(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一面側インク模様印刷ステップ及び、前記他面側インク模様印刷ステップは、前記金属箔模様が配置される透明プラスティックシートの領域には一面側、他面側いずれにも印刷されたインク模様が配置されないようにする非印刷サブステップを有する請求項4に記載の透かし入り印刷物の製造方法。
前記金属箔接着ステップは、前記金属箔が前記シートの一面に接着剤で接着される際の押圧によって透かし模様を形成する透かし模様サブステップを含む請求項4又は請求項5に記載の透かし入り印刷物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術に示されるように、陰影を表現する方法として、彫刻の技法を用いる手法が考えられていた。この方法による場合、複数の金属箔を重ねて張り合わせ、金属箔の層を1層削る、2層削る、といった削る層数に差を設けて立体的な構造にすることによって、陰影の表現をしていた。
【0005】
しかし、この方法による場合、金属箔を重ねて張ることから、完成する作品にはかならず厚みが生じるという難点がある。さらに、金属箔が光を透過しにくいことから、金属箔を重ねた場合、彫刻を施した側の面からしかデザインを表すことはできず、表現方法が限られていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明において、以下の透かし入り印刷物及び透かし入り印刷物の製造方法を提供する。すなわち、第一の発明として、透明プラスティックシートと、前記シートの一面に接着剤で接着された金属箔と、金属箔の表面を保護する透明保護層と、透明保護層上に印刷されたインク模様と、透明保護層上に箔押しされ他面から見て透かしを構成する金属箔模様と、前記シートの他面に印刷されるインク模様と、からなる透かし入り印刷物を提供する。
【0007】
また、第二の発明として、前記金属箔模様が配置される透明プラスティックシートの領域には一面側、他面側いずれにも印刷されたインク模様が配置されない第一の発明に記載の透かし入り印刷物を提供する。
【0008】
また、第三の発明として、前記金属箔は前記シートの一面に接着剤で接着する際の押圧による透かし模様が形成さている第一の発明又は第二の発明に記載の透かし入り印刷物を提供する。
【0009】
また、第四の発明として、透明プラスティックシートの一面に接着剤で金属箔を接着する金属箔接着ステップと、接着した金属箔の表面を保護する透明保護層を設ける透明保護層設定ステップと、透明保護層上にインクでインク模様を印刷する一面側インク模様印刷ステップと、透明保護層上に金属箔を箔押し他面から見て透かしを構成する金属箔模様箔押しステップと、前記シートの他面にインクでインク模様を印刷する他面側インク模様印刷ステップと、からなる透かし入り印刷物の製造方法を提供する。
【0010】
前記一面側インク模様印刷ステップ及び、前記他面側インク模様印刷ステップは、前記金属箔模様が配置される透明プラスティックシートの領域には一面側、他面側いずれにも印刷されたインク模様が配置されないようにする非印刷サブステップを有する第四の発明に記載の透かし入り印刷物の製造方法を提供する。
【0011】
前記金属箔接着ステップは、前記金属箔が前記シートの一面に接着剤で接着される際の押圧によって透かし模様を形成する透かし模様サブステップを含む第四の発明又は第五の発明に記載の透かし入り印刷物の製造方法を提供する。
【0012】
前記金属箔模様箔押しステップは、加熱及び加圧を同時に行う加熱加圧サブステップを有する第四の発明から第六の発明のいずれか一に記載の透かし入り印刷物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、従来の金属箔を用いた工芸品とは異なり、金属箔多数枚重ねることなく、陰影を表現することができ、かつ、金属箔を貼った面と異なる面からも透かしとして金属箔を用いて表現したデザインを鑑賞することが可能となり、深みのある多様な表現が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。実施形態1は請求項1に、実施形態2は請求項2に、実施形態3は請求項3に、実施形態4は請求項4に、実施形態5は請求項5に、実施形態6は請求項6に、実施形態7は、請求項7に、それぞれ対応する。なお、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0016】
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
本実施形態における発明は、金属層は二層しかないものの、透かしによる柄を表現することができる印刷物(シート状物、以下同じ)である。
図1は、本実施形態の発明の一例の概念図であり、本実施形態における印刷物の表面(0101)及び裏面(0102)の視認図の一例を示している。図に示している、真ん中に描かれた三日月模様(0105)が金属箔の上に箔押しされた金箔で描かれた図柄である。表面からみた場合、真ん中に描かれた三日月の図柄は左右に描かれたそれぞれの三日月と同じようにはっきりと目視することができる。一方、裏面から見た場合、真ん中に描かれた三日月の図柄は左右に描かれたそれぞれの三日月と異なり、透かして見ることができる。透かして見える図面であるから、その見え方は表面から見る場合とは異なり、はっきりとは見えない。
【0017】
<実施形態1 発明の構成>
実施形態1の発明は、
図2に示すように、透明プラスティックシート(0201)と、金属箔(0202)と、透明保護層(0203)と、透明保護層上インク模様(0204)と、金属箔模様(0205)、透明プラスティックシート他面インク模様(0206)と、から構成される印刷物である。
【0018】
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 透明プラスティックシート>
「透明プラスティックシート」は、透明プラスティックシート側インク模様(0206)を直接印刷することが可能な素材によって構成されていることが好まし。素材の例としては、PET、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート、等が考えらえる。透明であれば、色付きであってもかまわない。透明プラスティックシートは、光の透過性が高く、透過性は厚さによって変わらない。したがって、透明プラスティックシートの厚さは限定されないが、0.1mm以上1mm以下程度が、透かし模様を鮮明に表現するために適している。
後述するように、透明プラスティックシートは一方の面には金属箔を貼るための接着剤を塗り、他方の面にはシート表面に直接インクによる印刷を施す。
【0019】
<実施形態1 金属箔>
「金属箔」は、透明プラスティックシートの一面に接着剤(0207)で接着される。
本実施形態では、図では表れていないが、例えば、一片の長さが約7.5センチメートル以上、他の一片の長さが約8センチメートル以上の四角形の金箔二枚を透明プラスティックシートの上に重ならないように、かつ、隙間ができないように並べることで、透明プラスティックシートの一面に金属箔を貼り付けている。透明プラスティックシートの大きさ、あるいは、用意できた金属箔の大きさに合わせて、複数枚の金属箔を組み合わせて透明プラスティックシートに貼り付けてもかまわないし、一枚の金属箔を透明プラスティックの上に貼り付けてもかまわない。複数枚の金属箔を用いた場合は、金属箔が重ならないように貼り付けることが好ましい。さらに、貼り付ける面は、透明プラスティックシートの一方向の面に統一されるか、あるいはすかし模様を表現する部分には金属箔を透明プラスティックシートの両方の面に貼り付けないようにする必要がある。透明プラスティックシートの上に、接着剤を用いて金属箔を貼る行為は、箔押しではない。
金属箔を透明プラスティックシートに貼り付ける接着剤は、乾燥した際に透明の状態を維持することができるものであれば、どのような種類であってもかまわない。
【0020】
金属箔は、厚さ0.05μm以上0.5μm以下の厚さのものが適している。0.05μm以下の金属箔を用いると、貼り付ける際に指でなぞるように押圧をかけた際に金箔が敗れやすくなる、あるいは、貼り付けたあと透明保護層を配置する段階で金箔が破れやすくなる危険がある。また、金属箔を薄くすることで金属箔が光を透過するようになる。本実施形態において、金属箔の厚さを0.5μm以下にすることで、金属箔は光を透過するほどの薄さとなる。これによって表面からの光がこの金属箔を透過して見えるが、表面に印刷されているインクの濃淡を裏面で識別しづらくなる。
特に裏面の透明プラスティックシート上に微細なインクによる印刷(0211)をちりばめると、その印刷に邪魔されてより表面の印刷が識別しづらくなる。微細な印刷をちりばめるとは、微細な直線や曲線を間隔を詰めて平行に印刷するようなものをいう。この間隔は、0.1ミリメートルから0.3ミリメートル程度で線幅も同程度である。このような模様で裏面側の大部分又は表面の印刷が施された部分に対応する裏面側を修飾すると、表面側の印刷模様は裏面側からは視認しづらくなる。
【0021】
後述するように、本件透かし入り印刷物は、透かしの技法によって裏面からも表面に配置される金属箔模様を視認できるように構成するものである。この金属箔模様は、ホットスタンプ箔を用いる。ホットスタンプ箔は、ベースフィルム上に離形層、着色層、蒸着層、接着層を順に積層したもので、表面の透明保護層上に模様を付した型を所定の高温にした状態で所定の圧力でベースフィルム側から押圧することで金属箔模様を構成する。この模様は厚みの大小によって構成される物である。着色層、蒸着層、接着層の厚みは、0.03μmから0.07μm程度である。裏面側の印刷は、この金属箔模様が配置される領域には配置しないようにし、この金属箔模様が裏面側からよく透けて見えるようにする。このホットスタンプ箔のスタンプ工程では、表面側の透明プラスティックシート上の金属箔にも温度と圧力が加わり、模様が転写される。従って、二層の金属箔で模様が構成される。この部分は、表面側の透明保護層上にも印刷が施されないように構成されており、二層の金属箔で構成される模様が裏面側からも観察できるようになる。
まとめると、表面側の透明保護層上の印刷は、透明プラスティックシート上の金属箔であって平坦な部分により裏面側に透過しづらいが、表面側の金属箔模様は、透明プラスティック上の金属箔も含めて凹凸状に形成されているので裏面側から容易に観察できる。つまり透かし模様として認識されることになる。また表側の印刷が裏面側から視認しづらいように微細な模様が構成される。型の凹凸によってホットスタンプ箔と金属箔に形成される凹凸は、凹凸の無い部分と凹凸のある部分の厚さの差が20%から50%の間になるように形成されることが好ましい。厚みの差によって生じる光の透過性の差を利用して透かし模様に濃淡を構成している。透過性が低いところは、透過性の高い所に比してより濃くなる。
【0022】
本実施形態では、透明保護層上インク模様と透明プラスティックシート他面インク模様とがあり、それぞれのインク模様は、異なる図柄であることが想定される。したがって、透明保護層上インク模様の図柄が透明プラスティックシート他面インク模様側に透けていたり、透明プラスティックシート他面インク模様側の図柄が透明保護層状インク模様側に透けていると、インク模様が透けているインク模様によって邪魔され、インク模様によって描かれる図柄を綺麗に表現することが出来なくなる。金属箔は、光を透過するものの、100パーセントの透過性ではないことから、0.05μm以上の厚さであるとき、一方の面に印刷されたインク模様が他方の面に印刷されたインク模様を見えにくくするほどに透けることはない。金属箔を0,05μmよりもさらに薄くした場合には、光の透過性が0,05μmの時よりも増し、一方の面に印刷されたインク模様が他方の面により透けやすくなり、徐々に他方の面に印刷されたインク模様が見えにくくなる。
【0023】
金属箔の構成成分は、複数の金属が混合している金属箔であってもよいし、一種類の金属のみからなる金属箔であってもよい。本発明の印刷物は、しおりやポストカードとして利用することも考えられる。しおりやポストカードのような用途の場合には、印刷物がある程度折れたり曲がったりすることが想定されるので、金属箔が硬い場合には折れたり、透明プラスティックシートから剥がれたりする原因となってしまうので、柔らかい金属箔となるように構成成分を定める必要がある。あるいは、色紙や絵画のような展示物として使用する場合には、折ったり曲げたりすることはなく、むしろ作品の状態を維持しておくために追ったり曲がったりしないように、硬い金属箔を用いることが好ましい。
【0024】
例えば、金属箔として金箔を選択して展示物を作る場合には、金93〜96%、銀3〜6%、銅0.5〜1%、の範囲になるように構成されており、かつ、厚さ0.05〜0.3μmの金箔を用いることが考えられる。金の成分割合が93%よりも小さいと、金の色がくすむことになる。金の成分割合が96%よりも大きいと、金属箔が柔らかくなりすぎる。銀の成分割合が3%よりも小さいと、金属箔が柔らかくなりすぎる。銀の成分割合が6%よりも大きいと、金属箔が硬くなりすぎる。銅の成分割合が0.5%よりも小さいと金属箔の色が悪くなる。銅の割合が1%よりも大きいと、金属箔が変色しやすくなる。金属箔の厚さが0.05μmよりも薄いと、前述するように加工途中に金属箔をなぞったり、なにかでこすったり、展示中に何かにぶつけたり等の衝撃によって、金属箔の表面が損傷して破れやすくなる。金属箔の厚さが0.2μm以上であると、金属箔の光の透過性が低くなってきて、透かし部分との透過性の差が小さくなってきて、透過性の差を利用して表現している透かし模様が薄くなる。
【0025】
<実施形態1 透明保護層>
「透明保護層」は、金属箔の表面を保護する。したがって、透明プラスティックシートの一面に接着剤を用いて貼り付けられた金属箔の表面を覆うように構成される。透明保護層は、金属箔の表面が削れることを防ぐことを目的とする。そこで、透明保護層の厚さは、金属箔の表面に通常の使用を行っているときに傷がつかない程度のもの以上であることが好ましく、0.02mm以上0.1mm以下程度が好ましい。
透明保護層は、シート状のものを金属箔の表面に貼り付けて構成してもよいし、液体状のものを金属箔の表面に塗布して乾燥させることで構成してもかまわないし、霧状のものを金属箔の表面に噴射することによって構成してもかまない。このほかの方法であっても構わない。
透明保護層は、金属箔の素材の色を変色させないように、無色透明であることが好ましいが、透明であれば色がついていてもかまわない。透明保護層の具体例としては、ウレタン系トップコートを挙げることができる。
【0026】
<実施形態1 透明保護層上インク模様>
「透明保護層上インク模様」は、透明保護層上に印刷される。例えば、インクジェットの手法によって印刷することが考えらえる。印刷の色は何色でもよい。印刷したインクが滲むことを防ぐために、油性のインクや速乾性の高いインクを用いることが好ましい。印刷は、透明プラスティックシートに貼り付けた金属箔を透明保護層で保護した後に行うか、透明保護層がシートである場合には、先に透明な保護シートに印刷を行った後に、印刷された透明な保護シートを金属箔の上に配置する。
【0027】
<実施形態1 金属箔模様>
「金属箔模様」は、透明保護層上に箔押しされた他面から見て透かしを構成するものである。前述のように、金属箔模様は、ホットスタンプ箔を用いる。ホットスタンプ箔は、ベースフィルム上に離形層、着色層、蒸着層、接着層を順に積層したもので、表面の透明保護層上に模様を付した型を所定の高温にした状態で所定の圧力でベースフィルム側から押圧することで金属箔模様を構成する。この模様は厚みの大小によって構成される物である。着色層、蒸着層、接着層の厚みは、0.03μmから0.07μm程度である。裏面側の印刷は、この金属箔模様が配置される領域には配置しないようにし、この金属箔模様が裏面側からよく透けて見えるようにする。このホットスタンプ箔のスタンプ工程では、表面側の透明プラスティックシート上の金属箔にも温度と圧力が加わり、模様が転写される。従って、二層の金属箔で模様が構成される。この部分は、表面側の透明保護層上にも印刷が施されないように構成されており、二層の金属箔で構成される模様が裏面側からも観察できるようになる。型の凹凸によってホットスタンプ箔と金属箔に形成される凹凸は、凹凸の無い部分と凹凸のある部分の厚さの差は20%から50%程度である。厚みの差によって生じる光の透過性の差を利用して透かし模様に濃淡を構成している。透過性が低いところは、透過性の高い所に比してより濃くなる。
【0028】
図2に示すように、ホットスタンプ箔のスタンプ工程で、表面側の透明プラスティックシート上の金属箔にも温度と圧力が加わり、模様が転写されており、圧力をかけた部分(0208)が透明プラスティック方向に凹み、圧力が(殆ど)かかっていない部分(0209)では、金属箔は透明プラスティック方向に(殆ど)凹まない。こうして型と同一の形状に凸凹が生じる。さらに、ホットスタンプ箔のスタンプ工程で転写される型の模様に併せて金属箔模様には厚さの異なる部分ができている。図では、a>b>c>dとなっており、凹んでいない金属箔模様のa部分(0210)と比べて凹んでいるb、c、d部分ん厚さが20%から50%程度となる。表面側の透明プラスティックシート上の金属箔に温度と圧力が加わることで転写される模様部分は、金属箔模様の凹凸と一致しており、金属箔模様が凹んでいる部分の下に位置する透明プラスティック上の金属箔が凹む。金属箔が凹んでいる部分が、図ではf、g、hとなっている。透明プラスティックシートが凹まないことから、透明プラスティックシート上の金属箔は、金属箔が凹んでいる部分と凹んでいない部分で、凹みの厚さ分金属箔の厚さが異なる。図では、透明プラスティックシート上の金属箔の厚さは、e>f>g>hとなっている。厚みの差によって、透過性に差が出るので、透かし模様に差が生じる。厚みが大きい程、透過性が低くなり、透かし模様が濃く表現され、厚みが小さい程、透過性が高くなり、透かし模様が薄くなる。金属箔模様部分の厚みは、a+e>b+f>c+g>d+hとなっている。透かし模様の濃さは、a+e部分が相対的に最も濃く、b+f部分が相対的に二番目に濃く、c+g部分が相対的に二番目に薄く、d+h部分が相対的に最も薄くなる。透かし模様の濃淡を利用することによって、例えば、人の顔の表情や髪形、目、鼻、口、皺、といった人物の繊細かつ詳細な描写や、花の花弁の先端部分と軸部分の光の陰影、雄蕊、めしべ、茎といった物の繊細かつ詳細な描写や、手前にあるものをはっきりとした線で描き、奥にあるものを薄い線で描く風景の遠近感の描写を、透かし模様によって表現することが可能となる。
【0029】
金属箔模様部分を透かすだけでなく、金属箔模様部分にも透かしによって詳細な描写を実現するためには、金属箔模様部分に厚い部分と薄い部分ができることが必要であり、これを構成するためには、金属箔模様部分よりも下に、圧力によって簡単に厚みの変化するものが配置されていることが必要となる。したがって、本件透かし模様印刷物を作成するためには、必ず金属箔の上に金属箔模様を配置するように構成する必要がある。
【0030】
<実施形態1 透明プラスティックシート他面インク模様>
「透明プラスティックシート他面インク模様」は、先述したインク模様とはことなり、透明プラスティックシートの他面に印刷される。透明プラスティックシートの表面に直接印刷される。滲んだり、こすったことで消えることを防ぐために、インクは油性のものであることが好ましい。透明プラスティックシート他面へのインク印刷は、透明プラスティックシートの上に貼った金属箔の上に透明保護層を配置した後に印刷するか、透明プラスティックシートに金属箔を貼る前に行う必要がある。金属箔を貼った後、透明保護層を配置する前に、透明プラスティック他面側印刷を行うと、透明プラスティックの上に貼られた金属箔が剥がれたり削れたりしてしまうからである。
【0031】
<実施形態1 その他>
図3は、
図2で示されている各層を重ね合わせた本発明の印刷物の概念断面図である。図では、透明プラスティックシート(0301)と、金属箔(0302)と、透明保護層上インク模様(0303)と、金属箔模様(0304)、透明プラスティックシート他面インク模様(0305)が明示されており、接着層と透明保護層は厚みが薄いため、厚さを持つその他の素材のように明示せずに省略している。実際には、インク印刷のインクや、金属箔模様を構成する金属箔が、図に示すように下層と密着している。
【0032】
図4は、本実施形態の概念断面図を用いて、光の透過の仕方を示している。矢印の方向に光が当たっているとして、実線は主たる光の透過又は反射を表し、点線は、主たる光の透過又は反射ではない、光の透過又は反射を表している。概念的に通過する光量を表現すると、次のような例えになる。透明プラスティックシート側インク模様のインクに当たった光(0401)を光量10とすると、透明プラスティックシート側インク模様を透過して、透明プラスティックシートを透過して、金属箔を一部透過して、金属箔を透過した光が透明保護層上インク模様を透過して、最終的に光量8が透過する。透明保護層上インク模様に当たった光(0402)を光量10とすると、透明保護層上インク模様を透過して、金属箔を一部透過して、金属箔を透過した光が透明プラスティックシートを透過して、透明プラスティックシート側インク模様を透過して、最終的に光量8が透過する。金属箔模様のa+e部分に当たった光(0403)を光量10とすると、殆どが金属箔模様を透過せず反射して一部分のみが金属箔模様を透過して、金属箔模様を透過した光のさらに一部分が金属箔を透過して、透明プラスティックシートを透過して、最終的に光量2が透過する。金属箔模様のb+f部分にあたった光(0404)を光量10とすると、殆どが金属箔模様を透過せず反射して一部分(a+e部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、金属箔模様を透過した光のさらに一部分(a+e部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、透明プラスティックシートを透過して、最終的に光量3が透過する。金属箔模様のc+g部分にあたった光(0405)を光量10とすると、殆どが金属箔模様を透過せず反射して一部分(b+f部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、金属箔模様を透過した光のさらに一部分(b+f部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、透明プラスティックシートを透過して、最終的に光量4が透過する。金属箔模様のd+h部分にあたった光(0406)を光量10とすると、殆どが金属箔模様を透過せず反射して一部分(c+g部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、金属箔模様を透過した光のさらに一部分(c+g部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、透明プラスティックシートを透過して、最終的に光量5が透過する。裏面側透明プラスティックシート側から金属箔模様のa+e部分に当たる光(0407)を光量10とすると、透明プラスティックシートを通過して、金属箔で一部反射されて一部分のみが金属箔を透過して、金属箔を透過した光のさらに一部分のみが金属箔模様を透過して、最終的に光量2が通過する。裏面側透明プラスティックシート側から金属箔模様のb+f部分に当たる光(0408)を光量10とすると、透明プラスティックシートを通過して、金属箔で一部反射されて一部分(a+e部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、金属箔を透過した光のさらに一部分(a+e部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、最終的に光量3が通過する。裏面側透明プラスティックシート側から金属箔模様のc+g部分に当たる光(0409)を光量10とすると、透明プラスティックシートを通過して、金属箔で一部反射されて一部分(b+f部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、金属箔を透過した光のさらに一部分(b+f部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、最終的に光量4が通過する。裏面側透明プラスティックシート側から金属箔模様のd+h部分に当たる光(0410)を光量10とすると、透明プラスティックシートを通過して、金属箔で一部反射されて一部分(d+h部分に比して相対的に多い)のみが金属箔を透過して、金属箔を透過した光のさらに一部分(d+h部分に比して相対的に多い)のみが金属箔模様を透過して、最終的に光量5が通過する。金属箔に当たった光(0411)を光量10とすると、金属箔を一部透過して、透明プラスティックシートを透過して、光量9が通過する。透明プラスティックシートに当たった光(0412)を光量10とすると、透明プラスティックシートを通過して、金属箔を一部透過して、光量9が通過する。
【0033】
図1は、本実施形態における印刷物の表面(0101)及び裏面(0102)の視認図の一例である。実線(0103)で示している図柄が、その面から目視することが可能な図柄である。点線(0104)で示している図柄が、一方の面に印刷されているが、他方の面からはっきりと目視することができない図柄である。また、斜線によって表現されている図画が、インク印刷ではなくて、金属箔模様(0105)である。
表面に印刷された三日月模様の左右は、インク印刷によって表現されているが、真ん中の三日月模様は、金属箔模様である。図に示すように、表面からは、裏面に印刷されている星模様は目視することができない。裏面に印刷されたている星模様は、全てインク印刷である。図に示すように、表面にインク印刷された左右の三日月模様は、裏面から目視することはできない。一方で、表面に箔押しされた三日月模様は、透かしとして、裏面から目視することができる。裏面から目視する場合、左右が反転する。
【0034】
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
本実施形態における発明は、金属箔模様が施される部分には、インク印刷がされないように構成されている印刷物である。インク印刷がある場合には、インク印刷の部分では模様を見ることはできない。インク印刷をしないことによって、透かし模様の全体をはっきりと美しく表現することができる。
【0035】
<実施形態2 発明の構成>
金属箔模様が配置される透明プラスティックシートの領域の一面側、他面側のいずれにもインク模様を印刷しないように構成されている。金属箔模様が配置される部分には、表面も裏面も、インク印刷をしない。金属箔模様が配置されていない印刷模様の周辺部分には、表面、裏面のいずれからもインク印刷をしてよい。
【0036】
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
本実施形態の発明は、金属箔を透明プラスティックシートに接着剤を用いて貼り付ける際に形成される貼り付け跡が、あたかも図柄の一種であるかのように、模様として形成されている印刷物である。
<実施形態3 発明の構成>
金属箔を透明プラスティックシートの一面に接着剤で接着する際の押圧による透かし模様が形成されている。金属箔を貼り付ける際には、金属箔にしわが寄ったり、透明プラスティックシートと金属箔の間に空気やごみが入って金属箔表面に凹凸が生じないように、一点、例えば金属箔の端を接着させた後に、周辺になぞるようにして少しずつ接着させることになる。そのさい、金属箔がしっかりと接着するように、上から圧力をかける。例えば、指や治具を使って金属箔を押しながらなぞることである。この押圧と、金属箔をなぞる動きによって、金属箔に模様のような跡ができる。
図5は、印刷の模様と金属箔模様とは別の、金億泊を透明プラスティックシートに接着させるために押圧することによって生じる模様(0501)の一例を示した図である。図では、二枚の金属箔を透明プラスティックシートに並べるように張っている状態を示している。したがって、模様は左右に二つ表れている。図に示している模様は、中心から外側に向かって広げるようにして押圧を加えて接着させた場合に生じる模様の一種である。押圧の加え方によって、他にも様々な模様を構成することが可能である。
【0037】
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
本実施形態は、透かし入り印刷物の製造方法についての発明である。
<実施形態4 発明の構成>
図6は、本実施桁の透かし入り印刷部の製造方法の一例を示すフロー図である。図示するように、透かし入り印刷物の印刷方法は、金属箔接着ステップ(0601)と、透明保護層設定ステップ(0602)と、一面側インク模様印刷ステップ(0603)と、金属箔模様箔押しステップ(0604)と、他面側インク模様印刷ステップ(0605)と、を有する。
【0038】
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 金属箔接着ステップ>
「金属箔接着ステップ」は、透明プラスティックシートの一面に接着剤で接着する工程である。金属箔は、それ自体には粘着力がない。透明プラスティックシート等の他の素材と接着させるためには、粘着力を有する接着性の素材を、透明プラスティックシートと金属箔の間に塗布して、塗布した接着剤が乾燥する前に接着材の層の上に金属箔を重ねて配置し、接着させる必要がある。
【0039】
<実施形態4 透明保護層設定ステップ>
「透明保護層設定ステップ」は、接着した金属箔の表面を保護する透明保護層を設定する工程である。透明保護層は、金属箔の上に塗布するように設定されるものでもよいし、噴射するように設定されるものでもよいし、シートを貼り付けることで設定されるものでもよい。透明保護層がまんべんなく設定されていない場合、結局保護の機能が不十分となるので、塗布やシートを貼り付ける方法によることが好ましい。
【0040】
<実施形態4 一面側インク模様印刷ステップ>
「一面側インク模様印刷ステップ」は、透明保護層上にインクでインク模様を印刷する工程である。透明保護層にインクが吸着されるのであれば、インクの種類や色はどのようなものであってもかまわないし、インクの吸着方法も限定しない。
【0041】
<実施形態4 金属箔模様箔押しステップ>
「金属箔模様箔押しステップ」は、透明保護層上に金属箔を箔押し他面から見て透かしを構成する工程である。型によって転写される金属箔模様の凹凸の差が、20%から50%手度となるようにする。
【0042】
<実施形態4 他面側インク模様印刷ステップ>
「他面側インク模様印刷ステップ」は、透明プラスティックシートの他面にインクでインク模様を印刷する工程である。他面側インク模様は、他面側の透明プラスティックシートに直接印刷される。透明プラスティックシートにインクが吸着されるのであれば、インクの種類や色はどのようなものであってもかまわないし、インクの吸着方法も限定しない。
このステップは、金属箔接着ステップの前にあってもよい。前述するように、透明プラスティックシートの上に金箔を貼った後に透明保護層を設置する前であると、他面側印刷を行ったときに金箔に傷がついたり削れたりすることになる。したがって、このステップは、透明プラスティックシートに金属箔を貼る前か、貼ったのち透明保護層を設置したあとであれば、どのようなタイミングてあってもよい。
【0043】
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
本実施形態における発明は、透かしの部分に印刷を施さない透かし入り印刷物の製造方法についての発明である。
【0044】
<実施形態5 発明の構成>
図7は、本実施形態の透かし入り印刷物の製造方法お一例を示すフロー図である。図示するように、透かし入り印刷物の製造方法は、金属箔接着ステップ(0701)、透明保護層設定ステップ(0702)、一面側インク模様印刷ステップ(0703)、非印刷サブステップ(0704)、金属箔模様箔押しステップ(0705)、他面側インク模様印刷ステップ(0706)、非印刷サブステップ(0707)と、を有する。以下では、実施形態4との共通の構成の説明は省略し、本実施形態に特徴的な構成の説明をする。
【0045】
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 非印刷サブステップ>
「非印刷サブステップ」は、一面側インク模様印刷捨ステップ及び他面側インク模様印刷ステップにおいて金属箔模様が配置される透明プラスティックシートの領域には、一面側、他面側のいずれにも印刷されたインク模様が配置されないようにする工程である。非印刷ステップにおいて印刷をしない領域を指定するステップである。
【0046】
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
本実施形態の発明は、金属箔を接着する際の押圧で透かし模様を形成する、透かし入り印刷部の製造方法についての発明である。
【0047】
<実施形態6 発明の構成>
図8は、本実施形態の透かし入り印刷物の製造方法お一例を示すフロー図である。図示するように、透かし入り印刷物の製造方法は、金属箔接着ステップ(0801)、透明保護層設定ステップ(0802)、透かし模様サブステップ(0803)、一面側インク模様印刷ステップ(0804)、金属箔模様箔押しステップ(0805)、他面側インク模様印刷ステップ(0806)と、を有する。以下では、実施形態4又は実施形態5との共通の構成の説明は省略し、本実施形態に特徴的な構成の説明をする。
【0048】
<実施形態6 構成の説明>
<実施形態6 透かし模様サブステップ>
「透かし模様サブステップ」は、金属箔接着ステップにおいて、金属箔が透明プラスティックシートの一面に接着剤で接着される際の押圧によって透かし模様を形成する工程である。金属箔を接着と接着する際に、金属箔を接着材の層の上に配置するだけでは、接着性が不十分なうえ、金属にしわがよったり、空気やほこりなどが接着材の層と金属箔の間に入って、金属箔の表面に凸凹ができてしまうことがある。そこで、金属箔を貼る際には、一点を接着させたのち、そこを起点として徐々に接着させていく必要がある。徐々に広げる際に、金属箔が接着剤と強く接着するように、押圧をかけるので、この押圧の動きに合わせた透かし模様が形成される。
【0049】
<実施形態7 概要>
本実施形態における発明は、加熱及び加圧を同時に行うことで金属箔押し模様を作る、透かし入り印刷物の製造方法についての発明である。
【0050】
<実施形態7 発明の構成>
図9は、本実施形態の透かし入り印刷物の製造方法お一例を示すフロー図である。図示するように、透かし入り印刷物の製造方法は、金属箔接着ステップ(0901)、透明保護層設定ステップ(0902)、一面側インク模様印刷ステップ(0803)、金属箔模様箔押しステップ(0804)、加熱加圧サブステップ(0805)、他面側インク模様印刷ステップ(0806)と、を有する。以下では、実施形態4又から実施形態6のいずれか一との共通の構成の説明は省略し、本実施形態に特徴的な構成の説明をする。
【0051】
<実施形態7 構成の説明>
<実施形態7 加熱加圧サブステップ>
「加熱加圧サブステップ」は、金属箔押しステップにおいて、加熱及び加圧を同時に行う工程である。加熱した同晩や型を用いて、加圧して箔押しを行う方法が考えられる。あるいは、箔押ししたい金属箔を透明保護層の上にのせて、加熱されたローラーの間を通すことで加圧して箔押しを行う方法も考えらえる。箔押しを行う際に、加熱と加圧の組み合わせを用いるすべての方法が、加熱加圧サブステップに該当する。