特許第6886324号(P6886324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6886324
(24)【登録日】2021年5月18日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210603BHJP
【FI】
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352L
   A63F7/02 328
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-62825(P2017-62825)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-164566(P2018-164566A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
(72)【発明者】
【氏名】牧野 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 將貴
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−049119(JP,A)
【文献】 特開2017−006328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に使用する遊技価値の単価が異なる複数種類の遊技機と、
不特定多数の遊技者に対し、当該遊技者が所有する遊技価値を特定するための情報を単価毎に区別して記録した状態で発行される一般記録媒体と、
予め会員として登録された遊技者が所持し、当該遊技者が所有する遊技価値を特定するための情報を単価毎に区別して記録する会員記録媒体と、
各遊技機に対応して設けられ、前記一般記録媒体及び前記会員記録媒体により特定される遊技価値のうち、当該遊技機に対応する単価と合致する単価の遊技価値を遊技に使用可能とする第1処理と、当該遊技機に対応する単価と合致しない単価の遊技価値を遊技に使用可能とする第2処理とを実行可能な遊技価値使用手段と、
各遊技機に対応して設けられ、前記一般記録媒体により特定される遊技価値を、前記会員記録媒体により特定される遊技価値へ移行する移行処理を実行可能な遊技価値移行手段と、
前記一般記録媒体により特定される遊技価値を記憶可能な一般遊技価値記憶手段と、
前記会員記録媒体により特定される遊技価値を記憶可能な会員遊技価値記憶手段と、を備えた遊技場用システムであって、
前記遊技価値使用手段は、遊技者による第2処理指示操作に応じて、前記第1処理を実行する第1状態から前記第2処理を実行する第2状態へ移行するように構成され、当該第2状態において前記遊技価値移行手段による移行処理の実行が開始されるときは、当該第2状態から第1状態へ復帰することにより前記第2処理の実行を中断することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記第2状態から第1状態へ復帰する際に、遊技者に対して前記第2処理指示操作を再度行うべきことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されている通り、いわゆる持玉の乗入再プレイを許可する遊技場が増加しつつある。乗入再プレイが許可されている遊技場では、遊技者が様々なレートの遊技機で遊技しやすくなるというメリットがある。また、例えば特許文献2には、一般カードに記録された持玉数や入金残高を会員カードヘ移行して記録することが記載されており、このような構成によって会員カード一枚に持玉数や入金残高を集約して管理することが可能となり、遊技者にとって便利である。このような乗入機能及び合算機能は何れも遊技者にとって便利であるといえるが、両方の機能を同時に使おうとした際には遊技者が混乱してしまう恐れが懸念されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−5655号公報
【特許文献2】特開2014−46081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、持玉の乗入再プレイを可能としつつ、一般カードの価値を会員カードヘ移行可能とした場合であっても遊技者が混乱することがない遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の遊技場用システムによれば、第2処理(乗入処理)を実行している状態において移行処理の実行が指示されたときには、第2処理を一旦中断するようにしたので、遊技者が混乱することが無い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】遊技機と共に示す計数貸出ユニットの正面図
図3】計数貸出ユニットの機能ブロック図
図4】管理装置で記憶する会員カード及び一般カードに係る各データの説明図
図5】計数貸出ユニットにおける一般カード挿入時の画面を示す図
図6】乗入操作時の画面を示す図
図7】乗入操作完了時の画面を示す図
図8】合算操作時の画面を示す図
図9】合算操作完了後における会員カードの再挿入時の画面と合算内容とを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3が設置されている。同図に示すように、1台の遊技機1に対して、その側方に1台の計数貸出ユニット2が配置され、当該遊技機1の上方に1台の遊技情報表示装置3が配置されている。遊技機1、計数貸出ユニット2、及び遊技情報表示装置3は、夫々2台ずつ中継装置4に接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6と接続されている。
【0008】
また、遊技場には、精算機7や景品交換端末8(POS)等も設置されており、これらの装置もLAN5を介して管理装置6と接続されている。精算機7は、一般カード9又は会員カード10(何れも図3参照)がカード挿入口11に挿入されると、挿入されたカード9,10に記録されている入金残高をカードリーダ(図示略)により読み取り、その読み取った入金残高分の現金を返却口12から返却する。景品交換端末8は、付属するカードリーダライタ8aにより読み取った一般カード9或いは会員カード10により特定される遊技価値(持玉数・貯玉数)に基づいて景品交換処理を実行する。持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
【0009】
尚、精算機7及び景品交換端末8においてカード9,10に記録されている遊技価値を取扱うときは、管理装置6がカード9,10に対応して予め記憶している遊技価値(後述の図4参照)と照合した上で遊技価値の取扱いを有効とする。
【0010】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード13、モニタ14、図示しないプリンタ等が接続されている。管理装置6は、上記した遊技機1や計数貸出ユニット2等の各種設備機器から出力される遊技信号を入力することで、各種設備機器の稼動状況、遊技者が所有する遊技媒体の数(持玉数・貯玉数)、入金残高等を記憶管理する。
【0011】
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっており、それら遊技機1は、遊技に使用する遊技価値の単価(以下、貸単価と称す)が異なる複数種類の遊技機で構成されている。即ち、遊技場内には例えば、貸単価を4円とする1玉4円レートのパチンコ機(4円パチンコ機)が設置された4円パチンコ島と、貸単価を1円とする1玉1円レートのパチンコ機(1円パチンコ機)が設置された1円パチンコ島とが形成されている。
【0012】
図2に示すように、遊技機1は、4円パチンコ機や1円パチンコ機といったCRパチンコ機であり、盤面15に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル16、上部受皿17、下部受皿18を有すると共に、盤面15に、液晶表示部19、始動口20、大入賞口21を有する。また、遊技機1における上部受皿17の上面には、左右に並ぶ貸出ボタン17aと返却ボタン17bを有する。
【0013】
遊技者が操作ハンドル16を操作すると、玉が盤面15に発射され、その玉が始動口20に入賞すると、その入賞に応じた数の玉を払出したり大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部19において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口21を開放する。尚、遊技機1は、遊技者による遊技が進行することに応じて、打ち込んだ玉の玉数である投入媒体数を特定可能なアウト信号、払出された玉の数である払出媒体数を特定可能なセーフ信号、大当たり状態を特定可能な大当たり信号等の各種の遊技信号を出力する。
【0014】
計数貸出ユニット2は、各遊技機1に対応して設けられ、所謂各台計数機能を備える。具体的には図2に示すように、計数貸出ユニット2は、現在の運用状態(例えば正常状態、エラー状態等)を示す状態表示部22、紙幣が投入される紙幣投入口23、遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率を表示すると共に後述の乗入に関する情報等を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(単位付与数)の玉を払い出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード9或いは会員カード10が挿入されるカード挿入口27、遊技機1の下部受皿18の下方に位置する着脱可能な計数受皿28等を備えている。尚、払出ボタン25は、持玉数や貯玉数の範囲内で1単位分(例えば1度数の100玉)ずつ計数貸出ユニット2の払出部36から払い出すときの操作ボタンであり、遊技機1の貸出ボタン17aは、入金残高の範囲内で1度数ずつ遊技機1内部の払出機構から払い出すときの操作ボタンである。
【0015】
図3の機能ブロック図は、計数貸出ユニット2の構成を中心に示している。計数貸出ユニット2は、CPU30a、ROM30b、RAM30c、I/O30dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部30、当該制御部30と接続された周辺部を備えて構成されている。周辺部としては、管理装置6及び遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部31、状態表示部22、紙幣投入口23に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部32、液晶表示部24、当該液晶表示部24上に設けられたタッチパネル33、カード挿入口27に挿入されたカード9,10に記録されている各種情報を読み取ったり、書き込んだりするカードRW(リーダライタ)34、最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部35、払出ボタン25、当該払出ボタン25が操作されたときに、1度数分の玉を払出ノズル26から払い出す払出部36、計数受皿28から流入する玉数を計数する計数部37等である。
【0016】
ここで、カード9,10は、ICチップ9a,10aを夫々内蔵した記録媒体である。このうち、ICチップ9aのメモリ(以下では適宜、一般カード9と略す)には、カードを特定可能な一般IDが記録されていると共に、入金残高や持玉数が記録される。詳しくは後述するように、一般カード9は、不特定多数の遊技者に対して発行される一般記録媒体であり、当該遊技者が所有する遊技価値(持玉数)を特定するための情報を貸単価毎に区別して記録した状態で発行される。この一般カード9の持玉数は当日のみ有効で、入金残高は翌日以降も利用可能とされている。
【0017】
ICチップ10aのメモリ(以下では適宜、会員カード10と略す)には、予め会員として登録された遊技者(会員遊技者)を特定可能な会員IDが記録されていると共に、入金残高が記録される。会員カード10に対応する持玉数や貯玉数は、管理装置6の会員口座に記憶される。つまり、会員カード10は、会員遊技者が所持する会員記録媒体であり、当該会員遊技者が所有する遊技価値(持玉数・貯玉数)を特定するための情報を、会員IDと対応付けて管理装置6側で貸単価毎に区別して記録乃至管理可能とする。この会員カード10の持玉数、貯玉数、並びに入金残高は、翌日以降も利用可能とされている。尚、上記記載中の「記録」と「記憶」について、例えば「メモリへの記録」を「メモリへの記憶」と称する等、両者の意味を同じくするものとして把握することができる(以下では「記憶」に統一する)。
【0018】
計数貸出ユニット2の制御部30(遊技価値使用手段、遊技価値移行手段、報知手段に相当)は、以下の機能を備える。
(1)紙幣投入口23に投入された紙幣(貨幣)を受け付けると、その紙幣の金額である投入金額を入金残高として記憶すると共に液晶表示部24に表示する。液晶表示部24に表示する入金残高に代えて、当該入金残高から貸出可能な度数(1度数=100玉)を表示してもよい。
【0019】
また、遊技機1の貸出ボタン17aの操作に応じて入金残高の範囲内で1度数分に相当する玉数の玉を遊技機1内部の払出機構から貸し出す。この貸出処理により100玉を払い出す際、遊技機1から計数貸出ユニット2に1度数分の玉を払い出したことを示す信号が出力されるので、液晶表示部24に表示している入金残高から1度数分を減算すると共に、貸し出した遊技媒体の数を示す貸出玉数を特定可能な売上信号を出力する。売上信号は1度数分の玉を払い出す毎に1パルスが出力されるパルス信号である。尚、1度数に対応する玉数は任意に設定することが可能であり、1パルスに対応する度数も同様に設定可能である。
【0020】
(2)遊技機1の下部受皿18から落下した玉が計数受皿28で受けられると、その計数受皿28で受けられた玉が計数部37に流入することで玉を計数し、その計数した計数玉数(持玉数)を液晶表示部24に表示する。
【0021】
また、払出ボタン25の操作に応じて持玉数又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数分に相当する玉数の玉を払出ノズル26から払い出す払出処理を行う。このとき、液晶表示部24に表示している持玉数又は貯玉数から1度数分を減算すると共に、払い出した遊技媒体の数を示す払出玉数を特定可能な払出信号を出力する。
【0022】
(3)一般カード9が挿入口27に挿入されて受け付けられると、一般カード9に記憶されている入金残高や貸単価別の持玉数をカードRW34により読み出し、その読み出した入金残高や貸単価別の持玉数を液晶表示部24に表示する(後述の図5参照)。一般カード9が受け付けられたときは、その一般カード9により特定される入金残高や持玉数の範囲内で貸出処理及び払出処理を行う。
【0023】
(4)会員カード10が挿入口27に挿入されて受け付けられると、会員カード10に記憶されている入金残高をカードRW34により読み出し、その読み出した入金残高を液晶表示部24に表示する。また、管理装置6の会員口座に記憶されている貸単価別の持玉数・貯玉数(後述の図9では貯玉数の図示を省略)も液晶表示部24に表示する。会員カード10が受け付けられたときは、その会員カード10により特定される入金残高や持玉数・貯玉数の範囲内で貸出処理及び払出処理を行う。
【0024】
(5)遊技機1の返却ボタン17bが操作されると、その時点で一般カード9が挿入口27に挿入されていれば、その一般カード9に入金残高や持玉数を記憶して、一般カード9を発行する。一般カード9を発行すると、発行信号として、一般IDと共に一般カード9に記憶した入金残高や持玉数を管理装置6に送信する。
【0025】
(6)返却ボタン17bが操作されると、その時点で会員カード10が挿入口27に挿入されていれば、その会員カード10に入金残高を記憶して、会員カード10を発行する。会員カード10を発行すると、発行信号として、会員IDと共に会員カード10に記憶した入金残高とその時点の持玉数を管理装置6に送信する。
【0026】
(7)返却ボタン17bが操作された時点で一般カード9及び会員カード10の何れもカード挿入口27に挿入されておらず、入金残高及び持玉数のうち少なくとも何れかがあれば、図示しないカード移動機構(図示略)により一般カード9をカードRW34へ繰り出して、入金残高や持玉数を一般カード9に記憶し、一般カード9を発行する。また、この場合も、一般カード9を発行することに伴い前記発行信号を管理装置6に送信する。尚、最初に入金がされた時点、又は最初に計数がされた時点で予め一般カード9をカードRW34へ繰り出すように構成することもできる。
【0027】
(8)一般カード9が挿入口27に挿入されている状態で所定の合算操作が行われると、一般カード9に記憶されている入金残高や持玉数を、会員カード10の入金残高や前記会員口座の持玉数に合算して記憶する移行処理を行う。即ち、一般カード9が挿入口27に挿入されている状態で所定の合算操作が行われると、その一般カード9に記憶されている入金残高や持玉数をゼロリセット(初期化)して、係る一般カード9をカード移動機構によりカードストック部35に回収する。そして、会員カード10がカード挿入口27に挿入されると、その会員カード10に対応付けてある入金残高及び持玉数に対して、一般カード9に記憶されていた入金残高及び持玉数の分を夫々加算した値に上書き記憶する、会員カード10への移行処理を行う。こうして、計数貸出ユニット2は、一般カード9により特定される遊技価値を、会員カード10により特定される遊技価値へ移行する移行処理を実行可能な遊技価値移行手段に相当する。移行処理の対象となったカード9,10について、前記発行信号を送信することで、管理装置6側でも初期化乃至上書き記憶された値として管理する。尚、会員カード10から一般カード9への合算は禁止する。
【0028】
図示は省略するが、管理装置6の制御部は、マイクロコンピュータを主体に構成され、ROMやRAMといった記憶部や、I/O等を備えており、その不揮発性の記憶部に記憶された制御プログラムに従い動作する。
【0029】
管理装置6の記憶部には、キーボード13等での操作入力によって、上記した遊技媒体の貸単価(4円、1円)を各遊技機1に対して設定した設定テーブルが記憶されている。また、管理装置6の記憶部は、会員カード10により特定される遊技価値を記憶可能な会員遊技価値記憶手段、及び一般カード9により特定される遊技価値を記憶可能な一般遊技価値記憶手段として構成されている。係る遊技価値の記憶内容は、図4の(a)及び(b)に示すように、上記した発行信号や設定テーブルの貸単価に基づき、会員ID或いは一般IDに対応付けて管理装置6で管理(記憶)されるものであり、同図4の各データの値は説明の便宜上、「999…」で表すものとする。
【0030】
即ち、会員カード10に係る(a)のデータにおいて、「入金残高」「持玉数」及び「貯玉数」は、何れも会員IDに対応付けて管理されると共に、「持玉数」及び「貯玉数」は、夫々1円や4円といった貸単価毎に区別して管理される。管理装置6において、持玉数は、営業終了後に(例えば日付の更新に伴い)、貸単価毎に貯玉数に合算して記憶される(貯玉数へ移行される)。
【0031】
一般カード9に係る(b)のデータにおいて、「入金残高」及び「持玉数」は、何れも一般IDに対応付けて管理される共に、「持玉数」は1円や4円といった貸単価毎に区別して管理される。管理装置6において、持玉数は、日付の更新に伴い消去されるが、入金残高は、そのまま維持されるため、翌日以降も一般カード9の入金残高を使用可能である。
【0032】
本実施形態の計数貸出ユニット2は、一般カード9及び会員カード10により特定される遊技価値のうち、当該遊技機1に対応する貸単価と合致しない貸単価の遊技価値を遊技に使用可能とする、所謂乗入により他種別の持玉を使用した再プレイが可能とされている。例えば1円パチンコ機に対応する計数貸出ユニット2にあっては、上記した払出ボタン25の操作に伴う払出処理に関し、当該1円の貸単価と合致する貸単価の、言わば自種別の持玉数又は貯玉数を遊技に使用可能とする第1処理と、当該1円の貸単価と合致しない4円の貸単価の、言わば他種別の持玉数又は貯玉数を遊技に使用可能とする第2処理(乗入処理)とを実行可能な遊技価値使用手段として構成されている。
【0033】
このように、計数貸出ユニット2は、乗入処理により遊技者が様々なレートの遊技機1で遊技しやすくなる乗入機能と、移行処理により会員カード10一枚に入金残高や持玉数を集約する合算機能とを併せ持つため、何れの機能も遊技者にとって便利である。もっとも、計数貸出ユニット2において、使用する一般カード9の乗入処理を実行しながら会員カード10への移行処理を実行すると、その移行処理の対象となる持玉がどのような扱いになるのか分かり難く、遊技者が混乱してしまう虞がある。そこで、本実施形態の計数貸出ユニット2は、一般カード9の乗入処理を実行している状態で、遊技価値移行手段として会員カード10への移行処理の実行を開始するときは、当該乗入処理の実行を中断するように構成されている。係る構成について、「1.一般カード挿入時の乗入操作(乗入処理)」「2.合算操作(移行処理)」「3.合算操作完了後における会員カードの再挿入」の順に、図5図9を参照しながら説明する。
【0034】
<1.一般カード挿入時の乗入操作(乗入処理)>
図5は、1円パチンコ機に対応する計数貸出ユニット2において、一般カード9を挿入口27へ挿入した時の液晶表示部24の画面100を例示する。同画面100には、貸単価(種別)及び単位付与数の表示領域50、挿入中のカード9,10の種別(会員・一般)の表示領域51、種別毎の持玉数の表示領域52、各種案内の表示領域53、入金残高の表示領域54、自種別の持玉数の表示領域55を設けている。
【0035】
図5の画面100を表示した計数貸出ユニット2は、自種別の持玉数に係る第1処理の実行によって、一般カード9により特定される当該持玉数を表示領域55に表示すると共に、遊技者の払出ボタン25の操作に応じて当該持玉数の範囲内での単位付与数分の玉の払い出しにより当該持玉を遊技に使用可能とする通常の状態(第1状態)にある。
【0036】
また、計数貸出ユニット2は、遊技者による乗入状態への指示操作(第2処理指示操作)に応じて、第1処理を実行する通常の状態から乗入処理を実行する乗入状態へ移行するように構成されている。具体的には、遊技者が画面100をタッチ操作すると、計数貸出ユニット2は、図6に示すように「乗入再プレイ」ボタン61と「会員カード合算」ボタン62と「終了」ボタン63とを、案内表示領域53に表す乗入・合算操作の画面101に遷移する。遊技者が「乗入再プレイ」ボタン61をタッチ操作すると、計数貸出ユニット2は、乗入元の種別(1円パチンコ機では4円パチンコ玉、4円パチンコ機では1円パチンコ玉)と乗入先の種別との比率を持玉数に乗算し、その演算結果を画面102に表示する。
【0037】
即ち、計数貸出ユニット2は乗入処理として、4円パチンコ島では1玉1円の持玉を、1円パチンコ島では1玉4円の持玉を再プレイに使用可能とすべく、次の演算を行うことにより、再プレイ可能玉数を求める。
【0038】
1円パチンコ玉の再プレイ可能玉数=4円パチンコ玉の持玉数×4
4円パチンコ玉の再プレイ可能玉数=1円パチンコ玉の持玉数×(1/4)
再プレイ可能玉数は、演算により得られた値について、小数点以下の値を切捨て、又、100未満の値も切捨てるものとする。図5の画面100を表す計数貸出ユニット2は、1円パチンコ機に対応しており、乗入元の種別が4円パチンコ玉で、その4円パチンコ玉の持玉数が「756」である。
【0039】
それ故、乗入元の756玉の4円パチンコ玉は、演算により3000玉(≒3024=756×4)の1円パチンコ玉(再プレイ可能玉数)となる。これにより、計数貸出ユニット2は、図6の画面102で示すように、乗入により「3000玉」分の再プレイが可能となった旨のメッセージを表示すると共に、乗入の「終了」ボタン64を表示する。この「終了」ボタン64をタッチ操作すると、図7の画面103に遷移する。尚、図6の画面101で「終了」ボタン63をタッチ操作すると、乗入・合算に係る処理が行われることなく、元の画面100に復帰する。
【0040】
図7に示すように、乗入操作完了時の画面103では、図5の持玉数の表示領域55に代えて再プレイ可能玉数の表示領域70を設けている。これにより、計数貸出ユニット2は、遊技者の払出ボタン25の操作に応じて、再プレイ可能玉数の範囲内で単位付与数分の玉を払い出すことから、一般カード9に1円パチンコ玉の持玉数や入金残高が無くても、4円パチンコ玉を乗入元として乗入遊技することができる。
【0041】
上記した遊技者による画面100のタッチ操作及び画面101,102のボタン61,64操作を含む一連の操作は、第2処理指示操作に相当する。また、図7の画面103を表示した計数貸出ユニット2は、乗入処理の実行によって再プレイ可能玉数を表示領域70に表示すると共に、遊技者の払出ボタン25の操作に応じて再プレイ可能玉数の範囲内での単位付与数分の玉の払い出しにより他種別の持玉を遊技に使用可能とする乗入状態(第2状態)にある。
【0042】
<2.合算操作(移行処理)>
図8は、計数貸出ユニット2の乗入状態において、先に挿入された一般カード9から後に挿入される会員カード10への合算操作が行われるときの、案内表示領域53における画面遷移を示す。
【0043】
即ち、遊技者が第2処理指示操作をした後、画面103をタッチ操作すると、計数貸出ユニット2は、「乗入再プレイ」ボタン61と「会員カード合算」ボタン62とを含む乗入・合算操作の画面101に遷移する。遊技者が「会員カード合算」ボタン62をタッチ操作すると、計数貸出ユニット2は、「乗入状態を解除します。よろしいですか?」とのメッセージを表示すると共に、「OK」ボタン81と「終了」ボタン82を表示する画面105に遷移する。
【0044】
この画面105において、遊技者が画面105の「OK」ボタン81をタッチ操作すると、計数貸出ユニット2は、乗入状態を解除してその旨並びに会員カード10の挿入を促すメッセージを表示すると共に「終了」ボタン82を表示する画面106に遷移する。このように、計数貸出ユニット2は、乗入状態において遊技価値移行手段として合算に係る移行処理の実行を開始するときは、乗入状態の解除によって当該乗入状態から通常の状態へ復帰することにより乗入処理の実行を中断する。この後、計数貸出ユニット2は移行処理として、上記したように一般カード9を初期化した上でカードストック部35に回収すると共に、カード挿入口27へ挿入された会員カード10により特定される入金残高及び持玉数(管理装置6の会員口座に記憶)を取得し、当該カード10に対応付ける入金残高及び持玉数について、一般カード9に記憶されていた入金残高及び持玉数の分を夫々加算した値として上書き記憶する。
【0045】
こうして、計数貸出ユニット2は、乗入状態から通常の状態への復帰と会員カード10への移行処理とを行うと「会員カードに合算されました。乗入再プレイをする際は、最初から操作をやり直してください。」とのメッセージを表示すると共に、「OK」ボタン84を表示する画面107に遷移する。このように、計数貸出ユニット2の液晶表示部24は、乗入状態から通常の状態へ復帰する際に、遊技者に対するメッセージとして第2処理指示操作を再度行うべきことを報知する報知手段に相当する。
【0046】
また、図8の画面107で「OK」ボタン84がタッチ操作されると、計数貸出ユニット2は、会員カード10を挿入口27から排出し、前記発行信号として、夫々のカード9,10について移行処理後の入金残高及び持玉数を管理装置6に送信する。この場合、管理装置6は、前記発行信号に基づき自身6の記憶部に、夫々のカード9,10により特定される入金残高及び持玉数を上記した計数貸出ユニット2での初期化乃至上書き記憶した値に更新して記憶する。
【0047】
尚、計数貸出ユニット2は、移行処理の途中の画面105,106のうち、符号82を付した「終了」ボタンがタッチ操作されると、乗入状態を解除することなく元の画面103に復帰し、符号83を付した「終了」ボタンがタッチ操作されると、移行処理を実行することなく元の画面103に復帰する。
【0048】
<3.合算操作完了後における会員カードの再挿入>
図9は、計数貸出ユニット2において上記した移行処理の完了に伴い会員カード10を挿入口27から排出した後、挿入口27へ再挿入したときの画面110を例示する。同画面110は、一般カード9挿入時の図5の画面100の表示領域50〜55と同様の、表示領域50´〜55´を設けている。
【0049】
この画面110の表示領域50´〜55´のうち、上から2つ目の表示領域51´では、挿入中のカード10の種別「会員カード」を表しており、一番下の表示領域55´では、乗入状態から通常の状態への復帰により、元の自種別の持玉数「0玉」を表している。それ故、計数貸出ユニット2において、遊技者が第2処理指示操作を再度行うことにより、再度乗入状態として遊技を楽しむことができる。
【0050】
また、種別毎の持玉数の表示領域52´及び入金残高の表示領域54には、上記した移行処理後の持玉数及び入金残高を表している。具体的には、画面110右隣の概念図で表すように、同図9で符号「9B」を付した移行処理前の一般カードには、4円パチンコ玉の持玉数「756」玉、1円パチンコ玉の持玉数「0」玉、入金残高「0」円が対応付けられているものとする(図5参照)。また、同図9で符号「10B」を付した移行処理前の会員カードには、4円パチンコ玉の持玉数「1523」玉、1円パチンコ玉の持玉数「0」玉、入金残高「1000」円が対応付けられているものとする。
【0051】
この場合、上記した移行処理により、符号「10A」で表す移行処理後の会員カードには、4円パチンコ玉の持玉数「2279(=756+1523)」玉、1円パチンコ玉の持玉数「0」玉、入金残高「1000」円が対応付けられ、それら合算に係る各情報を画面110で視認することができる。これにより、遊技者は、移行処理前の一般カード9Bの分が合算により、一の会員カード10Aに集約されていることを把握することができる。
【0052】
以上に説明したように本実施形態の遊技場用システムによれば、乗入処理を実行している状態において移行処理の実行が指示されたときには、乗入処理を一旦中断するようにしたので、遊技者が混乱することが無い。
【0053】
また、計数貸出ユニット2において、乗入状態から通常の状態へ復帰することにより乗入処理の実行を中断したとしても、その復帰に際して液晶表示部24により遊技者に対し第2処理指示操作を再度行うべきことを表示することができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
貸単価が1円と4円との2種別のパチンコ機を例示したが、その貸単価や遊技機1の種類は、これに限定されるものではない。例えば、玉の貸単価が2円のパチンコ機の他、メダルの貸単価が20円や5円といったスロットマシン等の他の遊技機1でもよく、2種別に限らず3種別以上の単価の設定が可能であることはいうまでもない。
【0055】
また、遊技機1は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。
乗入処理は、特定の種別間の乗入を禁止できるようにしてもよく、例えば、計数貸出ユニット2において1円から4円への乗入を許可する一方、4円から1円への乗入を禁止する構成を採用することができる。
【0056】
一般カード9には、入金残高や持玉数、及び一般ID(識別情報)を記憶するようにしたが、識別情報のみを記憶し、その識別情報に基づいて管理装置6で記憶している持玉数を特定するようにしてもよい。
【0057】
また、一般カード9に記憶された入金残高は翌日以降も有効としたが、当日限り有効とし、翌日以降は利用できないようにしてもよい。
会員カード10には、入金残高や会員ID(識別情報)を記憶し、持玉数及び貯玉数を記憶しないようにしたが、持玉数及び貯玉数を会員カード10にも記憶し、管理装置6側が記憶している持玉数及び貯玉数と照合した上で景品交換するようにしてもよい。また、会員カード10には、持玉数及び貯玉数のうち、持玉数を記憶するようにしてもよい。
【0058】
更に、会員カードに有効期限(例えば3年)を設けるようにしてもよい。
一般記録媒体や会員記録媒体は、カード9,10形状に限定されず、コイン形状やスティック形状等、どのような形態であってもよく、又、磁気カードたる磁気媒体を記録媒体として使用する構成を採用してもよい。
【0059】
一般遊技価値記憶手段及び会員遊技価値記憶手段は、管理装置6の記憶部に限らず、外部の記憶装置等で構成してもよい。つまり、係る記憶手段や、上記した遊技価値使用手段、遊技価値移行手段、報知手段として、夫々の機能を発揮する遊技場用システムが構築されていればよく、本実施形態における具体的装置2,6の構成に限定するものではない。
【0060】
報知手段は、図8の画面107におけるメッセージの表示に限らず、その表示にて報知することに代えて又は加え、音声の出力やブザーの鳴動で報知するようにしてもよい。
また、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良いし、変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
図面中、1は遊技機、2は計数貸出ユニット(遊技価値使用手段、遊技価値移行手段、報知手段)、6は管理装置(一般遊技価値記憶手段、会員遊技価値記憶手段)、24は液晶表示部(報知手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9