【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 食品機械向けのオプションの提案を目的としたリーフレット(刊行物)、2016年11月(郵送日) 抗菌塗装付ギヤモータの提案を目的としたリーフレット(刊行物)、2016年12月(郵送日) 伝導機新聞社(発行者)、伝導機新聞 第2頁目(刊行物)、2016年11月25日(発行年月日) 日本食糧新聞社(発行者)、月刊食品工場長 第236号 第19頁目(刊行物)、2016年12月1日(発行年月日) 伝導機新聞社(発行者)、設備資材 第31巻第4号 第31頁目(刊行物)、2016年12月25日(発行年月日) 伝導機新聞社(発行者)、伝導機新聞 第3頁目(刊行物)、2017年1月25日(発行年月日) 一般社団法人日本食品機械工業会(発行者)、ふーま 第33巻第134号 第33頁目(刊行物)、2017年2月1日(発行年月日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記当接面は、その外形が略多角形状をなすとともに、その多角形状がなす複数の角部と、前記複数の角部を繋ぐ線状の複数の辺部と、前記相手機械への取り付けに用いられる第1ボルトを挿通するための第1ボルト孔と、を有し、
前記第1ボルト孔は、前記角部を貫通し、
前記角部は、その角部に隣り合う前記辺部より線幅が大きい請求項1または2に記載の減速装置のシリーズ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」と付し、符号の末尾に「−A、−B」と付すことで区別し、総称するときはこれらを省略する。
【0010】
図1は、第1実施形態の第1減速装置12−Aが用いられる第1動力伝達装置10−Aを示す側面図である。第1動力伝達装置10−Aは、第1減速装置12−Aと、第1モータ14−Aとを備えるギヤモータであり、これらが一体化されている。第1モータ14−Aは後述する。
【0011】
第1減速装置12−Aは、第1減速機ケーシング16−Aと、第1入力軸(不図示)と、第1減速機構18−Aと、第1出力軸20−Aと、を備える。
【0012】
第1減速機ケーシング16−Aは、第1減速機構18−Aが収納される中空構造の第1収納部22−Aを備える。第1減速機ケーシング16−Aは後述する。
【0013】
第1入力軸は、動力源から出力される回転動力を入力するためのものである。本実施形態の動力源は第1モータ14−Aであり、その第1モータ14−Aのモータ軸(不図示)から回転動力が入力される。第1入力軸は、モータ軸に一体的に形成されてもよいし、モータ軸とは別体に設けられてもよい。
【0014】
第1減速機構18−Aは、第1入力軸の回転動力を減速して第1出力軸20−Aに伝達するためのものである。本実施形態の第1減速機構18−Aは、複数の平行な歯車軸に設けた複数の歯車によって、回転動力を減速する平行軸歯車減速機構である。
【0015】
第1出力軸20−Aは、第1減速機構18−Aから伝達された回転動力を駆動対象となる相手機械24の被駆動軸(不図示)に出力するためのものである。第1出力軸20−Aは、第1減速機ケーシング16−Aの外内を隔てる外壁部から外向きに突出しており、相手機械24の外壁部24aに形成された挿通孔24bに挿通される。第1出力軸20−Aは、たとえば、キー等の連結構造によって、相手機械24の被駆動軸に一体的に回転可能に連結される。以下、第1出力軸20−Aの軸方向のうち、第1減速機ケーシング16−Aから第1出力軸20−Aが突出する方向を突出方向Pbという。
【0016】
第1減速機ケーシング16−Aは、第1収納部22−Aより第1出力軸20−Aの突出方向Pb側において、第1収納部22−Aより第1出力軸20−Aの径方向外側につば状に張り出すフランジ部28を有する。フランジ部28は環状かつ板状をなしている。
【0017】
図2は、
図1の矢視Paから第1減速装置12−Aを見た図である。本図は、第1出力軸20−Aの軸方向から見た図でもある。
図1、
図2に示すように、第1減速機ケーシング16−Aは、相手機械24を取付相手としている。第1減速機ケーシング16−Aは、相手機械24に取り付けるときに、相手機械24の外壁部24aに当接させるための当接面34を有する。当接面34は、第1出力軸20−Aの径方向外側に設けられる。本実施形態の当接面34は、第1出力軸20−Aの突出方向Pbに臨むフランジ部28の外面に設けられる。
【0018】
当接面34は、第1出力軸20−Aの軸方向から見て、第1出力軸20−Aの周りの全周に亘りリング状に繋がる無端リング状をなしている。当接面34の外形は、第1出力軸20−Aの軸方向から見て、略四角形状、つまり、略多角形状をなす。当接面34は、その多角形状がなす複数の角部34aと、複数の角部34aを繋ぐ線状の複数の辺部34bとを有する。
【0019】
当接面34の角部34aは、その角部34aに隣り合う辺部34bより線幅が大きい。ここでの線幅とは、出力軸20−Aの軸方向から見て、ここで言及している一つの辺部34bを挟んで隣り合う角部34aを繋ぐ方向と直交する方向での幅をいう。たとえば、第1辺部34b(
図2中の左側の辺部34b)を挟んで隣り合う第1角部34a(
図2中の左上側の角部34a)及び第2角部34a(
図2中の左下側の角部34a)を繋ぐ方向をPeとする。このとき、その方向Peと直交する方向での第1辺部34bの幅が第1辺部34bの線幅L1となり、その直交する方向での第1角部34aの幅が第1角部34aの線幅L2となる。本実施形態の第1辺部34bの線幅L1は一定であり、第1角部34aの線幅L2は線幅L1より大きい。本実施形態の第1角部34aの線幅L2は、第1辺部34bと隣り合う第2角部34aから離れるに従って徐々に大きくなる。本実施形態の第1角部34aの線幅L2は、当接面34がなす多角形の内側に広がるように第1辺部34bの線幅L1より大きくなる。ここでは、当接面34の一つの辺部34bと、その辺部34bに隣り合う角部34aとの間での線幅に関する条件を説明しているが、他の辺部34bと、その他の辺部34bに隣り合う角部34aとの間でも同様の条件が満たされている。
【0020】
当接面34は、相手機械24への取り付けに用いられる第1ボルト36を挿通するための第1ボルト孔34cを有する。本実施形態の第1ボルト孔34cは、当接面34とともにフランジ部28を貫通している。第1ボルト孔34cは、複数の角部34aのそれぞれを貫通している。第1ボルト36は、第1ボルト孔34cに対して当接面34とは反対側から当接面34側に向かって挿通され、相手機械24に形成された雌ねじ孔24dにねじ込まれることで、第1減速機ケーシング16−Aと相手機械24を締結する。これにより、第1減速機ケーシング16−Aは、第1ボルト36を用いて、相手機械24に取り付けられる。別の観点から見ると、第1減速機ケーシング16−Aは、相手機械24とは別の外部部材に脚部を介して据え付けられるものではなく、その外部部材に据え付けるための脚部を備えていない。
【0021】
第1減速機ケーシング16−Aは、第1出力軸20−Aの周りにおいて、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34より第1出力軸20−Aの突出方向Pbとは反対側に凹む凹部32を有する。凹部32は、第1出力軸20−Aの軸方向から見て、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34と第1出力軸20−Aの間に設けられる。凹部32は、第1出力軸20−Aの突出方向Pbに向けて開口しており、その内部空間は相手機械24の内部空間24cと一続きになっている。
【0022】
図3(a)は、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34以外の箇所での模式的な断面図であり、
図3(b)は、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34での模式的な断面図である。第1減速機ケーシング16−Aは、その外側の素地面16aを被覆する抗菌層38と、その素地面16aと抗菌層38との間に設けられる接着層40とを有する。ここでの素地面16aとは、抗菌層38等の表面処理層の素地となる面であって、第1減速機ケーシング16−Aの母材そのものが形成する面をいう。抗菌層38や接着層40は、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34以外の箇所で外側の素地面16aに被覆されている。
【0023】
抗菌層38は、第1減速機ケーシング16−Aの最外層に設けられ、第1減速機ケーシング16−Aの周囲の外気に晒されている。抗菌層38は、抗菌剤を含有しており、菌類に対する抗菌性を持つ。ここでの抗菌剤とは、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤等であり、その具体例は特に限られない。本実施形態の抗菌層38は、抗菌剤の他に塗料を含有している。抗菌層38は、たとえば、抗菌剤入りの塗料の塗布や、めっき処理等により得られる。
【0024】
接着層40は、塗装用接着剤等の接着剤を含有しており、素地面16aと抗菌層38とを接着させる機能を持つ。接着層40は、たとえば、接着剤の塗布等により得られる。
【0025】
図2では、第1減速機ケーシング16−Aの外面のうち抗菌層38が被覆されていない箇所をダブルハッチングで示し、抗菌層38が被覆されている箇所にはダブルハッチングを付していない。
図2、
図3(b)に示すように、抗菌層38は、当接面34の素地面16aには被覆されていない。当接面34の素地面16aには抗菌層38の他にも接着層40が被覆されていない。当接面34の素地面16aは、相手機械24に第1減速機ケーシング16−Aを取り付けていない状態にあるとき、外気に晒されて露出している。当接面34の素地面16aは、
図1に示すように、相手機械24に第1減速機ケーシング16−Aを取り付けた状態にあるとき、その全体が相手機械24の外壁部24aに当接されており、外気に晒されない。
【0026】
当接面34の素地面16aは、所定の範囲の表面粗さを持つ平滑面である。この表面粗さは、当接面34の素地面16aを相手機械24に対して当接させた状態で取り付けるとき、予め定められた目標位置に第1減速機ケーシング16−Aが配置されるような範囲に設定される。ここでの目標位置とは、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの相対位置に関して目標となる位置をいう。本例では、相手機械24の被駆動軸の中心軸線に対して第1出力軸20−Aの中心軸線のなす角度や、被駆動軸と第1出力軸20−Aのオフセット量について、予め定められた範囲に収まる位置をいう。このような平滑面は、切削加工等の機械加工により得られる。
【0027】
以上の第1減速装置12−Aの効果を説明する。
まず、かりに、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34に抗菌層38が被覆されている場合を考える。この場合、当接面34の抗菌層38には、第1減速機ケーシング16−Aを相手機械24に取り付けるとき、当接面34の素地面16aと相手機械24の間に挟み込まれることで圧縮力が導入される。この圧縮力は、たとえば、第1減速機ケーシング16−Aと相手機械24に第1ボルト36の軸力が作用することで生じる。この圧縮力の当接面34上での分布を均一にするのは困難であり、当接面34上での位置により圧縮力の分布むらが通常は生じる。これに起因して、当接面34の抗菌層38が容易に変形してしまい、相手機械24に対する相対位置が目標位置からずれた状態で第1減速機ケーシング16−Aが取り付けられ易くなる。つまり、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34に抗菌層38が被覆されている場合、その当接面34の抗菌層38に起因して、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの位置精度の低下を招く。
【0028】
また、抗菌層38は、通常、第1減速機ケーシング16−Aの素地面16aに対して、抗菌剤入りの塗料を塗布することで得られる。よって、抗菌層38は、通常、その外面の平面度を確保するのが困難であり、この点も相まって、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの位置精度の低下を招く。
【0029】
(A)この点、本実施形態の第1減速機ケーシング16−Aには、相手機械24に当接させるための当接面34に抗菌層38が被覆されていない。よって、相手機械24との間で抗菌層38を挟み込むことなく、相手機械24に第1減速機ケーシング16−Aを取り付けられる。これにより、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34の抗菌層38に起因する、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの位置精度の低下を防止できる。また、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34の素地面16aに関して、その平面度に応じた位置精度で相手機械24に取り付け可能になる。この素地面16aの平面度は機械加工により容易に高精度化を図れ、抗菌層38のように容易に変形することもない。よって、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの位置精度への要求に容易に応えられる。
【0030】
(A)また、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34は、相手機械24と当接しており、外気に晒されていない。特に、第1減速機ケーシング16−Aは、第1ボルト36により相手機械24に取り付けられるため、その当接面34は、第1ボルト36の軸力によって、相手機械24と高い密着度で当接している。よって、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34は抗菌層38により被覆されていなくとも、当接面34を外気に晒さない環境を実現でき、その当接面34での衛生対策を図れる。また、第1減速機ケーシング16−Aは、その当接面34以外の箇所で外側の素地面16aに抗菌層38が被覆されており、当接面34以外の箇所での衛生対策も図れる。このため、本実施形態によれば、第1減速装置12−Aの衛生対策を図りつつ、相手機械24に対する第1減速装置12−Aの位置精度への要求に容易に応えられる。
【0031】
(B)また、かりに、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34の近傍で、第1減速機ケーシング16−Aと相手機械24との間を通る大流速の空気流が発生すると、その当接面34と相手機械24との間に空気が侵入しかねない。この点、本実施形態の第1減速機ケーシング16−Aの当接面34は無端リング状をなしている。これにより、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34を当接させて相手機械24に取り付けたとき、相手機械24の内部空間24cと第1減速機ケーシング16−Aの外部空間42(
図1参照)とを通じさせる隙間が第1減速機ケーシング16−Aと相手機械24との間に形成されなくなる。このため、第1減速機ケーシング16−Aと相手機械24との間を通る内部空間24cと外部空間42との間での大流速の空気流の発生を防止できる。この結果、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34と相手機械24の間への空気の侵入を効果的に防止でき、当接面34での衛生対策を効果的に図れる。
【0032】
(C)また、当接面34の第1ボルト孔34cは当接面34の角部34aを貫通し、その角部34aは辺部34bより線幅が広がるように膨出した形状である。よって、第1ボルト36の軸力が大きく作用する第1ボルト孔34c周りにある角部34aにおいて、相手機械24に対する接触面積を増大させることができ、相手機械24に対する第1ボルト36の緩みが生じ難くなる。この結果、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34を相手機械24に当接した状態を長期に亘り維持でき、その当接面34で長期に亘り衛生対策を図れる。また、辺部34bは角部34aより線幅が狭まった形状であるため、高精度化を図るべき当接面34の面積を減少させることができ、その素地面16aの平面度の高精度化を更に容易に図れる。よって、相手機械24に対する第1減速機ケーシング16−Aの位置精度への要求に更に容易に応えられる。
【0033】
(D)また、第1減速機ケーシング16−Aの素地面16aと抗菌層38の間には接着層40が設けられる。よって、第1減速機ケーシング16−Aの抗菌層38の素地面16aからの剥がれを防止でき、長期に亘り衛生対策を図れる。
【0034】
次に、第1モータ14−Aを説明する。
図4は、第1モータ14−Aの第1ファンカバー50−A(後述する)の切断面を周辺構造とともに示す図である。
図1、
図4に示すように、本実施形態の第1モータ14−Aは、かご形誘導電動機である。第1モータ14−Aは、第1モータケーシング44−Aと、第1モータ軸46−Aと、第1ファン48−Aと、第1ファンカバー50−Aとを備える。
【0035】
第1モータケーシング44−Aの負荷側端部は第1減速機ケーシング16−Aに接続され、第1減速機ケーシング16−Aと一体化される。第1モータケーシング44−Aは、不図示のステータとロータとを内部に収納する。第1モータケーシング44−Aも、第1減速機ケーシング16−Aと同様、外側の素地面を被覆する抗菌層と、抗菌層と素地面の間に設けられる接着層とを有する。
【0036】
第1モータ軸46−Aは、ロータに対して一体的に回転可能に取り付けられる。第1モータ軸46−Aの反負荷側端部には第1モータケーシング44−Aから突出する突出部分46aが設けられる。
【0037】
第1ファン48−Aは、第1モータ軸46−Aの突出部分46aに装着される。第1ファン48−Aは、第1モータ軸46−Aと一体的に回転し、その回転により空気流を発生させる。
【0038】
第1ファンカバー50−Aは、第1ファン48−Aを第1モータ軸46−Aの反負荷側から覆うとともに、第1ファン48−Aを第1モータ軸46−Aの径方向外側から覆う。第1ファンカバー50−Aは、有底筒状をなしており、第1モータケーシング44−Aに取り付けられる。第1ファンカバー50−Aは、第1ファンカバー50−Aの底部を形成する底壁部50aと、筒状の周壁部50bとを有する。底壁部50aには複数の吸気孔50cが形成される。周壁部50bの底壁部50aと反対側の開口部は、第1ファンカバー50−A内で第1ファン48−Aの回転により発生した空気流が流れ出る通気口50dとなる。この空気流は、第1モータケーシング44−Aの外面に当たることで、第1モータケーシング44−Aの放熱を促進し、第1モータケーシング44−Aを冷却させる役割を持つ。
【0039】
ここで、第1ファンカバー50−Aは、外側と内側のそれぞれの素地面を被覆する抗菌層を有する。この第1ファンカバー50−Aの抗菌層は、第1減速機ケーシング16−Aとは異なり、第1ファンカバー50−Aの外側の素地面の他に、その内側の素地面も被覆している。また、第1ファンカバー50−Aは、その素地面と抗菌層との間に設けられる接着層を有する。この第1ファンカバー50−Aの接着層も、第1減速機ケーシング16−Aとは異なり、第1ファンカバー50−Aの外側の素地面と抗菌層の間の他に、その内側の素地面と抗菌層の間にも設けられる。第1ファンカバー50−Aの抗菌層や接着層の成分は、本実施形態において、第1減速機ケーシング16−Aの抗菌層や接着層と同じである。
【0040】
(E)第1ファンカバー50−Aの抗菌層は、第1ファンカバー50−Aの底壁部50aの外側及び内側それぞれの素地面を被覆するとともに、第1ファンカバー50−Aの周壁部50bの外側及び内側それぞれの素地面を被覆する。抗菌層は、第1ファンカバー50−Aの底壁部50aの内側の素地面として、その吸気孔50cの内壁面の素地面も被覆している。抗菌層は、第1ファンカバー50−Aの周壁部50bの外側の素地面として、その周壁部50bの負荷側端面50eの素地面も被覆している。第1ファンカバー50−Aの抗菌層は、第1ファンカバー50−Aの素地面の全体が外気に晒されないように、その素地面の全体を被覆している。これにより、第1ファンカバー50−Aの外気に晒される箇所全体に抗菌層が設けられ、第1ファンカバー50−Aの全体を対象として衛生対策を図れる。
【0041】
次に、減速装置のシリーズを説明する。このシリーズは動力伝達装置のシリーズでもある。シリーズに属する複数の動力伝達装置は、後述のように、一部のハードウェア要素が共通化されている。
【0042】
図5は、シリーズに属する他の第2動力伝達装置10−Bを示す平面図である。
図6は、第2動力伝達装置10−Bの第2減速装置12−Bを第2出力軸20−Bの軸方向から見た図である。動力伝達装置のシリーズは、前述の第1動力伝達装置10−Aの他に、第2動力伝達装置10−Bを備える。第2動力伝達装置10−Bは、第2減速装置12−Bと、第2モータ14−Bとを備える。
【0043】
第2減速装置12−Bは、第2減速機ケーシング16−Bと、第2入力軸(不図示)と、第2減速機構18−Bと、第2出力軸20−Bとを備える。第2入力軸は、第1入力軸と機能が同じであるため、説明を省略する。
【0044】
第2減速機ケーシング16−Bは、第2減速機構18−Bが収納される中空構造の第2収納部22−Bの他に、外部部材52に据え付けるための脚部54を備える。この外部部材52は、第2減速装置12−Bの外部に配置される。外部部材52は、たとえば、相手機械24の周囲の床面又は壁面であり、第2減速装置12−Bを支持する役割を持つ。脚部54は後述する。
【0045】
第2減速機構18−Bは、第1減速機構18−Aと同じものが用いられる。ここでの「同じ」とは、第1減速装置12−Aと第2減速装置12−Bとの間で、言及しているハードウェア要素(ここでは減速機構)の構成部品の数、寸法は勿論のこと、その構成部品の素材も含めて共通化していることを意味する。また、第2減速装置12−Bは、第2減速機ケーシング16−B内に収納される他の内部部品に関しても、第1減速機ケーシング16−A内に収納される他の内部部品と同じものが用いられる。ここでの他の内部部品とは、減速機構を構成する歯車を支持する歯車軸、歯車軸を支持する軸受、オイルシール等である。
【0046】
第2出力軸20−Bは、第2減速機ケーシング16−Bから突出している。第2出力軸20−Bには、無端状の伝動部材56を巻き掛けるための回転部材58が装着される。伝動部材56と回転部材58は、たとえば、チェーンとスプロケットの組み合わせ、タイミングベルトとプーリーの組み合わせ等である。第2出力軸20−Bは、相手機械24の被駆動軸(不図示)に伝動部材56を介して回転動力を伝達可能に連結される。
【0047】
脚部54は、外部部材52に座する板状の座部54aと、座部54aに設けられるとともに外部部材52に当接させるための据付面54bとを有する。据付面54bは、第2出力軸20−Bの軸方向から見て、第2出力軸20−Bの軸方向と交差する交差方向Pcに延びている。また、据付面54bは、第2出力軸20−Bの軸方向にも延びている。座部54aは、第2出力軸20−Bの軸方向から見て、第2出力軸20−Bを間に挟んで交差方向Pcの両側にオフセットした位置に設けられる。
【0048】
脚部54は、外部部材52への据え付けに用いられる第2ボルト60を挿通するための第2ボルト孔54cを有する。第2ボルト孔54cは、脚部54の据付面54bとともに座部54aを貫通している。第2ボルト孔54cは、第2出力軸20−Bの軸方向から見て、前述の交差方向Pcに延びる長孔である。第2ボルト孔54cは、第2ボルト孔54cに対して据付面54bとは反対側から据付面54b側に向かって挿通され、外部部材52にねじ込まれることで、第2減速機ケーシング16−Bの脚部54と外部部材52を締結する。これにより、第2減速機ケーシング16−Bの脚部54は、第2ボルト60を用いて、外部部材52に据え付けられる。別の観点から見ると、第2減速機ケーシング16−Bは、相手機械24に直接に取り付けられるものではなく、その相手機械24に取り付けるために当接される当接面を備えていない。
【0049】
第2減速機ケーシング16−Bは、
図3(a)に示すように、その外側の素地面16aを被覆する抗菌層38と、その素地面16aと抗菌層38との間に設けられる接着層40とを有する。第2減速機ケーシング16−Bの抗菌層38及び接着層40は、第1減速機ケーシング16−Aの抗菌層38及び接着層40と機能や成分が同じである。第2減速機ケーシング16−Bの抗菌層38は、第2減速機ケーシング16−Bの据付面54bの素地面16aにも被覆されている。第2減速機ケーシング16−Bの抗菌層38は、第2減速機ケーシング16−Bの据付面54b以外の箇所の素地面16aにも被覆されている。
【0050】
第2モータ14−Bは、第2モータケーシング44−Bと、第2モータ軸と、第2ファンと、第2ファンカバー50−Bとを備える。これらは第1モータ14−Aの同様の名称の構成要素と同じ機能をもつ。第2モータケーシング44−Bも、第2減速機ケーシング16−Bと同様、外側の素地面を被覆する抗菌層と、抗菌層と素地面の間に設けられる接着層とを有する。第2ファンカバー50−Bも、外側と内側のそれぞれの素地面を被覆する抗菌層と、抗菌層と素地面の間に設けられる接着層とを有する。
【0051】
以上のシリーズの効果を説明する。
第2減速機ケーシング16−Bは、その据付面54bを含む箇所の素地面16aを被覆する抗菌層38を有しており、第2減速機ケーシング16−Bの素地面16aに関して広範囲で衛生対策を図れる。
【0052】
(F)また、第2減速機ケーシング16−Bは、外部部材52に脚部54が据え付けられるものであり、相手機械24に直接には取り付けられない。第2減速機ケーシング16−Bの脚部54を外部部材52に据え付ける場合、通常、第2減速装置12−Bの第2出力軸20−Bは、相手機械24の被駆動軸に伝動部材56等を介して連結される。この場合、第2減速装置の正常な動作を保証するうえで、相手機械24の被駆動軸に対して高い位置精度で配置されることが要求されない。本例でいえば、相手機械24の被駆動軸に対して第2減速機ケーシング16−Bの位置ずれが生じても、その位置ずれに追従して伝動部材56がわずかに撓むことで、その位置ずれを吸収できるためである。よって、第2減速機ケーシング16−Bの据付面54bに抗菌層38がある場合でも、相手機械24に対する第2減速機ケーシング16−Bの位置精度への要求に容易に応えられる。
【0053】
このため、本シリーズによれば、第1減速装置12−Aのみならず、第2減速装置12−Bに関しても、衛生対策を図りつつ、相手機械24に対する位置精度への要求に容易に応えられる。
【0054】
また、第1減速装置12−Aの第1減速機構18−Aは、第2減速装置12−Bの第2減速機構18−Bと同じである。よって、シリーズの複数の減速装置の間で一部のハードウェア要素を共通化でき、シリーズ全体で管理すべき部品点数を抑えられ、シリーズ全体での製造コスト及び管理コストを軽減できる。
【0055】
なお、前述の(F)の効果を得る観点からは、相手機械24の被駆動軸と第2出力軸20−Bを連結するための連結構造として、その被駆動軸に対する第2出力軸20−Bの位置ずれを吸収可能なものが用いられていればよい。この例として、無端状の伝動部材56と回転部材58の組み合わせを説明したが、これに限られず、たとえば、カップリング等が用いられてもよい。
【0056】
次に、減速装置のシリーズの他の特徴を説明する。
第1減速装置12−Aに関して、第1ボルト孔34cに対する第1ボルト36の遊び量を第1遊び量Laとする。第1遊び量Laは、第1ボルト孔34cに対する第1ボルト36の径方向での許容される最大相対変位量である。本実施形態の第1遊び量Laは、第1ボルト36の円形の軸部の直径と、円形の第1ボルト孔34cの直径との差分値で表される。
【0057】
第2減速装置12−Bに関して、第2ボルト孔54cに対する第2ボルト60の遊び量を第2遊び量Lbとする。第2遊び量Lbは、第2ボルト孔54cに対する第2ボルト60の径方向での許容される最大相対変位量である。本実施形態の第2遊び量Lbは、第2ボルト孔54cに対して第2ボルト60の交差方向Pcでの許容される最大相対変位量となる。
【0058】
ここで、第2遊び量Lbは、第1遊び量Laより大きくなるように設定されている。これにより、相手機械24の被駆動軸に対して、第2減速機ケーシング16−Bの相対位置に位置ずれが生じたときでも、その被駆動軸に対する第2減速機ケーシング16−Bの相対位置を微調整し易くなる。この結果、第2減速機ケーシング16−Bの位置調整を通じて、相手機械24に対する第2減速機ケーシング16−Bの位置精度への要求に更に容易に応えられる。
【0059】
また、第2ボルト孔54cは、第2出力軸20−Bの軸方向から見て交差方向Pcに延びる長孔である。よって、第2減速機ケーシング16−Bの交差方向Pcでの位置調整を通じて、伝動部材56のテンションを調節し易くなり、相手機械24に対する位置精度への要求に更に容易に応えられる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図7は、第2実施形態の第1減速装置12−Aが用いられる第1動力伝達装置10−Aを示す平面図である。
図8は、
図7の矢視Pcから第1減速装置12−Aを見た図である。本実施形態の第1減速機構18−Aは、互いに直交する歯車軸に設けた複数の歯車によって、回転動力を減速する直交軸歯車減速機構である。
【0061】
なお、第2実施形態の第1減速機ケーシング16−Aにはフランジ部28が設けられていない。第1ボルト孔34cは、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34から、第1減速機構18−Aに対して第1出力軸20−Aの突出方向Pbとは反対側にある外壁部の外面16bに至るまで連続するように第1減速機ケーシング16−Aを貫通している。
【0062】
本実施形態の第1減速機ケーシング16−Aは、第1減速機ケーシング16−Aを第1出力軸20−Aの軸方向に分割した形状の第1分割部材16c及び第2分割部材16dを有する。第1分割部材16cは、第1出力軸20−Aの突出方向Pb側に設けられ、第2分割部材16dは、その突出方向Pbとは反対側に設けられる。
【0063】
第2実施形態の当接面34は、複数の辺部34bのそれぞれの中間部から多角形の内側に膨出する膨出部34dを有する。膨出部34dは、第1出力軸20−Aの軸方向に延びる柱状部の一部として第1減速機ケーシング16−Aに設けられる。膨出部34dには第1出力軸20−Aの軸方向に沿ってボルト穴34eが形成され、そのボルト穴34eには第1分割部材16cと第2分割部材16dを締結する締結ボルト(不図示)が挿通される。このボルト穴34eは、第1出力軸20−Aの突出方向Pb(
図8の紙面手前側)に向けて開口している。締結ボルトは、このボルト穴34eからは突出方向Pbに向けて突出しておらず、そのボルト穴34eの開口縁より奥側(
図8の紙面奥側)に収まっている。
【0064】
本実施形態でも、第1実施形態で説明した(A)〜(E)に記載の構成に関する条件を満たしており、同様の効果を得られる。
【0065】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、相手機械24に当接させるための当接面34に抗菌層38及び接着層40が被覆されておらず、第1減速機ケーシング16−Aの素地面16aが露出している。よって、第1実施形態と同様、第1減速装置12−Aの衛生対策を図りつつ、相手機械24に対する第1減速装置12−Aの位置精度への要求に容易に応えられる。
【0066】
(第3の実施の形態)
図9は、第3実施形態の第1減速装置12−Aが用いられる第2動力伝達装置10−Aを示す側面図である。
図10は、
図9の矢視Pdから第1減速装置12−Aを見た図である。本実施形態の第1減速機構18−Aは、噛合歯車と噛み合う揺動歯車を偏心体により揺動させることで自転させ、その自転成分を出力する偏心揺動型減速機構である。このように、減速機ケーシング内に収容される減速機構の種類は特に限られない。たとえば、撓み噛み合い型減速機構等の他の公知の減速機構が用いられてもよい。
【0067】
第1減速機ケーシング16−Aは、第1実施形態のように、第1出力軸20−Aの周りにおいて、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34より第1出力軸20−Aの突出方向Pbとは反対側に凹む凹部32を有していない。第1減速機ケーシング16−Aの一部16eは、第1減速機ケーシング16−Aの当接面34より第1出力軸20−Aの突出方向Pbに突き出ており、相手機械24の挿通孔24b内に嵌め込まれる。
【0068】
本実施形態でも、第1実施形態で説明した(A)、(B)、(D)、(E)に記載の構成に関する条件を満たしており、同様の効果を得られる。
【0069】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、相手機械24に当接させるための当接面34に抗菌層38及び接着層40が被覆されておらず、第1減速機ケーシング16−Aの素地面16aが露出している。よって、第1実施形態と同様、第1減速装置12−Aの衛生対策を図りつつ、相手機械24に対する第1減速装置12−Aの位置精度への要求に容易に応えられる。
【0070】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0071】
第1減速機ケーシング16−Aは、第1モータ14−Aと一体化される例を説明したが、第1モータ14−Aと一体化されなくともよい。第1モータケーシング44−Aや第1減速機ケーシング16−Aは、その形状について、特に限定されるものではない。
【0072】
当接面34は無端リング状をなす例を説明したが、その形状は特に限られない。たとえば、当接面34は、第1出力軸20−Aの軸方向から見て、周方向の一部が切り欠いたリング状をなしてもよいし、周方向に分離した複数の部位により構成されてもよい。
【0073】
当接面34がなす略多角形状の例として略四角形状を説明したが、その具体的な形状はこれに限られない。第1角部34aの線幅L2は、その第1角部34aと隣り合う第1辺部34bを挟んだ第2角部34aから離れるに従って徐々に大きくなる例を説明したが、段階的に大きくなってもよい。また、第1角部34aの線幅L2は、当接面34がなす多角形の内側に広がるように第1辺部34bの線幅L1より大きくなる例を説明したが、多角形の外側に広がるように第1辺部34bの線幅L1より大きくなってもよい。
【0074】
第1減速機ケーシング16−Aの素地面16aと抗菌層38との間には接着層40が設けられる例を説明したが、これに限られない。たとえば、接着層40がなくともよいし、他の層が設けられてもよい。