(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記骨盤部材には、上下方向に延びる第1貫通孔と、前記前面及び/又は前記後面に形成されている凹部に、前記第1貫通孔と連通するように、第2貫通孔と、が設けられていて、
前記第2ケーブルは、前記第1貫通孔から前記第2貫通孔を経て、前記骨盤部材外に引き出されている、請求項2に記載のロボットの股関節構造体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体は、一対の大腿基端部材と、一対の大腿基端部材に挟まれるように配置されている、柱状の骨盤部材と、を備え、骨盤部材の前面における左右の端部と、骨盤部材の後面における左右の端部と、には、それぞれ、上下方向に延びる凹部により、フランジ部が形成されていて、フランジ部と大腿基端部材が締結部材により締結されている。
【0013】
また、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体では、大腿基端部材には、上下方向に延びる貫通孔が設けられていて、貫通孔には、中空部を有する軸受部材が配置されていて、軸受部材の中空部には、脚に配設されている第1ケーブルと、胴体に配設されている第2ケーブルと、を接続するコネクタが収納されていてもよい。
【0014】
さらに、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体では、骨盤部材には、上下方向に延びる第1貫通孔と、前面及び/又は後面に形成されている凹部に、第1貫通孔と連通するように、第2貫通孔と、が設けられていて、第2ケーブルは、第1貫通孔から第2貫通孔を経て、骨盤部材外に引き出されていてもよい。
【0015】
以下、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体の一例について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0016】
[ロボットの構成]
まず、本実施の形態1に係る股関節構造体を備える、ロボットの構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態1に係る股関節構造体を備える、ロボットの概略構成を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、ロボット100は、胴体101と、頭102と、一対の腕103、103と、一対の脚104、104と、胴体101内に配置されている制御装置110と、を備えている。
【0019】
頭102は、首関節105を介して、胴体101に接続されている。首関節105には、頭102を胴体101に対して相対的に揺動(回動)させるための駆動機構が配置されている(図示せず)。
【0020】
同様に、腕103は、肩関節106を介して、胴体101に接続されている。肩関節106には、腕103を胴体101に対して相対的に揺動(回動)させるための駆動機構が配置されている(図示せず)。
【0021】
首関節105及び肩関節106に配置されている駆動機構は、アクチュエータ(例えば、電動モータ(サーボモータ))、及びラック・ピニオン、ベルト・プーリ等の駆動部材で構成されている。
【0022】
また、脚104は、本実施の形態1に係る股関節構造体111を介して、胴体101の一部を構成する腰108に接続されている。股関節構造体111の構成については、後述する。
【0023】
なお、本実施の形態1においては、制御装置110が、胴体101内に配置されている形態を採用したが、これに限定されない。制御装置110が、頭102等の他の構成部材内に配置されている形態を採用してもよく、制御装置110が、ロボット100外に配置されている形態を採用してもよい。
【0024】
ここで、
図2を参照しながら、制御装置110の構成について、説明する。
【0025】
図2は、
図1に示すロボットにおける制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0026】
図2に示すように、制御装置110は、CPU等の演算部110aと、ROM、RAM等の記憶部110bと、サーボ制御部110cと、を備える。制御装置110は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えるロボットコントローラであってもよい。
【0027】
なお、制御装置110は、集中制御する単独の制御装置110によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置110によって構成されていてもよい。また、本実施の形態1においては、記憶部110bが、制御装置110内に配置されている形態を採用したが、これに限定されず、記憶部110bが、制御装置110と別体に設けられている形態を採用してもよい。
【0028】
記憶部110bには、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部110aは、記憶部110bに記憶されている基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボットの各種動作を制御する。すなわち、演算部110aは、ロボットの制御指令を生成し、これをサーボ制御部110cに出力する。サーボ制御部110cは、演算部110aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット100の各関節に設けられているサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0029】
[ロボットの股関節構造体の構成]
次に、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111の構成について、
図3〜
図5を参照しながら説明する。
【0030】
図3は、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体の概略構成を示す分解図である。
図4は、
図3に示すロボットの股関節構造体の側面図である。
図5は、
図3に示すロボットの股関節構造体の背面図である。なお、
図3〜
図5においては、ロボットの股関節構造体における上下、左右、及び前後方向を図における上下、左右、及び前後方向として表している。
【0031】
図3〜
図5に示すように、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111は、一対の大腿基端部材20A、20Bと、骨盤部材10と、を備えていて、骨盤部材10は、一対の大腿基端部材20A、20Bに挟まれるように配置されている。骨盤部材10、及び大腿基端部材20A、20Bは、柱状(ここでは、四角柱状)に形成されている。
【0032】
骨盤部材10の前面及び後面における左右の端部には、それぞれ、上下方向に延びる凹部11により、フランジ部12が形成されている。また、骨盤部材10には、上面と下面とを貫通する第1貫通孔15が設けられていて、第1貫通孔15には、腰接続部材90の下端部が嵌合している。腰接続部材90には、第1貫通孔15と連通するように、上下方向に延びる貫通孔91が設けられている。
【0033】
また、骨盤部材10の後面側の凹部11には、第1貫通孔15と連通するように、第2貫通孔16が設けられている。なお、第2貫通孔16は、骨盤部材10の前面側の凹部11に設けられていてもよい。
【0034】
フランジ部12には、左右方向に延びる貫通孔が設けられていて、当該貫通孔には、締結部材(ここでは、ボルト)13が挿通されている。また、骨盤部材10の左右の側面には、位置決め用のピン14が配設されている。
【0035】
大腿基端部材20Aの左側面には、位置決め用の凹部21Aが配設されている。凹部21Aは、骨盤部材10の右側面に配設されているピン14と嵌合することで、骨盤部材10と大腿基端部材20Aとの位置決めを行うことができる。
【0036】
また、大腿基端部材20Aの左側面には、締結部材13の先端部が螺合するための凹部22Aが配設されている。これにより、骨盤部材10と大腿基端部材20Aが、締結部材13により、締結される。
【0037】
同様に、大腿基端部材20Bの右側面には、位置決め用の凹部が配設されている(図示せず)。当該凹部は、骨盤部材10の左側面に配設されているピン14と嵌合することで、骨盤部材10と大腿基端部材20Bとの位置決めを行うことができる。
【0038】
また、大腿基端部材20Bの右側面には、締結部材13の先端部が螺合するための凹部が配設されている(図示せず)。これにより、骨盤部材10と大腿基端部材20Bが、締結部材13により締結される。
【0039】
なお、本実施の形態1においては、大腿基端部材20A、20Bに凹部21A、22Aが配設されている形態を採用したが、これに限定されない。例えば、大腿基端部材20A、20Bに、凹部21Aに代えて、貫通孔を配設して、当該貫通孔に、ピン14が嵌合する形態を採用してもよい。また、例えば、大腿基端部材20A、20Bに、凹部22Aに代えて、貫通孔を配設して、当該貫通孔に、締結部材13が螺合する形態を採用してもよい。
【0040】
さらに、大腿基端部材20Aには、上下方向に延びる貫通孔23Aが配設されている。貫通孔23Aには、中空部31Aを有する軸受部材30Aが配置されている。軸受部材30Aとしては、例えば、ベアリング等を用いることができる。
【0041】
軸受部材30Aの下端部には、第1歯車40Aを介して、脚104が固定されている。第1歯車40Aには、第2歯車50Aが歯合していて、第2歯車50Aには、電動モータ60Aの出力軸が固定されている。電動モータ60Aは、大腿基端部材20Aの後面に固定されている。これにより、電動モータ60Aが駆動することにより、脚104は、大腿基端部材20Aに対して、上下方向に延びる軸(ヨー軸)回りに、相対的に揺動(回動)することができる。
【0042】
同様に、大腿基端部材20Bには、上下方向に延びる貫通孔23Bが配設されている。貫通孔23Bには、中空部31Bを有する軸受部材30Bが配置されている。軸受部材30Bとしては、例えば、ベアリング等を用いることができる。
【0043】
軸受部材30Bの下端部には、第1歯車40Bを介して、脚104が固定されている。第1歯車40Bには、第2歯車50Bが歯合していて、第2歯車50Bには、電動モータ60Bの出力軸が固定されている。電動モータ60Bは、大腿基端部材20Bの後面に固定されている。これにより、電動モータ60Bが駆動することにより、脚104は、大腿基端部材20Bに対して、上下方向に延びる軸(ヨー軸)回りに、相対的に揺動(回動)することができる。
【0044】
図4に示すように、電動モータ60Bには、第1ケーブル70Bの基端部が接続されている。第1ケーブル70Bの先端部には、コネクタ71Bが配置されていて、当該コネクタ71Bは、第2ケーブル80Bの基端部に配置されているコネクタ81Bと接続されている。コネクタ71B、81Bは、それぞれ、軸受部材30Bの中空部31B内に収納されている。
【0045】
また、
図5に示すように、第2ケーブル80Bは、骨盤部材10の(左側の)第2貫通孔16から第1貫通孔15を経て、腰接続部材90の貫通孔91を通過する。そして、第2ケーブル80Bは、骨盤部材10の上方から胴体101内に引き出されるように配置されている。
【0046】
なお、第2ケーブル80Bの先端部は、例えば、ロボット100の内部に配置されているバッテリ、電動モータ60A、60B以外の電動モータ、又は家屋等に配置されているコンセント(いずれも図示せず)等と接続されていてもよい。また、第2ケーブル80Bの先端部は、例えば、制御装置110に接続されていてもよい。
【0047】
同様に、電動モータ60Aには、第1ケーブル70Aの基端部が接続されている。第1ケーブル70Aの先端部には、コネクタが配置されていて、当該コネクタは、第2ケーブル80Aの基端部に配置されているコネクタと接続されている(いずれも図示せず)。これらのコネクタは、それぞれ、軸受部材30Aの中空部31A内に収納されている。
【0048】
また、
図5に示すように、第2ケーブル80Aは、骨盤部材10の(右側の)第2貫通孔16から第1貫通孔15を経て、腰接続部材90の貫通孔91を通過する。そして、第2ケーブル80Aは、骨盤部材10の上方から胴体101内に引き出されるように配置されている。
【0049】
なお、第2ケーブル80Aの先端部は、例えば、ロボット100の内部に配置されているバッテリ、電動モータ60A、60B以外の電動モータ、又は家屋等に配置されているコンセント(いずれも図示せず)等と接続されていてもよい。また、第2ケーブル80Aの先端部は、例えば、制御装置110に接続されていてもよい。
【0050】
このように構成された、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111では、骨盤部材10の前面及び後面に、凹部11によってフランジ部12が形成されている。これにより、骨盤部材10の前面及び後面から突出するようにフランジ部を形成するような場合に比して、ロボット100の小型化を図ることができる。
【0051】
また、フランジ部12を形成する凹部11側には、他の部材が配置されていないので、ドライバ等の工具を配置するスペースを充分に確保することができる。このため、フランジ部12と大腿基端部材20A、20Bを締結するとき、又はフランジ部12から大腿基端部材20A、20Bを取り外す作業を容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111では、締結部材13をフランジ部12側から挿通させて、フランジ部12と大腿基端部材20A、20Bを締結している。これにより、締結部材13を大腿基端部材20A、20側から挿通させて、フランジ部12と大腿基端部材20A、20Bを締結するような場合に比して、ロボット100を小型化することができる。
【0053】
すなわち、締結部材13を大腿基端部材20A、20側から挿通させる場合には、軸受部材30A、30Bを避けるように、締結部材13を配置させる必要があり、軸受部材30A、30Bの前後方向の厚みが大きくなる。しかしながら、締結部材13をフランジ部12側から挿通させる場合には、軸受部材30A、30Bの前後方向の厚みを大きくする必要がないため、ロボット100を小型化することができる。
【0054】
また、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111では、軸受部材30Aの中空部31A内に、第1ケーブル70Aと第2ケーブル80Aを接続するコネクタが収納されている。同様に、軸受部材30Bの中空部31B内に、第1ケーブル70Bと第2ケーブル80Bを接続するコネクタ71B、81Bが収納されている。
【0055】
これにより、骨盤部材10、大腿基端部材20A、20B等の外表面に2つのケーブルを接続するためのコンセントを配置する形態に比して、ロボット100を小型化することができる。また、コネクタを接続、解離することで、第1ケーブル70Aと第2ケーブル80A、又は第1ケーブル70Bと第2ケーブル80Bの電気的な接続、解離を容易に行うことができる。このため、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0056】
さらに、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111では、第2ケーブル80A、80Bは、骨盤部材10の第2貫通孔16から第1貫通孔15を経て、骨盤部材10の上方から胴体101内に引き出されるように配置されている。これにより、
図5の2点鎖線で示すように、第2ケーブル80A、80Bを骨盤部材10の下端部から挿通させる場合に比して、ロボット100を小型化することができる。
【0057】
すなわち、第2ケーブル80A、80Bを下端部から挿通させる場合には、ケーブルの断線を抑制するために、ケーブルの曲率半径を大きくする必要がある。このため、骨盤部材10の下端部を覆うカバー部材を配置するときに、当該カバー部材が大型化し、その結果、ロボットが大型化する。
【0058】
一方、本実施の形態1に係るロボットの股関節構造体111では、骨盤部材10の第2貫通孔16から第2ケーブル80A、80Bを挿通させているので、骨盤部材10の下端部を覆うカバー部材を大型化する必要がない。このため、ロボット100を小型化することができる。
【0059】
なお、本実施の形態1においては、股関節構造体111を2足歩行ロボットに適用する形態を例示したが、これに限定されない。股関節構造体111を4足歩行ロボットに適用する形態を採用してもよい。
【0060】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。