(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体と、複数の光源と、前記複数の光源からの光ビームを複数の被走査体に偏向走査する偏向走査部と、前記偏向走査部と前記被走査体との間に配設された複数の光学部と、前記筐体の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有する光学部支持部材とを備え、
前記複数の光学部は、副走査方向に予め定められた間隔で配設され、
前記光学部支持部材は、前記複数の光学部の主走査方向の一方の端部を支持する第1支持部と、他方の端部を支持する第2支持部とからなり、前記第1支持部および前記第2支持部は、それぞれ独立に前記筐体に設けられることを特徴とする光走査装置。
前記光学部支持部材の予め定められた第1部分を前記筐体に固定する固定部と、前記光学部支持部材の予め定められた第2部分を前記筐体に対し、複数の前記光学部が配設された前記副走査方向に相対的に変位可能に係合する係合部とをさらに備えた請求項1または2に記載の光走査装置。
前記固定部は、前記光学部支持部材の前記第1部分に設けられた第1挿通部を介して、前記筐体に設けられた第1ビス孔に第1ビスを挿入することによって構成された請求項3または4に記載の光走査装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)この発明の光走査装置は、筐体と、複数の光源と、前記複数の光源からの光ビームを複数の被走査体に偏向走査する偏向走査部と、前記偏向走査部と前記被走査体との間に配設された複数の光学部とを備えた光走査装置において、前記光学部支持部材は、予め定められた間隔で配設された前記複数の光学部を支持し、その熱膨張係数は、前記筐体の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする。
また、この発明の光走査装置は、前記光走査装置を備えた画像形成装置である。
【0013】
この発明において、「光走査装置」は、複写機やファクシミリ等の画像形成装置において、デジタル信号からなる画像情報に対応するレーザー光を帯電状態にある感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
「熱膨張係数」は、温度上昇によって筐体やレンズ支持部の体積が熱膨張する割合である。また、熱膨張係数の代わりに、副走査方向の線膨張係数(長さが変化する割合)であってもよい。
【0014】
この発明の「複数の光源」は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)に対応する光源であり、第1半導体レーザー44a、第2半導体レーザー44b、第3半導体レーザー44cおよび第4半導体レーザー44dによって実現される。
また、この発明の「被走査体」は、感光体ドラム13Y,13M,13Cおよび13Kによって実現される。
また、この発明の「偏向走査部」は、ポリゴンミラー42およびポリゴンモーター43等によって実現される。
また、この発明の「光学部」は、Fθ第2レンズ63b
1〜63b
4およびFθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4等によって実現される。
また、この発明の「光学部支持部材」は、Fθ第2レンズ支持部71および72によって実現される。
また、この発明の「画像形成装置」とは、プリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【0015】
また、この発明の光走査装置は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0016】
(2)前記光学部支持部材は、前記被走査体を前記光ビームが走査する第1方向における前記複数の光学部の両端部を支持するものであってもよい。
このようにすれば、低コストかつ簡単な構造により、光ビームの経路を妨げることなく筐体の熱膨張の伸びの影響を低減する光走査装置を実現できる。
【0017】
「前記被走査体を前記光ビームが走査する第1方向」は、感光体ドラム上を光ビームが走査する方向であり、この発明の実施形態における主走査方向Xに相当する。
【0018】
(3)前記筐体は、前記光学部支持部材に対して相対的に変位するものであってもよい。
このようにすれば、前記筐体が前記光学部支持部材に対して相対的に変位するように、光学部支持部材を筐体に設けることで、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0019】
(4)前記光学部支持部材の予め定められた第1部分を前記筐体に固定する固定部と、前記光学部支持部材の予め定められた第2部分を前記筐体に対し、複数の前記光学部が配設された第2方向に相対的に変位可能に係合する係合部とをさらに備えたものであってもよい。
このようにすれば、光学部支持部材を筐体に固定する固定部と、筐体に対し複数の光学部が配設された方向に相対的に変位可能に光学部支持部材を係合する係合部とを備えることで、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0020】
「複数の前記光学部が配設された第2方向」の一例は、感光体ドラム上を光ビームが走査する方向(第1方向)に直交する方向であり、この発明の実施形態における副走査方向Yに相当する。
【0021】
(5)前記係合部よりも前記複数の光源側に前記固定部を備えたものであってもよい。
このようにすれば、前記係合部よりも前記複数の光源側に前記固定部を備えることで、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0022】
(6)前記固定部は、前記光学部支持部材の前記第1部分に設けられた第1挿通部を介して、前記筐体に設けられた第1ビス孔に第1ビスを挿入することによって構成されたものであってもよい。
このようにすれば、第1挿通部、第1ビス孔およびビスで固定部を構成することで、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0023】
「固定部」は、ビスに限られず、例えば、筐体から円柱のボスを設け、そのボスを板金の孔に入れ、Eリングで板金が浮かないようにしてもよい。
【0024】
(7)前記係合部は、前記光学部支持部材の前記第2部分に設けられた第2挿通部を介して、前記筐体に設けられた第2ビス孔に第2ビスを挿入することによって構成され、前記第2ビスは、前記第2挿通部を介して前記第2ビス孔に挿入されたとき、前記光学部支持部材の前記第2部分を押圧するバネを有するものであってもよい。
このようにすれば、第2挿通部、第2ビス孔およびバネまたはフックを有するビスで係合部を構成することで、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0025】
(8)前記係合部は、前記光学部支持部材の前記第2部分に設けられた第2挿通部を介して、前記筐体に係合するフックを有するものであってもよい。
このようにすれば、簡単な構成で筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0026】
(9)前記第2挿通部は、前記第2方向に伸びる長孔または切欠を有するものであってもよい。
このようにすれば、第2方向に伸びる長孔または切欠を有する第2挿通部とビスまたはフックとの係合によって、筐体の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0027】
(10)前記光学部は、レンズおよび前記レンズを保持するレンズ保持部材からなり、前記光学部支持部材は、前記筐体に設けられた突起を挿通する挿通孔を有し、前記光学部は、前記被走査体を前記光ビームが走査する第1方向の一端が前記光学部支持部材に設けられたとき、前記レンズ保持部材の下面が、前記挿通孔を挿通した前記突起の先端と接しているものであってもよい。
このようにすれば、レンズ保持部材の下面が、前記挿通孔を挿通した前記突起の先端と接するため、突起の先端を調整することでレンズ保持部材を容易かつ精度よく取り付けることのできる光走査装置を実現できる。
【0028】
(11)前記光学部の前記被走査体を前記光ビームが走査する第1方向の一端が前記光学部支持部材に設けられたとき、前記光学部の一端の、複数の前記光学部が配設された第2方向の位置を調整する調整部が前記光学部支持部材に取り付けられたものであってもよい。
このようにすれば、筐体の熱膨張による影響を低減する調整部が光学部支持部材に取り付けられた光走査装置を実現できる。
【0029】
(12)前記調整部を駆動する駆動部が前記光学部支持部材に取り付けられたものであってもよい。
このようにすれば、筐体の熱膨張による影響を低減しつつ、前記調整部を駆動する駆動部が光学部支持部材に取り付けられた光走査装置を実現できる。
【0030】
「前記調整部を駆動する駆動部」は、例えばモータである。また、手動によって駆動するものであってもよい。
【0031】
(13)前記光学部支持部材は、前記複数の光学部のうち、ブラック、シアンおよびマゼンタ用の光学部またはブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー用の光学部を支持するものであってもよい。
このようにすれば、ブラック、シアンおよびマゼンタ用の光学部またはブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー用の光学部を前記光学部支持部材で支持することにより、筐体の熱膨張に起因するブラック、シアンおよびマゼンタ、またはブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの色ずれ量を低減する光走査装置を実現できる。
【0032】
(14)前記レンズ支持部は、金属材料からなり、前記筐体は、樹脂材料からなるものであってもよい。
このようにすれば、筐体の熱膨張に起因する色ずれの影響を低コストで低減する光走査装置を実現できる。
【0033】
「金属材料」の一例は、SECCであり、「樹脂材料」の一例は、PC/ABSアロイである。
【0034】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0035】
(従来技術との違い)
最初に、
図1に基づき、従来の光走査装置11cとこの発明の光走査装置11の違いについて説明する。
【0036】
図1(A)は、従来の光走査装置11cの筐体41の熱膨張によるFθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4の位置のずれを示す説明図である。また、
図1(B)は、この発明の光走査装置11の筐体41の熱膨張によるFθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4の位置のずれを抑制する機構を示す説明図である。
【0037】
図1(A)に示すように、従来の光走査装置11cは、Fθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4を筐体41内に直接固定している。
それゆえ、筐体41の副走査方向Yと反対方向(以下、−Y方向。X方向およびZ方向についても同様)の端部(熱膨張の基準)を基準として、筐体41が副走査方向Yに熱膨張した場合、各Fθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4もまた、副走査方向Yに位置ずれが生じ、その結果、色ずれが発生してしまう。
【0038】
このような問題を解決すべく、この発明は、
図1(B)に示すように、Fθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4を、直接筐体41内に設けることはせず、筐体41よりも熱(線)膨張係数が低い材料からなるFθ第2レンズ支持部71および72を間にはさんで筐体41内に設ける。
【0039】
このとき、Fθ第2レンズ支持部71および72が筐体41の膨張に引っ張られることがないよう、Fθ第2レンズ支持部71および72は、−Y方向の端部71aおよび72aのみを筐体41内に固定し、副走査方向Y側の端部71bおよび72bは筐体41内に固定しない。
【0040】
このようにすることで、筐体41は、Fθ第2レンズ支持部71および72とは独立に膨張するため、Fθ第2レンズ支持部71および72上に設けられたFθ第2レンズ63b
1,63b
2,63b
3,63b
4は、筐体41の熱膨張の影響を受けず、結果として、筐体41の熱膨張による色ずれが抑制される。
【0041】
(実施形態1)
<画像形成装置100の構成>
次に、
図2および
図3に基づき、この発明の実施形態1に係る光走査装置11を備えた画像形成装置100の構成について説明する。
【0042】
図2は、この発明の光走査装置11を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。また、
図3は、
図2に示す画像形成装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
≪画像形成装置100の構成≫
この画像形成装置100においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いた画像を印刷シートに印刷する。あるいは、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を印刷シートに印刷する。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15等は、それぞれ4個ずつ設けられる。各色に応じた4種類のトナー像を形成するために、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0044】
各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、次のようにしてトナー像が形成される。ドラムクリーニング装置14が、感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K表面の残留トナーを除去および回収する。その後、帯電器15により感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの表面が所定の電位に均一に帯電される。そして、帯電した前記表面が光走査装置11により露光されて前記表面に静電潜像が形成される。その後、現像装置12により前記静電潜像が現像される。これにより、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K表面に各色のトナー像が形成される。
【0045】
また、中間転写ベルト21は、矢印Cの方向に周回移動する。ベルトクリーニング装置22は、周回移動する中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収する。そして、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K表面の各色のトナー像が中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせられる。このようにして、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像が形成される。
【0046】
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23aとの間にはニップ域が形成されている。S字状のシート搬送経路R1を通じて搬送されてきた印刷シートは、そのニップ域に挟まれて搬送されつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像が転写される。ニップ域を通過した印刷シートは、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に挟み込まれて加熱および加圧され、印刷シート上のカラーのトナー像が定着される。
【0047】
前記印刷シートは、ピックアップローラ33により給送トレイ18から引出されて、シート搬送経路R1を通じて搬送される。そして、2次転写装置23や定着装置17を経由し、排出ローラ36を介して排出トレイ39へと搬出される。このシート搬送経路R1には、印刷シートを一旦停止させて印刷シートの先端を揃えるレジストローラ34が配置されている。レジストローラ34は、印刷シートを一旦停止させた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて搬送する。またシート搬送経路R1には、印刷シートの搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
【0048】
≪制御系の構成≫
図3において、制御部101は、画像形成装置100を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。
【0049】
印刷部102は、電子写真方式により印刷画像を印刷シートに印刷する。印刷部102は、
図2における光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K、ドラムクリーニング装置14および帯電器15を含んで構成される。さらに、中間転写ベルト21、定着装置17、シート搬送経路R1、給送トレイ18、および排出トレイ39等を含んで構成される。
【0050】
また、入力操作部103は、例えば複数の入力キーや液晶表示装置からなる。
メモリ104は、例えばハードディスク装置(HDD)やフラッシュメモリ等不揮発性の記憶手段であって、種々のデータやプログラムを格納する。
【0051】
例えば、制御部101は、画像読取装置111および原稿搬送装置112を制御して、原稿搬送装置112により原稿を搬送する。そして、画像読取装置111により原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ104に格納する。さらに、印刷部102を制御して、印刷部102でメモリ104内の画像データによって示される原稿の画像を印刷シートに印刷させる。
【0052】
ところで、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdでは、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上にそれぞれの色の画像を形成してから、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの画像を中間転写ベルト21に順次重ねるように転写する。よって、中間転写ベルト21上の各色の画像間で転写位置(画像位置)がずれて、色ずれが発生し、画像の品質が劣化することがある。
【0053】
従来、この色ずれを、次のようにして低減するものが知られている。
具体的には、光走査装置11の内部および/または周辺の温度をサーミスタで検出し、各温度における主走査方向X(以下、X方向)および副走査方向Y(以下、Y方向)のイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の色ずれ量を計測して得られた色ずれ量の温度特性テーブルのデータをメモリ104に格納しておく。
【0054】
次に、制御部101は、光走査装置11の内部および/または周辺の温度をサーミスタで検出させ、検出した温度に基づき、色ずれ量の温度特性テーブルを参照して、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上に形成される各色の画像の位置を補正する。
【0055】
このようにして、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの画像を中間転写ベルト21に正確に重ねて転写形成するように制御し、色ずれを防止している。
【0056】
感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上の画像位置の補正は、通常、光走査装置11の各レーザダイオードから出射される走査ビームによる各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上の静電潜像の書き込みタイミング等を制御することにより行われる。また、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上の主走査ラインのY方向の位置を調節することによりY方向の画像位置を補正する。また、各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上の主走査ラインの長さおよびX方向の位置を調節することによりX方向の画像位置を補正する。
【0057】
<光走査装置11および光学系の構成>
次に、
図4〜
図6に基づき、この発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の光走査装置11の詳細な構成について説明する。
図4は、この発明に係る光走査装置11の上蓋を外した筐体41内部の斜視図である。また、
図5は、
図4に示す光走査装置11の平面図である。また、
図6(A)は、
図5に示す光走査装置11のA−A矢視断面図である。また、
図6(B)は、
図5に示す光走査装置11のB−B矢視断面図である。
【0058】
なお、X方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(ポリゴンモーター43の回転軸の長手方向)を高さ方向Zとする。
【0059】
筐体41は、矩形状の底板41aおよび底板41aを囲む4つの側板41b、41cを有している。
また、底板41aにポリゴンモーター43(図示せず)が固定され、底板41aの中央から若干、−Y方向に偏った位置に、ポリゴンモーター43の回転軸に平面視多角形のポリゴンミラー42の回転中心が接続固定され、ポリゴンモーター43によってポリゴンミラー42が回転する。
【0060】
光走査装置11は、第1〜第4半導体レーザー44a〜44dの各光束L1〜L4をポリゴンミラー42へと導く第1〜第4入射光学系を設けている。
【0061】
第1入射光学系は、コリメータレンズ53a、アパーチャー54a、第1半導体レーザー44aと同じ高さに配置されたミラー55aおよびシリンドリカルレンズ56等からなる。
第2入射光学系は、コリメータレンズ53b、アパーチャー54b、第2半導体レーザー44bと同じ高さに配置されたミラー55bおよびシリンドリカルレンズ56等からなる。
第3入射光学系は、コリメータレンズ53c、アパーチャー54c、第3半導体レーザー44cと同じ高さに配置されたミラー55cおよびシリンドリカルレンズ56等からなる。
第4入射光学系は、コリメータレンズ53d、アパーチャー54d、第4半導体レーザー44dと同じ高さに配置されたミラー55dおよびシリンドリカルレンズ56等からなる。
【0062】
さらに、第1〜第4結像光学系を設けている。
第1結像光学系は、ポリゴンミラー42で反射された第1半導体レーザー44aの光束L1をイエローに対応する感光体ドラム13Yへと導く。
第2結像光学系は、ポリゴンミラー42で反射された第2半導体レーザー44bの光束L2をマゼンタに対応する感光体ドラム13Mへと導く。
第3結像光学系は、ポリゴンミラー42で反射された第3半導体レーザー44cの光束L3をシアンに対応する感光体ドラム13Cへと導く。
第4結像光学系は、ポリゴンミラー42で反射された第4半導体レーザー44dの光束L4をブラックに対応する感光体ドラム13Kへと導く。
【0063】
第1結像光学系は、Fθ第2レンズ63b
1および2つの反射ミラー64a
1および64a
2等からなる。
第2結像光学系は、Fθ第2レンズ63b
2および2つの反射ミラー64b
1および64b
2等からなる。
第3結像光学系は、Fθ第2レンズ63b
3および2つの反射ミラー64c
1および64c
2等からなる。
第4結像光学系は、Fθ第2レンズ63b
4および反射ミラー64d等からなる。
【0064】
次に、各半導体レーザー44a〜44dの各光束L1〜L4がそれぞれの感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの走査面上に入射するまでの各光路について説明する。
【0065】
まず、第1入射光学系において、第1半導体レーザー44aの光束L1は、コリメータレンズ53aを透過して平行光にされ、アパーチャー54aで光量を絞られて、ミラー55aに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
また、第2入射光学系において、第2半導体レーザー44bの光束L2は、コリメータレンズ53bを透過して平行光にされ、アパーチャー54bで光量を絞られて、ミラー55bに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
また、第3入射光学系において、第3半導体レーザー44cの光束L3は、コリメータレンズ53cを透過して平行光にされ、アパーチャー54cで光量を絞られて、ミラー55cに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
また、第4入射光学系において、第4半導体レーザー44dの光束L4は、コリメータレンズ53dを透過して平行光にされ、アパーチャー54dで光量を絞られて、ミラー55dに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
【0066】
シリンドリカルレンズ56は、Y方向に対応する方向に各光束L1〜L4を略収束するように集光して線像に結像することによって、ポリゴンミラー42のミラー面の加工誤差やポリゴンモーター43の回転軸の傾き等に起因する反射面42aの傾き誤差(面倒れ)により生じる感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの走査面のY方向のドットピッチのずれを補正する。
【0067】
ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された光束L1,L2,L3およびL4は、Fθ第1レンズ63aを通過することによって主走査および副走査の光線幅が収束しながら各反射ミラー64a
1、64b1、64c1、64dにそれぞれ入射する。
【0068】
次に、第1結像光学系において、光束L1は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射された後、反射ミラー64a
1および64a
2で反射され、Fθ第2レンズ63b
1を透過して、イエローのトナー像が形成される感光体ドラム13Yに入射する。
また、第2結像光学系において、光束L2は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射された後、反射ミラー64b
1および64b
2で反射され、Fθ第2レンズ63b
2を透過して、マゼンタのトナー像が形成される感光体ドラム13Mに入射する。
また、第3結像光学系において、光束L3は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射された後、反射ミラー64c
1および64c
2で反射され、Fθ第2レンズ63b
3を透過して、シアンのトナー像が形成される感光体ドラム13Cに入射する。
また、第4結像光学系において、光束L4は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射された後、反射ミラー64dで反射され、Fθ第2レンズ63b
4を透過して、ブラックのトナー像が形成される感光体ドラム13Kに入射する。
【0069】
ポリゴンミラー42は、六角柱や八角柱等の多角柱形状を有し、側面にミラーを備え、多角柱の中心軸まわりに回転する回転多面鏡である。ポリゴンミラー42は、ポリゴンモーター43により等角速度で回転し、各反射面42aで光束L1〜L4を逐次反射し、各光束L1〜L4をX方向に繰り返し等角速度で偏向させる。
これにより、感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの走査面をX方向に走査して、ドット状の静電潜像を等ピッチで形成する。
【0070】
Fθ第2レンズ63b
1、63b
2、63b
3および63b
4は、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された各光束L1〜L4が、それぞれ感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの走査面上で結像するように焦点距離を調整する。
また、Fθ第2レンズ63b
1、63b
2、63b
3および63b
4は、X方向およびY方向のいずれについても各光束L1〜L4をそれぞれの感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13K上の主走査線に沿って等線速度で移動するように変換する。
これにより、各光束L1〜L4がそれぞれの感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの表面をX方向に繰り返し走査する。
【0071】
一方、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が形成される各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kが回転駆動されて、各光束L1〜L4により該各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの2次元表面(周面)が走査され、該各感光体ドラム13Y、13M、13Cおよび13Kの表面にそれぞれの静電画像が形成される。
【0072】
≪Fθ第2レンズ支持部71および72の構成≫
次に、
図4〜
図8に基づき、この発明のFθ第2レンズ支持部71および72の構成について説明する。
図7(A)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部71の斜視図である。また、
図7(B)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部71の平面図である。また、
図7(C)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部71の側面図である。また、
図8(A)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部72の斜視図である。また、
図8(B)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部72の平面図である。また、
図8(C)は、
図4に示すFθ第2レンズ支持部72の側面図である。
【0073】
光走査装置11の筐体41が熱膨張したとき、筐体41はX,Y,Z方向に均等に熱膨張するが、各光束L1〜L4の光路の変動の影響が最も大きく現れるのは、Y方向の熱膨張である。それゆえ、色ずれ量を低減するには、Y方向における熱膨張の影響を抑制する必要がある。
【0074】
また、レーザー光源に最も近い位置にあるFθ第2レンズ63b
1を基準としたとき、Y方向に沿ってFθ第2レンズ63b
1から遠ざかるほど、筐体41の熱膨張の伸びが大きく現れる。
それゆえ、Fθ第2レンズ63b
4、Fθ第2レンズ63b
3、Fθ第2レンズ63b
2およびFθ第2レンズ63b
1の順で熱膨張の伸びが大きく現れるため、Fθ第2レンズ63b
1、Fθ第2レンズ63b
2、Fθ第2レンズ63b
3およびFθ第2レンズ63b
4にそれぞれ対応するイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの順に色ずれ量が大きくなる。
【0075】
そこで、筐体41の熱膨張の影響を受けやすいFθ第2レンズ63b
2、63b
3およびFθ第2レンズ63b
4を筐体41上に直接設けるのではなく、
図4〜
図6に示すように、筐体41よりも熱膨張係数(または線膨張係数)の低い材料からなるFθ第2レンズ支持部71および72の上に設ける。
【0076】
図4〜
図6では、光走査装置11の筐体41の両側の側板41bの内側部分に設けられた段差41dおよび41e上にFθ第2レンズ支持部72および71がそれぞれ設けられる。
【0077】
Fθ第2レンズ支持部71および72は、光走査装置11の筐体41よりも熱膨張係数(または線膨張係数)が小さい材料からなる。例えば、筐体41に樹脂材料であるPC/ABSアロイ(線膨張係数 約7.8〜8×10
-5[cm/cm/℃])を用いた場合、Fθ第2レンズ支持部71および72には、金属材料であるPC/ABSアロイよりも線膨張係数が小さいSECC(電気亜鉛めっき鋼板。線膨張係数 約11.7×10
-6[cm/cm/℃])を用いる。
【0078】
一般に、[×10
-6/℃]を単位として、樹脂材料の熱膨張係数は、PC樹脂70〜80、ABS樹脂80〜110、PET樹脂70などであり、合金の熱膨張係数は、アルミニウム23、鉄11.7、銅16.6、合金の熱膨張係数は、ステンレス鋼17〜18、鋳鉄10〜12、超硬合金5〜6などである。
それゆえ、70〜110[10
-6/℃]の熱膨張係数の樹脂材料からなる筐体41を用いた場合、5〜23[10
-6/℃]の金属材料または合金材料からなるFθ第2レンズ支持部71および72を用いるのが望ましい。
【0079】
また、Fθ第2レンズ支持部71および72の材料として、SECC以外にSUS等の線膨張係数の小さい材料を用いてもよい。
【0080】
図7(A)〜(C)に示すように、Fθ第2レンズ支持部71は、筐体41の段差41e上に設けられたボス66a
2、66a
3、66a
4を逃すための切欠部71b
2、71b
3、71b
4が形成されている。
【0081】
また、Fθ第2レンズ支持部71の孔部711a
4および712a
4は、それぞれ筐体41の段差41e上に設けられた突起411e
4および412e
4を逃すための逃し孔である。
孔部711a
4および712a
4は、筐体41の膨張時に突起411e
4および412e
4がY方向に相対的に変位しうるようにY方向に伸びた形状を有する。
Fθ第2レンズ支持部71の孔部711a
3および712a
3ならびに孔部711a
2および712a
2についても同様である。
【0082】
また、Fθ第2レンズ支持部71は、副走査線の曲がり(傾き)調整のための調整部材をFθ第2レンズ支持部71に固定するためのビス孔71c
2、71c
3および71c
4と、傾き調整のための調整部材をFθ第2レンズ支持部71に位置決めするための突起71d
2、71d
3および71d
4とを有する。
【0083】
また、Fθ第2レンズ支持部71は、傾き調整のための調整部材をFθ第2レンズ支持部71に固定するためのビス孔71e
2、71e
3および71e
4と、傾き調整のための調整部材をFθ第2レンズ支持部71に位置決めするための突起71f
2、71f
3および71f
4とを有する。
【0084】
また、Fθ第2レンズ支持部71は、一方の端部71aをビス67a等により固定するための孔部712a
1を有し、反対側の端部71bにスプリングビス69bを挿入するための切欠部71b
1を有する。
また、筐体41の段差41e上にFθ第2レンズ支持部71を位置決めするボス(突起)が設けられ、当該ボス(突起)を孔部711a
1内に挿入することで、Fθレンズ支持部71が位置決めされる。
【0085】
図8(A)〜(C)に示すように、Fθ第2レンズ支持部72は、筐体41の段差41d上に設けられたボス66b
2、66b
3、66b
4を逃すための切欠部72b
2、72b
3、72b
4が形成されている。
【0086】
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
4および722a
4は、それぞれ筐体41の段差41d上に設けられた突起411d
4および412d
4を逃すための逃し孔である。
また、孔部723a
4は、Fθ第2レンズ保持部65b
4の下面に設けられた突起を位置決めするための孔部である。
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
3、722a
3および723a
3ならびに孔部721a
2、722a
2および723a
2についても同様である。
【0087】
また、Fθ第2レンズ支持部72は、筐体41の段差41d上に設けられた突起72b
5を逃す孔部72a
5を有する。Fθ第2レンズ支持部72は、突起72b
5に図示しないスプリングビス69b
5でビス止めすることで、筐体41に係合する。
孔部72a
5は、筐体41の膨張時に突起72b
5が孔部72a
5内をY方向に摺動しうるように楕円状に形成される。すなわち、筐体41は、Fθ第2レンズ支持部72に対して相対的に変位する。
【0088】
また、Fθ第2レンズ支持部72は、−Y方向の端部72aをビス67b等により固定するための孔部722a
1を有し、反対側の端部72bにスプリングビス69bを挿入するための切欠部72b
1を有する。
また、筐体41の段差41d上にFθ第2レンズ支持部72を位置決めするボス(突起)が設けられ、当該ボス(突起)を孔部721a
1内に挿入することで、Fθ第2レンズ支持部72が位置決めされる。
【0089】
また、Fθ第2レンズ支持部72は、3つの段差72c
2、72c
3および72c
4を有する。
これらの段差72c
2、72c
3および72c
4は、Fθ第2レンズ保持部65b
1、65b
2、65b
3の位置決め用の絞りと、Fθ第2レンズ支持部72の位置決め孔とのかかりが十分になるようあえて傾斜させているものである。
【0090】
図9は、
図4に示す光走査装置11の一部拡大図である。
図9に示すように、Fθ第2レンズ支持部72の切欠部72b
1にスプリングビス69bを挿入する。
また、板バネ63c
4は、Fθ第2レンズ保持部65b
4上にFθ第2レンズ63b
4を支持する部材である。
すなわち、ビス67b
4で板バネ63c
4をボス66b
4に固定し、Fθ第2レンズ63b
4の端部を板バネ63c
4で−Z方向に押圧することにより、Fθ第2レンズ63b
4はFθ第2レンズ保持部65b
4上に支持される。
【0091】
また、Fθ第2レンズ63b
4の反対側の端部についても、ビス67a
4で板バネ63d
4をボス66a
4に固定し、Fθ第2レンズ63a
4の反対側の端部を板バネ63d
4で−Z方向に押圧することにより、Fθ第2レンズ63a
4の反対側の端部をFθ第2レンズ保持部65a
4上に固定している。
また、Fθ第2レンズ63b
1〜63b
3の両端部についても同様である。
【0092】
<スプリングビス69bの構成>
次に、
図10(A)(B)に基づき、この発明のスプリングビス69bについて説明する。
図10(A)は、
図4に示す光走査装置11の一部拡大図である。また、
図10(B)は、Y方向から見た
図10(A)のスプリングビス69bの断面概略図である。
【0093】
図10(A)(B)に示すように、スプリングビス69bは、筐体41の段差41d上に形成された突起部691bと、突起部691bに螺合されたねじりばね(キックバネ692b)と、突起部691bの天面に設けられ、キックバネ692bを上から押圧して圧縮するワッシャ693bと、ワッシャ693bを突起部691bの天面に固定するビス694bとから構成される。
【0094】
スプリングビス69bは、キックバネ692bの付勢力により、Fθ第2レンズ支持部72の端部72bを−Z方向に付勢して筐体41の段差41d上に押し付けることにより、Fθ第2レンズ支持部72の筐体41からの浮き上がりを防止する。
【0095】
上記のような構成により、熱膨張とともに筐体41に固定されたスプリングビス69bがY方向に移動したとしても、スプリングビス69bは、切欠部72b
1内で自由に摺動することが可能となる。筐体41は、Fθ第2レンズ支持部71、72に対して相対的に変位する。すなわち、スプリングビス69bが係合部に相当する。
【0096】
<スプリングビス69cの構成>
次に、
図11(A)(B)に基づき、この発明のスプリングビス69bの変形例としてのフック69cについて説明する。
図11(A)は、
図5に示す光走査装置11のスプリングビス69bをフック69cに置き換えた一部拡大図である。また、
図11(B)は、Y方向から見た
図11(A)のフック69cの概略図である。
【0097】
図11(A)(B)に示すように、フック69cは、筐体41の段差41d上に設けられた突起部691cと、突起部691cの下端付近に設けられ、Fθ第2レンズ支持部72の端部72bを筐体41から浮き上がらないように、端部72bと若干の隙間を設けた板部692cとから構成される。
【0098】
フック69cは、板部692cにより、Fθ第2レンズ支持部72の筐体41からの浮き上がりを防止するよう係合している。即ち、フック69cが係合部に相当する。
【0099】
図12は、
図5に示す光走査装置11の熱膨張後の概略平面図である。
図12に示すように、Fθ第2レンズ支持部72に対して筐体41が熱膨張したとしても、Fθ第2レンズ支持部72は、Y方向に関しては筐体41とは無関係に熱膨張するため、筐体41の熱膨張による色ずれの影響を低減することができる。
また、Fθ第2レンズ支持部71についても同様である。
【0100】
図12において、−Y方向の筐体41の端部からレーザー光が照射されるため、筐体41の熱膨張の基準は、光走査装置11の本体固定部(締結部)に対応する基準線BLとなる。
なお、基準線BLは、光走査装置11を画像形成装置100、具体的には画像形成装置100の本体フレームに取り付ける基準となる線である。
筐体41の熱膨張によるずれの量は、基準線BLから遠ざかるほど大きくなるため、−Y方向の端部に設けられたFθ第2レンズ63b
1は、熱膨張の影響が最も小さいものと考えられる。
【0101】
したがって、Fθ第2レンズ63b
1以外のFθ第2レンズ63b
2、63b
3および63b
4をFθ第2レンズ支持部71および72を介して設けることにより、Fθ第2レンズ63b
2、63b
3および63b
4の熱変動を効果的に低減することができ、筐体41の熱膨張による色ずれ量を大幅に縮小することができる。
【0102】
<レンズ調整部材68a
2〜68a
4の構成>
次に、
図13〜
図17に基づき、この発明のFθ第2レンズ63b
2〜63b
4のY方向の傾きを調整するレンズ調整部材68a
2〜68a
4について説明する。
図13は、
図4に示す光走査装置11からFθ第2レンズ63b
2、Fθ第2レンズ保持部65b
2およびレンズ調整部材68a
2を取り除いた部分を中心に示す要部拡大斜視図である。また、
図14は、
図13に示す部分において、Fθ第2レンズ保持部65b
2を調整するレンズ調整機構68a
2の一部の機構を設けたときの説明図である。また、
図15は、
図13に示す部分において、レンズ調整部68a
2を設けたときの説明図である。また、
図16は、
図13に示す部分において、Fθ第2レンズ63b
2を有するFθ第2レンズ保持部65b
2およびレンズ調整部68a
2を設けたときの説明図である。また、
図17(A)は、カバー680a
2を上側から見た斜視図である。また、
図17(B)は、カバー680a
2を下側から見た斜視図である。
以下、レンズ調整部材68a
2を例として説明するが、その他のレンズ調整部材68a
3および68a
4についても同様である。
【0103】
図13に示すように、Fθ第2レンズ支持部71は、筐体41の段差41e上に設けられたボス66a
2、突起411e
2および412e
2をそれぞれ逃すための切欠部71b
2、孔部711a
2および712a
2が形成されている。
突起411e
2および412e
2は円柱形状を有しており、Fθ第2レンズ支持部71の孔部711a
2および712a
2にそれぞれ挿入されたとき、それらの上面はFθ第2レンズ支持部71の上面よりも高い位置にある。
【0104】
図14に示すように、筐体41の段差41e上に設けられた円柱形状の突起411e
2および412e
2の上面にFθ第2レンズ63b
2を保持したFθ第2レンズ保持部65b
2の下面が載せられる。
Fθ第2レンズ保持部65b
2の下面は、Fθ第2レンズ支持部71の上面よりも高い位置にある突起411e
2および412e
2の上面に接することで、Fθ第2レンズ保持部65b
2、すなわちFθ第2レンズ63b
2の高さが規定される。
それゆえ、Fθ第2レンズ保持部65b
2とFθ第2レンズ支持部71とは接していない。
【0105】
しかしながら、Fθ第2レンズ支持部71は、レンズ調整部材68a
2、68a
3および68a
4を介してFθ第2レンズ保持部65b
2、65b
3および65b
4、すなわちFθ第2レンズ63b
2、63b
3および63b
4を支持している。
【0106】
また、
図16のバネ683a
2のような付勢部材(スプリング)により、Fθ第2レンズ保持部65b
2を常に押圧させていることにより、Fθ第2レンズ保持部65b
2、すなわちFθ第2レンズ63b
2を支持している。
Fθ第2レンズ保持部65b
3および65b
4、すなわちFθ第2レンズ63b
3および63b
4についても同様である。
【0107】
なお、Fθ第2レンズ支持部71は、Fθ第2レンズ保持部65b
2、65b
3および65b
4に直接接触することで、Fθ第2レンズ63b
2、63b
3および63b
4を支持してもよい。
【0108】
また、板バネ63d
2でFθ第2レンズ保持部65b
2上のFθ第2レンズ63b
2の端部を−Z方向に押圧する。
【0109】
また、
図14に示すように、Fθ第2レンズ保持部65b
2の側部にカム682a
2を設ける。
図14および
図15に示すように、軸部681a
2およびカム682a
2は、カバー680a
2内に設けられ、軸部681a
2の先端がカム682a
2のX方向の一端と当接している。
軸部681a
2は手動で軸回りに回転可能な端部を有し、当該端部を時計回りに回転させたとき、軸部681a
2が−X方向に進むように、軸部681a
2とカバー680a
2の内部との間に雄ネジおよび雌ネジが形成されている。
軸部681a
2の先端により−X方向に押圧されたカム682a
2は、Z方向の軸回りに時計回りに回転し、Fθ第2レンズ保持部65b
2の側部をY方向に押圧する。
軸部681a
2は、筐体41の側板41bに形成された孔部41b
2を介して挿入され、筐体41の外側からドライバで回転させることができる。
軸部681a
2およびカム682a
2は、カバー680a
2内に設けられ、レンズ調整部材68a
2が構成される。
レンズ調整部材68a
2は、Fθ第2レンズ支持部71にビス73c
2により固定されている。
【0110】
図16に示すように、レンズ調整部材68a
2とFθ第2レンズ保持部65b
2の側部との間には、バネ683a
2が設けられている。
図16において、Fθ第2レンズ保持部65b
2は、バネ683a
2によって常に−Y方向に付勢され、
図14のカム682a
2に常に当接した状態となるため、Fθ第2レンズ保持部65b
2の±Y方向へのがたつきが防止される。それゆえ、軸部681a
2によって調整された位置を確保できる。
【0111】
図17(A)(B)に示されるように、カバー680a
2は、軸部681a
2を挿入するための孔部6801a
2と、筐体41の段差41d上に設けられた突起71d
2および71e
2にそれぞれ嵌め込むための切欠部6802a
2および孔部6803a
2と、ビス73c
2を挿入するための孔部6804a
2とを有する。
【0112】
図18は、
図4に示す光走査装置11からFθ第2レンズ支持部72を取り除いた部分を中心に示す要部拡大斜視図である。また、
図19は、
図18に対応するFθ第2レンズ支持部72の部分を示す要部拡大斜視図である。また、
図20は、
図18に示す部分において、
図19のFθ第2レンズ支持部72の部分を設けたときの説明図である。
【0113】
図8で説明したように、Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
2および722a
2は、それぞれ筐体41の段差41d上に設けられた突起411d
2および412d
2を逃すための逃し孔である。
突起411d
2および412d
2は円柱形状を有しており、Fθ第2レンズ支持部72の上面よりも高い位置に上面を有する。また、Fθ第2レンズ支持部72の傾斜に合わせて、突起411d
2の上面は、突起412d
2の上面よりも高い位置にある。
【0114】
図21(A)は、
図4に示すFθ第2レンズ保持部65b
2を上側から見た要部拡大斜視図である。
図21(B)は、
図4に示すFθ第2レンズ保持部65b
2を下側から見た要部拡大斜視図である。
図21(A)(B)に示すように、凸部653b
3が設けられたFθ第2レンズ保持部65b
2の下面は、Fθ第2レンズ支持部72の上面よりも高い位置にある突起411d
2および412d
2の上面に接することで、Fθ第2レンズ保持部65b
2、すなわちFθ第2レンズ63b
2の高さが規定される。
それゆえ、Fθ第2レンズ保持部65b
2とFθ第2レンズ支持部72とは接していない。
【0115】
しかしながら、Fθ第2レンズ保持部65b
2の−Z方向の面には、凸部653b
2が設けられており、Fθ第2レンズ支持部72の孔部723a
2は、凸部723b
2を位置決めするための孔部である。
それゆえ、Fθ第2レンズ支持部72は、Fθ第2レンズ保持部65b
2、すなわちFθ第2レンズ63b
2を支持している。
【0116】
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
3、722a
3および723a
3ならびに孔部721a
2、722a
2および723a
2についても同様である。
【0117】
≪従来技術との比較例≫
次に、
図22に基づき、従来技術との比較例について説明する。
図22(A)および(B)は、それぞれ従来技術の光走査装置11およびこの発明の実施形態1に係る光走査装置11のY方向におけるシアン、マゼンタおよびイエローの各色の色ずれ量を示す実験結果のグラフである。
【0118】
これらのグラフは、横軸左側からシアン(Cy)、マゼンタ(Mg)およびイエロー(Ye)の各色について、Y方向における光走査装置11の後部(Rear)、中央部(Center)および前部(Front)の色ずれ量(μm/deg.)を示す。
なお、これらの色ずれ量は、ブラックの色ずれ量からの相対的な色ずれ量の差を示したものである。
【0119】
これらのグラフから明らかなように、この発明の実施形態1の光走査装置11におけるY方向の色ずれ量は、従来技術の光走査装置11におけるY方向の色ずれ量よりも約80%も減少した。
【0120】
このように、Fθ第2レンズ支持部71および72を用いることで、色ずれ量が大幅に減少するため、色ずれの電子補正の精度を高めることが容易になる。
それゆえ、筐体41のサイズが大きい場合や、結露防止用ヒーターを設けた場合においても、色ずれ補正の精度が高い光走査装置11が実現できる。
【0121】
(実施形態2)
次に、
図23に基づき、この発明の実施形態2に係る光走査装置11について説明する。
図23は、この発明の実施形態2に係る光走査装置11の熱膨張後の概略平面図である。
【0122】
実施形態2に係る光走査装置11が実施形態1に係る光走査装置11と異なる点は、Fθ第2レンズ63b
2、63b
3および63b
4だけでなく、Fθ第2レンズ63b
1もFθ第2レンズ支持部71および72上に設けられる点である。
【0123】
このようにすれば、Fθ第2レンズ63b
1、63b
2、63b
3および63b
4がすべてFθ第2レンズ支持部71および72上に設けられるため、位置決めが容易となり、また、熱膨張による色ずれ量を予測しやすくなる。
【0124】
(実施形態3)
次に、
図24に基づき、この発明の実施形態3に係る光走査装置11について説明する。
図24は、この発明の実施形態3に係る光走査装置11の熱膨張後の概略平面図である。
【0125】
実施形態3に係る光走査装置11が実施形態1および実施形態2に係る光走査装置11と異なる点は、Fθ第2レンズ63b
1、63b
2および63b
3がFθ第2レンズ支持部71および72上に設けられる点である。
【0126】
ブラックを用いないカラー画像の印刷時における色ずれの問題は、画像を構成する三原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの各色の色ずれに起因するものであるため、これら各色に対応するFθ第2レンズ63b
1、63b
2および63b
3をFθ第2レンズ支持部71および72に設けることで、筐体41の熱膨張に起因する色ずれを低減することができる。
【0127】
(実施形態4)
また、基準線BLに一番近く、筐体41の熱膨張の影響が最も小さいFθ第2レンズ63b
1を除外して、2つのFθ第2レンズ63b
2および63b
3のみをFθ第2レンズ支持部71および72に設けるようにしてもよい。
【0128】
このようにすれば、熱膨張に起因する色ずれの影響を低減しつつ、実施形態1および2に係る光走査装置11よりもFθ第2レンズ63b
2および63b
3長さを短くできるため、コストをさらに抑えることができる。
【0129】
(実施形態5)
次に、
図25に基づき、この発明の実施形態5に係る光走査装置11について説明する。
図25は、この発明の実施形態5に係る光走査装置11の熱膨張後の概略平面図である。
【0130】
図25に示すように、実施形態5に係る光走査装置11が実施形態1に係る光走査装置11と異なる点は、Fθ第2レンズ支持部71および72が−Y方向の端部71aおよび72aにおいて、つながっている点である。
【0131】
このようにすれば、筐体41のY方向における熱膨張の伸びの程度が、Fθ第2レンズ支持部71および72の両側で異なる場合であっても、その影響を受けにくい光走査装置11を実現することができる。
【0132】
(実施形態6)
次に、
図26に基づき、この発明の実施形態6に係る光走査装置11のFθ第2レンズ支持部71の摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部71に対して相対的に変位)機構の一例について説明する。
図26(A)は、この発明の実施形態1に係る光走査装置11のFθ第2レンズ支持部71の摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部71に対して相対的に変位)機構の一例を示す説明図である。また、
図26(B)は、この発明の実施形態6に係る光走査装置11のFθ第2レンズ支持部71の摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部71に対して相対的に変位)機構の一例を示す説明図である。
【0133】
図26(A)に示すように、Fθ第2レンズ支持部71の端部71bにY方向に伸びる切欠部71b
1を設け、当該切欠部71b
1を通してスプリングビス69aを筐体41内に挿入することによって、Y方向に伸びた切欠部71b
1内に筐体41の熱膨張時におけるFθ第2レンズ支持部71のY方向の摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部71に対して相対的に変位)が可能となる。
【0134】
また、
図26(B)に示すように、Fθ第2レンズ支持部71の一部にY方向に伸びた楕円状の長孔部71c
1を設け、当該長孔部71c
1を通してスプリングビス69aを筐体41内に挿入することによって、Y方向に伸びた長孔部内に筐体41の熱膨張時におけるFθ第2レンズ支持部71のY方向の摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部71に対して相対的に変位)が可能となる。
【0135】
このようにすれば、低コストかつ簡単な構造により、筐体41の熱膨張時のFθ第2レンズ支持部71のY方向へのずれを防止できるため、筐体41の熱膨張に起因する色ずれ量を低減する光走査装置11を実現できる。
【0136】
(実施形態7)
次に、
図27〜
図31に基づき、この発明の実施形態7に係る光走査装置11について説明する。
図27は、この発明の実施形態7に係る光走査装置11の上蓋を外した筐体41内部の斜視図である。また、
図28は、
図27に示す光走査装置11の平面図である。また、
図29は、
図27に示すFθ第2レンズ支持部71の斜視図である。また、
図30は、
図27に示すFθ第2レンズ支持部72の斜視図である。
【0137】
実施形態7に係る光走査装置11は、4つのFθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4が全て、Fθ第2レンズ支持部71および72上に設けられる点で、実施形態1に係る光走査装置11と相違する。
【0138】
また、
図27〜
図31に示すように、Fθ第2レンズ支持部71は、Y方向の端部および中央付近に3つのスプリングビス69a
2,69a
3および69a
4が設けられている点で、実施形態1に係る光走査装置11と相違する。Fθ第2レンズ支持部72についても同様である。
【0139】
このようにY方向の端部以外にもスプリングビス69a
2および69a
3を設けることにより、Fθ第2レンズ支持部71の筐体41の段差41eからの浮き上がりを防止することができる。
【0140】
また、Fθ第2レンズ保持部65b
1の下面は、Fθ第2レンズ支持部71の上面よりも高い位置にある図示しない突起411e
1および412e
1の上面に接することで、Fθ第2レンズ保持部65b
1、すなわちFθ第2レンズ63b
1の高さが規定される。
Fθ第2レンズ保持部65b
2〜65b
4についても同様である。
【0141】
しかしながら、Fθ第2レンズ支持部71は、レンズ調整部材68a
1〜68a
4を介してFθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4、すなわちFθ第2レンズ63b
1〜63b
4をそれぞれ支持している。
【0142】
なお、Fθ第2レンズ支持部71は、Fθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4に直接接触することで、Fθ第2レンズ63b
1〜63b
4を支持してもよい。
【0143】
図29に示すように、Fθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4のY方向の傾きをそれぞれ調整する4つのレンズ調整部材68a
1〜68a
4は、Fθ第2レンズ支持部71上に設けられる。
【0144】
また、
図30に示すように、Fθ第2レンズ支持部72は、−Y方向の端部72aにビスを固定するための孔部721a
0を有する。
また、筐体41の段差41d上にFθ第2レンズ支持部を位置決めするボス(突起)が設けられ、当該ボス(突起)を孔部722a
0内に挿入することで、Fθ第2レンズ支持部72が位置決めされる。
【0145】
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
1および722a
1は、それぞれ筐体41の段差41d上に設けられた突起411d
1および412d
1を逃すための逃し孔である。
また、孔部723a
1は、Fθ第2レンズ保持部65b
1の下面に設けられた突起を位置決めするための孔部である。この位置決めにより、Fθ第2レンズ保持部65b
1がFθ第2レンズ支持部72に支持されることになる。
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
2〜721a
4および722a
2〜722a
4ならびに孔部723a
2〜723a
4についても同様である。
【0146】
また、Fθ第2レンズ支持部72は、筐体41の段差41d上に設けられた
図10(B)の突起部691bを逃す孔部72a
2を有する。Fθ第2レンズ支持部72は、突起部691bに
図10(A)、
図10(B)のスプリングビス69bでビス止めすることで、筐体41に係合する。
孔部72a
2は、筐体41の膨張時に突起72b
2が孔部72a
2内をY方向に摺動(筐体41がFθ第2レンズ支持部72に対して相対的に変位)しうるように楕円状に形成される。
その他の孔部72a
3および72a
4についても同様である。
【0147】
なお、Fθ第2レンズ支持部71および72のその他の構造は、実施形態1に係るFθ第2レンズ支持部71および72と同様であるため、説明を省略する。
【0148】
図31(A)は、
図27に示すレンズ調整部材68a
1の一部拡大図である。また、
図31(B)は、
図27に示すレンズ調整部材68a
1の一部拡大図である。
【0149】
図31(A)(B)に示すように、手動で第1軸部681a
1を−X方向に時計回りに回転させたとき、第1軸部681a
1と連動した第1ギア684a
1と嵌合した第2ギア685a
1は−Y方向に時計回りに回転する。
このとき、第2軸部686a
1は−Y方向に進み、連結部材687a
1を介して、Fθ第2レンズ保持部65b
1の側部を押圧することにより、Fθ第2レンズ保持部65b
1をY方向に傾斜させる。
【0150】
なお、レンズ調整部材68a
3のレンズ調整方法は、実施形態1と同様であるため、省略する。
【0151】
連結部材687a
1は、調整された位置にあり、Fθ第2レンズ保持部65b
1の側部に常に当接している。すなわち、図示しない、例えば
図16のバネ683a
2のような付勢部材(スプリング)により、Fθ第2レンズ保持部65b
1を常に連結部材687a
1に押圧させている。
しかしながら、レンズ調整部材68a
1を筐体41に直接設けると、筐体41の熱膨張時に連結部材687a
1を含むレンズ調整部材68a
1全体が動き、調整がずれてしまうことがある。
【0152】
実施形態7では、このような問題を回避すべく、レンズ調整部材68a
1〜68a
4は、Fθ第2レンズ支持部71上に設けられている。具体的には、
図31(A)(B)のように、軸部保持プレート689a
1をビス672a
1でFθ第2レンズ支持部71に固定している。
レンズ調整部材68a
1〜68a
4によるFθ第2レンズ63b
1〜63b
4の調整後、光走査装置11の温度が上昇しても、レンズ調整部材68a
1〜68a
4の位置は変わらないため、当然Fθ第2レンズ63b
1〜63b
4の位置も変わらない。
したがって、筐体41に直接設けた場合に比べて、熱膨張の影響を受けにくくなる。
【0153】
(実施形態8)
次に、
図32〜
図38に基づき、この発明の実施形態7に係る光走査装置11について説明する。
図32は、この発明の実施形態8に係る光走査装置11の上蓋を外した筐体41内部の斜視図である。また、
図33は、
図32に示す光走査装置11の平面図である。また、
図34は、
図33に示す光走査装置11のC−C矢視断面図である。また、
図35は、
図32に示す光走査装置11を下側から見た斜視図である。
【0154】
実施形態8に係る光走査装置11は、Fθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4のY方向の傾きを調整するレンズ調整部材68a
1〜68a
4がFθ第2レンズ支持部71上に設けられる。
【0155】
図36は、
図32に示すFθ第2レンズ支持部71の斜視図である。また、
図37は、
図32に示すFθ第2レンズ支持部71の斜視図である。また、
図38(A)は、
図33に示すレンズ調整部材68a
2の一部拡大図である。また、
図38(B)は、
図36に示すレンズ調整部材68a
2の一部拡大図である。
【0156】
また、Fθ第2レンズ保持部65b
1の下面は、Fθ第2レンズ支持部71の上面よりも高い位置にある図示しない突起411e
1および412e
1の上面に接することで、Fθ第2レンズ保持部65b
1、すなわちFθ第2レンズ63b
1の高さが規定される。
Fθ第2レンズ保持部65b
2〜65b
4についても同様である。
【0157】
しかしながら、Fθ第2レンズ支持部71は、レンズ調整部材68a
1〜68a
4を介してFθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4、すなわちFθ第2レンズ63b
1〜63b
4をそれぞれ支持している。
【0158】
なお、Fθ第2レンズ支持部71は、Fθ第2レンズ保持部65b
1〜65b
4に直接接触することで、Fθ第2レンズ63b
1〜63b
4を支持してもよい。
【0159】
図37において、Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
1および722a
1は、それぞれ筐体41の段差41d上に設けられた突起411d
1および412d
1を逃すための逃し孔である。
また、孔部723a
1は、Fθ第2レンズ保持部65b
1の下面に設けられた図示しない突起を位置決めするための孔部である。この位置決めにより、Fθ第2レンズ保持部65b
1がFθ第2レンズ支持部72に支持されることになる。
Fθ第2レンズ支持部72の孔部721a
2〜721a
4および722a
2〜722a
4ならびに孔部723a
2〜723a
4についても同様である。
【0160】
また、Fθ第2レンズ保持部65b
2の下面は、Fθ第2レンズ支持部72の上面よりも高い位置にある図示しない突起411d
2および412d
2の上面に接することで、Fθ第2レンズ保持部65b
2、すなわちFθ第2レンズ63b
2の高さが規定される。
【0161】
なお、Fθ第2レンズ支持部71および72のその他の構造は、実施形態7に係るFθ第2レンズ支持部71および72と同様であるため、説明を省略する。
【0162】
図34〜
図37および
図38(B)に示すように、レンズ調整部材68a
1〜68a
4は、筐体41の外部に駆動部(モータ)688a
1〜688a
4を有している点で、手動による実施形態7に係る光走査装置11と異なる。
【0163】
図38(B)に示すように、駆動部688a
2で第1ギア684a
2をZ方向時計回りに回転したとき、第1ギア684a
2と嵌合した第2ギア685a
2は−Y方向に時計回りに回転する。
このとき、第2軸部686a
2は−Y方向に進んでFθ第2レンズ保持部65b
2の側部を押圧することにより、Fθ第2レンズ保持部65b
2をY方向に傾斜させる。
【0164】
図38(B)に示すように、レンズ調整部材68a
2は、駆動部688a
2も含めて、Fθ第2レンズ支持部71に設けられ、筐体41には設けられていない。
レンズ調整部材68a
1、68a
3および68a
4についても同様である。
【0165】
このように、レンズ調整部材68a
1〜68a
4は、Fθ第2レンズ支持部71上に設けられる。具体的には、
図38(A)(B)のように、駆動部(モータ)688a
2および軸部保持プレート689a
2をFθ第2レンズ支持部72にビス671a
2で固定している。
【0166】
連結プレート689a
2は、調整された位置にあり、連結プレート689a
2の第2軸部686a
2はFθ第2レンズ保持部65b
2の側部に常に当接している。すなわち、図示しない、例えば
図16のバネ683a
2のような付勢部材(スプリング)により、Fθ第2レンズ保持部65b
2を常に連結プレート689a
2の第2軸部686a
2に押圧させている。
【0167】
レンズ調整部材68a
1〜68a
4によるFθ第2レンズ63b
1〜63b
4の調整後、光走査装置11の温度が上昇しても、レンズ調整部材68a
1〜68a
4の位置は変わらないため、当然Fθ第2レンズ63b
1〜63b
4の位置も変わらない。
さらに、駆動部(モータ)の第1ギア684a
1および684a
2間の距離も変わらないため、第1ギア684a
1および684a
2間のバックラッシュは大きくならない。
したがって、筐体41に直接設けた場合に比べて、熱膨張の影響を受けにくくなる。
【0168】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。