隣接する側壁112に、把手115が取り付けられている。把手115は、側壁112の内側に係合するストッパー115aと、側壁112の外側に露出した帯板部115bとを有している。帯板部115bの両端部は、側壁112を貫通してストッパー115aに連結されている。詳細は後述するが、下部緩衝材130は、たとえば、緩衝材120の前方の一側縁のストッパー115aに対応する位置に、凹状の切欠部134を有している。この切欠部134は、たとえば、ストッパー115aの上端よりも外箱110の開口部110aに近接する上方の位置まで延在している。
【0050】
ストッパー115aは、平坦な板状の形状を有している。たとえば、帯板部115bの円弧状の中間部分が前方に引っ張られたときに、正面の側壁112の内側部分の内面にストッパー115aが係合することによって、帯板部115bの抜けが防止される。帯板部115bは、たとえば、板状のストッパー115aに交差する方向に延び、外箱110の正面の側壁112を貫通し、この正面の側壁112の外側で、前方に向けて凸の円弧状に湾曲しながら横方向に延びている。
【0051】
図1に示すように、外箱110の底壁111を構成する段ボール紙の後端部は、たとえば上方へ折り曲げられ、横方向に延びる背面の側壁112の内側部分を構成している。この外箱110の背面の側壁112の内側部分を構成する段ボール紙の後端部は、たとえば、横方向の両端部が外箱110の前方へ折り曲げられ、縦方向に延びる一対の側壁112の内側で後方側の半部を構成している。
【0052】
外箱110の底壁111を構成する段ボール紙の縦方向の中央部は、たとえば横方向の両端部が上方へ折り曲げられ、縦方向に延びる一対の側壁112の外側部分を構成するとともに、これら一対の側壁112の上端部で開口部110aの内側へ下方に折り返されている。これにより、この外箱110の底壁111を構成する段ボール紙の横方向の両端部は、縦方向に延びる一対の側壁112において、外側部分および上端部、ならびに内側部分の上部を覆う折返し部112aを構成している。
【0053】
一方、外箱110の上蓋113を構成する段ボール紙の後端部は、たとえば下方へ折り曲げられて、外箱110の後側の側壁112の内側部分の外面に接合され、この後方の側壁112の外側部分を構成している。本実施形態の内視鏡ケース100は、この外箱110の上蓋113の後端と後方の側壁112との間の段ボール紙の折目が、上蓋113の一端を側壁112に連結する連結部114になっている。すなわち、外箱110の上蓋113は、上蓋113と後側の側壁112を構成する段ボール紙の折目である連結部114をヒンジとして回動させることで、外箱110の開口部110aを開閉することができるようになっている。
【0054】
また、外箱110の上蓋113および背面の側壁112の外側部分を構成する段ボール紙の後端部は、たとえば横方向の両端部が前方へ折り曲げられ、外箱110の後方側において、縦方向に延びる左右一対の側壁112の外側部分と内側部分との間に挿入されている。この段ボール紙の後端部における横方向の両端部は、たとえば、外箱110の後方側において、縦方向に延びる左右一対の側壁112の外側部分と内側部分の少なくとも一方に接合され、これら一対の側壁112の厚さ方向の中間部分を構成している。
【0055】
また、外箱110の上蓋113を構成する段ボール紙の前端部は、
図2に示すように上蓋113によって外箱110の開口部110aを閉じた状態で、下方へ折り曲げられている。これにより、外箱110の上蓋113を構成する段ボール紙の前端部は、横方向に延びる前側の側壁112の外側部分を構成している。
【0056】
この外箱110の前側の側壁112の外側部分を構成する段ボール紙の前端部の横方向の両端部は、一対の第1蓋挿入部113aとされている。この一対の第1蓋挿入部113aは、
図2に示すように上蓋113によって外箱110の開口部110aを閉じた状態で、後方へ折り曲げられ、縦方向に延びる一対の側壁112の外側部分と内側部分との間に挿入されている。これら一対の側壁112の前方側において、一対の第1蓋挿入部113aは、これら一対の側壁112の厚さ方向の中間部分を構成している。外箱110の前方側において、縦方向に延びる一対の側壁112の外側部分と内側部分との間には、上蓋113の前端部の第1蓋挿入部113aを挿入するための間隙が形成されている。
【0057】
また、横方向に延びる外箱110の前側の側壁112の外側部分の中央部には、この前側の側壁112の内側部分に取り付けられた把手115を通す貫通孔116が形成されている。貫通孔116は、横方向を長手方向とするおおむね長方形の形状を有し、横方向に沿う一対の長辺部分の中央部に、一対の半円形状の切欠きが、それぞれ、上向きと下向きに凸になるように形成されている。
【0058】
さらに、外箱110の上蓋113を構成する段ボール紙の横方向の両端部は、一対の第2蓋挿入部113bとされている。この一対の第2蓋挿入部113bは、
図2に示すように上蓋113によって外箱110の開口部110aを閉じた状態で下方へ折り曲げられ、開口部110aの内側で縦方向に延びる左右一対の側壁112の内側に挿入される。これにより、上蓋113の第2蓋挿入部113bは、外箱110の縦方向に延びる左右一対の側壁112と、外箱110の内部に収容された緩衝材120との間に配置される。すなわち、外箱110の縦方向に延びる左右一対の側壁112と、外箱110の内部に収容された緩衝材120との間には、上蓋113の第2蓋挿入部113bを配置するための間隙が設けられている。
【0059】
外箱110は、たとえば、底壁111の下面、縦方向に延びる左右一対の側壁112の外面、上端部、および内面の上部、横方向に延びる正面および背面の側壁112の外面、ならびに外箱110の外側を向く上蓋113の外面が、光沢を有する平滑な外装面である。また、外箱110は、たとえば、底壁111の上面、縦方向に延びる左右一対の側壁112の内面の下部、横方向に延びる正面および背面の側壁112の内面、および外箱110の内側を向く上蓋113の内面が、素材を露出させた内装面である。
【0060】
外箱110は、
図1に示すように、たとえば、互いに対向する前側の側壁112の内側部分の外面と、前側の側壁112の外側部分の内面に、互いに係合する係合部117a,117bを有してもよい。係合部117a,117bは、特に限定されないが、たとえば、面ファスナー、スナップボタン、マグネット、剥離および再接着が可能な粘着テープなどを用いることができる。係合部117aが設けられる一方の面である外箱110の前側の側壁112の内側部分の外面は、
図1に示すように、外箱110の外側および前方側を向く面である。
【0061】
また、係合部117bが設けられる他方の面である上蓋113の前端部に連結された正面の側壁112の外側部分の内面は、
図2に示すように、外箱110の開口部110aを上蓋113によって閉じたときに、外箱110の内側および外箱110の後方側を向く面である。係合部117a,117bは、外箱110の上蓋113によって開口部110aを閉じた状態で、正面の側壁112の内側部分における把手115の下方側の位置と、正面の側壁112の外側部分における貫通孔116の下方側の位置に、それぞれ配置することができる。
【0062】
図1に示すように、内視鏡ケース100は、外箱110に収容された発泡樹脂を素材とする緩衝材120を備えている。緩衝材120の素材としては、たとえば、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの発泡樹脂を用いることができる。緩衝材120の表面は、発塵を抑制する観点から、光沢を有する平滑な表面であることが好ましい。
【0063】
緩衝材120の表面粗さは、たとえば、外箱110の内装面の表面粗さよりも低い。緩衝材120の表面粗さは、たとえば、接触式表面粗さ測定機によって計測することができる。また、緩衝材120の静摩擦係数は、たとえば、外箱110の内装面の静摩擦係数よりも低い。緩衝材120の静摩擦係数は、たとえばJIS K7125:1999に準拠した測定装置を用いて測定することができる。また、緩衝材120の色は、たとえば黒色系など、外箱110の色よりも明度の低い色であってもよい。緩衝材120は、前述のように、上蓋113に隣接して配置された上部緩衝材140と底壁111に隣接して配置された下部緩衝材130と、を有している。
【0064】
図4は、
図1に示す緩衝材120を構成する下部緩衝材130の平面図である。
図1および
図4に示すように、下部緩衝材130は、たとえば、おおむね直方体の形状を有し、縦方向の寸法および横方向の寸法に対して高さ方向の寸法が小さい矩形板状の形状を有している。下部緩衝材130は、たとえば、上部緩衝材140の下面に対向する上面130aに、内視鏡を保持する保持部131を有している。また、下部緩衝材130は、たとえば、凸部132と、空洞部133と、切欠部134とを有している。
【0065】
図5は、
図4に示す下部緩衝材130の保持部131に内視鏡200を保持した状態を示す平面図である。なお、
図4および
図5では、保持部131と空洞部133を除く下部緩衝材130の上面130aにドットパターンを配し、下部緩衝材130の上面130aに設けられた保持部131および空洞部133を視認しやすくしている。
【0066】
下部緩衝材130の保持部131は、たとえば、下部緩衝材130の上面130aに凹設され、内視鏡200の各部の形状に対応する形状を有する凹部または溝などの凹状の部分である。本実施形態の内視鏡ケース100は、たとえば、医療用の内視鏡200を収納するケースであり、下部緩衝材130の保持部131に内視鏡200を収容して保持する。
【0067】
内視鏡ケース100に収容される内視鏡200は、たとえば、硬質樹脂からなる操作部210と、この操作部210に接続された可撓性を有する挿入部220およびユニバーサルチューブ230と、このユニバーサルチューブ230に接続されたコネクタ部240とを備えている。内視鏡ケース100に収容され、下部緩衝材130の保持部131に保持される内視鏡200の一例については、後で詳細に説明する。
【0068】
下部緩衝材130の保持部131は、たとえば、内視鏡200の操作部210、ユニバーサルチューブ230、コネクタ部240、および挿入部220を、それぞれ、収容して保持する、操作部保持部135、ユニバーサルチューブ保持部136、コネクタ部保持部137、および挿入部保持部138を有している。
【0069】
操作部保持部135は、たとえば、内視鏡200の操作部210の形状に対応するおおむねL字形の凹部である。操作部保持部135は、下部緩衝材130の横方向に沿って延びる横方向延在部135aの縦方向の寸法の一部が、同方向における内視鏡200の操作部210の寸法よりもわずかに小さくされている。これにより、内視鏡200の操作部210を操作部保持部135に収容したときに、操作部保持部135の一部がわずかに弾性変形して、内視鏡200の操作部210の一部を縦方向の両側から挟持することができる。
【0070】
また、操作部保持部135は、たとえば、縦方向の寸法の一部が、同方向における内視鏡200の操作部210の寸法よりも大きくされた凹部135cを有している。これにより、操作部保持部135に内視鏡200の操作部210を収容したときに、凹部135cによって操作部保持部135と内視鏡200の操作部210との間に空隙を形成し、操作部210の取り出しおよび収納を容易にすることができる。
【0071】
また、操作部保持部135は、たとえば、縦方向に沿って延びる縦方向延在部135bの横方向の寸法が、同方向における内視鏡200の操作部210の寸法よりもわずかに大きくされている。これにより、操作部保持部135に内視鏡200の操作部210を収容したときに、操作部保持部135と内視鏡200の操作部210との間にわずかな空隙が形成されるので、操作部保持部135に内視鏡200の操作部210を収容するのが容易になる。
【0072】
ユニバーサルチューブ保持部136は、たとえば、操作部保持部135の縦方向延在部135bに連続するおおむね環状の溝であり、第1湾曲部136aと第2湾曲部136bとを有している。第1湾曲部136aは、たとえば、操作部保持部135の縦方向延在部135bの末端から、下部緩衝材130の前側の側面に沿うように円弧状に延び、さらに半円を描くように円弧状に延びて、操作部保持部135の横方向延在部135aの前方に隣接している。第1湾曲部136aは、たとえば、下部緩衝材130の高さ方向における深さが、操作部保持部135の縦方向延在部135bの末端に接続された部分で最も深くなり、操作部保持部135の横方向延在部135aに隣接する部分で最も浅くなるように、底部が傾斜している。
【0073】
第2湾曲部136bは、たとえば、操作部保持部135の横方向延在部135aに隣接する第1湾曲部136aの終端部から、下部緩衝材130の左側の側面へ向けておおむね直線状に延び、操作部保持部135の縦方向延在部135bに交差し、さらに円弧状に湾曲して下部緩衝材130の左側の側面に近接している。第2湾曲部136bは、下部緩衝材130の左側の側面に近接する位置から、下部緩衝材130の前側の側面に沿うように円弧状に湾曲して延びている。第2湾曲部136bは、第1湾曲部136aよりも下部緩衝材130の前側の側面に近い位置で第1湾曲部136aの上に重なり、下部緩衝材130の前側の側面に沿っておおむね直線状に延びている。
【0074】
下部緩衝材130の高さ方向における第1湾曲部136aと第2湾曲部136bの深さは、たとえば、下部緩衝材130の前側の側面に沿って直線状に延びる部分において、第1湾曲部136aよりも第2湾曲部136bの方が浅くなっている。第2湾曲部136bは、さらに下部緩衝材130の右側の側面の中間部へ向けて右斜め後方へ延び、コネクタ部保持部137に連続している。
【0075】
コネクタ部保持部137は、内視鏡200のコネクタ部240の形状に対応する凹部である。コネクタ部保持部137は、たとえば、コネクタ部240の光源用接続スリーブ242を収容する部分の周囲に空隙を形成するように設けられている。また、コネクタ部保持部137の底部は、コネクタ部保持部137に内視鏡200のコネクタ部240を収容して保持したときに、下部緩衝材130の高さ方向におけるコネクタ部240の上面が下部緩衝材130の上面130aにおおむね平行になるように、コネクタ部240のテーパ形状に対応する傾斜を有することができる。
【0076】
挿入部保持部138は、たとえば、内視鏡200の可撓性を有する挿入部220を巻回して収容するためのおおむね環状の溝であり、後方湾曲部138aと中間湾曲部138bと前方直線部138cとを有している。後方湾曲部138aは、たとえば、操作部保持部135の横方向延在部135aの末端から、下部緩衝材130の後側の側面に沿っておおむね直線状に延び、さらに下部緩衝材130の右側の側面に沿うように円弧状に湾曲し、この側面の近傍でこの側面に沿って直線状に延びている。さらに、後方湾曲部138aは、下部緩衝材130の右側の側面の近傍から、下部緩衝材130の前側の側面に沿うように円弧状に湾曲して延び、中間湾曲部138bに連続している。
【0077】
中間湾曲部138bは、たとえば、下部緩衝材130の前側の側面の近傍で、この側面に沿って直線状に延び、さらに下部緩衝材130の左側の側面に近接するように湾曲して円弧状に延びている。さらに、中間湾曲部138bは、下部緩衝材130の左側の側面に近接する位置から、操作部保持部135の縦方向延在部135bに交差するように湾曲して円弧状に延び、前方直線部138cに接続されている。
【0078】
なお、挿入部保持部138の中間湾曲部138bと、ユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bとは、下部緩衝材130に対して共通の溝として形成することができる。この場合、下部緩衝材130の高さ方向において、共通の溝の下方側がユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bであり、この共通の溝の上方側が挿入部保持部138の中間湾曲部138bである。
【0079】
挿入部保持部138の前方直線部138cは、操作部保持部135の横方向延在部135aに沿って、下部緩衝材130の右側面へ向けて右斜め後方へ直線状に延び、後方湾曲部138aに交差している。下部緩衝材130の高さ方向において、前方直線部138cの深さは、後方湾曲部138aに交差する下部緩衝材130の右側面の近傍の先端部において、後方湾曲部138aの深さよりも浅くなっている。なお、前方直線部138cは、中間湾曲部138bとの接続部分から先端部へ向けて、下部緩衝材130の高さ方向における深さが次第に浅くなるように、底部が傾斜していてもよい。
【0080】
空洞部133は、たとえば、下部緩衝材130の上面130aに設けられた凹部である。空洞部133は、たとえば、ユニバーサルチューブ保持部136の第1湾曲部136aの内側に形成された第1空洞部133aと、コネクタ部保持部137の前方に隣接する第2空洞部133bと、コネクタ部保持部137の後方に隣接する第3空洞部133cと、を有することができる。また、空洞部133は、たとえば、下部緩衝材130の前端の左右の角部に第4空洞部133dおよび第5空洞部133eを有することができる。
【0081】
前述のように、上部緩衝材140と下部緩衝材130は、一方が凹部146を有し、他方がこの凹部146に係合する凸部132を有している。より詳細には、本実施形態の内視鏡ケース100において、上部緩衝材140が下部緩衝材130に対向する下面140bに凹部146を有し、下部緩衝材130が上部緩衝材140に対向する上面130aに凸部132を有している。これらの凹部146と凸部132は、緩衝材120の左右の両側縁に沿って延在し、たとえば緩衝材120の前側の側面から後側の側面まで連続して形成されている。凸部132は、下部緩衝材130の上面130aから上方に突出し、凹部146は、上部緩衝材140の下面から上方へ段差状の凹状に設けられている。
【0082】
なお、緩衝材120の構成は、本実施形態の内視鏡ケース100の上部緩衝材140と下部緩衝材130の構成に限定されない。
図1に示す例とは逆に、上部緩衝材140が下部緩衝材130に対向する下面140bに凸部を有し、下部緩衝材130が上部緩衝材140に対向する上面130aに、上部緩衝材40の凸部に係合する凹部を有していてもよい。この場合も、
図1に示す例と同様に、互いに係合する凹部と凸部は、緩衝材120の左右の両側縁に沿って延在させて設けられる。また、互いに係合する凹部と凸部は、緩衝材120の左右の両側縁ではなく、前後の両側縁に設けられていてもよい。
【0083】
凸部132は、たとえば、
図1に示すように、上端部に傾斜面132aを有してもよい。傾斜面132aは、たとえば、下部緩衝材130の横方向の両側縁に、縦方向に延在する凸部132の頂部の内側に形成され、横方向の外側よりも内側が下部緩衝材130の上面130aに近づくように、下方へ傾斜している。また、一対の凸部132の横方向の外側の面は、段差なく平坦な下部緩衝材130の左右の側面の一部を構成している。
【0084】
切欠部134は、たとえば、
図1および
図4に示すように、下部緩衝材130の前側の側面の中央部に、後方へ向けて凹設された凹部である。切欠部134は、たとえば、下部緩衝材130の下面から上面130aまで連続して形成されている。切欠部134は、
図3に示す把手115のストッパー115aと緩衝材120の干渉を回避するとともに、把手115の帯板部115bの両端部を外箱110の内側に収容することができる横方向の幅および縦方向の深さを有している。
【0085】
図6は、
図1に示す内視鏡ケース100の外箱110に下部緩衝材130を収容した状態の斜視図である。
【0086】
下部緩衝材130の横方向の外寸は、外箱110の横方向の内寸よりもわずかに小さくされている。これにより、下部緩衝材130の左右の側面と外箱110の左右の側壁112との間に、上蓋113の横方向の両側の第2蓋挿入部113bを挿入するための間隙が設けられている。
【0087】
本実施形態の内視鏡ケース100において、緩衝材120の左右の両側縁に隣接する外箱110の側壁112は、この側壁112の外側部分を構成する段ボール紙がこの側壁112の上端部で開口部110aの内側へ底壁111に向けて下方へ折り返されている。これにより、外箱110の左右の側壁112は、下部緩衝材130の凸部132に隣接する折返し部112aを有している。この折返し部112aの底壁11側の端部である下端は、凸部132の頂部よりも底壁111に近接し、かつ底壁111との間に所定の距離を有して底壁111から離隔している。この折返し部112aによって覆われた外箱110の左右の側壁112の内面の上部は、外箱110の素材である段ボール紙の光沢を有する平滑な外装面になっている。
【0088】
また、外箱110の底壁111の内面、外箱110の前後の側壁112の内面および左右の側壁112の折返し部112aよりも下方側は、前述のように、素材の表面が露出した内装面である。そのため、内装面の表面粗さが外装面の表面粗さよりも高い場合や、内装面の静摩擦係数が外装面の静摩擦係数よりも高い場合に、外箱110に収容された下部緩衝材130の下面と前後の側面に内装面を当接させ、外箱110と下部緩衝材130の相対的な移動を抑制することができる。
【0089】
また、下部緩衝材130は、
図1に示すように、前側の側面の中央部に、後方へ向けて凹設された切欠部134を有している。これにより、
図3に示すように、外箱110の前側の側壁112の内側に配置された把手115のストッパー115aと下部緩衝材130の干渉を回避するとともに、把手115の帯板部115bの両端部を外箱110の内側に収容することができる。したがって、たとえば、内視鏡ケース100を持ち運ぶときに、把手115を引き出して前方に円弧状に突出させ、内視鏡ケース100を収納するときに、把手115を後方に押し込んで外箱110の前側の側壁112に沿っておおむね平坦に収納することができる。
【0090】
図7は、
図1に示す緩衝材120を構成する上部緩衝材140の平面図である。
図8は、
図1に示す内視鏡ケース100の外箱110に緩衝材120を収容した状態の斜視図であり、
図6に示す外箱110の内部の下部緩衝材130の上に、
図7に示す上部緩衝材140を収容した状態の斜視図である。
【0091】
上部緩衝材140は、たとえば、下部緩衝材130の保持部131を含む上面130aの全体を覆っている。より具体的には、上部緩衝材140は、たとえば、下部緩衝材130の平面形状に対応する矩形の平面形状を有している。また、上部緩衝材140は、たとえば、縦方向および横方向の寸法よりも高さ方向の寸法が小さい矩形の平板状の形状を有している。
【0092】
また、外箱110の内部で下部緩衝材130の上に上部緩衝材140を配置し、これらを外箱110の開口部110aの真上から見たときに、上部緩衝材140の外縁と下部緩衝材130の外縁とが少なくとも一部で上下に重なる。また、上部緩衝材140の外縁と下部緩衝材130の外縁とが上下に重ならない部分では、上部緩衝材140の外縁の内側に下部緩衝材130の外縁が配置される。また、上部緩衝材140は、たとえば、上部緩衝材140の上端面から下端面まで連通する貫通孔や切り欠きを有しない。
【0093】
すなわち、下部緩衝材130と上部緩衝材140を上下に重ねて配置した状態で、以下のいずれかの状態になる。まず、下部緩衝材130の平面形状の輪郭の全体が、上部緩衝材140の平面形状の輪郭に一致する状態である。また、下部緩衝材130の平面形状の輪郭の一部が上部緩衝材140の平面形状の輪郭に一致し、その他の部分が上部緩衝材140の平面形状の輪郭の内側に含まれる状態である。そして、下部緩衝材130の平面形状の輪郭の全体が上部緩衝材140の平面形状の輪郭の内側に含まれる状態である。さらに、上部緩衝材140の下面140bは、下部緩衝材130の保持部131の全体と、この保持部131を除く下部緩衝材130の上面130aの全体に対向して配置される。
【0094】
また、
図7に示すように、上部緩衝材140は、たとえば、下部緩衝材130に対向する下面140bの保持部131に対応する位置に凹部141a,141b,141cを有している。より具体的には、上部緩衝材140の左後方の円形の凹部141aと矩形の凹部141bは、たとえば、
図4に示す下部緩衝材130の操作部保持部135に対向している。また、上部緩衝材140の右前方の円形の凹部141cは、たとえば、下部緩衝材130のコネクタ部保持部137に対向している。
【0095】
さらに、上部緩衝材140は、たとえば、操作部保持部135に対向する部分の厚さがコネクタ部保持部137に対向する部分の厚さよりも厚くされ、操作部保持部135に対向する円形の凹部141aの深さは、コネクタ部保持部137に対向する円形の凹部141cの深さよりも深くされている。ここで、上部緩衝材140の厚さ、および凹部141a,141b,141cの深さは、いずれも高さ方向(z軸方向)における寸法である。
【0096】
また、上部緩衝材140は、たとえば、外箱110の上蓋113に対向する上面140aの周縁部に設けられた枠状部142と、この枠状部142の内側で上面に設けられた凹部143a,143bとを有している。枠状部142は、たとえば、上部緩衝材140の前後の側縁に沿って横方向に延びる横枠部142aと、上部緩衝材140の左右の側縁に沿って縦方向に延びる縦枠部142bとを有している。また、枠状部142は、たとえば、左右両端の縦枠部142bの間で、前後の一対の横枠部142aの横方向の中央部を連結する中間縦枠部142cを有している。
【0097】
すなわち、上部緩衝材140は、外箱110の上蓋113に対向する上面140aに、中間縦枠部142cを介して左右に隣接する二つの矩形の凹部143a,143bを有している。この上部緩衝材140の上面140aの左側の凹部143aの深さは、たとえば右側の凹部143bの深さよりも浅くなっている。これにより、上部緩衝材140は、操作部保持部135に対向する部分の厚さがコネクタ部保持部137に対向する部分の厚さよりも厚くされている。なお、上部緩衝材140は、枠状部142を有しなくてもよい。また、上部緩衝材140の凹部141a,141b,141cの形状、大きさ、配置および数などは、特に限定されず、任意である。
【0098】
また、上部緩衝材140は、たとえば、外箱110の上蓋113に対向する上面140aの両側縁に段差状に設けられた持手部144を有している。持手部144は、たとえば、上部緩衝材140の横方向の両側縁の中央部に形成することができる。なお、持手部144は、上部緩衝材140の前後の両側縁の横方向の中央部に形成してもよい。持手部144は、上部緩衝材140の側縁の中間部において、下方に陥没した段差状に形成され、底壁と内側壁を有している。
【0099】
上部緩衝材140の右側の側縁に凹状に形成された持手部144の上方と右側は開放され、上部緩衝材140の左側の側縁に凹状に形成された持手部144の上方と左側は開放されている。また、上部緩衝材140は、持手部144が形成されることで、左右の側縁に沿う枠状部142の縦枠部142bの縦方向の中央部が横方向に外側から内側に切り欠かれ、持手部144と凹部143a,143bとの間に薄肉部145が形成されている。
【0100】
また、上部緩衝材140は、前述のように、たとえば左右の両側縁の下部に、下部緩衝材130の凸部132に係合する凹部146を有している。この凹部146は、たとえば、上部緩衝材140の下面140bと左右の側面との間の角部に、上方および横方向の内側へ段差状に凹設され、縦方向の全長にわたって延在している。この凹部146は、下方を向く上壁面と横方向の外側を向く側壁面とを有している。
【0101】
また、上部緩衝材140は、たとえば、外箱110の側壁112に取り付けられた把手115に対応する位置に段差部147を有している。この段差部147は、たとえば、下部緩衝材130に対向する上部緩衝材140の下面140bと前方の側面との間の角部の中央部に、上方および後方に凹設されている。この段差部147は、下方を向く上壁面と前方を向く後壁面と左右の側壁面とを有し、下部緩衝材130の切欠部134の上に配置されている。
【0102】
以下、本実施形態の内視鏡ケース100の作用について説明する。
【0103】
本実施形態の内視鏡ケース100は、内視鏡200を輸送するときや、持ち運ぶとき、または保管するときなどに、内視鏡200を収納するためのケースであり、段ボール紙を素材とする外箱110と、この外箱110に収容され発泡樹脂を素材とする緩衝材120と、を備えている。このように、内視鏡ケース100を、簡素な素材である段ボールと発泡樹脂によって構成することで、たとえば硬質の樹脂素材や金属素材などを使用する場合と比較して、軽量化が可能で、再資源化が容易であり、製造コストを抑制することができる。
【0104】
また、内視鏡ケース100の外箱110は、前述のように、底壁111と、この底壁111の周囲に立設された側壁112と、この側壁112によって画定されこの側壁112の上端に開口する開口部110aと、この開口部110aを開閉可能な上蓋113と、この上蓋113の一端を側壁112に連結する連結部114と、を有している。そのため、内視鏡ケース100に内視鏡200を収納するときには、外箱110の連結部114をヒンジとして上蓋113を回動させて開口部110aを開放し、この開口部110aを介して外箱110の内部に内視鏡200を収容し、内視鏡ケース100に内視鏡200を収納することができる。
【0105】
同様に、内視鏡ケース100から内視鏡200を取り出すときには、外箱110の連結部114をヒンジとして上蓋113を回動させて開口部110aを開放し、この開口部110aを介して外箱110の内部から内視鏡200を取り出し、内視鏡ケース100から内視鏡200を取り出すことができる。したがって、本実施形態の内視鏡ケース100によれば、たとえば前記特許文献1に記載された従来の内視鏡収納ケースと比較して、内視鏡200の収納および取り出しを容易にすることができる。
【0106】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、緩衝材120は、内視鏡200を保持する保持部131を有し底壁111に隣接して配置された下部緩衝材130と、この保持部131を含む下部緩衝材130の上面130aを覆う上部緩衝材140と、を有している。内視鏡ケース100に内視鏡200を収容するときには、まず、
図6に示すように、外箱110に下部緩衝材130を収容して底壁111に隣接させて配置する。
【0107】
次に、
図5に示すように、たとえば、内視鏡200の操作部210を、下部緩衝材130の保持部131の操作部保持部135に収容して保持する。さらに、内視鏡200の操作部210に接続されたユニバーサルチューブ230を、下部緩衝材130の保持部131のユニバーサルチューブ保持部136に収容して保持する。具体的には、
図4に示すユニバーサルチューブ保持部136の第1湾曲部136aに、内視鏡200の操作部210に接続されたユニバーサルチューブ230を湾曲させながら収容する。その後、さらに、内視鏡200のユニバーサルチューブ230を、ユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bに収容する。
【0108】
ここで、前述のように、第1湾曲部136aは、下部緩衝材130の高さ方向における深さが、操作部保持部135の縦方向延在部135bに隣接する部分で最も深くなり、操作部保持部135の横方向延在部135aに隣接する部分で最も浅くなるように、底部が傾斜している。また、第2湾曲部136bは、下部緩衝材130の左側の側面へ向けておおむね直線状に延び、操作部保持部135の縦方向延在部135bに交差している。これにより、内視鏡200のユニバーサルチューブ230を操作部保持部135の縦方向延在部135bに保持された操作部210の上に交差させて収納することができる。
【0109】
その後、さらに内視鏡200のユニバーサルチューブ230を、下部緩衝材130のユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bに湾曲させながら収容する。ここで、第2湾曲部136bは、第1湾曲部136aよりも下部緩衝材130の前側の側面に近い位置で第1湾曲部136aの上に重なり、下部緩衝材130の前側の側面に沿っておおむね直線状に延びている。また、下部緩衝材130の高さ方向における第1湾曲部136aと第2湾曲部136bの深さは、下部緩衝材130の前方の側面に沿って直線状に延びる部分において、第1湾曲部136aよりも第2湾曲部136bの方が浅くなっている。これにより、ユニバーサルチューブ保持部136の第1湾曲部136aに保持された内視鏡200のユニバーサルチューブ230の上でかつ前方に隣接させて、第2湾曲部136bに内視鏡200のユニバーサルチューブ230を収容して保持することができる。
【0110】
その後、さらに内視鏡200のユニバーサルチューブ230を、下部緩衝材130の右側の側面の中間部へ向けて右斜め後方へ延びる第2湾曲部136bに収容して保持し、内視鏡200のコネクタ部240を下部緩衝材130の保持部131のコネクタ部保持部137に収容して保持する。ここで、前述のようにコネクタ部保持部137の底部は、コネクタ部240のテーパ形状に対応する傾斜を有している。これにより、内視鏡200のコネクタ部240を下部緩衝材130のコネクタ部保持部137に収容して保持したときに、下部緩衝材130の高さ方向におけるコネクタ部240の上面を下部緩衝材130の上面130aにおおむね平行にして、上部緩衝材140との間に安定して保持することができる。
【0111】
次に、内視鏡200の操作部210に接続された挿入部220を、下部緩衝材130の保持部131の挿入部保持部138に収容する。具体的には、可撓性を有する内視鏡200の挿入部220の操作部210に近い後方側の部分を湾曲させながら、
図4に示す挿入部保持部138の後方湾曲部138aに収容する。さらに内視鏡200の挿入部220の中間部分を挿入部保持部138の中間湾曲部138bに収容する。
【0112】
ここで、前述のように、挿入部保持部138の中間湾曲部138bと、ユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bとは、下部緩衝材130に対して共通の溝として形成されている。この場合、下部緩衝材130の高さ方向において、共通の溝の下方側がユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bであり、この共通の溝の上方側が挿入部保持部138の中間湾曲部138bである。
【0113】
そのため、ユニバーサルチューブ保持部136の第2湾曲部136bに保持された内視鏡200のユニバーサルチューブ230の上に、内視鏡200の挿入部220の中間部分を重ねて収容して保持することができる。また、内視鏡200の操作部210の上方に交差させて収容したユニバーサルチューブ230の上に、内視鏡200の挿入部220の中間部分を重ねて、内視鏡200の操作部210の上方に交差させて収容および保持することができる。
【0114】
その後、さらに内視鏡200の操作部210の先端部を、
図4に示す下部緩衝材130の保持部131の前方直線部138cに収容する。ここで、前方直線部138cは、前述のように操作部保持部135の横方向延在部135aに沿って、下部緩衝材130の右側面へ向けて右斜め後方へ直線状に延び、後方湾曲部138aに交差している。また、下部緩衝材130の高さ方向において、前方直線部138cの深さは、後方湾曲部138aに交差する下部緩衝材130の右側面の近傍の先端部において、後方湾曲部138aの深さよりも浅くなっている。さらに、前方直線部138cは、中間湾曲部138bとの接続部分から先端部へ向けて、下部緩衝材130の高さ方向における深さが次第に浅くなるように、底部が傾斜させることができる。
【0115】
これにより、内視鏡200の挿入部220の先端部を操作部210に近い基端側の部分に交差させて収納することができるだけでなく、内視鏡200の挿入部220の先端部を下部緩衝材130の上面130aの近傍に配置して、取り出しを容易にすることができる。また、内視鏡200の先端部を直線状に収容して保持することができる。以上の手順により、下部緩衝材130の保持部131に、内視鏡200を収容して保持することができる。なお、以上の手順と逆の手順により、下部緩衝材130の保持部131に収容されて保持された内視鏡200を取り出すことができる。
【0116】
次に、
図8に示すように、外箱110の開口部110aから外箱110の内部に上部緩衝材140を収容して下部緩衝材130の上に配置する。ここで、上部緩衝材140は、保持部131を含む下部緩衝材130の上面130aを覆うように設けられている。これにより、下部緩衝材130と上部緩衝材140との間にちりやほこりが侵入するのを防止することができる。したがって、本実施形態の内視鏡ケース100によれば、下部緩衝材130に設けられた保持部131に保持され、上部緩衝材140に覆われた内視鏡200にちりやほこりが付着するのを、効果的に防止することができる。
【0117】
また、上部緩衝材140によって保持部131を含む下部緩衝材130の上面130aを覆うときに、上部緩衝材140と下部緩衝材130のうち、一方の両側縁に設けられた凹部146を、他方の両側縁に設けられた凸部132に係合させる。このとき、上部緩衝材140を下部緩衝材130の上に配置すると、まず凸部132が凹部146に係合され、次に上部緩衝材140の下面140bと下部緩衝材130の上面130aが対向または当接する。そのため、上部緩衝材140を下部緩衝材130の上に被せるときに、凹部146と凸部132の係合によって、これらの延在方向に交差する方向の上部緩衝材140と下部緩衝材130との相対移動が防止され、上部緩衝材140の下面140bと下部緩衝材130の上面130aとの面方向の擦れを抑制することができる。
【0118】
また、凹部146と凸部132は、緩衝材120の両側縁に沿って延在しているので、これらを係合させるときに、上部緩衝材140と下部緩衝材130の位置合わせが容易である。たとえば、互いに係合する凹部と凸部が、緩衝材120の側縁の内側に、側縁から離隔して点状または島状に存在していると、上部緩衝材140を下部緩衝材130に重ねるときに凹部と凸部を視認しにくく、これらを係合させにくくなる。しかし、凸部132と凹部146が、緩衝材120の両側縁に沿って延在していれば、上部緩衝材140を下部緩衝材130に重ねるときに凹部146と凸部132を視認しやすく、これらを係合させやすくすることができる。
【0119】
また、上部緩衝材140を下部緩衝材130に被せ、凸部132と凹部146を係合させることで、たとえば凸部132と凹部146の延在方向に交差する横方向において、上部緩衝材140と下部緩衝材130との相対移動が防止される。また、凸部132と凹部146を係合させることで、凸部132および凹部146を有しない場合と比較して、上部緩衝材140と下部緩衝材130の接触面積を大きくすることができる。よって、凸部132と凹部146の延在方向においても摩擦抵抗を増加させ、上部緩衝材140と下部緩衝材130との相対移動を防止することができる。したがって、上部緩衝材140の下面140bと下部緩衝材130の上面130aとの面方向の擦れを抑制し、ちりやほこりの発生を抑制して内視鏡200への付着を防止することができる。
【0120】
また、本実施形態の内視鏡ケース100は、上部緩衝材140が下部緩衝材130に対向する下面140bに凹部146を有し、下部緩衝材130が上部緩衝材140に対向する上面130aに凸部132を有している。そのため、上部緩衝材140の下面140bを下にして上部緩衝材140を平坦な載置面に置くと、上部緩衝材140の下面140bの大部分が載置面に接する。したがって、上部緩衝材140を載置面に安定して配置することができ、上部緩衝材140が凸部を有する場合と異なり、凸部に負荷が集中して破損するのを防止することができる。
【0121】
一方、内視鏡ケース100において、たとえば、上部緩衝材140が下部緩衝材130に対向する下面140bに凸部を有し、下部緩衝材130が上部緩衝材140に対向する上面130aにその凸部に係合する凹部を有する場合には、次のような効果が期待できる。すなわち、上部緩衝材140を取り外した後に、たとえば下部緩衝材130に対向する下面140bを下にして床面などに置いても、凸部によって上部緩衝材140を支持し、下部緩衝材130に対向する上部緩衝材140の下面140bが、凸部を除き、床面に接するのを防止できる。したがって、下部緩衝材130に対向する上部緩衝材140の下面140bにちりやほこりが付着するのを抑制し、内視鏡200にちりやほこりが付着するのを抑制することができる。
【0122】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、下部緩衝材130の両側縁に隣接する外箱110の側壁112は、この側壁112の外側部分を構成する段ボール紙がこの側壁112の上端部で開口部110aの内側へ底壁111に向けて折り返されている。これにより、外箱110の側壁112は、下部緩衝材130の凸部132に隣接する折返し部112aを有している。この折返し部112aの底壁111側の下端部は、下部緩衝材130の凸部132の頂部よりも底壁111に近接しかつ底壁111から離隔している。
【0123】
ここで、折返し部112aによって覆われた外箱110の左右の側壁112の内面の上部は、外箱110の素材である段ボール紙の光沢を有する平滑な外装面になっている。そして、この折返し部112aの下端よりも底壁111に近い外箱110の左右の側壁112の内面の下部は、素材である段ボール紙が露出した内装面になっている。そのため、前述のように、折返し部112aの底壁111側の下端部が、下部緩衝材130の凸部132の頂部よりも下方に位置することで、下部緩衝材130によって側壁112の下部の内装面を覆い隠すことができる。これにより、外箱110の左右の側壁112の下部の内面に露出する内装面を覆うために、折返し部112aの下端を外箱110の左右の側壁112の下端まで延ばす必要がなくなる。したがって、段ボール紙を節約して外箱110のコストを低減することができる。
【0124】
また、外箱110の左右の側壁112の内面の上部の折返し部112aは、前述のように、外箱110の左右の側壁112の外側部分を構成する段ボール紙が、側壁112の上端部で開口部110aの内側へ下方に折り返されて形成されている。さらに、折返し部112aの底壁111側の下端部は、底壁111から離隔して底壁111との間に一定の距離を有している。そのため、折返し部112aの下端部は、段ボール紙の弾性によって、横方向に開口部110aの内側へ向けて付勢され、下部緩衝材130の凸部132の頂部よりも下方側で、下部緩衝材130の左右の側面に当接する。これにより、外箱110に収容された下部緩衝材130の横方向の位置が、一定程度、位置決めされる。
【0125】
また、上部緩衝材140は、下部緩衝材130に対向する下面140bの保持部131に対応する位置に凹部141a,141b,141cを有している。この上部緩衝材140の下面140bの凹部141a,141b,141cに、内視鏡200の上部緩衝材140に向けて突出する部分を収容することで、内視鏡200の突出した部分と上部緩衝材140との干渉を回避することができる。
【0126】
これにより、上部緩衝材140と内視鏡との接触による発塵を防止することができる。また、下部緩衝材130の保持部131に収容した内視鏡200の一部を、上部緩衝材140側に突出させることができるので、下部緩衝材130の保持部131の深さを必要以上に深くする必要がなくなる。これにより、下部緩衝材130を薄型化することができる。また、内視鏡200を下部緩衝材130の保持部131から取り出しやすくすることができる。
【0127】
より具体的には、本実施形態の内視鏡ケース100において、下部緩衝材130の保持部131は、内視鏡200の操作部210を保持する操作部保持部135を有している。また、上部緩衝材140の凹部141a,141bは、操作部保持部135に対向していている。これにより、内視鏡200の操作部210の上下湾曲操作レバー211や左右湾曲操作レバー212など、操作部210の突出した部分と上部緩衝材140との干渉を回避することができる。
【0128】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、下部緩衝材130の保持部131は、内視鏡200のコネクタ部240を保持するコネクタ部保持部137を有している。そして、上部緩衝材140の凹部141cは、コネクタ部保持部137に対向している。これにより、内視鏡200のコネクタ部240の送気送水用口金243など、コネクタ部240の突出した部分と上部緩衝材140との干渉を回避することができる。
【0129】
さらに、本実施形態の内視鏡ケース100において、上部緩衝材140は、操作部保持部135に対向する部分の厚さがコネクタ部保持部137に対向する部分の厚さよりも厚くされ、操作部保持部135に対向する凹部141aの深さがコネクタ部保持部137に対向する凹部141cの深さよりも深くされている。これにより、内視鏡200において最も突出した部分になりやすい操作部210の上下湾曲操作レバー211や左右湾曲操作レバー212などを、上部緩衝材140の厚さが厚くされた部分の深い凹部141aに収容して、操作部210の突出した部分と上部緩衝材140との干渉を回避することができる。
【0130】
したがって、上部緩衝材140に内視鏡200との干渉を回避するための開口を形成する必要がなくなり、上部緩衝材140によって下部緩衝材130の保持部131を含む上面130aの全体を覆うことが可能になる。さらに、内視鏡200において操作部210よりも突出高さが低くなりやすいコネクタ部240の一部を、上部緩衝材140の厚さが薄くされた部分の浅い凹部141cに収容して、コネクタ部240の突出した部分と上部緩衝材140との干渉を回避することができる。したがって、上部緩衝材140が必要以上に厚くなるのを回避することができる。
【0131】
なお、緩衝材120は、両側縁の一方の側縁に沿う凹部146および凸部132と他方の側縁に沿う凹部146および凸部132とが、非回転対称に配置されていてもよい。たとえば、
図4に示すように、下部緩衝材130の左右の両側縁において、下部緩衝材130の前後に延在する左右の凸部132は、下部緩衝材130の後側の半分のみが形成されていてもよい。この場合、
図7に示す上部緩衝材140の左右の両側縁において、上部緩衝材140の前後に延在する左右の凹部146は、上部緩衝材140の後側の半分のみが形成されていてもよい。
【0132】
また、下部緩衝材130の左右の両側縁において、たとえば、前後に延在する凸部132の後側の三分の二のみを形成し、前側の三分の一に前後に延在する凹部を形成してもよい。この場合、上部緩衝材140の左右の両側縁において、前後に延在する左右の凹部146の後側の三分の二のみを形成し、前側の三分の一に前後に延在して下部緩衝材130の凹部に係合する凸部を形成してもよい。
【0133】
このように、緩衝材120は、両側縁の一方の側縁に沿う凹部146および凸部132と他方の側縁に沿う凹部146および凸部132とを、非回転対称に配置することで、上部緩衝材140と下部緩衝材130の配置を一意に決定することができる。より具体的には、たとえば外箱110の底壁111に垂直な回転軸を中心に、上部緩衝材140を下部緩衝材130に対して180°反転させて下部緩衝材130の上面130aに配置しても、凹部146と凸部132を係合させることができなくなる。
【0134】
このように、上部緩衝材140と下部緩衝材130の配置を一意に決定することができれば、上部緩衝材140の下面140bの凹部141a,141b,141cを、下部緩衝材130の保持部131の正しい位置に対向させることができる。したがって、上部緩衝材140の下面140bの凹部141a,141b,141cによって、上部緩衝材140と内視鏡200の一部との干渉をより確実に防止して、ちりやほこりの発生と内視鏡200への付着を防止することができる。
【0135】
さらに、本実施形態の内視鏡ケース100において、上部緩衝材140は、外箱110の上蓋113に対向する上面140aの周縁部に設けられた枠状部142と、この枠状部142の内側で上部緩衝材140の上面140aに設けられた凹部143a,143bとを有している。これにより、外箱110の上蓋113によって外箱110の開口部110aを閉じた状態で、上部緩衝材140の枠状部142を外箱110の上蓋113に接触させて上部緩衝材140の浮きを防止し、上部緩衝材140によって下部緩衝材130の上面130a全体を覆った状態を維持することができる。また、上部緩衝材140の上面140aに凹部143a,143bを設けることで、上部緩衝材140が必要以上に厚くなるのを防止することができるだけでなく、たとえば、説明書や部品などを収納するスペースを確保することができる。
【0136】
さらに、本実施形態の内視鏡ケース100において、上部緩衝材140は、外箱110の上蓋113に対向する上面の両側縁に段差状に設けられた持手部144を有している。このように、上部緩衝材140に持手部144を設けることで、外箱110の開口部110aの内側にわずかな隙間でぴったりとはめ込まれた上部緩衝材140を外箱110から取り出しやすくすることができる。また、上部緩衝材140を外箱110の開口部110aの内側にわずかな隙間でぴったりと収容しやすくすることができる。さらに、上部緩衝材140の下面140bから上面140aまで連続する切欠状の持手部を形成する場合と異なり、下部緩衝材130の上面130aを露出させることがないため、上部緩衝材140によって下部緩衝材130の上面130aの全体を覆うことが可能になる。
【0137】
さらに、本実施形態の内視鏡ケース100において、外箱110は、緩衝材120の左右の両側縁の間の前側の一側縁に隣接する側壁112に把手115が取り付けられている。これにより、内視鏡ケース100の持ち運び時に把手115をつかんで持ち運ぶことができ、内視鏡ケース100の持ち運びを容易にすることができる。また、下部緩衝材130は、前側の一側縁のストッパー115aに対応する位置に凹状の切欠部134を有している。これにより、把手115のストッパー115aと下部緩衝材130との干渉を回避して、ちりやほこりの発生を防止することができる。さらに、この切欠部134は、把手115のストッパー115aよりも外箱110の開口部110aに近接する位置まで上下に延在している。これにより、下部緩衝材130の上に配置された上部緩衝材140が把手115のストッパーと干渉するのを防止し、ちりやほこりの発生を防止することができる。
【0138】
図8に示すように、外箱110の開口部110aから外箱110の内部に上部緩衝材140を収容して下部緩衝材130の上に配置した後は、上蓋113を閉じて外箱110の開口部110aを閉塞する。このとき、外箱110の上蓋113の横方向両側の第2蓋挿入部113bを、外箱110の側壁112と上部緩衝材140との間に差し込んで、側壁112と上部緩衝材140および下部緩衝材130との間に配置する。これにより、外箱110の側壁112と緩衝材120との間の隙間を少なくして、緩衝材120と外箱110との相対的な移動を防止することができる。また、外箱110の左右の側壁112の上部で開口部110aの内側に下方に延びる折返し部112aが形成されているので、外箱110の上蓋113の第2蓋挿入部113bを折返し部112aによってガイドして、外箱110の側壁112と上部緩衝材140との間に円滑に差し込むことが可能になる。
【0139】
その後、上蓋113の前端部の横方向の両側の第1蓋挿入部113aを、外箱110の前方側において、縦方向に延びる一対の側壁112の外側部分と内側部分との間の間隙に差し込む。そして、外箱110の正面の側壁112の外側部分を構成する上蓋113の前端部の中央部の貫通孔117に把手115を通し、上蓋113の前端部を外箱110の正面で横方向に延びる側壁112の内側部分に重ねる。これにより、互いに対向する正面の側壁112の内側部分の外面の係合部117aと、正面の側壁112の外側部分の内面の係合部117bとが、互いに係合する。以上により、内視鏡ケース100に内視鏡200を収納することができ、逆の手順により、内視鏡ケース100に収納された内視鏡200を取り出すことができる。
【0140】
このように、本実施形態の内視鏡ケース100によれば、段ボールよりも緩衝性に優れた発泡樹脂製の下部緩衝材130と上部緩衝材140との間に内視鏡200を収納し、さらにその外側を耐久性に優れた段ボール製の外箱110で覆うことができる。したがって、本実施形態の内視鏡ケース100は、前記特許文献2に記載された従来の内視鏡用収納ケースよりも、内視鏡200の保護に必要な緩衝性に優れ、搬送時の振動や衝撃をより効果的に緩和して、内視鏡200に不具合が発生するのを防止することができる。
【0141】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、外箱110の素材である段ボール紙の外装面および内装面の色は、たとえば白色系など、外箱110の内部に収容された緩衝材120の色よりも明度の高い色である。また、緩衝材120の色は、たとえば黒色系など、外箱110の色よりも明度の低い色である。このように、緩衝材120の色を外箱110の色よりも明度の低い色にすることで、外箱110から発生したちりやほこりが付着したときに視認しやすくして、ちりやほこりを除去しやすくすることができる。
【0142】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、下部緩衝材130は、前述のように空洞部133を有している。たとえば、ユニバーサルチューブ保持部136の第1湾曲部136aの内側に形成された第1空洞部133a、コネクタ部保持部137の前後に隣接する第2空洞部133bおよび第3空洞部133cは、比較的に大きいスペースを確保することができる。そのため、これらの空洞部133に、内視鏡200の部品などを収納することができる。また、下部緩衝材130の前端の左右の角部に第4空洞部133dおよび第5空洞部133eを有することで、これらの空洞部133によって内視鏡ケース100に加わった衝撃を緩和して内視鏡200を効果的に保護することができる。
【0143】
また、本実施形態の内視鏡ケース100において、外箱110は、たとえば、互いに対向する正面の側壁112の内側部分の外面と、正面の側壁112の外側部分の内面に、互いに係合する係合部117a,117bを有している。これにより、たとえば、把手115をつかんで内視鏡ケース100を持ち運ぶときに、正面の側壁112の外側部分が正面の側壁112の内側部分から浮き上がることが防止され、内視鏡ケース100を安定して持ち運ぶことができ、外箱110の上蓋113が不意に開くのを防止することができる。
【0144】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡素な素材からなり、緩衝性に優れ、内視鏡200にちりやほこりが付着するのを防止することができ、内視鏡200の取り出しおよび収納が容易な内視鏡ケース100を提供することができる。
【0145】
(内視鏡ケース:実施形態2)
次に、本発明に係る内視鏡ケースの実施形態2について、
図2から
図8を援用し、
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の実施形態2に係る内視鏡ケース100Aの分解斜視図である。
【0146】
本実施形態の内視鏡ケース100Aは、緩衝材120Aの両側縁の間の一側縁に沿って、両側縁の凹部146および凸部132と同様に、凹部146Aと凸部132Aが延在している点で、前述の実施形態1の内視鏡ケース100と異なっている。本実施形態の内視鏡ケース100Aのその他の構成は、前述の実施形態1の内視鏡ケース100の構成と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0147】
本実施形態の内視鏡ケース100Aは、前述の実施形態1の内視鏡ケース100と同様に、たとえば医療用の内視鏡200を収納するための容器である。内視鏡ケース100Aは、段ボール紙を素材とする外箱110と、この外箱110に収容され発泡樹脂を素材とする緩衝材120Aと、を備えている。緩衝材120Aは、上蓋113に隣接して配置された上部緩衝材140Aと、内視鏡200を保持する凹状の保持部131が形成され、外箱110の底壁111に隣接して配置された下部緩衝材130Aと、を有している。
【0148】
上部緩衝材140Aと下部緩衝材130Aは、一方が凹部146,146Aを有し、他方がこれらの凹部146,146Aに係合する凸部132,132Aを有している。たとえば、緩衝材120Aの左右の両側縁に沿って、凹部146と凸部132が延在し、緩衝材120Aの左右の両側縁の間の前側の一側縁に沿って、凹部146Aと凸部132Aが延在している。
【0149】
本実施形態の内視鏡ケース100Aにおいて、下部緩衝材130Aの上に上部緩衝材140Aを配置すると、緩衝材120Aの左右の両側縁において、下部緩衝材130Aの凸部132が上部緩衝材140Aの凹部146に係合する。また、緩衝材120Aの前側の一側縁において、下部緩衝材130Aの凸部132Aが上部緩衝材の凹部146Aに係合する。
【0150】
したがって、本実施形態の内視鏡ケース100Aによれば、前述の実施形態1の内視鏡ケース100と同様の効果を得ることができる。特に、緩衝材120Aの両側縁だけでなく、両側縁の間の一側縁に凸部132Aと凹部146Aを有することで、下部緩衝材130Aと上部緩衝材140Aとの擦れをより確実に防止して、ちりやほこりの発生を防止することができる。これにより、保持部131に保持されて上部緩衝材140Aに覆われた内視鏡200に、ちりやほこりが付着するのを、より確実に防止することができる。
【0151】
また、凸部132Aを設けることで、把手115のストッパー115aと内視鏡200との干渉を防止しつつ、下部緩衝材130Aの上面130aを外箱110aの底壁111に近づけることができる。すなわち、外箱110aの底壁111に対向する下部緩衝材130Aの底面から上面130aまでの高さを低くして、下部緩衝材130Aの厚さを薄くすることができる。これにより、保持部131の深さを浅くして内視鏡200を取り出しやすくすることができる。また、下部緩衝材130Aの厚さを薄くすることで、上面130aが把手115のストッパー115aよりも下方に位置した場合でも、凸部132Aによって、把手115のストッパー115aと内視鏡200との干渉を防止して、内視鏡に傷等の不具合が生じるのを防止できる。
【0152】
また、本実施形態の内視鏡ケース100Aにおいて、緩衝材120Aの凹部146,146Aおよび凸部132,132Aは、非回転対称に配置されている。すなわち、緩衝材120Aの凹部146,146Aに凸部132,132Aを係合させることで、上部緩衝材140Aと下部緩衝材130Aの配置を一意に決定することができる。したがって、上部緩衝材140の下面140bの凹部141a,141b,141cを下部緩衝材130の保持部131の正しい位置に対向させ、ちりやほこりの発生と内視鏡200への付着を防止することができる。
【0153】
また、本実施形態の内視鏡ケース100Aにおいて、緩衝材120Aの両側縁の凸部132の突出方向の高さは、緩衝材120Aの一側縁の凸部132Aの突出方向の高さよりも高くされている。これにより、下部緩衝材130Aの両側縁の凸部132の頂部がより外箱110の開口部110aに近い位置に配置され、その分、外箱110の側壁112の折返し部112aにおいて、外箱110の開口部110aを画定する側壁112の上端部から底壁111に最も近い下端部までの長さを短縮することができる。したがって、段ボール紙の使用量をさらに削減することが可能になる。
【0154】
図10は、
図5に示す内視鏡200と、その内視鏡200を備えた内視鏡システムの構成の一例を示す概略構成図である。以下では、まず、本実施形態の内視鏡ケース100に収納される内視鏡200の一例について詳細に説明し、次に、その内視鏡200を備えた内視鏡システム300の構成の一例について詳細に説明する。
【0155】
(内視鏡)
前述の内視鏡ケース100に収納される医療用の内視鏡200は、たとえば、硬質樹脂からなる操作部210と、この操作部210に接続された挿入部220およびユニバーサルチューブ230と、このユニバーサルチューブ230に接続されたコネクタ部240と、を備えている。以下では、操作部210から延びる挿入部220の先端側を内視鏡200の前方側とし、操作部210から延びるユニバーサルチューブ230の末端側を内視鏡200の後方側とする内視鏡200の前後方向に基づいて、内視鏡200の各部を説明する場合がある。
【0156】
挿入部220は、たとえば、操作部210から前方へ向けて、可撓管部221と接続部222と湾曲部223と先端硬質部224とを有している。可撓管部221は、操作部210から前方に延び、可撓性を有している。接続部222は、挿入部220と湾曲部223とを接続している。接続部222は、たとえばABS樹脂、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂などの硬質の樹脂材料を素材とする円筒状の部材である。接続部222は、操作部210から延びる比較的に大径の可撓管部221と、挿入部220の前端部の比較的に小径の湾曲部223とを接続している。
【0157】
接続部222は、たとえば湾曲部223が接続された前端面に、図示を省略する対物レンズが設けられている。この対物レンズの後方に隣接して、接続部222の内部に複数のレンズが設けられ、これら複数のレンズの後方に隣接して、接続部222の内部に撮像素子が設けられている。この接続部222の内部の撮像素子は、たとえば、挿入部220、操作部210、ユニバーサルチューブ230、およびコネクタ部240に通された画像信号用ケーブルを介して、コネクタ部240に突設された画像処理用接続スリーブ241に接続されている。
【0158】
また、接続部222は、たとえば前端面の対物レンズの両側に、図示を省略する照明用レンズが設けられている。この照明用レンズは、挿入部220、操作部210、ユニバーサルチューブ230、および、コネクタ部240に通されたライトガイドファイバを介して、コネクタ部240に突設された光源用接続スリーブ242に接続されている。
【0159】
湾曲部223は、接続部222の前端面に接続されている。湾曲部223は、操作部210の上下湾曲操作レバー211と、左右湾曲操作レバー212によって上下左右に湾曲可能に構成されている。具体的には、たとえば湾曲部223の内部に設けられ、湾曲部223を上下左右に湾曲させる湾曲機構が、挿入部220および操作部210に通されたワイヤを介して上下湾曲操作レバー211と、左右湾曲操作レバー212に接続されている。
【0160】
先端硬質部224は、湾曲部223の前端に設けられている。先端硬質部224は、湾曲部223と同径のおおむね円柱形状を有する部材である。先端硬質部224の素材は、たとえばABS樹脂、変性PPO樹脂、PSU樹脂などの硬質樹脂材料である。先端硬質部224は、前端面に、図示を省略する対物レンズが設けられている。この対物レンズの後方に隣接して、先端硬質部224の内部に、複数のレンズと、これら複数のレンズの後方に隣接して、撮像素子が設けられている。先端硬質部224の内部の撮像素子は、挿入部220、操作部210、ユニバーサルチューブ230、およびコネクタ部240の内部に通された画像信号用ケーブルを介して、コネクタ部240に突設された画像処理用接続スリーブ241に接続されている。
【0161】
また、先端硬質部224は、前端面の対物レンズの両側に照明用レンズが設けられている。この照明用レンズは、挿入部220、操作部210、およびユニバーサルチューブ230の内部に通されたライトガイドファイバを介して、コネクタ部240の光源用接続スリーブ242に接続されている。さらに先端硬質部224は、たとえば、前端面に、図示を省略する処置具挿通孔と副送水噴射孔と送気送水ノズルとを有している。この送気送水ノズルは、挿入部220、操作部210、ユニバーサルチューブ230、およびコネクタ部240の内部に通された送水チューブおよび送気チューブを介して、コネクタ部240に突設された送気送水用口金243に接続されている。送水チューブおよび送気チューブは、操作部210の送気送水ボタン213の操作によって、内部を流れる流体の流量を調整できるように構成されている。
【0162】
(内視鏡システム)
最後に、本実施形態の内視鏡ケース100に収容される前述の内視鏡200を備えた内視鏡システム300の一例について、詳細に説明する。
【0163】
内視鏡システム300は、たとえば内視鏡200、プロセッサ310、およびモニタ320を備えている。内視鏡200は、たとえばコネクタ部240がプロセッサ310の接続部に接続される。これにより、内視鏡200のコネクタ部240に突設された画像処理用接続スリーブ241および光源用接続スリーブ242が、プロセッサ310に内蔵された画像処理回路や光源等に接続される。
【0164】
また、内視鏡200は、たとえばコネクタ部240の送気送水用口金243に、図示を省略する給気および送水を行う流体供給源に接続された送気送水パイプが接続される。モニタ320は、たとえば液晶表示装置などの画像表示装置であり、プロセッサ310に接続されている。プロセッサ310は、たとえばメインスイッチ311、照明スイッチ312、および画像切り換えスイッチ313を有している。
【0165】
このような構成を備えた内視鏡システム300は、たとえば以下の手順によって使用することができる。まず、メインスイッチ311を押下してオンにし、照明スイッチ312を押下してオンにし、さらに画像切り換えスイッチ313を切り替えて第1の切り替え位置にする。照明スイッチ312をオンにすると、プロセッサ310内の光源が発光する。
【0166】
プロセッサ310内の光源から発せられた光は、プロセッサ310に接続された内視鏡200のコネクタ部240の光源用接続スリーブ242を介して、ライトガイドファイバに導入される。ライトガイドファイバに導入された光源からの光は、ユニバーサルチューブ230、操作部210、および挿入部220に通されたライトガイドファイバを介して、接続部222の前端面の照明用レンズおよび先端硬質部224の前端面の照明用レンズに到達し、前方に向けて照射される。
【0167】
また、メインスイッチ311をオンにすると、内視鏡200の接続部222内の撮像素子および先端硬質部224内の撮像素子が起動する。これにより、内視鏡200の接続部222の前端面および先端硬質部224の前端面の対物レンズの前方に位置する被写体の像が、接続部222および先端硬質部224の内部の対物レンズおよび複数レンズを通して撮像素子によって撮影される。この撮像素子によって撮影された被写体の像の画像データは、挿入部220、操作部210、およびユニバーサルチューブ230に通された画像信号用ケーブルを介してプロセッサ310内の画像処理回路に送られ、この画像処理回路によって画像処理が行われる。
【0168】
プロセッサ310は、内視鏡200の接続部222内の撮像素子によって撮影された画像データに基づいて第1画像処理データを生成し、内視鏡200の先端硬質部224内の撮像素子によって撮像された画像データに基づいて第2画像処理データを生成する。プロセッサ310は、画像切り換えスイッチ313が第1の切り換え位置にあるときには、モニタ320に第1画像処理データを送り、画像切り換えスイッチ313が第2の切り換え位置にあるときには、モニタ320に第2画像処理データを送る。これにより、モニタ320に表示させる画像を、内視鏡200の接続部222の前方画像と、内視鏡200の先端硬質部224の前方の画像に切り換えることができる。
【0169】
また、内視鏡200の操作部210の送気送水ボタン213の上面に形成した空気逃がし孔を塞ぐと、流体供給源から供給された圧縮空気が先端硬質部224の前端面に設けられた送気送水ノズルから隣接する対物レンズの表面に噴射される。さらに送気送水ボタン213の空気逃がし孔を塞ぎながら送気送水ボタン213を押下すると、流体供給源から供給された洗浄水が送水用パイプを介して送気送水ノズルに送水され、隣接する対物レンズの表面に噴射される。
【0170】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。